●「ハイネケン誘拐の代償 Kidnapping Mr.Heineken」
2014 ベルギー/オランダ/イギリス Informant Europe,European Film Co.,Umedia 96min.
監督:ダニエル・アルフレッドソン  原作:ピーター・R・デ・フリース
出演:ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、ライアン・クアンテン、アンソニー・ホプキンス他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
1983年にオランダで実際に起きたビール王、ハイネケン誘拐事件の実相に迫った映画。
この映画のポイントは2つ。犯人である幼なじみの5人がどこにでもいる普通の人間であり、
根っからの悪人でないことが、結局は自分たちの破滅を招いていく、という点。
もう一つは、被害者ハイネケンの狡猾さである。アンソニー・ホプキンスが実にハマっていた。

主眼は、普通の男たちである犯人らの、誘拐を犯したばかりにその後の人生がめちゃくちゃに
なっていく様なのだが、実際、だれも悪人ぽくないし、誘拐したハイネケンの健康を心配したり
する奴すらいるわけだ。こうした人間が、悪事を成し遂げることなど出来るわけはないわけで、
結局全員が逃げおおせずに逮捕されてしまう。 それはよく分かるのだが、この事件の謎として、
最初警察でさえ大掛かりな組織の犯罪と見ていた事件が、あっという間に5人に絞られ、逃げている
最中に家族や親族も逮捕されるという急転直下、これには映画でも説明されるが、誰かの
タレコミがあったようだ。誰なのだろう。そして、23億円ともいわれる身代金は未だに行方不明
のまま。実はハイネケンが回収を済ませている、(当然保険金は降りているだろうから、
ハイネケンはボロ儲け)、という噂もある。

最後に犯人たちのその後が字幕で示されるが、意外と短い懲役で出てきているんだな。
一人はその後の別の事件に巻き込まれ死亡したようだが、一人はオランダマフィアのボスと
なった、という。誰だろう・・。結局、仕掛けた誘拐が身の程知らずの人物と身代金だったことが
あの5人のサイズに合わなかったということだろうな。もう少し、小型な犯行にすればこんな
ことにもならなかったかもしれないのに。

昨年の今頃、シネコンで封切られた作品で、ポスターを見た時に、一瞬観に来ようかな、とも
思ったが、やめておいて正解だった。WOWOWで見るのが適当な中程度の出来の映画である。
実話がベースとはいえ、映画としての充実度が今ひとつ、という感じである。
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<ストーリー>
1983年に実際に起きた大富豪ハイネケン誘拐事件の顛末を映画化した実録犯罪サスペンス。
ベストセラー・ノンフィクションを基に、未だ謎多き事件の真相に迫っていく。出演はハイネケン役に
アンソニー・ホプキンス、誘拐犯役で「アクロス・ザ・ユニバース」のジム・スタージェス、
「アバター」のサム・ワーシントンほか。監督は「ミレニアム2」「ミレニアム3」のダニエル・
アルフレッドソン。
 
1983年、オランダ・アムステルダム。コル・ヴァン・ハウトは、幼なじみの仲間3人とともに
経営していた会社が倒産し窮地に陥る。追い詰められた末にコルたちは大胆不敵な計画に
全てを賭ける。
それは、世界的ビール会社“ハイネケン”の経営者フレディ・ハイネケンを誘拐し、莫大な
身代金を手に入れるというもの。綿密な計画を練り上げ、いざ実行に移すコルたち。そして
予定通りハイネケンの誘拐に成功する。全てが順調に進んでいるかに思われたが、次第に
歯車が狂い出す。さらに、老獪なハイネケンの食えない態度にも翻弄され、いつしか
仲間同士で疑心暗鬼に陥っていくコルたちだったが…。(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2016-06-29 23:10 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「カルバラ~イラク戦争・奇跡の四日間~ Karbala」
2015 ポーランド・ブルガリア Miramar Film,Next Film.116min.
監督・脚本:クシシュトフ・ウカシェヴィッチ
出演:バルートミェイ・トパ、アントニー・クロリコフスキー、不リスト・ジョポフ、ミハウ・ジュラフスキ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆>
<感想>
イラク戦争を扱った映画は「アメリカン・スナイパー」を始めとして優れた作品も多い。
本作は、劇場未公開ながら、ポーランド製ということもあり、注目されなかったが、
なかなかいい出来だったと思う。映画の焦点が、「戦争の虚しさ」という抽象的なもので
あったため、人物描写が今ひとつ弱くなっている点が惜しいというか、見方に注意が必要か。
この話が実話をベースにしているとう点も注目しなくてはならない。描き方という側面でも。

しかし、戦闘シーンを始め、リアリティを持って迫るアフガンの日々は、よく描けている。
そして、4日間の必死の戦闘を生き抜いてきた兵士らに待っていたのは、アメリカ軍の
方針により「イラク軍の手柄にしよう。」つまり、ポーランド軍とブルガリア軍の死闘は
記録的には無かったことになったのだ。まあ、戦争の虚しさ、バカバカしさもここに
極まれり、という感じだ。

