婚約者の友人 Frantz

●「婚約者の友人 Frantz」
2016 フランス・ドイツ Mandarin Films.113min.
監督・脚本:フランソワ・オゾン  オリジナル脚本:エルンスト・ルビッチ
出演:ピエール・ニネ、パウラ・ベーア、エルンスト・シュトッツナー、マリー・グルーバー、ヨハン・フォン・
   ビューロー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:とことんネタバレしています>
オゾンという監督さんの作品は今から11年前に「スイミング・プール」を観ただけで、当時のブログを
読むと、「良くわからない」と書いてあった。この監督の持ち味らしい。翻って本作、オリジナルが
有るとは言え、オゾン流にサスペンスという通奏低音をベースに、戦争で失った愛情の行方を、結構
「分かり易く」描いたものだ。欧州映画をたくさん見ているわけではないが、持つ味わいがやはりハリウッド製
にはないセンスを感じる。
ラストシーン。主人公アンナの覚悟がラストのマネの「自殺」という絵画を見ている姿を観て、本作が言いたい
ことが透けて見えるようだ。そこを観ている人がどう思うか、そのシーンがモノクロからカラー(色彩付き)
画面となるのをどう思うか、が本作を観る人の感想を決めるだろう。
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アンナが第一次世界大戦で婚約者を失い、自分の心の半分以上を失ってしまった人間になりかけたところ、
「婚約者の友人」フランス人のアドリアンが現れ、敵国の彼が何故婚約者の墓にフランスからわざわざ花を
手向けに来て涙を流しているのか。アンナが声を掛けると、彼はフランツとパリで出会い、バイオリニストである
アドリアンがフランツにバイオリンを教えたり、二人でルーブルに出かけたり、友情を深めた、と、嘘を言って
しまう。しかし、これにはアンナもフランツの両親も、息子や婚約者を殺した敵国の男とは言え、真の友情を
育ててくれた(と思い込んだのだが)アドリアンを好ましく思うようになった。
しかし、アドリアンは嘘に耐えきれず、自分こそ、フランツを殺したのだ、とアンナに告白する。

婚約者を塹壕で殺した人物そのものがアドリアンであったことに大きなショックを受けるのだが、彼もまた
アンナの婚約者フランツを射殺したことに耐えきれず人間としての心の大きな部分を失っていたのだ。
殺さなければ殺される、塹壕で出くわした相手をどちらが殺すか殺されるか、という戦争の持つ残忍な必然性
なのだが、アドリアンは自分を許すことが出来ず、ドイツまで許しを乞うために訪れたのだ。
アドリアンの気持ちを理解し始めたアンナは少しずつアドリアンに恋心を抱くようになる。

アドリアンはフランツの両親にも真実を告げたい、と主張するが、アンナは「私から伝えておくわ」と
いい、実は本当のことを両親には告げなかった。アンナは神父さんに懺悔を告白するが、神父も「言わずに
おいたほうがいい嘘もある。いまさら両親に真実を告げてどうなる。キリストが磔をした男たちを許した
ようにあなたも許されるであろう」と言ってくれた。

アドリアンはフランツの両親に好かれたまま。アンナはある日パリに帰ったアドリアンに手紙を出すが
住所がないとして戻ってきてしまう。その頃、フランツの両親はアンナにアドリアンをどうか、と考え始めて
いたのだった。(フランツの両親はアンナを実の娘のように可愛がっていた)そこで両親はアンナにパリに
行ってアドリアンを探しておいで、と送り出す。かすかな情報を手に探すがなかなかアドリアンの足跡が
掴めない。やがてフランツの叔母を探し当て、シャトーに住む貴族のような暮らしをしているアドリアンに
行き着く。驚き喜ぶアドリアンだったが、そばには両親が決めたという婚約者の姿があった。

アンナは、アドリアンの仕方がないとは言え本心を見た思いで、ドイツに帰ることにする。アドリアンに
「鈍感!」とかいうニュアンスを叩きつけて。だが別れの駅頭で二人はしっかりキスを交わすのだった。
アドリアンにも親の定めた結婚(とは言え婚約者は良い女性)だが、自分の削れた半身を救ってくれた
アンナに深い愛情を覚えていたに違いない。でも二人は結ばれることはないのだが。

さて、パリのアンナからドイツのフランツの両親に手紙が来た。アドリアンと合った、パリの管弦楽団で活躍して
いた、ルーブルへも、フランツの好きだったマネの「自殺」を観に行きました、と嘘をつき続ける。
しかし、一人でルーブルの「自殺」の絵の前に来たアンナ、そこのシーンではカラーとなり、彼女の顔が
笑顔に変わる。
「自殺」とは縁起が悪い画であるが、アンナは過去の自分をこの「自殺」の中に閉じ込めて、(過去の自分を
「自殺」させ、)新しい自分の人生を歩もうと決心をしたのだろう、と私には思えた。
(ちなみにこの「自殺」は現在はチューリッヒの印象派美術館・ビューエルコレクションに所蔵されている)
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                 <「自殺」エドゥアール・マネ 1880年>
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この映画のキーになっているマネの「自殺」という画は、見る人に多様な想いを抱かせる画だ。一体この
男は何が理由でピストルで自らの胸を射なければならなかったのか、そこに理由を探す人、いや、観ている
人によっては「現在の自分を殺し、再生のステップとする」と見る人もいるだろう。アドリアンの好きだった
この画に、アンナは「再生」を見出したのだ。嘘で作り出す幸せだって時と場合によっては、ある、と。

フライヤーにもいろんな有名人が書いているが、映像が美しい。独特の空間を取った映像が不思議な落ち着きを
映画に与える。モノクロとカラーの使い分けは、観ようによっては、あざとくなるのだが、本作でカラーに
なるのは、ごく少ない。思いあぐねているシーン、リアリズムに欠けるシーンはモノクロ。アンナの心に動きが
あったり、誰かの心に重要な動きがあるとカラーになる。そのあたりの使い分けは、オシャレかつインパクトが
あった。また全体の構造をサスペンス風に描くことにより、観客を一層主題に取り込むことに成功している。
それにしても、いかにもベネチアやセザール賞にフィットする作品だ。
「スイミング・プール」もう一度観てみようかな。
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<ストーリー>
エルンスト・ルビッチ監督が1932年に「私の殺した男」として映画化したモーリス・ロスタンの戯曲を
「彼は秘密の女ともだち」のフランソワ・オゾン監督が大胆に翻案。20世紀初頭ドイツを舞台に、戦死した男の
謎めいた友人と残された婚約者が織り成す交流を綴る。
出演は「イヴ・サンローラン」のピエール・ニネ、本作で第73回ヴェネツィア国際映画祭マルチェロ・マストロ
ヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した「ルートヴィヒ」のパウラ・ベーア。

1919年、戦争の傷跡に苦しむドイツ。アンナ(パウラ・ベーア)は、婚約者のフランツをフランスとの戦いで亡くし、
悲しみの日々を送っていた。そんなある日、アンナがフランツの墓参りに行くと、見知らぬ男が花を手向けて泣いている。
アドリアン(ピエール・ニネ)と名乗るその男は、戦前にパリでフランツと知り合ったという。
アンナとフランツの両親は、彼とフランツの友情に感動し、心を癒される。やがて、アンナはアドリアンに“婚約者の友人
以上の想いを抱き始めるが、そんな折、アドリアンが自らの正体を告白。
だがそれは、次々と現れる謎の幕開けに過ぎなかった……。

