サウルの息子 Saul fia

●「サウルの息子 Saul fia」
2015 ハンガリー Laokoon Filmgroup,Hungarian National Film Fund.107min.
監督・(共同)脚本:ネメシュ・ラースロー
出演:ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レヴェンテ、ユルス・レチン、トッド・シャルモン、ジョーテール・シャーンドル他
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       <2015年度アカデミー賞外国語映画賞、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品>

<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
「息詰まるアップ」「終始手持ちの長回し」「音楽なし」。それでもナチスによるユダヤ人収容所の様子は
極めて良く分かる。内容、演出ともに衝撃的な作品だった。昨年、オスカーを始め世界中の外国語映画賞を
総なめにし、映画ブロガーの中でも評価が高かった本作、WOWOWでの放映を機に鑑賞することが出来た。
映画館でみたら、あのアップはもっと息が詰まったことだろう。故にラストの緑の林のロングショットが
大きなカタルシスとして描き得るのであろう。

冒頭から主人公サウルのタイトバスト(肩から上の)ショットから長回しの映像が始まる。
映像に入る前、字幕で解説される「ゾンターコマンド」という、処分された死体が脱いだ服から金目の
モノを抜き出し(映画には描かれないが、死体から金歯を抜いたり髪をそったりもしたようだ)たりする
役目を背負ったユダヤ人が描かれる。彼らもやがて処分されるのだが。

黙々と何かの仕事をしているサウルのアップの背景に、ややアウトフォーカスで描かれるホロコーストの
実態。衝撃的なカットはアップの人物で隠すものの、着いた列車からおりた大勢のユダヤ人が、「シャワーの
後はスープだ」とか「脱いだ服のフックの番号はよく覚えておけ」とか言われて裸になり、ガス室に送られる。
その瞬間からゾンターコマンドたちは脱いだ服からいろんなものを抜き取り、時計や貴金属を手際よく
集める。すぐにガス室から聞こえてくる苦悶の絶叫やドアを叩く音。それでも彼らは表情一つ変えずに
仕事に打ち込む。ガスによる虐殺が終わると、ゾンターコマンドたちは死体を運び出し、焼却炉に運び、
シャワー室の床を掃除する。おぞましい光景があくまでもアップ画面の背景に映し出されていく。

はっきりと見せられるより、サウルの無表情は顔のアップの背後に展開されることにより、ホロコーストが
余計にリアルに迫ってくる。川に行って何かを川に撒いている。それが遺体を焼却した灰だと、説明され
なくても分かるのだ。
ゾンターコマンドたちもだまってこの狂気の作業をしているだけではなく、一部は武器をなんとか都合し
て反乱を起こそうと計画していたのだった。

<以下、結末まで全部ネタばれで書かれていますので、未見の方はご留意ください>

こうした中で、処分が終わったガス室からまだ息があると言って運び出されてきた男の子がいた。
担当のナチス将校は、まだ生きている少年の口を手で押さえてトドメをさし、解剖せよ、と担当医師に命ずる。
それを見ていたサウルは少年を自分の息子だと思い込み、解剖はしないでくれ、ユダヤ教に則りラビに
葬儀を取り仕切ってもらってくれ、と医師(彼もユダヤ人)に頼む。医師は少年の遺体を隠していてくれる
のだが、その間、サウルは狂ったようにラビ(司祭)を探しまくる。少年を埋葬することがゾンターコマンドと
してやっていることの贖罪と思い込んだか、またあまりの環境に狂ったのか。

今いる班にはラビはいないとなると、新たな列車で到着したユダヤ人の中に入り込み、ラビを探しまくる。
その頃には焼却炉が追いつかず、穴を掘って埋めていくようになっていた。
その中からようやくサウルはラビを見つけ出す。しかし、こいつがどうやら助かりたくて嘘をついているようだ。

やがて、ゾンターコマンドの中から70人の抹殺命令が出る。彼らはガス室の前で反乱を起こし、銃撃戦となり
一部は収容所から逃走する。サウルも遺体を担いでその中にいた。とにかく遺体を埋葬したい、その一心で。
大きな川まで来た時、一緒に逃げてきたラビに祈りをお願いし、木の枝で穴を掘ろうとした。祈りを始めた
男は途中で止めてしまう。やはり偽物だったのだ。その時遠くに犬の鳴き声が。追手が迫ってきたのだ。
ラビと称した男はすぐに逃げ出す。サウルも遺体の袋を抱いて川に入る。なんとか泳ぎきろうとしたのだが
力が尽きそうになってしまう。その時、仲間がが彼のクビを後ろから支え助けてくれた。しかし、遺体の袋は
流れていってしまった。

