裸足の季節 Mustang

●「裸足の季節 Mustang」
2015 フランス・トルコ・ドイツ CG Cinema. 97min.
監督・(共同)脚本:デニス・ガムゼ・エルギュヴェン
出演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル他
e0040938_14230547.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
邦題から見て、もう少しチャラい映画か、と思ったら、やはりカンヌなど
それ系で評価されたのも頷ける結構重い内容だった。原題は「野生の馬」
なわけだけど、意味としては理解出来る。今でもトルコの田舎では、この
映画で描かれるような封建的な風習というか制度が残っているのだろう。
それを思うと、5人姉妹の思いに胸が潰れる思いだし、自由がある、ということが
どんなに大切なことか、特に若い人たちに対して重要か、が良く分かる。
暮らしや人間性の否定に繋がる封建制度は、しつけとか処女性とかだけでは
なく、自由な発想や芸術文化の圧迫にも繋がるんだなあ、と感じた。

イスラムの世界で女性はいつごろから頭をスカーフみたいなもので覆わなくては
ならないのか知識が無かったが、おそらく中学生くらまでは結構自由な感じ
を受けた。しかしある年齢になると親の決めた男性と処女性を極めて
重んじられた結婚を押し付けられる。

この映画ではイスタンブールから1000キロ離れた田舎町で、両親が早くに
亡くなり、おばあちゃんに育てられている5人姉妹のある夏を描く。

黒海にちかいため、学校帰りに海に制服のまま入って男子生徒とじゃれあい、
男子生徒に肩車をしてもらった、というだけで、もう村中に「はしたない」
という噂が流れる。女の子は男子となんか遊ばず、親の言うことを聞いて
良妻賢母になるべし、という教育で、結婚前は処女検査があり、初夜には
ベッドに血が付いているかいないかで大騒ぎとなる、という今の先進国では
到底考えなれないアナクロニズムで覆い尽くされている。一方で、こうした
いわば「天から与えられた自由」と私達が思っていることが、まったく認め
られない世界が、まだまだ地球上にはあるのだろう。

姉妹は自由奔放で、まあ、どの国でも若い人は大人の言うことは煩くて
自由にしていたいもの、束縛を嫌うものだが、姉妹の住むあたりでは頭から
押さえつけられる。それでも家から脱走してサッカーを観に行ったり
ボーイフレンドと会ったりするのだが、おじさんに家の窓に鉄格子を付け
られ、家の周りにはまるで刑務所のような高くて頂上に槍のような鉄骨が
突き出ている塀が作られた。もう籠の鳥そのもの。

映画の中の救いはそれでも姉妹は何とか抜け出そうと明るく諦めないことと、
末娘の活発な頭のいい行動力だ。まだ高校生くらいなのに上の姉二人が
同時に結婚させられ、いよいよ大人の世界の戒律にがんじがらめになろうと
する時、3番目の姉に悲劇が襲う。4番目の姉の時は家に閉じこもり反乱。

二人して高い塀を乗り越えて、脱出する。末娘は普段から自動車の運転を
研究していて、家からキーを取り、金を奪ってクルマに乗り込み夜道を
走る。しかし途中で脱輪してしまう。そこに以前から(サッカーに行く時に
止まってくれたトラック運転手)親しくし、クルマの運転も教えてくれた
男を呼び出し、彼のトラックに乗ってイスタンブールを目指す。

映画の冒頭で、末娘の大好きな女先生が異動で担任を外れてしまい、
姉らから慰められるシーンがあるのだが、その女の先生の住所を知って
いたので、そこを探し当て、末娘が先生の胸に飛び込むところで映画は
終わる。

旧習に立ち向かう若い女性のみずみずしい感性が、短い時間で上手く描かれ
ている。5人がそれぞれのキャラクターを持ち、それぞれの青春を生きるの
だが、最後に先生のところにたどり着いた末娘は、それからどうしていく
つもりだったのか。製作協力にトルコ文科省が付いているが、自分の国の
因習をいわば外に出したら恥と感じられる部分が描かれているのに、よく
お金を出したと思う。
若者の自由を求める純粋な気持ち、それを抑圧する古い考え。それに負けない
女性たち。トルコ政府が推奨しようとする点があったのだろうか。
それとイスラムの戒律がどうの、という点には繋がらないところがミソか。

5人全員の結末は全部がめでたいわけではないが、すがすがしい5人姉妹に
拍手を送りたくなるような映画だった。いろんな映画祭で評判になるのも
分かる気がする。短い映画なので、機会があれば観てみるとよいと思う。
e0040938_14233653.jpg
<ストーリー>
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた、デニズ・ガムゼ・
エルギュヴェン監督の長編デビュー作。
両親を亡くし祖母の家で暮らしている5人姉妹。学校生活を謳歌していたある日、
古い慣習と封建的な思想のもと一切の外出を禁じられてしまう。
オーディションで選ばれた姉妹役の5人は、三女エジェを演じたエリット・
イシジャン以外は演技初体験の新人。

イスタンブールから1000km離れた黒海沿岸の小さな村。10年前に両親を亡くした
美しい5人姉妹、長女ソナイ(イライダ・アクドアン)、次女セルマ(トゥーバ・
スングルオウル)、三女エジェ(エリット・イシジャン)、四女ヌル(ドア・
ドゥウシル)、そして末っ子の13歳のラーレ(ギュネシ・シェンソイ)が、
祖母(ニハル・コルダシュ)と叔父エロル(アイベルク・ペキジャン)のもとで
暮らしている。

