●「パリよ、永遠に Diplomatie」
2014 フランス・ドイツ Gaumont,Film Oblige,Blueprint Film.83min.
監督・(共同)脚本:フォルカー・シュレンドルフ  原作戯曲:シリル・ジェリー(映画共同脚本)
出演:アンドレ・デュソリエ、ニエル・アレストリュプ、ブルクハルト・クラウスナー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
実話に基づく作品、ということだが、こういう秘話があったことを初めて知った。知れば
まあ、ありそうなことだろうけど、まずはallcinemaの解説を先に読んで頂くのが良かろう。

「第二次世界大戦末期に、敗色濃厚なヒトラーが実際に計画した“パリ壊滅作戦”が
いかにして回避されたのか、その歴史秘話を描いたシリル・ジェリーのヒット舞台を、
「ブリキの太鼓」「シャトーブリアンからの手紙」の名匠フォルカー・シュレンドルフ監督が
映画化した仏独合作映画。

ヒトラーにパリの破壊を命じられたドイツ軍人と、それを思い止まらせるべく決死の直談判を
決行した中立国スウェーデンの外交官が、ホテルの一室で繰り広げる緊迫の駆け引きの
行方をスリリングに綴る。
主演はアラン・レネ作品の常連アンドレ・デュソリエと「預言者」「サラの鍵」のニエル・アレストリュプ。
 
 1944年8月25日未明、ナチス・ドイツ占領下のパリ。連合軍の進軍がパリ市街へと迫る中、
ドイツ駐留軍が陣を構える高級ホテル“ル・ムーリス”では、パリ防衛司令官ディートリヒ・フォン・
コルティッツ将軍を中心にある作戦会議が開かれていた。それは、ヒトラーが命じた
“パリ壊滅作戦”を粛々と進めるためのものだった。
しかし、ドイツの敗北はもはや避けられず、この作戦に戦略的な意味がないことは明白だった。
やがて会議を終え、一人部屋に残ったコルティッツの前にどこからともなく現われたのは、
中立国スウェーデンの総領事ラウル・ノルドリンク。パリ生まれのノルドリンクは、愛する
パリを守るため、作戦の中止をコルティッツに迫るのだったが…。」
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という背景と作品内容だ。当然、パリは破壊されなかったのは現在私たちがエッフェル塔や
オペラ座や凱旋門やルーブルやノートルダム寺院やオルセー美術館やセーヌに掛かる美しい
橋、またパリの美しい町並みを愛でることが出来ることから、明白なわけで、本作は
ある夜が明けるまでの数時間を凝縮した、老人二人の緊張する駆け引きが見どころな訳だ。

結果は分かっているので、興味はナチのパリ占領軍司令官コルテッツ将軍が、自分をどう
納得させていくか、であった。もちろん、フランスを、パリを心から愛する中立国スウェーデンの
総領事ノルドリンクの、巧みな会話も見どころなのではあるが。原作を知らなかったが
しばらく観進むうちに、あ、これは芝居が原作なんだろうな、と分かってくる。実際、舞台となる
のはパリの将軍の部屋が殆どなのだ。1つの部屋中だからこそ、息が詰まる様な駆け引きに
緊張感が出ているのだと思う。ドイツ軍将軍コルテッツは、ノルドリンクとはフランス語で会話し
部下には当然ドイツ語で命令を下している。舞台ではどうしたんだろうか。

殆どリアルタイムの80分強。映画は未明の3時頃から始まり、夜明けしばらくして終わる。
二人のやり取りから、ヒトラーの狂気が浮かび上がるのだが、ベルリンが破壊されたから
その復讐にパリを壊滅させるという。特にランドマークを徹底的に痛めつけるという作戦。
その作戦には軍事上の意味は全く無く、むしろ人類の遺産に対する重大な罪となるのだ。
コルテッツはユダヤ人粛清にも手を染めた将軍だったが、パリ壊滅作戦は言われれば
やらなくてはならないとはしながら、やはり心に引っかかりを覚えていた。そこに登場したのが
ノルドリンクだったのだ。二人は旧知の中。ノルドリンクがどうやってナチのパリ壊滅作戦を
寸前で知ったかは不明だが、あの手この手を使ってコルテッツの良心に訴えかける。
コルテッツは作戦中止をしたら、反逆の軍人は家族も処刑される法律をヒトラーが作った
ため家族を思うと、やらざるを得ないという。そこでノルドリンクは地下の組織を使って
コルテッツの家族をスイスに安全に逃がすから、作戦を中止してくれ、と懇願する。

ノルドリンクが家族を逃がす、といっても保証がない。不安なコルテッツはノルドリンクを
信じるしか無い。最終的にコルテッツは彼を信じ、結婚指輪を彼に託す。そして作戦中止を
命ずる。一部の部下に跳ね返りはいたが、大事に至らず、パリは守られたのだ。
原題にあるように、「外交」とは戦火を交えることだけではない。どこかの総理大臣に
観てもらいたい映画である。

コルテッツはその朝入城してきた連合軍に投降した。彼はその後釈放され、1955年に
ノルドリンクと再会する。ノルドリンクはフランスから授けられた勲章を、コルテッツに
譲った。コルテッツはパリを救ったドイツ将軍として歴史に名を残せたのだった。

作品の中で、パリ破壊をやめるように説得を続けるノルドリンクに対し、コルテッツ将軍が
「きみが私の立場だったらどうする」というシーンが有る。つまり、作戦中止すればドイツにいる
家族はヒトラーに処刑されるという状況を、お前ならどうするのだ、と問うたのだ。
映画を観ている人は、ここで、自分だったら行くも地獄引くも地獄の状況をどう打開するのだ
ろうか、と考えるに違いない、いや考えて欲しい。

この映画を観た人はコツテッツの勇気や諦めなかったノルドリンクの勇気に胸打たれる一方、
ヒトラーの狂気に背筋が凍ることだろう。人類はこういう人物を生む土壌を持っていることを
常に思い描いてないと危ないということ。現在でも、イスラム国やタリバンによる遺産の破壊、
またドナルド・トランプに代表される極端な主張など、世界は一致してその芽を摘まなくては
ならないのだ。

この映画の詳細はまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-31 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「はじまりのうた Begin Again」
2013 アメリカ Exclusive Media Group,Sycamore Pictures,Apatow Pro.104min.
監督・脚本:ジョン・カーニー
出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、ヘイリー・スタインフェルド、アダム・レヴィーン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
2日連続して、心が温まるいい映画を見させてもらった。本作も「佳作」である。
以前、音楽をテーマにした作品「ONCE ダブリンの街角で」でも高評価を獲得した
ジョン・カーニー監督が脚本も書いて作った、本作も音楽がテーマとなる人間ドラマだ。
時制の設定の仕方も上手く出来ていて、物語を飽きさせない。何より、悪い人がだれも
出てこないし、みんないいやつばっかり(まあ音楽をやるやつに悪いヤツはいないのだ
けれど)、で、ほのぼのとした気分で観終えることが出来、観ている最中も自分が知らずの
うちに笑顔になっているのに気づく。

