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●「第88回 アカデミー賞授賞式 88th The Oscars
2016 28th Feb. at Dolby Theater,Los Angels,Calif.
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
ステージの内容としては昨年の方が出来が良かったが、人種差別問題で、今回ほど
騒がれた大会も少なかろう。司会は俳優、歌手、コメディアンの黒人クリス・ロック。
彼は二回目の登板だった。

冒頭から黒人の話題全開。ギャグを交えながら結構辛辣なコメントを多発していた。
「50年代も60年代も白人だけのノミネートはあったはず。なんでその時は抗議の声が
上がらなかったのか。その時代にはそれ以上に抗議することがあったからだ」
「黒人部門というのを作ればいい。だいたい男優、女優に分かれている必要があるのか?
陸上競技じゃあるまいし。だいたいデ・ニーロがメリル・ストリープに遠慮して演技するかい?」
などとぶち上げ、会場を沸かせていた。
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ことほど左様に、もし今年の作品が黒人キャストだったら、という手間の込んだ映像を
見せてみたり、ジャック・ブラックまでギャグにしてしまったり、プレゼンターもその話題に
触れるケースも多かった。 ステージ監督や構成もよく踏み込んだな、とアメリカの懐の
深さに恐れ入った。毎度の事だけど。
今年から受賞の際の挨拶でスタッフや知り合いの名前を上げるのが基本禁止され、
その代わり、テレビには事前に提出されていた受賞時の感謝の相手がスーパーされた。
が、やはりその手の名前を上げる人が後を絶たなかった。

さて受賞作だが、日本では未公開なものが多数で受賞が妥当なのかどうかは今の段階
ではどうのと言えないが、音響・美術系は「マッドマックス 怒りのデスロード」が6冠に
輝いた。また「レヴェナント 蘇りしもの」は、監督賞に二年連続でイリニャトゥ、撮影賞に
三年連続で長まわし(風)のレベツキが受賞、そしてディカプリオが念願の初オスカー、
主演男優賞に輝いた。やはりノミネート作品をながめても、主要部門は社会的なメッセージ
がないと厳しいかな、ということだ。エンタメ満載はもう作品賞は獲れないのかなあ。
映画を取り巻く社会的風潮なのだろうか。個人的には「スターウォーズ」や「マーシアン
(オデッセイ)」や「ヘイトフル・エイト」とか好きなんだけど。

受賞者のメッセージも注目されるが、今回光ったのは、やっとオスカーを手にした
ディカプリオの環境問題へのメッセージ。説得力があった。「(環境問題を考えると)
今の地球とこの受賞は当然とは思わない」という謙虚さも見せた。
また監督賞のイリニャトゥは「あらゆる差別が髪の毛の長さほどにに問題とならない世界に
しなければ」とアピールした。彼は昨年は移民政策を批判していた。
そして86歳にして初の作曲賞を獲ったマエストロ、エンリオ・モリコーネの姿も感動的
だった。
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ステージパフォーマンスでは昨年に続いて出演したレディ・ガガが良かった。自身の
歌った歌もノミネートされていたのではあるが、やはり彼女は一流である。
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毎年この授賞式を見ていて思うのだが、アメリカという国は多様性の国だということ。
それがトランプの出現などでアンチの意見が出てきたという危険な臭いを映画製作者たち
は敏感に感じ取っているのではないか。多様性を確保し、寛容な心を持ち合うことこそ
アメリカの土台だ、というのはどのスピーチを聞いていても伝わってくる。
「人種、宗教、性別、LGBT、出身母国、言語、政治的志向など人間の存在価値に
かかわらないものはアメリカという国の(子どもたちの)成長に関係ない」という根源的な
ものが訴えられている。こうした多様性の非寛容こそ、アメリカの危機であるのだ。
寛容な心を持ち、社会的弱者に目配せをし健康でいられる権利と自然を守っていこう、
これは日本でも全く同じことが叫ばれなければならないと痛切に感じる。

既にご存知の方も多いとは思うけど、プレゼンターが最後に開く受賞者が記入された紙
には、「and Oscar goes to・・・」というセリフが書き込まれているのだね。必ず云え、と
いうことなのだ。
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by jazzyoba0083 | 2016-02-29 23:45 | アカデミー賞 | Comments(0)

●「ヘイトフル・エイト The Hateful Eight」
2015 アメリカ  Double Feature Films,FilmColony. Dist.:The Weinstein Co.168min.
監督・脚本:クェンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン、チャニング・テイタム他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
註:以下、決定的な本筋に触れてはいませんが細かいネタバレは含みます。
オスカー発表を日本時間明日朝に控え、それまでに観られる映画は観ておきたい!と
タランティーノの新作に行ってきた。この手の映画は向こう受けするものではないので
早く観ないと終わっちゃうから。作品賞の本命と目される数本は受賞が決まってからの
封切りとなる。残念だ。

閑話休題。本作は色々と話題も多い。美術監督を日本人の種田陽平が務めている、
画面がパナヴィジョンウルトラ70mmで撮られている、日本での公開版はその70mm版
より20分短いデジタル版、などなど。
で、タランティーノ自身が「おそらく自分の最高傑作」と言うほど、さすがの出来であった。
3年前に評判になった「ジャンゴ~繋がれざる者~」も見応え十分だったが、
私としては、同じ西部劇ながら目指す方向がちょいと違う本作の方が好きだった。
何故なら、エンターテインメントに徹しているからだ。
西部劇を借りた現代社会風刺などタランティーノお得意の毒々しさもしっかり
ある。

ストーリーは骨子は単純なのだが、出てくる人物がたくさんいるのでややこんがらがるが
それでも良く整理され分かりにくい、ということはない。三分のニが一つの部屋での
展開なので、会話の練り上げの上手さを初めとして脚本がよく出来ている、ということだ。

まさにこれまでのタランティーノらしさが全部乗せ状態。物語の面白さ(思いがけない展開)、
伏線とその回収、観客へのミスリードの上手さ、容赦無い残虐性、(それがまた乾燥している
のでスプラッタ、とは思えない)時制の構築、画面構成など、映画のエンターテインメント性を
遺憾なく発揮できているのだ。
音楽がこれまたエンリオ・モリコーネと来たもんだ。