ラーレの大好きなディレッキ先生がイスタンブールの学校へと異動になった日、
姉妹たちは下校の途中、海で無邪気に男子生徒の肩にまたがり、騎馬戦をして遊んだ。
帰宅すると、隣人から告げ口された祖母が怒りの形相で「男たちの首に下半身を
こすりつけるなんて!」と、ソナイから順番に折檻していく。

この日以来、姉妹たちは外出を禁じられ、派手な洋服やアクセサリー、化粧品、
携帯電話、パソコンも没収される。文字通り“カゴの鳥”となった彼女たちは
花嫁修業を命じられる。地味な色の服を着させられ、料理を習い、掃除をし、
毎日のように訪ねてくる村の女たちが花嫁として必要なことを伝授していく。

次々と見合い話がまとめられ、婚礼の日を迎える。浴びるように自棄酒を飲み干し、
涙を流すセルマに、「結婚したくないなら逃げて」とラーレは話しかける。
しかしセルマは、「どこへ逃げればいいの? イスタンブールは1000キロ先よ」と
諦めたようにつぶやく。この夜が、姉妹が揃う最後の日となった。
ラーレは祖母のへそくりから金を盗み、アリバイ工作のため自分の髪を切って
人形に縫いつける。そして運命を切り開くための計画を強行する……。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98%Audience Score:88%>


 

by jazzyoba0083 | 2017-10-16 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) War for the Planet of the Apes」
2017 アメリカ Chernin Entertainment (Dist.,20th Century Fox) 140min.
監督・(共同)脚本:マット・リーヴス
出演:アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー、カリン・コノヴァル他
e0040938_21495785.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:ネタバレに近い内容なので、これから鑑賞する方はお気をつけください>

第一作の、あの砂浜に埋もれた自由の女神の作品に繋がるリブート版最終作。(と思う)
この三部作は結局シーザーの一生を描いたことになるのだ。前2作がとても好きだったので
最終章と聞いたからには何が何でも観ておくべき、と3D IMAX上映のシネコンまで遠征して鑑賞
してきた。2時間20分。長いが、長さは感じない。それだけ緊張感は継続出来る作品として
出来上がっていたとは思う。思うが、リブート3部作の中では一番内省的で、ある意味地味である。
そしてシーザーの映画そのもの、と言い切れる作品だ。前二作でも当然シーザーは主役(級)では
あったが、人間との関わりが主題の大きな部分を占めていた。しかし、本作は全編基本的にシーザー物語。

全作の新世紀(ライジング)のストーリーが好きだな、という人はちょっと違和感を感じるかも
知れない。というのは本作は人間目線の描き方は全くされておらず、終始エイプ目線だからだ。
それが一貫した迫力を生んでいる、という点は否定しないが、私としてはもうちょっとバラエティが
欲しかったかなあ、という感じ。これはこれで作品としてきちんとまとまっているし、面白くて観る価値の
ある(特にリブートを見てきた人には)作品だとは思う。

原題の最初の単語がwarなので、全編徹底して戦いを描く。猿の仲間でも人間に使われ「ドンキー」と
呼ばれ平穏を得ている猿との間のことなどもあるが基本は、猿を殲滅しにくる人間対エイプの戦いの
物語である。
人間との戦いで、妻と子供の一人を、殺され、復習の鬼となるシーザーは、前作でコバという
復讐に駆られた仲間のエイプをあれだけ非難していたのに、「俺はコバになってしまった」と
いわしめるほどの復讐心に燃えるのだ。まあ、最愛の妻と子供を殺され、もう一人の子供が拉致されて
いる状態では、見ている方はシーザーの心は分かりすぎるほどで、人間なのに思いっきり猿を応援しちゃう
んだけどね。

だが、部隊を率いる大佐を追っているうちに、率いなければならなかった仲間は大佐に囚われ壁作りの
苦役をさせられていた。

大佐を一人で追いかけようとするシーザーにロケットやモーリスらの数匹が仲間に加わり、途中で
誤って殺してしまった脱走兵と一緒にいた少女(ノヴァと名付けられる)が同行、さらにバッド
エイプというお笑い担当も加わり、大佐に迫る。しかし、結局シーザーは大佐に捕らえられてしまう
のだが。復讐鬼となるシーザーに対し、「仲間と共に」というテーゼの暗喩的存在がノヴァだ。
それにしても、大佐はなんであんなに簡単に自殺しちゃったのか、そのあたり良くわからなかった。
何か見落としたのかな。

囚われたシーザーが仲間の手を借りて脱走、大佐を攻撃する他の人間の攻勢、そして自然の怒り、
地球に住む同士、何をやっているのかという神の怒り的暗喩(だと感じた)大雪崩の発生などあたりが
ハイライト。そして結末と。(悲劇的だが)適切な終わり方だと思う。

書いてきて思ったのだが、映画としてはちゃんとしている。でも三部作では新世紀が一番好きだな。
本作もいいんだけど内省的で重く苦しく悲しい。(そここそ本作の狙い目なのだと思う。クドくてゴメン)
最後にあの自由の女神が何らかの形で出てくるかと思ったのだけれど、舞台はサンフランシスコあたり
だものなあ。これがどうやって舞台としてNYにつながっていくのか。チャールトン・ヘストンは
コーネリアス博士とノヴァとともに西海岸から東海岸まで歩いたということでOK?。本作でシーザーの
次男としてそのコーネリアスが、登場。1作目を観ていないと面白さが分からないところ。
そして口のきけない女の子ノヴァこそ1作目に登場するノヴァである。

