贖罪の街 Two Men in Town

●「贖罪の街 Two Men in Town」
2014 フランス・ベルギー・アルジェリア Tessalit Productions,Pathé and more.117min.
監督・(共同)脚本:ラシッド・ブシャール
出演:フォレスト・ウィテカー、ブレンダ・ブレシン、ルイス・グスマン、ドロレス・レディア、ハーヴェイ・カイテル他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
フレンチ・ノアールの佳作、アラン・ドロン&ジャン・ギャバン主演の「暗黒街の二人」の
リメイク。だいぶ変えてしまっているけど、更生を目指す男の社会への受け入れに纏わる
話、という大意は同じだ。オリジナルと比べるとだいぶ出来は落ちる。

フォレスト・ウィテカーとハーヴェイ・カイテルは頑張っていたけど、保安官の意地悪が
中途半端。(大体冒頭では私刑を禁じる正義のシェリフとして描かれている)。
シェリフの副保安官を18年前に殺してしまい、刑期を3年残して仮釈放されたウィル
(ウィテカー)。彼がイスラム教に改宗した、というもの何だかピンと来ない。

やはり最期はウィテカーはカイテルを殺してこそのこの映画の悲しみがでるのではないか。
そういう意味では脚本の失敗だったともいえる。
良かったのは、アメリカにアダプトして、メキシコ国境の荒涼たる平原が舞台だったこと。
そこ乾燥気分が映画に質を与えていた。それと、女性保護観察官の存在も面白いのだ
けれど、生かし切っていない感じ。ラスト、しつこく犯罪に手を貸すようにいい寄るかつての
悪の仲間を殺したところで、ウィテカーの社会からの疎外感は意味を持って提示できない。
オリジナルが持っていた「どうしようもないやるせなさ、人生の不条理、社会に対する怒り」の
表出が全然弱い。

結局展開がステレオタイプ過ぎで、あれこれ中途半端な映画、しかも時間が結構長い。
これも弛む要因だろう。日本未公開、むべなるかな、という出来と言わざるをえない。
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<ストーリー>
生を再出発すべく、18年の刑期を経て仮出所した殺人犯。しかし周囲にはなお、
彼の過去を忘れられない人々がいた…。
F・ウィテカーが苦悩に満ちた演技を見せるドラマ。

かつてアラン・ドロン、ジャン・ギャバンの新旧スター競演で話題を呼んだフランス映画
「暗黒街のふたり」を、「ロンドン・リバー」のR・ブシャール監督が、物語の舞台を
メキシコとの国境に近いアメリカの町に移して再映画化。
悪の道からの更生を心に誓って仮出所し、人生の再出発を切ったものの、以前の犯罪
仲間や保安官にしつこくつきまとわれ、苦悩を深めていく主人公を、「バード」のウィテカーが
好演するほか、H・カイテル、B・ブレシンら、実力演技派が息詰まる競演を披露。
WOWOWの放送が日本初公開。

アメリカ南西部、メキシコとの国境に近い町。18歳の時、保安官代理を殺害して
懲役21年の判決を受け、18年の刑期を経て仮出所したガーネット。過去の罪を洗い
流した彼は、親切な女性保護観察官エミリーの世話のもと、新たな職に就き、愛する
女性テレサにもめぐりあって、ようやく心の平安を得たかに思われたが、同僚を殺された
ことをいまだに根に持つ保安官のアガティや、かつての犯罪仲間たちがしつこく彼に
つきまとい…。 (WOWOW)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-30 22:40 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「黄金のアデーレ 名画の帰還 Woman in Gold」
2014 アメリカ・イギリス Origin Pictures,BBC Films.109min.
監督:サイモン・カーティス
出演:ヘレン・ミレン、ライアン・レイノルズ、ダニエル・ブリュール、ケイティ・ホームズ、タチアナ・マズラニー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
よく出来た映画だった。超大作ではないのだけれど、映画の面白さが充溢した作品だ。
「事実は小説より奇なり」というが、実際に起きた事件をベースにした物語は、事実が
バックボーンにあるので、訴えてくるものが大きいと個人的には思っている。
本作はナチスによる欧州での美術品の略奪・没収事件が基本になっているという点では、
過日観たジョージ・クルーニーの「ミケランジェロ・プロジェクト」とよく似ている。しかし、
本作は、個人に焦点を当てた点で、訴えるものはより強烈であったと感じた。

美術好きとしてはこのクリムトの作品に絡む顛末は不覚にも知らなかった。だから
一層面白く観ることが出来たと思う。
改めてナチス・ドイツの悪行に心を痛め、マリアという女性と若き弁護士の不屈の闘志に
感激したのだった。作品として、まず「アデーレ」返還事件を映画しようとした製作者サイドの
見事さ、そして脚本の上手さ、演出、カメラの上手さ、さらにヘレン・ミレンの魅力が爆発した
演者の上手さ、どれをとっても一流の出来と言わざるを得ない。

特にヘレン・ミレンは勇気を持ち、意志の強さの中に、弱さも伺わせ、ユーモアと行動力に
富んだ、時にオチャメなマリアという女性を見事に演じきっていて、とても魅力的である。
ヘレンにとっても代表作になったのではないか。

さらに、サンドラ・ブロックなどの共演で人のよいボンボンタイプの青年というイメージが
強かったライアン・レイノルズも、有力弁護士事務所を辞めてまで、名画の返還に突っ込んで
行く熱意あふれる若手の弁護士を熱演。彼には祖父らの時代に自分の一族もナチスに
迫害を受けたため、それが彼のエンジンにもなっていたのだ。驚いたことに、この弁護士、
かの高名な作曲家シェーンベルグのお孫さんだったのだな。
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最終的にはアデーレの肖像はマリアの手に戻り、アメリカに渡って、エスティーローダーの
社長であった、ロナルド・ローダーが落札し、ニューヨークのノイエ・ガレリアに常時展示
されている。ローダーは駐オーストリア米大使を務めたことがあり、ナチによる美術品を
所有者に戻す運動に熱心だったという。

アデーレの肖像を、モデルも生活し、描かれもしたウィーンに置かず、アメリカに持って行った
マリアの気持ちとは。ウィーンの返還審判でマリアが勝った折、ウィーン当局から、金も払うし
条件も聞くから、持ち出さないで欲しい、と懇願されたのだが、マリアはこれを断り、アメリカに
持って行った。ウィーンに置くかと思ったのだけれど。