そしてタランティーノの演出に応えるサミュエルたち曲者役者の上手さも光る。特に
悪女役を演じたオスカー助演女優賞ノミニーで演技派として知られるジェニファー・
ジェイソン・リー(ヴィク・モローの娘さんだね)の怪演が光った。もう一人の主役と
言える。カート・ラッセルの死んじゃう、サミュエルが撃たれる、最後に残ったゴギンズが
どちらに付くかなどのタイミングが絶妙だ。先述のように長い映画の前半にばらまかれる
ミスリードネタが伏線となって後半に向け回収されていく小気味よさといったら!
そして敵も味方も容赦無い! その割り切りの良さも実に気持ち良い。(残酷さ、非情さがいい、
とかそういうことじゃなくて)

狭い空間を感じさせない種田の美術も見事だ。168分、全然長くない。さてカットされている
20分には何が描かれているのだろう・・・。70mm版を観てみたい。IMAXとはまた違う
迫力なんだろうなあ。そして明日、ジェニファーは助演女優賞を獲るのだろうか??
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<ストーリー>
雪嵐によって山の上のロッジに閉じ込められた、ワケありの男7人と1人の女が繰り広げる
騒動のゆくえを描く、クエンティン・タランティーノ監督・脚本による密室ミステリー。
サミュエル・L・ジャクソンやティム・ロスといったタランティーノ作品ではおなじみのキャスト
たちが、いわくありげなクセ者を演じる。

どこまでも続く白銀の世界。北部の元騎兵隊で今は賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン
(サミュエル・L・ジャクソン)が、レッドロックへ運ぶお尋ね者3人の凍った死体を椅子代わりに
座っている。寒さで馬がやられ、誰かが通りかかり拾ってくれるのを待っているのだ。
やがて1台の駅馬車がウォーレンの前で停まる。馬車の客は、同じく賞金稼ぎのジョン・
ルース(カート・ラッセル)。腕にはめた手錠の先には、連行中のデイジー・ドメルグ
(ジェニファー・ジェイソン・リー)が繋がれていた。1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯の
その女は、散々殴られた顔で不敵に笑っている。

迫り来る猛吹雪から避難するため、ルースはレッドロックまでの中継地でうまいコーヒーに
シチュー、装飾品から武器まで何でも揃っているミニーの紳士用品店へ向かうという。
途中、クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)が乗り込み、新任保安官だと名乗るが、
ルースは彼が黒人殺しで名を馳せる凶悪な南部の略奪団の一員だと知っていた。

ミニーの店へ着くと、見知らぬメキシコ人・ボブ(デミアン・ビチル)が現れ、母親に会いに
行ったミニーの代わりに店番をしていると話す。ルースは早速ストーブの上のコーヒーを
飲むが、ボブが作ったらしいそれは泥水のようにマズく、自分の手で淹れ直す。

店には3人の先客が吹雪で閉じ込められていた。絞首刑執行人のオズワルド・モブレー
(ティム・ロス)は、洗練されているがどこか胡散臭い英国訛りの男。カウボーイのジョー・
ゲージ(マイケル・マドセン)は、何を考えているかわからず、母親とクリスマスを過ごす
ために帰る途中だということ以外は一切語らない。そしてサンディ・スミザーズ(ブルース・
ダーン)は、大勢の黒人を虐殺した南部の元将軍。ルースはこの怪しげな男たちに疑いの
目を向けていた。この中にドメルグの仲間がいて奪還するチャンスを待っているのでは
ないか。あるいは1万ドルのお宝を横取りしようとしているのではないか……。偶然集まった
他人同士のはずが、マニックスは父親がヒーローと崇めていたスミザーズとの出会いに
感激し、そのスミザーズの息子の謎の死につてウォーレンが何かを知っていた。

それぞれの過去の糸が複雑にもつれ出した時、コーヒーを飲んだ者が激しく苦しみ、
間もなく息絶える。夜も更け、外の吹雪はますます激しくなっていく……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-28 13:00 | 洋画=は行 | Comments(0)

アウトロー Jack Reacher

●「アウトロー Jack Reacher」
2012 アメリカ Paramount Pictures,Skydance Productions and more.130min.
監督・脚本:クリストファー・マッカリー 原作: リー・チャイルド 『アウトロー』(講談社刊)
出演:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、デヴィッド・オイェロウォ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
公開当時シネコンに行こうか、と思っているうちに上映期間を過ぎていた作品が
NHKBSで放映されていたので観た。 めちゃ強いトム・クルーズには「M:I」シリーズが
あるわけだが、本作はリー・チャイルドの人気シリーズ小説「ジャック・リーチャー」の9作目
の映画版でいわゆる「オプもの」みたいに事件の背景が世界相手国家レベルではなく、市井の
悪人を取り扱っているところが異なる。でも雰囲気は似ちゃうから、本作は損をするだろうな。

トムは陸軍特殊部隊(憲兵)出身の流れ者という役どころで、SEALS並に鍛えられた体は
無敵の強さで、いわばスーパーマンであるわけだ。この手の世の悪を法を無視してバッサ、
バッサと斬りつけるという痛快なドラマは気分がいいので好きだな。西部劇の昔から、映画の
重要なテーマではあるけど。そんなわけで、パート2が今年にも公開されるとか。
監督・脚本が、「ユージュアル・サスペクツ」でオスカー脚本賞を獲ったマッカリーなので、
その辺りはうまいまとめ方だな、と。カタルシスの持って行き方(映像的に)も満足行くものだ。
ラストの容赦のない結末の付け方も、タランティーノばりでびっくりだけど痛快ではある。

相手役となる女弁護士をロザムンド・パイク(「ゴーン・ガール」の怖い奥さんぶりが記憶に
新しいが)が演じるが、彼女は昔のハリウッド美女風の顔立ちで、多少の田舎臭いといったら
失礼だが、野暮ったさ美人加減が良かった。

サスペンスとして(原作はあるのだけれど)、解決に向けた伏線の置き方なんかもよく出来て
いて、都合がいいわけでもないし、難しい謎なわけでもないので、観ている人もオプになった
ような感覚で画面に付き合うことが出来る。
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<ストーリー>
トム・クルーズが自ら製作も担当したサスペンス・アクション。本作でクルーズが演じるのは、
元米軍の秘密捜査官にして流れ者の男、ジャック・リーチャー。彼が連続殺害事件の真相に
迫っていく姿をスリリングに描き出す。
『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー賞脚本賞に輝いた、クリストファー・マッカリーの
監督第2作。

