ザ・サークル The Circle

●「ザ・サークル The Circle」
2017 アメリカ 1978 Films and more. 110min.
監督:ジェームズ・ポンソルト  原作:デイヴ・エガーズ『ザ・サークル』(早川書房)
出演:エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、ビル・パクストン他
e0040938_15545161.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
甘めの★7。アメリカでの評価は低い。大コケしたらしい。眠くならずにそこそこ観ることは出来た。が、
どうしても拭えない底の浅さ。

こうした直近未来の世界を描いた映画はたくさんあるわけで、だいたい構造が似てしまうから、デジャヴ感が
漂うのだ。ネット社会やSNSによる相互監視社会への警鐘と言うか恐怖と言うかそういうものを描いて
いるのだが、まあ、原作があるので骨子大きく変えづらかろう。しかしながら、である。

本作での目玉は超小型の高性能監視カメラの登場で、一見危険が除去され、救急時には役立つだろうが、
その社会が持つダークサイドを考えなくてはならない。人々のプライバシーが一切なくなるのだから。
相互監視はもちろん戦争や政治、争いを無くす手段にはなりうるだろうが、24時間自分の考えから行動からすべて
見られてログを取られている社会が果たして人間らしい幸せを提供するか、ということだ。そんなことはこ映画に
言われなくても分かっているし、これまでも文学や映像の世界で多く描かれてきている。そこんところを再確認を
しましたよ、って事のみ。

ただ、そういう世界に批判的だった主人公メイがラストシーンを観る限り、監視社会(良いものとして描かれて
いるんだろうけど)を受け入れていると取れる終わり方なので、これは中途半端じゃないかなあ、と感じた。
自分がカヤックで水難事故を起こした時、カメラとSNSのお陰で命拾いしたのが大きいインパクト
を与えたのだろうけど、監視社会は絶対的な性善説に立たないと不幸のもとだ、といことは大体の人は
分かるだろう。このあたりのもやもやがこの映画の大きな残念な点だ。

スコットランドへ逃げていってしまった親友はいいとしても、内部で現在の指導部のやり方を批判していた
創業メンバーでもあるタイ・ラフィートのその後はどうなったのだろう。SNSを利用し情報をコントロール
することにより、己の金儲けや支配力を誇示しようとしていたイーモン・ベイリー(トム・ハンクス)には
一泡食わしてやったのはいいけれど、形をちょいと変えて、同じようなことが行われる世界をメイは良しと
したのだな。個人的にはそのあたりの結論に不満を感じたというか、カタルシスを感じなかった。
結局メイも、巨大な監視社会に組み込まれそこで見つける自身の幸せで満足するような女だったのね、と
いうことなのだな。

エマ・ワトソンとトム・ハンクスの名前で観た映画、なのだが、両者とも残念ながらキャラクターが生きて
いなかった。書いて来て思ったのだが、ネット社会に組み込まれたメイは大きな「ダメ」は潰しても
中くらいの見かけ気持ちいい「ダメ」はOKとなる、という事。つまり一端ネット社会に組み込まれると泥沼
だよ、というブラックなのかもしれない。
それにしても、公的な選挙のシステムをいち私企業に任せるという国が22カ国現れましたよ、って、絶対そんな
こと無いからねえ。インフラを使うことはあってもシステムまで丸投げでは選挙の公平性が担保できないもの。
e0040938_15554112.jpg
<ストーリー>
SNS社会が孕む脅威を鮮明に暴き、衝撃を与えたデイヴ・エガーズの同名小説をエマ・ワトソン主演で映画化
したサスペンス。超小型カメラによって自身の生活を公開するSNSのサービスのモデルとなった女性が、
システムの裏に潜む欠陥に気づき、暴こうとするさまが描かれる。
SNS企業のカリスマ経営者ベイリーをトム・ハンクスが演じる。

世界No.1のシェアを誇る超巨大SNS企業“サークル”。憧れていたこの企業に採用された新人のメイ(エマ・
ワトソン)は、ある事件をきっかけに、カリスマ経営者のベイリー(トム・ハンクス)の目に留まり、
新サービス“シーチェンジ”のモデルケースに大抜擢される。それは、サークルが開発した超小型カメラを使って、
生活のすべてを世界中にシェアするというものだった。自らの24時間をカメラに晒したメイは、瞬く間に
1000万人超のフォロワーを得て、アイドル的な存在となるが……。(Movie Walker)

<IMDb=★5.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:16% Audience Score:22% >




# by jazzyoba0083 | 2017-11-12 11:35 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ブルース・ブラザース2000 Blues Brothers2000」
1998 アメリカ Universal Pictures.124min.
監督・(共同)製作:ジョン・ランディス  脚本:ダン・エイクロイド、ジョン・ランディス
出演:ダン・エイクロイド、ジョン・グッドマン、ジョー・モートン、J・エヴァン・ボニファント、
   アレサ・フランクリン、B・Bキング、ジェームズ・ブラウン、ウィルソン・ピケット他
e0040938_17201071.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
先日感想を書いた、正編に続き、あれから18年後の彼らがどうなったか、ランディスはどう作ったか、が
観たかった。ベルーシもいないし、キャブ・キャロウェイもいないでどうやって作るんだろうと。
ところがどうだ、人を食ったというか、ランディスとエイクロイドの「ノリ」というのか、全作の物語を
ほぼ踏襲。アメリカでの評価はメタクソで、日本でも評価が別れるが、私は好きだよ。正編までの完成度は
ないし、クールなハチャメチャぶりは及ばないけど、正編と同じ(年は食うのは仕方がない)メンバーもいて
また新しいメンバーもいて、楽しい音楽エンターテインメントになっていた。ミュージカル的な要素は本作の
ほうが強く、過激さはやはり正編に及ばない。

ベルーシがヤクのオーヴァードーズで急死したのは正編公開の翌年。エイクロイドの喪失感たるや、想像に
難くない。今回ベルーシのポジションをジョン・グッドマンなのだろうけど、彼もいい俳優なのだが、
(ロバート・アルトマン諸作品の彼は大好きだ)ベルーシの代役にはならない(してないけど)。
残りのメンバーは年はとったけど健在で(アレサは太りすぎだなあ)、その他、例のカントリー&ウェスタン
ショーのバーのオヤジも元気に登場。正編を見た人はニヤニヤしっぱなしだなあ。

全体に、ジェイク(ベルーシ)がいなくて寂しいよ、的な雰囲気が漂い、全体に遅れてきた追悼映画の
ような気配もする。今回は正編でハチャメチャをやり18年の刑期を終えてエルウッド(エイクロイド)が
出所してくるところから始まる。正編と同じ構造だ。しかし、待ってもジェイクは来ない。

さて、本作ではシスター、いや今やマザーとなった修道女の施設に行き、少年を一人預かり、ストリップクラブ
のバーテンダー、マイティ・マック(ジョン・グッドマン)と3人で黒ずくめのスタイルでバンドを組むことに
なる。まずはかつての仲間をかき集めることから。すでにまっとうな職業に付き、成功しているメンバーもいた。
だが、エルウッドの呼びかけに、みんなが集まり、ルイジアナで開かれるブードゥー教のクィーン・ムセットが
主催するバンド合戦に参加することになった。

しかし、少年を黙って連れてきてしまったので、誘拐の容疑がかかり、正編でのキャブ・キャロウェイの息子の
警察署長率いる警官隊とロシアン・マフィア、右翼団体に追い掛け回され、相変わらずたくさんのパトカーを
壊しつつ会場へと向かう。途中で署長のケイブル(ジョン・モートン)が覚醒し、職を投げ打ちバンドに合流。

そこでまっていたのは「ルイジアナ・ゲーター・ボーイズ」という凄腕のバンドだった。壮絶なバンド合戦が
繰り広げられるが警官隊も押し寄せ、最後はクィーン・ムセットの妖術で脱出、エルウッドはまたどこかへと
去って行ったのだった。

正編で二人が乗り回し、最後に税務署の前でバラバラになったパトカーのセコハン。あのクルマとそっくりな
クルマを買いに行くところ。オーナーはBBキングだ。いたるところに一作目のオマージュが散りばめられ、
もちろん作中の音楽、そしてラストの大バンド合戦の音楽もブルースでありR&Bであり、グルーヴ感は
満点だ。本作はもちろん正編を見ていなくても楽しめるが、正編を観てからにしたほうが1000倍面白い。

またエンドで紹介されるが、「ルイジアナ・ゲーター・ボーイズ」のメンバーが物凄い。みんなノーギャラで
出演を引き受けたそうだ。曰く、B.B.キング、ボ・ディドリー、ココ・テイラー、アイザック・ヘイズ、
ビリー・プレストン、クラレンス・クレモンズ、ドクター・ジョン、ジミー・ヴォーン、エリック・クラプトン、
スティーヴ・ウィンウッド、ジョシュア・レッドマン、トラヴィス・トリット、グローヴァー・ワシントン・
ジュニア、ジャック・デジョネット、ジョン・ファディス、ルー・ロウルズなどなど。これだけのメンバーを
一同に観ることはもう出来ない。

正編の衝撃はは無いにせよ、ブルーズスピリットに溢れた一遍であることには違いない。
e0040938_17205164.jpg
<ストーリー:結末まで書いてあります>
名コメディアン、故ジョン・ベルーシとダン・エイクロイド主演による81年のコメディ「ブルース・ブラザース」の
18年ぶりの続編。エイクロイドが、同作の監督のジョン・ランディス(「ジョン・ランディスのステューピッド
 おばかっち地球防衛軍」)と共同で、製作・原案・脚本をつとめて自ら映画化。ジェームズ・ブラウン、
B・B・キング、アレサ・フランクリン、エリック・クラプトンなど豪華なゲスト陣と全編を彩るリズム&
ブルースが楽しい。
製作はエイクロイド、ランディス、ランディスとコンビを組むレスリー・ベルツバーグ。撮影はデイヴィッド・
ヘリントン。音楽は前作に続きポール・シェイファー。

シカゴ。エルウッド(ダン・エイクロイド)は18年ぶりに出所。相棒のジェイクは世を去っていたが、
エルウッドはバンド再結成へ向けて再び大騒動。恩師のマザー・メアリー(キャサリン・フリーマン)から
あずかった孤児で問題児のバスター(J・エヴァン・ボニファント)、歌手志望のバーテン、マイティ・
マック(ジョン・グッドマン)の新たなメンバーに、かつてのバンド仲間もそろって、南部はルイジアナの
ブードゥーの妖女クィーン・ムセット(エリカ・バドゥ)が開催する勝ち抜きバンド合戦に出演するため、
旅に出る。

そんな彼らをエルウッドの育ての親カーティスの私生児で警察の本部長ケイブル(ジョー・モートン)率いる
警官隊、それにロシアンマフィア、右翼の民兵が加わり追ってくる。ところがケイブルは途中、ジェームズ
牧師(ジェームズ・ブラウン)の伝導集会で神の啓示を受けて大変心、バンドに加わってしまった。

当日の会場。ブルース・ブラザース・バンドは、強敵ルイジアナ・ゲーター・ボーイズとステージに立ち、
お互いに譲らない熱い演奏を展開。そこへ追ってきた警官隊とマフィア、右翼が鉢合わせするが、クィーンの
魔法で万事解決。かくしてバンドは熱い演奏を続け、エルウッドはバスターと警官隊に追われて再び旅立つの
だった。(Movie Walker)

<IMDb=★4.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:47% Audience Score:37% >




# by jazzyoba0083 | 2017-11-09 23:05 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「世紀の女王 Bathing Beauty 」
1944 アメリカ Metro-Goldwyn-Mayer. 101min.
監督:ジョージ・シドニー
出演:レッド・スケルトン、エスター・ウィリアムズ、ベイジル・ラスボーン、エセル・スミス、
   ザヴィエル・クーガ、ハリー・ジェームス他
e0040938_19041235.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
毎月第二木曜に開催される市主催の映画鑑賞会、この下期は「ミュージカル映画」。しかも古い懐かしい映画が
かかります。DVDで出ているものも大画面ではなかなか見られない。しかも、音響も良く、テクニカラーの
色彩再現力の素晴らしさに今更ながら感嘆する一方、当時のアメリカの国力の凄さを改めて感じる。

そんな上映会、今回午前の部は、水泳100メートルで当時世界新記録を持っていてオリンピック出場が確実視されて
いたものの、例の東京五輪が太平洋戦争で開催されず、そこでその美貌に目をつけたMGMが、「水中レビュー」
というジャンルを彼女のために製作した「世紀の女王」。大きなプールをスタジをに作り、美しい映像と振り付け、
そして音楽で楽しめる映画が出来た、とい訳だ。エスターの美貌や美しい泳ぐ姿はもとより、デビュー作とは思え
ない堂々とした演技っぷりに目が行く。彼女の泳ぐシーンはラストに少ししかないが、これがヒットし、MGMは
次に「水着の女王」(49)「百萬弗の人魚」(52)と更にダイナミックな水泳シーンがヒューチャーされた
ヒット作に出演することになる。

本作は基本、レッド・スケルトン主演のコメディであり、加えて当時大人気のハリージェームズと彼の楽団、
そしてラテンのザビア・クガート楽団が出演。また共演し、さらにさらにオルガンのエセル・スミスが
華麗なテクニックを披露するといった音楽ファンが随喜の涙を流すようなシーンが展開される。もちろん
テクニカラーの美しさを味わえ!とばかりにカラフルなダンサーや舞台装置。なんと幸せな空間であり、
映画であることか。ストーリーはどちらかといえば脇役でいい。

こんな豪華な水泳と音楽と踊りの映画が、ノルマンディー上陸作戦の終了直後に作られていたとは!
当時、1944年6月といえば我が日本は戦況悪化の一途を辿り、「贅沢は敵だ」の世の中。思っても
仕方のないことだが、改めて彼我の国力と国民のメンタリティに想いを致す。日本での公開は1952年。
これを観た日本人は制作年が昭和19年と聞いて、絶句したことだろう。