自分も生まれ育ち、家族や親族との思い出も深いウィーン。しかしナチスに蹂躙され、ヒトラーの
軍門に下ったオーストリアという国を、ナチの手でベルベデーレ宮殿に展示され、そのまま返還
しないオーストリアという国を(命からがらアメリカに逃げてきたユダヤ人として、またユダヤ人や
家族にしたナチの仕打ちを思うとき)絶対に許せなかったのだろう。彼女はすでにアメリカ人として
生きているのだから。

本作は「アデーレの肖像」という一枚の画が、また所有者らの数奇な運命をスピード感を
以って描く。謎解きであり、サスペンスであり、夫婦愛であり、家族愛であり、成功譚である。
いわばドラマの本質が網羅されているのだ。そしてそれぞれの物語が実に面白い。
個人的には名画がまたマリアの手に戻ってきたこと、(それを決断したウィーンの諮問委員会の
メンバーらも凄いが)、そして改めて、ナチスの芸術品の略奪・没収という野蛮な行為に
怒りを覚え涙が出そうになった。

本年、絶対に見逃せない一作と言える。
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<プロダクションノート&ストーリー>
20世紀が終わる頃、ある裁判のニュースが世界を仰天させた。アメリカに暮らすマリア・
アルトマン(82歳)が、オーストリア政府を訴えたのだ。
“オーストリアのモナリザ”と称えられ、国の美術館に飾られてきたクリムトの名画
〈黄金のアデーレ〉を、「私に返してほしい」という驚きの要求だった。伯母・アデーレの
肖像画は、第二次世界大戦中、ナチスに略奪されたもので、正当な持ち主である自分の
もとに返して欲しいというのが、彼女の主張だった。共に立ち上がったのは、駆け出し
弁護士のランディ。対するオーストリア政府は、真っ向から反論。
大切なものすべてを奪われ、祖国を捨てたマリアが、クリムトの名画よりも本当に取り
戻したかったものとは──?

1916年、マリア・アルトマンはウィーンに生まれる。マリアの母とアデーレ・バウアーは
姉妹で、ブロッホ家のフェルディナントとグスタフの兄弟とそれぞれ結婚していた。
彼らはブロッホ=バウアーと名乗り、エリザベート通りに佇む宮殿風のアパートで
一緒に暮らす。

フェルディナントとアデーレの夫妻は非常に裕福で、芸術家のパトロンとしても知られ
ており、2人のサロンには、画家のクリムトや作曲家のマーラー、作家のシュニッツラー、
精神科医のフロイトなど名だたる顔ぶれが通っていた。
アデーレは1925年に髄膜炎で亡くなるが、クリムトは生前の彼女をモデルに肖像画を
2枚残している。(「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」「アデーレ・ブロッホ=
バウアーの肖像Ⅱ」)

マリアは21歳でオペラ歌手のフリッツ・アルトマンと結婚。1938年3月13日、ヒトラー
率いるナチスがオーストリアを占領する。フリッツがダッハウ強制収容所に一時的に拘束
された後、彼とマリアは亡命を実行、スイスを経由してイギリスからアメリカへと辿り着く。
マリアの父親はウィーンに残ったがすぐに亡くなり、財産はナチスに没収される。

マリアに譲られたアデーレのネックレスも、ドイツの政治家ゲーリングの妻の首を飾った。
1943年、ナチスの指揮下でクリムトの絵が展示された時、「アデーレ・ブロッホ=バウアー
の肖像 I 」には、「Lady in Gold」という別名が付けられた。

マリアとフリッツはカリフォルニアで4人の子供を育てる。1998年、マリアは家族ぐるみの
友人の息子である弁護士ランディ・シェーンベルクに、オーストリア政府に対して伯母の
肖像画を始めとする絵画の返還を求めたいと頼む。
訴えを却下されたマリアとランディは、「米国民は国内において他国政府に対し訴訟を
起こす権利を有す」という法律を利用して戦いを起こす。

数年かけて全ての裁判で勝訴し、最高裁でもマリアに有利な判決が下されると、
オーストリアはオーストリア人裁判官3名で構成された仲裁委員会で示談に応じることに
合意。2006年1月17日、マリアへの返還が決定する。
5枚の絵画はロサンゼルスに展示された後オークションにかけられるなどし、個人の
収集家たちに売却された。「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」も、マリアの「誰もが
鑑賞できるよう、常時展示すること」を条件に、コスメ界の大物ロナルド・ローダーに
1億3500万ドルで買い取られ、ニューヨークのノイエ・ギャラリーに現在も展示されている。
2011年、マリアは94歳で永眠した。

マリアと共に戦ったランディは、勝訴して以降、美術返還の弁護を多く引き受け、それを
専門とする会社を設立した。さらに、ロサンゼルスにホロコースト博物館を設立するために
動くなど、過去の大切な記憶を引き継いでいくために熱心に活動している。

映画は、現代とナチス圧政下の時代を行き来しながら物語が綴られ、長くない上映時間の
中に過不足なく誠にコンパクトに仕上げられている。(公式ホームページより)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-29 14:00 | 洋画=あ行 | Comments(0)

タミー/Tammy

●「タミー/Tammy」
2014 アメリカ Gary Sanchez Productions,New Line Cinema.Warner Bros.(Dist.) 97min.
監督・(共同)脚本:ベン・ファルコーン
出演:メリッサ・マッカーシー、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツ、ダン・エクロイド、トニ・コレット他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
アメリカでは制作費の4倍の興収を記録した映画だ。日本では劇場未公開。如何にも
アメリカ人が好きそうな作りだ。キャティングも上記の他にサンドラ・オーなども出ていて、
豪華だし。だが日本人が見ると、途中からグダグダになってしまったなあ、と思うのでは
ないだろうか。

超おデブ女優のメリッサ・マッカーシー、彼女の最近の作品は殆ど観ているが、日本では
ありえない体型の女優さんだ。京塚昌子くらいしか思い浮かばないな。すごい顔もするが
ちゃんとしていれば結構美人な顔立ちではある。この人、本作では共同プロデューサーで
あり、また監督と共同で脚本も書いている。