イラク戦争の多国籍軍にはオーストラリア、カナダ、韓国、デンマークなどの国々が
参加していたのは知っていたのだが、ポーランドやブルガリアという東欧の国々が
おそらくNATO軍、あるいは「集団的自衛権」により参加を余儀なくされた事実は
寡聞にして知らなかった。彼らに取っての戦闘参加は相当いい報酬にはなっていた
ようだ。それも貧乏な村から来る兵士のことを考えると、いたたまれない。

ブッシュの見当違いの戦争で、多くの命が失われ、いまだに解決していない。
本作では戦争の大義という側面で描くのではなく、そもそも大義なんてないなんだか
わからない戦闘に駆りだされ、殺さないと殺されてしまうからという、兵士レベルの
戦いとして、戦争の不条理を浮かびあげている。

冒頭に傷ついた戦友を助けろ、という命令を怖くて聞けなっかった新米衛生兵、その
舞台を率いる中尉や大尉、イラク人警官とその娘、いろいろな人物にスポットが
当てられるが、戦争は虚しい、という表現のコマとして機能していて、その人柄を
描くものではないので、素材として見ておく、というのが正解な見方なのだろう。

数あるイラク戦争のエピソードを描いた映画の中でもお勧めできる秀作といえるだろう。
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<ストーリー>
米軍が主導したイラク戦争の“イラクの自由作戦”にはポーランド軍の兵士も2500人が
参戦したが、2004年、イラク中部にあるイスラム教シーア派の聖地カルバラの町では
ポーランド陸軍らの兵士たちが武装した民兵たちに完全包囲され、全滅の危機に
さらされた……。
知られざる実話をアクション満載で迫力たっぷりに再現した力作。出演は日本映画
「杉原千畝 スギハラチウネ」にも出演したM・ジュラフスキら。WOWOWの放送が
日本初公開。

2004年。ポーランド陸軍の若い衛生兵グラドは、イラクのカルバラに赴任する。
だが現地では多国籍軍を嫌うイラク人たちが武装し、一触即発の状態にあった。
カルバラ市庁舎にいたポーランド陸軍とブルガリア軍だが、イラクの民兵たちに包囲され、
たちまち激しい銃撃戦が起きてしまう。交代部隊も足止めされ、ポーランド陸軍らは
残り少ない弾薬と食料だけで孤立する事態に。グラドはあることをきっかけに隊と
はぐれてしまい……。 (WOWOW)

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by jazzyoba0083 | 2016-06-27 23:32 | 洋画=か行 | Comments(0)

マシニスト The Machinisit

●「マシニスト The Machinist」
2004 スペイン・イギリス Filmax Group Castelao Producciones.106min.
監督:ブラッド・アンダーソン
出演:クリスチャン・ベイル、ジェニファー・ジェイソン・リー、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ジャン・シャリアン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
役作りのために30キロの減量をしたクリスチャン・ベイルのお姿で、この映画の半分の良さは
決まってしまったようなものだけど、映画としても、そのベイルの怪演を含め、面白かった。
一年間眠らないと死んじゃうんだけど、映画でも出てくるが、うつらうつらするんだよね。でも
なんかの物音がしたり、読んでいた本を落としてしまったりして、目が覚めちゃう。そのあたりの
細かい演出は良かった。
(ここから決定的にネタバレですが)主人公トレバー(ベイル)は赤いムスタングを運転していて
交差点で男の子をはねてひき逃げしてしまうのだな。この罪の重さに不眠症になり、様々な
恐怖の妄想を見るわけ。で、どこからが妄想なのか、どこからが現実なのかがわかりにくい構造に
なっている。マシニストとは機械工の事。トレバーは旋盤工みたいな仕事をしているのだが、
誤って仲間の腕を切断してしまう事故を起こす。その原因を作ったのはアイバンという男の姿
であった。この男、知り合いのようなのだが、実は幻想なのだ。

それ以降、作品の中に出てくる主人公が毎日行く空港にあるカフェの従業員とその息子。
(ひき逃げしてしまった母と息子)彼らとのデートの幻影。冷蔵庫に貼り付けられる謎なぞの
ような気持ちの悪い絵、自分もあわや機械に巻き込まれそうになる事故、アイバンという男が
乗っているムスタングを調べていたら、それは自分が乗っていて廃車届けを出していたクルマで
あったこと、寂しさを紛らすために通っていた娼婦の部屋にあったアイバンという男の写真(実は
自分の痩せる前の写真)、アイバンの後をつけていくとカフェの女給の息子が一緒に家に入って
いく・・・。見ている人はあたかもトレバーになり、妄想幻想と現実の狭間を彷徨うことになる。
次にどうなるのか、という「悪い予感」がこの映画の魅力だ。