林の中の掘っ立て小屋に、逃げた数人が集まってきた。その時、入り口のところに運んできた遺体と同じくらいの
地元の少年が立っていた。サウルの顔にようやく笑顔が。(この映画唯一の笑顔だ)あの遺体の少年が来てくれた、
くらいに思ったのだろうか。少年は踵を返すと森に去っていく。それと入れ替わりに追手の軍隊が駆けつける。
逃げていく少年の姿。そしてやがて遠くで聞こえる機関銃の音。林の中に消えていく少年。林の遠景。
暗転し、エンドロール。音楽。音楽が切れてもつづく字幕の背後に、林のノイズが生き続けている・・・。
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107分、「息詰まる」といったが、「息つく暇もない」という見方も出来る。アップをあの近さから撮り続けるとは
どういう技術だろう、フォーカスはどうやって合わせているだろう、川を渡るときはどうやって撮ったのだろう、
などテクニカルな部分にも興味が行った。ナチスの狂気と、サウルのカウンターに位置する狂気。そこに
この映画の生み出すパワーがある。戦争と狂った政治が生み出す人間の仕業とは思えないナチスのホロコーストに
思いを致すのもいいだろうし、サウルは一体何をしようとしたのだろう、とそれぞれ思うのもいいだろう。
個人的には、このブログを書きながら「処分」とタイピングする軽さと現実の重さに心も重くなるのだった。
この映画は実際に観てもらわないとその凄さは理解はしてもらえない、ということだけは確かだ。

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:96% Audience Score:80%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354579#1こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-02-20 23:20 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「真夜中のピアニスト De battre mon coeur s'est arrêté」
2005 フランス Why Not Productions and more.108min.
監督・(共同)脚本:ジャック・オーディアール
出演:ロマン・デュリス、ニエル・アレストリュプ、オーレ・アッティカ、エマニュエル・ドォヴォス、リン・ダン・ファン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

この年の「セザール賞」作品、監督など主要8部門で賞を獲得した作品。主演男優賞は外れてしまい、ロマン君、
せっかくピアノを一生懸命弾いていたのに残念だった。もともとはアメリカ映画でハーヴェイ・カイテル主演の
「マッドフィンガー」をリメイクした形となっている。監督・脚本はフランスでは既に定評のある人のようだが
私は良くは知らない。手持ちの荒々しいカメラと、後半ピアノ演奏会などで使われる脚を使った安定した画が
対象的だ。
個人的に難点だったのは、前半しばらく、主人公が何の商売をしているのか分からなかった点。予備知識無しで
観たので、不動産ブローカーであることが分かったのは30分位経過してからであろうか。それは置くとしても
主人公がピアノを弾き始めてから、ストーリーが動く出す。それまでがもどかしかった。

ピアニストであった今は亡き母親の影響でかつてピアノを弾いていたトム(ロマン)。彼は父の手伝いもあり、
仲間と結構危ない不動産ブローカーをしていた。そんな日々を送る中、荒廃する心を開放しようとしたのだろう、
昔習ったピアノに10年振りで手を付けて見た。
ある日かつての母のコンサートマネージャーからピアノのオーディションを受けることを勧められ、ピアニストを
目指し本格的にピアノを習う決意をする。いくつかの学校に断わられ、友人の紹介で中国人ピアニストの
ミャオリンの個人レッスンを受けることになる。ミャオリンはフランス語を話さない・・・。

片や荒んだ生活が続き、辛い心の逃げ口として、また別の自分になりたいという希望をもち真夜中にピアノに
向かうトム。だが、短気な彼は言葉の分からないミャオリンに当たったり、なかなか上手くならない自分に
自暴自棄になったり。
暴力的な商売とピアノレッスンという非常に対照的な事象を合わせ、主人公トムの揺れる心が手持ちのカメラで
表現されていく。
いよいよオーディションの日がやってきた。しかし当日も仲間から商売に連れて行かれ、心が乱れてしまう。

<ここからネタばれです>

ラストに向かうオーディションから二年後の生活もある意味衝撃的だった。結局ピアニストにはなれなかった
トムはミャオリンのステージマネージャーになっていた。殺された父の復讐を経て、血のついた服でミャオリンの
コンサート会場に座ったトム、演奏を聴いて笑顔になるのだった。結局、トムは別の形で自分を見つけた、という
ことなのだろうか。

ハーヴェイ・カイテルのオリジナルは未見であるが、本作は脚本がとても良かったし、映像が荒々しいトムの心や
商売を活写していた。全体としてみれば異質なフィルム・ノワールではあるが、独特の味わいを持っている。
セザール賞は逃したが、トムを演じたロマン・デュリス、悪くなかったと思う。
ジャック・オーディアールは、本作から10年後の2015年、「ディーパンの闘い」で、カンヌ国際映画祭パルム・
ドールを獲得することになる。
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<ストーリー・結末まで書いてあります>
28歳のトム(ロマン・デュリス)は、友人ファブリス(ジョナサン・ザッカイ)、サミ(ジル・コーエン)と
組んで、不法住民を暴力で追い出し物件を転がす不動産ブローカー。
同業の父ロベール(ニール・アルストラップ)からは再婚する予定の若い恋人クリス(エマニュエル・ドゥヴォス)を
紹介されるが、トムは素直に認められない。

そんなある晩、亡き母のコンサート・マネージャーに再会したトムは、オーディションの機会を与えられ、
ピアニストへの道を薦められる。10年ぶりでピアノに向かったトムは、忘れていた音楽への愛と情熱を再認識した。
そしていくつかの音楽学校を断られたあと、中国人ピアニストのミャオリン(リン・ダン・ファン)の元にレッスンに
通うことになる。