出だしはOutfieldの「Your Love」に乗せて軽快に始まる。メリッサ演じるバーガー店店員
タミーは道路に出てきた鹿を跳ねて自動車は大破、店には遅刻、そしてクビ、という悲劇が
重なる。家に帰れば夫は近所の奥さんと浮気中。頭に来たタミーはおばあちゃんのクルマで
町から出ようとするが、おばあちゃん(「サランドン)は、私も行く、と付いて来てしまう。
二人が目指すはナイアガラの滝だ。

こうしてタミーとおばあちゃんの珍道中が始まる。所謂自分探しのロードムービーだ。
途中の音楽酒場で男と出会ったり、そこで働いた狼藉で牢屋に入れられたり、その保釈金を
稼ぐため、勤めていたバーガー店に強盗に入ったり、おばあちゃんの友人(だっけ?)
キャシー・ベイツとサンドラ・オーのレズビアンコンビの大豪邸でのパーティーに参加したり。
そういうプロットにギャグが散りばめられていて、なんていうか、アグレッシブなコメディーだ。
IMDbの評価は5以下だが、個人的には面白かった。ただ単に面白かった。
個人的にツボだったのは、紙袋をしてのバーガー店強盗、そしてその金を返しにいくところ、かな。

映画として自分探しが表現出来ていたかどうかは別として、単純に嫌味なく笑えた。アル中の
ハチャメチャおばあちゃん、スーザン・サランドンが良かったし、愛すべきおデブ、メリッサ・
マッカーシーの魅力が一杯出ていたと思う。さすがはスタンダップコメディ出身だけのことはあると。

男との出会いとか、ナイアガラからエンディングまでなどはイージーな感じもするが、ま、肩の力を
抜いて笑いまくるにはいい映画だと思う。なんでこの映画が制作費の4倍も興収を上げるか、
アメリカ人気質が分かる映画だと思う。
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<ストーリー>
「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」で一躍人気コメディ女優となった
マッカーシーが、「デッドマン・ウォーキング」などの名女優S・サランドンを相手に熱演を
見せるロードコメディ。
公私ともに最悪の目に遭ったヒロインだが、気分転換の旅に出るにも車も金もなく、
やむなくナイアガラの滝が見たいという祖母をスポンサーに現実逃避の旅に出るのだが……。
マッカーシー扮する本来傍若無人なヒロインが、旅の中で奔放さを発揮していく祖母と
立場を逆転して振り回されていく姿がおかしさを誘う。

ハンバーガー店で働く女性タミーは、出勤途中、野生のシカに衝突、車がオシャカになった上、
仕事までクビになってしまう。さらに家に帰ると夫が隣の家の女と浮気中。
これ以上ない最悪の状況に、もはや旅に出るしかないと考えるタミーだが、いかんせん金も
車もない。実家に助けを求めたタミーは、祖母パールから自分をナイアガラの滝まで連れて
行けば車と金を出すと持ち掛けられ、やむなく一緒にドライブ旅行に出かけることに……。
(WOWOW)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-26 23:32 | 洋画=た行 | Comments(0)

紙の月

●「紙の月」
2014 日本 松竹 Robot  紙の月製作委員会 126分
監督:吉田大八  脚本:早船歌江子  原作:角田光代「紙の月」
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、小林聡美、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、平祐奈他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
昨年、「永遠の0」と並び、邦画界を賑わせた一作。「永遠の0」は映画館に行ったが、
こちらは宮沢りえがあまり得意でないので、WOWOWでの放映を待った。
原作未読、テレビ未見である。

で、どうしても、骸骨に渋皮が張り付いたような宮沢りえが気になってしまい、今ひとつ
のめり込めなかったのと、彼女の生き方に、へえ、こういう生き方もあるんだな、以上の
ものも感じ取られず、大金の横領犯がフィリピンだかの東南アジアに逃亡してしまうという
結末もなんだかなあ、銀行支店の誰かが処分されたという話も出てこないし(そういう事は
本作には意味がないということなんだろうね)。

映画から何か人生や意味を見出したい日本人にはとてもうってつけの作品じゃないか。
だいたいタイトルの「紙の月」というのが寓意の塊。つまり、本物ではない、作り物のことだ。
色んな人が色んなことをいうのだろうな。それはそれでいいのだけど、映画全体がメタファーの
塊のような作品は観ていて決して面白いとは思えないのだ。原作があるとは云え、活字の
世界と映像の世界は自ずと違うと思うのだが。

私個人としては、主人公がなんで、いとも簡単に浮気に走ったか、ということ。幼いころから
「与えることが幸せ」と育ってきたからか。奪っても与えることが幸せ、と思い込んできたからか。
そういう女がいましたさ、ということなのか。wikiによれば原作作家の角田は「お金を介在させて
しか恋愛が出来ない女」を描きたかったといっている。

家庭、お金、銀行、横領、浮気、露見、逃亡と一人の女を通して描くことが多すぎて、とっちら
かった感が否めなかった。池松壮亮と出会うまでは、普通のつましい家庭の妻であり、銀行の
パートさんであった若くもない女が、一人の男に心奪われることで世間を欺き、家庭を欺き
嘘で固めた世界に突っ込んでいくか、という病理が、クリスチャンの女学生時代の行動だけでは
説明しきれない病理であると感じたのだが。
即物的な満足でしか幸せを感じないある意味不幸な女の話、なのだろうか。

梅澤梨花(宮沢りえ)とは、何者? 結局そういう点において、私は腹に落ちるものが無かった。
敢えて1994年に時代を設定したのは原作重視だから?要らん時代考証不足を突っ込まれる
より現在にしてしまったほうが良かったんじゃないか。携帯だってあっても良かったと思う。
映画からは今から20年前での設定の意味が伝わってこなかった。

ラスト、大金横領が露見し、銀行から、家庭から、世間から、日本から逃げるわけだが
その主人公の走る様、何を言いたいのか?黒澤明じゃあるまいし。

確かに地味ーな女が金を掴むににつれ、服装が派手になる、若いツバメに掛ける金が
半端なくなる、嘘が嘘を呼ぶ、横領が巧妙になる、どんどん人を騙すという主人公の人格の
崩壊ぶりはお見事だったが、原作者が言いたかったのはそこではあるまい。