「錨を上げて」「アニーよ銃をとれ」「ショー・ボート」「キス・ミー・ケイト」「愛情物語」「夜の豹」と
スタンリー・ドーネンと並びMGMミュージカル映画の屋台骨を支えたジョージ・シドニーの「上質なお気楽
映画」は、クレーンアングルや特に水泳シーンの画角は計算され、映像美としても十分に鑑賞に耐えうるものだ。

肩肘貼らないいい時代のいい映画。一時の幸福を。それに応えてくれる素敵な作品だ。
e0040938_19045742.jpg
<ストーリー>
ブロードウェイの流行作曲家スティーヴ(レッド・スケルトン)は熱愛する大学の水泳講師キャロライン
(エスター・ウィリアムス)と加州で結婚式を挙げている時、彼に作曲を依頼しているショウのプロデューサー、
アダムス(バジル・ラスボーン)は彼の仕事が遅れてはと、3人の子供を連れた女を彼の妻だと名乗らして
結婚式場へ出現させた。怒って大学へ帰ったキャロラインの後を追ってスティーヴは、規則の不備をついて
女子専門のその大学に入学し、何とか彼女の誤解を正そうとした。

キャロラインをはじめ、そこの教授連は女子専門の大学に男子学生がいるのは風紀問題にかかわると、何か
彼の落ち度を見付けて放校処分にしようとするが、要領のいいスティーヴはボロを出さない。
遂にキャロラインが誘惑役になって彼を門限に遅らせるという手段がとられたが、2人が共に食事をしダンスを
するうち、誤解も消え昔日の恋人同志になってしまい、てをたずさえて学校を去った。やがてスティーヴの
作曲により、キャロラインを主役とする水上レヴューが華やかにくりひろげれらた。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:---- Audience Score:74% >




# by jazzyoba0083 | 2017-11-09 11:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ブルース・ブラザーズ Blues Brothers」
1980 アメリカ Universal Pictures. 133min.
監督:ジョン・ランディス 脚本:ジョン・ランディス、ダン・エイクロイド
出演:ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、キャリー・フィッシャー、キャブ・キャロウェイ、ジョン・
   キャンディ、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、ジェームズ・ブラウン、ツィッギー、
   チャカ・カーン、スティーヴン・スピルバーグ他
e0040938_23084420.jpg
<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
すみません、この映画、今頃見ています。過去の名作と言われるもので未見のものもたくさんあります。
分類すると、敢えて観る気が起きないもの(趣味・感性に合わないもの)、それとは別に、何かしらの
タイミングで見る機会を失っていたもの。
本作は後者に当たる。

NHKBSで、続編と併せて放送してくれたので、一気に見たという次第。好き嫌いは別れるタイプの作品だろうが
私はすごく気に入った。なんという「ノリ」のいい映画か!「悪ノリし過ぎじゃないか」とさえいえるような
ブルース、R&Bの曲に載せて、繰り広げられるある意味「はちゃめちゃな」(ただハチャメチャだけでは、
もちろん無い。社会風刺だったりキリスト教へのデディケーションであったり反権力だったりもしっかり描かれ
てはいる)映画は、ランディスとエイクロイドの世界観なのだろう。
そして、当時のブラック・ミュージックを彩るアーティストがわんさか出てきていい歌を聞かせるのだなあ、
これが。キャブ・キャロウェイの「ミニー・ザ・ムーチャー」を本人の80年版で見聞き出来るとは
思わなんだ。

コアとなるストーリは単純で、自分たちが育った孤児院が税金を滞納していて潰されるピンチ。その5000ドルを
何とかして手に入れ、孤児院を守るというものだ。
冒頭のシーンがベルーシが刑務所から出てくるところなので、だいたいこの二人まともではない。が、かつての
バンドの仲間を次々と集めて、コンサートを開き、収益金で税金を捻出することに成功する算段をつけたまでは
良かったのだが、警察が追っかけてくるので歌う、逃げる、逃げる、歌う、という目まぐるしい逃亡劇が展開
される。(目的は正解なのだが手段がだめじゃん、とい不整合の面白さが有る)

ところどころで飛んでもない軍の兵器を持って二人を攻撃してくる謎の女(クレア・フィッシャー)がアクセントと
なる。しかし、大量のパトカーの壊し方といい、めちゃくちゃな(実際は出来ないだろうと突っ込める)クルマの
ジャンプとか、「どこまでやるのお~!!」というハチャメチャ破天荒。でも二人は至ってクール。周りが
熱くなればなるほど二人はクールにブルースを歌う。このなんだか良くわからないアンバランスというか対比が
いいね。現代アメリカのネオナチまで二人を追いかけてくるだから。バンドの仲間を騙して入ったステージが
ブルーグラス専門店で、ブルースなんてとんでもない。そこでバンドはローハイドを歌い出す、というなんという
人を食った展開か!ww
そして最後の納税ビルに二人が突入する頃には、警察だけではなく、SWAT、レンジャー、さらには州兵の戦車
まで登場するんだ。何に向けて発砲するの、ってことだよね。そういうやり過ぎ、度を超えると白けるけど
ここでの演出は好きだ。

アレサが出てきたあたりからミュージカルのテイストが濃くなったと感じた。ともかくレイ・チャールズや
JBなどのフルコーラスの歌声がたっぷり味わえる音楽映画であり、上等なコメディ(上質とはいわない)で
あり、エイクロイドとベルーシの音楽への愛情がひしひしと伝わってきて、観ていて体が動いてしまう。
ジョン・ランディスという人は、ヴィク・モローの事故死に関わって失速してしまった可哀想な面はあるけど
やはり、(エイクロイドの功績はあるにしても)この手の映画を作らせたら最高な人なんだなあ、と感じる。

なんだろう、この見終わったあとの痛快感、爽快感。音楽、ハチャメチャな善行、(おいおい、とツッコミを
いれつつみる)やりすぎなハチャメチャ演出。なんか自分の周りにあるむしゃくしゃを全部剥ぎ取ってくれる
ような作用をもっているんじゃないか、と私には思えた。

そしてベルーシ亡き後の「2000」を観ることになるのだが・・・。
e0040938_23091513.jpg
<ストーリー:ラストまで書いてあります>
イリノイ州、刑務所から出獄したジェイク(ジョン・ベルーシ)は孤児院で弟のように共に暮らしてきた
エルウッド(ダン・エイクロイド)の迎えを受けた。共に帽子からサングラス、ネクタイ、スーツ全てを
黒に統一した異様な服装だ。
早速孤児院に行った2人は、母親代りともいえるシスターに会うが、彼女から資金難で税金が払えず、
すぐにも5000ドルが必要だということを聞く。困った2人は、以前仲間と作っていたリズム・アンド・
ブルース・バンドというグループを再結成し、コンサートでまっとうな金を稼ごうと考える。

早速、以前の仲間たちを集める2人。ホテルのおかかえバンドになっているマーク(マーフィー・ダン)ら
を説得し、メンバーは元の通りそろう。しかし、その途中、パトカーとトラブルを起こし、2人は追われる
身になっていた。さらに、若い謎の女(キャリー・フィッシャー)が現れて火焔放射器などで命を狙って
くる。ようやく郊外のパレス・ホールでコンサートが開かれることになり、当日ホールには溢れる程の
聴衆がつめかけた。しかし、聴衆に混ってパトカー群、兄弟に商売を邪魔されたカントリー・バンドの面々
なども席で待機している。
コンサートは大成功し、レコード会社の重役が契約金10000ドルを用意する。そして、厳重な警戒のホール
から、床下を通ってうまく逃げ出す2人。地下水道には、しかしまたあの謎の女が立ちふさがった。
彼女は結婚の当日にジェイクにすっぽかされた彼のかつての恋人だったのだ。

何とか彼女から逃げ出した2人は、一路シカゴヘ向かい、追ってくる無数の警察隊をかわし、無事税務所に
5000ドルを収めた。その直後、おとなしく警察に従い2人は刑務所へ。数日後、刑務所の集会場には、
仲よく監獄ロックを奏でるブルース・ブラザースと仲間たちの姿があった。(Movie Walker)

<IMDb=★7.9 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:85% Audience Score:92% >





# by jazzyoba0083 | 2017-11-08 22:45 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ノクターナル・アニマルズ Nocturnal Animals」
2015 アメリカ Focus Features,Fade to Black Productions. 116min.
監督・脚本・(共同)製作:トム・フォード
出演:エイミー・アダムス、ジェイク・ジェレンホール、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン
   アイラ・フィッシャー他
e0040938_17465358.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:結末まで完璧に書いてありますのでご注意ください>
この映画のフライヤーを観ると映画鑑賞のヒントが隠されている。まずタグラインが「20年前に別れた夫から
送られてきた小説。それは愛なのか、復讐なのか」。
そして、裏面の解説に「『理解する』のではなく、視覚を通して感覚が刺激される。観たら最後、心のざわめきを
抑えることができない」。

まさにその通りの内容だ。ラストの衝撃的とも言えるオープンエンド。さあ、観ている人はどうとらえるのか。
愛なのか、復讐なのか。女性側の主人公スーザン(エイミー・アダムズ)が経営するギャラリーに掛けてある
現代アートに「アルファベットで"REVENGE"」と書かれたものがある。本人は忘れていたが、スーザン自身が
買い付けてきたものだ。それもまた物語のある方向性を示した暗喩のようである。作画を通して分かりやすいのは
スーザンのメイク。最初は目の周り真っ黒のセレブメイク、過去とラストはナチュラルメイク。それは
スーザンが自らの周囲に建てた虚飾の壁の暗喩であろう。そのナチュラルメイクのスーザンにラスト、訪れるものは
何か。やはり復讐なのか。

送られてきた前夫の小説の物語が現在と過去のスーザンとエドワード(ジェイク・ジェレンホール)の現実と
ないまぜになって独特の世界を形成していく。現在と物語の接点が次第に曖昧になっていき・・・。

映画の半分くらいは、それぞれが抱える「凄まじい孤独」を感じて観ていた。それは小説の中の警部補
(マイケル・シャノン=本作でオスカー助演男優賞ノミニー)にも、犯人たちにも当てはまるのではないか、と。
映画を観終えてそれはそれで正しいとは思ったが、それよりもっと大きな「人を思う心」全般の裏側から見た
「怖さ」でもあるのだろうか、と考えた。そう、フライヤーの説明のよう。
この映画は結論を得るものではない、感覚を愉しめばいいのだ、とは分かっていても、何かしらの意味を
求めたがる私だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ブルジョアに育ち、コロンビア大学で美術史を専攻していたスーザンと小説家を目指していたエドワードは
大学時代、お互いに惹かれていた間柄。2年ほど結婚して別れたのだが、(親の「身分が釣り合わない」という
反対意見も強くあった)、母親の言うとおり、親の金もあったのだろう大きな画廊を経営するセレブの
女性となっていた。精神的に弱い(彼女は弱いんじゃなくて繊細だと母親に説明していたが、やはり不満では
あったようだ)今では、イケメンの会社経営者(浮気バリバリ)と冷えた夫婦生活を続けていた。

ある日、19年前に別れたエドワードから、自分への献辞が付いた小説「ノクターナル・アニマルズ(夜の
野獣たち)」が送られてきた。その内容は、ロードレイジにやられた娘と妻を乗せた男トニー(ジェイクの
二役)一家の厄災と復讐の話だった。
妻と娘はレイプの挙句全裸死体で発見される。トニーは別に拉致され荒野に置き去りにされていたのだった。
そこから地元のやさぐれた警部補ボビーの協力を得て、犯人に凄まじい復讐を遂げていくという話だった。
最後は主犯を射殺するのだが、トニーも主犯の男から鉄棒で目を殴られ、片目が潰れた感じ。荒野に出ていくと
トニーは持っていた銃で自らの命を断ったのだった。最愛の妻と娘を殺され、犯人を殺し、跡に何が残る、と
でも言うように。

あんなに繊細なエドワードにこんなバイオレンスが書けるなんて、と驚くスーザン。寝ずに読み、読むと
眠れなくなる、という精神的に不安定になってしまった。そして、スーザンに会いたいとメールが来た。
本当は愛していたエドワード。厚化粧を落として、約束のレストランに着席するスーザンの顔には素直な
笑顔が浮かんでいた。彼女はあの小説から「弱い自分は死んだ。今や強い自分と合ってくれ、まだ愛して
いるんだ」というメッセージを受けたのだろうか。しかしエドワードは姿を表さなかった。あのバイオレンス
小説は、やはりスーザンに当てた復讐の書であったのだろうか。待ち続けるスーザンの表情が強張っていく・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
トム・フォードという監督はもともとデザイナーであるので、衣装を含め生活感の薄いスーザンの現在の生活、
そしてギャラリー、また小説の中では泥臭い作画、「虚飾に生きる女」と「リアリティに生きる男」の
対比であろう。計算された画角、効果的に流れるクラシック系の音楽。小説の世界と現実の世界の境目が
なくなってくる混沌とした面白さ。LA、NY、テキサスという3つの舞台をそれぞれのエピソードの背景に据えた
ところもなかなか考えてあり映画に厚みを付けていた。
そしてエイミー・アダムズを始め、何を考えているのか奥の深い演技を魅せるジェイク・ジェレンホール、
オスカーノミニーのマイケル・シャノン、小説の中の主犯レイを演じたアーロン・テイラー=ジョンソン
(ゴールデン・グローブ助演男優賞受賞)らの素晴らしい共演を得てスタイリッシュかつファッショナブルな
上質なミステリが出来上がった。日本での公開が遅れたのはなんでだろうか。

久々に緊張しつつ思考するサスペンスを味あわせて頂いた。ストーリー自体は難しくはないが、含むものは
相当の思考を要求される作品であろう。(観る人によっは、だけど)
オープニング、デザイナー出身監督の美的な映像を想像していたのだが、見事に裏切られた。掴みはOK。
e0040938_17472463.jpg
<ストーリー>
 映画監督デビュー作「シングルマン」で高い評価を受けたカリスマ・デザイナー、トム・フォードが、
オースティン・ライトのベストセラー・ミステリーを実力派キャストの豪華共演で映画化したサスペンス・
ドラマ。
20年前に別れた夫から突然小説が送られてきたことに戸惑いながらも、その衝撃的な内容に惹きつけられて
いくヒロインの不安と葛藤を、過去と現在に加え劇中小説の物語も巧みに織り交ぜ、美しくかつスリリングに
描き出す。
主演は「メッセージ」のエイミー・アダムスと「ナイトクローラー」のジェイク・ギレンホール。
共演にマイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン。

