●「フェイク・ライフ ー顔のない男ー Un illustre iconnue」
2014 フランス・ベルギー  Capter 2,Pathe and more 118min
監督・(共同)脚本:マチュー・デラポルト
出演:マチュー・カソヴィッツ、マリ=ジョゼ・クローズ、エリック・カラヴァカ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
特殊メイクを使って他になりかわってしまうことを、趣味以上の性癖に
してしまっている男の話。冒頭の爆発シーンからリバースする画面を見ると
この話一つ、というカンジがするのだが、大団円はさにあらず。

他人と入れ替わる、という映画はこれまでもいろいろとあったのだが、
本作は、主人公の背景を説明せず、性癖のみに特化して展開させ、最終場面で
彼が手に入れたものを提示して終わるのだが、それが彼の心の動きを
単純化して示していて分かりやすく面白かった。特殊メイクのプロだからと
言って、子どもの認知を迫る女性や、子どもからはバレないものだろうか?
もともと似ている顔立ちを選ぶといっても。

不動産屋の従業員セバスチャン・ニコラは、部屋を探しに来た男になりすまして
みる。彼の部屋に行ってあたかも彼のように過ごしてい見る。(おかしいやつ
なんだよね)断酒会のカードを見つけると、彼になるりすまして参加し、
作った身の上を語ったりしていている。バレることを考えないのだろうか。
案の定、そこで「お前は誰だ?」と指摘され、逃げ出し、後を追いかけられると
いう危険にも会うわけなんだけど。

そのセバスチャン、次回に狙いを付けたのは、高名なピアニストなのだが事故で
指を二本失いった男。世をはかなんで隠遁しているような男モンタルトに目を
付ける。二本の指が無いのなら、と自分の指も包丁で落としてしまう。(痛い!)
さっそく完璧な変装。喋り方までしっかりと研究する。さらに彼を自分の家に連れ
込み、自分に仕立て上げて、「この電話を聞く頃自分はいません」と留守番電話に残し、
ガス爆発で家ごと吹き飛ばしてしまう。これが冒頭のシーンだ。
しかし、モンタルトの元に愛人クレマンスが登場、自分の子ヴァンサンを認知しろと
迫る。このヴァンサン少年、凄腕のバイオリニストなのだ。
クレマンスとヴァンサンに愛されているという感情が芽生え、「他の誰でもない」
「自分という存在を消して生きる」という人生を楽しんでいたセバスチャンの
生き方に変化が生まれる。それはモンタルトとして生きることで、ヴァンサンの
成長を見つめ続ける幸せ、ということだ。

だが、ガス爆発を調べていた警察は、ついにモンタルトがセバスチャンであり
殺人犯であるということを突き止め、セバスチャンは逮捕され、刑務所に送られる
ことになる。が、彼はこれまでの性癖を脱し、ついに自分を見出したのだ。

「何者でもない自分」「他人の人生でしか楽しめない自分」でも、自分とは誰か、
とわかった時はすでに遅かったのかもしれないが、刑務所から出てきた時の
セバスチャンはきっと、人を愛せる「自分がある」人間になっているのだろう。
高邁で哲学的なテーマではあるが、描写が俗っぽいので、そのあたりで魅せる映画だ。
ヨーロッパの映画だなあ、と感じさせる一編だ。
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<ストーリー>
42歳の独身男性セバスチャンは表向き、不動産会社で働く真面目な人物。だが、
自分が出会った男性に特殊メイクを使ってなりすますことで、自身が孤独である
ことをごまかしながら生きるという、異常な一面があった。そんなセバスチャンは、
著名だが気難しいバイオリニスト、アンリに家を探す仕事を担当し、本人に悟られ
ないようアンリになりすまし始めるが、アンリが自分の息子の父親であると主張
する女性クレマンスと出会い……。
(wowow)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audiece Score:62%>







by jazzyoba0083 | 2017-05-31 23:20 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

モアナと伝説の海 Moana

●「モアナと伝説の海 Moana」
2016 アメリカ Walt Disney Pictures.107min.
監督:ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ 
出演(声):アウリィ・クラヴァーリョ(モアナ)、ドゥエイン・ジョンソン(マウイ)
      レイチェル・ハウス(タラおばあちゃん)、ジェイマン・クレメント(タマトア)他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

回りの大人たちに結構評判が良かったのと、ハワイ好きなら観ておくべし、ということで
まさしく、先日のホノルルからの帰国便で観てみました。故に2D版。★は7.5。

ハワイの話ではなく、古代のポリネシア全体の話として描かれるので、昔、昔、と
始まるお話ですよ、というのが分かりやすい。モアナはハワイ語で「太平洋」を
意味している。「リトルマーメイド」「アラジン」を作ったコンビなので、破綻の
ないストーリー仕立て、そして冒険におけるハラハラ感やカタルシスの演出、そして
音楽と、どれを取り上げても一流であることは間違いない。喋る言葉や仕草が今日的
だが、それは今日のアニメなので、キャラクターの魅力を今日的に際立たせるためには
(味付けとして)必要だと理解できる。特に「マウイ」のキャラは非常に魅力的で
仕草やセリフも、おちゃめで力持ち。子どもにとっては観ていて気持ちのよいヒーロー
だろう。特に最後の登場の仕方は。

今回日本語字幕で観たのだが、吹き替えではどういうニュアンスであったのか、訳が
ちょっと気になる。基本的には子どもが観て分かるような仕立なので、単純で、勇気を
持って冒険に繰り出す、人間として「愛と優しさと勇気」という不朽の3大テーマを
ディズニーらしい作り方で提示するという筋立てである。

言わんとすることろが普遍的なので、大人が観ても十分に鑑賞に耐えうる、というか
より深い意味合いを汲み取れるという点では、大人が観たほうが良いんじゃないか
(ギャグの味わいも含め)と思えてしまう作品である。大人びたことをいうモアナと
なかなか会話のセンスが良いマウイとのやりとりは、大人の方が味わい深いんじゃ
なかろうか。
子供向けアニメなので、突っ込んでしまえば突っ込めるところもあるが、それを
言っちゃあディズニー・アニメにならんでしょ、ということで、気にしないのが礼儀。