allcimemaの感想を読むと、オチは割りと簡単に分かった、と書いている人が多いが私は
分からなかった、その分映画を楽しむことが出来た。
結局、見ている人がクリスチャン・ベイルになり罪の意識から生まれる幻想妄想をともに恐怖しつつ
共有することにより、この映画の楽しさ面白さが出てくると感じた。だから、先回りしてオチを
探さないほうが楽しめるのではないか、そう感じた。
しかし、クリスチャン・ベイルの肋骨どころか背骨さえ浮き出た痩せ姿、顔のげっそり具合は
それだけでホラーだなあ。
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<ストーリー>
工場で機械工として働くトレヴァー(クリスチャン・ベイル)は、原因不明の極度の不眠症で
すでに365日眠っていない。体も生ける屍のように痩せ細っている彼は、ある日、
アイヴァン(ジョン・シャリアン)という大男と出会う。その日から奇妙な事件が次々と起こり、
工場ではアイヴァンに気を取られたトレヴァーの不注意で、同僚のミラー
(マイケル・アイアンサイド)が片腕を失ってしまう。

そして今度はトレヴァーが作業中に腕を切断しそうになる。しかも同僚たちは誰も
アイヴァンの存在を認識していない。トレヴァーはお気に入りの場所である空港のカフェの
優しいウェイトレス、マリア(アイタナ・サンチェス=ギヨン)と、彼女の息子と共に遊園地に
行くが、そこでも少年が持病の癲癇で倒れる奇妙な事故が起こった。

やがてミラーの事故がきっかけで同僚たちとの折り合いが悪くなっていたトレヴァーは、
工場をクビになる。彼は自分を陥れる陰謀を感じた。そして謎の男アイヴァンを再び見かける。
トレヴァーはアイヴァンの乗っていた赤い車のナンバープレートを突き止めるが、
なんとその車の登録はトレヴァーだった。混乱した彼は親しい娼婦スティーヴィー
(ジェニファー・ジェイソン・リー)の部屋を訪ねるが、ベッドの横に、アイヴァンとミラーが
一緒に写っている写真を発見する。スティーヴィーは、その写真はトレヴァーが置いていった
ものだと言う。衝撃を受けたトレヴァーはついにアイヴァンを捕まえて殺害するが、
アイヴァンの姿は消えない。実はトレヴァーは、マリアの息子をひき逃げして殺害しており、
その罪の意識が不眠症と幻覚を引き起こしていたのだ。そしてトレヴァーは警察に自首
することで、ようやく眠りにつけるのだった。(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2016-06-21 23:40 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「幸せになるための5秒間 A Long Way Down」
2014 イギリス・ドイツ Wildgaze Films,BBC Films.96min.
監督:パスカル・ショメイヨ  原作:ニック・ホーンビィ「ア ロング ウェイ ダウン」
出演:ピアース・ブロスナン、トニ・コレット、アーロン・ポール、ロザムンド・パイク、サム・ニール他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
なかなかの名優たちが並び、予告を見るだけでは面白そうじゃなか、と思い、観てみました。
原作をどう映像化し、観客に納得してもらえるかが、原作モノの苦労する点だと思うのだが、
本作について言えば、4人の自殺願望者のそれぞれの背景や時間経過による心境の変化などが
かなり端折られるので、浅い感じになってしまっているウラミがある。

せっかくの面白い設定を、上映時間をも少し伸ばしてもいいから丁寧に描いたら、もっと
いい感じの映画になったのじゃないか。もったいないと思う。確かに自殺を思い立ったら
同じような考えの人があと3人もいたらシンパシーを感じてしまうし仲間意識も生まれるだ
ろうけど、なんかこうも脳天気にはいかないんじゃないか、と思ってしまう(のはいけないのかな、
コメディだし。)

リーダーみたいな役割を担う年長者のピアース・ブロスナンが未成年の少女にちょっかい出した
が故に、築き上げたテレビ司会者の座や家庭を失い自殺を思い立つ、というのはいいとして
後の蓮っ葉な娘が高名な政治家の娘だったり、癌だと偽った青年が自分がやっているバンドが
上手くいかないとか、脳性麻痺の歳を食った息子の看護に疲れたシングルマザーなどの設定が
いいんだけど、なんか浅い感じなのだ。それぞれ自殺を思い立つのはいいとして、自殺を
止める、4人がたまたま自殺の名所のビルの上で出くわしたことから行動を共にし、
お互いを知り合ううちに生きる目的というか、生きている方がいいな、と思ってくる、その辺りの
ストーリーはいいのだけれど、大晦日に自殺を思い立ちバレンタインまではとにかく止めようと
いうう約束、でもバンドマンがまたまた自殺を企てたり、紆余曲折はあるのだが、
ハッピーエンドへの強引な持って行き方が、(320日の後・・・という折りたたみ方)、演出だろうが
ちょっとなあ、という感じだった。まあ、見ていて嫌な感じのする映画ではないので、目くじら
たてずにコメディーを見るがごとく見ればよろしいかと。
タイトルが分かりづらいが、映画の中のエピソードで、ゴールデンゲートブリッジから身投げした
男が、空中にいる5秒間で自殺を後悔、奇跡的に助かり、その後はしっかり生きた、という
お話から取られている。キリスト教では自殺は禁じられてますからねえ・・。
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<ストーリー>
TVの人気司会者だったが、そうとは知らなかったとはいえ未成年の女子と肉体関係を
持って仕事も家庭も失い、懲役から帰ってきたマーティンは大みそかの夜、飛び降り
自殺をしようと高層ビルの屋上へ。だが、そこでやはり自殺しようとしていた、息子に
障害があるモーリン、恋人にフラれたジェス、若くしてがんにかかったJJと出会い、
次のバレンタインデーまで自殺を延期すると約束し合う。やがて彼らはマスコミから
注目され……。 (WOWOW)