シーザー、お疲れ様。ほんとにリブートはこれで終わりかなあ。スピンアウトとか出てきたり?
それにしてモーションキャプチャとVFXの出来はどんどん良くなる。
それと大佐のありようや地下の壁に書かれた「猿の黙示録」という落書きなど、他の映画への
オマージュにもニンマリだ。
e0040938_21503521.jpg
<ストーリー>
高度な知能を得て反乱を起こした猿たちと人類の戦いを描く、人気SFシリーズの第3弾。猿のリーダーで
あるシーザーがその使命感と家族を奪われた復讐心の狭間で葛藤する物語が描かれる。前2作に引き続き、
アンディ・サーキスがシーザーを演じる。監督は『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のマット・リーヴス。

高度な知能を得た猿と人類の全面戦争が勃発してから2年後。シーザー(アンディ・サーキス)率いる
猿の群れは森の奥深くに身を潜めていたが、ある夜奇襲を受け、シーザーの妻と年長の息子が落命。
敵の軍隊を統率する大佐(ウディ・ハレルソン)への憎しみから、シーザーは仲間たちを新たな隠れ
場所に向かわせ、穏やかなオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)やシーザーの片腕的な
存在のロケット(テリー・ノタリー)らを伴い復讐の旅に出る。

道中、口のきけない人間の少女ノバ(アミア・ミラー)や動物園出身の奇妙なチンパンジー、
バッド・エイプ(スティーヴ・ザーン)を加え、大佐のアジトである巨大な要塞にたどり着いた一行。
しかし復讐心に燃えいつもの冷静な判断力を失ったシーザーは、執拗に彼を狙う大佐に捕獲されてしまう。
そこで新天地に向かったはずの仲間たちがこの刑務所のごとき施設に監禁され過酷な重労働を課せられて
いることを知り、責任を痛感したシーザーは大切な仲間を希望の地へと導くため、命がけの行動に出る。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:85%>





by jazzyoba0083 | 2017-10-14 12:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「デュバリイは貴婦人 Du Barry Was a Lady」
1943 アメリカ MGM  101min.
監督:ロイ・デル・ルース  製作:アーサー・フリード
出演:ルシル・ボール、ジーン・ケリー、レッド・スケルトン、ヴァージニア・オブライエン
エヴァ・ガードナー、ラナ・ターナー、トミー・ドーシーと彼の楽団、パイドパイパーズ他
e0040938_12175039.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
このブログのタイトルは、MGMのレビュー~ミュージカルの栄光を描いた映画から
取ったことは皆さんすぐにお分かりでしょう。そのように私は1940年代から60年代の
ミュージカルが大好きで、特にMGMと20世紀フォックスの諸作品は大好き!

しかし、この映画は未だ観ておらず、毎月開催される市の映画鑑賞会で上映されたので
いそいそと出かけました。これがまた面白くて、テクニカラーが綺麗で、コール・
ポーターの曲、売り出し中のジーン・ケリーの若いタップ、トミー・ドーシーの
華麗な音楽とジョー・スタッフォードを含むパイド・パイパーズやモノマネトリオの
オックスフォード・ボーイズが上手く歌手やジャズプレイヤーの歌マネを披露、
なんと幸せな映画だろう。これを昭和18年に創るアメリカって・・・。
しかもセット、ロケ、衣装、すべてに金をしっかり掛けて手を抜いていない。
MGMのミュージカルプロデューサー王、アーサー・フリードの面目躍如の出来だ。

もちろん主役格のルシル・ボール、変顔を含めコミカルな味が良いレッド・スケルトンも
申し分ない。ルシル・ボールは私はテレビの「ルーシー・ショー」をリアルタイムで
観ていた世代。(陽気なルーシーではない)そこそこお年を召されてからの彼女だった
ので、若い時の感じはこうだったか、と見入ってしまった。赤毛の美人ではあるが、
本作にエスカイアガールとして紹介されるラナ・ターナーのほうが綺麗かな。
(映画の中のルシルの歌声は吹き替え)

この手の物語はどちらかというとどうでもいいのだが、役どころを紹介しておくと、
ルシル・ボールはナイトクラブのショーガール、育った環境が貧しく、とにかく
お金持ちと結婚したくてしかたがない。クラブで働きタップも披露しているジーン・
ケリーとクロークボーイのレッド・スケルトンとが彼女を狙っていた。
ルシル・ボールは熱烈に求愛してくるジーン・ケリーが好きなのだが、どうしても
お金のことが頭にあり、結婚までは踏み切れない。

一方、スケルトンは15万ドルの宝くじが当たり、一夜にして大金持ちに。お金に
目がないルシルにプロポーズするが、恋敵のジーン・ケリーに飲ませるはずの
睡眠薬を自分が飲んでしまい、夢の世界に。そこは中世のフランスでスケルトンが
ルイ15世になって、ルシル演じるマダム・デュバリイに恋をする、これを邪魔する
人民の味方ブラック・アロー(ケリー)。結局、中世でもルシルはケリーに恋して
いて、お金が全てではないと悟るのだった。
他愛のない話で、典型的なハッピーエンド。最期はトミー・ドーシーも入って
5人で「フレンドシップ」という歌を歌って幕となるのだ。