ピッツバーグ近郊。白昼公然と無作為に6発の銃弾が発射され、5人が殺害される事件が
おこる。警察の捜査が進み、僅か1時間後には容疑者として元軍人のスナイパー、
ジェームズ・バー(ジョセフ・シコラ)が逮捕。
だがバーは殺人容疑を否認し、彼がかつて軍で最も恐れていた男、ジャック・リーチャー
(トム・クルーズ)への連絡を要求する。リーチャーは、元米軍の秘密捜査官として名を馳せ、
今は街から街へと放浪を続ける一匹狼。真実だけを追求し、正義のためには手段を選ばず
事件に立ち向かう男であった。

ところがバーは刑務所への護送中、他の囚人たちに襲われ意識不明の状態となってしまう。
そんな中、突然警察にジャック・リーチャーが現れ、凄腕の軍のスナイパーであるバーが
標的を外す訳がないと指摘。何かがおかしいという確信を持ち始めたリーチャーは、一見
単純なこの事件の裏にある隠された真相を暴くべく行動を開始する……。(Movie Walker)

一度に5人が狙撃される事件、犯人が逮捕されたバーじゃないぞ、というのは早くに明らかに
される。が、5人に何か共通項があるのではないか、とか事件の裏にある謎をリーチャーが
解いて行く。狙撃犯がコインパーキングに料金を払った、とかたくさんのコインの中から
なぜバーの指紋が付いたものが見つけられたのか、とか名手がなぜ的を一発外したのか
とか、あえて証拠を残すような工作があることが見えてくる・・・。

ラストで悪と対峙する際に応援に回るロバート・デュバルの存在もいい感じ。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-27 23:20 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「パーフェクト・プラン Good People」
2013 アメリカ・イギリス・デンマーク・スウェーデン Millennium Films and more.90min.
監督:ヘンリク・ルーベン・ゲンツ
出演:ジェームズ・フランコ、ケイト・ハドソン、トム・ウィルキンソン、オマール・シー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
主役の二人の名前に惹かれて鑑賞。展開に強引でご都合主義的な部分も見られるが
1時間半のドラマとしてはまあまあ、面白く観ることは出来た。しかし、ラストでのご夫妻の
強いことといったら!(苦笑) 火事場の馬鹿力とった所か。
アメリカからロンドンへ祖母の遺産の古い家もある新天地ということでやってきた夫婦が
やばい金に手をだしたばっかりに、えらくひどい目に遭うものの、訳ありの老刑事を味方に
つけて窮地を脱する、というお話。

イギリでは借りた家の一室を又貸ししてもいいのかな?ということで、若い夫婦(フランコ&
ハドソン)が地下室を貸していた男がある日麻薬の過剰摂取で死んでいた。部屋を
整理していた二人は天井裏から3500万円という大金が入ったバッグを見つけた。
この金は、この男が仲間と麻薬取引の現場に強盗に押し入り、クスリと共に奪ったものの
仲間の一人を射殺し、金とクスリを独り占めにして逃げてきた、その金だった。
麻薬も盗られたため、この辺を取り仕切るフレンチマフィアからも行方を追われていた
男だったのだ。

若い夫婦は夫の祖母の遺産である古い家を修理し、子供を作って住もうとしていたが、
金が無く、改築も止まりそうになっていた。そんなことから二人はこの金をしばらく隠し
ネコババしちゃおうと計画した。金払いが順調になったため警察から目をつけられて
しまった。一方、弟を殺された上、金もクスリも持って行かれた強盗の残り一団は
男の死んだ部屋を見つけ出し、金を探すもクスリは見つかったものの、金は見当たらない。
そこで部屋を貸していた夫婦が怪しいと睨み、夫婦のもとにやってくる。
更にクスリの行方を探す一方、取引現場を強盗されたフレンチマフィアらは面目を
潰された、ということで、残りの強盗を探していて、夫婦と接触してきた。

強盗とマフィア両方から狙われてしまった夫婦。彼らの味方になろうとしていたのは
警察の老刑事。あることから事件を外されていたのだが、強盗団から付け狙われ
始めた夫婦から助けの要請が入り、乗り出すことになった。
部屋を訪ねてきた強盗団にふたりとも捕まりいたぶられたり痛い目にも遭った。
マフィアからもしっかり脅されている。

そこから先は、悪同士をぶつけて共倒れになるように画策してみたりしたが、追い詰め
られていく。夫婦は祖母の古家を基地にして決戦に出る、という展開になる。
普通の素人夫婦が、強盗団とマフィアを相手にいい戦いを繰り広げる。妻も手伝い
老刑事も手を貸して、なんとか難を逃れることが出来た。ラスト、古い祖母の家を
舞台に繰り広げられる決戦では夫妻は強い! ジェームズ・フランコもケイト・ハドソン、
可もなく不可もなし。強盗団のボスがあまり怖そうに見えないのが難点かな。
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<ストーリー>
ロンドン郊外の安アパートに住む請負労働者トムと小学校教師アナの夫妻。シカゴから
再起を誓い移住して来たふたりは祖母から相続した屋敷を改築し子供を持ち幸せに暮らす
という夢を抱いていた。
ある日、トムの元にひとつの通知が届く。“退去勧告”。政府による金融引き締め政策と
外国人労働者への取り締まり強化により、ふたりは経済的に追い込まれていた。
途方に暮れる中、思わぬ事態が訪れる。階下の住人が3500万円の大金を残して突然
死したのを発見したのだ。持ち主不在の3500万円。近づく、退去期限。そして、ふたりは
遂に金に手を出してしまう。慎ましやかな夢を叶えるために。しかし、それは絶対に手を
出してはいけない金=だった。

金を巡りマフィア、麻薬密売組織、そしてある事件の復讐を誓う刑事がふたりに迫る。
つかの間の“安心”を手に入れたふたりが掴んだのは、恐ろしい陰謀が蠢く闇世界への
切符だった……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-25 22:50 | 洋画=は行 | Comments(0)