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by jazzyoba0083 | 2016-06-20 23:15 | 洋画=さ行 | Comments(0)

天空の蜂

●「天空の蜂」
2015 日本 松竹映画 「天空の蜂製作委員会」:講談社、GYAO! 木下グループ他
監督:堤幸彦  原作:東野圭吾 「天空の蜂」
出演:江口洋介、本木雅弘、綾野剛、仲間由紀恵、國村隼、柄本明、光石研、佐藤二朗、石橋蓮司他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
原作は1995年だから福島よりずっと前のこと。しかし、これを今製作するにあたっては
福島を避けては通れないだろう。さらに、国民の原発を見る目も随分変わったはずで
映画では「新陽」といわれている高速増殖炉は「もんじゅ」であろう。これらの存在を含め
日本の原子力政策は大きく変わってしまったため、原作が出来た頃と中身が変わらざるを
得なかった。
その現在において原発テロを描くということは勇気がいただろうと思う。その点は松竹を
評価したい。故に製作委員会には常連のテレビ局や新聞社の名前はない。

ただ、結局、原発を止めろという犯人の要求、その犯人が事件を起こそうとした動機、
(綾野剛と本木雅弘、仲間由紀恵)片や、自衛隊の最新ヘリ(乗っ取られた)を開発した
江口洋介、(息子は長じて航空自衛隊に入りヘリのパイロットとなり福島で活躍する)らの
相剋は、原発が悪であるかどうか、についての結論を出していない。そこまでが精一杯
だったのだろう。

それであっても、反原発派の動きや主張、犯人の動機の裏側にあるもの、また原発を
止めろといわれて実施した政府の嘘、など今の原発政策(映画のコメントにも出て
来るが、「人の命より電気のほうが大切なんだ」というセリフなどは、日本の映画か?と
驚く。この映画を百田某が見たらどう思うだろうか。

冒頭から緊迫した展開が最後まで続くので、観させ方としては流石に堤監督である。
また大型ヘリを中心としたCGの出来もなかなかで、リアリズムを重要視する堤監督の
拘りであったであろう。綾野剛が手錠を外す痛いシーンも。
ただ、ひとつ残念だったのが、冒頭の子役(江口の息子で乗っ取られるヘリに乗りあわせて
しまう男の子)の演技が満足行くレベルではなかったので、それがとても残念だった。

主役の江口、本木、仲間、柄本、國村、竹中らの芸達者たちの演技については文句はない。
ただ、堤監督の地元であるので名古屋弁をしゃべる刑事が出るのだが、ネイティブからすると
微妙に違うんだよなあ。

自衛隊の全面協力も得られず、もちろん原発施設の協力もない。「亡国のイージス」の
ように海外からのテロではない部分での製作の苦労もあっただろう。
スペクタクルが好きな人は一度見てみるといいと思う。
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<ストーリー>
1995年8月8日、全長34メートル・総重量25トンを誇る自衛隊用超巨大ヘリ『ビッグB』が
遠隔操縦によりハイジャックされ、原子力発電所『新陽』の上空で静止。『天空の蜂』を
名乗る犯人は全ての原発の破棄を要求、さもなくば爆発物を大量に積んだヘリを『新陽』に
墜落させると訴える。ヘリの燃料が尽きるまではわずか8時間。『ビッグB』の機内には
子供が取り残されており、その父で『ビッグB』開発に携わったヘリ設計士・湯原(江口洋介)と
原子力発電所設計士・三島(本木雅弘)は子供の救出と日本が消滅しかねないこの
恐るべき危機を打開するために奔走する。
しかし政府は原発破棄に難色を示していた。タイムリミットが迫る中、見えざる敵との
攻防が始まる――。(Movie Walker)

この映画の詳細は
by jazzyoba0083 | 2016-06-19 17:30 | 邦画・新作 | Comments(0)