<IMDb=★7.5>
<Rottentomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:85%>



by jazzyoba0083 | 2017-10-31 14:00 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「バリー・シール/アメリカをはめた男 American Made」
2017 アメリカ Universal Pictures,Cross Creek Pictures,Imagine Entertainment. 115min.
監督:ダグ・リーマン
出演:トム・クルーズ、ドーナル・グリーソン、サラ・ライト・オルセン、ジェシー・プレモンス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:結末まで触れていますのでご注意ください>
面白かった!文句なく面白かったかというと、話がいささか複雑な部分もあるので、スカッと
いうわけには行かなかったが、ラストのアンハッピーエンディングの処理の仕方といい、
ハチャメチャな事をしている割にはコメディタッチを加え、見やすくかつ見応えのある作品に
しあげている。テンポやアニメを使った作画も工夫が凝らされていて良い。
なんでこの映画がもっと日本で話題になっていないのか、勿体無い。「ブレードランナー」と
重なったからかなあ。日曜のシネコンの入りはまあまあだった。

50歳を超えたトム・クルーズ、若いなあ。この映画は実在の人物のお話を基にしている、と
言う意味でいうと、その実話が面白いのでこの手の映画はオリジナル脚本に比べゲタを履いて
いると観るのが私として常だが、それにしても、破天荒の主人公の半生を、映像の中に上手に
表現出来ている。観る人によっては、なぜトムがあんな事に手を出したか背景が不足している、
と感じる向きもあろう。しかし、クライムアクションである本作にはそれくらいのハショリは
気にならない。

冒頭に書いたが、「話がいささか複雑な部分」とは、バリー・シールが関わる事件がアメリカの
中米南米政策と深く関わっていて、この辺りの政治的な勢力のあれこれがちょっと日本人には
特に分かりづらいと思ったのだ。
最初、CIAに依頼されたのはニカラグア辺りの偵察と航空写真撮影、そのうちパナマの独裁者ノリエガと
組んで麻薬をマイアミに運ぶことを始め、次いでニカラグアの反政府共産組織サンディニスタ撲滅の
ためアメリカが密かに対立するコントラという組織に武器を運ぶ仕事を引受け、コントラがやる気がない
と見るや、その武器をコロンビアの、パブロ・エスコバル率いる巨大麻薬組織メデジン・カルテルに
武器を横流しし、さらに彼らの麻薬の密輸も引き受けたのだ。これらが「イラン・コントラ事件」と
いう大スキャンダルに繋がっていくのだが、そのあたりが、ややひっかかかり明快さを欠いたかも
しれない。

結局バリー・シールは「政府の極秘の仕事を引き受ける傍ら、麻薬を密輸して大儲けしていた」という
ことなのだが、CIAは目をつぶっていたが、麻薬を取り締まる「DEA」「ATF(アルコール・タバコ・
火器及び爆発物取締局)「FBI」に目をつけられ逮捕される。しかし、政府の秘密を握っているシールは
無罪放免となるのだが、なんとホワイトハウスに呼ばれたシールは、現地事情に詳しいということも
あり、司法取引として、ニカラグアの共産反政府組織サンディニスタが麻薬を密輸している証拠写真を
撮ってくる、というかなり厳しい仕事を引受けることになった。これは成功し、サンディニスタの
悪事が国際的に暴露されたのだが、当然、シールを信用していたサンディニスタのメンバーは、
シールを許さなかったのだ。彼はクルマに乗っているところを射殺されてしまう。

一時期とんでもない財をなし、金の隠し場所がないくらいで庭に埋めたり、倉庫に押し込んだり。
それで何を買うわけでもないのだなあ。せいぜい奥さんに宝石とキャディラックくらい。
大きいうちは買ったけどね。結局シールは現預金を全部没収された。しかし、奥さんが身につけていた
超高額の宝石は差し押さえを逃れ、奥さんと子どもはその後幸せに?暮らしたというような終わり方。
ラスト、奥さんハンバーガーショップかなんかで働いて(ここが彼女の偉い所)いるのだが、彼女の左腕
には超高額と思しきダイヤのブレスレットが輝いていた。

危険な仕事をしている割には悲壮感がない。全体として悪事を働いている映画なのだが乾燥度が
非常に高い映画で、観ていて爽快! 「ジェイソン・ボーン」シリーズや「Mr.&Mrs.スミス」で、この手の映画の作画には定評のあるダグ・ライマン、まだまだやるなあという感じだ。トムの奥さん役を演じた
サラ・ライト・オルセン、(スカヨハ似?)テレビ畑が長い人だが、キュートでイイ感じだった。
こずるいアメリカという国を手玉にとった痛快な男の話、いいです!
トム・クルーズファンでなくてもご覧いただきたい映画。
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<ストーリー>
1970年代後半、バリー・シール(英語版)はTWAでパイロットとして働いていた。シールの若くして
機長に昇進した腕前は一級品かつ裏で検査が緩い立場を利用して密輸に手を染めていた事で、CIAから
も注目されるようになった。
ある日、シールはCIAに極秘の偵察任務への参加を求められた。野心家でもあったシールは喜んでその
依頼を引き受ける事にし、すぐに航空大手のTWAを飛び出してCIAが用意したペーパーカンパニーの
小さな航空会社に転職する。

数年後、シールはパナマの独裁者、マヌエル・ノリエガとCIAの仲介人の役割を果たすようになって
いた。シールはCIAの目を盗み、メデジン・カルテルの指示でコカインをルイジアナ州に密輸する
仕事も請け負っていた。
やがて、CIAはシールが麻薬の密輸に関与していることを把握したが、シールの任務を代わりに担える
ような人材がいなかったため、敢えて黙殺する決断を下した。一方、麻薬取締局(DEA)はシールを逮捕
すべく行動を開始した。DEAの動きを察したCIAはシールに密輸から手を引けと警告したが、シールは
それに耳を貸そうとはしなかった。

その後、シールはニカラグアの親米反政府組織、コントラに武器を密輸する任務も請け負うこととなっ
た。コントラが本気で政府を倒す気がないと確信したシールは、武器をカルテルに横流ししてさらに
儲けていった。CIAの黙認の下で、シールの会社は小さな空港を持ち本人も含めてパイロット5人を
抱える密輸集団に成長し、シールは扱いに困るほどの大金を得る。

暴走を続けるシールを危険視するようになったCIAは、シールを見捨てて地元警察とDEAとFBIとATFが
逮捕するのを黙認した。逮捕後に検事の前に突き出されて絶体絶命の窮地に立たされたシールだったが、
ホワイトハウスが求めているニカラグアの左派武装勢力であるサンディニスタ民族解放戦線が麻薬の密輸
に関与している証拠を得る手助けする事を司法取引の材料として釈放される。
しかし、それはメデジン・カルテルを裏切ることを意味していた。

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:88%Audience Score:80% >



by jazzyoba0083 | 2017-10-29 14:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ヘッドハンター・コーリング A Family Man」
2016 アメリカ G-BASE,Zero Gravity Management.111min.
監督・(共同)製作:マーク・ウィリアムズ
出演:ジェラルド・バトラー、グレッチェン・モル、アリソン・ブリー、ウィレム・デフォー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想:ネタバレしています>
悪い映画ではない。言わんとしていることは美しい。が、どのエピソードにしても既視感ありあり。
ヘッドハンター会社で次のトップを辣腕女性と張り合っているお父さんデイン。だれよりも早く
会社に現れ、誰よりも遅くまで仕事をする。休日も部下やハント相手から容赦なく電話がかかる。
奥さんのエリースは、夫の仕事の大変さを理解しつつ、夫婦の会話が少なくなっていき、子どもとの
触れ合いが少なくなってきている現状を心のなかで嘆いている。