 アート・ディーラーとして成功を収めながらも夫との結婚生活は冷え切り、満たされない日々を送る
スーザン。ある日そんな彼女のもとに、20年前に離婚した元夫エドワードから彼の著作『夜の獣たち
(ノクターナル・アニマルズ)』が送られてくる。作品が彼女に捧げられていることに困惑しつつも、
早速読み始めたスーザン。そこに綴られていたのは、車で移動中の家族が暴漢グループの襲撃に遭い、
妻と娘が殺され、夫は刑事と共に犯人たちを追い詰めていくという壮絶な復讐の物語だった。
そのあまりに暴力的な内容と完成度の高さに衝撃を受けながらも、これを彼女に捧げたエドワードの
意図をはかりかねるスーザンだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:73% Audience Score:72%>



# by jazzyoba0083 | 2017-11-07 11:35 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「皇帝のいない八月」
1978 日本 松竹映画 140分
監督:山本薩夫  原作:小林久三 『皇帝のいない八月』
出演:渡瀬恒彦、吉永小百合、山本圭、滝沢修、佐分利信、小沢栄太郎、永井智雄、高橋悦史、三國連太郎
   丹波哲郎、鈴木瑞穂、岡田英次、山崎努、永島敏行、太地喜和子、神山繁、渥美清、岡田嘉子他
e0040938_12495681.jpg
<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
自衛隊によるクーデターものである。その作戦名がタイトルとなっている。松竹オールスターの出演、
社会派山本薩夫のメガフォンなれど、当時の日本映画の限界を見る思いで、見ていて寂しくなって
しまった。小林久三の原作ものなんだけど、大胆に翻案する手もあったのではないか。当時、憲法改正に
ついての世論がどのくらい強かったかは分からないけど、学生運動も下火になり、割りと平和な世の中では
なかったか。(制作された当時本作は直近未来を描いたらしい)ジュディ・オングの「魅せられて」が
日本レコード大賞を獲った年だ。そうた時代にこういう映画を見てみたいという人がどのくらいいたのだ
ろうか?

閑話休題。自衛隊反乱舞台の首謀者藤崎は元陸自一尉で、三島由紀夫の決起思想とほぼ同じ考えで、
右翼国粋政権の樹立を目指していた。彼は博多を中心とする西部方面隊。東北や関東にも応呼する部隊も
いて、東西から東京を目指した。映画でのメインとなるのは藤崎らが乗っ取った特急「さくら」。
彼はこれに爆弾をしかけ、乗員乗客を人質に、東京を目指しつつ要求を突きつけていた。
藤崎の妻杏子が吉永小百合。彼女は婚約者がいながら、藤崎に強引に(このあたり心情よく分からない)
結婚。でも5年間で愛情を感じるようになっていた。そこにかつての婚約者山本圭登場。

まあ物語を縷縷書いていても仕方がないのだが、オールスター映画(殆どが今や物故者)ではあるが、
なんか、締まりがない。緊張感のある物語なんだけど、カッカしているのは内閣調査室長の高橋悦史と
藤崎(渡瀬恒彦)だけ。ドタバタドタバタしていて落ち着かない。
ポリティカルミステリなのだが、内閣の裏事情が良く説明されないので、藤崎らに担ぎ出された大畑と
佐橋首相の位置関係と裏事情が明快でない。
反乱軍鎮圧本部を含む首相官邸、特急「さくら」内部、吉永小百合と山本圭、これら3つが物語を
紡ぐのだが・・・。(狂言回しの渥美清と岡田嘉子がもったいない)演技もなんかみんな下手くそだなあ。
「さくら」を鎮圧部隊がいる徳山に止めたり、送電を止めなかったり、めちゃくちゃな銃撃戦を展開したりと、
ツッコミどころも満載。自衛隊のクーデターということで自衛隊(当時の防衛庁)の協力も得られず、
美術班、大道具・小道具班は苦労したことだろう。最後には藤崎も吉永小百合も山本圭もみんな死んじゃうし。
タイトルだけがかっこいいのが寂しい。

この映画、興業的に成功したのだろうか?
e0040938_12501125.jpg
<ストーリー>
八月十四日午前一時、盛岡市郊外。不審なトラックを追っていたパトカーが機関銃の乱射を受けて炎上、
トラックは東京方面に走り去った。八月十五日午前十時半、鹿児島。陸上自衛隊、警務部長の江見は郷里で
亡妻の墓参中、内閣情報室長の利倉からの連絡で、盛岡のパトカー炎上事件を知った。
そして、自衛隊内外の不穏分子を列記したリストに昔の部下で、今は一人娘、杏子の夫である藤崎の名を発見
して愕然とする。

帰京の途中、杏子の往む博多に立ち寄るが、杏子は、藤崎が運送業に打ち込んでいることを告げる。だが、
江見が去った後、夫から東京に行くという手紙が届いた。同日午後六時半、博多駅。業界紙の記者、石森は
取材を終え、帰郷すべく、「さくら号」を博多駅で待っていると時ホームを駆ける杏子の姿を見かけた。
思いがけない再会、かつて二人は結婚を誓い合った仲なのだ。二人を乗せたブルートレインは静かにすべり
出す。

同日、東京首相官邸。佐橋総理を囲んで緊急会議が開かれていた。大規模なクーデター発生の可能性を報告
する利倉。自衛隊の軍隊化をめぐり、日本最大の黒幕、大畑との対立が再燃した。同日午後八時一分、門司。
石森は列車の下に動く怪しい男の影を発見。同日午後八時十五分、下関。石森の要請で、車輪係員が列車を
点検したが、危険物は発見されなかった。その直後、石森と杏子は一号車に連行され、そこに藤崎の姿を見た。
杏子の不安が的中したのだ。同日午後九時、東京。内閣情報室の分析でクーデターの黒幕として大畑の名が
浮かび、そこに繋がる危険人物として真野陸将の名も上がった。江見は真野を逮捕して拷問を加えるが、
真野は舌を噛み切って果てた。しかし江見は、真野の乗用車の天井からクーデターの暗号計画書“皇帝のいない
八月”を発見、全てのプランを把握した。

佐橋首相は各方面部隊に鎮圧作戦を命令し、クーデター部隊に先制攻撃を加えた。同日午後九時五十分、
「さくら号」。一斎蜂起の失敗を無線で確認した藤崎は「さくら号」制圧作戦に切替えた。各車輛に
M爆弾が仕掛けられた。無線で「大畑を出せ!」と政府に迫る藤崎。しかし、大畑の姿は忽然と東京から
消えた。この緊急事態に佐林、利倉ら政府首脳、江見ら警務部隊、国鉄関係者はどう対処して行くか!
乗客三百六十人を乗せたブルートレインは、走る爆弾と化して一路東京へ闇の中を突っ走る……。
(Movie Walker)





# by jazzyoba0083 | 2017-11-06 23:10 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

●「マイティー・ソー バトルロイヤル Mighty Thor:Ragnarok」
2017 アメリカ Marvel Entertainment,Marvel Films,Walt Disney Pictures. 131min.
監督:タイカ・ワイティティ
出演:クリス・ヘムズワース、トム・ヒドルストン、ケイト・ブランシェット、イドリス・エルバ、
   ベネディクト・カンバーバッチ、浅野忠信、マーク・ラファロ、アンソニー・ホプキンス他
e0040938_17283889.jpg
<感想:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
アメリカ本国での評価がやたらめたらに高いので、どんなものか、と3D(吹き替え)を観に出かけた。
ファンは多いと見えて結構な入り。私もソーは一作目から観ているが、そんなに入れ込んで観ている
わけでもないし、とりあえずMARVELが好きなのでチェックするという感覚で。最近はMARVELも
DCも単独だけでは中々売れないので、チームを組んでの興行となっている。あれ、日本の戦隊モノの
パクリらしい。間もなくDCの方も上映される。まあ、観に行くけど。

さて、本作は、ソーの姉さんにして死神のヘラ(ブランシェット)の物語にして、チーム・アベンジャーズならぬ
リベンジャーズwwの結成で、互いに気にくわないところはあるけどここはアスガルドを守るべく小異を捨て
大同につくという。まあみんな神様だからその気になれば強い強い。死の女神だってひとたまりもない。

殆どが格闘シーン。VFXばりばりで、俳優さんはさぞやグリーンバックで味気ない演技をしたんだろう
なあ、とちょいとばかり可哀想になってしまったよ。画像は綺麗だったけどね。
それと本作の特徴の一つとして、多くの方が指摘しているように「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
系統のお笑いを加味した点。冒頭のソーのシーンから始まり、ほぼ5分に一回はお笑いネタが入って来る感じ。
個人的には、片頬が上がる位のユーモアはいいけど、ここまでお笑いになるのは如何なものか、と感じた次第。
ハルク(バナー)とソーの会話なんて漫才だもの。戦隊モノもこういうテイストを提示していかないと飽きられる
かも、という製作者側の恐怖はあるだろう。新しい方向性を示した、というには「ガーディアンズ」が先行して
いるものなあ。「お笑い宇宙モノ」。

かつての敵は今日の友ってなもので、ソー、ロキ、ハルク、ヴァルキリー、ヘイムダルがチームを組んで
ヘラに立ち向かう。まあ活劇もここまで派手になれば、むしろ清々しいかもしれないし、恩讐?を乗り越えた
チームの勝利にカタルシスは感じることが出来るので、「スクリーン映え」する作品とも言えるかもしれない。
多くの方が、「ソーシリーズの中で一番おもしかった」というのも頷ける。が、これが次の「アヴェンジャーズ・
インフィニティウォー」(来年4月公開予定)に繋がる重要な結節点なのだが、次作は一体どうなって
しまうのか? ドクター・ストレンジも出てきた日にはアヴェンジャーズ、何がなんだか分からなくなるような
予感がする。どう整理してくれるのだろうか。どんな物語となるのだろうか、そこはそれで楽しみではあるけど。
アヴェンジャーズもAチーム、Bチームとかに分けないと、こんがらがっちゃうなあ。とことんMARVEL好き
な人は全然OKなんだろうか?

本作、ソーの映画だけど、これだけヒーローが集まり、美味しいケイト・ブランシェットが出てくるので
ソーの存在が随分影が薄くなっちゃっている。次作は大丈夫かいささか心配にもなる。

邦題は客寄せ的にはいいだろうけど、確かにバトルロイヤルの要素は有るけど、俗っぽいタイトルになって
しまった感が否めない。現代のラグナロク=(北欧神話でいう)世界の終わり。映画の内容そのものなんだけど。
あ、浅野忠信さんあっけなく殺されちゃうし、ドクター・ストレンジどこに出てた?って感じ。
e0040938_17290808.jpg
<ストーリー>
アベンジャーズの一員で神の国アスガルドの王子であるソーの活躍を描く人気シリーズの第3弾。
アスガルド崩壊を目論む“死の女神”ヘラの野望を打ち砕くため、ソーがアベンジャーズで共に戦うハルクらと
最強チームを結成し、立ち向かう。弟のロキに加え、勇猛な女戦士ヴァルキリーなど魅力的な新キャラクターが
多数登場する。

アベンジャーズの一員として、地球を守るために戦ってきたソー(クリス・ヘムズワース)の前に、邪悪な敵・
ヘラ(ケイト・ブランシェット)が突如現れる。ヘラは、アベンジャーズのメンバーですら持ち上げることの
できないソーの最強の武器ムジョルニアをいとも簡単に破壊し、圧倒的なパワーでソーを宇宙の果てに
弾き飛ばしてしまう。
遠く離れた星で囚われの身となったソー。ここを脱出するには、この星で絶対王者として君臨するチャンピオンと
の1対1の命がけのバトルに勝たなければならない。
だが、ソーの前にチャンピオンとして現れたのは、かつて共に闘った仲間のハルクだった。果たして、史上最強の
敵からソーはこの世界を守ることができるのか……。(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:90%>



# by jazzyoba0083 | 2017-11-05 13:40 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

婚約者の友人 Frantz

●「婚約者の友人 Frantz」
2016 フランス・ドイツ Mandarin Films.113min.
監督・脚本:フランソワ・オゾン  オリジナル脚本:エルンスト・ルビッチ
出演:ピエール・ニネ、パウラ・ベーア、エルンスト・シュトッツナー、マリー・グルーバー、ヨハン・フォン・
   ビューロー他
e0040938_19411856.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:とことんネタバレしています>
オゾンという監督さんの作品は今から11年前に「スイミング・プール」を観ただけで、当時のブログを
読むと、「良くわからない」と書いてあった。この監督の持ち味らしい。翻って本作、オリジナルが
有るとは言え、オゾン流にサスペンスという通奏低音をベースに、戦争で失った愛情の行方を、結構
「分かり易く」描いたものだ。欧州映画をたくさん見ているわけではないが、持つ味わいがやはりハリウッド製
にはないセンスを感じる。
ラストシーン。主人公アンナの覚悟がラストのマネの「自殺」という絵画を見ている姿を観て、本作が言いたい
ことが透けて見えるようだ。そこを観ている人がどう思うか、そのシーンがモノクロからカラー(色彩付き)
画面となるのをどう思うか、が本作を観る人の感想を決めるだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アンナが第一次世界大戦で婚約者を失い、自分の心の半分以上を失ってしまった人間になりかけたところ、
「婚約者の友人」フランス人のアドリアンが現れ、敵国の彼が何故婚約者の墓にフランスからわざわざ花を
手向けに来て涙を流しているのか。アンナが声を掛けると、彼はフランツとパリで出会い、バイオリニストである
アドリアンがフランツにバイオリンを教えたり、二人でルーブルに出かけたり、友情を深めた、と、嘘を言って
しまう。しかし、これにはアンナもフランツの両親も、息子や婚約者を殺した敵国の男とは言え、真の友情を
育ててくれた(と思い込んだのだが)アドリアンを好ましく思うようになった。
しかし、アドリアンは嘘に耐えきれず、自分こそ、フランツを殺したのだ、とアンナに告白する。