自らがバンドをやっていた監督だけあり、物語の作り方も音楽家ならではのツボが
押さえられていて、いい歌もたくさん歌われる。キーラの相手役デイブを演じるアダム・
レヴィーンは「マルーン5」のメンバーなので歌は上手い。キーラの歌は味があるっちゃ、
あるけど、上手いとはいえない。

マーク・ラファロのも良かったが、なんといってもキーラの、「セリフが決められていないんじゃ 
ないか」、と思わせるような自然体のセリフ回しと演技。ナチュラルなその演技が映画に
リアリティと嘘っぽっくない心の温まりを感じさせるのだった。
個人的に一番のお気に入りは、ダン(ラファロ)とグレタ(キーラ)が、イヤフォンを二股に出来る
コードを使ってお互いのプレイリストを聴き合うながら夜のNYを歩きまわるシーン。
フランク・シナトラやスティーヴィー・ワンダー、サッチモなど、中々渋いところが出てくる。
これがまたNYの夜景に良く似合うのだな。

かつては大ヒットをプロデュースしたダンはこれに悩み、酒に溺れる日々。ついには自分が
立ち上げたレーベルの会社をクビになる。一方イギリスからやって来たグレタは、名前の
知られたアーティストと恋人関係で、曲も作り提供していた。しかし、彼氏に浮気されて
別れ、知り合いの男性のところに転がり込んだ。彼が歌うパブで無理やり引っ張りだされ
自作の歌を歌うはめになる。それを聞いていたのがダンだった。彼は一発で彼女の歌を
気に入り、契約しようとするが。

お金がないので色んな屋外でライブ盤を収録。バンドメンバーはNYの売れないミュージシャン
や音楽研究生たち。警察に追っかけられたり、住人から「うるさい!警察呼ぶぞ」とかいわれ
つつ、アルバムを完成させる。

ダンには中学生の娘がいて、ギターをやるのだが、ビルの屋上での夜間セッションには
彼女も入れる。分かれていた妻もやってくる・・・。かつてプロデュースして今や大スターに
なったヒップホップのミュージシャンも協力してくれた。

良いアルバムが出来たのだが、ダンとグレタは、ネットでたった一ドルで売りに出してしまう!

アルバムが出来て、別れが来た時見つめ合うダンとグレタ。ダンの目にはグレタに対する
愛を感じてしまったな。結局、ダンは妻と和解し、娘とも上手く行き、モトサヤになるのだけど。
ラスト、自転車に乗って夜のNYを行くグレタの横顔に、みんなを幸せにする天使の顔を見た。
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<ストーリー>
音楽がつなぐ予想外の出会いと運命を描いた物語。キーラ・ナイトレイが失意のヒロインに
扮しギターを片手にその歌声を初披露するほか、人気バンド・マルーン5のボーカリスト、
アダム・レヴィーンがヒロインの恋人役として映画デビューを果たす。
監督はアカデミー賞歌曲賞に輝いた『once ダブリンの街角で』のジョン・カーニー。

ニューヨーク。シンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、同じミュージシャンの
恋人デイブ(アダム・レヴィーン)に裏切られ、失意のままライブハウスで歌っていた。
そこに偶然居合わせた落ちこぼれの音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)はグレタの
才能に惚れ、彼女にデビューの話を持ちかける。

ところが、その録音はニューヨークの街角で行うという。セントラルパークやチャイナタウン、
橋の下、路地裏、ビルの屋上、地下鉄のホームなど、グレタのゲリラレコーディングは続いて
いくが、この無謀な企画が小さな奇跡を起こし始める。やがてアルバムが完成したその日、
誰も予想できなかった最高のはじまりが待っていた……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-30 22:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ハッピーエンドが書けるまで Stuck in Love」
2012 アメリカ Informant Media 97min.
監督・脚本:ジョシュ・ブーン
出演:グレッグ・キニア、ジェニファー・コネリー、リリー・コリンズ、ローガン・ラーマン、ナット・ウルフ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
面白かった。★は7,5。短い時間に複数の登場人物の話を上手く折りたたんで、主張すべき
ところもちゃんと主張し、分かりやすく楽しい映画であった。温かい思いで観終えることが
出来る家族再生の話だ。「きっと星のせいじゃない」をモノした監督さんだけに品のあるシュア
な作りだ。細かいエピソードの積み重ね方が上手いんだな。伏線としても活用されているし。

それにしてもジェニファー・コネリーと、娘役のリリー・コリンズ(フィル・コリンズの娘さん)が
まあ、ホントの母娘のように似ているんだな。眉毛が特に。
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閑話休題。自分の浮気が原因で妻エリカ(ジェニファー)と離婚。しかし未だに未練タラタラで
再婚した家に覗きにいったり、感謝祭では必ず妻の席を用意するという賞も何本か獲った
そこそこ有名な小説家。だが妻と別れて以来、新作が書けていない。
大学生の娘サマンサ(リリー)は、大学生。文学を専攻していて、19歳にして、処女作が
出版されることになったという才媛だが、母の浮気を目撃してしまったことから愛について
懐疑的というか絶望的になり、セックスだけの友達と遊んでいた。
長男のラスティも文才があり、詩を書いたりしていて将来はスティーヴン・キングに憧れ
彼みたいな小説を書きたいと願っていた。同じ英語のクラスに気になるケイトという女の子が
いたが、連れがいるためなかなか思いを言い出せなかった。
別れた妻エリカも再婚したものの、娘との確執が気になり、未だに再婚が正しかったのか
悩んでいる。

そう、原作が表しているように家族4人全員が「愛に立ち往生」してしまっているのだ。
映画では、それぞれがその「立ち往生」を、自分の力で、また他人のアドバイスを受けて
脱していく様をユーモアを交えながら描いていく。

長男のラスティは外へ出て自分を変えろ、好きな女の子がいるなら告白しろ、と言われ
俄然やる気をだし、大量のハッパを持ってパーティー会場に行くが、ケイトがドラッグに
手を染めているところを観てしまい、ラスティは彼女の悪いボーイフレンドにパンチを
食らわせてケイトをつれてその場を脱出、自宅に連れて帰る。それを温かく迎える
父。 ラスティとケイトはそれから恋人の仲になっていく。
その父も近くに住む美人の人妻とあけっぴろげなセフレ関係を結んでいたが
彼女からも3年立ったんだから再婚しなさいよ、とかいって出合い系サイトで女性と
あったりもしていた。しかし、どうしても別れた妻が忘れられない。