ライバル二人の熾烈な売上争いのさなか、息子ライアンが急性白血病であることが判明、一流の医師が
付くが、状況は悪化していく。そんな中でも息子の病気の重篤さを会社に隠し、仕事から手が離せない。
いらいらがつのる妻。それでも建築設計家を夢見るライアンの希望を聞き、二人でシカゴの名建築と
言われるビルなどを訪ねて歩く。その時間が彼の成績を下げる。デインもいらいらが募る。

しかし、ついにライアンが薬物療法に万策尽き、昏睡に陥ってしまう。医師からは父母の声を聞かせる
ことが、いい結果に繋がることもあります。ガンと戦う気力を呼び覚ますのです、と言われる。
シーク教徒の主治医の言うことなんか、と思うデインだったが、それからライアンのベッドサイドで
電話で仕事をすることにし、絶えず自分の声を息子に聞こえるようにしていた。

ある日デインはボスからクビを言い渡される。なんで?と驚くデインだったが、ボスは「出てってくれ」とつれない。妻に正直に伝えたものの、まさがヘッドハンターの自分が再就職の履歴書を書くとは・・と
落ち込んでいた。そこに妻から電話。ライアンがもうだめなのか!と急ぎ病室に駆けつけると、なんと
ライアンが目を覚まし話しているではないか。奇跡は起こったのだ。

そしてボスは実はデインが息子の難病を抱え戦っていることを知り、もう家族と一緒にいてあげたほうが
いいと判断。絶対だった、再就職する時は同じ業種に付かない、という契約書を破ったものを郵送して
来たのだった。そこでデインはボスの愛情を知るところとなる。

1年後くらいの様子となる。デインは自宅に個人でヘッドハントの会社を立ち上げていた。ライアンは
すっかり健康を取り戻し、何と3人めの子どもが出来ていた。しかし会社の業績は思うに任せない。
しかし、家の中にはかつてなかった笑顔が溢れていた。
実は自分のやっている仕事の虚しさを考えていた時、かねてからの知り合いでエンジニアに
再就職する男について、年だし、エンジニアは金にならないからといい加減に対応していたが、
彼に、自分も金にならい本当に人のための仕事をしてみたらどうだろうと、工場長の仕事を斡旋したこと
があった。その男から、工場で人がほしいんだ、絶対にお前に頼んだよ、という電話が入ったのだった・・・。

そんな話。「家庭を振り返らない猛烈仕事オヤジ」➡「理解しつつも不満が募る妻」➡「突然襲う
子どもの白血病」➡「自分の身にも降りかかる不幸」➡「考え方変える」➡「子どもの病気に
奇跡発生」➡「金が全てではない家族を大切にした個人営業を始める」➡「人生で本当に大切なことは
何か」と。
そういう構図って予定調和と言うか、先が読めるというか、観ていて決して嫌な映画ではないのだけど、
今更なあ、という感じもしてしまうのだ。WOWOWのタイトルより原題のまま方が中身に対して正直だ
けど。というわけで日本ではビデオスルーでした。
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<ストーリー>
家庭生活を犠牲にして仕事に励んできた主人公が、思いも寄らぬ息子の難病を契機に自らの生き方を
見つめ直すさまを、G・バトラーの主演で描いた感動のファミリードラマ。

会社人間として誰よりも熱心に働き、次期社長の座もいざ視野に入ってきたその時になって、10歳の
息子が難病にかかっていることが判明。仕事と家族のどちらを優先するか、人生の岐路に直面する
主人公を、「300<スリーハンドレッド>」の人気俳優バトラーが、共同製作も兼ねて体当たりで
熱演。「ベティ・ペイジ」のG・モルが彼の愛妻に扮するほか、W・デフォー、A・モリーナら、
共演陣も充実。「ザ・コンサルタント」の製作を務めたM・ウィリアムズが本作で監督デビュー。
WOWOWの放送が日本初公開。

腕利きのヘッドハンターとして優秀な人材の引き抜きや仕事の斡旋に誰よりも熱心に取り組み、
会社の中でも一、二を争う立派な業績を上げてきたデイン。社長のエドは、デインとそのライバルの
女性社員リンに、今後の業績次第でどちらかに社長の座を譲ると告げ、2人にさらなるハッパをかける。ところがそんな折、デインの10歳の息子ライアンが、急性リンパ性白血病という難病にかかっている
ことが判明して入院することになり…。(WOWOW)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:13% Audience Score:66% >




by jazzyoba0083 | 2017-10-28 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(2)

ジョイ Joy

●「ジョイ Joy」
2015 アメリカ Fox 2000 Pictures. 124min.
監督・脚本・(共同)原案・製作:デヴィッド・O・ラッセル
出演:ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ブラッドリー・クーパー、ヴァージニア・
   マドセン、エドガー・ラミレス、ダイアン・ラッド、イザベラ・ロッセリーニ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
こんな面白い映画が日本劇場未公開なんですよねえ。「世界に1つのプレイブック」「アメリカン・ハッスル」「ザ・ファイター」「ハッカビーズ」など優れた人間ドラマを作ってきたデヴィッド・O・ラッセルが自ら原案を練り、脚本を書き、製作に携わり、監督もした映画。しかも主演が「世界に~」のコンビ
にデ・ニーロらの渋い脇役が出演。
有り体に言えば、発明主婦の成功物語なんだけど、彼女がどのくらいの壁に突き当たったか、父母祖母夫
を含めた周りの人々がどう動いたか、主人公との間合いを上手く取っていい作品に仕上げたのではない
か。これだけのメンバーで日本ではビデオスルーだったのはQVCが出てくるから? 
そんな話これまでいくらでも実名で映画になっているじゃんねえ。大人の事情は分かりません。
ジェニファーは本作でオスカー主演女優賞にノミネートされているし、ゴールデングローブ賞では
女優賞を獲得しているっていうのに。

主人公ジョイ・マンガーノは実在の人物。今や「ジョイ」ブランドを持ち、自らテレビ通販に出演し
巨額の富を積み上げ続けている。人が理不尽に金持ちになるのを観るのは気分良くないが、彼女の
ように天才的な発想をもっている頭のいい(高校は主席で卒業したものの家にお金がなくて大学は
諦めた)女性の活躍は、追体験するような爽快なカタルシスがある。しかも彼女は努力も半端じゃない
のだ。貧困から這い上がった諦めない天才は努力も一流!

さて、幼い頃から工夫や発明めいたことが好きだったジョイ。(ジェニファー)長じて、航空会社の
空港受付に勤務し、ベネズエラ系かなんかの男と結婚、子どもも出来た。祖母は彼女の長所を認めて
将来必ず家族のリーダーになる、と励ましてくれているが、母は一日中テレビでソープオペラを観て
暮らす、父は自分で工場を経営するが上手くいかない。ジョイの大人になってからの環境は子どもの頃
夢見ていた「自分の発明で世界の人を幸せにする」という理想とはあまりにもかけ離れていた。

そんなおり、載せて貰ったヨットのデッキでワイングラスやボトルが割れ、モップで掃除していた
ジョイは手を怪我してしまう。そこで彼女は閃いた。手を使わないでモップがけが出来、手を使わず
絞れてしかも洗濯機でモップ部分が洗えるという画期的なもの。

さて、それを巡って取っ手などのプラスチック部品を作るカリフォルニアの会社、そして売り込みに
行ったテレビショッピングQVCのニールの理解、借金まみれになりモップを作ったが初回放送での
男のやる気ないキャスターのせいで大失敗などさまざまな困難が押し寄せる。
しかしジョイは食い下がり、ニールにセカンド・チャンスをもらうことに成功した。そして出演は一番
商品が分かっている自分自身。その放送でも反応はあまり芳しくない。しかし幼馴染でジョイの一番の
理解者、親友のトゥルーディ(だったかな)が、テレビに電話で登場、サクラ?として商品の良い点を
どんどんと聞き出してくれた。するとどうだろう、売上をしめすスタジオのカウンターは5万本に近づい
ていく!ジョイは成功したのだ!