婚約者を塹壕で殺した人物そのものがアドリアンであったことに大きなショックを受けるのだが、彼もまた
アンナの婚約者フランツを射殺したことに耐えきれず人間としての心の大きな部分を失っていたのだ。
殺さなければ殺される、塹壕で出くわした相手をどちらが殺すか殺されるか、という戦争の持つ残忍な必然性
なのだが、アドリアンは自分を許すことが出来ず、ドイツまで許しを乞うために訪れたのだ。
アドリアンの気持ちを理解し始めたアンナは少しずつアドリアンに恋心を抱くようになる。

アドリアンはフランツの両親にも真実を告げたい、と主張するが、アンナは「私から伝えておくわ」と
いい、実は本当のことを両親には告げなかった。アンナは神父さんに懺悔を告白するが、神父も「言わずに
おいたほうがいい嘘もある。いまさら両親に真実を告げてどうなる。キリストが磔をした男たちを許した
ようにあなたも許されるであろう」と言ってくれた。

アドリアンはフランツの両親に好かれたまま。アンナはある日パリに帰ったアドリアンに手紙を出すが
住所がないとして戻ってきてしまう。その頃、フランツの両親はアンナにアドリアンをどうか、と考え始めて
いたのだった。(フランツの両親はアンナを実の娘のように可愛がっていた)そこで両親はアンナにパリに
行ってアドリアンを探しておいで、と送り出す。かすかな情報を手に探すがなかなかアドリアンの足跡が
掴めない。やがてフランツの叔母を探し当て、シャトーに住む貴族のような暮らしをしているアドリアンに
行き着く。驚き喜ぶアドリアンだったが、そばには両親が決めたという婚約者の姿があった。

アンナは、アドリアンの仕方がないとは言え本心を見た思いで、ドイツに帰ることにする。アドリアンに
「鈍感!」とかいうニュアンスを叩きつけて。だが別れの駅頭で二人はしっかりキスを交わすのだった。
アドリアンにも親の定めた結婚(とは言え婚約者は良い女性)だが、自分の削れた半身を救ってくれた
アンナに深い愛情を覚えていたに違いない。でも二人は結ばれることはないのだが。

さて、パリのアンナからドイツのフランツの両親に手紙が来た。アドリアンと合った、パリの管弦楽団で活躍して
いた、ルーブルへも、フランツの好きだったマネの「自殺」を観に行きました、と嘘をつき続ける。
しかし、一人でルーブルの「自殺」の絵の前に来たアンナ、そこのシーンではカラーとなり、彼女の顔が
笑顔に変わる。
「自殺」とは縁起が悪い画であるが、アンナは過去の自分をこの「自殺」の中に閉じ込めて、(過去の自分を
「自殺」させ、)新しい自分の人生を歩もうと決心をしたのだろう、と私には思えた。
(ちなみにこの「自殺」は現在はチューリッヒの印象派美術館・ビューエルコレクションに所蔵されている)
e0040938_19423888.jpg
                 <「自殺」エドゥアール・マネ 1880年>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この映画のキーになっているマネの「自殺」という画は、見る人に多様な想いを抱かせる画だ。一体この
男は何が理由でピストルで自らの胸を射なければならなかったのか、そこに理由を探す人、いや、観ている
人によっては「現在の自分を殺し、再生のステップとする」と見る人もいるだろう。アドリアンの好きだった
この画に、アンナは「再生」を見出したのだ。嘘で作り出す幸せだって時と場合によっては、ある、と。

フライヤーにもいろんな有名人が書いているが、映像が美しい。独特の空間を取った映像が不思議な落ち着きを
映画に与える。モノクロとカラーの使い分けは、観ようによっては、あざとくなるのだが、本作でカラーに
なるのは、ごく少ない。思いあぐねているシーン、リアリズムに欠けるシーンはモノクロ。アンナの心に動きが
あったり、誰かの心に重要な動きがあるとカラーになる。そのあたりの使い分けは、オシャレかつインパクトが
あった。また全体の構造をサスペンス風に描くことにより、観客を一層主題に取り込むことに成功している。
それにしても、いかにもベネチアやセザール賞にフィットする作品だ。
「スイミング・プール」もう一度観てみようかな。
e0040938_19415025.png
<ストーリー>
エルンスト・ルビッチ監督が1932年に「私の殺した男」として映画化したモーリス・ロスタンの戯曲を
「彼は秘密の女ともだち」のフランソワ・オゾン監督が大胆に翻案。20世紀初頭ドイツを舞台に、戦死した男の
謎めいた友人と残された婚約者が織り成す交流を綴る。
出演は「イヴ・サンローラン」のピエール・ニネ、本作で第73回ヴェネツィア国際映画祭マルチェロ・マストロ
ヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した「ルートヴィヒ」のパウラ・ベーア。

1919年、戦争の傷跡に苦しむドイツ。アンナ(パウラ・ベーア)は、婚約者のフランツをフランスとの戦いで亡くし、
悲しみの日々を送っていた。そんなある日、アンナがフランツの墓参りに行くと、見知らぬ男が花を手向けて泣いている。
アドリアン(ピエール・ニネ)と名乗るその男は、戦前にパリでフランツと知り合ったという。
アンナとフランツの両親は、彼とフランツの友情に感動し、心を癒される。やがて、アンナはアドリアンに“婚約者の友人
以上の想いを抱き始めるが、そんな折、アドリアンが自らの正体を告白。
だがそれは、次々と現れる謎の幕開けに過ぎなかった……。

<IMDb=★7.5>
<Rottentomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:85%>



# by jazzyoba0083 | 2017-10-31 14:00 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「バリー・シール/アメリカをはめた男 American Made」
2017 アメリカ Universal Pictures,Cross Creek Pictures,Imagine Entertainment. 115min.
監督:ダグ・リーマン
出演:トム・クルーズ、ドーナル・グリーソン、サラ・ライト・オルセン、ジェシー・プレモンス他
e0040938_11133486.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:結末まで触れていますのでご注意ください>
面白かった!文句なく面白かったかというと、話がいささか複雑な部分もあるので、スカッと
いうわけには行かなかったが、ラストのアンハッピーエンディングの処理の仕方といい、
ハチャメチャな事をしている割にはコメディタッチを加え、見やすくかつ見応えのある作品に
しあげている。テンポやアニメを使った作画も工夫が凝らされていて良い。
なんでこの映画がもっと日本で話題になっていないのか、勿体無い。「ブレードランナー」と
重なったからかなあ。日曜のシネコンの入りはまあまあだった。

50歳を超えたトム・クルーズ、若いなあ。この映画は実在の人物のお話を基にしている、と
言う意味でいうと、その実話が面白いのでこの手の映画はオリジナル脚本に比べゲタを履いて
いると観るのが私として常だが、それにしても、破天荒の主人公の半生を、映像の中に上手に
表現出来ている。観る人によっては、なぜトムがあんな事に手を出したか背景が不足している、
と感じる向きもあろう。しかし、クライムアクションである本作にはそれくらいのハショリは
気にならない。

冒頭に書いたが、「話がいささか複雑な部分」とは、バリー・シールが関わる事件がアメリカの
中米南米政策と深く関わっていて、この辺りの政治的な勢力のあれこれがちょっと日本人には
特に分かりづらいと思ったのだ。
最初、CIAに依頼されたのはニカラグア辺りの偵察と航空写真撮影、そのうちパナマの独裁者ノリエガと
組んで麻薬をマイアミに運ぶことを始め、次いでニカラグアの反政府共産組織サンディニスタ撲滅の
ためアメリカが密かに対立するコントラという組織に武器を運ぶ仕事を引受け、コントラがやる気がない
と見るや、その武器をコロンビアの、パブロ・エスコバル率いる巨大麻薬組織メデジン・カルテルに
武器を横流しし、さらに彼らの麻薬の密輸も引き受けたのだ。これらが「イラン・コントラ事件」と
いう大スキャンダルに繋がっていくのだが、そのあたりが、ややひっかかかり明快さを欠いたかも
しれない。

結局バリー・シールは「政府の極秘の仕事を引き受ける傍ら、麻薬を密輸して大儲けしていた」という
ことなのだが、CIAは目をつぶっていたが、麻薬を取り締まる「DEA」「ATF(アルコール・タバコ・
火器及び爆発物取締局)「FBI」に目をつけられ逮捕される。しかし、政府の秘密を握っているシールは
無罪放免となるのだが、なんとホワイトハウスに呼ばれたシールは、現地事情に詳しいということも
あり、司法取引として、ニカラグアの共産反政府組織サンディニスタが麻薬を密輸している証拠写真を
撮ってくる、というかなり厳しい仕事を引受けることになった。これは成功し、サンディニスタの
悪事が国際的に暴露されたのだが、当然、シールを信用していたサンディニスタのメンバーは、
シールを許さなかったのだ。彼はクルマに乗っているところを射殺されてしまう。

一時期とんでもない財をなし、金の隠し場所がないくらいで庭に埋めたり、倉庫に押し込んだり。
それで何を買うわけでもないのだなあ。せいぜい奥さんに宝石とキャディラックくらい。
大きいうちは買ったけどね。結局シールは現預金を全部没収された。しかし、奥さんが身につけていた
超高額の宝石は差し押さえを逃れ、奥さんと子どもはその後幸せに?暮らしたというような終わり方。
ラスト、奥さんハンバーガーショップかなんかで働いて(ここが彼女の偉い所)いるのだが、彼女の左腕
には超高額と思しきダイヤのブレスレットが輝いていた。

危険な仕事をしている割には悲壮感がない。全体として悪事を働いている映画なのだが乾燥度が
非常に高い映画で、観ていて爽快! 「ジェイソン・ボーン」シリーズや「Mr.&Mrs.スミス」で、この手の映画の作画には定評のあるダグ・ライマン、まだまだやるなあという感じだ。トムの奥さん役を演じた
サラ・ライト・オルセン、(スカヨハ似?)テレビ畑が長い人だが、キュートでイイ感じだった。
こずるいアメリカという国を手玉にとった痛快な男の話、いいです!
トム・クルーズファンでなくてもご覧いただきたい映画。
e0040938_11140473.jpg
<ストーリー>
1970年代後半、バリー・シール(英語版)はTWAでパイロットとして働いていた。シールの若くして
機長に昇進した腕前は一級品かつ裏で検査が緩い立場を利用して密輸に手を染めていた事で、CIAから
も注目されるようになった。
ある日、シールはCIAに極秘の偵察任務への参加を求められた。野心家でもあったシールは喜んでその
依頼を引き受ける事にし、すぐに航空大手のTWAを飛び出してCIAが用意したペーパーカンパニーの
小さな航空会社に転職する。

数年後、シールはパナマの独裁者、マヌエル・ノリエガとCIAの仲介人の役割を果たすようになって
いた。シールはCIAの目を盗み、メデジン・カルテルの指示でコカインをルイジアナ州に密輸する
仕事も請け負っていた。
やがて、CIAはシールが麻薬の密輸に関与していることを把握したが、シールの任務を代わりに担える
ような人材がいなかったため、敢えて黙殺する決断を下した。一方、麻薬取締局(DEA)はシールを逮捕
すべく行動を開始した。DEAの動きを察したCIAはシールに密輸から手を引けと警告したが、シールは
それに耳を貸そうとはしなかった。

その後、シールはニカラグアの親米反政府組織、コントラに武器を密輸する任務も請け負うこととなっ
た。コントラが本気で政府を倒す気がないと確信したシールは、武器をカルテルに横流ししてさらに
儲けていった。CIAの黙認の下で、シールの会社は小さな空港を持ち本人も含めてパイロット5人を
抱える密輸集団に成長し、シールは扱いに困るほどの大金を得る。

暴走を続けるシールを危険視するようになったCIAは、シールを見捨てて地元警察とDEAとFBIとATFが
逮捕するのを黙認した。逮捕後に検事の前に突き出されて絶体絶命の窮地に立たされたシールだったが、
ホワイトハウスが求めているニカラグアの左派武装勢力であるサンディニスタ民族解放戦線が麻薬の密輸
に関与している証拠を得る手助けする事を司法取引の材料として釈放される。
しかし、それはメデジン・カルテルを裏切ることを意味していた。

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:88%Audience Score:80% >



# by jazzyoba0083 | 2017-10-29 14:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ヘッドハンター・コーリング A Family Man」
2016 アメリカ G-BASE,Zero Gravity Management.111min.
監督・(共同)製作:マーク・ウィリアムズ
出演:ジェラルド・バトラー、グレッチェン・モル、アリソン・ブリー、ウィレム・デフォー他
e0040938_14250925.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想:ネタバレしています>
悪い映画ではない。言わんとしていることは美しい。が、どのエピソードにしても既視感ありあり。
ヘッドハンター会社で次のトップを辣腕女性と張り合っているお父さんデイン。だれよりも早く
会社に現れ、誰よりも遅くまで仕事をする。休日も部下やハント相手から容赦なく電話がかかる。
奥さんのエリースは、夫の仕事の大変さを理解しつつ、夫婦の会話が少なくなっていき、子どもとの
触れ合いが少なくなってきている現状を心のなかで嘆いている。

ライバル二人の熾烈な売上争いのさなか、息子ライアンが急性白血病であることが判明、一流の医師が
付くが、状況は悪化していく。そんな中でも息子の病気の重篤さを会社に隠し、仕事から手が離せない。
いらいらがつのる妻。それでも建築設計家を夢見るライアンの希望を聞き、二人でシカゴの名建築と
言われるビルなどを訪ねて歩く。その時間が彼の成績を下げる。デインもいらいらが募る。

しかし、ついにライアンが薬物療法に万策尽き、昏睡に陥ってしまう。医師からは父母の声を聞かせる
ことが、いい結果に繋がることもあります。ガンと戦う気力を呼び覚ますのです、と言われる。
シーク教徒の主治医の言うことなんか、と思うデインだったが、それからライアンのベッドサイドで
電話で仕事をすることにし、絶えず自分の声を息子に聞こえるようにしていた。