主人公たちだけではなく、ナイトクラブで怪しい水晶占いをする男とか、本編に
あまり関係ないギャグも散りばめられ、「お笑い映画」としても楽しめる。
さらに当時人気絶頂だったトミー・ドーシーの演奏が数曲たっぷり聞けるのも
珍しい。
とにかく欲張りな映画だ。Blu-rayがあればコレクションに加えようかなあ。
e0040938_12182228.jpg
<ストーリー:全部書かれています>
ブロードウェイでヒットした同名のミュージカルを、音楽映画専門のアーサア・フリイド
「踊る海賊(1948)」が製作映画化したもので、レッド・スケルトンの出世作として
知られる。原作はB・G・デシルヴァとハーバアト・フィールズ「アニーよ銃をとれ」、
これを「泣き笑い人生」のアーヴィング・ブレッチャアが映画様に脚色、
「テレヴィジョンの王様」のロイ・デル・ルースが監督に当った。
音楽は原舞台そのままコール・ポーターの作詞作曲を中心にしている。
撮影は「風車の秘密」のカール・フロイント、ダンス監督は「イースター・パレード」の
監督チャールズ・ウォルタアズが担当する。

ナイト・クラブ「プチィット」の花形メイ・デリイ(ルシル・ボール)は、同僚の
2枚目歌手アレック(ジーン・ケリー)と、クロークのルイ(レッド・スケルトン)
から想いを寄せられていた。
彼女はアレックの愛を感じながらも、夫となる男は百万長者でなければならぬと、
彼の申し込みをはねつけていたが、ある日ルイが富クジに当って彼女に申し込んだ
ことから、愛もなく彼の金と結婚することを承諾した。

驚いたアレックは2人の仲を割こうとしたが、それを止めるため彼に一服盛ろうと
ルイは逆に眠り薬をのまされてしまい――そしてルイは夢の中でルイ15世になって
いる自分を発見した。彼は寵姫デュバリイを別荘に訪ねると、これがメイで、王に
接吻を許さない。そこへ現れた革命党の指導者ブラック・アロウ(実はアレック)は
王を脅かして逃亡した。その夜党の隠れ家に彼を訪れたデュバリイはすっかり彼に
惚れ込んでしまったが、群衆と衛兵の間に激戦が起こり、ブラック・アロウはついに
捕らえられた。翌日彼の死刑が執行されることになり、デュバリイは王に助命を乞うて、
王も仕方なくこれを許したが、総理大臣がそれはならぬと王に白刄をつきつけた時――
ルイはやっと目が覚めた。

この夢で、愛は金で買えぬことを悟ったルイは、メイをアレックにゆずろうと1万ドルを
引き出ものに出しかけたが、たちまち税務署にふんだくられ、そしてまた元の無一文に
帰った彼らは、すべてまことの愛に生きるのであった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:--- Audience Score:47%>



by jazzyoba0083 | 2017-10-12 11:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「われらが背きし者 Our Kind of Traitor」
2016 イギリス・フランス Studio Canal,Film 4. 107min.
監督:スザンヌ・ホワイト  原作:ジョン・ル・カレ「われらが背きし者」
出演:ユアン・マクレガー、ステラン・スカルスガルド、ダミアン・ルイス、ナオミ・ハリス他
e0040938_15305597.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
なかなか面白く観た。ジョン・ル・カレの小説が上手く出来ているんだろうなあとは
思うが、長編二作目のイギリスの女性監督、なかなか頑張っているんじゃないか?
もともとテレビ畑のディレクターとして育ってきた人だが、フィルモグラフィーを
見ると結構ハードボイルドな作品を手がけている。得意なんだろう。本作も同様だ。

さてサスペンスには「巻き込まれ型」、というタイプがあるが、これはその典型。
大学の先生が、というのもリーアム・ニーソンのものを含め何本か観たような
気がする。本作ではモロッコを舞台に、たまたま知り合った大学教授(ユアン)が
ロシアマフィアの会計係(スカルスガルド)が、教授の妻(弁護士)と、マフィアの
家族を巻き込みつつ、自分もまともに事件に関わっていってしまうというお話。

ロシアマフィアの会計係が、家族を助け、イギリスに亡命するために、教授が結果
手助けすることになるのだが、自分が握るイギリスの議員連中とマフィアの関わり
を示す銀行口座などのデータを土産にイギリス政府に保護を求めるのだが、
MI6はまともに関わろうとせず、たった二人の担当官が教授の味方となってくれる。

教授夫妻、マフィアの会計係とその家族、マフィアの新しいボスにのし上がった
プリンスという男、そしてロシアマフィアと関わりがあるイギリス政府(の一部)や
議員たち、これらが織りなす様々なシチュエーションがダイナミックに描かれ、
緊張感も最期まで引っ張ってくれるし、ラスト、これでは終わらないよなあ、と
思っていると、やはりキチンとカタルシスは用意されている。
ちょっと描ききれてないのは(本筋に余り関係ないからか)教授と妻の関係と、
妻は弁護士なのにそれなりの活躍が描かれないのは不思議だった。(教授と妻は
二人の関係の修復にモロッコに来ていたのだから)