続・社長外遊記

●「続・社長外遊記」 
1963 日本 東宝映画  96分
監督:松林宗恵
出演:森繁久彌、小林桂樹、フランキー堺、加東大介、三木のり平、新珠三千代、草笛光子他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
この手の映画がこのブログに載ることはほとんどないのであり、事実、この東宝の社長
シリーズをまともに見たのも初めてである。当時は若大将シリーズと並んで東宝のドル箱
シリーズだったのだな。我が家のブルーレイレコーダはキーワード録画が出来、個人的に
好きな「ハワイ」を入れてあるので、解説にハワイがという単語が入っていると、この手の
映画やら、「トラ!トラ!トラ!」「ファイナルカウントダウン」などのハワイが舞台になった
映画が新旧録画されるわけ。で、先日録画された作品を観てみたら、本作がBSフジで
放送されていたものが釣れていたのだった。前編にあたり「社長外遊記」も。

ただし、ハワイ度は続編のほうが強く、今から半世紀ほど前のホノルルは一体どうなって
いたのだろうか、というその一点で観てみた。そしたら結構映画にも引き込まれたという
塩梅だ。昔の人たちは、この映画の森繁やのり平の演技で笑っていたのだろうか。
思えば幸せな時代だった。

さて50年前のホノルル(ヘリに乗るシーンもあるので空撮!がある)は、ピンクパレスと
モアナサーフライダー、シェラトンハワイアンビレッジ以外に高いビルは目立たず、
今は一方通行のカラカウアやアラワイは当時は対面通行。
どこかは分からないがショッピングセンター(というより商店街)も今からでは想像出来ないほど
鄙びている。空いた土地もあちこちにあり、今日のビルたちすぎのホノルル・ワイキキより
のどかでよろしい。まあ、今のほうが便利っちゃあ便利だけど。

映画のほうだけど、森繁あたりは相当アドリブをかましている風。娯楽はまだテレビよりは
映画の時代、年に4本も作られていた本作などは、今で言えばテレビドラマのように消費されて
いたのだったのだろう。
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<ストーリー>
丸急デパートのハワイ進出を計って風間社長、大島常務、珍田部長の首脳部は中村
秘書課長が待つハワイへ向った。現地に着いた一行は早速関係者を集めて日本料理屋
“さくら亭”でパーティを開き、珍芸を披露して一世、二世達の喝采を博した。

その夜以来風間はさくら亭のマダム紀代子にぞっこん参ってしまい、昼はハワイ名所で
デイト、夜はさくら亭に入りびたりでご奉公という始末。肝心の敷地買収は日系三世の
ジョージ・沖津にまかせっきりという無責任さ。

一方珍田は中村をガイドにしてもっぱら穴場めぐり、フラダンス大会に女装で出場しては
見事一位になって国威発揚した。ミス・ハワイ丸急コンテストにはジョージの経営する
雑貨店の看板娘キャサリンが文句なく選ばれた。
一人ホテルに残された大島は洗濯に大忙し、ある日、風に飛ばされたふんどしを拾って
くれた松本老人と親しくなり、それからは碁盤を挟んで対局の毎日となった。

買収をまかせたジョージはキャサリンを口説くのに懸命で、たまりかねた圭之助がやっと
交渉をはじめたが時すでに遅く、目指す土地は他人に売約済み。あわてて地主の所へ
乗り込んでみると、地主というのは松本老人だった。かねてからの親交で大島が聞き
出したところ、新しい持主は意外にも紀代子と判った。早速紀代子のもとへかけつけたが、
一足違いで東京へ発ったあとだった。しかもハワイに来ていたライバル福助屋の
水谷社長と一緒に出かけたという。大あわての一行はすぐに日本へ帰ることになった。
東京での仕事と恋の成果はいかに。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-06-18 11:00 | 邦画・旧作 | Comments(0)

●「インナースペース Innerspace」
1987 アメリカ Warner Bros.,A Guber-Peters Production,Amblin Entertainment.121min.
監督:ジョー・ダンテ 製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
出演:デニス・クエイド、マーティン・ショート、メグ・ライアン、ケヴィン・マッカーシー、フィオナ・ルイス他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
★は6.5。この手のものは「ミクロの決死圏」という名作があるが、本作はコミカルな味付けで
家族連れにも楽しめる塩梅になっている。時代がここまで来ると、結構頑張った特殊効果など
もあり、全体としては尺がやや長いが、まあ安心して観ていられる娯楽作に仕上がっている。

なかんづく、マイクロ潜航艇のパイロットである若きデニス・クエイドと、その潜航艇が体内に
入ってしまったマーティン・ショートのやりとりが笑える。これデニス・クエイドの恋人役
これまたキュートなメグ・ライアンが絡み、はたまた抜けている悪党一味も加わって楽しい。
実際はありえないような突っ込みどころも沢山あるが、エンターテインメントとして楽しければ
いいじゃないか、というレベルの映画だ。

それでも異物な体内に入った時の様々な現象は科学的な裏付けを一応取ったのだろうけど、
そんなことはぶっとんでしまうような展開であるので、あれあれ、と言って面白がったほうが勝ち。