赤い靴 The Red Shoes

●「赤い靴 The Red Shoes」
1948 イギリス A Production of The Archers 136min.
監督・製作・(共同)脚本:マイケル・パウエル
出演:モイラ・シアラー、アントン・ウォルブリック、マリウス・ゴーリング、ロバート・ヘルプマン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
この映画をリスペクトするマーティン・スコセッシ監督により2009年にデジタル・リマスター
されて公開もされた。今回鑑賞したのはWOWOWなのだが、エンドロールに追加された
説明を観ると、どうやらリマスターを観たらしい。

もう名作の評価が定まった作品だし、この年のオスカー劇・喜劇映画音楽賞、美術(監督)賞
美術(装置)賞を獲得したとおり、音楽と美術は素晴らしい。戦後たった3年の時代によく
これだけの映画を作ったものだと感心した。ロンドンやパリも出てくるが、もう戦後の復興なった
ようなかんじだった。

マイケル・パウエルという監督は、とにかく映像と音楽に凝ることで知られた人で、「黒水仙」
でもオスカーで美術系の賞を獲っている。本作でも、全体に大時代な感じもするが、当時の
技術からして凄いことやっているなあ、と思うような作りとなっていて、音楽と画面を
観ているだけでも楽しい。テクニカラーも美しい。劇中バレエ「赤い靴」のステージデザインが
後の「パリのアメリカ人」に大きな影響を与えた、と聞けばなるほど、と納得する。
パウエル監督作品には欠かせないブライアン・イースデールの「赤い靴」のオリジナル音楽を
初めとして音楽全体も素晴らしい。

映画として、「映画制作法」の教科書のような画面構成で、カットのリズムや遠近、レンズの
ボケを上手く使った遠近感、目線を中心としたイマジマリーライン、会話の肩舐めのの構図、
効果的劇的なライティングなどなど、それらを感じながら観るのも楽しい作品である。

さて、ストーリーそのものも、アンデルセンの童話が下敷きになっているとはいえ、骨子は
実話がベースになっている。天才ダンサー、ニジンスキーとディアギレフの関係だ。
ニジンスキーは映画にもなっていて、実話としてはニジンスキーは精神を病んでしまう結果
となる。

こちらの映画はバレエ団長レルモントフと、若き天才バレリーナ、ヴィッキー、そして彼女
と恋に落ちる団の新人指揮者で有望な作曲家ジュリアンという3人がコアとなっている。
赤い靴を履いて、ジュリアンが作曲した新作バレエ「赤い靴」でブ圧倒的な舞踏を披露
しレイクしたヴィッキー。彼女を徹底的に世界に売り込みたいレルモントフと、恋に落ちる
若き二人。ジュリアンはヴィッキーの愛情を源として栄光の階段を上り始めた一方、
彼と結婚しレルモントフに団を追われたヴィッキーは半ば引退状態。

そこにレルモントフから「赤い靴」再演の甘い誘いが来て、ヴィッキーはジュリアンに
無断で公演に出ることに。一方ジュリアン作曲の新オペラも初日を迎えていた。
しかしジュリアンはその初日を棒に振ってヴィッキーを追いかけて来た。

「バレエを取るか」と迫るレルモントフ、「いや、僕と一緒に行こう」と言うジュリアン。
ヴィッキーはジュリアンを心から愛しているのだが、踊りたい気持ちも大きい。
しかし、ジュリアンはヴィッキーの踊りに掛ける気持ちに負けた、と思い去っていく。
そして赤いトウシューズを履いたヴィッキーが舞台に向かおうとすると、何故か靴は
後ずさりを始める。ヴィッキーは去ったジュリアンを求め劇場のベランダに乗り出す。
そしてそこから転落してしまうのだった。駆けつけたジュリアンに、ヴィッキーは
「赤い靴を脱がせて」というと事切れたのであった・・・。

昔の英国映画なので知っている俳優さんはいなかったが、レルモントフを演じた
アントン・ウォルブルックの存在感が圧倒的であった。この時期の映画にありがちな
大時代的な大げさな臭い演技もなく、別にクラッシックバレエファンでもないが
長いバレエシーンも飽きることなく、そして考えればそう珍しくないストーリーなのだが
全体に締まりがあって面白く観ることが出来た。
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<ストーリー>
レルモントフ・バレー団の持主であり、プロデューサーであるボリス・レルモントフは、
バレー界の天才的プロデューサーとして名高いが、いわばバレーの鬼で愛情のない
冷い人間として、一座の者から尊敬はされているが、親しまれてはいない。ボリスは
ロンドンで「火のハート」上演中、二人の新人を発見して一座に契約した。一人は青年
作曲家ジュリアン・クラスターで、他の一人はすでに、くろうと芸に達しているバレー・
ダンサーで、社交界の令嬢ヴィキイ・ペイジである。

二人は一座と共にロンドンからパリへ行き、クラスターは楽長リヴイの助手として
オーケストラ・コーチを受持ち、ヴィキイは群舞のダンサーとして踊った。ところがプリマ・
バレリーナのボロンスカヤが、かねて愛し合っていた愛人と結婚すると、踊り手の
リュボフ、ボレスラウスキー、装置家のラトフ、楽長リヴィ等の祝福をうけたが、恋愛や
結婚はバレー芸術の精進に害ありとするレルモントフはパリ興行をかぎりにボロンスカヤを
首にした。

彼はアンデルセン童話にもとづく新バレー「赤い靴」の上演を企画していたが、音楽が
気に入らないので、おクラにしていたのを、クラスターに新に作曲させ女主人公にヴィキイを
抜擢することにきめる。クラスターの新曲はレルモントフの気に入ったので、パリを去って
モンテカーロにうつると共に、火の出るような稽古がはじまった。

二週間後バレー「赤い靴」は華々しく初演の脚光を浴び、バレリーナ、ヴィキイ・ペイジの
名と新人作曲家ジュリアン・クラスターの名は、たちまち世界的となった。二人は稽古中から
互に心をひかれ、愛し合う仲となったが、「赤い靴」の成功とヴィキイ・ペイジ売出しに無我
夢中になっているレルモントフは、彼の鼻の先での二人の恋愛に気が付かなかった。

ヴィキイは「白鳥の湖」「コッペリア」「空気の精」等に次々に主演し、いよいよ名声はあがった。
モンテカーロを打上げる前夜リュボフの誕生祝に、一座はヴィル・フランシュへ遠出した。
レルモントフはその時、はじめて二人の恋愛を聞いて驚愕した。憤慨した彼は翌晩、
クラスターを首切った。そうすることによって彼はヴィキイをバレーに専心させるつもりであった。