ある日デインはボスからクビを言い渡される。なんで?と驚くデインだったが、ボスは「出てってくれ」とつれない。妻に正直に伝えたものの、まさがヘッドハンターの自分が再就職の履歴書を書くとは・・と
落ち込んでいた。そこに妻から電話。ライアンがもうだめなのか!と急ぎ病室に駆けつけると、なんと
ライアンが目を覚まし話しているではないか。奇跡は起こったのだ。

そしてボスは実はデインが息子の難病を抱え戦っていることを知り、もう家族と一緒にいてあげたほうが
いいと判断。絶対だった、再就職する時は同じ業種に付かない、という契約書を破ったものを郵送して
来たのだった。そこでデインはボスの愛情を知るところとなる。

1年後くらいの様子となる。デインは自宅に個人でヘッドハントの会社を立ち上げていた。ライアンは
すっかり健康を取り戻し、何と3人めの子どもが出来ていた。しかし会社の業績は思うに任せない。
しかし、家の中にはかつてなかった笑顔が溢れていた。
実は自分のやっている仕事の虚しさを考えていた時、かねてからの知り合いでエンジニアに
再就職する男について、年だし、エンジニアは金にならないからといい加減に対応していたが、
彼に、自分も金にならい本当に人のための仕事をしてみたらどうだろうと、工場長の仕事を斡旋したこと
があった。その男から、工場で人がほしいんだ、絶対にお前に頼んだよ、という電話が入ったのだった・・・。

そんな話。「家庭を振り返らない猛烈仕事オヤジ」➡「理解しつつも不満が募る妻」➡「突然襲う
子どもの白血病」➡「自分の身にも降りかかる不幸」➡「考え方変える」➡「子どもの病気に
奇跡発生」➡「金が全てではない家族を大切にした個人営業を始める」➡「人生で本当に大切なことは
何か」と。
そういう構図って予定調和と言うか、先が読めるというか、観ていて決して嫌な映画ではないのだけど、
今更なあ、という感じもしてしまうのだ。WOWOWのタイトルより原題のまま方が中身に対して正直だ
けど。というわけで日本ではビデオスルーでした。
e0040938_14252400.png
<ストーリー>
家庭生活を犠牲にして仕事に励んできた主人公が、思いも寄らぬ息子の難病を契機に自らの生き方を
見つめ直すさまを、G・バトラーの主演で描いた感動のファミリードラマ。

会社人間として誰よりも熱心に働き、次期社長の座もいざ視野に入ってきたその時になって、10歳の
息子が難病にかかっていることが判明。仕事と家族のどちらを優先するか、人生の岐路に直面する
主人公を、「300<スリーハンドレッド>」の人気俳優バトラーが、共同製作も兼ねて体当たりで
熱演。「ベティ・ペイジ」のG・モルが彼の愛妻に扮するほか、W・デフォー、A・モリーナら、
共演陣も充実。「ザ・コンサルタント」の製作を務めたM・ウィリアムズが本作で監督デビュー。
WOWOWの放送が日本初公開。

腕利きのヘッドハンターとして優秀な人材の引き抜きや仕事の斡旋に誰よりも熱心に取り組み、
会社の中でも一、二を争う立派な業績を上げてきたデイン。社長のエドは、デインとそのライバルの
女性社員リンに、今後の業績次第でどちらかに社長の座を譲ると告げ、2人にさらなるハッパをかける。ところがそんな折、デインの10歳の息子ライアンが、急性リンパ性白血病という難病にかかっている
ことが判明して入院することになり…。(WOWOW)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:13% Audience Score:66% >




# by jazzyoba0083 | 2017-10-28 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(2)

ジョイ Joy

●「ジョイ Joy」
2015 アメリカ Fox 2000 Pictures. 124min.
監督・脚本・(共同)原案・製作:デヴィッド・O・ラッセル
出演:ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ブラッドリー・クーパー、ヴァージニア・
   マドセン、エドガー・ラミレス、ダイアン・ラッド、イザベラ・ロッセリーニ他
e0040938_12220831.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
こんな面白い映画が日本劇場未公開なんですよねえ。「世界に1つのプレイブック」「アメリカン・ハッスル」「ザ・ファイター」「ハッカビーズ」など優れた人間ドラマを作ってきたデヴィッド・O・ラッセルが自ら原案を練り、脚本を書き、製作に携わり、監督もした映画。しかも主演が「世界に~」のコンビ
にデ・ニーロらの渋い脇役が出演。
有り体に言えば、発明主婦の成功物語なんだけど、彼女がどのくらいの壁に突き当たったか、父母祖母夫
を含めた周りの人々がどう動いたか、主人公との間合いを上手く取っていい作品に仕上げたのではない
か。これだけのメンバーで日本ではビデオスルーだったのはQVCが出てくるから? 
そんな話これまでいくらでも実名で映画になっているじゃんねえ。大人の事情は分かりません。
ジェニファーは本作でオスカー主演女優賞にノミネートされているし、ゴールデングローブ賞では
女優賞を獲得しているっていうのに。

主人公ジョイ・マンガーノは実在の人物。今や「ジョイ」ブランドを持ち、自らテレビ通販に出演し
巨額の富を積み上げ続けている。人が理不尽に金持ちになるのを観るのは気分良くないが、彼女の
ように天才的な発想をもっている頭のいい(高校は主席で卒業したものの家にお金がなくて大学は
諦めた)女性の活躍は、追体験するような爽快なカタルシスがある。しかも彼女は努力も半端じゃない
のだ。貧困から這い上がった諦めない天才は努力も一流!

さて、幼い頃から工夫や発明めいたことが好きだったジョイ。(ジェニファー)長じて、航空会社の
空港受付に勤務し、ベネズエラ系かなんかの男と結婚、子どもも出来た。祖母は彼女の長所を認めて
将来必ず家族のリーダーになる、と励ましてくれているが、母は一日中テレビでソープオペラを観て
暮らす、父は自分で工場を経営するが上手くいかない。ジョイの大人になってからの環境は子どもの頃
夢見ていた「自分の発明で世界の人を幸せにする」という理想とはあまりにもかけ離れていた。

そんなおり、載せて貰ったヨットのデッキでワイングラスやボトルが割れ、モップで掃除していた
ジョイは手を怪我してしまう。そこで彼女は閃いた。手を使わないでモップがけが出来、手を使わず
絞れてしかも洗濯機でモップ部分が洗えるという画期的なもの。

さて、それを巡って取っ手などのプラスチック部品を作るカリフォルニアの会社、そして売り込みに
行ったテレビショッピングQVCのニールの理解、借金まみれになりモップを作ったが初回放送での
男のやる気ないキャスターのせいで大失敗などさまざまな困難が押し寄せる。
しかしジョイは食い下がり、ニールにセカンド・チャンスをもらうことに成功した。そして出演は一番
商品が分かっている自分自身。その放送でも反応はあまり芳しくない。しかし幼馴染でジョイの一番の
理解者、親友のトゥルーディ(だったかな)が、テレビに電話で登場、サクラ?として商品の良い点を
どんどんと聞き出してくれた。するとどうだろう、売上をしめすスタジオのカウンターは5万本に近づい
ていく!ジョイは成功したのだ!

だが、事態はそう簡単では無かった。義理の姉が勝手に業者と契約したり、プラスチック業者に特許を
奪われたりで一時は、もう終わりか、と思える深刻な事態に。

そこからが真のジョイの強さを見せるところなのだ。しかしジョイの天才と努力ももちろんだが、それを
見守ったおばあちゃん、父、夫(なんの取り柄もないような男だが気だけはいいやつ)、親友、さらに
QVCのニールと、肉親や友、出会った人にもだいたいにおいて恵まれていた。人の人生に於いて誰と
出会うか、ものすごく大事なファクターなのだ。この映画を観ていると改めて分かる。

面白い映画です。ジェニファー・ローレンスがジョイのキャラクターにピッタリで凄く良かった!いい
女優さんになっていきますね。デ・ニーロを始めとして脇を固める名俳優陣がずるいくらいにしっかりと
しているので観ていてものすごく安定感がある。
e0040938_12225327.jpg
<ストーリー>
現在のハリウッドを代表する若手女優ローレンスが、オスカー受賞作「世界にひとつのプレイブック」や
「アメリカン・ハッスル」でも組んだD・O・ラッセル監督や、これらの作品での共演陣、R・デ・ニー
ロ、B・クーパーらとまたもタッグを結成。
第88回アカデミー賞でローレンスが主演女優賞にノミネートされながら日本では惜しくも劇場未公開に
終わった知られざる秀作だ。実話に基づき、自分が発明した新型モップを全米TV界の通販専門チャンネル
で売ろうと奮闘するシングルマザー役をローレンスは魅力的に好演。

幼いころ、自分の発明品を売ることを夢見たジョイだが、高校卒業後、結婚生活に失敗して2人の子ども
がいるシングルマザーになり、父親ルディの自動車修理工場を手伝うなど忙しい毎日を送るうち、自分の
夢を忘れかける。
しかしジョイは便利な新型モップを発明し、それを商品化できないかと模索しだす。元夫トニーの
コネで有名なTVの通販チャンネルで売られると決まり、ジョイは多額の借金をしてまでモップを大量生産
するが……。(WOWOW)

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:59% Audience Score:57%>




# by jazzyoba0083 | 2017-10-26 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「女神の見えざる手 Miss Sloane」
2016 アメリカ Transfilm,Archery Pictures and more.132min.
監督:ジョン・マッデン  脚本:ジョナサン・ペレラ
出演:ジェシカ・チャスティン、マーク・ストロング、ググ・ンバータ=ロー、
   アリソン・ピル、サム・ウォーターストン、ジョン・リスゴー他
e0040938_11502397.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
132分、字幕を追っかけるのに疲れ、画面を満足に楽しめなかったなあ。★は8.5。
凄い映画だ。迫力あるし、とにかくジェシカ・チャスティンの徹底した
ビッチぶり(全部が悪いとはいわない)が強烈だ。セリフが多いし、日本人には
馴染みのないロビイストという職種なので、テクニカルな言葉がたくさん出てきて
彼らが取る戦術の彼方に何があるのか、よくわからないまま映画は進んでいった。
スピード感たっぷり。ちょっとでも下を向いてセリフを読まなないと先が分からなく
なるほどだ。もう、全てがジェシカ・チャスティンの映画&これが1作目の脚本となるジョナサン・
ペレラに脱帽だ。ジェシカはこの役、ハマっていたなあ。

キャストもスタッフもアメリカといえども表面にあまり詳細が出てこないロビイストという職業に
ついて、たくさん勉強したという。
ロビイストとは、議会で法律を通すために多数派工作をする「業者」のことで
今回は分かりやすい「銃規制」について規制法を通す側と、全米ライフル協会から
巨額の献金をもらっている規制反対派の対立の中で、規制派を増やし規制法を
議会で通そうと活動する「私立」の面々の活躍だ・・

・・活躍なのだが、まあ、ジェシカ演じるスローン女史のやり方と言ったら、手段を
選ばず、裏切りや欺き、嘘は当たり前、誰が味方か、誰が敵なのかさえ判然とせず
身内にスパイがいるのではないか、という疑心暗鬼さえ生まれてくる。
素晴らしく頭が切れ、非情に徹し、ロビー活動とは自ら信じる正義を国のために
通す、なんてことはさらさら考えていなくて、すべてが「ゲーム」それも「勝つ
快感」を味わうための「権謀術数に満ちたスリリングなゲーム」なのだ。

ミス・スローンというロビイストの存在について、極端すぎる描写もあるのだろう
けど、決して彼女に思い入れは出来ないが、凄まじい一貫性に、不覚ながら引きずり
込まれる。向精神薬を飲みセックスさえビジネスで、何が面白いんだろうと思うけ
ど、まるで命のやりとりをする戦場にいる緊張感が彼女にとってのエクスタシーなん
だろうな。「怜悧な知的ゲームを楽しんでいる」という。絶えず前の壁の厚い方、高い方を
求める、それが困難なほど、彼女の脳は活性化し快感を覚える。まあ、病気ですなww

ラストには衝撃のシーンが2つ用意されているのだが、それらこそ、ミス・スローンの
「生き方」そのもの、「精神構造」そのものなのだろう。カタルシス、というには
「清々しさが残らない」それである。リモコンのゴキブリは是非CIAに教えてあげて欲しいww。

とにかく登場人物も多いし、ストーリーも簡単ではないし、難しいセリフ(字幕)は多いし
一回で理解しきれる人は幸いなり。ちゃんと隅々まで理解しようとすればもう一回観る
必要があるだろう。
よく出来た映画なんだけどオスカーにはどの部門にも引っかかってない。監督は「恋に落ちた
シェイクスピア」「コレリ大尉のマンドリン」「マリーゴールドホテルで会いましょう」など
人間ドラマを描かせたら一流のジョン・マッデンなのに。ミス・スローンがあまりも非情な
ビッチだったからアカデミー会員から、呆れられたのかもしれない。

しかし、映画としての「絶対的面白さ」は大いにあるスリラーエンタテインメントだ。
ジェシカ・チャスティンの「強烈なビッチさ」を楽しもう!理屈もへったくれもあったもんじゃない。
そういう爽快さはある。
e0040938_11505469.jpg
<ストーリー>
ジェシカ・チャステインが政府を影で動かす戦略のプロであるロビイストを演じ、第74回ゴールデン・
グローブ賞で主演女優賞候補になったサスペンス。
全米500万人の銃愛好家や莫大な財力をもつ敵陣営に果敢に戦いを挑む、女性ロビイストの奮闘を描く。監督は『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。

政府を裏で動かす戦略のプロ“ロビイスト”。その天才的な戦略でロビー活動を仕掛けるエリザベス・
スローン(ジェシカ・チャステイン)は、真っ赤なルージュで一流ブランドとハイヒールに身を包み、
大手ロビー会社で花形ロビイストとして辣腕をふるう日々。

そんなある日、彼女は銃の所持を支持する仕事を断り、銃規制派の小さな会社に移籍する。
全米500万人もの銃愛好家、そして莫大な財力を誇る敵陣営に立ち向かうロビイストたち。大胆な
アイデアと決断力で、難しいと思われた仕事に勝利の兆しが見えてきた矢先、エリザベス・スローンの
赤裸々なプライベートが露呈され、さらに予想外の事件が事態を悪化させていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:75% Audience Score:69% >