キャスト的にはロシアンマフィアの会計係を演じたステラン・スカルスガルドが
魅力的だった。原題も邦題も分かりづらい。原作がそうだから仕方ないけど。
なかなか楽しめるサスペンス映画となっていると思う。
e0040938_15315598.jpg
<ストーリー>
モロッコでの休暇中、イギリス人大学教授ペリー(ユアン・マクレガー)とその妻ゲイル
(ナオミ・ハリス)は、偶然知り合ったロシアンマフィアのディマ(ステラン・スカルスガルド)から、
組織のマネーロンダリング情報が入ったUSBをMI6(イギリス秘密情報部)に渡して欲しいと
懇願される。
突然の依頼に戸惑う二人だったが、ディマと家族の命が狙われていると知り、仕方なく
引き受けることに。だが、その日を境に二人は世界を股に掛けた危険な亡命劇に巻き込まれ
てゆくのだった……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:73% Audience Score:51% >



by jazzyoba0083 | 2017-10-11 22:50 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「シークレット・デイズ Every Secret Thing」
2014 アメリカ Hyde Park Entertainment and more.93min.
監督:エイミー・バーグ 原作:ローラ・リップマン『あの日、少女たちは赤ん坊を殺した』
出演:ダイアン・キートン、エリザベス・バンクス、ダコタ・ファニング、ダニエル・マクドナルド、ネイト・パーカー、コモン他
e0040938_16444665.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
なかなか豪華な配役。全員、愛に飢えているんだなあ、と思えるヒリヒリ感は出て
いたと思う。でもやはり1時間半で描ききれていない母と他人の娘の偏愛事情など
もう少し厚みは付けられるのでは?と感じた。

原作ものなので、骨子は動かしづらいと思うし、恐らくこの女流監督、原作者の
思いを忠実に描こうとしたことは分かるし、そこそこの描き方は出来ていた。
ヒリヒリ感に対応する映像、脱色系のカラー、音楽と全体としてのまとまりも
そこそこだったと思うが、一番最後の巨悪の存在が映画の本論とは違うところに
いっちゃってないか(原作がそうなのなら仕方がないが)。おっとびっくりな
エンデイングで、それはそれでいいのだが、あれ?こいういう終わり方で、話として
良かったのか?と。(母親の存在こそ全ての根源=この事件に関しては=ということか)

ロニー(ダコタ)とアリス(ダニエル・デブの方)の、一体どっちが本当のことを
言っているのか、という当たりがミソで、次第にダニエルの母(ダイアン)の本性が
分かってくる。冒頭のミスリードっぽい描き方からだんだんアリスの少年院時代の
事情が判明、それに伴う犯行(少女拉致)が見えてきて、その背後にいるアリスの
教師である母(ダイアン)の、歪んだ愛情が浮き上がる。二人の少女の愛情に飢えた
恐ろしさも当然あるわけだが、その犯行の始末をしたのは全てアリスの母親の仕掛け
だった。教師ゆえの偏愛か、それとも母のオリジナルの性格なのか。

彼女は子どもを愛しているのか愛し方が変なのか、そのあたりの恐ろしさと
いうものは受け取れる。全体としてどこか勿体無い映画になってしまっているなあ、と
感じた。配役もいいのに、ダイアンやダコタの良さが今ひとつ出てこない。
女刑事とその子どもの愛情ももう少し対比的に描かれるとわかりやすくなったのでは
ないかなあ。
e0040938_16452725.jpg
<ストーリー>
全米ベストセラー小説「あの日、少女たちは赤ん坊を殺した」を映画化。赤ん坊が
殺される、陰惨な事件で幕を開けるミステリーだが、現在の事件の捜査を描く一方、
並行して7年前の事件の意外な真相を明かしていく趣向で、最後まで目が離せない。
レイン、ファニング、バンクスなど、今が旬の女優が集まり、ドキュメンタリー
「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」などを手掛けたA・バーグが監督し、
プロデューサーのひとりが女優F・マクドーマンドという、ウーマンパワーの結集も
貴重。WOWOWの放送が日本初公開。

地方の町オレンジタウン。初のアフリカ系判事の孫娘である赤ん坊が誘拐され、
遺体になって見つかる事件が発生。いずれも11歳の少女2人、ロニーとアリスが
逮捕されて少年院へ。7年後、2人が少年院を出た直後、3歳の幼女ブリタニーが
家具店で何者かに連れ去られる事件が起きる。
7年前の事件を担当して昇進した女性刑事ポーターが捜査に当たるが、ロニーも姿を消す。
アリスは事情聴取で7年前の事件と自分は無関係と主張する。
(WOWOW)

<IMDb=★6.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:31% Audience Score:32% >




by jazzyoba0083 | 2017-10-10 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ハングリー・ハーツ Hungry Hearts」
2014 イタリア Wildeside,Rai Cinema.109min.
監督・脚本:サヴェリオ・コスタンツォ  原作:マルコ・フィランツィーゾ
出演:アダム・ドライヴァー、アルバ・ロルヴァケル、ロバータ・マクスゥエル、アル・ローフェ他
e0040938_10503267.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
本作の感想の前に、欧州映画のことについて触れておきたい。この作品で、主役の二人は
2014年度のヴェネチア国際映画祭で最優秀男優、女優賞に選ばれている。作品全体の
出来が良くなければこうしたことはないので、一定の評価は受けているのだろう。
他の作品のブログでも触れたが、私はいわゆる世界三大映画祭と言われる「ヴェネチア」
「カンヌ」「ベルリン」で賞を獲るタイプの映画があまり好みではない。どういう映画かというと
精神的、内向的、形而上的、哲学的とでもいうのか、非常に神経質な映画という風にとらえて
いて、いかにエンターテインメントのふりかけが掛けてあっても、どうも好みに合わないのだ。

