●「デス・ウィッシュ Death Wish」
2018 アメリカ Cave 76,Metro-Goldwyn-Mayer (MGM). 107min.
監督:イーライ・ロス  原作:ブライアン・ガーフィールド『狼よさらば』(早川書房刊)
出演:ブルース・ウィリス、ヴィンセント・ドノフリオ、エリザベス・シュー、ディーン・ノリス、カミラ・モローネ他
デス・ウィッシュ Death Wish_e0040938_15464536.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
1974年にチャールズ・ブロンソン主演で製作された「狼よさらば」を現代風にアレンジしたリメイク。原作は同じ
だが、オリジナルとはストーリーがやや異なる。今週末から日本でも劇場公開されるが一足先にホノルル便(帰国)
機内にて鑑賞。この手の映画は機内で観るには頭を使わなくていいから見やすい。

さて、オリジナルは今でもテレビで何度も再放映されるが、あの頃と今ではアメリカ社会のありようも少しく変化して
いて、それに伴い物語も変化している。ヴィジランテものであるには違いないし、「主人公が次第に街の英雄と化して
いく様は、警察組織の無能力ぶりと大衆の曖昧さを痛烈に皮肉っている」(出典:allcinema「狼よさらば」解説)
ことを主眼としているのも同じだ。だが、チャールズ・ブロンソンのものがその後シリーズいなっていくように、
ヴィジランテものというコンセプト自体が今日ではあまりインパクトを持たなくなっているので、その辺り、本作の
弱みとなってしまった。またブルース・ウィリスのキャスティングも「ダイ・ハード」等のイメージが強いので
これで良かったのかな、と疑問に思った。

本作での主人公は医師である。本来人間の命を守らなくてはいけない職業の人物が、「死神」と云われる存在になる、
そんな提示も今日的なものを意識したのであろう。(オリジナルのカージーは設計士)

家に忍び込んだ強盗に妻を殺され、大学入学を控えた優秀な娘も重傷を負わされた医師ポール・カージーは、シカゴの
膨大な犯罪に対して警察の無力さを知り、みずから犯人の処刑に乗り出す。まああとのストーリーは推して知るべし
なので省略するが、その後の「ダイ・ハード」ばりの容赦ない銃撃と暴力は、最愛の人を失った男に対するカタルシスと
しては十分過ぎるだろう。救いは娘が回復すること。当然頭のいい主人公と、自分らの無力さを知ってしまっているシカゴ
市警の思惑も有り、自由のみのままであることはご想像の通りである。これまで銃を扱ったこともなく、最初の襲撃で
遊底のスライドで手を怪我してしまうような男が短期間でマシンガンを的確に連発するというのは、どうみても早すぎ
じゃないか? さりながら、先述のように暇つぶしに頭空っぽにして観る分にはまあまあいいかな。
デス・ウィッシュ Death Wish_e0040938_15471441.jpg
<ストーリー>
かつてチャールズ・ブロンソン主演で映画化された『狼よさらば』を、イーライ・ロス監督&ブルース・ウィリス主演で
リメイクしたサスペンス・アクション。救急救命医として人命救助に当たる外科医が、妻を殺し、娘を昏睡状態に陥れた
犯人に復讐するため、銃を手に取る。主人公が銃の扱い方をYouTubeで学んだり、現代的な要素が盛り込まれている。

犯罪が多発し、シカゴの街は警察の手に負えない無法地帯と化す中、外科医ポール・カージー(ブルース・ウィリス)は
犯罪に巻き込まれた救急救命の患者を診ている。
患者の生死に立ち会い続ける彼にとって、幸せに満ちた家庭だけが唯一の平穏の地だった。しかしポールの留守中に
何者かが家を襲撃し、妻を失い、娘は昏睡状態に陥ってしまう。警察の捜査は一向に進展せず、怒りの限界を超えた
ポールは自らの手で復讐を果たすべく、銃を取り危険な街へ繰り出していく。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:17% Audience Score:74%>



# by jazzyoba0083 | 2018-10-09 07:40 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「アドリフト Adrift (原題・邦題未定)」
2018 アメリカ Lakeshore Entertainment and more.96min.
監督:バルタザール・コルマウクル
出演:シャイリーン・ウッドリー、サム・フランクリン、ジェフリー・トーマス、エリザベス・ホーソーン他
アドリフト Adrift (原題・邦題未定)_e0040938_14484082.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
日本では未公開。おそらくはビデオスルーになっちゃうかなあ、と言う感じの作品。ホノルル線JAL機内での
鑑賞。レベル以上の出来ではあったけど、この手のヨット遭難実話ものはこれまでも何作か見てきていて、
VFXも含めてストーリーに新鮮さが無かったことが難か。女性が主人公、という点が新しいといえば新しい。