キャラクターたちの動きもモーションキャプチャをアニメ化したのではないか、と思う
ほどリアルで自然だし、波の感じなどもCGというより写真を観ているようなリアルさを
感じる。重要な狂言回しとなる「頭のネジの切れた鶏」ヘイヘイがいい味を出す。
唯一、マウイのタトゥーがやたらにかっこいいので、これを真似たいという人が出てくると
ヤバイかもね。(ポリネシアやハワイには伝統的タトゥーをした男性を多く見るが)

時間も適当でエンドの想像も容易だが、モアナとマウイの冒険、なかなか楽しく
感動的だ。
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<ストーリー>
 「リトル・マーメイド」「アラジン」のジョン・マスカー&ロン・クレメンツ
監督が、海に選ばれた少女モアナを主人公に描く冒険ファンタジー・ミュージカル・
アニメーション。
海と運命的な絆で結ばれたヒロインが、世界を救うために伝説の英雄とともに
大海原を舞台に繰り広げる大冒険を描く。
声の出演はヒロインのモアナ役にオーディションで選ばれたハワイ出身の新星、
アウリイ・クラヴァーリョ、伝説の英雄マウイ役にドウェイン・ジョンソン。

 神秘的な伝説が息づく南海の楽園、モツゥヌイ島。16歳の少女モアナは、
幼い頃のある体験がきっかけで海と特別な絆で結ばれていた。島では外洋に出る
ことが固く禁じられていたが、好奇心旺盛なモアナは、いつか外の海を見て
みたいとの思いを募らせていた。
そんな中、島で不穏な出来事が起こり始める。それは、かつて半神半人の
マウイが命の女神テ・フィティの“心”を盗んだために生まれたという暗黒の闇が、
島にも迫っていることを示していた。
モアナは祖母タラに背中を押され、伝説の英雄マウイを見つけ出し、テ・フィティに
“心”を返すために大海原へと飛び出していくのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: 96% Audience Score:89%>




by jazzyoba0083 | 2017-05-25 15:00 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

夜に生きる Live by Night

●「夜に生きる Live by Night」
2017 アメリカ Warner Bros.,Appian Way,Pearl Street Film.129min.
監督・脚本:ベン・アフレック 原作:デニス・ルヘイン『夜に生きる』
出演:ベン・アフレック、エル・ファニング、ブレンダン・グリーソン、クリス・メッシーナ、
   シエナ・ミラー、ゾーイ・サルダナ、クリス・クーパー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

こちらにはプロデューサーとしてレオナルド・ディカプリオの名前がある。本作は
5年前ほどに出版されてエドガー賞などを受賞したルヘインの長編小説を映画化した
ものだ。WOWOWで放映されている「ボードウォーク・エンパイア」などと時期も
綴る大河な雰囲気も、似ている。

第一次世界大戦に出征した青年ジョー・コフリン(ベン)が、戦争で味わった
上から受ける不条理な命令に嫌気が差し、父親がボストン市警の幹部だというのに
一匹狼風な「無法者」となり、組織を組むマフィアギャングと対立、ここに恋愛を
絡めて綴るロアリングトゥエンティの恋愛+ノアールドラマということになろう。

ギャングの世界の駆け引きが面白く、ガンアクション、恋愛模様と、欲張っては
いるが、ありがちではあるがアンハッピーエンドも含めてエンターテインメントと
してそこそこ面白く見ることができた。才人ベン・アフレック、手堅く纏めてある。
ただ、人生訓とかを見出す映画ではないので、テレビドラマっぽい薄さは感じるが。
かと言ってエンタメに振り切ってもいないので、そのあたりが原作があるとはいえ
本作の弱みであろう。

全体の骨格は、「戦争から帰って身内のなかまだけで賭場などを襲うギャング時代」
「アイルランド系の親分の情婦を恋人にし、それがバレて情婦は殺され自分はボコボコに
される時代」「アイルランド系親分への復讐心にもえ、一転、イタリア系ギャングに加わり
フロリダ州タンパを任され、一大勢力を築く時代」「一大勢力になったがために
イタリア系親分からも命を狙われ、自分の手下を率いて、両勢力と戦う時期」
「フロリダ時代に知り合った女性を心から愛し、勢力争いに勝利を収め、隠居、
平和な家庭で静かに暮らそうとした矢先、妻が撃たれて死亡」、「死んだはずの
最初の女が実は生きていて、彼女に会いに行く」そして幼い息子を連れて、しかし
彼の人生は続く・・・。

こんな流れとなっている。これにタンパ時代に腐敗した警察のボスの娘が登場、
禁酒時代が終わりこれからはギャンブルだ、と思った矢先に、「神の意志に
反している」と大衆を扇動されて、中止に追い込まれるものの、彼女は自殺。
警官のボスは気が触れて「悔改めよ」と呟き続ける毎日、彼がジョー一家の
自宅前で乱射した銃の流れ弾に当たり妻が死亡したのだ。

この手の映画は、どのくらいドラマティック(劇的)な人生として観ている方を
飽きさせず、埋めた伏線を回収しながら、ストーリーをいかに面白くしていくか、
にかかるわけだが、原作があったとはいえ、脚本にまとめ演出し主演したベンには
はやり非凡さは感じる。全体としてエンタテインメントとしては(軟派だが)面白く
仕上がったと思った。
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<ストーリー>

『ミスティック・リバー』など数々の映画化作で知られるデニス・ルヘインの
小説を、ベン・アフレックが監督&主演を務めて映画化したクライム・サスペンス。
1920年代のボストンを舞台に、犯罪者として裏社会でのし上がっていく男をベン・
アフレックが演じる。
エル・ファニングやシエナ・ミラーなど演技派女優が華を添える。


1920~30年代の禁酒法時代のアメリカ・ボストン。ボストン警察の幹部を父親に
持ち、厳格な家庭に育ったジョー(ベン・アフレック)は、父に反発して仲間と
強盗を繰り返していた。
街ではギャングの2大勢力が対立していたが、誰にも支配されたくないジョーは
組織に入る気などなかった。しかし、一方のボスの愛人エマ(シエナ・ミラー)と
出会い、恋に落ちる。欲しいものをすべて手に入れるには、ギャングとしてのし
上がるしかない。こうしてジョーの人生は激変するのだった……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<RottenTomatoes=Tomatometer:34% Audience Score:43%>







by jazzyoba0083 | 2017-05-24 14:30 | 洋画=や行 | Trackback | Comments(0)