# by jazzyoba0083 | 2017-10-25 17:25 | 洋画=ま行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ミス・シェパードをお手本に A Lady in the Van」
2015 イギリス BBC Films,TriStar Productions. 104min.
監督・(共同)製作:ニコラス・ハイトナー
出演:マギー・スミス、アレックス・ジェニング、ジム・ブロードベント
   フランシス・デ・ラ・トゥーア、ロジャー・アラム他
e0040938_12350273.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
冒頭に「ほとんど事実に基づく」と記される通り、劇作家アラン・ベネットが
体験した、不思議な(自分で不思議にしちゃっている部分もあるのだけれど)
老婦人との交流を描く。

ロンドンの近郊カムデンタウン(最近ではアート系のマーケットが立つ所と
して知られるが)に暮らす劇作家アランの家に何と15年間もバンの中で暮らした
ミス・シェパードという年のころなら80歳は超えているだろうか、この
老女と街の人々、そしてアランとの不思議な交流が、独特のタッチと目線で
描かれる。

味のある映画だと思った。冒頭にセピア色の画面の中でショパンのピアノ協奏曲
第一番を弾く若い女性がタイトルバック風に映され、ラストのエンドロールでも
また繰り返されるが、これがミス・シェパードの「生きたかったこと」「人生の
コアとして置きたかったこと」なんだろうなあ、としみじみしてしまった。

それにしてもロンドンのカムデンタウンという場所は文化人が多く住むリベラルな
エリアだとはいえ、自分の家の前にホームレスみたいな人がバンを停めて暮らしても
少し迷惑な顔はするが、凄く寛容なんだなあ。駐禁でもないらしく、警察を呼ぶ人
などはいない。現在のロンドンに対するアイロニーか。

冒頭のシーンでミス・シェパードはどうやら人をはねて警官に追われているらしい
シーンから始まる。この秘密はエンディングまで明かされないのだが、観ている方は
一体彼女に身に何が置きたのだろう、とハラハラしながら観続けることになる。

ミス・シェパードは風呂にも入らないからクサいし、トイレもバンの中で、時々は
み出た汚物がアランの庭やゴミ箱にナマのまま放置されていたりと、ゴミ屋敷状態。
アランは痴呆が始まった自分の母を施設に入れ、シェパードさんのバンを庭に
引き込み文句をいいながら面倒を見ている。この事はアランに自責の念を起こして
いる。
近隣の人も決して暖かい目で見ているわけではないのだが、決して「排除」
しようとはしない。時々若者がいたずらに来る程度だ。
それにしてもいかに独身(どうやら同性に恋人がいる風)とはいえ、ボロボロの
バンを自分の玄関先の庭に15年間も置いてあげるというアランの気持ちはどうだ。
私などには到底理解出来ない。幾ら自分の作劇のヒントとなるとは言え、だ。

シェパードさんはちょっと心をやられた時期があり、完全にまともとは言い難いし、
神を偏愛し、他人に迷惑を掛ける時がある。そんな彼女が周囲から決定的に疎まれ
なかったのは、彼女の気位の高さ、どことなくユーモラスで気品すら感じさせる
立ち姿ゆえではなかったか。

戦時中は救急車の運転手、そしてピアニストを目指しパリで勉強するも、暮らして
いた修道院で楽器演奏を禁じられ、自分のやりたいことを封じられたことから
心を病んでしまい、精神病院にもはいっていた。ピアノの腕前は相当なもので
ロンドンフィルとコンチェルトを共演したほどだった。それが宗教のために諦め
ざるをえなくなったのだ。
だがシェパードさんは神をうらむどころか、全て自分の行動は神の御告のまま、
という日々なのだ。故に周囲との摩擦も起すと言う・・・。これって穿ち過ぎかも
しれないが、神の道に殉じてピアノを諦めたあてつけのようにも感じたのだが。

社会福祉士が来て施設にやっとのことでデイサービスに連れ出し風呂に入れ、服も
着替えた次の日、シェパードさんはバンの中でピアノコンチェルトを弾く夢をみ
つつ天国に旅立った。
告別式の日にアランは元警察官という男からシェパードさんがバンを運転中に
バイクの男を撥ね、救護もせずに逃げてしまった逃亡犯であることを知らされる。
この事故は彼女が悪いのではなく、バイクの男の前方不注視が原因(とはいえ
ドライバーの罪がゼロにはならないが)だったのだ。

劇作家のアランは思う。幸せの尺度は分からないけど、自分よりは遥かに「人生を
生き抜いた」彼女。まさに「人に歴史あり」だ。長年のバン生活にひとことも
不満を言わなかった彼女、人生のハイライトであったピアニストとしての短い
時期をヨスガに自分の生きたいように生きた彼女。アランは彼女の半生を「バンの
中のレディ」という本に纏めたのだった。

ミス・シェパードには弟夫婦もいる。(名前がボナパルト・フェアチャイルドと
いうのが笑わせる)。実は大金持ちの娘なのか、と一瞬思ってしまった。
シェパードさんは彼らの世話にもならない。いわば天涯孤独の身(結婚もしてい
ない)。精神的にいささかオカシイところもあるのだが、他の人が考える幸せの
物差しは関係ないのだ。そしてアランほかの周りの人もそういう彼女を認めて
いるのが凄い。
ロンドンの郊外であった本当の話。人間がかかえる幸せの物差しに、何かを突き
つけているのではないか、またそういう人に(別に気が狂ってなくてもだ)
いらんおせっかいは要らないという周囲の人の、距離を置いた愛情。観終えて
味があるなあと感じたのはそのあたりなのだろう。難点は少し汚すぎた。
ほんとうの話だろうけど。

主役のマギー・スミスは1978「カリフォルニア・スィート」でオスカーの助演
女優賞を獲得してる芸歴の長い女優さん。80歳を超えて、ますます元気だ。
彼女の演技の味わいと現実のシェパードさんが歩いてきた波乱万丈の人生が良く
マッチしていた。語り部たるアレックス・ジェニング(イギリスのテレビ畑で
活躍が長い)も二つの心を合成二役で演じて映画の持つ感性にフィットしていた。
e0040938_12353418.jpg
<ストーリー>
イギリスの劇作家アラン・ベネットの回想録を映画化。ベネットの家の敷地に
車を停めて生活する風変わりなミス・シェパードとの、長きにわたる奇妙な共同
生活と友情を綴る。
舞台でミス・シェパードを演じ続けたアカデミー賞女優マギー・スミスが本作でも
主演。監督は「英国万歳!」でもベネットと組んだ、舞台演出家としての顔も
持つニコラス・ハイトナー。ベネットには、「クィーン」などに出演し舞台を
中心に活躍するアレックス・ジェニングスが扮する。
ベネットとミス・シェパードが実際に暮らしていたロンドン北部の町カムデンの
グロスター・クレセント通りで撮影された。

ロンドン北部の町カムデンに引っ越してきた劇作家ベネット(アレックス・
ジェニングス)は、通りに停められたおんぼろの黄色い車の中でミス・シェパード
という女性(マギー・スミス)が生活していることを知る。

彼女はここで気ままに暮らしており、近所の住人たちから食事を差し入れて
もらってもお礼を言うどころか悪態をついてばかり。
ある日、ミス・シェパードは路上駐車を咎められ、見かねたベネットはしばらくの
間自宅の敷地に車を置くことを提案する。
ベネットは一時的なつもりであったが、ミス・シェパードはそれから敷地に
居座り続け、エキセントリックな彼女との共同生活は15年になった。

彼女の突飛な行動に悩まされつつも、フランス語が堪能で音楽にも精通している
など思いがけない側面を持つ彼女に作家としても惹かれ、二人の間にいつしか
不思議な友情が芽生えていった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:64%>





# by jazzyoba0083 | 2017-10-23 23:25 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「アトミック・ブロンド Atomic Blonde」
2017 アメリカ 87Eleven,Closed on Monday Entertainment and more. 115min. R15+
監督:デヴィッド・リーチ
出演:シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、ティル・シュヴァイガー他
e0040938_16243263.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
この映画の魅力は3つ。まずシャーリーズ・セロンをこういうタフなスパイ役にキャスティングした
こと、二つ目は彼女を活かしたアクション(長回しの)、そして最後の二転三転のどんでん返し。
ストーリー的には、いろんな人が出てきてややこしいので、別に気にせずに見ていて良い。最後の
10分間で全部ネタバラシをしてくれるから。 激しいバイオレンス、レズビアンシーン、などで
R15+指定も、まあ仕方あるまい。まあまあ良いんだけど、メインのストーリー(ロシアに渡った
スパイのリストを奪還する?)はどうでも良いから、ウリのセロンのアクションをもっとたくさん
見せてほしかった。どうせ大どんでん返しで決着付けるんだから。全編の構成が主人公が過去の
出来事をボスたちに語るという体裁を取っているのも、タルい印象だったかも。原作がアメリカの
劇画なので、余計にアクションに特化したほうが面白かったと思った。

しかし、ポスプロの編集も入っているのだろうし、吹き替えやスタンドインももちろんやっている
だろうけど、シャーリーズ・セロン、40歳をとうに超えてるのに頑張っていましたね。はだかになると
やや痛い年齢になってきたかなあ。全裸の後ろ姿は男みたいだった。(鍛えてあるスパイの体型だからかな)

アクションに使われる(人を殺す)道具も、結構えげつないので、観ていて痛い。階段を蹴飛ばして
落とされるとことか、痛いだろうなあ、とかワインの栓抜きで喉を刺されたら、釘でオデコを打ち
抜かれたら痛いだろうなあ、とかリアリティはある。血しぶきもバシバシだし。
さすが、スタント育ちの監督さんらしい仕上げだ。娯楽作なので、意味を見出そうとかしない
ほうがいい。マカヴォイ他いろんな人も出てくるけど、どうでもいい感じ。ひたすらシャーリーズ・セロン。
そしてアクションとカーチェイスのシーンは非常に見応えが有る。

<ここから最後のネタを覚書のために書きますから、これから観たいという方は読まないでください>


イギリスのMI6のエージェント、ローレン(セロン)は、壁が壊される頃のベルリンに赴き、バレたら
世界情勢に大きな影響を与える極秘文章がKGBに奪われたのを奪還するとともに、二重スパイを摘発する
という難しい任務を与えられる。それで、なんだかんだとあり、MI6のメンバーだった男が二重スパイ
だったことが判明、仕留めることが出来た。さらに彼女は自分こそKGBの側につく二重スパイであると
KGBを安心させ、極秘文書を回収、そして乗り込んだプライベートジェットはCIAのもの。そう、ローレンは
CIAのエージェントで秘密裏にMI6に送り込まれ、KGB側のスパイであるとソ連さえ欺いていた、と
いうことなのね。
彼女の関係するアクションのキレの良さ、テンポ、アングル、そして音楽とラストのIKKOさん流に言えば
「せおいなげええっ」的な大どんでん返しが気持ちいい。中間は眠くなるので要注意。
e0040938_16250296.jpg
<ストーリー>
シャーリーズ・セロンがスゴ腕の諜報員を演じるスタイリッシュなスパイアクション。東西冷戦末期の
ベルリンを舞台に、二重スパイによって奪われた世界情勢に多大な影響を及ぼす極秘情報が記載された
リストを奪還しようとするスパイたちの攻防が描かれる。監督は『デッドプール』の続編を手がける
デヴィッド・リーチ。(Movie Walker)

 「モンスター」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のシャーリーズ・セロンが美しき最強女
スパイを演じるサスペンス・アクション。冷戦体制崩壊直前のベルリンを舞台に、極秘ミッションに
臨むヒロインが、次々と現われる刺客相手に壮絶な戦闘アクションを繰り広げるさまを、リアルかつ
スタイリッシュに描き出す。共演はジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ。
監督はスタント畑出身で、「ジョン・ウィック」では共同監督を務め、「デッドプール」続編の監督にも
抜擢されるなどハリウッドで注目を集めるアクション演出のスペシャリスト、デヴィッド・リーチ。
(allcinema)

1989年、東西冷戦末期のベルリン。世界情勢に多大な影響を及ぼす極秘情報が記載されたリストが
奪われる。イギリス秘密情報部MI6は、凄腕の女性エージェント、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・
セロン)にその奪還を命じる。ベルリンに潜入中のエージェント、デヴィッド・パーシヴァル
(ジェームズ・マカヴォイ)と共に任務を遂行するロレーン。だが彼女には、リスト紛失に関与した
MI6内の二重スパイ“サッチェル”を見つけ出すというもうひとつのミッションがあった。
リストを狙って、ベルリンに集結する世界各国のスパイ。誰が味方で誰が敵なのか。敵味方の区別が
つかない状況の中、ロレーンと世界の運命は……?(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:76% Audience Score:67%>



# by jazzyoba0083 | 2017-10-23 14:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

何者

●「何者」
2016 日本 東宝映画 「何者」製作委員会  98分
監督:三浦大輔  原作:朝井リョウ「何者」(新潮文庫刊)
出演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之他
e0040938_17052277.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
「君の名は。」の川村元気が企画・プロデューサーとして入り、製作委員会もほぼ「君の名は。」の
メンバー。東宝映画、元気がいい。本作も、「川島部活やめるってよ」と同じ朝井りょうの原作が
良いんだけど、それにしてもこの配役、なかなかツボを心得ているな、と感じた。

原作は未読。「就活」なんて言葉すら無かった遠い昔の世代としては、現代の就活そのものの事情は
良くわからないが、それでも、本作にでてくるそれぞれのキャラクターの「あるある!」感には
シンパシーを覚える。そのあたりは今も昔も、普遍的な青春の懊悩なのだろう。
大人になってから、社会人になってからも彼らは同じような悩みを抱えて生きていくことになるのだが。
若いがゆえの人生経験から来る疑心暗鬼や不安、焦燥といったものがおそらく朝井りょうの描くところ
だったのだろうけど、映像表現としても良く出来ていたのではないかな。監督経験は浅い三浦監督頑張った
のではないか。