ああ、隔靴掻痒の作品だった! ※「本作をちゃんと観てないな、オマエ」という突っ込みは
ご勘弁ください。

あ、小林聡美と大島優子は良かったよ。
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<ストーリー>
直木賞作家・角田光代の同名作を『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八が、宮沢りえを
主演に迎えて映画化したサスペンス。
契約社員として銀行で働く平凡な主婦が、年下の大学生との出会いを機に、金銭感覚を
マヒさせていき、やがて巨額の横領事件を引き起こすさまを描く。相手役の大学生を演じる
のは若手実力派の池松壮亮。

1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子どもには恵まれなかったものの夫(田辺誠一)と
穏やかな日々を送っている。契約社員として勤務する「わかば銀行」でも、丁寧な仕事
ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の
隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、
様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送って
いる梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が
漂い始めていた。

ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせた
ことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の
彼との逢瀬を重ねるようになる。

そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄ったショッピングセンターの化粧品売り場。
支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、
顧客からの預かり金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から
1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりであった。

学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みが
キャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に
入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する……。

やがて横領する額は日増しにエスカレートしていくのだった、上海に赴任するという夫
には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、
光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。
そんな折、隅が、銀行内で不自然な書類の不備が続いていることを不審に感じ始め
ていた……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-25 23:40 | 邦画・新作 | Comments(0)

●「リトル・アクシデント Little Accidents」
2014 アメリカ Archer Gray Productions,Maiden Voyage Pictures,and more.105min.
監督・脚本: サラ・コランジェロ
出演:エリザベス・バンクス、ボイド・ホルブルック、クロエ・セヴィニー、ジェイコブ・ロフランド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ひとことで言うと、「暗い」。気分が落ち込んでいる人は観るべきでない。しかし、悪い映画では
ない。音楽が五月蝿かったけど。サンダンスあたりで認められるような映画だと感じた。

アメリカのある炭鉱で起きた事故とそれにからむ数人の人生の転変を描く。そこに殺人やら
ミステリーの要素も加えつつ。ちょっとてんこ盛り過ぎたかというウラミが無いではないが、
本作の訴えたい所は、畢竟「嘘」と「真実」のハザマで揺れる人間の心の弱さと強さ、という
分かりやすいところなのだろう。
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主要な役どころは3家族。一つは、炭鉱の炭じん爆発と思われる事故で10人が死亡、
たった一人生き残こり、療養の後、復帰したものの後遺症が残ってしまった若者、エイモス。
彼の父も炭鉱で働いていたが今は体を壊している。(恐らく炭塵による肺疾患と思われる)

2つ目は、事故でジュニアという父を失った高校生オーウェン。ダウン症の弟がいる。

3つ目は、事故の責任者だった男の一家。妻はダイアン(エリザベス・バンクス)、
オーウェンと同級の高校生ジェイティーとの3人家族でかなり裕福である。

さて、この家族が、「リトル・アクシデンツ(原題は複数形であることに注目)」に遭遇し
人生の歯車が変わっていくのだ。

まず、オーウェンは、事故で亡くなった父の補償で大金が入ったと思われ、仲間から
いじめられたり、カツアゲにあったりしてた。ダウン症の弟を連れて森にジェイティーら
悪友らと遊びに行き、弟の悪口を言われたりで喧嘩となり、ジェイティーに石を投げて
転倒させてしまい、ジェイティーはころんだところに岩があり、そこに頭を打ち付けて
死んでしまった。オーウェンは森のなかに死体を隠し、弟に黙っていてな、と言って
家に戻る。しかし、良心の呵責に眠れない日々を送っていた。

一方、エイモスは、組合から労働者側の立場が不利になるような事故調査委員会での
証言をするな、と脅されていた。つまり炭じん爆発について虚偽の証言をしておけ、と
いうことだ。あるスーパーで出会ったダイアンは、エイモスに「許して」とすがりつく。
彼女は夫との間が事故のせいでギクシャクし、しかも息子ジェイティーが行方不明に
なっていることもあり、寂しかった。同じくなかなか元の自分に戻れないエイモスと
二人は不倫関係に落ちる。

時間が経つにつれ、オーウェンの罪の意識は薄れていくようだが、しかし彼の心には
良心の呵責がしっかりと澱のように溜まっていたのだ。彼はジェイティーの家に草刈りに
行く。(学校のイベントでダイアンがその権利を当てたため) 自分の息子を殺した子だと
は知らないダイアンはオーウェンに優しく接する。それもまたいたたまれないのだった。

やがてダイアンはエイモスに自分に正直になって、と言って彼の元を去っていく。
そして、ついにオーウェンはダイアン夫妻に真実を告げるのだった。
エイモスも、ジュニア(オーウェンの父)が、炭塵の濃度がただならないことを
責任者であるダイアンの夫に危険を進言、しかし効率を維持したい夫ビルは
上司への報告を無視、また現場の採掘員は、会社からの報復を恐れて口を閉ざした
のだった。その結果事故は起こり、10人が死亡したのだ。そのことを委員会で
告白した。それぞれ秘密を抱えた人たちが、結局は真実を打ち明けることで自分と
いうものを保つ決心をしたのだった。ダイアンの不倫はどうするんだろうなあ。
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そんなお話だ。小さな町で起きたちょっとした物語を上手く掬ったとは思うけど、
いかんせん暗かったなあ。笑顔というものがほとんど出てこなかったんじゃないかな。
訴えている意味が分かりやすいので、人生の教訓を得たい人には、いいんじゃないか。
ただ精神状態が安定している時に観たほうがいいと思う。
オーウェン役の少年、頑張っていたが、始め中学生くらいの設定かと思ったら高校生。
やっていることが少々幼なかったのじゃないかな。
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日本では未公開。WOWOWの「ジャパン・プレミア」にて鑑賞。
「全米大ヒット作「ピッチ・パーフェクト」第1・2作で出演・製作を務めて評価を上げている
美人女優バンクス、「ラン・オールナイト」のB・ホルブルック、「ラヴレース」のC・セヴィニー
など、今後を期待されるハリウッドスターたちが顔を合わせたインディーズ映画。
小品である上、悲劇に悲劇が積み重なっていく重厚な展開ながら、キャストはベテランから
子役までいずれもそれぞれの役を生き生きと演じ、見応えある佳作に仕上がった。
2014年のサンダンス映画祭が世界初上映で、WOWOWの放送が日本初公開。」
(WOWOW)

この映画の詳細はlちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-24 23:40 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