実話に基づいているので、突っ込みづらいのだが、長距離の航海に出たヨットが嵐に遭遇、同僚は怪我をし、食料や
水もそこを付く。自ら雨水を集め、サカナを捉えて食料とし、ときに大きな船や飛行機が近くに来るも、発見されず、
しかし、主人公は心を挫くことなく、ついに救助される、という出来上がったようなシノプシスに乗っかり、その上に
乗り組んだ二人の愛情物語が加わるのだ。 
この事件の後の今もヨットで世界の大洋を航海し続けているというタミ・オールダムさんの強い意志には頭が下がるが
映画としては、平均作と言わざるを得ない。主演のシャイリーン・ウッドリー、決してすこぶるつきの美人ではないが
この過酷な逆境を上手く演じていた、そこは評価の対象だ。

遭難する二人はいずれも自由を愛する人物で、リチャード・シャープ(サム・フランクリン)は、自らヨットを作り
世界の海を自由に航行し、人生を謳歌していた。一方のタミーは、船の調理人を勤めていたが、新しい地平を求め
タヒチにやってきた。その二人が出会い、たまたま当地で出会った大型ヨットの持ち主からサンディエゴにヨットを
回送してくれないか、とお金と帰りのファーストクラスのチケット込みで依頼され、引き受ける。それが事件の始まり
だった。早々に大型の嵐に遭遇し、船は破壊され、タミーは相棒で婚約者となっていたリチャードがいないのに気がつく。

彼は海に放り出されていたのだが、幸い木片に掴まって近くを漂流していて、タミーは泳いで彼を助ける。しかし、彼が
負っていた傷は深かった。そこから先に述べたような、遭難ものにはついて回る過酷な現実が次々と襲って来るのだ。

物語としては遭難し救助される現在と、二人が出会う前のタヒチの描写がカットバックされながら進行していく。
実話とはいえ、この話を知らなかった私は、リチャードとともに助かると思っていたのだが、そうではなかったのだな。
短い時間でサバイバルとラブストーリーをきっちりまとめてあったし、遭難シーンに嘘くささもなく上手く仕上がって
いたし、ハラハラもある。しかし、くどいが「平均」レベルを脱してはいないのが残念だ。結局どこの島に着いたのかも
分からないままだった。
アドリフト Adrift (原題・邦題未定)_e0040938_14491189.jpg
<IMDb=6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:71% Audience Score:66% >




# by jazzyoba0083 | 2018-10-08 13:30 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「LBJ ケネディの遺志を継いだ男」
2016  アメリカ Castle Rock Entertainment and more. 96min.
監督:ロブ・ライナー
出演:ウディ・ハレルソン、マイケイル・スタール=デヴィッド、リチャード・ジェンキンス、ビル・プルマン、ジェフリー・ドノヴァン他
LBJ ケネディの遺志を継いだ男_e0040938_12170558.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
JFK暗殺を受けて急遽アメリカ第36代目大統領に昇格した男、ベトナム戦争を泥沼化させた男、といった割と
ステレオタイプの人間像として知られるリンドン・ジョンソンだが、実は、「公民権」に関する法制化に
ついては、ケネディの遺志を次いで、南部の実力政治家を説き伏せて実現させたことは意外と知られていない。

民主党院内総務まで努め、議会でも信頼感のあったジョンソンだが、大統領指名選挙では若きセンセーショナルな
JFKに負けてしまう。ケネディの弟ロバートとは仲が悪く(この下りは映画にも描かれる)JFKが大統領在任中は
南部を抑える影のような存在に終始し、印象が薄かったのだ。そんなジョンソンがJFK暗殺という大事件で
自分の意志とは関係のないところで大統領に付き、ケネディ人気のプレッシャーや、引き継いだ政策の実現に苦労する
模様が描かれる。

「スタンド・バイ・ミー」のロブ・ライナーはなぜ今この映画を撮ったのだろうか。今リンドン・ジョンソンに
光を当てることが何か意味があったのだろうか。あるいは彼がずっと温めていた素材だったのだろうか。
ジョンソンの苦悩を通して「公民権法」に焦点を当てたかったのだろうか。