26歳のメグ・ライアンがキュートでいいなあ。彼女、この後本当にデニス・クエイドと結婚した
んだよなあ。(離婚したけど)
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<ストーリー>
サンフランシスコのべクター・ラボ研究所で今、世紀の大実験が行なわれようとしていた。
元パイロットのタック・ペンドルトン(デニス・クエイド)が実験用ポッド<探査艇K2>に入り、
科学者オジー・ウェクスラー(ジョン・ホラ)の合図に従って今しも縮小化されウサギの
体内に入ろうとしていたのだ。2枚のマイクロ・チップのうち1枚が探査艇に組み込まれ、
残りの1枚はコンピュータ内部にセットされた。が、そのとき、ケンカー博士(フィオナ・ルイス)
率いるスパイ団が所内に乱入、セットされていたマイクロ・チップが盗まれた。
彼はこの計画を横盗りしようとしていたのだ。オジーだけが辛くも逃げだしたが殺し屋アイゴー
(ヴァーノン・ウェルズ)に撃たれて息たえだえとなり、その直後、出会い頭にぶつかった
ジャック・パター(マー・チン・ショート)のお尻に注射器を刺してしまう。

こうしてタックが乗り込んだ探査艇は注射器を通してジャックのお尻から本人の体内へと
入ってしまう。自分が人間の中に入ったことなど知る由もなかったタックだが、モニターを
使って外界を見てようやく事の重大さに気づいた。許容酸素量は24時間しかないのだから、
速くこのことをジャックに知らせなければ脱出できなくなってしまう。

その頃、マーガレット博士の研究所では黒幕のスクリムショー(ケヴィン・マッカーシー)らが、
探査艇をぶち込まれたのがジャックであることをつきとめ、ジャック誘拐の指令がアイゴーに
下った。探査艇に組み込まれたマイクロ・チップを奪い、手もとにあるそれを合わせ新たな
実験を行なおうとしていたのだ。
ジャックの体内のタックは中耳まで探査艇を移動させて本人とのコンタクトに成功、かつての
恋人であるジャーナリスト、リディア・マックスウェル(メグ・ライアン)と連絡するよう指示するが、
偶然にも今彼女が取材しようとしていた不思議なカウボーイ(ロバート・ピッカード)こそ
スクリムショーと接触しマイクロ・チップを入手しようとしていた人物だった。

タックを元の身体に戻すには2枚のマイクロ・チップが必要で1枚は探査艇に組み込まれ、
もう1枚はスクリムショーの手にあったのだ。それを手に入れるために、ジャックとリディは
カウボーイをマークするのだった。
しかし敵もさるものでアイゴーをミクロ化して探査艇のマイクロ・チップを奪おうとジャックの
体内に送り込んでくる。体内では壮絶な一騎討ちが始まった。タックはアイゴーを胃の中に
誘い胃液で溶かしてしまう。そしてタックはジャックのくしゃみと共にようやく体内から脱出
することができた。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-06-16 23:20 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「ビッグゲーム 大統領とハンター少年 Big Game」
2014 フィンランド・イギリス・ドイツ Subzero Film Entertainment and more.91min.
監督・脚本:ヤルマリ・ヘランダー
出演:サミュエル・L ・ジャクソン、オンニ・トンミラ、レイ・スティーヴンソン、ヴィクター・ガーバー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
何か、こう少年漫画雑誌を読んでいるような感覚。森に住む少年の成長譚であるが、そこに
合衆国大統領が絡んでくると俄然ただならぬ様相を呈するわけだ。短い映画だし、そう
目くじらを立てるほどの期待も無かったわけだが、ヘタレ大統領と、なんだか知らないけど
(ご都合主義的に)強い少年の活劇が結構面白かったりして、見てしまった。
そう金がかかってなさそうな映画だが、エアフォースワンの映像とか爆発シーンとかのCGの
出来がそこそこ良かったりするので、そこが加点材料となってもいる。

お話は単純で、テロリストの中国製小型ミサイルによってエアフォースワンが撃墜されるの
だが、大統領は緊急脱出用ポッドに乗り、辛くも脱出。そのポッドがフィンランドの山奥に
着陸し、それを父親を越えようと一人で狩りの冒険に出てきた少年が発見。少年は
大統領を救うことで男になっていくのだ。

エアフォースワンにあんなジェミニ宇宙船の先端のようなポッドがあるのかどうかとか、
少年が小型四駆のトラックみたいなものを運転して山に入っていくとか、世界最強の
アメリカ軍の、しかも最高司令官たる大統領の乗り組むエアフォースワンが6機ほどの
護衛戦闘機もろとも簡単に撃墜されるのか、とかいろいろと突っ込みどころというか
あれあれ、という点はあるし、この手の映画の王道としての敵の存在の設定がちょっと
ひねりがなさ過ぎ、という難点もあるが、まあ、女っけほとんどゼロだし、親子で見る
作品としてはまあいいんじゃないでしょうか。
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<ストーリー>
フィンランドの山岳地帯を舞台に、アメリカ大統領と13歳の少年が年の差や身分の違いを
乗り越え、まるで親子のような絆を育み、テロリストに立ち向かう姿を描くサバイバル・
アクション。サミュエル・L・ジャクソンがアメリカ大統領に扮し、ユーモアあふれる演技や
体を張ったアクションに挑戦している。