ムーンライト Moonlight

●「ムーンライト Moonlight」
2016 アメリカ A24,Pastel,Plan B Entertainment.111min.
監督・脚本:バリー・ジェンキンス 製作総指揮(共同):ブラッド・ピット
出演:トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ、マハーシャラ・アリ他
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       <2016年度アカデミー賞作品、脚本、助演男優各賞受賞作品>
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

「ゲイの少年が、貧しいフロリダやアメリカ南部で苦労して成長してく話」ではない。
ゲイはこの映画の重要なファクターだが、決定的なものではない。
 この映画、とても雰囲気を持っていて、観ていて美しいし、クラッシック音楽を、
この灼熱の南部の貧民街に持ってきたのも良い、映像もおそらく大判のデジタル
カメラを使用したと思われ、貧民のエリアが描かれる割には美しい。そういう雰囲気の
良さをもっているので観ていて辛くなるようなものではないし、ゲイの場面はほとんど出て
こない。暴力的に苛烈であるわけでもない。ゆえに、どうだろう、この映画を観た人の
多くは「この映画、何を言いたいのだろう」と思うのではないだろうか。

ジャンキー漬けの母親に育てられ(育児は放棄状態ではあったが)た、いじめられっ子の
ゲイの少年が、なにがどうなったのか、大人になり一番自分が唾棄していた大人、ヤクの
売人になっていた。この一人の男、シャローンの半生を淡々と南部の光の中で綴る。
そうした暮らしや人々との交流の中から、観ている人は、エピソード毎に人生の実相に
ついて考えさせられるだろう。

全体はシャローンの少年時代(ここで彼をサポートするヤクの売人の親分が、オスカー
で助演男優賞を獲ったマハーシャラ・アリ。彼の存在感はデカイ。ヤクの売人を
しながら、自分のしている仕事を肯定しているフシがない。彼のインパクトは成長する
シャローンに大きく影響したのだった)
しかし、シャローンの母は売春でカネを稼ぎ、リトルと呼ばれるシャローンとまとも
に向き合わず、荒れた生活をしているのだが、彼女にヤクを売っているのもフアン
(アリ)だったりする。

やがて高校生になると、更にイジメは苛烈になり、ついに同級生の悪を椅子で殴って
刑務所送りとなる。青春時代に同級生で自分をブラックと呼ぶケヴィンとゲイの間と
なる。でもほんの一瞬。すでにフアンは亡くなっていた。

刑務所から出てきたシャローンは、子供の頃の面影は何処へやら。口中金歯の
入れ歯を付けて、どこからみても立派なヤクの売人になっていた。シャローンは
同じく刑務所に入っていた高校生時代の友人で、今は保護観察身分ながらコックを
しているケヴィンに会いに行く。彼には離婚はしたが、小さい子供がいる。
彼が店長をするダイナーに出かけ、再会。ケヴィンの、自分の暮らしとは違う
人生に、思うところは有った。シャローンはその晩ケヴィンのところに泊めてもらう。

その後、シャローンは施設に入っている母親に会いに行く。母親は幼い頃のことを
謝るのだがシャローンには今さらそれをどうこう言うつもりもない。

ラストは海辺で遊ぶ黒人の子供ら。そして小さい頃のシャローンがムーンライトに
照らされるところで終わる。

バリー・ジェンキンス監督はマイアミの危ない当たりに住んでいたことがあり、この
話、抒情詩のような一編は監督の実体験に基いているらしい。

貧困をベースにした、ゲイの(ハードではない)成分の入った男の子が、夢も
希望もないような世界で、何を思って行きてきたのか。自分の居所はここにしかない
男たち。結婚して家庭を持っている友人。死にそうに働くけど稼ぎは少ない、けどもう
あの世界には戻りたくないという。すさんだ暮らしはしているが、ゲイという心情は
どこかシャローンに人間らしさを取り戻す(実際にゲイと付き合っているわけではない
のだが)心根であったにちがいない。

貧困、育児放棄、イジメ、ゲイ、麻薬取引、暴力、刑務所、人生に対するあらゆる
マイナーなファクターの中で育って来たシャローンはどこへいくのだろうか、いや
どこへも行けないのかもしれない。

本作を観て何をどう考えるのかは、観客に任されている。

最後に技術的なカット割りについて。全体的にアングルが低めだと思った。幼少期を
描く時も、上からのショットより、目線と平行して画角を設定し、安定を引き出すと
共に、観ている人に共感を生みやすくしている感覚がした。またラストに近く、
シャーローンがケヴィンとレストランで会う時の呼び鈴のカットアウトの音の使い方も
とても印象的だった。カメラが基本的に終始優しいという印象も得られた。(青年に
なってヤクの売人になったシャローンの目つきも、優しい)だからこそ観ている人に
いろいろなんことを考えさせてくれるのだろう。シャローンは幸せを掴めるのだろうか、と。

名古屋ではシネコンでは上映されなかった作品だ。オスカーで作品賞を獲っていると
いうのに。「地味」「分かりづらい」という点が敬遠されたのだろう。
好悪は別れると思うけど、私には、みずみずしく心が優しくなるような作品であった。
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<ストーリー>
シャロン(アレックス・ヒバート)は、学校で“リトル”というあだ名で苛められて
いる内気な少年。ある日、いつものようにいじめっ子たちに追われていたところを、
麻薬ディーラーのフアン(マハーシャラ・アリ)に助けられる。
何も話さないシャロンを、恋人のテレサ(ジャネール・モネイ)の元に連れ帰る
フアン。その後も何かとシャロンを気にかけるようになり、やがてシャロンも心を
開いていく。

ある日、海で“自分の道は自分で決めろよ。周りに決めさせるな”と生き方を教えて
くれたフアンを、父親のように感じ始める。家に帰っても行き場のないシャロンに
とって、フアンと男友達のケヴィンだけが心を許せる唯一の“友達”だった。