映画は派手さもなく、事実に従って粛々と進む。ジョンソンは南部出身で、JFKには南部の抑えとして副大統領に
起用された部分、院内総務として議会にある程度の押さえが効くことなど、ケネデイ側の戦略に従っての起用で
あった部分が描かれ、(そうした中でロバート・ケネディのジョンソン嫌いが出てくる)そしてケネディ暗殺を
キッカケにしたジョンソンの苦悩、反人権派の南部議員との交渉、などジョンソン個人の苦悩が描かれていく。

やはりハイライトとして取り上げられるのは南部の実力者を抑えて公民権に関する法律を成立させたことだ。
一方で彼はベトナム戦争を泥沼化させた人物としての低い評価もあるのだが、それはオミットされている。
ともかく、JFK暗殺、政権からのロバートの離脱、公民権法を成立させたことに焦点が当たり、そこから
リンドン・ジョンソンの人間性をあぶり出そうとしたのだろう。だが、時間も短く、一点突破としては
あの時代のケネディ~ジョンソン時代の政治的状況を描き出すことは物足りない。むしろ誤解を生む恐れさえ
あるかもしれない。

ジョンソンを演じたウディ・ハレルソンは悩ましい男の一時期を上手く演じていたとは思うが、印象に
深く残るほどでもなく、全体として「普通」の作品となったといえよう。
LBJ ケネディの遺志を継いだ男_e0040938_12173523.jpg
<ストーリー>
暗殺されたケネディの後を継ぎ、第36代アメリカ大統領に就任したジョンソンの知られざる一面にスポットを
当てたドラマ。大統領予備選挙でケネディに敗れ、副大統領に就任したジョンソンだったが、その職務が国政の
蚊帳の外に置かれていることに気付く……。
主演は「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」のウディ・ハレルソン。メガホンを取ったのは「スタンド・
バイ・ミー」のロブ・ライナー。

民主党の院内総務として精力的に活動していたリンドン・B・ジョンソン(ウディ・ハレルソン)は、1960年の
大統領予備選挙でライバルの上院議員ジョン・F・ケネディ(ジェフリー・ドノヴァン)に敗北。
党の大統領候補に選出されたケネディの副大統領候補になることに同意する。だが、ケネディの大統領就任後、
副大統領の執務が国政の蚊帳の外に置かれていることに気付く。

その運命が一変したのは、1963年11月22日。ケネディが暗殺されたことで、ジョンソンは突如、第36代アメリカ
大統領に就任することになったのだ。国民がケネディの死を嘆く中、ケネディの遺志を尊重して公民権法支持を
表明するジョンソン。だがこれを機に、長い間敵対していた司法長官のロバート・F・ケネディ
(マイケル・スタール=デヴィッド)ばかりでなく、師弟関係にあるジョージア州の上院議員リチャード・ラッセル
(リチャード・ジェンキンス)とも争うことに……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:57% Audience Score:56%>
<KINENOTE=75.3点>





# by jazzyoba0083 | 2018-09-27 23:55 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「告発のとき In the Vallery of Elah」(名画再見シリーズ)
2007 アメリカ Warner Independent Pictures. 121min
監督・脚本・(共同)製作・原案:ポール・ハギス
出演:トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドン、ジョナサン・タッカー、ジェームズ・フランコ、
   ジョシュ・ブローリン、フランシス・フィッシャー、ジェイソン・パトリック他
告発のとき In the Valley of Elah  (名画再見シリーズ)_e0040938_11542927.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
このところ、映画館に行きたい映画がないので、家で過去の気になる作品を観ている。本作は「名画」というには
ややこぶりであるが、好みであるポール・ハギスの作品で、派手さはないけど、好きな一遍だ。

2009年に初見。その時の感想は下記のリンクをお読みいだだけると幸甚だが、今回見た感想と殆ど変わらない。

製作された年代を考えると、イラクの闘いが泥沼化してきて、アメリカの欺瞞が明らかになり、派兵される
兵士は疲弊し、帰国後もPTSDを発症するなど大きな社会問題になっていた。そうした現場や帰国後の兵士の
苦悩を描いた作品はその後たくさん作られ、今も作られ続けている。
あの戦争が、いかに「国民を欺いた無益な闘い」で、戦場では以下に非人間的な闘いが繰り広げられていたか、
を映画の世界で告発し続けている。