長女サマンサを好いて追いかけてくる同じクラスのルイスは、とてもいいやつで、
突っ張ってばかりのサマンサも彼と居ると和むのだった。最初は、付き合う気もなかったが
彼の人柄を知るに及び、また脳腫瘍の母に読み聞かせをする姿をみるにつけ
彼に心を開き、恋人になっていく。

サマンサの処女作の出版パーティーにやってきた母エリカは、勇気を振り絞って
サマンサと話してみようとするが、サマンサはどうしても心を開かない。
やがて、父から、お母さんが浮気をする前に、お前が生まれる前、お父さんが浮気を
して家を出たんだ、その時、母さんはずっと待っていてくれた。許してくれたんだ。
だから、母さんが浮気しても、再婚しても、自分は待っているんだよ、きっと帰ってくると
信じてね、という話を聞くに及び、自分が母を誤解して嫌っていたことを知り、母の
元に行き、和解するのだった。そのパーティーで、長男ラスティの恋人ケイトは酒を
飲んだことからドラッグ症状が出てしまい、知らない男と消えてしまった。
みんなで彼女を探し、彼女は施設で更生を目指すことになった。

長男ラスティのもとにスティーヴン・キングから電話が入った。お姉さが送ってくれた
君の小説、最高だよ。雑誌社に送っておいたからね、というもの。ラスティも小説家と
しての道が開けたのだった。

そして今年も巡ってきた感謝祭。父と娘サマンサ、恋人のルイス(最近母親が脳腫瘍
で死んでしまい、サマンサが彼を支えたことで絆は深まった)、作家デビューが決まり
恋人ケイトの更生も進むラスティ、4人の姿があった。自家製の七面鳥を食べていると
ドアをノックする音が。ラスティは「ケイトを呼んであったから彼女かも」と戸口に出て
見るとそこには母の姿が。彼女も「立ち往生」から一歩前に進んだのだった。

そして5人での感謝祭が始まった・・・。
----------------------------------------
というもの。それぞれの「立ち往生」の解決していく様が分かりやすく、優しい目線で
描かれていて、ほんのりしながらエンディングを迎える。最後にケイトの姿が無かったのが
個人的には残念だったが。

出演者たちの役どころが貧乏ではないので、その辺り上手く行き過ぎな恨みもあるし
スティーヴン・キング自身(本物)から個人的に電話が入るなんてのもお父さんが有名な
作家であればこそ、であるわけだし。その手の七光系の雰囲気を割り引いても、
ハートウォーミングなコメデイ・ドラマであった。この手の映画、好きだな。
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この映画の詳細はこちら>/a>まで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-29 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

フォーカス Focus

●「フォーカス Focus」
2015 アメリカ Warner Bros.(Ditributor) Kramer & Sigman Films,Zaftig Films.105min.
監督・(共同)脚本:グレン・フィカーラ
出演:ウィル・スミス、マーゴット・ロビー、ロドリゴ・サントロ、ジェラルド・マクレイニー、B・D・ウォン他
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<感想>
このところウィル・スミスの作品には落胆を禁じ得なかったので、本作もシネコンには
行かずじまいだった。公開から一年、WOWOWで放映されたので観てみた。

恒例のIMDbとの評価当てっこ、私が6,7、IMDbは6,6だったからいい線行っていた。
つまり、そこそこに面白い、ということで観て損はない感じだ。
今回のウィル・スミスの役どころはクールでスタイリッシュな詐欺師。しかもかなりの人数の
軍団を抱えるまるで企業のボスのような役どころだ。で、スミスに絡んでくるのが、軍団の
見習いとして、ひょんなことから知り合うマーゴット・ロビー。

映画は1部、2部のような珍しい構成になっている。前半は、大きなアメフト大会会場を
舞台とした、一大スリ大会。ニッキー(ウィル)が率いるチームはなんと120万ドルを
ゲットした。その金を預かり、後で皆の口座に振り込む、といってゲームの観戦に
出かけたニッキーとジェス(マーゴット)。二人で他愛の無い賭け事をしていると、
謎のアジア人が「俺も入れてよ」とか言って接近してくる。しかし、ニッキーとそのアジア人は
掛けを次第にヒートアップさせ、仲間と稼いだ120万ドルを全て掛けて、負ける。
ニッキーは、それでも止めず、更に倍にして掛ける。アジア人に「グランドにいる誰か一人の
選手を思い浮かべろ。それをジェスが当てる」というもの。

いきなり振られたジェスはイヤダイヤダと固辞する一方、仲間の金まで手に染めたニッキーを
咎める目線をくれていた。 アジア人が選ぶ、そしてジェスの番。するとフィールドには
ニッキーの仲間ファーハドの姿が!彼の背番号は55。彼女はそれを選び、口にする。
驚くアジア人。「なんで分かるのか!」 かくしてニッキーは120万ドルを倍にして、その場を
離れた。(ここの勝負、アジア人が頭に浮かべた選手の番号は紙に書留めた訳でもないの
にどうしてアジア人は負けた、といったのかよく解らなかったが)

観ている方も、あの冷静なニッキーが無謀な賭けに出るさまを観て、おいおい仲間の金だろ、
大丈夫か、いつものクールなニッキーはどこに行った?とハラハラする仕掛け。
が、実はニッキーは、数日前からこのアジア人(ヴェガスでもハイローラーとして知られる
大金持ちのギャンブラー)に目をつけ、この掛けを計画していたのだ。彼に色んな場面で
55という数字を刷り込み、(これがなかなか愉快だけど、そこまで出来るか?という側面も)
双眼鏡でフィールドを覗くと、見えた55という番号を啓示としてチョイスするという心理学に
基づく詐欺行為だったわけだ。ニッキーは用意周到に詐欺を仕掛けていたのだ。
そういうことだったのね!!