そうした映画を好む人を非難しようというのではない。それはそれで立派な嗜好であるし、
イタリアやフランスで綿々と続いている「精神的社会を描く」作風の良さを認められる人であるから。
私はそれはそれで羨ましいと思う。私も三大映画祭の作品の中でも面白い!と思うものがある。
だが、個人的な嗜好はハリウッド・エンターティンメントに向いているのだ。先日の「パターソン」
(これもアダム・ドライヴァーだった)のジャームッシュ、スパイク・リー、アルトマンらの描く世界の
ほうが同じ精神的な側面を取り上げてあっても好きなのだ。賛同いただけるかどうかの問題では
なく、そうした嗜好を持っている映画好きもいるということをご理解頂いて本作の感想を
お読みいただきたい。アメリカの映画評価サイトでは評価が低く出るのある意味仕方がないの
だろう。

この映画には原作がある。書籍的に評価されたものを映像化してそれと同程度の良いものが
出来るか、あるいは原作を凌駕できるものになるかは題材による。本作のように精神世界を
描いたものは、なかかな原作に迫るのは難しいのではないか。たとえば村上春樹の「1Q84」を
映画化することを思ってみると良いかもしれない。

イタリア映画だがオールNYロケで、日本での配給元によればジャンルは「サスペンス」である。
そして、「満たされない心」とでも訳すのか、心が複数形になっていることに注目すべきであろう。
出だし。NYの中華料理店の男子用トイレ。下痢で飛び込んだジュード(ドライヴァー)が
用を足している所に間違って入ってきてしまったイタリア大使館勤務のイタリア人?ミナ。
間違って入ってきてしまったがドアがスタックして出られなくなってしまう。そこが主人公たちの
出会いである。トイレは10分以上の長回し。なかなか面白い出だしであり、その後、何を間違ったか?
(演出に決まっているが)映画「フラッシュダンス」のテーマ「What a feeling」に乗せての
結婚披露宴とテンポも良い。そしてミナに起きる転勤話、望まぬ出産・・・。
このあたりからホラーのテイストさえ帯びてくる。ミナは非常に神経症的というかサイコパスとでも
言えるような性格で、占いを信じ、自分の子は「インディゴ」(選ばれた子)であると信じ、
超音波を嫌がり医師を拒絶、屋上に作った温室で育てた野菜しかたべないビーガンなので、胎児は
育たず、更に本人の栄養不足もあり自然分娩もムリといわれる。が頑として聞き入れない。

そして男の子が生まれるのだが、子供にも野菜しか与えず、外に出さず、誰にも合わせず、
日光に当てず、という育て方をしていた。あまりのことにジュードは医師に相談するが、
動物性の蛋白を取らせないとダメだ、危険だ、と言われる。ジュードはミナがいない時
ベビーフードなどをこっそり与えるのだが、ミナは吸収を阻害するオイルを与えてしまう。

発育不足は明らかだった。しかし、ミナは自分の子供は特別だと言い、絶対に言うことを
聞かない。困り果てたジュードはケースワーカーに相談し、ミナから子供を奪って母親のところに
預けた。しかし、ミナはやってきて、変なオイルを与えている。やがて子供の取り合いから
ミナが転倒し怪我をする。ミナはこれを警察に訴え、親権を警察の手により奪ってしまう。
しかし、これを不幸とみたジュードの母親に猟銃で射殺されるのだ。

手早く言うとそういう話なのだが、とにかくミナを演じたロヴァルケルの演技がもう天然の
サイコパスではないか、と思われるくらい不気味でイラつく。母親の気持ちもわからない訳では
ないのだが、子供のことを思え!と怒れてくる。どうオチを付けるのかと思っていたら、これが
ちょっと味気ない幕切れ。おばあちゃんの心も分かる。子供に名前をつけないとはどう言うこと?

ミナ(ロヴァルケル)は登場した時から何かしら精神的にやばい感じを醸し出していた。これは
ほぼ精神的にやられた悪い母の話なのか、そうした境遇に追い込んだジュードのせいなのか、
ハーツ、と複数形であるように、おばあちゃんも含め、満たされぬ心(たち)の話なのだろうか。
とても欧州的、イタリア的なアプローチの映画だと感じた。

加えれば、画作りがとても凝っていて、ちょっと見られないアングルとか、魚眼を使ったショット
ジャンプカット気味の編集とか心理を表そうとする映像面の工夫は買いたい。
ただ、なにせ、観終わって、とても気分がスッキリしない、なんか映画の闇を引きずってしまうような
作品。心の調子が悪いときに観るものではありません。ご注意を。
e0040938_10510277.jpg
<ストーリー>
ニューヨークで運命的に出会い、恋に落ちたジュードとミナ。やがて結婚し、2人の間には
可愛い男の子が産まれる。それは幸せな人生の輝かしい始まり――のはずだった。
しかし息子の誕生後、独自の育て方にこだわり神経質になってゆくミナは、息子が口にするもの、
触れるものに対して次第に敵意と恐怖心を露わにし始める。やがてその攻撃の矛先は、
医者や友人そしてジュードの母親、更にはジュード本人にまで向けられてゆくが、彼はそんな
妻の異常とも取れる頑なな愛情を、何とか理解し、支えようとする。
しかしその結果、息子の体が徐々に変調をきたし始めたことで、ジュードは遂にある決断を迫られる。
果たして、その答えの先に、彼らを待ち受けるものとは―。(日本配給:クロックハーツHP)