だが、事態はそう簡単では無かった。義理の姉が勝手に業者と契約したり、プラスチック業者に特許を
奪われたりで一時は、もう終わりか、と思える深刻な事態に。

そこからが真のジョイの強さを見せるところなのだ。しかしジョイの天才と努力ももちろんだが、それを
見守ったおばあちゃん、父、夫(なんの取り柄もないような男だが気だけはいいやつ)、親友、さらに
QVCのニールと、肉親や友、出会った人にもだいたいにおいて恵まれていた。人の人生に於いて誰と
出会うか、ものすごく大事なファクターなのだ。この映画を観ていると改めて分かる。

面白い映画です。ジェニファー・ローレンスがジョイのキャラクターにピッタリで凄く良かった!いい
女優さんになっていきますね。デ・ニーロを始めとして脇を固める名俳優陣がずるいくらいにしっかりと
しているので観ていてものすごく安定感がある。
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<ストーリー>
現在のハリウッドを代表する若手女優ローレンスが、オスカー受賞作「世界にひとつのプレイブック」や
「アメリカン・ハッスル」でも組んだD・O・ラッセル監督や、これらの作品での共演陣、R・デ・ニー
ロ、B・クーパーらとまたもタッグを結成。
第88回アカデミー賞でローレンスが主演女優賞にノミネートされながら日本では惜しくも劇場未公開に
終わった知られざる秀作だ。実話に基づき、自分が発明した新型モップを全米TV界の通販専門チャンネル
で売ろうと奮闘するシングルマザー役をローレンスは魅力的に好演。

幼いころ、自分の発明品を売ることを夢見たジョイだが、高校卒業後、結婚生活に失敗して2人の子ども
がいるシングルマザーになり、父親ルディの自動車修理工場を手伝うなど忙しい毎日を送るうち、自分の
夢を忘れかける。
しかしジョイは便利な新型モップを発明し、それを商品化できないかと模索しだす。元夫トニーの
コネで有名なTVの通販チャンネルで売られると決まり、ジョイは多額の借金をしてまでモップを大量生産
するが……。(WOWOW)

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:59% Audience Score:57%>




by jazzyoba0083 | 2017-10-26 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「女神の見えざる手 Miss Sloane」
2016 アメリカ Transfilm,Archery Pictures and more.132min.
監督:ジョン・マッデン  脚本:ジョナサン・ペレラ
出演:ジェシカ・チャスティン、マーク・ストロング、ググ・ンバータ=ロー、
   アリソン・ピル、サム・ウォーターストン、ジョン・リスゴー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
132分、字幕を追っかけるのに疲れ、画面を満足に楽しめなかったなあ。★は8.5。
凄い映画だ。迫力あるし、とにかくジェシカ・チャスティンの徹底した
ビッチぶり(全部が悪いとはいわない)が強烈だ。セリフが多いし、日本人には
馴染みのないロビイストという職種なので、テクニカルな言葉がたくさん出てきて
彼らが取る戦術の彼方に何があるのか、よくわからないまま映画は進んでいった。
スピード感たっぷり。ちょっとでも下を向いてセリフを読まなないと先が分からなく
なるほどだ。もう、全てがジェシカ・チャスティンの映画&これが1作目の脚本となるジョナサン・
ペレラに脱帽だ。ジェシカはこの役、ハマっていたなあ。

キャストもスタッフもアメリカといえども表面にあまり詳細が出てこないロビイストという職業に
ついて、たくさん勉強したという。
ロビイストとは、議会で法律を通すために多数派工作をする「業者」のことで
今回は分かりやすい「銃規制」について規制法を通す側と、全米ライフル協会から
巨額の献金をもらっている規制反対派の対立の中で、規制派を増やし規制法を
議会で通そうと活動する「私立」の面々の活躍だ・・

・・活躍なのだが、まあ、ジェシカ演じるスローン女史のやり方と言ったら、手段を
選ばず、裏切りや欺き、嘘は当たり前、誰が味方か、誰が敵なのかさえ判然とせず
身内にスパイがいるのではないか、という疑心暗鬼さえ生まれてくる。
素晴らしく頭が切れ、非情に徹し、ロビー活動とは自ら信じる正義を国のために
通す、なんてことはさらさら考えていなくて、すべてが「ゲーム」それも「勝つ
快感」を味わうための「権謀術数に満ちたスリリングなゲーム」なのだ。

ミス・スローンというロビイストの存在について、極端すぎる描写もあるのだろう
けど、決して彼女に思い入れは出来ないが、凄まじい一貫性に、不覚ながら引きずり
込まれる。向精神薬を飲みセックスさえビジネスで、何が面白いんだろうと思うけ
ど、まるで命のやりとりをする戦場にいる緊張感が彼女にとってのエクスタシーなん
だろうな。「怜悧な知的ゲームを楽しんでいる」という。絶えず前の壁の厚い方、高い方を
求める、それが困難なほど、彼女の脳は活性化し快感を覚える。まあ、病気ですなww

ラストには衝撃のシーンが2つ用意されているのだが、それらこそ、ミス・スローンの
「生き方」そのもの、「精神構造」そのものなのだろう。カタルシス、というには
「清々しさが残らない」それである。リモコンのゴキブリは是非CIAに教えてあげて欲しいww。

とにかく登場人物も多いし、ストーリーも簡単ではないし、難しいセリフ(字幕)は多いし
一回で理解しきれる人は幸いなり。ちゃんと隅々まで理解しようとすればもう一回観る
必要があるだろう。
よく出来た映画なんだけどオスカーにはどの部門にも引っかかってない。監督は「恋に落ちた
シェイクスピア」「コレリ大尉のマンドリン」「マリーゴールドホテルで会いましょう」など
人間ドラマを描かせたら一流のジョン・マッデンなのに。ミス・スローンがあまりも非情な
ビッチだったからアカデミー会員から、呆れられたのかもしれない。

しかし、映画としての「絶対的面白さ」は大いにあるスリラーエンタテインメントだ。
ジェシカ・チャスティンの「強烈なビッチさ」を楽しもう!理屈もへったくれもあったもんじゃない。
そういう爽快さはある。
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<ストーリー>
ジェシカ・チャステインが政府を影で動かす戦略のプロであるロビイストを演じ、第74回ゴールデン・
グローブ賞で主演女優賞候補になったサスペンス。
全米500万人の銃愛好家や莫大な財力をもつ敵陣営に果敢に戦いを挑む、女性ロビイストの奮闘を描く。監督は『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。

政府を裏で動かす戦略のプロ“ロビイスト”。その天才的な戦略でロビー活動を仕掛けるエリザベス・
スローン(ジェシカ・チャステイン)は、真っ赤なルージュで一流ブランドとハイヒールに身を包み、
大手ロビー会社で花形ロビイストとして辣腕をふるう日々。