やがて高校に進学したシャロン(ジャハール・ジェローム)だったが、相変わらず
学校で苛められていた。母親のポーラ(ナオミ・ハリス)は麻薬に溺れ、酩酊状態の
日が続く。
自宅に居場所を失くしたシャロンは、フアンとテレサの家へ向かう。“うちのルールは
愛と自信を持つこと”と、変わらずにシャロンを迎えるテレサ。ある日、同級生に
罵られ、大きなショックを受けたシャロンが夜の浜辺に向かったところ、ケヴィンが
現れる。シャロンは、密かにケヴィンに惹かれていた。月明かりが輝く夜、2人は
初めてお互いの心に触れることに……。

しかし翌日、学校である事件が起きてしまう。その事件をきっかけに、シャロン
(トレヴァンテ・ローズ)は大きく変わっていた。高校の時と違って体を鍛え上げた
彼は、弱い自分から脱却して心身に鎧を纏っていた。
ある夜、突然ケヴィン(アンドレ・ホーランド)から連絡が入る。料理人として
ダイナーで働いていたケヴィンは、シャロンに似た客がかけたある曲を耳にして
シャロンを思い出し、連絡してきたという。あの頃のすべてを忘れようとしていた
シャロンは、突然の電話に動揺を隠せない。翌日、シャロンは複雑な想いを胸に、
ケヴィンと再会するが……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98% AudienceScore:80%>



by jazzyoba0083 | 2017-05-23 14:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「ザ・コンサルタント The Accountant」
2016 アメリカ Warner Bros.Pictures.130min.
監督:キャビン・オコナー
出演:ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・バーンサル他
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<評価:★★★★★★★★★☆☆>
<感想>

面白い。巧妙に練られた脚本なので、ちりばめられた伏線がバシバシ回収される
快さとともに、いささか込み入ったストーリーがわかりづらく感じるかもしれない。
この後観たベン・アフレックの「夜に生きる」より、物語の出来としては(映画の
描かれる世界と提示されるエンタテインメントは全然異なるのだが)こちらのほうが
上だと感じた。同じベンアフの映画であれば、だが。ベンアフも弟くんがオスカーを
獲り勢いに乗ってくるだろうから、二人していい作品をどんどんと生み出していって
欲しいものだ。ベンアフの昔からのファンとしてそう思う。

さて、本作。主人公の会計士クリスチャン(ベン)は、高感度自閉症といわれる病気を
持つ。幼い頃からその矯正には苦労していて、今でも寝る前には激しく点滅するライトの
中で大音量のロックを聞き、足を鍛える作業を課し、クスリを飲んで寝るという日々だ。

高感度自閉症とは何か、よく分かっていないのだが、アスペルガーとかどこかサヴァン
症候群にも似ている感じを受けた。人とのコミュニケーションが苦手だったりする
一方、特殊な能力に長けている。クリスチャンの場合、数字を操ることだった。
これで彼は軍人から会計士となり、また闇に生きる人間となっていくのだった。

冒頭に出てくるギャングを次々と仕留め、親分らしきやつも容赦しない戦闘能力は
(ここ伏瀬になっているわけだが)、どうして身につけたのか。会計士と裏の
暗殺者としての彼を電話でコントロールする女性は誰か?依頼されたロボテック社に
雇われた武装集団を率いる男はだれか?クリスチャンはなぜ軍事刑務所に入っていた
のか、そこで出会ったギャングの会計士との関係は何か。ロボテック社でクリスチャンと
会計監査に当たる女性デイナ(アナ)とクリスチャンの関係はどうなっていくのか?
ロボテック社の真の悪は誰か、などなどが、先述のように冒頭のギャング惨殺シーンから
始まる一連の伏線が回収されていく過程で明らかにされ、エンディングまで観ている人を
引きつけて離さない。
このあたり、脚本もいいが、監督の作劇のうまさが光る。それとベンアフのほとんど
笑顔がない演技も主人公をクールに描き、いい感じだった。

本国の興業もヒットし、続編も企画されているらしい。ボーンシリーズのようになって
行くのだろうか。期待してしまう。
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<ストーリー>
田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)に舞い込んだ
大企業からの財務調査依頼。彼は重大な不正を見つけるが、なぜか依頼は一方的に
打ち切られてしまう。その日から、何者かに命を狙われるウルフ。
実は彼は、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切る裏社会の掃除屋でもあった。
年収1000万ドル、天才的頭脳を持ち、最強のファイターで命中率100%のスナイパー。
本籍・本名・私生活、そのすべてが謎に包まれた会計コンサルタントは、
アメリカ政府やマフィア、一流企業に追われながら危険な仕事に身を投じていく……。
(Movie Walker)

<IMDB=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:52% Audience Score:77%>





by jazzyoba0083 | 2017-05-16 23:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「美女と野獣 Beauty and the Beast」
2017 アメリカ Mandeville Films,Walt Disney Pictures.130min.
監督:ビル・コンドン アニメ版『美女と野獣』に基づく
出演:エマ・ワトソン、ダン・ステゥィーヴンス、 ルーク・エヴァンス、ユアン・マクレガー
   スタンリー・トゥッチ、イアン・マッケラン、エマ・トンプソン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

"This is Disney!!"という映画だ。本作はこれまでも実写やアニメで幾つか作られて
来たが、ついに本家がアニメ版を基本に実写版を制作した。
劇中の歌も、おなじみのアラン・メンケン、ティム・ライス(アニメではオスカーの
作曲賞と主題歌賞を獲得しているね)らに依るもの。
個人的には劇団四季の公演を何回となく見ているのでスジはしっかり理解している。
演出も大筋、アニメ版に沿ったものだ。エマ・ワトソンのベルは問題なく可愛いし
歌もうまい。メイクしていしまうと誰が誰だか分からないが、しっかりとした配役を
得て、劇としてもちゃんとしている。プロダクションデザインも美しい。

ビル・コンドン監督は、最新のCG、VFXを得て、この物語にダイナミズムを与え、
2時間以上の映画を大いに見どころのあるものに(特に作画的に)仕上げた。
ただ、VFXにかけてしまうと、なんでも出来てしまうので、そのあたりの加減の
難しさはあったろう。華やかな"Be Our Guest"のシーンは、私は劇団四季の舞台の
方が、インパクトがあった。限られた舞台という空間での美術、特効は素晴らしい。
それに比べると映画は何でも出来てしまうからなあ。最後のガストンが城から落ちる
ところも。先にも書いたけど、もう映画や舞台、アニメで完成されたものの実写化の
難しいところだろう。