ニッキーとジェスは師弟の関係を超えて、愛し合っているように見えたが、大会会場からの
帰り道、ニッキーはジェスに8万ドルの分前を与え、「ご苦労さん、じゃあな」と言って去って
行ってしまった。おいおい、なにこれ、と驚くジェスだった。

さてそこから3年後。舞台はアルゼンチン、ブエノスアイレス。F1の爆音響くサーキットだ。
ここでも、ニッキーは長い間時間を掛けた詐欺を仕組んでいた。
F1マシンの走行性能を上げるシステムについて、あるチームに接近し、その偽物を
一番のライバルチームに売りつける、というもの。しかし、そのチームのオーナ主催の
パーティーに行って狂言を打つ予定が、入ってびっくり、オーナーのガリーガの愛人風の
存在にジェスの姿が!三年ぶりに出会う二人だったが、ジェスは今は幸せよ、とか
知らない人のフリしておいて、とかいう。

さて、そこからニッキー、ジェス、オーナーのガリーガ、がリーガの参謀にしてガードの
オーゥエンスが絡んだ、騙し騙されの陰謀合戦が繰り広げられる。 びっくりなのは
オーゥエンスがニッキーを撃つところ。これにはびっくり。そしてジェスのホントの役目。
みんな騙されていたのだな。観客も含め。オヤジの登場にも唖然!!
この辺りは大どんでん返しの打ち合いみたな感じだ。

観ている人は一緒に騙されて驚くというのがこの映画の正しい見方だ。オヤジの登場の
伏線は前半からぬかりなく散りばめられていた、またニッキーとジェスの恋の行方は
お互いを信じられない、という状況を乗り越えられることが出来るのか、そのあたりの
作りも上手いことやった感じ。

そんなこと出来るの??というツッコミもできようが、ここは素直に騙しに身を委ねて楽しむ
べきだろう。なかなか清々しいエンディングだし。
ウィル・スミスは、このように製作側に入らないほうがいい作品になるんじゃないか。俳優に
徹したほうがいいと感じた。
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<ストーリー>
視点《フォーカス》を操ることで相手を手玉にとる犯罪のプロ、ニッキー(ウィル・スミス)は、
30人もの熟練詐欺師を束ね、カジノや高級ホテル、ストリート、フェスティバルなど様々な
場所であらゆる手段と華麗なる手さばきで大金を稼いでいた。
そんなある日、ニューオーリンズで未熟な女詐欺師ジェス(マーゴット・ロビー)と出会った
ニッキーは、彼女に最高の詐欺師になりそうな可能性を見出し、犯罪のプロとして育てる
べくノウハウを伝授する。
しかしジェスがメキメキと上達していく中、二人は恋に落ち、やがて師弟関係を超えた関係と
なってしまう。だが恋愛は枷になり腕を鈍らせると判断したニッキーは大きなヤマに勝った後、
ジェスに大金を渡し突然の別れを告げ、忽然と彼女のもとを去ってしまうのだった……。

数年後、ニッキーはブエノスアイレスのモーターレース会場に一世一代のプロジェクトをしか
けていた。そこに現れたのは、以前とは見違えるほど美しくゴージャスになったジェス。
彼女はニッキーのライバルチームに属し、男を手玉に取る女詐欺師に成長していた。
かつて愛した女の登場で揺れ動くニッキー。大金が蠢く会場で果たして最後に笑うのは
誰なのか……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-28 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「恋のじゃま者 Nothing in Common」
1986 アメリカ Delphi Films,Rastar Productions,TriStar Pictures.119min.
監督:ゲイリー・マーシャル
出演:トム・ハンクス、ジャッキー・グリーソン、エヴァ・マリー・セイント、ヘクター・エリゾンド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ゲイリー・マーシャルという監督さん、この4年後に「プリティ・ウーマン」を撮るわけだど、
その後の作品を観ても、一発屋ということになってしまうのだろうか。
本作も、邦題がヘンチョコリンだけど、いわば親子関係再生のけっこう良いテーマが
設定されているのだけど、トム・ハンクスの女の子ネタと饒舌なジョークに長い時間を取って
しまい、締りのない、視点がボケた映画になってしまい、勿体無いことをした。

トム・ハンクス自身もこの時代あたりはいい作品に当たらない苦悩の時間帯であったの
だろうな。

有能なのだけれど、生活がルーズで女の子ばかり追いかけている広告マン、デヴィッド。
(トム・ハンクス)観ているこっちが苛つくほどC調なやつ。
で、デヴィッドの父親から36年連れ添った母さんが出てった!という泣きの電話が入り、
そこから両親の騒動に子どもとして巻き込まれ、(自分から巻き込まれていったのだけれど)
疎遠であった父を理解し、母とも愛情を確認する、というお話。そして、デヴィッド自身は
幼なじみの「友達」としてしか見ていなかった女性との間に愛を見つけ・・・。

簡単に端折るとそういうお話。作品の3分の2は、後半3分の1の両親との和解への
冗漫なる前フリ。あと30分短くしたらもう少しピリッと引き締まった映画になったのでは
ないか。物語の前半のデヴィッドと後半のデヴィッドの落差を見せたかったにしても、だ。

厳しかったが女に甘かった父親がひた隠しにしていた糖尿病により、両足に
壊疽が発生し、指を切断せざるを得ない状況、またそれを許してしまっていた母の
無関心・・その無関心とて原因は父親にあり、そうした父親を作った遠因は母の育ちに
あり、その母の育ちを理解しない父も悪いのであり、という割と分かりやすい因果応報の
輪廻なのだが、その前ふりが冗漫で頂けない。
せっかくデヴィッドが物語の中で手掛ける航空会社のCMのコンセプトが家族でるのも
含め、残念だ。
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<ストーリー>
デイヴィット・バスナー(トム・ハンクス)は、シカゴの広告代理店に勤めるエリートだ。
その日は昇進も決まり、意気揚々。会社のボス、チャーリー(ヘクトール・エリゾント)たち
との呼吸も合い、ガールフレンドにも恵まれ、大いに満ち足りている。

が、一つ、悩みのタネがあった。父のマックス(ジャッキー・グリーソン)を残して母の
ロレイン(エヴァ・マリー・セイント)が、家出をしてしまったのだ。34年の結婚生活の
突然の破局で混乱する両親を前にして悩むデイヴィット。そんな彼を慰めるのは、
ハイスクール時代からのガールフレンドで演劇のインストラクターをやっているドナ
(ベス・アームストロング)。一方、会社では大手の航空会社“コロニアル・エアライン”
との取り引きの話しが持ち上がり、クライアントに会いに行ったデイヴィットは、そこで
社長と共に現れた美しい女シェリル(セーラ・ウォード)と知り合い、早速ベッドイン。

ところが彼女は社長の娘で、彼女の取なしもあって取り引きは大成功。仕事は順調
だったが、父マックスが交通事故を起こして会社をクビになり、デイヴィットを頼ること
しきり。ロレインも何かと電話をかけて来る。
しかし、時がたつに従ってデイヴィットにはそんな父の事が、哀れに思えて来た。

更にマックスは、足のリウマチがもとで切断手術を受けなければならなくなる。こんな
父の手術の日を前に“コロニアル・エアライン”の社長にニューヨークへ行くように命じ
られるデイヴィット。仕事を取るか、父を取るかで悩む彼は父親の方を取った。
以前には持った事のないような共感と愛情を持って、病院の父の面倒を見る
デイヴィットの姿があるのだった。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-26 23:10 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