そんなある日、彼女は銃の所持を支持する仕事を断り、銃規制派の小さな会社に移籍する。
全米500万人もの銃愛好家、そして莫大な財力を誇る敵陣営に立ち向かうロビイストたち。大胆な
アイデアと決断力で、難しいと思われた仕事に勝利の兆しが見えてきた矢先、エリザベス・スローンの
赤裸々なプライベートが露呈され、さらに予想外の事件が事態を悪化させていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:75% Audience Score:69% >





by jazzyoba0083 | 2017-10-25 17:25 | 洋画=ま行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ミス・シェパードをお手本に A Lady in the Van」
2015 イギリス BBC Films,TriStar Productions. 104min.
監督・(共同)製作:ニコラス・ハイトナー
出演:マギー・スミス、アレックス・ジェニング、ジム・ブロードベント
   フランシス・デ・ラ・トゥーア、ロジャー・アラム他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
冒頭に「ほとんど事実に基づく」と記される通り、劇作家アラン・ベネットが
体験した、不思議な(自分で不思議にしちゃっている部分もあるのだけれど)
老婦人との交流を描く。

ロンドンの近郊カムデンタウン(最近ではアート系のマーケットが立つ所と
して知られるが)に暮らす劇作家アランの家に何と15年間もバンの中で暮らした
ミス・シェパードという年のころなら80歳は超えているだろうか、この
老女と街の人々、そしてアランとの不思議な交流が、独特のタッチと目線で
描かれる。

味のある映画だと思った。冒頭にセピア色の画面の中でショパンのピアノ協奏曲
第一番を弾く若い女性がタイトルバック風に映され、ラストのエンドロールでも
また繰り返されるが、これがミス・シェパードの「生きたかったこと」「人生の
コアとして置きたかったこと」なんだろうなあ、としみじみしてしまった。

それにしてもロンドンのカムデンタウンという場所は文化人が多く住むリベラルな
エリアだとはいえ、自分の家の前にホームレスみたいな人がバンを停めて暮らしても
少し迷惑な顔はするが、凄く寛容なんだなあ。駐禁でもないらしく、警察を呼ぶ人
などはいない。現在のロンドンに対するアイロニーか。

冒頭のシーンでミス・シェパードはどうやら人をはねて警官に追われているらしい
シーンから始まる。この秘密はエンディングまで明かされないのだが、観ている方は
一体彼女に身に何が置きたのだろう、とハラハラしながら観続けることになる。

ミス・シェパードは風呂にも入らないからクサいし、トイレもバンの中で、時々は
み出た汚物がアランの庭やゴミ箱にナマのまま放置されていたりと、ゴミ屋敷状態。
アランは痴呆が始まった自分の母を施設に入れ、シェパードさんのバンを庭に
引き込み文句をいいながら面倒を見ている。この事はアランに自責の念を起こして
いる。
近隣の人も決して暖かい目で見ているわけではないのだが、決して「排除」
しようとはしない。時々若者がいたずらに来る程度だ。
それにしてもいかに独身(どうやら同性に恋人がいる風)とはいえ、ボロボロの
バンを自分の玄関先の庭に15年間も置いてあげるというアランの気持ちはどうだ。
私などには到底理解出来ない。幾ら自分の作劇のヒントとなるとは言え、だ。

シェパードさんはちょっと心をやられた時期があり、完全にまともとは言い難いし、
神を偏愛し、他人に迷惑を掛ける時がある。そんな彼女が周囲から決定的に疎まれ
なかったのは、彼女の気位の高さ、どことなくユーモラスで気品すら感じさせる
立ち姿ゆえではなかったか。

戦時中は救急車の運転手、そしてピアニストを目指しパリで勉強するも、暮らして
いた修道院で楽器演奏を禁じられ、自分のやりたいことを封じられたことから
心を病んでしまい、精神病院にもはいっていた。ピアノの腕前は相当なもので
ロンドンフィルとコンチェルトを共演したほどだった。それが宗教のために諦め
ざるをえなくなったのだ。
だがシェパードさんは神をうらむどころか、全て自分の行動は神の御告のまま、
という日々なのだ。故に周囲との摩擦も起すと言う・・・。これって穿ち過ぎかも
しれないが、神の道に殉じてピアノを諦めたあてつけのようにも感じたのだが。

社会福祉士が来て施設にやっとのことでデイサービスに連れ出し風呂に入れ、服も
着替えた次の日、シェパードさんはバンの中でピアノコンチェルトを弾く夢をみ
つつ天国に旅立った。
告別式の日にアランは元警察官という男からシェパードさんがバンを運転中に
バイクの男を撥ね、救護もせずに逃げてしまった逃亡犯であることを知らされる。
この事故は彼女が悪いのではなく、バイクの男の前方不注視が原因(とはいえ
ドライバーの罪がゼロにはならないが)だったのだ。

劇作家のアランは思う。幸せの尺度は分からないけど、自分よりは遥かに「人生を
生き抜いた」彼女。まさに「人に歴史あり」だ。長年のバン生活にひとことも
不満を言わなかった彼女、人生のハイライトであったピアニストとしての短い
時期をヨスガに自分の生きたいように生きた彼女。アランは彼女の半生を「バンの
中のレディ」という本に纏めたのだった。

ミス・シェパードには弟夫婦もいる。(名前がボナパルト・フェアチャイルドと
いうのが笑わせる)。実は大金持ちの娘なのか、と一瞬思ってしまった。
シェパードさんは彼らの世話にもならない。いわば天涯孤独の身(結婚もしてい
ない)。精神的にいささかオカシイところもあるのだが、他の人が考える幸せの
物差しは関係ないのだ。そしてアランほかの周りの人もそういう彼女を認めて
いるのが凄い。
ロンドンの郊外であった本当の話。人間がかかえる幸せの物差しに、何かを突き
つけているのではないか、またそういう人に(別に気が狂ってなくてもだ)
いらんおせっかいは要らないという周囲の人の、距離を置いた愛情。観終えて
味があるなあと感じたのはそのあたりなのだろう。難点は少し汚すぎた。
ほんとうの話だろうけど。

主役のマギー・スミスは1978「カリフォルニア・スィート」でオスカーの助演
女優賞を獲得してる芸歴の長い女優さん。80歳を超えて、ますます元気だ。
彼女の演技の味わいと現実のシェパードさんが歩いてきた波乱万丈の人生が良く
マッチしていた。語り部たるアレックス・ジェニング(イギリスのテレビ畑で
活躍が長い)も二つの心を合成二役で演じて映画の持つ感性にフィットしていた。
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<ストーリー>
イギリスの劇作家アラン・ベネットの回想録を映画化。ベネットの家の敷地に
車を停めて生活する風変わりなミス・シェパードとの、長きにわたる奇妙な共同
生活と友情を綴る。
舞台でミス・シェパードを演じ続けたアカデミー賞女優マギー・スミスが本作でも
主演。監督は「英国万歳!」でもベネットと組んだ、舞台演出家としての顔も
持つニコラス・ハイトナー。ベネットには、「クィーン」などに出演し舞台を
中心に活躍するアレックス・ジェニングスが扮する。
ベネットとミス・シェパードが実際に暮らしていたロンドン北部の町カムデンの
グロスター・クレセント通りで撮影された。

ロンドン北部の町カムデンに引っ越してきた劇作家ベネット(アレックス・
ジェニングス)は、通りに停められたおんぼろの黄色い車の中でミス・シェパード
という女性(マギー・スミス)が生活していることを知る。