アメリカ大統領(サミュエル・L・ジャクソン)を乗せフィンランドの首都ヘルシンキに
向かい航行中のエアフォースワンに、テロリストによる地対空ミサイルが撃ち込まれた。
大統領は墜落前に緊急脱出ポッドで避難し難を逃れ、フィンランド北部の山奥に着陸。
しかしワシントンD.C.の国防総省はポッドの位置を見失い、テロ・グループによる捜索の
手が迫る中、孤立無援の大統領を助けたのはシカ狩りをしていた13歳の少年ハンター
だった。厳しい状況下、大統領と少年の戦いが始まる。(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2016-06-15 22:30 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「夏をゆく人々 Le meraviglie 」
2014 イタリア・スイス・ドイツ Tempesta,Amka Films Productions,Rai Cinema.111min.
監督・脚本:アリーチェ・ロルヴァケル
出演:マリア・アレクサンドラ・ルング、サム・ルーウィック、アルバ・ロルヴァケル、ザビーネ・テモティオ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
2014年カンヌ国際映画祭グランプリ作品である。いかにもカンヌ好み、いかにも欧州的な作風。
女流監督目線で描かれる、イタリアの養蜂家一家のあるひと夏の出来事を淡々と綴る。
ラストシーンの演出など見ているとファンタジーでもある。しかし映画の良さをどこに求めるのか
というとなかなか難解な映画ではある。

トスカーナに暮らす養蜂一家。4姉妹と何をしているのかよくわからない母、どういう経緯で
いるのかよくわからない居候の女ココ。原題の英語版が示すように、養蜂家はハチと花を
追いかけて各地を転々とするわけだが、日本で言えば小学校6年生ほどの、しっかりものの
ジェルソミーナは学校へ行っているフシはない。家族構成からしてファンタジックなところへ、
父がプレゼントといってラクダを買ってきたり、いくら夏とはいえ、道だか広場だか庭だか
わかんないような地面にマットを敷いて眠るところとか、先にも書いたようにエンディングで
家族が忽然と消えてしまうとか、非現実的イメージを持つテレビ番組の存在も相まって
誠に幻想的(ファンタジック)な、叙情詩的な映画であった。

養蜂一家のひと夏の物語。テレビ番組と少年更生プログラムで預かることになる少年の
存在。そして長女ジェルソミーナを中心として描かれる少女の感性。ハリウッドスタイルの
映画を好む私としては、この手の映画は不得意のジャンルである。
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<ストーリー>
2014年のカンヌ国際映画祭でグランプリに輝いたドラマ。イタリアの人里離れた土地で
養蜂業を営む一家の昔ながらの暮らしぶりと、徐々に訪れる変化の中で12歳になる
4姉妹の長女の大人への成長を丁寧な筆致で描く。監督は、これが長編2作目のイタリアの
新鋭アリーチェ・ロルヴァケル。
 
 イタリア中部、トスカーナ地方。人里離れた自然豊かなこの土地で、昔ながらの方法で
養蜂を営む一家があった。ドイツ人の父ヴォルフガングと母アンジェリカ、4人の娘たちに、
居候の女性ココという家族構成。長女のジェルソミーナはまだ12歳ながら養蜂の技術に
優れ、いまや頑固一徹な父の助手として欠かせない存在となっていた。

ある日、一家はテレビ番組のロケ現場に遭遇し、ジェルソミーナは女性司会者の華やかな
美しさにたちまち心奪われる。そんな中、一家は14歳のドイツ人少年を預かることに。
それは、少年更生プログラムによるもので、ヴォルフガングが勝手に決めてしまったこと
だった。戸惑う女性陣をよそに、まるで息子ができたようでご機嫌のヴォルフガングだったが…。
(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2016-06-13 23:30 | 洋画=な行 | Comments(0)

●「ヘイル、シーザー! Hail,Caerar!」
2016 アメリカ Mike Zoss Productions,Working Title Films.106min.
監督・脚本・編集:イーサン&ジョエル・コーエン
出演:ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、オールデン・エアエンライク、レイフ・ファインズ
    ジョナ・ヒル、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィンドン
    チャニング・テイタム。
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
コーエン兄弟、今回はこうきたか!という感じ。映画好きには、特に「ザッツ・エンタテインメント」
の頃のハリウッドが好きな映画好きには堪らない一作となった。私もその口である。
タイトルから類推するに、古代ローマを舞台にしたものなのか、コメディなのかどうなのか
分かり辛いが、作中で作られる映画のタイトルがそのままタイトルになっているという具合。
それにしても名が体を現さないから日本でヒットするのは難しいだろう。