ところが踊ることが人生の目的であるといっていたヴィキイが、退座して愛人と共に
ロンドンへ赴いたのでレルモントフは絶望に近い悲嘆を味あわねばならなかった。
二人が結婚したという報せを、パリで受けた時、彼は危く自暴自棄に陥るところであったが、
ボロンスカヤがパリにいることを思い出し、満足は得られぬと知りつつ彼女を一座に再び
迎えた。
またモンテカーロに公演中、ヴィキイが叔母のネストン夫人に会いに、モンテカーロへ来た
のを捕え、レルモントフは再び彼女を「赤い靴」の舞台に踊らせる契約をした。

リュボフ、ラトフ等一座の幹部連は狂喜して彼女を迎え、一座は生きかえったように活気
付いた。「赤い靴」再演の晩、それはロンドンでジュリアン・クラスターが自作のオペラ
「キューピッドとサイケ」初演の夜で、作曲者自ら指揮する筈であった。クラスターはその
大切な初演を犠牲にして、モンテカーロへ飛来し、ヴィキイがレルモントフ一座の舞台で
踊ることをとめようとした。

ヴィキイは愛する夫と、自分の芸を育て上げてくれる世界で只一人のプロデューサーとの
板ばさみになった。「赤い靴」の少女の扮装をし赤い靴をはいていた彼女はジュリアンを
追い返した。開幕--舞台に出ると思いきや、彼女は狂人のように表へ走り出た。
そして露台から身をひるがえして飛び下りた。クラスターが乗るべき列車が轟然と走って
来た。クラスターが駈けつけた時、朱けにそまったヴィキイは虫の息であった。この報せを
うけたレルモントフは、ペイジ嬢は今夜も、そしていつの夜も踊れない、併し今夜彼女は
「赤い靴」を踊るつもりだった、だから私達は彼女が踊っているものとして「赤い靴」を
上演します、と挨拶してヴィキイ・ペイジ無しで「赤い靴」は演ぜられ、虫の息でヴィキイは
赤い靴をぬがして頂戴と云い、クラスターがぬがせてやるとともに、その霊は昇天した。
 【キネマ旬報データベースより】

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-24 23:35 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「アニー・ホール Annie Hall」
1987 アメリカ Rollins-Joffe Productions.Dist:United Artist(a MGM company) 93min.
監督・(共同)脚本:ウディ・アレン  衣装:ラルフ・ローレン
出演:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、トニー・ロバーツ、ポール・サイモン、キャロル・ケイン他
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<1987年度アカデミー賞作品、監督、脚本、主演女優賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
ウディ・アレンは好きな監督さんで、彼の作品は最近のものは全部、全体でも三分の二ほどは
観ているだろう。が、本作は何故か未だだった。今回WOWOWで放映され、待望の鑑賞と
なった。オスカーをたくさん獲っている作品だし。

ブルックリン・ブリッジの向こうにWTCが見える随分昔の映画で、ウディもダイアンもあたり
前だけど若い。NYに拘ったアレンのNYを舞台にした例のアイロニーに満ちた男女の間の
機微をアレン流に切ったクセのある会話劇だ。ポール・サイモンが出てきたのはびっくり。
また社会学者マクルーハンの本物が出てきたのも驚いた!知ったかぶりで映画やマスコミ
を腐すやつらをやり込めるために突然出てくる。この辺りのアレン流の演出、見事。

確かに独特のブラックなユーモア(相変わらずユダヤ人がおちょくられているが)と冷笑的
反語的な会話は流石面白い。アレンとキートンの速射砲のような会話は画面じゃなくて
字幕を追いかけてないと分からなくなるようなものだ。(翻訳は大変だろうと思う)だが、
全体の出来として、これがオスカーの作品賞かなあ、という感じはする。(多くの人がそう
感じているようだ) 同じアレンとキートンの作品としては「マンハッタン」があるが、そちらの
方がジャジーなNYの感じもよく出ていて個人的には好きだし、もっと本作よりは好きな
アレンの作品はある。アカデミー会員はユダヤが多いのかなあ。

しかしながら、いつもアレンの映画は90分台の時間の中で破綻のないエピソードを収め、
今回はNYが如何に人々を押さえつけ、LAがいかに開放的なのかという側面も
アレンとキートンという人物を重ねて表現している点が面白い。しかしアレンはLAについては
「マンソン事件もあってさ」なんてことを言う。
「人生は悲惨とみじめしかない」とか、「恋愛は不合理で不条理」など、アレン流の痛快な
自虐ともいうべき含蓄があるセリフが満載。それを字幕で楽しんでいるだけでも愉快だ。
それとアレンの主張の一つであるセックスについても彼流の解釈がいろいろと開陳され
面白い。結局、この映画を観終わっても人生や恋愛が何であるかなんて分からないのだ。
所詮「人生は不条理だし、恋愛なんて分からんわ」ということ。これはアレンの作品に終始
貫かれるテーマだと思う。 時折カメラ目線で映画を観ているひとに語りかけたりする
手法も、アレン流の演出として私は好きだ。

ウディ・アレンという監督さん、「好き」か「嫌い」かはっきり分かれるのだろう。
「ちょっと好き」はありえない人だと思う。
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<ストーリー>
大都会ニューヨークに生きる男と女の出会いと別れをコミカルに描くラブ・ストーリー。
製作総指揮はロバート・グリーンハット、製作はチャールズ・H・ジョフィ、
監督は「スリーパー」のウディ・アレン、脚本はウディ・アレンとマーシャル・ブリックマン、
撮影はゴードン・ウィリスが各々担当。
出演はウディ・アレン、ダイアン・キートン、トニー・ロバーツ、キャロル・ケイン、ポール・
サイモン、ジャネット・マーゴリンなど。

ニューヨークとは限らない。大都会とは少々変わり者でも生きていける所だ。山の手に
住むユダヤ系のアルビー(W・アレン)もそんな1人。彼はTVやナイトクラブのトークショーで
稼ぐ漫談芸人。歳の頃は40、離婚歴1回のド近眼メガネ人間だ。そんな風采の上がらない
小男の彼だが、なぜか女の子には人気がいい。彼の周りにはいつも女の子がウロチョロ。