上記を割り引いても、エンタテインメントとしては上質であり、見応えは十分だ。
日米でもヒットしているのは分かる。大団円では、結末は分かっていても、所詮
童話の世界のことと分かっていても胸が熱くなるのは、今の時代、「愛に対する視界が
くすみ過ぎで」「見を捨てるほどの真実の愛」があまりにも少ないからだろう。
「君の名は。」のラストの純愛と通ずるものを感じたのだった。
みんな本作を見て、濁った愛の洗濯をすると良いだろう。
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<ストーリー>
ある時、ひとりの美しい王子(ダン・スティーヴンス)が、魔女の呪いによって醜い
野獣の姿に変えられてしまう。魔女が残した一輪のバラの花びらがすべて散る前に、
誰かを心から愛し、愛されることができなければ永遠に人間には戻れない。

呪われた城の中で希望を失いかけていた野獣と城の住人たちの孤独な日々に変化を
もたらしたのは、美しい村の娘ベル(エマ・ワトソン)であった。
聡明で進歩的な考えを持つベルは、閉鎖的な村人たちになじめず傷つくことも
あったが、それでも人と違うことを受け入れ、かけがえのない自分を信じていた。

一方、野獣は人と違う外見に縛られ、本当の自分の価値を見出せずにいた。そんな
二人が出会い、やがて惹かれ合っていくのだが……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:71% Audience Score:85%>



by jazzyoba0083 | 2017-05-14 15:00 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち Eliz Graves」
2014 アメリカ Icon Productions,Sobini Films.113min.
監督:ブラッド・アンダーソン
原作:エドガー・アラン・ポー『タール博士とフェザー教授の療法』
出演:ケイト・ベッキンセイル、ジム・スタージェス、ベン・キングズレー、マイケル・ケイン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

ポーの小説がベースになっているので、全体に暗~い雰囲気はしょうが無いし、
それでないとこの映画が成り立たない。で、どんでん返しをした上での、
大どんでん返し。まんまとハマりました。そんな簡単に作者の術中にハマっていて
いいのでしょうか、とは思いつつ思いっきりやられました。その面白さに加点した
次第。配役的にはベン・キングスレーとマイケル・ケインの新旧の医院長が快演でした。
ミスリードを誘うような伏線も冒頭あたりにしっかりと埋め込まれいて、これが
どんでん返しに効いてくるのだな。

時代は間もなく20世紀になろうかとする1800年代最後の頃のイギリス。
冒頭「ヒステリー」について講義するオックスフォード大学の教室。サンプルと
して連れてこられた美しい精神病?患者エリザ(ベッキンセール)。彼女は自分は
正常だというが、教授の手にかかると精神病的発作が起きる。
当時としては最先端の治療についての授業だったわけだ。
このあたりの時代設定からして、この手の映画に向いている。現代の私たちは
その時代をしらないし、特に精神病治療に関しては無知に近いだろう。そうした観客の
無知につけこんで?「知らないものは怖い」という恐怖を吹き込む演出(著作)。

さて、ストーンハースト・アサイラムという精神病院にエドワード・ニューゲート
という若い精神科医師がやってくる。オックスフォード大から推薦状がいっている
はずだと。ラム病院長(キングスレー)は、紹介状など来ていないが、研修をしたい
のなら受け入れてやろうと、引き受ける。
病院内を見学すると、患者が自由に動き回っている。ラムは、拘束したり多量の薬物
を投与する良り、開放して精神を自由にしたほうが治療としては優れているのだと
主張している。ピアノを引く女性は、冒頭の大学の教室で晒し者にされていた女性
じゃないか。確かに彼女も生き生きとしている。ラムは「この病院の特徴は患者が
皆高貴な人、金持ちの家族なのですよ」とか言う。

さてさて、これからがいろいろと大変なんです。観ていない人は読まないほうがいいです

実はこの病院、患者と医師側がまるっと入れ替わっちゃっているんですな。ラム病院長
自身、この病院につれてこられた戦時精神病患者だったわけ。で、当時のソルト病院長
(マイケル・ケイン)らが取り仕切るこの病院で、痛めつけたり、メチャクチャな
治療を受けていた。軍医だったラムは反乱を起こし、ソルトら病院のスタッフを地下に
閉じ込め、ラム自ら病院長となり、それなりの成果も上げていたのだった。

しかし、この状態を見たニューゲートは、一目惚れしてしまったグレイブス夫人
(ベッキンセール)と共に、脱出やら、説得やらやるのだが、ラムには受け入れ
なれない。しかも、当時出始めた電気を頭に通す治療法を入れ、地下の人々を
廃人にする計画に出たのだった。しかし、ニューゲートは捕らえられ、逆に電気攻めに
あう寸前、グレイブス夫人に助けられる。

まだまだ、いろいろと仕掛けはあるのだが、ニューゲートとグレイブス夫人が共に
逃亡した後、二人の男が病院を訪ねてきた。一人はオックスフォード大学の
エドワード・ニューゲート医師を名乗り、もう一人は、隻眼で、グレイブス夫人の
夫だという。なな、なんと、青年医師を詐称していた男は、冒頭の講義の席で
後続の患者のサンプルとして控えていた時、グレイブス夫人を見て一目惚れした
ニューゲート医師の精神病患者だったというのだ!病院からニューゲートのメガネや
銃を持って逃亡していたのだった。(だから紹介状なんか来るわけないのだ)
そして、夫人が旦那の目をくり抜いたという噂も本当だった! ということは、
あの若い男も、夫人も結構強度なキチガイということだ!
ラムは軍医時代、瀕死の兵隊5人を射殺し、自殺を企てたが弾切れとなり、この
罪で病院に入れられた。ニセニューゲートは、ラムが収容されていた独房で殺した
兵隊の写真を見つけ、ラムにそれを見せた途端、フラッシュバックが起きて、正気を
失い、病気再発。➤廃人。