一見仲の良い大学の仲間であっても、就活が切羽詰まってくると、だんだん見えてくる本性。
他人はさておいて自分の個性を強烈にアピールするやつ、知らない間にちゃっかりと内定を
取ってくるやつ、社会に対し斜に構え、就活なんてよ、なんて言ってたやつが、キチンとツース
着ちゃっていたり。友人の和が微妙に色合いを変えていく。でもそれはそういうことなのだな、と
いう現代っ子らしい割り切りもあったり。
私らの世代にはバンバンが歌った「いちご白書をもう一度」の歌詞そのものだ。

あの頃は学生運動が学生側の敗北に終わり、社会にあかんべーしていた奴らも、スーツ着て
髪の毛切って会社員になっていった。主義とか主張とか押し殺して。それが社会人になり
お金を貰うことだと割り切って、敗北感にもにた感情を胸に仕舞って大学を卒業していったのだ
ったなあ。

そうした登場人物のキャラクターが生き生きと描かれていて面白かった。それぞれの俳優がそれ
ぞれのポジションの個性に合っていたように思う。あまり期待しないで観始めたが、短い映画、
なかなか面白く観せてもらった。自らを「何者」?と問える人間は、幸いなり。
e0040938_17053298.jpg
<ストーリー>
就活の情報交換のため集まった5人の22歳。かつて演劇サークルで脚本を書いていて人を分析するのが
得意な拓人(佐藤健)。天真爛漫で何も考えていないようで、着実に内定に近づいていく光太郎(菅田将暉)。
光太郎の元カノで拓人が思いを寄せ続ける実直な性格の瑞月(有村架純)。人一倍“意識高い系”でありながら、
結果が出ず不安を募らせていく理香(二階堂ふみ)。社会の決めたルールには乗らないと宣言しながらも
焦りを隠せない隆良(岡田将生)。

彼らは、海外ボランティアの経験やサークル活動、手作り名刺、SNS、業界の人脈等、様々なツールを
駆使して就職戦線を戦っていく。だが企業に入れば「何者」かになれるのか、自分は「何者」になり
たいのか……。そんな疑問を抱えながら就活を進める中、5人はそれぞれの思いや悩みをツイートするが、
就活のやり方やスタンスに嫌悪感を覚えることもあり、次第に人間関係が変化していく。そんな折、
拓人はサークルOBのサワ先輩(山田孝之)に相談するが、思うようにいかない現実に苛立ちを隠せなくなる。
やがて内定者が現れたとき、抑えられていた妬みや本音が露になり、ようやく彼らは自分を見つめ直し
始めるのだった。果たして自分は「何者」なのか……。(Movie Walker)




# by jazzyoba0083 | 2017-10-19 22:55 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

裸足の季節 Mustang

●「裸足の季節 Mustang」
2015 フランス・トルコ・ドイツ CG Cinema. 97min.
監督・(共同)脚本:デニス・ガムゼ・エルギュヴェン
出演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル他
e0040938_14230547.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
邦題から見て、もう少しチャラい映画か、と思ったら、やはりカンヌなど
それ系で評価されたのも頷ける結構重い内容だった。原題は「野生の馬」
なわけだけど、意味としては理解出来る。今でもトルコの田舎では、この
映画で描かれるような封建的な風習というか制度が残っているのだろう。
それを思うと、5人姉妹の思いに胸が潰れる思いだし、自由がある、ということが
どんなに大切なことか、特に若い人たちに対して重要か、が良く分かる。
暮らしや人間性の否定に繋がる封建制度は、しつけとか処女性とかだけでは
なく、自由な発想や芸術文化の圧迫にも繋がるんだなあ、と感じた。

イスラムの世界で女性はいつごろから頭をスカーフみたいなもので覆わなくては
ならないのか知識が無かったが、おそらく中学生くらまでは結構自由な感じ
を受けた。しかしある年齢になると親の決めた男性と処女性を極めて
重んじられた結婚を押し付けられる。

この映画ではイスタンブールから1000キロ離れた田舎町で、両親が早くに
亡くなり、おばあちゃんに育てられている5人姉妹のある夏を描く。

黒海にちかいため、学校帰りに海に制服のまま入って男子生徒とじゃれあい、
男子生徒に肩車をしてもらった、というだけで、もう村中に「はしたない」
という噂が流れる。女の子は男子となんか遊ばず、親の言うことを聞いて
良妻賢母になるべし、という教育で、結婚前は処女検査があり、初夜には
ベッドに血が付いているかいないかで大騒ぎとなる、という今の先進国では
到底考えなれないアナクロニズムで覆い尽くされている。一方で、こうした
いわば「天から与えられた自由」と私達が思っていることが、まったく認め
られない世界が、まだまだ地球上にはあるのだろう。

姉妹は自由奔放で、まあ、どの国でも若い人は大人の言うことは煩くて
自由にしていたいもの、束縛を嫌うものだが、姉妹の住むあたりでは頭から
押さえつけられる。それでも家から脱走してサッカーを観に行ったり
ボーイフレンドと会ったりするのだが、おじさんに家の窓に鉄格子を付け
られ、家の周りにはまるで刑務所のような高くて頂上に槍のような鉄骨が
突き出ている塀が作られた。もう籠の鳥そのもの。

映画の中の救いはそれでも姉妹は何とか抜け出そうと明るく諦めないことと、
末娘の活発な頭のいい行動力だ。まだ高校生くらいなのに上の姉二人が
同時に結婚させられ、いよいよ大人の世界の戒律にがんじがらめになろうと
する時、3番目の姉に悲劇が襲う。4番目の姉の時は家に閉じこもり反乱。

二人して高い塀を乗り越えて、脱出する。末娘は普段から自動車の運転を
研究していて、家からキーを取り、金を奪ってクルマに乗り込み夜道を
走る。しかし途中で脱輪してしまう。そこに以前から(サッカーに行く時に
止まってくれたトラック運転手)親しくし、クルマの運転も教えてくれた
男を呼び出し、彼のトラックに乗ってイスタンブールを目指す。

映画の冒頭で、末娘の大好きな女先生が異動で担任を外れてしまい、
姉らから慰められるシーンがあるのだが、その女の先生の住所を知って
いたので、そこを探し当て、末娘が先生の胸に飛び込むところで映画は
終わる。

旧習に立ち向かう若い女性のみずみずしい感性が、短い時間で上手く描かれ
ている。5人がそれぞれのキャラクターを持ち、それぞれの青春を生きるの
だが、最後に先生のところにたどり着いた末娘は、それからどうしていく
つもりだったのか。製作協力にトルコ文科省が付いているが、自分の国の
因習をいわば外に出したら恥と感じられる部分が描かれているのに、よく
お金を出したと思う。
若者の自由を求める純粋な気持ち、それを抑圧する古い考え。それに負けない
女性たち。トルコ政府が推奨しようとする点があったのだろうか。
それとイスラムの戒律がどうの、という点には繋がらないところがミソか。

5人全員の結末は全部がめでたいわけではないが、すがすがしい5人姉妹に
拍手を送りたくなるような映画だった。いろんな映画祭で評判になるのも
分かる気がする。短い映画なので、機会があれば観てみるとよいと思う。
e0040938_14233653.jpg
<ストーリー>
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた、デニズ・ガムゼ・
エルギュヴェン監督の長編デビュー作。
両親を亡くし祖母の家で暮らしている5人姉妹。学校生活を謳歌していたある日、
古い慣習と封建的な思想のもと一切の外出を禁じられてしまう。
オーディションで選ばれた姉妹役の5人は、三女エジェを演じたエリット・
イシジャン以外は演技初体験の新人。

イスタンブールから1000km離れた黒海沿岸の小さな村。10年前に両親を亡くした
美しい5人姉妹、長女ソナイ(イライダ・アクドアン)、次女セルマ(トゥーバ・
スングルオウル)、三女エジェ(エリット・イシジャン)、四女ヌル(ドア・
ドゥウシル)、そして末っ子の13歳のラーレ(ギュネシ・シェンソイ)が、
祖母(ニハル・コルダシュ)と叔父エロル(アイベルク・ペキジャン)のもとで
暮らしている。

ラーレの大好きなディレッキ先生がイスタンブールの学校へと異動になった日、
姉妹たちは下校の途中、海で無邪気に男子生徒の肩にまたがり、騎馬戦をして遊んだ。
帰宅すると、隣人から告げ口された祖母が怒りの形相で「男たちの首に下半身を
こすりつけるなんて!」と、ソナイから順番に折檻していく。

この日以来、姉妹たちは外出を禁じられ、派手な洋服やアクセサリー、化粧品、
携帯電話、パソコンも没収される。文字通り“カゴの鳥”となった彼女たちは
花嫁修業を命じられる。地味な色の服を着させられ、料理を習い、掃除をし、
毎日のように訪ねてくる村の女たちが花嫁として必要なことを伝授していく。

次々と見合い話がまとめられ、婚礼の日を迎える。浴びるように自棄酒を飲み干し、
涙を流すセルマに、「結婚したくないなら逃げて」とラーレは話しかける。
しかしセルマは、「どこへ逃げればいいの? イスタンブールは1000キロ先よ」と
諦めたようにつぶやく。この夜が、姉妹が揃う最後の日となった。
ラーレは祖母のへそくりから金を盗み、アリバイ工作のため自分の髪を切って
人形に縫いつける。そして運命を切り開くための計画を強行する……。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98%Audience Score:88%>


 

# by jazzyoba0083 | 2017-10-16 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) War for the Planet of the Apes」
2017 アメリカ Chernin Entertainment (Dist.,20th Century Fox) 140min.
監督・(共同)脚本:マット・リーヴス
出演:アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー、カリン・コノヴァル他
e0040938_21495785.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:ネタバレに近い内容なので、これから鑑賞する方はお気をつけください>

第一作の、あの砂浜に埋もれた自由の女神の作品に繋がるリブート版最終作。(と思う)
この三部作は結局シーザーの一生を描いたことになるのだ。前2作がとても好きだったので
最終章と聞いたからには何が何でも観ておくべき、と3D IMAX上映のシネコンまで遠征して鑑賞
してきた。2時間20分。長いが、長さは感じない。それだけ緊張感は継続出来る作品として
出来上がっていたとは思う。思うが、リブート3部作の中では一番内省的で、ある意味地味である。
そしてシーザーの映画そのもの、と言い切れる作品だ。前二作でも当然シーザーは主役(級)では
あったが、人間との関わりが主題の大きな部分を占めていた。しかし、本作は全編基本的にシーザー物語。

全作の新世紀(ライジング)のストーリーが好きだな、という人はちょっと違和感を感じるかも
知れない。というのは本作は人間目線の描き方は全くされておらず、終始エイプ目線だからだ。
それが一貫した迫力を生んでいる、という点は否定しないが、私としてはもうちょっとバラエティが
欲しかったかなあ、という感じ。これはこれで作品としてきちんとまとまっているし、面白くて観る価値の
ある(特にリブートを見てきた人には)作品だとは思う。

原題の最初の単語がwarなので、全編徹底して戦いを描く。猿の仲間でも人間に使われ「ドンキー」と
呼ばれ平穏を得ている猿との間のことなどもあるが基本は、猿を殲滅しにくる人間対エイプの戦いの
物語である。
人間との戦いで、妻と子供の一人を、殺され、復習の鬼となるシーザーは、前作でコバという
復讐に駆られた仲間のエイプをあれだけ非難していたのに、「俺はコバになってしまった」と
いわしめるほどの復讐心に燃えるのだ。まあ、最愛の妻と子供を殺され、もう一人の子供が拉致されて
いる状態では、見ている方はシーザーの心は分かりすぎるほどで、人間なのに思いっきり猿を応援しちゃう
んだけどね。

だが、部隊を率いる大佐を追っているうちに、率いなければならなかった仲間は大佐に囚われ壁作りの
苦役をさせられていた。

大佐を一人で追いかけようとするシーザーにロケットやモーリスらの数匹が仲間に加わり、途中で
誤って殺してしまった脱走兵と一緒にいた少女(ノヴァと名付けられる)が同行、さらにバッド
エイプというお笑い担当も加わり、大佐に迫る。しかし、結局シーザーは大佐に捕らえられてしまう
のだが。復讐鬼となるシーザーに対し、「仲間と共に」というテーゼの暗喩的存在がノヴァだ。
それにしても、大佐はなんであんなに簡単に自殺しちゃったのか、そのあたり良くわからなかった。
何か見落としたのかな。

囚われたシーザーが仲間の手を借りて脱走、大佐を攻撃する他の人間の攻勢、そして自然の怒り、
地球に住む同士、何をやっているのかという神の怒り的暗喩(だと感じた)大雪崩の発生などあたりが
ハイライト。そして結末と。(悲劇的だが)適切な終わり方だと思う。

書いてきて思ったのだが、映画としてはちゃんとしている。でも三部作では新世紀が一番好きだな。
本作もいいんだけど内省的で重く苦しく悲しい。(そここそ本作の狙い目なのだと思う。クドくてゴメン)
最後にあの自由の女神が何らかの形で出てくるかと思ったのだけれど、舞台はサンフランシスコあたり
だものなあ。これがどうやって舞台としてNYにつながっていくのか。チャールトン・ヘストンは
コーネリアス博士とノヴァとともに西海岸から東海岸まで歩いたということでOK?。本作でシーザーの
次男としてそのコーネリアスが、登場。1作目を観ていないと面白さが分からないところ。
そして口のきけない女の子ノヴァこそ1作目に登場するノヴァである。

シーザー、お疲れ様。ほんとにリブートはこれで終わりかなあ。スピンアウトとか出てきたり?
それにしてモーションキャプチャとVFXの出来はどんどん良くなる。
それと大佐のありようや地下の壁に書かれた「猿の黙示録」という落書きなど、他の映画への
オマージュにもニンマリだ。
e0040938_21503521.jpg
<ストーリー>
高度な知能を得て反乱を起こした猿たちと人類の戦いを描く、人気SFシリーズの第3弾。猿のリーダーで
あるシーザーがその使命感と家族を奪われた復讐心の狭間で葛藤する物語が描かれる。前2作に引き続き、
アンディ・サーキスがシーザーを演じる。監督は『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のマット・リーヴス。

高度な知能を得た猿と人類の全面戦争が勃発してから2年後。シーザー(アンディ・サーキス)率いる
猿の群れは森の奥深くに身を潜めていたが、ある夜奇襲を受け、シーザーの妻と年長の息子が落命。
敵の軍隊を統率する大佐(ウディ・ハレルソン)への憎しみから、シーザーは仲間たちを新たな隠れ
場所に向かわせ、穏やかなオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)やシーザーの片腕的な
存在のロケット(テリー・ノタリー)らを伴い復讐の旅に出る。

道中、口のきけない人間の少女ノバ(アミア・ミラー)や動物園出身の奇妙なチンパンジー、
バッド・エイプ(スティーヴ・ザーン)を加え、大佐のアジトである巨大な要塞にたどり着いた一行。
しかし復讐心に燃えいつもの冷静な判断力を失ったシーザーは、執拗に彼を狙う大佐に捕獲されてしまう。
そこで新天地に向かったはずの仲間たちがこの刑務所のごとき施設に監禁され過酷な重労働を課せられて
いることを知り、責任を痛感したシーザーは大切な仲間を希望の地へと導くため、命がけの行動に出る。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:85%>





# by jazzyoba0083 | 2017-10-14 12:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「デュバリイは貴婦人 Du Barry Was a Lady」
1943 アメリカ MGM  101min.
監督:ロイ・デル・ルース  製作:アーサー・フリード
出演:ルシル・ボール、ジーン・ケリー、レッド・スケルトン、ヴァージニア・オブライエン
エヴァ・ガードナー、ラナ・ターナー、トミー・ドーシーと彼の楽団、パイドパイパーズ他
e0040938_12175039.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
このブログのタイトルは、MGMのレビュー~ミュージカルの栄光を描いた映画から
取ったことは皆さんすぐにお分かりでしょう。そのように私は1940年代から60年代の
ミュージカルが大好きで、特にMGMと20世紀フォックスの諸作品は大好き!