そんな彼がある日、友人のTVディレクターのロブ(T・ロバーツ)達とテニスに行って、
1人の美人と出会った。会話もユニークな彼女の名は、アニー(D・キートン)。どこか屈託の
ない童女の雰囲気の彼女に出会ってからアルビーが変わった。アニーとのデートが日課の
一つになったのだ。2人が同棲生活に入ったのはそれから間もなく。
お互いにのぼせあがっていた2人も時がたつにつれて、お互いのアラが目についてきた。

アルビーの周りには、あいかわらずTV局の女ロビン(J・マーゴリン)や、アリソン(C・ケーン)が
いて、アニーは気になり、アルビーもアニーのつかみどころのない生き方がわからない。
ましてアルビーは、男の独占欲にめざめてきたのだ。行きづまった2人の関係。
2人は精神分析医の所に行き、2人の溝は埋まったかに見えた。だがそんなある日、
アニーがいつものようにクラブで歌っていると、プロ歌手トニー(P・サイモン)が彼女の
歌をほめ、カリフォルニアにくるようにすすめる。彼女は有頂天になり、精神状態も全快へと
むかったが、アルビーはまだダメ。彼はアニーとトニー、果てはロブの仲まで疑い出したのだ。

もうこうなってはおしまいだ。2人は別居を決意し、アニーはカリフォルニアに飛んで行った。
一方、残されたアルビーを襲う寂寥感。アニーの後を追い、カリフォルニアに行き、やり直そうと
アニーに迫るアルビーだったが、今のアニーは歌手としての成功の方が気になっていた--。
(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-22 22:55 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「女と男の名誉 Prizzi's Honor」(再見)
1985 アメリカ ABC Motion Pictures.129min.
監督:ジョン・ヒューストン
出演:ジャック・ニコルソン、キャスリン・ターナー、アンジェリカ・ヒューストン、ロバート・ロジア他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
およそ2年前に観ていた。出だしで「あ、覚えがる」と思ったけど、面白そうだから再度観て
みた。
この年、ヒューストン監督の娘、アンジェリカのオスカー助演女優賞受賞を始め、色んな
賞を獲得した作品。余談になるが、ジョン・ヒューストンといえば父親も高名な俳優であり
自分の子らも映画界で活躍している映画一家。彼自身は一昔前のタイプの監督であり
「マルタの鷹」「アフリカの女王」(オスカー作品賞)「キー・ラーゴ」「アスファルト
ジャングル」「荒馬と女」などの名作で知られる。本作を作った2年後に他界している。

閑話休題。そんなヒューストンの手になるマフィアを舞台にした恋愛模様を描く。
ストーリーや初見の感想などはこちら
参照いただきたいが、結構込み入ったストーリーなので、2回めで見えてくるところもあり、
思わず膝を打ったところもあった。なかなか良く出来た脚本ではある。

殺し屋チャーリー(ニコルソン)ゴッドファーザーとしての「父」=ボスとの関係、一目惚れした
女(キャスリン・ターナー)とボスの長男の娘メイローズ(ヒューストン)との恋愛模様が
描かれるのだが、チャーリーはどちらかというと二人の女とファミリーの間で振り回される
役柄で、最後に笑うのがメイローズだったりするのがブラックな感じで宜しい。
いい女の間でオタオタするニコルソンがいいし、実は殺し屋だった妻のターナーの悪い
美女っぷりも良い。また助演女優賞を獲ったアンジェリカの弱いんだか強いんだか分から
ない女の演じっぷりも良い。良い映画は再見に耐えるというか更に面白さが増す、という
好ケースであった。

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by jazzyoba0083 | 2016-02-21 23:15 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「マダム・マロリーと魔法のスパイス The Hundred-Foot Journey」
2013 アメリカ DreamWorks,Amblin Entertainment,Touchstone Pictures.122min.
監督:ラッセ・ハルストレム  製作:スティーヴン・スピルバーグ、オプラ・ウィンフリー他
原作: リチャード・C・モライス 『マダム・マロリーと魔法のスパイス』(集英社刊)
出演:ヘレン・ミレン、オム・プリ、マニシャ・ダヤル、シャルロット・ル・ボン、ミシェル・ブラン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
ディズニーとスピルバーグ(アムブリン)が手を組んで、名称ラッセ・ハルストレムに
メガフォンを取らせ、主演にオスカー女優ヘレン・ミレンを据えたこハートフルドラマ。
この座組でつまんなかったら承知しないぞ、と思って観ていたのだが、安心して
観ることが出来た。佳作、良作である。

「移民」という今日的なテーマがたまたま設定されているので、インドとフランスの文化の
ぶつかり合いという意味でも興味が持てた。原作が面白いのであろうが、名匠ハルストレムの
演出も冴えていて、時々クスリと笑わせ、ハラハラさせ、ホロリとさせ、うるうるとさせる。

ミシュラン一つ星200年の伝統を誇るフランス料理レストランの前に開業したインド
移民のインド料理店。そのふた家族のプライドのかかったいがみ合いと、主人公たる
料理人ハッサンのフランス料理を学びたい、また彼の才能を見ぬいたマダム・マロリーの
慧眼により、仏印両家族が打ち解けあい、理解していくさまに、心温かくなる。

キャストの中ではやはりマダム・マロリーのヘレン・ミレンの時に凛とし、時に優しい
表情豊かな演技、加えてインド一家のパパ、オム・プリ(ジャン・ギャバンみたいだ)の
ぶつかり合い、頑固な様、意地の張り合い、理解、融和、愛情、と変化していく演技がとても
良かった。

ハッサンの努力と才能で、マダムのレストランは30年間星ひとつだったのが2つに昇格、
ハッサンはここに残ってみんなで3つ星を目指す、というと思いきや、もうひとエピソード
挟まれる。
ハッサンはパリへヘッドハントされ、雑誌の表紙になるまでの人気シェフとなった。作る
フレンチは超現代的はアートのようなものであった。しかしハッサンはどこか引っかかる
ものがあった。そんなエピソードを挟んで彼は故郷へ戻り、再びマダムから譲られた
レストランで三つ星を目指すのだった。そしてビジネスパートナーには彼を最初から
支え(一時険悪にはなったが)てきた副シェフだったマルグリットが伴侶としてなることに
なったのだった。そんな恋愛譚もさりげなくまぶしてある。めでたし!