その後イタリアに逃亡した二人は、男はラムを名乗る精神科医師となっていたのだ。
あちゃー。キチガイによる病院乗っ取りでうっちゃられ、さらに主人公の正体で
うっちゃられるという・・・。ガジェットの伏線も効いていて詰めも良かったと
思うけど、最後、キチガイ同士でうまくいくのかなあ。

暗い映画だったけど、なかなか面白かったです。
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<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:52% Audience Score:49%>






by jazzyoba0083 | 2017-05-11 23:05 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「クーパー家の晩餐会 Love the Coopers」
2015 アメリカ CBS Films,and more.107min.
監督:ジェシー・ネルソン 
出演:ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、アラン・アーキン、エド・ヘルムズ
   アマンダ・サイフリッド、マリサ・トメイ、ジェイク・レイシー、オリビア・ワイルド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

「クリスマス啓蒙用の聖書的教訓一杯の大人の絵本」という感じで、クリスマス前に
クリスムードの中で観てナンボの映画だ。居並ぶ大スターの演技さえ楽しめば
それでよし。教訓的なセリフが耳に届けば、日本人には更によし、というもの。

クーパー家でなくても年に一度の大イベント、クリスマス。かの家には大家族が
集まりお祝いと食事をする習わしになっていた。今年もクリスマスがやってくる。
しかし、それぞれがそれぞれの悩みを抱えたまま集まってくるからもう大変!

家族構成はこうだ。おじいちゃんにアラン・アーキン。彼はダイナーの娘、アマンダ・
サイフリッドに熱を上げ、こう5年も通い詰めている。
その娘ダイアン・キートンと夫ジョン・グッドマン。結婚40年で、もう離婚がすぐそこ
に用意されていて、今年のクリスマスが最後という覚悟。
ダイアンの独身の妹マリサ・トメイは、姉にペンダントのプレゼントを万引きして
警察に捕まる。夫妻の長男エド・ヘルムズは失業中。妻も家を出ていくという状況。
娘オリビア・ワイルドはおじいちゃんの病院の医師と不倫中だが、空港で軍人の若者に
「一日だけ恋人になって」と拝み倒し家に連れてくる・・・・。
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いよいよクリスマスイブの晩餐会が始まった。それぞれが抱える小さな嘘がバレて
きてしまう。そんな中おじいちゃんが倒れしまった!
しかし幸い軽度の脳卒中でクリスマスディナーは再開される。
家族は大切だ。(アメリカ人のキリスト教的倫理観ではなおさら、家族愛は大事)

「人だもの、欠点は多い。なぜみんな細かい欠点ばかりを気にしてあげつらい、
大きな愛情に感謝しないんだろう」ということだね。

この作品は一家の愛犬のナレーションで進行するのだが、
「一番近くにいる人が一番大切だ、ということに気が付かなくちゃね」と締める。
分かりやすいオチとなっている。

多人数(しかも大俳優だらけ)で、キャラクターの設定とかそれぞれのプロット
の進行(時制も含め)はバラバラにとっちらからずに手堅く纏められているので、
それこそ前述のようにクリスマス時期にホノボノ観るにはいいだろう。悪い映画
ではない。が、その後どうなるのかという示唆が、プロットにあったりなかったり。
これはしょうが無いかな。で、作品としてどうか、と言われちゃうと、そこまでの
映画ではないなと。クリスマスを機に家族の絆を再確認したい向きにはピッタリ。
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<ストーリー>
 クーパー家の人々が年に一度顔を揃えるクリスマス・ディナーを舞台に、
それぞれに問題を抱えながらもそれをひた隠して晩餐会を楽しくやり過ごそうと
する中で巻き起こる騒動を、ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、
アラン・アーキン、マリサ・トメイはじめ豪華オールスターキャストで描いた
群像コメディ。監督は「I am Sam アイ・アム・サム」のジェシー・ネルソン。

 クリスマス・イブ。クーパー家では、この日に一族が一堂に会し晩餐会を
開くのが毎年の恒例行事。今年も各地から続々と集まってきた家族を温かく
迎える夫婦のシャーロットとサム。
しかし40年連れ添った2人は離婚を決意し、シャーロットはこれが最後の晩餐会と
覚悟を決めていた。そのシャーロットの父バッキーは、若いウェイトレスに夢中で、
彼女の働くダイナーに5年も通い詰めていた。
一方、シャーロットとはケンカばかりの妹エマ。姉へのプレゼントを探していて
出来心から万引きで捕まってしまう。そんな中、独身の娘エレノアは、空港で
出会った軍人の青年ジョーに一日だけ恋人のフリをしてもらうことを思いつくが…。
(allcinema)

<IMDb=★5.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:18%  Audience Score:36%>




by jazzyoba0083 | 2017-05-10 22:15 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「カフェ・ソサエティ Café Society 」
2016 アメリカ Perdido Productions,Gravier Productions,FilmNation Entertainment.96min.
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ジーニー・バーリン、スティーヴ・カレル、ジェシー・アイゼンバーグ、ブレイク・ライブリー他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ウディ・アレン大好きなので、封切の日にシネコンに。GW真っ最中というのにガラガラだったなあ。
出演者にも派手さはないし、賞がらみの話題もないから、致し方ないかもな。
でも映画としては面白かった。しかし、なんだろう、いつものコテコテのアレン節じゃないので、
「え?こんな純情な恋愛ストーリーでいいの?」と、例のシニカルな「不条理とも不合理とも
非情とも毒とも」受け取れる粘っこい調子、また時として使われるサスペンスなタッチもないし、
おバカな風情もないので、ちょっとタタラを踏んでしまった。まあ、結論的には「人生、いうほど
上手くは行かない」と見せておいて、アレン流の「時代を飲み込んで(そして捨てた)恋愛観の
素敵な提示、ということなのだと受け止めた。
恋愛観、ノスタルジー、ジャズ、ファッション、これらはいつものアレン流が貫かれているので、
作品としての上質さが欠けているということはない。そしてこれもいつも通り、女優の存在は華麗に
して大きいのだ。
ユダヤ教やユダヤ人を自虐的に揶揄するのはいつも通り。それが物語の生死感の皮肉だったりもする。