しかし、この映画は未だ観ておらず、毎月開催される市の映画鑑賞会で上映されたので
いそいそと出かけました。これがまた面白くて、テクニカラーが綺麗で、コール・
ポーターの曲、売り出し中のジーン・ケリーの若いタップ、トミー・ドーシーの
華麗な音楽とジョー・スタッフォードを含むパイド・パイパーズやモノマネトリオの
オックスフォード・ボーイズが上手く歌手やジャズプレイヤーの歌マネを披露、
なんと幸せな映画だろう。これを昭和18年に創るアメリカって・・・。
しかもセット、ロケ、衣装、すべてに金をしっかり掛けて手を抜いていない。
MGMのミュージカルプロデューサー王、アーサー・フリードの面目躍如の出来だ。

もちろん主役格のルシル・ボール、変顔を含めコミカルな味が良いレッド・スケルトンも
申し分ない。ルシル・ボールは私はテレビの「ルーシー・ショー」をリアルタイムで
観ていた世代。(陽気なルーシーではない)そこそこお年を召されてからの彼女だった
ので、若い時の感じはこうだったか、と見入ってしまった。赤毛の美人ではあるが、
本作にエスカイアガールとして紹介されるラナ・ターナーのほうが綺麗かな。
(映画の中のルシルの歌声は吹き替え)

この手の物語はどちらかというとどうでもいいのだが、役どころを紹介しておくと、
ルシル・ボールはナイトクラブのショーガール、育った環境が貧しく、とにかく
お金持ちと結婚したくてしかたがない。クラブで働きタップも披露しているジーン・
ケリーとクロークボーイのレッド・スケルトンとが彼女を狙っていた。
ルシル・ボールは熱烈に求愛してくるジーン・ケリーが好きなのだが、どうしても
お金のことが頭にあり、結婚までは踏み切れない。

一方、スケルトンは15万ドルの宝くじが当たり、一夜にして大金持ちに。お金に
目がないルシルにプロポーズするが、恋敵のジーン・ケリーに飲ませるはずの
睡眠薬を自分が飲んでしまい、夢の世界に。そこは中世のフランスでスケルトンが
ルイ15世になって、ルシル演じるマダム・デュバリイに恋をする、これを邪魔する
人民の味方ブラック・アロー(ケリー)。結局、中世でもルシルはケリーに恋して
いて、お金が全てではないと悟るのだった。
他愛のない話で、典型的なハッピーエンド。最期はトミー・ドーシーも入って
5人で「フレンドシップ」という歌を歌って幕となるのだ。

主人公たちだけではなく、ナイトクラブで怪しい水晶占いをする男とか、本編に
あまり関係ないギャグも散りばめられ、「お笑い映画」としても楽しめる。
さらに当時人気絶頂だったトミー・ドーシーの演奏が数曲たっぷり聞けるのも
珍しい。
とにかく欲張りな映画だ。Blu-rayがあればコレクションに加えようかなあ。
e0040938_12182228.jpg
<ストーリー:全部書かれています>
ブロードウェイでヒットした同名のミュージカルを、音楽映画専門のアーサア・フリイド
「踊る海賊(1948)」が製作映画化したもので、レッド・スケルトンの出世作として
知られる。原作はB・G・デシルヴァとハーバアト・フィールズ「アニーよ銃をとれ」、
これを「泣き笑い人生」のアーヴィング・ブレッチャアが映画様に脚色、
「テレヴィジョンの王様」のロイ・デル・ルースが監督に当った。
音楽は原舞台そのままコール・ポーターの作詞作曲を中心にしている。
撮影は「風車の秘密」のカール・フロイント、ダンス監督は「イースター・パレード」の
監督チャールズ・ウォルタアズが担当する。

ナイト・クラブ「プチィット」の花形メイ・デリイ(ルシル・ボール)は、同僚の
2枚目歌手アレック(ジーン・ケリー)と、クロークのルイ(レッド・スケルトン)
から想いを寄せられていた。
彼女はアレックの愛を感じながらも、夫となる男は百万長者でなければならぬと、
彼の申し込みをはねつけていたが、ある日ルイが富クジに当って彼女に申し込んだ
ことから、愛もなく彼の金と結婚することを承諾した。

驚いたアレックは2人の仲を割こうとしたが、それを止めるため彼に一服盛ろうと
ルイは逆に眠り薬をのまされてしまい――そしてルイは夢の中でルイ15世になって
いる自分を発見した。彼は寵姫デュバリイを別荘に訪ねると、これがメイで、王に
接吻を許さない。そこへ現れた革命党の指導者ブラック・アロウ(実はアレック)は
王を脅かして逃亡した。その夜党の隠れ家に彼を訪れたデュバリイはすっかり彼に
惚れ込んでしまったが、群衆と衛兵の間に激戦が起こり、ブラック・アロウはついに
捕らえられた。翌日彼の死刑が執行されることになり、デュバリイは王に助命を乞うて、
王も仕方なくこれを許したが、総理大臣がそれはならぬと王に白刄をつきつけた時――
ルイはやっと目が覚めた。

この夢で、愛は金で買えぬことを悟ったルイは、メイをアレックにゆずろうと1万ドルを
引き出ものに出しかけたが、たちまち税務署にふんだくられ、そしてまた元の無一文に
帰った彼らは、すべてまことの愛に生きるのであった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:--- Audience Score:47%>



# by jazzyoba0083 | 2017-10-12 11:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「われらが背きし者 Our Kind of Traitor」
2016 イギリス・フランス Studio Canal,Film 4. 107min.
監督:スザンヌ・ホワイト  原作:ジョン・ル・カレ「われらが背きし者」
出演:ユアン・マクレガー、ステラン・スカルスガルド、ダミアン・ルイス、ナオミ・ハリス他
e0040938_15305597.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
なかなか面白く観た。ジョン・ル・カレの小説が上手く出来ているんだろうなあとは
思うが、長編二作目のイギリスの女性監督、なかなか頑張っているんじゃないか?
もともとテレビ畑のディレクターとして育ってきた人だが、フィルモグラフィーを
見ると結構ハードボイルドな作品を手がけている。得意なんだろう。本作も同様だ。

さてサスペンスには「巻き込まれ型」、というタイプがあるが、これはその典型。
大学の先生が、というのもリーアム・ニーソンのものを含め何本か観たような
気がする。本作ではモロッコを舞台に、たまたま知り合った大学教授(ユアン)が
ロシアマフィアの会計係(スカルスガルド)が、教授の妻(弁護士)と、マフィアの
家族を巻き込みつつ、自分もまともに事件に関わっていってしまうというお話。

ロシアマフィアの会計係が、家族を助け、イギリスに亡命するために、教授が結果
手助けすることになるのだが、自分が握るイギリスの議員連中とマフィアの関わり
を示す銀行口座などのデータを土産にイギリス政府に保護を求めるのだが、
MI6はまともに関わろうとせず、たった二人の担当官が教授の味方となってくれる。

教授夫妻、マフィアの会計係とその家族、マフィアの新しいボスにのし上がった
プリンスという男、そしてロシアマフィアと関わりがあるイギリス政府(の一部)や
議員たち、これらが織りなす様々なシチュエーションがダイナミックに描かれ、
緊張感も最期まで引っ張ってくれるし、ラスト、これでは終わらないよなあ、と
思っていると、やはりキチンとカタルシスは用意されている。
ちょっと描ききれてないのは(本筋に余り関係ないからか)教授と妻の関係と、
妻は弁護士なのにそれなりの活躍が描かれないのは不思議だった。(教授と妻は
二人の関係の修復にモロッコに来ていたのだから)

キャスト的にはロシアンマフィアの会計係を演じたステラン・スカルスガルドが
魅力的だった。原題も邦題も分かりづらい。原作がそうだから仕方ないけど。
なかなか楽しめるサスペンス映画となっていると思う。
e0040938_15315598.jpg
<ストーリー>
モロッコでの休暇中、イギリス人大学教授ペリー(ユアン・マクレガー)とその妻ゲイル
(ナオミ・ハリス)は、偶然知り合ったロシアンマフィアのディマ(ステラン・スカルスガルド)から、
組織のマネーロンダリング情報が入ったUSBをMI6(イギリス秘密情報部)に渡して欲しいと
懇願される。
突然の依頼に戸惑う二人だったが、ディマと家族の命が狙われていると知り、仕方なく
引き受けることに。だが、その日を境に二人は世界を股に掛けた危険な亡命劇に巻き込まれ
てゆくのだった……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:73% Audience Score:51% >



# by jazzyoba0083 | 2017-10-11 22:50 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「シークレット・デイズ Every Secret Thing」
2014 アメリカ Hyde Park Entertainment and more.93min.
監督:エイミー・バーグ 原作:ローラ・リップマン『あの日、少女たちは赤ん坊を殺した』
出演:ダイアン・キートン、エリザベス・バンクス、ダコタ・ファニング、ダニエル・マクドナルド、ネイト・パーカー、コモン他
e0040938_16444665.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
なかなか豪華な配役。全員、愛に飢えているんだなあ、と思えるヒリヒリ感は出て
いたと思う。でもやはり1時間半で描ききれていない母と他人の娘の偏愛事情など
もう少し厚みは付けられるのでは?と感じた。

原作ものなので、骨子は動かしづらいと思うし、恐らくこの女流監督、原作者の
思いを忠実に描こうとしたことは分かるし、そこそこの描き方は出来ていた。
ヒリヒリ感に対応する映像、脱色系のカラー、音楽と全体としてのまとまりも
そこそこだったと思うが、一番最後の巨悪の存在が映画の本論とは違うところに
いっちゃってないか(原作がそうなのなら仕方がないが)。おっとびっくりな
エンデイングで、それはそれでいいのだが、あれ?こいういう終わり方で、話として
良かったのか?と。(母親の存在こそ全ての根源=この事件に関しては=ということか)

ロニー(ダコタ)とアリス(ダニエル・デブの方)の、一体どっちが本当のことを
言っているのか、という当たりがミソで、次第にダニエルの母(ダイアン)の本性が
分かってくる。冒頭のミスリードっぽい描き方からだんだんアリスの少年院時代の
事情が判明、それに伴う犯行(少女拉致)が見えてきて、その背後にいるアリスの
教師である母(ダイアン)の、歪んだ愛情が浮き上がる。二人の少女の愛情に飢えた
恐ろしさも当然あるわけだが、その犯行の始末をしたのは全てアリスの母親の仕掛け
だった。教師ゆえの偏愛か、それとも母のオリジナルの性格なのか。

彼女は子どもを愛しているのか愛し方が変なのか、そのあたりの恐ろしさと
いうものは受け取れる。全体としてどこか勿体無い映画になってしまっているなあ、と
感じた。配役もいいのに、ダイアンやダコタの良さが今ひとつ出てこない。
女刑事とその子どもの愛情ももう少し対比的に描かれるとわかりやすくなったのでは
ないかなあ。
e0040938_16452725.jpg
<ストーリー>
全米ベストセラー小説「あの日、少女たちは赤ん坊を殺した」を映画化。赤ん坊が
殺される、陰惨な事件で幕を開けるミステリーだが、現在の事件の捜査を描く一方、
並行して7年前の事件の意外な真相を明かしていく趣向で、最後まで目が離せない。
レイン、ファニング、バンクスなど、今が旬の女優が集まり、ドキュメンタリー
「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」などを手掛けたA・バーグが監督し、
プロデューサーのひとりが女優F・マクドーマンドという、ウーマンパワーの結集も
貴重。WOWOWの放送が日本初公開。

地方の町オレンジタウン。初のアフリカ系判事の孫娘である赤ん坊が誘拐され、
遺体になって見つかる事件が発生。いずれも11歳の少女2人、ロニーとアリスが
逮捕されて少年院へ。7年後、2人が少年院を出た直後、3歳の幼女ブリタニーが
家具店で何者かに連れ去られる事件が起きる。
7年前の事件を担当して昇進した女性刑事ポーターが捜査に当たるが、ロニーも姿を消す。
アリスは事情聴取で7年前の事件と自分は無関係と主張する。
(WOWOW)

<IMDb=★6.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:31% Audience Score:32% >




# by jazzyoba0083 | 2017-10-10 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)