邦題がハリポタ風で味気ないが、原題は100フィートほどの小道を挟んだ2つの
レストランの間を行き来し、成長の旅をするハッサンの姿を連想させる味のあるものだ。

ぶつかり、理解し、融和し、平和になる。どこかの国の政治家に学ばせたいことがホノボノ
と示される好編である。ディズニーとアムビリンなので安心して家族で観られる作品。
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<ストーリー>
南フランスを舞台に、100フィート(=約30メートル)隔てた真向いにある2つのレストランの
間で起きる衝突を描いたベストセラー小説を、名匠ラッセ・ハルストレム監督が映画化した
ヒューマンドラマ。フランス料理店の名物女店主がライバルのインド料理店の息子が作る
料理と出会い、変わっていく姿を名優ヘレン・ミレンが体現する。

南フランスの山間に建つミシュラン1つ星のフレンチ・レストラン“ル・ソル・プルルール”の
オーナー、マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)は、最高のサービスと味を提供することに人生を
かけている。
ある日、故郷を追われ、ヨーロッパで再起を果たそうと旅していたインド人一家が、車の故障
のために足止めを食う。そこで一家の父は、空き家となったレストランに興味を持ち、インド・
レストランの開業を決断する。しかしそれは、マダム・マロリーのレストランからわずか100
フィートの道を隔てた真向いにあった。

一家の次男ハッサン(マニッシュ・ダヤル)は絶対味覚を持ち、料理名人だった亡き母から
受け継いだ魔法のスパイスを操る天才料理人だった。しかし、大きな音量で音楽を流し、
強烈な匂いのスパイスを使った料理を出す“メゾン・ムンバイ”は静かな雰囲気のフレンチとは
対照的で、マダム・マロリーにとって向かいの店迷惑な存在だった。その上、市場での食材の
奪い合いも巻き起こり、2つのレストランは一触即発の危機を迎える。さらに、窮地の一家を
助けた縁でハッサンが想いを寄せていた女性マルグリット(シャルロッテ・ルボン)は、
ル・ソル・プルルールの副料理長だった……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-20 23:10 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「プールサイド・デイズ  The Way,Way Back」
2013 アメリカ Sycamore Pictures,and more.104min.
監督・(共同)脚本・(共同)製作総指揮:ナット・ファクソン
出演:スティーヴ・カレル、トニ・コレット、アリソン・ジャネイ、アナソフィア・ロブ、リアム・ジェームズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
なかなか良く出来た甘酸っぱい青春ドラマ。日本では劇場未公開ながら、本国では
結構ヒットしたようだ。親子、友情、恋愛というこの手の王道のエピソードを上手い舞台を
使って手堅く面白く、ユーモアもたっぷりで描いた。役者たちもまた達者だった。

自分に自身が持てず、また周りもそれに鞭打つようなことをいう環境の、うじうじ少年が
ひと夏のプールでのバイトと、恋愛で成長していくお話。ちょっとつじつま合わせのご都合
主義が見える所もあるけど、まあ、青春ドラマなんで許せる。主人公のダンカン少年を
応援したくなるっつー思いで気持よく映画を見終えることが出来た。
だだ、離婚だの恋人関係などで人物設定がごちゃごちゃになりそうなので、誰が誰、と
見極めつつ観るのが吉だと感じた。

離婚した母パム(トニ・コレット)の新しい恋人トレント(カレル)は、はっきりしないヘタレ
気味のパムの息子ダンカンに苛々していて、「お前は10点満点で3点だ」とか酷いことを
平気で言う。

そんな危うい家族が夏休暇で、友人の別荘に遊びに行く。大人どもはマリファナ、セックス、
浮気と14歳のダンカンにしてみれば、アホなことばかりやっている。そんな中で、遊びに行った
ゲーセンでパックマンをやっていたウォーターパーク従業員オーウェン(サム・ロックウェル)と
出会う。ダンカンは家族に内緒でウォーターパークでバイトを始めるのだが、結構いい加減に
見えて、人生に対し結構いいことを言うオーウェンの影響を受けダンカンは次第に「大人」に
なっていく。

一方、隣の家のスザンヌ(アナソフィア・ロブ)とはフィーリングが合っていい感じになる。
でも奥手のダンカンはなかなか積極的になれない。そうこうしているうちに母パムと
恋人トレントの仲が悪くなり(トレントが浮気していたことがバレたり)、急遽休みを切り上げ
帰ることになる。スザンヌとの別れが辛いダンカン。スザンヌの方からキスのプレゼント。
また、帰り際、ウォーターパークに寄り、チュウーブライダーで神業と言われる追い抜きを
披露してみせた。オーウェンをはじめとするパークの従業員からは温かい言葉が掛けられる。

そんなこんなでワゴン車の後ろに後ろ向きに座ったダンカンの横に母もやってきた。
母はトレントと別れるつもりらしい。二人して後ろ向きに座っているのが象徴的であった。
かくしてトレントはひと夏の経験を通して、一皮むけた少年になっていったのだった。
大事なのは出会いなんだなあ。

男の子の思春期を描いた佳作としてお勧めしたい映画だ。
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<ストーリー>
両親が離婚し、夏休みを母親とその新しい恋人と過ごすはめになった孤独な少年が、
旅行先で奇妙な男と出会ったことから自分を変えていく。ほろ苦くも爽やかな青春ムービー。

「ファミリー・ツリー」の脚本で第84回アカデミー賞脚色賞に輝いたN・ファクソンと
J・ラッシュのコンビが、今度は脚本に加え監督にも挑んだみずみずしくほろ苦い青春映画
の秀作。
離婚した母親とその新しい恋人との生活になじめず苦悩していた思春期の少年が、ちゃらん
ぽらんな男と知り合ったことから成り行きでプールでアルバイトを始め、ようやく自分の
居場所を見つけていく。
この奇妙な男を「月に囚われた男」のS・ロックウェルが好演するほか、S・カレルや
T・コレット、A・ロブなど共演陣も充実。