●「インターステラー Interstellar (再見)」
●「インターステラー Interstellar」
2014 アメリカ Warner Bros.Pictures,Paramount Pictures,Regendary.169min.
監督・共同脚本:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャスティン、エレン・バースティン、
    マイケル・ケイン、マッケンジー・フォイ、マット・デイモン、ジョン・リスゴー他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
図った訳ではないが、昨年の全く同じ日にシネコンに行って観た作品。昨年のベスト
作品にも挙げた傑作で、結構難しい映画だったと記憶しているのでWOWOWでの
放送を機に再見してみた。

結果、★の数を一つ増やさせて頂くほどの傑作と再確認した次第だ。確かに相対性論や
量子力学や宇宙物理学の基礎が分かっていないとちょっととっつきにくい映画であることは
確かなのだが、「Star Wars」における「フォース」同様、物理的に計算される世界と、その
対局にある人間の感情、本作に置いては「愛」のチカラが描かれているのだ。

二度目になると細かいところに色々と気がついて面白さが増した。クリストファー・ノーランが
仕掛けたカラクリ、伏線とそのダイナミックな回収、シネコンでは気が付かなかったが、
アン・ハサウェイ演じる科学者が、彼女の恋人が派遣された星に行った(行かされた)ものの
彼は死んでいて孤独、しかし背後には灯りがついたコロニーと思しき建物が数棟見えたという
ことは、彼女らが持って行った冷凍精子と卵子による人口体外受精は成功し、子供が増えつつ
あるということだったのか、母体は勿論ハサウェイであるのだが・・・そんなエンディングの
仕掛けも分ったりした。

「重力」と、それがもたらす「五次元の世界」。そして、人間にしか与えられない「人類愛」。
これがすべての映画だと理解出来た。
それにしても、なぜ今の地球が滅亡に向かっているのか、その救出作戦たる「プランA」と
「プランB」、ワームホールを利用した他の銀河への移民衛星探索、マイケル・ケインら
新NASAが嘘を付いたのか?時間の流れの相対的な理屈、
マット・デイモンの裏切り、ブラックホール「ガルガンチュア」への突入と五次元世界、
マシュー・マコノヒーの娘が計算に成功したことによる五次元世界からの生還などなど
難しい部分が多いことは確かだった。169分は長いけど、今回も長さは全く感じなかった。
ある意味哲学的な、ある意味非常に人間的な宇宙モノということができるだろう。

初見の時のブログはこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-23 23:50 | 洋画=あ行 | Comments(0)

サボタージュ Sabotage

●「サボタージュ Sabotage」
2014 アメリカ  Open Road,QED International.109min.
監督・(共同)脚本:デヴィッド・エアー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、サム・ワーシントン、オリヴィア・ウィリアムズ、テレンス・ハワード他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
エロ・グロ・スプラッタアクションとでも云えばいいのかな。まあ、面白くない訳では
ないのだけれど、普通の精神状態では考え辛い設定の映画だな。憂さ晴らしに
観るのはいいかも。個人的にはアトランタ市警の女性刑事を演じたオリヴィア・ウィリアムズが
いい役どころで、しかもいい演技で良かった。
主演のシュワちゃん、今回は肉体を使わないで、最愛の妻と息子を、麻薬組織に殺された
怒りと苦悩の男を演じている。ま、良かったんじゃないかな。

冒頭、シュワちゃんが観ている妻が誘拐されひどい目にあっているとおぼわしき画像。
ついで、シュワちゃんがボスを務めるDEA(連邦麻薬取締局)の特殊任務班の手入れらしい
映像。そこではどうやら捜査官たちは、目の前にある大金の山から1000万ドルを
頂いちゃうという行けない行為に及んでいるらしい。だが、その大金は誰かに奪われて
消えていた。
疑いを掛けられたブリーチャー(シュワ)らは、全員口をつぐんで何も言わなかった。首に
なるかと思われたが、数カ月後職務に復帰した。

さて、そこから班の屈強の仲間が一人、一人と惨殺されていく。これを捜査するのが
アトランタ市警の女性刑事キャロラインだ。彼女は連続する特殊任務班の殺人に
関連性を感じ、捜査に乗り出す。その間にもまた一人、と殺される。疑心暗鬼になる
メンバーたち。

そうこうするうちに、南米の麻薬密売組織が、復讐に使う殺人集団が浮かび上がった。
しかし、金を奪われた組織が依頼した彼らが下手人ではないという証拠が出てくる。
では一体メンバーを殺害して回っているのは誰か?

実は、仲間にいたんですよねえ、ボスのブリーチャーからヤクだけはやめろと
言われていた紅一点の潜入捜査官リジーと黒人捜査官シュガー(テレンス)が
影でくっついていて、いたのだ。(リジーはメンバーである捜査官の妻であった)
リジーは夫を殺して冷蔵庫に入れるという、もう正気を失ったとしか思えないような
所業を繰り返していたのだ。激怒するブリーチャー。

ブリーチャーは、キャロライン刑事を利用して敵の情報を集め、組織が雇った殺人集団の
仕業ではないことを割り出し、ついには仲間を殺していたのはリジーとシュガーと
分かり、激怒、二人を追いかけて殺す!(トランクに人を乗せて走りまくるこのカーチェイスは
面白かった)

ブリーチャーはキャロラインに自分らが金を奪うことを計画、しかし金は消えてしまって
いたこと、自分の妻と、息子が組織に殺され復讐を誓っていたことを明かし、メキシコへと
旅立つ。金はブリーチャーが現地の警察を買収するためにガメていたのであり、現地警察署
署長をたらしこんで、妻子惨殺犯の居場所を突き止め、酒場で銃をぶっ放しまくり、
実行犯のボスの頭に一発お見舞いし、満願。しかし、ブリーチャー自身も撃たれていた。
果たして、彼は死んじゃうのか??