時代は1930年代。「華麗なるギャツビー」のジャズエイジ、「ロアリングトゥエンティ」が29年の
世界大恐慌とともに終焉、そこからニューディールで立ち直ろうとするもののアメリカ経済はあまり
上手く行かない。
欧州ではヒトラー、日本では軍部によるファシズムが台頭し始めていた。そんな時期、トーキー時代を
迎えたハリウッドは本作にもその名が出てくるフレッド・アステア、ジュディ・ガーランドなどが活躍を
始めたころで、活況を呈していた。映画中に全面的にフィーチャーされるジャズは、スィングジャズと
言われるボールルームでのダンスのバックで演奏されるようなものが全盛を迎え、ベニー・グッドマンや
トミー・ドーシーらが人気だった。振るわぬ経済をしり目にハリウッドは華やかであったのだ。
そんな第二次世界大戦に突入するまでの幸せな時期が舞台となっている。

アレンの映画は「夢・夢想」がキーになり、独特の幻想感を醸し出すものもあるのだが、本作は
リアリズムが基本だ。そんなアレン流リアリズムの中から逆に「夢」を紡いで見せているような感じを
受けた。繰り返すがいつものアレン風毒気がほとんど感じられないので、逆に評価が自分の中では
ちょっぴり下がってしまった。じゃあ、「ギター弾きの恋」はどうなんだ?ということなんだけれども。
こんな純情なのがアレンでいいんだっけ?と¥。蘊蓄系のセリフはいつものように多々あるが。

今回、アレンは演出に徹していて、その役をジェシー・アイゼンバーグが担っている。どこかアレンを
想起させる雰囲気がある。しゃべり方も演出だろうが、早口でアレン風。風采が上がらず、女性に
モテず、屁理屈ばかりは上手いという感じもそのままだ。

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大雑把にストーリーを言っちゃうと、以下のごとし。(ネタバレですからご注意)

NYからハリウッドに出てきて凄腕映画エージェントの叔父の元で働くことになるボビー
(アイゼンバーグ)。叔父フィルはスティーヴ・カレルが演じる。ボビーはその叔父の秘書ヴェロニカ
(クリスティン・ステュワート)の美しさにやられてしまう。高嶺の花だと思いつつ、彼は積極的に
アプローチ、やがてヴォニーの心をつかむことに成功する。しかし、ヴォニーには不倫相手がいたのだ。
それが叔父フィル!ヴォニーは、フィルがボビーの叔父とは知らず身の上話をボビーにする。

離婚を約束していたフィルだが、不調に終わり、ヴォニーとは終わることに。失恋したヴォニーは
ボビーのところに。二人はやがて結婚を意識する仲となる。そして結婚してNYへ行こう、というところ
まで来た。だがだが、この期に及び、叔父フィルは離婚を成立させ、ヴォニーに再度求愛するのだった。
もともと尊敬もし愛していたフィル。でもボビーも愛している。結局、ヴォニーが選んだのはフィルで
あり、ハリウッドに残る道であった。

失意のうちにNYに帰ってきたボビー。ギャングの長兄が経営するクラブを手伝っているうちに、この
クラブ、政治家、文化人、芸能人らもたくさんやってくる有名な店となっていく。そこに客として
やってきた女性。彼女も名前はヴェロニカ。美しい!ボビーは積極的にアプローチし、もう一人の
ヴォニーの心をつかみ、結婚、子供も生まれる。そして店はどんどん栄える。
ある日、その店に
フィルと、妻となったヴォニーが客としてやってくる。ヴォニーの美しさは相変わらずであり、かつて
ハリウッドではちゃらちゃらした映画スターをバカにしていたのが、今やそんな身になってしまって
いた。今どうして自分の前に現れたのか、戸惑うボビーであったが、自分の心の奥底にヴォニーへの
愛情がしっかりと息をしているのに気付くのだった。
NYの夜景が美しいセントラルパークでキスを交わす二人。でも、それぞれの妻、夫は確かに愛して
いるのだ。が、結ばれはしなかったが、二人の一番大切な愛は確かにここにある、それは誰に対する
裏切りでもなく(背徳ということばすら消化してしまった)、と思う瞬間だったのかもしれない。

こうやって書いてくると、はやり、時代をくみ取りつつ、時代を排した普遍性を持つアレン流の恋愛観
の提示なのだな。「夢から夢へ」「現実から夢へ」「夢から現実へ」そんな恋愛におけるフェイズが
上手く多層的に示された、やはりアレンならではの恋愛映画ではある。ラストのボビーの後ろ姿が
語ること、そんなことではなかったか。

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: 71% Audience Score:57%>

この映画の詳細は・・・



by jazzyoba0083 | 2017-05-05 15:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「マジカル・ガール Magical Girl」
2014 スペイン Aqui y Alli Films and more. 127min.
監督・脚本:カルロス・ベルムト
出演:バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ、ホセ・サクリスタン、ルシア・ポリャン他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想:観た人でないと理解できない内容かと思いますので、ぜひ鑑賞後にお読みください>
驚いた。面白い。funnyという意味じゃなく、もっと衝撃的な意味で。かつて、コーエン兄弟の
「ノーカントリー」を見た時の衝撃に似ているかもしれない。ストーリーは全然違うのだが、
「理屈がない」という点において、恐怖を覚えるような感覚。「理屈」はあるにはあるのだが、
「容赦のなさ」「有無のない」バイオレンスの、予見できない恐怖、といえるのだろうか。

本作、欧州を中心に多くの賞を獲ったのだが、当時、日本で話題になりましたっけ?日本の
アニメが主題に大きく絡んでいたり、長山洋子の歌が使われていたりで、日本との関係も
大きかったのに。少なくとも私は寡聞にして知らなかった。スペインの映画はWOWOWでも
ないと、なかなか見られないし。(←言い訳ですw)

白血病の娘を持つ、失業中の元教師、精神科医の夫人として精神的に不安定な生活をしている
バルバラという若い女性。そして、かつてバルバラを小学校のときに担任だったことがある
刑務所帰りのこちらも元教師。大きくいうと、その3つのバラバラだった運命がやがて交差し、
予測不能な衝撃のラストを迎える。先を読めそうで読めない面白さ、それが現実となったときの
衝撃、これが本作の面白味だろう。「え??!」と思うエンディング。そこには正義とか理性とかは
存在しない。「どうです?びっくりでしょ?」という監督の声が聞こえてきそうだ。