最近の作品で印象深かったのは「ハート・ロッカー」「アメリカン・スナイパー」「アイ・イン・ザ・スカイ 
世界一安全な戦場」などであろうか。

本作では、戦場から一時帰国後の息子が休暇を過ぎても部隊に戻らず、やがて無残な遺体となって発見される、
という事件を中心に、誰が殺したか、なぜ殺したか、を、元軍警察軍曹で父親のトミー・リー・ジョーンズが
明かしていく。(明らかになっていく)これに陰ながら協力するのが地元警察の刑事シャーリーズ・セロンで
ある。

物語に派手さはない。むしろ、イラクの戦闘シーンしても、抑制された作劇により、むしろ「戦争の狂気」が
あぶり出される構造になってくる。ハギスといえばオスカーを獲った「クラッシュ」が最高作と思っている
私だが、それに通底する製作的精神構造を感じる。

「狂気は内に向かう」そして「怒りは外に向かう」それぞれの扱い方が、ハギス自身の脚本で上手く
描かれていて、「静かな進行」(銃声一つ聞こえない)が続く。父であるトミー・リー・ジョーンズが息子の
死を調べれば調べるほどに、この戦争の現場で行われている軍務の狂気、そして担当する兵士たちの精神の崩壊が
じわじわと迫ってくる。息子の兵士仲間、警察、軍、そして家族、それぞれの「イラク戦争」の関連性を上手く
まとめて物語ることで、この戦争を告発しているのだ。長男も既に戦死し、加えて次男も殺される、という事態に
その父母の怒り、疑問を観ている人は共有することが出来るだろう。

原題の由来は初見の時のブログを参照してもらいたいが、映画全体のメタファーの役割を担っているといえる。
そうして見ると、邦題のイージーさからは、何のインパクトもない

ストーリーについても初見のブログを参照頂けると幸甚だ。
2009年に初めてみたのだが、アメリカの現状は10年ほど経ってもなんら改善されていない。トランプになって
からその狂気は上積みされたさえいえるだろう。

初見の時は映画評論サイトの採点を書いていなかったので、下記に記す。
<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:73% Audience Score:77% >
<KINENOTE=71.0点>

実際に戦争を行ったアメリカでの評価と肌身で分からない日本では捉え方にずれや受け止めの温度差が出ることは
いたしかたのないことだ。

# by jazzyoba0083 | 2018-09-27 11:54 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「ダイ・ハード Die Hard」(名画再見シリーズ)
1988 アメリカ Twentieth Century Fox.131min.
監督:ジョン・マクティアナン 撮影:ヤン・デ・ボン 原作:ロデリック・ソープ「Nothing Lasts Forever」
出演:ブルース・ウィリス、アラン・リックマン、ボニー・ベデリア、アレクサンダー・ゴドノフ、レジナルド・ヴェルジョンソン他
ダイ・ハード Die Hard (名画再見シリーズ)_e0040938_17062710.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
1970年台中頃から、「ロッキー」、「ジョーズ」「スター・ウォーズ」などの登場により、それまでのサブカル的
文化に裏打ちされた「アメリカン・ニューシネマ」の時代が終わり、「努力は報いられる」「正義は勝つ」「恋愛は
成就する」という以前のハリウッドの映画語法に先祖返りした作品が作られ、家族で見られる、娯楽の王道としての
映画が復活してきた。そうした中の一つの傾向として「ロッキー」のスタローンに見られるように肉体の優位さを
「正義のありようの一形態」として見せつける、「筋肉は裏切らない系」の作品も次々と作られた。それらに出演
していたのがシュワルツネッガーであり、スタローンであった。その系譜に本作も位置すると言っていいのではないか。

「ランボー」シリーズや、「ターミネーター」シリーズも1980年代前半にシリーズがスタートしている。
本作がそれらと異なるのは、特殊なマッチョではない、ということだ。自らの筋肉で隘路を打開していくのは同じだが、
人物的には「世界で一番ついていない男」と云われる、ニューヨーク市警の殺人課の刑事であるにすぎないが、その
スーパーマンぶりは、はやり普通ではない。(物語の設定や進行内容もそうとう荒唐無稽ではあるが)
同時期に登場する「リーサル・ウェポン」シリーズ、本作の4年前に封切られた「ビバリーヒルズ・コップ」などと
比較するとやはり「筋肉系」というところで一つ線が引かれる。

そう考えると本作は、独自の立ち位置を主張した、近年の刑事映画の中でも出色な作品ということが出来るであろう。
その後続編も作られたが、やはり初作の印象が一番強い。(ついてないのはいつも一緒だが)