加えて、アメリカの社会風土と思い切りシニカルに笑い飛ばしているところがあるので
まあ、それなりには面白いけど、ウディ・アレンの作品と同様、宗教、ユダヤ人、赤狩り、
ハリウッドスターという人たちの社会におけるポジションなど(特に1950年代における)が
理解されていないと面白さも半減、という仕掛けからすると、日本でのヒットは望めない。

またコーエン兄弟らしくないなあ、と感じる人も多いかもしれない。身もふたも無い不条理な
暴力や、観念的な構成などがここでは身を潜めているからだ。筋を追う分には分かりやすいと
思う。けど、コーエン兄弟が言いたかったことの深い部分をしっかりと受け止めようとすると
難しいかもしれない。

ジョシュ・ブローリン演じるスタジオのトラブル処理係エディ・マニックス氏が、オプ風に登場
する。まあ、彼の登場で、この映画は真面目にはすまないな、と感じる。
彼が解決しなくてはならない問題は、所属するキャピトル映画が製作中のローマ時代の
大作「ヘイル、シーザー」でシーザー役を演じる大スター、ベアード・ウィットロック(クルーニー)が
誘拐されてしまい、身代金を要求されるのだが、それを解決し映画を完成させることに
ある。
一方で、エディ自身も当時花形企業となりつつあったロッキード社からヘッドハントを受けて
いて、先方と接触するなどしていた。 この二つのストーリーが縦軸で、
これにハリウッドスターたちのスキャンダルや、トラブル、製作者側と現場との考え方の違い
などなどのエピソードが横軸として織り込まれていく。
その一つ一つがコーエンらしいアイロニーやシニカルな視点が加えられ進むのだ。
「ヘイル、シーザー!」はキリスト復活の下りが出てくるため、宗教的にバランスは取れているか
を、ユダヤ教、正教、カソリック、プロテスタント、などいろんなキリスト教系の聖職者を
呼んで意見を聞いたり。その場でのユダヤ教ラバイとの問答がなかなか味わい深いものだったり。

人気女優ディアナ・モラン(ヨハンソン)は、エスター・ウィリアムズ張りの水着の女王。でも
だれだかわからない男の子供を妊娠したり、かなり蓮っ葉な口の聞き方といい、スカーレット
本人の当てこすりか、はたまたエスターが実際そういう人物だったのか、などと思ってしまう。

更にセリフがまるでダメな西部劇専用のイケメン俳優ボビー・ドイル(エアエンライク)を
製作者側が興行的成功を狙い強引にラブストーリーの主役にキャスティングする。
しばらくは我慢をしていたローレンス・ローレンツ監督(ファインズ)の激怒ぶり。
そしてボビーの能天気ぶり。

そのラッシュを見ていたエディ、女性編集者(マクドーマンド)のスカーフがフィルムリールに
からんであわや窒息死!という珍場面も。

さらにジーン・ケリーと思しきミュージカルスター、バート・ガーニー(テイタム)らによる
タップダンスと50年代MGM風ミュージカル場面、あ、主人公エディが禁煙を破ってしまい
ました、と教会で懺悔するのだが、これが映画で数回、いろんな懺悔をしているのだが、これが
エディという人間の個性を引き立てている。

そして最大の見所は誘拐されたベアード(ジョージ・クルーニー)。誘拐するのが結構金持ち風の
共産主義者たち。彼らはベアードを洗脳して、映画を通して共産革命を成功に導く助けと
したい、と目論むのだが、ベアードはあっけなく感化されるものの、救出後に映画に戻ると
なんのことはない、唯物主義者には敵のはずのキリストの復活に心を打たれるという役柄を
見事に演じてしまうという軽さを発揮してしまう。ご存知の通りクルーニーはハリウッドでも有名な
リベラルなのだが、そうした彼がこのような役柄を演じている(狙いだろうけど)ことに笑えて
くるのだ。
また、ミュージカル俳優だったテイタムがソ連の潜水艦でモスクワに渡り革命に命をささげる
という(身代金の10万ドルは海に消えたけど)あたり、コーエン演出らしく観念的ではある。

なんといってもスカヨハのエスター・ウィリアムズばりの映画のワンシーン、テイタムが水兵の
衣装でジーン・ケリーばりに歌って踊るミュージカルシーンなど50年代映画ファンとしては
堪らないところだ。

全体として、映画への愛情に満ち溢れている反面、ハリウッドの内情をおちょくり、暴露し
小気味いい出来となっている。上映時間もちょうどいい。私はコーエンらしいとは何かと
いうことも含め、本作はコーエン兄弟の中でも好きな作品になるであろう。

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by jazzyoba0083 | 2016-06-05 13:30 | 洋画=は行 | Comments(0)