凶悪

●「凶悪」
2013 日本 日活配給 ハピネット、フラミンゴ、カズモ、ディーライツ。128分
監督:白石和彌  原作:新潮45編集部「凶悪-ある死刑囚の告白-」
出演:山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴、白川和子、吉村実子、小林且弥他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
チカラのある邦画は見るようにしている。では本作を観るキッカケとなったのは何か、と
いうと、1つは事実をベースにした犯罪映画、という好きなジャンルであること。1つは
今注目のピエール瀧がどんな演技をするか、楽しみだったこと。

ピエール瀧に注目したのはごく最近で、昨年NHKテレビで放映された「64(ロクヨン)」で
主人公を演じたが、その渋い演技に打たれ、それ以来いわばファンとなったのだ。
リリー・フランキーもそうだがどちらかというと善人側の配役が多かったんじゃないかと
いう印象で(事実リリー・フランキーはこの年の日本アカデミ賞で助演男優賞を
「そして父になる」で獲得している)、逆に山田孝之の方が悪人に似合った雰囲気じゃ
ないか、と思っていたのだ。ところが本作は、山田は潜在的な凶悪犯罪を暴く、
(ある意味普通じゃない)、雑誌記者。リリー・フランキーが巨悪で、その走狗だった
粗暴犯がピエール瀧、という配置。

う~ん、何だかイメージと違うけど上手く観られるかな、と観始めた。だが、まず登場する
ピエール瀧のキレ芸を観ていると、ヤクザにぴったりだな、と思えてくるし、一見温厚な
不動産業者のおっさん風でありながら、実は嗜虐趣味を持つ極悪人であるリリー・
フランキーも、それなりに見えてくるから不思議だ。

本作は、死刑囚須藤(ピエール瀧)から雑誌社に面会を要請する手紙がくるところから
動きが出始める。つまり、自分は死刑になったのだが、実は一緒に悪いことをしていた
というかむしろ犯罪をリードしていた「先生」こと、木村孝雄がのうのうとシャバで生き
永らえているのが許せん、まだ表に出ていない事件を告白するから、記事にしてくれ、
と、いわゆる「潜在殺人」3件を告白したのだった。

雑誌記者藤井は、編集長の反対を聞き流しつつ、独自で事件の裏付けを始める。
すると、須藤の言っていることはほぼ信頼に足ることが明らかとなってくる。
その結果をまとめて編集長に記事にするように懇願するが、却下される。藤井は
その旨を面会で須藤に告げると、須藤は激怒。
藤井の家庭では認知症の母親を妻(池脇千鶴)が一人で診ているという状況で
仕事ばっかりで家庭を顧みない藤井に妻の我慢も限界で、ついに離婚届けをつき付ける
までになってしまった。「死んだ人間なんてどうでもいい。私は生きているのよ!」と。

映画では、須藤が「先生」木村と、保険金を狙い、須藤の手下らと組んで、家族とグルに
なって、あくまでも事故死、病死に見えるよう、しかし凄惨な手段(過度な飲酒の強要、
その上でのスタンガン責めなど)で、老人を殺し、保険金を家族と山分けにしていたの
だった。そんな事件が3件告白されたのだ。

藤井はまとめ上げた文書を編集長を伴い警察に持っていく。最初は興味がなさそうだった
警察も、あまりに克明な事件概要に動かざるを得なくなり、木村を始め、共謀した家族も
逮捕されたのだった。

映画の冒頭に描かれるのだが、須藤は裏切りを許さない気質で、チンピラに裸足で
鉄橋の上を歩かせ、足にタバコの火を押し当てて、川に転落させて殺したり、
殺しの現場から逃げたチンピラに対し目の前で情婦を犯しかつ共に焼き殺したり、
最後まで信頼していたチンピラもクルマの中で銃で殺したり、保険金狙いで殺した
老人をナタで解体して焼却炉で焼いたり、狂気としか言えない所業を繰り返したのだが、
死刑囚になると、キリスト教に入信し、裁判では上告し、「生きて罪を償う」とかのたまう。

記者藤井は、木村と大差ない極悪人の須藤が、心の平安を求めようとするのが
気に入らなかった。「お前なんかの心に平和が来てたまるか!」とか叫ぶのだった。
確かに、あの狂気の殺人鬼が刑務所に入った途端に善人になってしまう、そして
記者をして他人の罪まで暴いて自分は心の平安を得ようとする、その姿勢に我慢が
ならなくなるのは理解できる。
一方で、家庭を顧みず、(最後には母を施設に預け、離婚も無くなったように描かれるが)
こちらも狂気としか言えない執念で事件を追い続けた藤井も、何かただならなぬ不気味さを
感じてしまうのだ。山田孝之は終始笑顔が無い役柄を例の濃い髭面で演じてはいたが
やはり本作のハイライトはピエール瀧の須藤純次だろう。何を考えているのか分かりやすい
ようでいて、深い闇を抱えている男を上手く演じていたと思う。

映画を見終えて思うことは、須藤の同じ人間がやることか、と思える粗暴凶暴な行動、
「先生」木村の狂気、そして種類は違うけど、記者藤井の狂気。「人間の業の深さ」「深層に
隠された本性の恐ろしさ」に思いを致さざるをえないのだった。
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<ストーリー>
死刑囚の告発が未解決事件の真犯人逮捕につながった、衝撃のベストセラー・
ノンフィクションを、山田孝之主演で映画化した人間ドラマ。
殺人事件を犯しながら、裁きも受けずに生きながらえる悪人。そんな悪人を幅広い
ジャンルで活躍するリリー・フランキーが狂気を携えた演技で見せる。
監督は若松プロダクション出身の白石和彌。

ある日、雑誌『明朝24』の編集部に一通の手紙が届いた。それは獄中の死刑囚
(ピエール瀧)から届いた、まだ白日のもとにさらされていない殺人事件についての
告発だった。彼は判決を受けた事件とはまた別に3件の殺人事件に関与しており、
その事件の首謀者は“先生”と呼ばれる人物(リリー・フランキー)であること、“先生”は
まだ捕まっていないことを訴える死刑囚。
闇に隠れている凶悪事件の告発に慄いた『明朝24』の記者・藤井(山田孝之)は、
彼の証言の裏付けを取るうちに事件にのめり込んでいく……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-25 23:10 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「オン・ザ・ハイウェイ Locke」
2013 アメリカ・イギリス IM Global,Shoebox Films.86min.
監督・脚本:スティーヴン・ナイト
出演:トム・ハーディー、(声:オリヴィア・コールマン、ルース・ウィルソン、アンドリュー・スコット他)
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
短い映画であるが、出てくる人物は一人だけ。映されるシーンは冒頭の工事現場以外は
高速道路を移動するクルマと男のみ。男はアイヴァン・ロック。原題はその名前から取られて
いる。扮するは、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で名を上げ、「レヴェナント 蘇りし者」で
オスカー助演男優賞ノミニーとなった売出し中の、イギリスの俳優トム・ハーディ。