それは「普通の刑事が、自らの手ひとつでなんとか状況を打開していく一方、見守る仲間の黒人警官とのやりとりが
加点となり、さらに、アラン・リックマンやアレクサンダー・ゴドノフ演じる悪役のしぶとさが魅力」となっている。
加えて、状況をわきまえないテレビクルー、上から目線の市警本部、さらにその上から目線のFBIといった権力側には
ラストに向かって、観客の溜飲を下げさせる役割(道化)を演じさせる。

この映画で有名なのは割れたガラスの上を裸足で走って足が血だらけになるにもかかわらず、奮闘するマクレーン刑事の
姿なのだが、なぜ裸足だったのかの伏線は開巻のシーンに埋め込まれている、という念の入れよう。

正義は苦労するけど、最後には勝ち、愛は復活し、友情は守られ、悪は徹底的に悪いのだが最後には滅び、警察上層部や
マスコミは嘲笑される、サスペンスのアイデアも満載で、という刑事ものストーリーの王道を行く物語ではあるが、その
相互の駆け引きが良く出来ている。131分が全く長く思えない。
映画史にしっかり足跡を残した作品といえる。娯楽作品として一級である。
そしてクリスマスイブの一晩の出来事なのが作劇の見事さである。エンディングテーマの「レット・イット・スノウ」も
味わい深い。また後年「スピード!」の監督を務めるヤン・デ・ボンのカメラにも注目したいところだ。また「ジャパン
アズナンバーワン」の頃のアメリカにおける日本の立ち位置も分かりやすい。
アラン・リックマンのビルからの墜落シーンでのびっくり顔が印象的だが、あれは本物らしい。予定より早く落下が
始まったため、ほんとにビックリしたのだそうだ。
wikiによれば「2010年には「エンパイア・マガジン」によって「最高のクリスマス映画」に選ばれた」のだそうだ。

しかし、悪役の双頭、アラン・リックマンとアレクサンダー・ゴドノフはもうこの世にいないのだなあ。
ダイ・ハード Die Hard (名画再見シリーズ)_e0040938_17064669.jpg
<ストーリー:結末まで書かれています>
ニューヨークの刑事ジョン・マックレーン(ブルース・ウィリス)は、クリスマス休暇を妻ホリー(ボニー・
ベデリア)と2人の子供たちと過ごすためロサンゼルスへやってきた。ホリーは日本商社ナカトミ株式会社に
勤務し、夫と離れこの地に住んでいるのだった。

ジョンは、クリスマス・イヴの今日、ナカトミの社長タカギ(ジェームズ・シゲタ)の開いている慰労パーティに
出席している妻を訪ね、現代ハイテク技術の粋を極めた34階建ての超高層ナカトミビルに向かうのだった。
ホリーは単身赴任によって、結婚と仕事の両立に苦しんでいたが、再会したジョンを目にすると改めて彼への愛を
確認するのだった。

ところがパーティも盛りあがりをみせた頃、13人のテロリストがビルを襲い、事態は混乱を極める。リーダーの
ハンス・グルーバー(アラン・リックマン)は金庫に眠る6億4000万ドルの無記名の債券を要求するが、タカギが
それに応じないのを見てとると、彼を射殺してしまう。そしてその現場をジョンが目撃したことにより、彼と
テロリストたちの息詰まる戦いの火ぶたが切って落とされるのだった。

ジョンは機転をきかせ、パトロール中のパウエル巡査部長(レジナルド・ヴェルジョンソン)に事件の重大さを
知らせ、援軍を求める。その頃テロリストの一味であるテオ(クラレンス・ギルヤード・ジュニア)が金庫の暗号の
解読に成功し、債券はハンスたちの手に握られた。また彼は、ホリーがジョンの妻であることをTV放送によって
知り、彼女を人質にビルからの脱出を企てる。愛する妻を捕えられたジョンは、2発しか残されていない銃を
片手に決死の覚悟でハンスと対決し、一瞬のアイデアの巧みさで彼を撃ち倒す。しかし安堵するジョンとホリーを、
1度は彼が叩きのめしたはずのテロリストの1人、カール(アレクサンダー・ゴドノフ)が執念に狙い撃つ。1発の
銃声が響き、地面に倒れたのは、しかしカールであった。彼を撃ったのは、かつてある事件で誤射して以来、
拳銃を放つことができなかったパウエルだった…。事件は終結し、ジョンは今、彼との友情に、そして何より
妻との愛に包まれ、クリスマスの朝を迎える喜びを噛みしめるのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:94%>
<KINENOTE=82.2点>


   

# by jazzyoba0083 | 2018-09-23 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)