ざっとこんな話なんだけど、結局はブリーチャーが妻子を惨殺された復讐のため、特殊
任務班を利用してメキシコ警察買収資金を調達、途中まさか、リジーとシュガーが組んで
仲間を殺しにかかるとは予想しなかったが、アトランタ市警キャロライン刑事の存在もあり
メキシコへと渡り、本懐を遂げた、ということだね。
ブリーチャーの怒りも分かるけど、仲間を巻き込んでしまった罪を大きいんじゃないか?
キャロラインも利用したのね。 可哀想だったのは、リジーに首を切られて冷蔵庫に入れられ
てしまう夫である隊員と、キャロライン刑事だなあ。
シュワちゃん渋くていいんだけど、役柄的にあまりシンパシーを感じられない存在だったな。
あの特殊任務班(潜行捜査員チーム)って、シュワちゃんのプライベート軍隊みたいだな。
礼状なんか無いし、やりたい放題。あんなこと許されるのかなあ。
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<ストーリー>
アーノルド・シュワルツェネッガーが「エンド・オブ・ウォッチ」のデヴィッド・エアー監督との
異色のタッグで贈るハード・アクション・ミステリー。シュワルツェネッガー扮するベテラン
捜査官率いる麻薬取締局(DEA)のエリート捜査チームが、危険な麻薬組織へのガサ
入れをきっかけに、一人また一人と消されていく中で互いに疑心暗鬼に陥っていくさまを
リアルかつ迫力のアクションとともに描く。
共演はサム・ワーシントン、オリヴィア・ウィリアムズ、テレンス・ハワード、ジョー・マンガニエロ、
ミレイユ・イーノス。

 DEAのジョン・ウォートンは、“破壊者”の異名で恐れられる伝説の捜査官。そんな彼が
率いる特殊部隊は、副リーダー格のモンスターはじめ恐れ知らずのタフな部下8人で
構成された最強チーム。彼らが次に狙うのは、要塞と化した麻薬カルテルのアジト。

その計画には摘発という表の目的に加え、そこに眠る2億ドルの闇資金から1000万ドルの
大金をネコババしてチーム内で山分けするという裏の目的もあった。こうして襲撃作戦は
決行され、仲間の一人を失う犠牲を出したものの概ね予定通りに完了する。

ところが隠したはずの1000万ドルが忽然と消えてしまい、おまけに不正を疑われた
ジョンは閑職へと追いやられてしまう。半年後、ようやくジョンがチームに復帰するが、
時を同じくして、メンバーを標的とした連続猟奇殺人事件が発生、一人また一人と不可解な
死を遂げていく。アトランタ市警のキャロライン刑事と協力して事件の真相解明に乗り出す
ジョンだったが…。(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2015-11-21 23:15 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「マップ・トゥ・ザ・スター Maps to the Stars」
2014 カナダ・アメリカ・フランス・ドイツ Prospero Pictures,and more.111min.
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、オリヴィア・ウィリアムズ、ジョン・キューザック他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
クローネンバーグの作品を意識して観たのはこれが初めて、と思う。ハリウッドの
インサイドストーリーであるが、業界の病理がサスペンスとなって提示されていく。
「何がいいたいんだろう」と思うのだが、病んだハリウッドの有様、があからさまに
おぞましく、痛々しく描かれていくのだ。この手の映画、個人的にあまり得意ではない。

内幕モノは好きだけど、クローネンバーグの創りだす世界についていけないというか。
狂気と緊張を内包した物語の緊迫した演出、というのは理解できる。たとえば、子役の
息子ベンジーが弾を出したつもりでロシアンルーレットをやり、実は弾が残っていて
しまいにゃ友人の愛犬を射殺してしまうところなんかはドキドキしたのは確か。
だいたい主人公?たる酷い火傷を負った少女の存在からして、狂気だから。
出演者全員が狂気をはらんでいるから。それがクローネンバーグの演出にかかれば
狂気の何十乗かになっていくのだな。この手の思索的、精神病質的、狂気を内在した
高踏的な作品の云わんとするところを解さなければならないのは苦手だ。

ムーアの便座に座っての便秘話と放屁、またカーセックスの後のオマタをショールで
拭く所など、エゲツなさが先に来てしまい、映画の出来とかいう以前に嫌悪感を催す。
そういうの嫌ならクローネンバーグなんて観なきゃいいのに、という声も聞こえてくるが、
観始めちゃったものを途中で止めるのはよほどのことが無い限りしないたちなので・・。(苦笑)

ただ、配役は良かった。特にミア・ワシコウスカはハマっていたと思う。バカな子役も
いい感じだ。結局ラスト、姉と弟は睡眠薬を大量に飲んで、子供の頃からやっていた
結婚式ごっこをして、夫婦になる誓いを立てるのだが、それはミアの両親が知らなかったとは
言え、兄妹の超近親結婚だったという因果が巡っていく、ということでいいのかな。
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<ストーリー>
鬼才デイヴィッド・クローネンバーグ監督が、ハリウッドでリムジンの運転手だった脚本家の
実体験を基に、ハリウッドのセレブファミリーの実情を暴くヒューマンドラマ。
何不自由ない生活を送っていた一家が、施設に入れられていた長女の突然の出現によって
運命を狂わされていく姿を描く。ジュリアン・ムーアほか実力派が多数顔を揃える。

典型的なハリウッドのセレブファミリーであるワイス家は富と名声を手に入れ、一見なんの
不自由もなく日々を過ごしているが、実はこの一家には封印された秘密があった……。
父のワイス(ジョン・キューザック)はTV番組も持つセレブ向けのセラピストで、13歳の息子
ベンジー(エヴァン・バード)は、ドラッグ問題を乗り越え、有名子役としてブレイク中。
母親のクリスティーナ(オリヴィア・ウィリアムズ)は、ステージママとして息子の出演作の
物色にいとまがない。

そんなある日、ワイスのセラピーを受けている落ち目の有名女優ハバナ(ジュリアン・ムーア)は、
知人の紹介で顔に火傷の後がある少女アガサ(ミア・ワシコウスカ)を個人秘書として
雇うことにする。ところがアガサはある問題を起こしてフロリダの施設に入れられていた
ワイス家の長女であった。彼女がハリウッドに戻ってきたことで、封印されていた秘密が
明らかになり、ワイス一家や周囲の人々の歯車が狂い始めていく……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-11-18 23:20 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「ウィークエンドはパリで Le Week-End」
2013 イギリス Film4,Free Range Films.93min.
監督:ロジャー・ミッシェル
出演:ジム・ブロードベント、リンゼイ・ダンカン、ジェフ・ゴールドブラム、オリー・アレクサンデル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
原題が味わい深く、また意味深長だ。Leはフランス語の定冠詞、英語のTheに相当する
ものの男性型、Week-Endはもちろん英語だ。これを組み合わせることで、イギリス人
老夫婦がパリで週末を過ごす(相当覚悟を決めて)雰囲気が現れている。小憎い原題だ。