<IMDb=★6.4 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:64% Audience Score:53% >







by jazzyoba0083 | 2017-10-08 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「バーン・カントリー Burn Country」
2016 アメリカ ACE Productions.102min.
監督・(共同)脚本:イアン・オールズ
出演:ドミニク・レインズ、メリッサ・レオ、ジェームズ・フランコ、レイチェル・ブロズナハン他
e0040938_11260462.jpg
<評価:★★★★☆☆☆☆☆☆>
<感想>
日本劇場未公開。WOWOW「ジャパン・プレミア」で鑑賞。何度となく途中で
観るのをやめようかと思ったが、オチをどうつけるのか、映画をどうまとめるのか、
知りたくて最期まで観た。あかんわ。この手の映画。何を言いたいのかよく分からない。

アフガニスタンから移民してきた現地でジャーナリストの助手みたいな仕事をしていた
オスマンが、現地で手伝っていたジャーナリスト、ゲイブの助けで彼の実家に世話に
なる形で移民してきた。が、その街はおよそカリフォルニアとは思えない(というか
ホテル・カリフォルニアがBGMで流れるくらいだから70年代で時間が止まって
しまった街、ということが出来る)カルトな街。ゲイブの母は保安官で、彼女が
関わる事件を通して、オスマンは異文化との衝突を体験する。おそらくムスリムであろう
彼がみるコンミューンな生活や、どこかオカシイ人がいろいろ出てきて混乱する。

冒頭からラストまで、とにかく「変」。「カルト」。アフガンから来た青年が、
ジャーナリストを目指して頑張ろうとするにはあまりにも不適格な街に来てしまった、
ということだろう。ラストシーンはアフガンにいるゲイブが携帯電話を通して
聞かせてくれるアフガンの風の音。オスマンは「少し帰りたい」と言うが、彼は
故郷の風の音に何を感じたのだろうか。

せっかくの話の骨格が、設定やキャラクター付けのなかでぐじゃぐじゃになっていった
感じだ。準主役級のリンジー(ジェームズ・フランコ)の最期の様子も良く理解
出来ないまま終わってしまった。全体として残念な映画と私には感じたのだった。
e0040938_11262797.jpg
<ストーリー>
「127時間」で第83回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたJ・フランコ、
「ザ・ファイター」で同年度アカデミー賞の助演女優賞を受賞したM・レオ、
イラン出身の中東系男優D・レインズなど多彩な顔ぶれが集まったインディーズ
映画の意欲作。
アフガニスタンから米国に亡命した元戦場記者が主人公なのもユニークだが、
発生する殺人事件の真相究明の流れもオフビート。テイストが似ているのは
「ウィンターズ・ボーン」だろうか。まずは独自の余韻が鮮烈な印象を残す1本だ。
WOWOWの放送が日本初公開。

カリフォルニアの田舎町。母国アフガニスタンで戦場記者だったが米国に亡命した
オスマンは、記者仲間ゲイブの母親で、保安官をしているグロリアの家に居候する
ことに。地元新聞で小さな仕事を得たオスマンは、新たに友人になった男性リンジー
から、ある兄弟が裏社会の実力者であると教えられ、記事にできないかと考えだす。

やがて、兄弟の手下の男性が何者かに殺される事件が発生した直後、リンジーが
行方不明になってしまい……。(WOWOW)

<IMDb=★4.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:60% Audience Score:49%>




by jazzyoba0083 | 2017-10-06 22:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「盗聴者 La mécanique de l'ombre」
2016 フランス・ベルギー  2425 Films 91min.
監督・(共同)脚本:トマス・クライトフ
出演:フランソワ・クリュゼ、ドゥニ・ポダリデス、サミ・ブアジラ、アルバ・ロルヴァケル他
e0040938_16385053.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
日本未公開のサスペンス。WOWOW「ジャパン・プレミア」にて鑑賞。
事件の大本になる、コートジボワールだかどこだかの人質事件とその釈放交渉を
巡り新大統領の手柄にするのしないのという根っこの部分が良くわからないので
秘密組織みたいのが2つ出てきて殺し合いやられても、良く分からなかったと
いうのが本音。「最強の二人」のクリュゼの困り顔演技は良いんだけど、それだけ
という感じ。断酒会で知り合う若い女性との関係も、実は彼女、どちらかの組織の
人間なんじゃないか、というミスリードなのか、と思ったらそうでもなかったり。
フランス人ならもう少しよく分かるのかなあ。日本では劇場未公開も仕方のない
内容だね。エンディングもなんだかなあ、で終わっちゃったし。