彼女はここで気ままに暮らしており、近所の住人たちから食事を差し入れて
もらってもお礼を言うどころか悪態をついてばかり。
ある日、ミス・シェパードは路上駐車を咎められ、見かねたベネットはしばらくの
間自宅の敷地に車を置くことを提案する。
ベネットは一時的なつもりであったが、ミス・シェパードはそれから敷地に
居座り続け、エキセントリックな彼女との共同生活は15年になった。

彼女の突飛な行動に悩まされつつも、フランス語が堪能で音楽にも精通している
など思いがけない側面を持つ彼女に作家としても惹かれ、二人の間にいつしか
不思議な友情が芽生えていった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:64%>





by jazzyoba0083 | 2017-10-23 23:25 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「アトミック・ブロンド Atomic Blonde」
2017 アメリカ 87Eleven,Closed on Monday Entertainment and more. 115min. R15+
監督:デヴィッド・リーチ
出演:シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、ティル・シュヴァイガー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
この映画の魅力は3つ。まずシャーリーズ・セロンをこういうタフなスパイ役にキャスティングした
こと、二つ目は彼女を活かしたアクション(長回しの)、そして最後の二転三転のどんでん返し。
ストーリー的には、いろんな人が出てきてややこしいので、別に気にせずに見ていて良い。最後の
10分間で全部ネタバラシをしてくれるから。 激しいバイオレンス、レズビアンシーン、などで
R15+指定も、まあ仕方あるまい。まあまあ良いんだけど、メインのストーリー(ロシアに渡った
スパイのリストを奪還する?)はどうでも良いから、ウリのセロンのアクションをもっとたくさん
見せてほしかった。どうせ大どんでん返しで決着付けるんだから。全編の構成が主人公が過去の
出来事をボスたちに語るという体裁を取っているのも、タルい印象だったかも。原作がアメリカの
劇画なので、余計にアクションに特化したほうが面白かったと思った。

しかし、ポスプロの編集も入っているのだろうし、吹き替えやスタンドインももちろんやっている
だろうけど、シャーリーズ・セロン、40歳をとうに超えてるのに頑張っていましたね。はだかになると
やや痛い年齢になってきたかなあ。全裸の後ろ姿は男みたいだった。(鍛えてあるスパイの体型だからかな)

アクションに使われる(人を殺す)道具も、結構えげつないので、観ていて痛い。階段を蹴飛ばして
落とされるとことか、痛いだろうなあ、とかワインの栓抜きで喉を刺されたら、釘でオデコを打ち
抜かれたら痛いだろうなあ、とかリアリティはある。血しぶきもバシバシだし。
さすが、スタント育ちの監督さんらしい仕上げだ。娯楽作なので、意味を見出そうとかしない
ほうがいい。マカヴォイ他いろんな人も出てくるけど、どうでもいい感じ。ひたすらシャーリーズ・セロン。
そしてアクションとカーチェイスのシーンは非常に見応えが有る。

<ここから最後のネタを覚書のために書きますから、これから観たいという方は読まないでください>


イギリスのMI6のエージェント、ローレン(セロン)は、壁が壊される頃のベルリンに赴き、バレたら
世界情勢に大きな影響を与える極秘文章がKGBに奪われたのを奪還するとともに、二重スパイを摘発する
という難しい任務を与えられる。それで、なんだかんだとあり、MI6のメンバーだった男が二重スパイ
だったことが判明、仕留めることが出来た。さらに彼女は自分こそKGBの側につく二重スパイであると
KGBを安心させ、極秘文書を回収、そして乗り込んだプライベートジェットはCIAのもの。そう、ローレンは
CIAのエージェントで秘密裏にMI6に送り込まれ、KGB側のスパイであるとソ連さえ欺いていた、と
いうことなのね。
彼女の関係するアクションのキレの良さ、テンポ、アングル、そして音楽とラストのIKKOさん流に言えば
「せおいなげええっ」的な大どんでん返しが気持ちいい。中間は眠くなるので要注意。
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<ストーリー>
シャーリーズ・セロンがスゴ腕の諜報員を演じるスタイリッシュなスパイアクション。東西冷戦末期の
ベルリンを舞台に、二重スパイによって奪われた世界情勢に多大な影響を及ぼす極秘情報が記載された
リストを奪還しようとするスパイたちの攻防が描かれる。監督は『デッドプール』の続編を手がける
デヴィッド・リーチ。(Movie Walker)

 「モンスター」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のシャーリーズ・セロンが美しき最強女
スパイを演じるサスペンス・アクション。冷戦体制崩壊直前のベルリンを舞台に、極秘ミッションに
臨むヒロインが、次々と現われる刺客相手に壮絶な戦闘アクションを繰り広げるさまを、リアルかつ
スタイリッシュに描き出す。共演はジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ。
監督はスタント畑出身で、「ジョン・ウィック」では共同監督を務め、「デッドプール」続編の監督にも
抜擢されるなどハリウッドで注目を集めるアクション演出のスペシャリスト、デヴィッド・リーチ。
(allcinema)

1989年、東西冷戦末期のベルリン。世界情勢に多大な影響を及ぼす極秘情報が記載されたリストが
奪われる。イギリス秘密情報部MI6は、凄腕の女性エージェント、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・
セロン)にその奪還を命じる。ベルリンに潜入中のエージェント、デヴィッド・パーシヴァル
(ジェームズ・マカヴォイ)と共に任務を遂行するロレーン。だが彼女には、リスト紛失に関与した
MI6内の二重スパイ“サッチェル”を見つけ出すというもうひとつのミッションがあった。
リストを狙って、ベルリンに集結する世界各国のスパイ。誰が味方で誰が敵なのか。敵味方の区別が
つかない状況の中、ロレーンと世界の運命は……?(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:76% Audience Score:67%>



by jazzyoba0083 | 2017-10-23 14:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

何者

●「何者」
2016 日本 東宝映画 「何者」製作委員会  98分
監督:三浦大輔  原作:朝井リョウ「何者」(新潮文庫刊)
出演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
「君の名は。」の川村元気が企画・プロデューサーとして入り、製作委員会もほぼ「君の名は。」の
メンバー。東宝映画、元気がいい。本作も、「川島部活やめるってよ」と同じ朝井りょうの原作が
良いんだけど、それにしてもこの配役、なかなかツボを心得ているな、と感じた。

原作は未読。「就活」なんて言葉すら無かった遠い昔の世代としては、現代の就活そのものの事情は
良くわからないが、それでも、本作にでてくるそれぞれのキャラクターの「あるある!」感には
シンパシーを覚える。そのあたりは今も昔も、普遍的な青春の懊悩なのだろう。
大人になってから、社会人になってからも彼らは同じような悩みを抱えて生きていくことになるのだが。
若いがゆえの人生経験から来る疑心暗鬼や不安、焦燥といったものがおそらく朝井りょうの描くところ
だったのだろうけど、映像表現としても良く出来ていたのではないかな。監督経験は浅い三浦監督頑張った
のではないか。

一見仲の良い大学の仲間であっても、就活が切羽詰まってくると、だんだん見えてくる本性。
他人はさておいて自分の個性を強烈にアピールするやつ、知らない間にちゃっかりと内定を
取ってくるやつ、社会に対し斜に構え、就活なんてよ、なんて言ってたやつが、キチンとツース
着ちゃっていたり。友人の和が微妙に色合いを変えていく。でもそれはそういうことなのだな、と
いう現代っ子らしい割り切りもあったり。
私らの世代にはバンバンが歌った「いちご白書をもう一度」の歌詞そのものだ。