いかにもロンドンではないイギリスの町からやって来た夫婦のパリでの物語という雰囲気は
いい感じ。夫は、オックスフォード出身で大学の哲学教授、黒人の女学生から人種差別された
と学校当局に言いつけられ(そんな目くじら立てることではない内容なのだが)、首になってしまった。
妻は高校で生物を教える教師、もう辞めたいと思っている。
結婚30年を迎え、子供も手を離れたことから、記念にパリへ週末旅行を楽しむとこにしたのだ。
家のバスルームの改装の為に貯めた貯金をはたいてやって来た。新婚旅行で泊まったホテルは
今は昔の面影がなく、夫妻はそこを飛び出て高級ホテルにやってくる。予約なしでは泊まれません、
と言われて途方に暮れるが、そこへホテル側からブレア首相も泊まったというプレジデンシャル
スイートなら空いていると言われ、えいや、とそこに泊まることになったのだ。

とにかくお金がないままパリへ来たので、タクシー代は踏み倒す、レストランでは無銭飲食する、
そしてチェックアウト時のホテルの料金も莫大なものとなり、クレジットカードの限度を超え、
逃げ出していくという塩梅。教職にありながら、この行動な何なんだ、と。夫婦の常識を超えた
行動はコメディとして割りきらないと不快になるだろう。

本作は一応コメディなのだが、老夫婦の心の機微が「あるある」風に描かれていて、その辺りが
とても面白い。お互い倦怠期に差し掛かっているものの、妻しか知らない夫。そんな夫から
浮気の疑いを掛けられ、夫とは一線を画したいと思っている妻とのスレ違い。

本作の脚本家は、若い人では無いなと思い調べたら、やっぱり60歳を超えていた。長年の
結婚生活を経験していないと、こうした老夫婦独特のスタンスは書けないのではないか。
10年間もセックスを拒否されている夫に対し、劣情を掻き立てるようなことをする妻、一体
この夫婦は仲がいいのか悪いのか・・・。長年連れ添った夫婦とはそういう単純なことでは
説明が付かず、お互いが心身ともにそれぞれの一部になってしまっている、という姿が
夫婦の好むと好まざるとにかかわらず出てくる、という光景が夫婦役の俳優の演技も加わり
味のあるものとなっている。映画自体は、若い人には支持されづらいだろう。だってシンパシーを
感じづらいもの、恐らく若い人には。

夫妻の赤裸々な内面が分かるのは、パリの街で偶然出会った大学時代の後輩で今や
ベストセラー作家夫妻(再婚)の家に招かれて、その場で繰り広げられるスノッブなシーンでの
夫妻の告白である。作家の元妻との子で高校生くらいの長男の存在がいい感じのスパイスと
なっている。 すったもんだとありながらイギリスへ帰っていく夫妻だが、恐らく二人の絆は
深まった、のであろう。
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<ストーリー>
結婚30年を迎え、新婚旅行先のパリを再び訪れた夫婦が、互いに対する不満を
ぶつけあいながら、改めて夫婦の絆を確かめ合う姿を描いたドラマ。
出演は「クラウド アトラス」のジム・ブロードベント、「アバウト・タイム 愛おしい時間について」の
リンゼイ・ダンカン、「グランド・ブダペスト・ホテル」のジェフ・ゴールドブラム。

ある週末。30年目の結婚記念日を祝うため、かつて新婚旅行で訪れたパリへやって来た
イギリス人夫婦のニック(ジム・ブロードベント)とメグ(リンゼイ・ダンカン)。
心配性なニックと好奇心旺盛なメグは、到着した思い出のホテルが、記憶の中にあるものと
あまりにかけ離れていることに唖然とする。

メグの思いつきで、高級ホテルのプラザアテネに乗り込み、ブレア首相も滞在したという
最高級スイートにチェックイン。凱旋門や美術館を巡り、フランス料理にワインと、旅を
満喫するメグだったが、“大学からクビを宣告された”というニックの告白をきっかけに、
長年抱え込んできた不満を互いにぶつけ始める。

そんな時、街で偶然、ニックの大学時代の友人モーガン(ジェフ・ゴールドブラム)と再会。
人気作家として名誉と富を手にした彼の出版記念パーティーに招待され、懐かしさと
劣等感に引き裂かれるニック。出席者たちの前で、メグが明かした夫への“本当の想い”とは……。」
(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-17 22:30 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「ストックホルムでワルツを Monica Z」
2013 スウェーデン StellaNova Film  111min.
監督:ペール・フリー
出演:エッダ・マグナソン、スベリル・グドナソン、シェリ・べェリクヴィスト、ヴェラ・ヴィトリ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
スウェーデンの美人ジャズシンガー、モニカ・ゼタールンドの自伝的映画。私はジャズファンと
して面白く観たが、多くの人は彼女のことを知らないのではないか。本作では、ビル・エヴァンスや
トミー・フラナガン、エラ・フィッツジェラルドなど高名なジャズミュージッシャンが出てくるが、
ファンでないと感激の度合いが異なるので、一般ウケする映画とは言えないと思う。

私としては、彼女のことはビル・エヴァンスの彼の代表曲を歌にしてビルのトリオをバックに
歌っているアルバムを通してしか知らない。JAZZの世界では知られた人だが、日本では
ほぼ知られていないシンガー。抑揚の少ない如何にも北欧の白人女性らしい優しい歌声だが、
個人的に興味の範囲でもない。
しかしながら、彼女の人生に映画のようなことがあったとは、一人の人生の顛末として面白く
見ることが出来た。スェーデンでの彼女の評価は知らないが、母国では一定の評価を確立した
シンガーかもしれない。

本作では、モニカは上昇志向の強い、身勝手ワガママ、気まぐれ、母としての子への偏愛と
決してよく描かれていない。ヘビースモーカーでヘビードリンカーだ。一人の男に満足せず、
時として男に裏切られたりもし、傷ついたり。
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スウェーデンの田舎町で電話交換手をしながらも、ドサ回りバンドで親友と二人でボーカル
を担当していたが、田舎町では鳴かず飛ばず。しかし、あるクラブでアメリカの高名な
ジャズ評論家、レナード・フェザーと出会い、アメリカでトミフラのバックで唄うチャンスに
巡りあう。幼い女の子(父親とは離婚)がいるのに、NYに行く娘を「何を考えているのか」と
呆れる父を尻目に、渡米するが、そこでの評判はさんざんだった。(モニカはなんで英語が
堪能だったんだろう) エラに「誰かの真似でなく自分の歌を歌いなさい。ホリディは心で
歌ったわ」と一刀両断にされてしまい、傷心で故郷に帰る。