「びっくり」要素を加味するものとして、物語のコアとなるくらいの大事なプロットを省略し
説明していないので、観ているほうは想像するしかないわけ。で、その想像の世界に恐怖が
潜んでいるという・・・。
説明なし、の一番大きいヤツは、冒頭小学校の教室で出てくる教師ダミアンとバルバラの
その後の関係。途中、脅迫されたバルバラは、ジグソーパズルなどやらかしているダミアンに
金を貸してくれ、と頼むシーンがあるが、成長してからのダミアンとバルバラの間には何か
あったのだろう。それが刑務所に行く結果に繋がっているのかもしれない、という点。
また、バルバラが瀕死の重傷を負う「とかげの部屋」とは何か。中で何が行われていたのか、
これも(まあ、セックスがらみのサドの世界なんだろうけど)説明はない。(というか伏線は
ある)

それにしても、最後の最後、白血病の娘アリシア(ダミアンにちゃんと理解されぬまま殺される
ルイスの一人娘。ルイスは彼女が日本のアニメの大ファンであるんで、高いお金を出して、
アニメのヒロインのドレスを買いたいと思うのだが、その日暮らしのルイスは、金策に尽きて
悪いことを考えたのだ。それがバルバラとの浮気をバラすぞ、と彼女を脅迫し現金をせびるというもの。
なぜルイスがバルバラと知り合い一夜を共にしたかというと、金が欲しいルイスが宝石店の
ショーウィンドウを割ろうと石を構えた時、そこのビルからゲロが落ちてきた、から。なぜ
ゲロが落ちてきたかというと、精神的に病んでいた(これダミアンに関係あるかも)バルバラが
自殺?しようと大量の睡眠薬だか安定剤を飲んだものの、気持ち悪くなり、窓からゲロを
吐いた、から。ゲロをかけてしまったルイスを家に入れ、洗濯し・・・といううちに。
ルイスは携帯で房事を録音していたんだな。ゲスの極み!=長くなりました)、そのアリシアまで
ダミアンは殺しちゃうんだぞ。ルイスを酒場で射殺して、観ていた客と店長も殺したうえでだ。
何がそうまでして、ダミアンをダークサイドに引きずり込んだのか。ダミアンとバルバラとの間に
何があったというのか。バルバラのせいで刑務所にいったのなら、瀕死で自分の家の前で倒れていた
バルバラの心は?そして彼女のために徹底的な復讐を完結したダミアンは、バルバラを過去のこと
から恨みこそすれ、復讐に手を貸すことはないと思うのだが。いや、そこまでバルバラは
ダミアンの心に食い込んでいたのか。ならなぜ最初に金を貸さなかったのか。最後のワンピースで
完成しえなかったダミアンの大きなジグソーパズルは何を語るのか。

一切の不思議と謎を内包したままエンドロールへとなだれ込む。パパが揃えてくれたドレスとバトンを
持ち、帰ってきたパパを驚かそうとしていた不治の病の少女を射殺するなんざ、許しちゃおけないのだが、
なぜか、観ている私は暴力肯定では全くないものの、なぜか、カタルシスさえ覚えてしまったのだった。
不思議な映画だった。
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<ストーリー>
失業中の父親が、病気で余命わずかな娘の望みを叶えてやろうとしたことから、出会うはずの

なかった人々が思わぬ運命に巻き込まれてゆく。ブラックユーモアに包まれた独創的なストーリーを、

アニメや歌謡曲などの日本テイストが彩る。

監督は、人気漫画『ドラゴンボール』を再解釈したコミックを出版するなど、日本のサブカルに

精通したカルロス・ベルムト。初監督となる本作で、サン・セバスチャン国際映画祭グランプリと

監督賞を受賞した。出演は「赤いブーツの女」のホセ・サクリスタン、「私が、生きる肌」の

バルバラ・レニー、「世界で一番醜い女」のルイス・ベルメホ、本作でスクリーンデビューを

飾ったルシア・ポジャン。


 12歳の少女アリシア(ルシア・ポジャン)は、白血病で余命わずか。そんな彼女の願いは、

大好きな日本のアニメ『魔法少女ユキコ』のコスチュームを着て踊ること。文学の教師だった父

ルイス(ルイス・ベルメホ)は失業中にもかかわらず、娘の最後の願いをかなえてやろうと、その

コスチュームを手に入れようとする。

ところが調べてみると、それは7千ユーロもする高額商品だった。金策に奔走したものの、

失業中の身ではいかんともしがたく、やむなく高級宝飾店への強盗を決意。大きな石で店の窓を

叩き割ろうとした、まさにその瞬間。空からおう吐物が肩に降ってきた。

それは、精神科医の夫と暮らしながらも心に闇を抱えた女性バルバラ(バルバラ・レニー)が、

大量の薬を酒で流し込んだ結果、気分が悪くなって窓から吐き出したものだった。逃げようとする

ルイスを呼び止め、自宅に招き入れるバルバラ。汚れた服を洗濯すると、バルバラはルイスに抱いて

くれるよう求め、2人は関係を持つ。


翌日、ルイスはそのことをネタに、7千ユーロを要求してバルバラを脅迫。やむなくバルバラは、

裏の仕事をしているかつての仲間、アダ(エリザベト・ヘラベルト)の元を訪れると、豪邸で暮らす

車椅子の男の暴行に耐え、7千ユーロを手に入れる。

その金を受け取り、アリシアにコスチュームを買ってやるルイス。ところが、魔法のステッキが足り

ないことに気付き、再びバルバラを脅迫。やむなく、豪邸を再訪するバルバラ。心身ともに傷を負った

バルバラは、自分と過去に因縁を持つ刑務所から出たばかりの元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)に

救いを求める。バルバラに会うことを恐れていたダミアンだったが、自分を“守護天使”と呼ぶ彼女の

変わり果てた姿に心を決め、ルイスの尾行を開始。出会うはずのなかったアリシア、ルイス、バルバラ、

ダミアン。やがて彼らの運命が交錯し、予想もしなかった悲劇へ向かってゆく……。


<IMDb=★7.3>

<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score:81%>




by jazzyoba0083 | 2017-05-04 23:10 | 洋画=ま行 | Comments(0)