14歳の内気な少年ダンカンは、離婚した母の新しい恋人トレントと馬が合わずに悩んで
いた。夏休みをトレントの別荘で過ごすことになった彼は、そこでも孤独な日々を過ごして
いたが、あるとき、ふと足を向けたウォーターパークで、ちゃらんぽらんな従業員の
オーウェンと知り合う。
成り行きからそこでアルバイトすることになったダンカンは、初めての仕事やオーウェンら
奇妙な人々との交流の中で、次第に心を解放していく。 (WOWOW)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-19 22:50 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「フェイス・オブ・ラブ The Face of Love」
2013 アメリカ Mockingbird Pictures.92min.
監督・(共同)脚本:アリー・ポーシン
出演:アネット・ベニング、エド・ハリス、ロビン・ウィリアムズ、ジェス・ワイクスラー、エイミー・ブレネマン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
大人のメロドラマ。名優が並んだ、という意味で見る価値があるかな。まあストーリーは
分かりやすいが(メロドラマで大事なこと)、ラストの主人公の笑顔には個人的に納得が
いかなかった。せっかくのロビン・ウィリアムズも上手く使えてない勿体なさ。

お金に苦労しない方々のメロドラマなんで浮世離れしてはいるけど、こういうの嫌いではない。
アップと動くカメラを多用し、感情の表出とサスペンス感を醸し出している。何か起きるのでは
ないか・・と。でも意外なことは起こらずに終わる。

結婚30年を迎えた夫妻(アネット&ハリス)がメキシコに記念旅行に出かけ、夫は大波が
危ないというのにマリファナをやったりしてハイになり海に出かけ溺死してしまう。
それから5年。LAの美術館で夫とそっくりな男性を発見する。追いかけてみたり、ネットで
調べてみたりした結果、オクシデンタル大学の美術学部教授のトムという男であることが
判明。

画を習いたい、ということで近づく。自宅で個人レッスンを重ねるうちに、お互いに強く惹かれ
あうようになる。トムも離婚して独り身であった。

アネットには亡夫の友人で向かいに住むロビン・ウィリアムズという友人がいた。彼も、
アネットの事を憎からず思っている。
しかし、夫そっくりなトムの出現に心はすっかりトムのもの。しかし、彼女はトムには絶対
夫の写真を見せないのだった。

やがて、離れて暮らす娘が帰宅、トムと鉢合わせとなり、びっくりする娘は、トムに対し
なぜか激怒する。しかしアネットは娘に出て行け、と言ってしまう。それでも何が何だか
わけがわからないトム。

二人はメキシコに行くことにする。そこでトムはかつてアネットが亡夫と撮った写真を見つけ
アネットを問い詰める。するとアネットは荒れた海に飛び込む。これを助けるトム。
アネットはトムをまるで亡夫のように抱きしめたのだ。

つまり、アネットの愛していたトムは亡くなった夫(ギャレット)の面影に過ぎず、トムという
キャラクターは存在していなかったのだ。それを知ったトムは彼女から離れていく。

そして6ヶ月後、娘と元の生活に戻ったアネットのもとに一枚の追悼展の案内が。それは
トムが亡くなり(彼が長い間重篤な心臓病を患っていたことはかなり前に明らかにされる)
その追悼展が開かれたのだった。会場に赴くアネットの目の前に「The Face of Love」
(愛の肖像)という一枚の絵があった。それは自宅のプールで泳ぐ自分をガラス越しに
見つめるトム自身を描いたものであった。その画を観ているうちにアネットの顔に笑顔が
浮かぶ。
つまり亡夫の面影を追っていただけのアネットではあったがトムは彼女を愛していたのだ。
そして、画の通り、プールで泳ぐ笑顔のアネットであった。

こういうストーリーなんだが、ラストの笑顔が先に書いたように納得いかない。アネットは
あくまでトムは亡夫ギャレットの代替であり、キャラクターの存在しない男。それなのに
彼はアネットを愛してくれた。彼女はトム自身を愛していたのか?あの笑顔はどうなのか?
愛されていたと確信したのはいいけど自分はトム自身を愛していなければ笑っちゃいかんと
思うのだが。まあ、メロドラマに目くじら立ててもしかたがないけど・・・。
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<ストーリー>
結婚30周年を迎えたニッキー(アネット・ベニング)は、建築家の夫ギャレット(エド・ハリス)が
設計した自宅も完成して幸せの絶頂にあった。一人娘のサマー(ジェス・ワイクスラー)は
自立してシアトルで暮らしている。すべてが順調だったある日、結婚記念日を祝うために
訪れたメキシコのビーチ・リゾートでギャレットが事故死してしまう。

それから5年、ニッキーの心は深く沈んだまま。そんな彼女を見守るのは、近所に住む
ロジャー(ロビン・ウィリアムズ)だけ。彼も妻のスーザンを亡くして苦しんでいた。だがある日、
ニッキーは美術館でギャレットに瓜二つの男性を目撃。その男性が大学の美術学部教授
トム・ヤング(エド・ハリス:二役)であることを突き止めた彼女は、彼の授業に押しかける。

容姿だけでなく、柔らかな声も眼差しもギャレットそっくりのトム。トムも、ニッキーの訪問に
何かを感じたようだった。何としてもトムをつなぎ止めたいニッキーは、絵画の個人レッスンを
依頼。半ば強引に自宅に呼び寄せる。
10年前、妻アン(エイミー・ブレネマン)との離婚が原因で絵筆を捨てたトムのアトリエは
荒れ放題だったが、ニッキーとの交流を通じて創作意欲を取り戻し、次々と作品を完成させて
ゆく。次第に距離を縮めた2人はある夜、ベッドを共にする。罪悪感を覚えながらも、トムに
夫の面影を重ねるニッキー。だが、トムにも秘密があった。心臓に持病を抱え、長くは生きら
れないのだ。

互いに秘密を抱えたまま、恋に落ちてゆく2人。やがて、トムはギャレットとは別人である
という当たり前の事実を目の当たりにしたニッキーは、2人を混同するほどの情緒不安定に
陥る。母の異変に気付いてやって来たサマーも、父親そっくりのトムの姿に動揺。しかし、
娘よりトムを選んだニッキーは、2人で逃避行を繰り広げる。
行き先は、ギャレットが亡くなったビーチ・リゾート。やがて2人を更なる悲劇が襲う……。
(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-18 22:40 | 洋画=は行 | Comments(0)