あの頃は学生運動が学生側の敗北に終わり、社会にあかんべーしていた奴らも、スーツ着て
髪の毛切って会社員になっていった。主義とか主張とか押し殺して。それが社会人になり
お金を貰うことだと割り切って、敗北感にもにた感情を胸に仕舞って大学を卒業していったのだ
ったなあ。

そうした登場人物のキャラクターが生き生きと描かれていて面白かった。それぞれの俳優がそれ
ぞれのポジションの個性に合っていたように思う。あまり期待しないで観始めたが、短い映画、
なかなか面白く観せてもらった。自らを「何者」?と問える人間は、幸いなり。
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<ストーリー>
就活の情報交換のため集まった5人の22歳。かつて演劇サークルで脚本を書いていて人を分析するのが
得意な拓人(佐藤健)。天真爛漫で何も考えていないようで、着実に内定に近づいていく光太郎(菅田将暉)。
光太郎の元カノで拓人が思いを寄せ続ける実直な性格の瑞月(有村架純)。人一倍“意識高い系”でありながら、
結果が出ず不安を募らせていく理香(二階堂ふみ)。社会の決めたルールには乗らないと宣言しながらも
焦りを隠せない隆良(岡田将生)。

彼らは、海外ボランティアの経験やサークル活動、手作り名刺、SNS、業界の人脈等、様々なツールを
駆使して就職戦線を戦っていく。だが企業に入れば「何者」かになれるのか、自分は「何者」になり
たいのか……。そんな疑問を抱えながら就活を進める中、5人はそれぞれの思いや悩みをツイートするが、
就活のやり方やスタンスに嫌悪感を覚えることもあり、次第に人間関係が変化していく。そんな折、
拓人はサークルOBのサワ先輩(山田孝之)に相談するが、思うようにいかない現実に苛立ちを隠せなくなる。
やがて内定者が現れたとき、抑えられていた妬みや本音が露になり、ようやく彼らは自分を見つめ直し
始めるのだった。果たして自分は「何者」なのか……。(Movie Walker)




by jazzyoba0083 | 2017-10-19 22:55 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

裸足の季節 Mustang

●「裸足の季節 Mustang」
2015 フランス・トルコ・ドイツ CG Cinema. 97min.
監督・(共同)脚本:デニス・ガムゼ・エルギュヴェン
出演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
邦題から見て、もう少しチャラい映画か、と思ったら、やはりカンヌなど
それ系で評価されたのも頷ける結構重い内容だった。原題は「野生の馬」
なわけだけど、意味としては理解出来る。今でもトルコの田舎では、この
映画で描かれるような封建的な風習というか制度が残っているのだろう。
それを思うと、5人姉妹の思いに胸が潰れる思いだし、自由がある、ということが
どんなに大切なことか、特に若い人たちに対して重要か、が良く分かる。
暮らしや人間性の否定に繋がる封建制度は、しつけとか処女性とかだけでは
なく、自由な発想や芸術文化の圧迫にも繋がるんだなあ、と感じた。

イスラムの世界で女性はいつごろから頭をスカーフみたいなもので覆わなくては
ならないのか知識が無かったが、おそらく中学生くらまでは結構自由な感じ
を受けた。しかしある年齢になると親の決めた男性と処女性を極めて
重んじられた結婚を押し付けられる。

この映画ではイスタンブールから1000キロ離れた田舎町で、両親が早くに
亡くなり、おばあちゃんに育てられている5人姉妹のある夏を描く。

黒海にちかいため、学校帰りに海に制服のまま入って男子生徒とじゃれあい、
男子生徒に肩車をしてもらった、というだけで、もう村中に「はしたない」
という噂が流れる。女の子は男子となんか遊ばず、親の言うことを聞いて
良妻賢母になるべし、という教育で、結婚前は処女検査があり、初夜には
ベッドに血が付いているかいないかで大騒ぎとなる、という今の先進国では
到底考えなれないアナクロニズムで覆い尽くされている。一方で、こうした
いわば「天から与えられた自由」と私達が思っていることが、まったく認め
られない世界が、まだまだ地球上にはあるのだろう。

姉妹は自由奔放で、まあ、どの国でも若い人は大人の言うことは煩くて
自由にしていたいもの、束縛を嫌うものだが、姉妹の住むあたりでは頭から
押さえつけられる。それでも家から脱走してサッカーを観に行ったり
ボーイフレンドと会ったりするのだが、おじさんに家の窓に鉄格子を付け
られ、家の周りにはまるで刑務所のような高くて頂上に槍のような鉄骨が
突き出ている塀が作られた。もう籠の鳥そのもの。

映画の中の救いはそれでも姉妹は何とか抜け出そうと明るく諦めないことと、
末娘の活発な頭のいい行動力だ。まだ高校生くらいなのに上の姉二人が
同時に結婚させられ、いよいよ大人の世界の戒律にがんじがらめになろうと
する時、3番目の姉に悲劇が襲う。4番目の姉の時は家に閉じこもり反乱。

二人して高い塀を乗り越えて、脱出する。末娘は普段から自動車の運転を
研究していて、家からキーを取り、金を奪ってクルマに乗り込み夜道を
走る。しかし途中で脱輪してしまう。そこに以前から(サッカーに行く時に
止まってくれたトラック運転手)親しくし、クルマの運転も教えてくれた
男を呼び出し、彼のトラックに乗ってイスタンブールを目指す。

映画の冒頭で、末娘の大好きな女先生が異動で担任を外れてしまい、
姉らから慰められるシーンがあるのだが、その女の先生の住所を知って
いたので、そこを探し当て、末娘が先生の胸に飛び込むところで映画は
終わる。

旧習に立ち向かう若い女性のみずみずしい感性が、短い時間で上手く描かれ
ている。5人がそれぞれのキャラクターを持ち、それぞれの青春を生きるの
だが、最後に先生のところにたどり着いた末娘は、それからどうしていく
つもりだったのか。製作協力にトルコ文科省が付いているが、自分の国の
因習をいわば外に出したら恥と感じられる部分が描かれているのに、よく
お金を出したと思う。
若者の自由を求める純粋な気持ち、それを抑圧する古い考え。それに負けない
女性たち。トルコ政府が推奨しようとする点があったのだろうか。
それとイスラムの戒律がどうの、という点には繋がらないところがミソか。

5人全員の結末は全部がめでたいわけではないが、すがすがしい5人姉妹に
拍手を送りたくなるような映画だった。いろんな映画祭で評判になるのも
分かる気がする。短い映画なので、機会があれば観てみるとよいと思う。
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<ストーリー>
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた、デニズ・ガムゼ・
エルギュヴェン監督の長編デビュー作。
両親を亡くし祖母の家で暮らしている5人姉妹。学校生活を謳歌していたある日、
古い慣習と封建的な思想のもと一切の外出を禁じられてしまう。
オーディションで選ばれた姉妹役の5人は、三女エジェを演じたエリット・
イシジャン以外は演技初体験の新人。

イスタンブールから1000km離れた黒海沿岸の小さな村。10年前に両親を亡くした
美しい5人姉妹、長女ソナイ(イライダ・アクドアン)、次女セルマ(トゥーバ・
スングルオウル)、三女エジェ(エリット・イシジャン)、四女ヌル(ドア・
ドゥウシル)、そして末っ子の13歳のラーレ(ギュネシ・シェンソイ)が、
祖母(ニハル・コルダシュ)と叔父エロル(アイベルク・ペキジャン)のもとで
暮らしている。