アイヴァンはビル建築現場でコンクリートを流し込み土台を作る現場の監督だ。彼が夜、
愛車BMW X1に乗り高速を走りロンドンに行くのには重大な意味があったのだ。

全編一人芝居(というかクルマに掛かる、あるいは掛ける電話の声が共演者だが)。
これ以上長いことやっていると飽きる、という寸止めが効いていて、なかなか野心的で
オツな作品となっている。
見始めた最初の頃は、つまんないのかなあ、と思っていると電話でのやりとりながら
状況がドラマティックに転換し、スピードが上がってきて、緊張感の醸成もしっかりと
していて、面白くなった。

一人芝居ながらもアイヴァンという男の人となりが電話での様々な人の会話から浮かび
上がってくる。また車中で今は亡き父親への恨みつらみをつぶやき、ルームミラーの
自分に語りかける姿などから、自画像も浮かび上がってくる仕組みだ。
信頼される現場監督という仕事の顔、反面、長期出張の時、一夜の浮気から相手が妊娠、
そして今まさに子供が産まれようとしていた。彼はその病院に駆けつけている途中だったのだ。 

現場では途中で仕事を放棄され、任された男が泣き言をいいながら、明日朝からの大量の
コンクリの流し込みのしごとの準備をしている。アイヴァンの行動がシカゴの本社に知れ、
即刻クビとなる。それも仕方のないこと、とアイヴァンは腹をくくっている。

一方、家庭では贔屓サッカーチームのテレビ応援をするため妻と二人の子供が待っていた。
アイヴァンは電話で、「今夜は家に帰らない」といい、その理由を妻に話す。当然大ショックを
受ける。二人の男の子たちも、親たちの不穏な動きを察する。アイヴァンが子供から愛されて
いるんだなということが電話から伝わってくる。

一方、産気づいてロンドンの病院に運び込まれた浮気相手のベッサン。恨みつらみも
いいつつも、男の到着を待っていた。そこに医師から、へその緒がクビに巻き付いていて
危ない、と帝王切開することを告げられる。不安がるベッサンをなだめるアイヴァン。
やがて、電話の向うに赤ちゃんの泣き声が。アイヴァンは男としてのけじめを付けるため
出産に立ち会い、子供を認知はするが、浮気相手は一夜限りであり、この女に愛情は
感じていないのだ。愛しているのはやはり妻であった。

妻とのやり取りで、彼は家に帰れなくなったことが分かる。アイヴァンが自らつぶやくように
「出発するまでオレには仕事も家庭もクルマもあった。今やあるのはクルマだけだ」と。
短い間で劇的に人生が変化していく様子を夜の高速道路とハンズフリー電話という道具を
使って上手いこと表現出来た。

ラスト、病院に向けてランプを降りるところで終わっていくが、その後のアイヴァンを想像して
みるのが面白い。
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<ストーリー>
夜のハイウェイを舞台に、一人の男の86分間の出来事を車中で交わされる電話の会話だけで
描くワンシチュエーション・サスペンス。
監督・脚本は「ハミングバード」のスティーヴン・ナイト。出演は「ダークナイト ライジング」の
トム・ハーディ。電話の声を「ローン・レンジャー」のルース・ウィルソン、「思秋期」のオリヴィア・
コールマンらが担当する。

その夜、建築現場監督としてキャリアを積み上げてきた建設会社のエリート社員、アイヴァン・
ロック(トム・ハーディ)は、妻カトリーナ(声:ルース・ウィルソン)と二人の息子たちが待つ自宅
へと愛車BMWを走らせていた。

翌朝は現場で重要な作業を控え、キャリアの中でも最高の瞬間になるはずだった。
だが、一本の電話が彼に人生の全てを賭ける決断を迫る。しばらく考えを巡らせたアイヴァンは、
自宅から遠く離れたロンドンへと連なるハイウェイにハンドルを切った……。
そんな中、アイヴァンのもとにはひっきりなしに電話がかかってくる。上司のガレス、現場作業員の
ドナル、カトリーナ、子供たち、そして過去にアイヴァンと関係を持ったベッサン(声:オリヴィア・
コールマン)……。
ロンドンが近づくにつれ、アイヴァンを取り巻く状況は公私共に悪化の一途を辿っていくが……。
(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-24 22:55 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「さよならは言わないで Every Time We Say Goodbye」
1986 アメリカ/イスラエル Tri-Star Pictures.98min.
監督・(共同)脚本:モーシェ・ミズラヒ
出演:トム・ハンクス、クリスティナ・マルシラック、ベネディクト・テイラー、アナト・アツモン他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
WOWOWでアカデミー賞の時期に、名優シリーズみたいなものを何本か放送するのだが、
今回紹介された何本かのトム・ハンクス作品のひとつ。彼が30歳、ブレイクしてくるまでに
まだ数年を要する時期だろう。
なんでこんな映画が出来ちゃうのかなあ、という印象。雑なプロット、雑なキャスティング、
へんてこなラスト・・。今や名優と言われるトムにもかつてはこういう作品があったのだな。
作り方も凄く古いタッチ。ミズラヒという監督さん、エジプトの人。トムの相手役の女優さんも
その後聞かないし。その他のキャストも知らないひとばかり。

プロット・・・冒頭で字幕を使って説明される、スペインにいたユダヤ人のイスラエル入植の話。
(何故に?)
第2次世界大戦下のイスラエル(何故に?)。 カナダ出身のアメリカ人ながら
親への反発からイギリス空軍のパイロットとなったデヴィッド(トム)。(何故に?)
親友が彼の地で知り合った女性と結婚。親友と彼女のデートについてきたサラという
女性。デヴィッドは彼女に一目惚れ。
お互いに強く惹かれあうが、彼女は400年前にスペインを追われてこの地に来た
ユダヤ人グループの一家に育ち、宗教的戒律が極めて厳しく、異教徒との結婚などは
全くありえない世界。

サラにはいとこなのだけど幼い頃から付き合っているネシムという男がいた。周囲も
ネシムもサラと結婚するものと思っていた。しかしサラの心はデヴィッドに。慎み深い18歳の
おぼこであったが、デヴィッドを深く愛してしまう。しかし、アメリカ人と付き合っていることを
知った家族の激しい怒りを買い、家に軟禁されてしまう。