国家的組織から真面目故に失業した中年男が、盗聴テープ起こしというヤバい
仕事を頼まれ、盗聴する側からもされる側からも狙われて、ニッチもさっちも
いかなくなるという基本ライン。前述のように短い映画ながら話が分かりづらいのが
最大の欠点。クリュゼが勿体無い。女性もなんのために出てきたのか分かりづらい。
という映画でした。
e0040938_16393390.jpg
<ストーリー>
「最強のふたり」に主演したフランスの人気男優にして実力派のF・クリュゼ。
彼が、秘密組織が盗聴した音声を文字起こしする孤独な男性をリアルに演じた異色の
サスペンス。
保険会社で働く真面目な男性デュバルは几帳面なために仕事を多く抱え過ぎ、
不眠症とアルコール依存症の両方に悩むように。

2年後、失業したデュバルは突然、初対面の男クレマンから仕事を頼まれる。
それはあるアパルトマンの一室で盗聴された会話音声などをたったひとりで聴き、
タイプライターで文字起こしするという不思議な仕事だ。会話音声では政府の
関係者らしき人々が話しており、デュバルは自分の仕事が危険だと感じるが…。
(WOWOW)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:47% Audience Score:17% >




by jazzyoba0083 | 2017-10-02 22:50 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「消えた声が、その名を呼ぶ The Cut」
2014 ドイツ、イタリア、フランス、ロシア、ポーランド、トルコ 138min.
監督・(共同)製作・脚本:ファティ・アキン
出演:タハール・ラヒム、シモン・アブカリアン、マクラム・J・フーリ、モーリッツ・ブライブトロイ他
e0040938_15453307.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
★は6.5。オスマン帝国崩壊に至る中で起きたアルメニア人大虐殺事件を
モチーフに作り上げた大河ドラマ。現在のISが跋扈しているエリアなので、現在に
思いが通じて胸が痛んだが、いささかちょっとメリハリに欠け冗長に感じられた
のが残念だった。

オスマン・トルコの腕のいいアルメニア人鍛冶職人ナザレット(キリストが産まれた
土地から名付けられているようにキリスト教徒)一家が巻き込まれる一大悲劇を
ナザレットを主人公として、別れた双子の娘を探し、ヨルダン~キューバ~アメリカは
ミネアポリス~ノースダコタまで旅をする壮大なドラマ。そこには過酷な運命をたどるに
至った残酷性と、彼を支えてくれる親切な人々との出会いがあり、そうした人間との
触れ合いからドラマが綴られていく。

第一次世界大戦前後のオスマン・トルコ帝国崩壊が絡んだ映画は数多く作られており、
「アラビアのローレンス」もその流れの中にある。本作のストーリーでも重要な
ファクターとなっているが、結局バルカン半島は西欧列強の陣取り合戦に巻き込まれ
イギリスの「三枚舌外交」が決定的になり、現在まで続くパレスチナ、イスラエル
紛争のきっかけを作ったのだ。そのバルカンのぶん取り合いをした国々とトルコが
製作国に名を連ねているのがなんとも皮肉だ。(最悪のイギリスはいないけど)

ナザレット、家族と引き剥がされトルコ側に強制労働に駆り出され、用済みとなると
集団で喉を掻き切られて殺される。だがナザレットに手を掛けた男の気が弱いと
いうか善の心がまだ少しあったため傷が浅く、生き残るが声を失う。そこから
彼は無謀とも思える家族との再会のための長い長い旅にでることになるのだ。

綴られるエピソードはダイナミックであるが、例えばヨルダンからキューバへ
向かう際、船員として雇われたようだが、口が聞けなくてよく大丈夫だったな、とか
一つ一つのエピソードに微妙な突っ込みどころがある。そのあたりが本作の
パワーを少し減じていたような気がした。基本、出会う人々に悪いヤツらより
善人が多いのが救いだ。(一方で映画の弱さかもしれない)チャプリンの映画を
見るシーンがあるのだが、そこでは親子が再会出来る、そのシーンを観て涙して
いるナザレット・・・いいシーンだった。

とはいうものの、肉親(娘)に会いたい、という父親の命を掛けた強い思いには
胸を打たれずにはいられない。戦争~引き裂かれた家族~長い過酷な旅路~
劇的な再会という典型的な流れではあるが、この手のドラマがお好きな方には
オススメだ。舞台がオスマン帝国というのがテーマとして今日的でもあるので
いいのかも。アレッポも出てきますよ。
e0040938_15454884.jpg
<ストーリー>
「愛より強く」「そして、私たちは愛に帰る」のトルコ系ドイツ人監督ファティ・
アキンが、トルコのアルメニア人大虐殺をモチーフに、虐殺を生き延びた男が、
生き別れた2人の娘を捜して繰り広げる壮大な旅の行方を描いたドラマ。
主演は「預言者」「ある過去の行方」のタハール・ラヒム。

 1915年オスマン・トルコの街マルディン。アルメニア人鍛冶職人のナザレットは、
妻と双子の娘ルシネ、アルシネと幸せに暮らしていた。
そんなある日、憲兵がいきなり押しかけ、ナザレットは妻子と引き離され強制連行
されてしまう。
灼熱の砂漠で、同じように連行された男たちとともに奴隷のように働かされるナザレット。
そしてある朝、ナザレットたちは処刑を宣告され、次々とナイフによって首を掻き
切られる。数時間後、ナザレットは意識を取り戻す。彼の処刑を命じられた男が
首を浅く切ったために致命傷にはならず、声を失ったものの奇跡的に一命を取り
とめたのだ。この時から、家族の消息を求めるナザレットの遥かなる旅路が始まる
のだったが…。(allcinema)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:58% Audience Score:67% >




by jazzyoba0083 | 2017-10-01 23:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)