ラーレの大好きなディレッキ先生がイスタンブールの学校へと異動になった日、
姉妹たちは下校の途中、海で無邪気に男子生徒の肩にまたがり、騎馬戦をして遊んだ。
帰宅すると、隣人から告げ口された祖母が怒りの形相で「男たちの首に下半身を
こすりつけるなんて!」と、ソナイから順番に折檻していく。

この日以来、姉妹たちは外出を禁じられ、派手な洋服やアクセサリー、化粧品、
携帯電話、パソコンも没収される。文字通り“カゴの鳥”となった彼女たちは
花嫁修業を命じられる。地味な色の服を着させられ、料理を習い、掃除をし、
毎日のように訪ねてくる村の女たちが花嫁として必要なことを伝授していく。

次々と見合い話がまとめられ、婚礼の日を迎える。浴びるように自棄酒を飲み干し、
涙を流すセルマに、「結婚したくないなら逃げて」とラーレは話しかける。
しかしセルマは、「どこへ逃げればいいの? イスタンブールは1000キロ先よ」と
諦めたようにつぶやく。この夜が、姉妹が揃う最後の日となった。
ラーレは祖母のへそくりから金を盗み、アリバイ工作のため自分の髪を切って
人形に縫いつける。そして運命を切り開くための計画を強行する……。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98%Audience Score:88%>


 

by jazzyoba0083 | 2017-10-16 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) War for the Planet of the Apes」
2017 アメリカ Chernin Entertainment (Dist.,20th Century Fox) 140min.
監督・(共同)脚本:マット・リーヴス
出演:アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー、カリン・コノヴァル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:ネタバレに近い内容なので、これから鑑賞する方はお気をつけください>

第一作の、あの砂浜に埋もれた自由の女神の作品に繋がるリブート版最終作。(と思う)
この三部作は結局シーザーの一生を描いたことになるのだ。前2作がとても好きだったので
最終章と聞いたからには何が何でも観ておくべき、と3D IMAX上映のシネコンまで遠征して鑑賞
してきた。2時間20分。長いが、長さは感じない。それだけ緊張感は継続出来る作品として
出来上がっていたとは思う。思うが、リブート3部作の中では一番内省的で、ある意味地味である。
そしてシーザーの映画そのもの、と言い切れる作品だ。前二作でも当然シーザーは主役(級)では
あったが、人間との関わりが主題の大きな部分を占めていた。しかし、本作は全編基本的にシーザー物語。

全作の新世紀(ライジング)のストーリーが好きだな、という人はちょっと違和感を感じるかも
知れない。というのは本作は人間目線の描き方は全くされておらず、終始エイプ目線だからだ。
それが一貫した迫力を生んでいる、という点は否定しないが、私としてはもうちょっとバラエティが
欲しかったかなあ、という感じ。これはこれで作品としてきちんとまとまっているし、面白くて観る価値の
ある(特にリブートを見てきた人には)作品だとは思う。

原題の最初の単語がwarなので、全編徹底して戦いを描く。猿の仲間でも人間に使われ「ドンキー」と
呼ばれ平穏を得ている猿との間のことなどもあるが基本は、猿を殲滅しにくる人間対エイプの戦いの
物語である。
人間との戦いで、妻と子供の一人を、殺され、復習の鬼となるシーザーは、前作でコバという
復讐に駆られた仲間のエイプをあれだけ非難していたのに、「俺はコバになってしまった」と
いわしめるほどの復讐心に燃えるのだ。まあ、最愛の妻と子供を殺され、もう一人の子供が拉致されて
いる状態では、見ている方はシーザーの心は分かりすぎるほどで、人間なのに思いっきり猿を応援しちゃう
んだけどね。

だが、部隊を率いる大佐を追っているうちに、率いなければならなかった仲間は大佐に囚われ壁作りの
苦役をさせられていた。

大佐を一人で追いかけようとするシーザーにロケットやモーリスらの数匹が仲間に加わり、途中で
誤って殺してしまった脱走兵と一緒にいた少女(ノヴァと名付けられる)が同行、さらにバッド
エイプというお笑い担当も加わり、大佐に迫る。しかし、結局シーザーは大佐に捕らえられてしまう
のだが。復讐鬼となるシーザーに対し、「仲間と共に」というテーゼの暗喩的存在がノヴァだ。
それにしても、大佐はなんであんなに簡単に自殺しちゃったのか、そのあたり良くわからなかった。
何か見落としたのかな。

囚われたシーザーが仲間の手を借りて脱走、大佐を攻撃する他の人間の攻勢、そして自然の怒り、
地球に住む同士、何をやっているのかという神の怒り的暗喩(だと感じた)大雪崩の発生などあたりが
ハイライト。そして結末と。(悲劇的だが)適切な終わり方だと思う。

書いてきて思ったのだが、映画としてはちゃんとしている。でも三部作では新世紀が一番好きだな。
本作もいいんだけど内省的で重く苦しく悲しい。(そここそ本作の狙い目なのだと思う。クドくてゴメン)
最後にあの自由の女神が何らかの形で出てくるかと思ったのだけれど、舞台はサンフランシスコあたり
だものなあ。これがどうやって舞台としてNYにつながっていくのか。チャールトン・ヘストンは
コーネリアス博士とノヴァとともに西海岸から東海岸まで歩いたということでOK?。本作でシーザーの
次男としてそのコーネリアスが、登場。1作目を観ていないと面白さが分からないところ。
そして口のきけない女の子ノヴァこそ1作目に登場するノヴァである。

シーザー、お疲れ様。ほんとにリブートはこれで終わりかなあ。スピンアウトとか出てきたり?
それにしてモーションキャプチャとVFXの出来はどんどん良くなる。
それと大佐のありようや地下の壁に書かれた「猿の黙示録」という落書きなど、他の映画への
オマージュにもニンマリだ。
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<ストーリー>
高度な知能を得て反乱を起こした猿たちと人類の戦いを描く、人気SFシリーズの第3弾。猿のリーダーで
あるシーザーがその使命感と家族を奪われた復讐心の狭間で葛藤する物語が描かれる。前2作に引き続き、
アンディ・サーキスがシーザーを演じる。監督は『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のマット・リーヴス。

高度な知能を得た猿と人類の全面戦争が勃発してから2年後。シーザー(アンディ・サーキス)率いる
猿の群れは森の奥深くに身を潜めていたが、ある夜奇襲を受け、シーザーの妻と年長の息子が落命。
敵の軍隊を統率する大佐(ウディ・ハレルソン)への憎しみから、シーザーは仲間たちを新たな隠れ
場所に向かわせ、穏やかなオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)やシーザーの片腕的な
存在のロケット(テリー・ノタリー)らを伴い復讐の旅に出る。

道中、口のきけない人間の少女ノバ(アミア・ミラー)や動物園出身の奇妙なチンパンジー、
バッド・エイプ(スティーヴ・ザーン)を加え、大佐のアジトである巨大な要塞にたどり着いた一行。
しかし復讐心に燃えいつもの冷静な判断力を失ったシーザーは、執拗に彼を狙う大佐に捕獲されてしまう。
そこで新天地に向かったはずの仲間たちがこの刑務所のごとき施設に監禁され過酷な重労働を課せられて
いることを知り、責任を痛感したシーザーは大切な仲間を希望の地へと導くため、命がけの行動に出る。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:85%>





by jazzyoba0083 | 2017-10-14 12:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)