兵士の常として、戦場の移動がある。結婚を約束して欲しいデヴィッドに、理解のある兄の
手引で一夜を共にすることが出来たが、(この時、ベッドの上のサラのバストを晒してしまう
ことに何らの意味を感じないのだが・・・。)サラは、デヴィッドを諦めるために、ネシムとの
愛の無い結婚を決意する。

新しい任地のエジプトで、サラがネシムと結婚することを聞いたデヴィッドは、休暇に長駆
イスラエルに帰る。しかし、サラは会おうとしない。理解があると思っていた父さえ、異教徒と
結婚することはもう家族ではないということだ、と厳しい。そこでサラは決意をしたのだ。
サラは、悄然とエジプトに戻ろうとしていたデヴィッドを訪ね、「いつまでも、100年だって待って
いるわ」なんてことを言う。そして二人で手を繋いで駆けて行きました・・。(どこへ?)

異郷の地での兵士と現地の娘の許されない恋、そして男性の転戦、女性の愛の無い結婚の
決意、しかし最後に愛する二人は結ばれる・・。という古~いプロットの、説明不足の嵐な上、
何の感動もない映画でありました。ラストも、「おいおい」という感じだし。戦争下のイスラエルと
いえども戦争の影さえ感じさせない平穏な日々・・・。一体この映画はなんで有りましょうか!

ちなみに原題はコール・ポーターのジャズの名曲なんだが、邦題とは云わんとするところは
似ているけどニュアンスが違うなあ・・・。
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もう少し詳しいストーリーを、という方はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-23 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ブラジルから来た少年 The Boys from Brazil」
1978 アメリカ  Sir Lew Grade,Producers Circle,ITC Entertainment.124min.
監督:フランクリン・J・シャフナー  原作:アイラ・レヴィン
出演:グレゴリー・ペック、ローレンス・オリヴィエ、ジェームズ・メイスン、リリー・パルマー、ブルーノ・ガンツ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
こういう映画に出くわすのでWOWOWは楽しい。これだけの名優が居並びながら、しかも
サー・ローレンス・オリビエが本作でオスカー主演男優賞ノミニーとなっているにも関わらず
日本では劇場未公開。私はこんな映画があることすら知らなかった。

怪作、である。作りや演技としては時代を感じる大仰なものであるが、描かれたストーリーが
未来を言い当てている事をもってみれば、時代を置いて観てこその「怪作」といえる。
原作があるとはいえ、クローン技術を今から40年そこそこ前にこれだけ具体的に描き、
独裁者の登場に警鐘を鳴らしたのは、見事、というほかなく、またこれを2時間ちょっとで
極めて多弁に描き切ったシャフナーの技量、また名優たちの芝居の面白さもまた格別で
ある。そこから漂う「不気味さ」は、ちょっとやそっとの映画では敵うまい。

物語の土台となる骨子に既に突っ込みどころもないではないが、しかし、狂気のヒトラー
信奉者で、第四帝国の出現を夢見て、ヒトラーのクローン作りに命を掛けるナチス出身の
医師メンゲレを演じたグレゴリー・ペック。それに、ナチスの犯罪を追跡し告発し続ける執念の
ユダヤ人、リーベルマンを演じたサー・ローレンス・オリビエ。この二人の格闘技の様な演技を
見るだけでもこの映画を見た価値はある。 ふたりとも役柄として「執念の人」なので、ラスト近くの
噛みつきもある血みどろの取っ組み合いは、「異様」という雰囲気を出すのに十分である。
今の若い人が観たら、引くかも。 とにかく出てくる人がみんな不気味で・・・凄いわ。
そして、その脇に立つ、クローンで出来上がったヒトラーもどきの少年の不気味さと言ったら。
この少年を演じた子役、その後映画の道から足を洗ってしまったようだが。
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しかし、このクローン技術はその後長足の進歩を遂げ、もしやろうと思えば、犯罪者の
クローンを作ることは既に難しくなくなっていることを思うと、なおさら本作を見る時
背筋が氷るのである。

聞けば、日本でテレビ放映された時、ラストシーンがカットされたとか。本作、ラストシーンが
あるとないとでは、主張が全く異なってくる。時代とはいえ監督の趣旨に反した編集で
あり、今であれば裁判ものだろう。

<ストーリー>
映画化・ドラマ化(WOWOWが放送)された「ローズマリーの赤ちゃん」などで知られる
人気作家I・レヴィンの小説を、「ローマの休日」のG・ペック、名優L・オリヴィエらの豪華
顔合わせで映画化。だが日本で見ることができたのは本国での公開から6年後、
フジテレビ系“ゴールデン洋画劇場”枠でだったという、知る人ぞ知るサスペンス映画の
逸品だ。邪悪な思想を根絶することは難しいというメッセージは時代を超えている。
アカデミー賞ではオリヴィエへの主演男優賞、編集賞、作曲賞という3部門にノミネート。

ナチスハンターのリーバーマンは、元ナチスのメンゲレ博士の不穏な動きに気付く。
メンゲレの計画は西ドイツで65歳前後の公務員を中心に、94人を殺害するというものだった。
それから標的に該当する人物が次々と殺されるが、被害者たちの周囲には黒髪で色白で
青い瞳の少年がいた。
やがてある養子あっせん会社が特定の条件を満たす夫婦にブラジルから来た少年たちを
紹介していたと分かるが、少年たちはヒトラーのクローンだった。(WOWOW HPより)
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この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-22 23:45 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「クロッシング Brooklyn's Finest 」
2009 アメリカ Millennium Films (Presents) 132min.
監督:アントアーン・フークア
出演:リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードル、ウェズリー・スナイプス、ウィル・パットン
    エレン・バーキン、ヴィンセント・ドノフリオ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆。
<感想>
時々、映画を見終わった後、アメリカの批評サイト、IMDbではどんな★が付いているかな、と
当てっこするのですが、私が本作に付けたのが6,7。かのサイトの★もなんと6,7でした。
まあ、たいていの人がそのくらいに思う出来なのでしょう。いわば、普通に面白い。

本作の邦題は原作とはかけ離れて、何かが交差することを匂わせているのだが、これで
ネタが半分バレたようなもの。良いタイトルのようでいて微妙だ。
という具合で、NYPDに勤務する3人の警察官それぞれの人生が、ある1つの犯罪において
重なっていき、あるものは死に、あるものは去る、という骨子の仕立てだ。