しかし、ドサ回り楽団で歌ったスウェーデン語による歌が絶賛され、フィリップス・レコードと
契約、どんどんと有名になり、豪邸をキャッシュで買うまでになった。そこまでにも
男や両親、娘との確執はあり、酒と煙草は止められない。
ユーロビジョンのソングコンテストにスゥエーデン代表で出場するも、歌謡曲は嫌だ、と
言って暗めのジャズソングを歌い、結果は0点。スウェーデンの恥、とまで新聞に書かれて
しまう。ますます荒れて、酒に頼る。

モニカはJAZZミュージカルの舞台にも進出。今度はコメディエンヌとしての大きな評価を
獲得した。しかし流産からのダメージを押して出演したため体には大きなダメージを受けた。

そんな折、一生の夢、としていた高名なジャズピアニスト、ビル・エヴァンスとの共演を
果たすべく、一人でテープに歌を入れ、アメリカに送り、見事ビルから電話を貰い、渡米
することになった。この模様はスウェーデンにもラジオ中継された。
娘の「お前は木登りをすると、友人が途中で危険を察して降りてくるのに、どうしても
てっぺんに登りたがった。身の程を知り降りる勇気を持て。お前の気まぐれに振り回される
のはうんざりだ」と言っていた父も母とラジオを聞いていた。そして父の目には涙が。
モニカは「お父さんにも成功する機会があったのに、捨てたのよ。私は登った人しか
分からない頂上からの景色を眺めたいの」と持論を主張していた。

結果は大成功。父は国際電話で、感激した、お前のおかげでてっぺんからの眺めを
観させてもらったよ、というのであった。
スェーデンに戻ってきたモニカは、いろんな男遍歴を繰り返してきたものの、いつも
そばにいてくれたベーシストと、振り回してしまった娘を加えて3人で落ち着いた生活を
送ろうと決意したのだった。
本作ではスウェーデンの古い車がたくさん見られて良かった。
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そんなお話だが、モニカは先述のように、他人の迷惑を顧みないワガママで気まぐれ
とにかく自分が話題の中心にいて、かつ頂上にいなければ納得できない性格。結果論と
して上手く行ったのだが、自ららの道を自分で切り開くという勇気や認めざるを得ないが
多分に運にも恵まれていたといえる。
反面、寂しがり屋だったりする、典型的な孤独な上昇思考型ミュージッシャンだ。こういう
アーティストは彼女に限ったことではなく、特にJAZZは「破滅型」が多かった。

モニカは田舎育ちで、社会的にいろいろと有った結果、少しはまともになったという感じ。
だが、タバコ臭いキスは、娘は嫌だったろうし、酒や睡眠薬の飲み過ぎで昏睡してしまう
母親も嫌だったろう。舞台も遅刻したりほっぽり出したりして、ついにはフィリップスと
縁を切られてしまう。それでもビル・エヴァンスとの共演には成功する、というチャレンジ精神は
認めるけど、家族や支えてくれてくれた人に迷惑をかけまくりの人生には共感を覚えない。

実際のモニカは、その後もアメリカの名だたるジャズミュージッシャンと共演を果たして行くが
重度の脊柱側わん症に苦しみ、晩年は車いすの生活となり、最期は自宅マンションの火災で
焼死する、という何とも彼女らしいといえばそうだが、そういう死に方をするのだ。

主演のエッダ・マグナソンは金髪でとても綺麗な女優さんでしかも歌も上手い。モニカの
雰囲気をよく捉えた歌い方をする。特に始めて母国語でジャズを歌ったという
「Sakta vi gå genom stan(Walking My Baby Back Homeのスウェーデン語カバー)」が
コケットで彼女の歌声によく合った名曲だと思う。ワルツ・フォー・デビイは原曲のイメージが
強すぎてヴォーカライズされることに個人的には興味があまりない。

モニカ・ゼタールンドという女性ヴォーカリストに興味がある方は観ると面白いと思う。
知らない人はジャズの世界も含め、興味が湧きづらいかもしれない一編である。
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<ストーリー>
1961年、スウェーデン語でジャズを歌いスターダムにのし上がったジャズシンガー、
モニカ・ゼタールンドの半生を描くヒューマンドラマ。シングルマザーの電話交換手だった
モニカが、父との確執や理想の母親になれない自身への葛藤を乗り越え、自分にしか歌え
ない歌を追求する姿が綴られる。
監督は『白昼夢に抱かれる女』のペール・フライ。主演は、シンガーソングライターの
エッダ・マグナソン。

スウェーデンの首都ストックホルムから300km離れた小さな田舎町に両親と5歳の娘と
暮らしているシングルマザーのモニカ(エッダ・マグナソン)は、電話交換手の仕事をしながら、
時折深夜バスでストックホルムまで出向き、ジャズクラブで歌手としてステージに立つという
日々を送っていた。いつか歌手として成功し、この町を出て娘と二人で何不自由なく暮らせる
日が来ることを夢見ているモニカに、厳格な父は“母親失格”のレッテルを貼り、歌の仕事にも
反対していた。

そんなある日、モニカの歌を聞いた評論家に誘われ、ニューヨークで歌うチャンスを与えられた
モニカは意気揚々とジャズの聖地に乗り込むが、ライヴは無残な結果となり、さらには憧れの
歌手から「自分らしい歌を歌いなさい」と厳しい批判を浴びてしまう。

ニューヨークでの評判はモニカの住む町まで届き、父はモニカに歌をやめ母親業に専念する
よう言い放つ。落ち込むモニカだったが、バンドのベースを務めるストゥーレ(スペリル・
グドナソン)と話すうち、母国語であるスウェーデン語でジャズを歌うことを思いつく。
誰もが予想していなかったこの歌声は、次第にストックホルムの人々の心に響くようになり、
モニカは夢のステージへの階段を上がり始める……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-16 23:20 | 洋画=さ行 | Comments(0)