イーサン・ホークは貧乏人の子沢山で、さらに双子が生まれようとしている。今住んでいる
家は壁や天井にカビが生えていて、妊婦や新生児に良くない。そこで彼は、犯罪を摘発する
たびにばれない程度に金を盗んだり、情報屋を殺して金をせしめたり、かなりの悪行を積んで
いた。が、心根はクリスチャンで、神に助けをすがっていたりする。良心の呵責に攻められつつ
結局は、悪徳警官の姿で身を滅ぼす。

ドン・チードルは、NYのヤクザに長年潜伏している覆面刑事。周りのチンピラからもも信頼が
厚く、特にチードルの命の恩人でもあり、かつその恩人を高裁で無罪にしてやったキャズ
(ウェズリー・スナイプス)の友情を裏切れず、FBIの汚い捜査に腹を立てつつ一級刑事に
昇進はするが、彼も警官にチンピラと間違えられて命を落とす。

リチャード・ギアはあと7日で定年退職を控え、万事事なかれ主義で、銃にも弾を入れておらず
とにかく事件に関わりを持たず、年金生活に入りたがっていた。そんな彼が新人の教育係を
仰せつかり、事件に巻き込まれていくが、変なところで正義ぶったりするのがちぐはぐだった。
彼は売春宿の女に入れあげていたのだが、所詮売春婦、定年と同時に足抜けさせようと
するが、「帰ってよ」とか言われてしまう。その帰りに、たまたま警察署で見かけた失踪人の
チラシとよく似た女がシャブ漬け状態になってバンで運ばれるところを目撃、それを
追いかけるのだ。もう退職しているというのに。自分の銃には弾を一発、実は自殺用に入れて
あったのだ。

さて、チードルの親友キャズは仲間の裏切りに合い撃たれて死ぬ。その復讐に駆けつけるの
だが、そいつらこそ、ギアが追っていきた売春組織にして麻薬の販売組織であったのだ。
また、イーサン・ホークは、カネ欲しさに自分一人でその組織に踏み込む。途中で仲間に
止められるが、仲間のクルマのタイヤを撃ってパンクさせ、現場へと向かった。

まずビルに入ってきたのはチードル。キャズを撃ったやつを次々と撃ち殺し、最大の悪を
外にまで追い詰める。そこで命乞いをするチンピラを容赦なく射殺。その姿を観たのは
イーサンを追いかけてきた仲間。チードルをヤクザと思い込み、射殺してしまう。しかし
彼の腰には今回は警察のバッジが付いていた。警察としての行動だったのだ。
愕然としながら、イーサンを探す仲間。チンピラがたくさん射殺されいている中で、ポケットに
札束を入れて絶命しているイーサンを発見した。

そのころ売春の部屋に近づいたギアはシャブ漬けにされ慰めものになっていた少女ら
3人を解放するが、そこに二人の黒人が。一人を制圧し、一人には撃てるものなら撃って
見ろ状態で迫られ、ギアは一発の弾で心臓を射抜いた。しかしこいつそれでは死なず、
ギアに襲いかかる。ギアは棚にあった結束バンドで彼のクビを締めて殺した。
警官になって初めて撃った銃、そして初めて殺した犯人。しかし彼はもうリタイアしていたの
だった。

特に3人が重なるところでは、同じビルで事件が起きるのだが、最初のチードルの銃声に
イーサンもギアも気がつくだろうに、とか、結束バンドが都合よく棚にあるな、とか、その前に
心臓を撃たれて死なない男って・・・。とかいろいろと突っ込みたくなる部分はある。
NYPDの警察官の給料の安さとか、荒廃した部分は描かれていたが詰めにやや甘さを
感じた。キャスティングはまあまあかな。FBIの憎たらしい女特別捜査官を演じたエレン・
バーキンが、まあ憎たらしくて良かった。ドン・チードルに一発張られればよかったのにと
思わせるくらい憎々しい。

麻薬やセックスシーンがあるのでR-15+だが、普通に見られるハードボイルド警察物語だ。
下に書いてあるように、正義とは何か、という大上段なテーマではなく、警官が味わうであろう
善と悪の境界線を歩くような三様の姿を描くことにより、警察官らの職務に対する悩み、大義に
対する悩みなどが垣間見られる娯楽作として見ればいいだろう。
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<ストーリー>
リチャード・ギア、イーサン・ホークら演技派共演によるクライム・サスペンス。犯罪が多発
するNYのブルックリン地区で働く3人の刑事の姿を通して、正義とは何かを問いかける。
監督は「トレーニング デイ」で警察官たちのドラマを描き、デンゼル・ワシントンにアカデミー
賞主演男優賞をもたらしたアントワン・フークア。

ニューヨーク、ブルックリンの犯罪多発地域で警官による強盗事件が発生。被害者は罪の
ない黒人青年だった。真面目な学生が警官に殺されたことで、ニューヨーク市警は激しい
非難を浴びる。上層部はイメージアップのために犯人の逮捕を急ぐとともに、取締りを強化。

この動きは図らずも、同地区で働く3人の刑事の心の闇を浮かび上がらせることとなる。
退職の日まで1週間となったベテラン警官エディ(リチャード・ギア)。波風を立てず無難に
過ごしてきた彼は、人生に空虚な思いを抱えて妻とも別居。唯一の心の拠り所は娼婦の
チャンテルだけだった。最後の仕事は、取締り強化の一環として行われる犯罪多発地区
での新人教育。だが、新人警官との警邏中に起きたある事件をきっかけに、彼の内面は
大きく変化してゆく。

信仰深く家族思いの麻薬捜査官サル(イーサン・ホーク)は、家族のために新居を購入
したいと考えていた。だが、警官の安月給では日々の生活で手一杯。そんな時、麻薬
捜査中に大金を目にして、彼の正義感が揺らぐ。

潜入捜査官としてギャングに潜入するタンゴ(ドン・チードル)は任務のために長い間、
家族を犠牲にしてきた。そして遂に、妻から離婚を迫られる。昇進もなく、人生を犠牲に
する仕事に限界を感じていたタンゴは、潜入捜査から自分を外すよう上司に訴えるが、
聞き入れられない。
そんな時、上層部は警察の成果をアピールする目的で、タンゴにある任務を与える。
それは、ギャングのボス、キャズ(ウェズリー・スナイプス)の逮捕だった。だが、キャズは
タンゴの命の恩人で、心すら通わせるようになった相手。上司の命令に抵抗するが、
上層部は逮捕と引き換えに昇進を約束する。念願だった昇進と、キャズとの友情の間で
揺れるタンゴ。目の前の現実と正義感の狭間で揺れる3人の運命は、警官による強盗事件が
きっかけとなって、思いがけず交わってゆく。その先に待っていたものは……。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-21 22:45 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)