ファブリスからは浮気のアリバイ工作を頼まれ、父からは取り立てを催促され、現実に嫌気が差すトムは、どんどん
ピアノのレッスンにのめり込む。さらにはファブリスの妻(オーレ・アッティカ)と関係を持ってしまうトム。
そして父から金を騙し取ったというロシア人のマフィア、ミンスコフ(アントン・ヤコフレフ)の若い愛人(メラニー・
ロラン)とも関係を持つ。
オーディション当日には物件の裏取引に連れ出され、当日は心が乱れてうまくピアノが弾けない。思わず会場を飛び
出したトムは、無残に頭を撃ち抜かれた父の姿を見つけるのだった。

2年後、ミャオリンのコンサートに付き添うトムの姿。彼は父を殺したミンスコフを発見し、追いかけて暴力を加える
ものの、最後のとどめは刺さなかった。そしてコンサート会場の席に着き、ミャオリンのピアノ演奏を堪能するのだった。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:85% Audience Score:84%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=323086#1こちらまで。



# by jazzyoba0083 | 2017-02-18 23:10 | 洋画=ま行 | Comments(0)

エール! La famille Bélier

●「エール! La famille Bélier 」
2014 フランス Jerco and more.105min.
監督・(共同)脚本:エリック・ラルティゴ
出演:ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン、エリック・エルモスニーノ、ロクサーヌ・デュラン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

なんの前知識なく、フランス映画とも認識がなく、WOWOWで録画されていたので観てみたら、これが
大当たり。社会的弱者や病気モノは最近富みによく製作されるが、その背景に、そういう人々と健常者が
日常どうあるべきか、を問わなければならないような社会である、ということと、その手の映画もちゃんと
観てもらえるようになったということがあるのだろう。ただし、お涙頂戴、ヒット狙いなものは当然ダメで
あるのだが。
その点、本作は、逆境を笑い飛ばすというフランス映画独特の乾燥度を持っていて、(例:「最強のふたり」
など)嫌味なく見ることが出来る。
障害者であることを変にオブラートに包むのではなく、あけすけに提示することにより、観ている方も、映画に
納得・同化しながら楽しむことが出来るのだと思う。
 とにかく登場人物がアッケラカンとしていて、めそめそしていない。ポーラに初潮が来た、といって大騒ぎ
して喜ぶ両親、また母が膣炎で婦人科にかかり、ポーラは通訳して、母に性生活を控えめにするように通訳したり
とかのシーンがあったと思えば、学園祭で歌う歌が、おいおい、こんな大人の歌を中学生に歌わせていいのかよ、
と思ってしまうような歌だったり、父親がなんと村長に立候補すると言い出したり・・。とにかくカラッとした
映画なのだ。だから最後の大団円が盛り上がるのだな。
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登場するのは四人家族。娘のポーラ以外は両親、弟3人共聾唖である。この設定が映画の全てといっても
いいくらいだ。一家は酪農を営み、回りの人達の理解もあり、不自由を感じることもなく暮らしていた。
娘は健常者であるのだが、手話を駆使し、家族と語り合う。家の手伝いを一生懸命するような、なかなか
出来た娘であるのだが、授業には疲れから居眠りをしてしまうなど、はなかなか打ち込めない。

ある日学校でコーラス・グループが結成され、ぶーたれていたポーラは先生から団に入るように指名されて
しまう。しかし、彼女の歌声を聴いた先生は、その歌声の可能性に驚き、個人レッスンを受けるようにいう。
パリの音楽学校に行け、その能力はある、というのだ。 
 一家のコミュニケートを支え、通訳代わりを勤め、酪農も手伝う生活をしているポーラ、自分が抜けたら
一家は大変なことになる、と大いに悩む。でも夢は叶えたい。自分の歌声を家族に聞いてもらうことは
出来ない、ということも彼女を悩ませる。個人レッスンを止めたり、なかば自暴自棄になったり、
ボーイフレンドと喧嘩したり・・・。両親にパリ行きを打ち明けるも、なかなか理解は得られない。

学園祭の出し物でコーラスや、ボーイフレンドとのデュエットを披露するポーラ。見に来ていた家族は当然
彼女の歌は聞こえなかったが、その美声は大評判だった。音楽の先生は、彼女は才能がある。応援してあげ
ないか、と語るが、事情をわきまえたポーラはそれを通訳しなかった。

その夜、父はポーラを庭に呼び出し、歌ってくれという。父は彼女の喉に手を当てて聞き入っている。
オーディションの日を知っていた父は、ポーラを起こし、パリへとクルマを走らせる。オーディションが
始まった。しかし、ポーラの歌う歌を伴奏者は楽譜がないという。そこに、ポーラがパリに行ったと
聞きつけた音楽の先生が登場、私が弾きます、と。そしてオーディションが始まった。
遅れて駆けつけた家族。その前で、彼女は手話も使い、まるで一家と自分の事を歌ったような歌を力一杯
歌い上げたのだった。結果は合格! ポーラのパリでの新しい人生と、ポーラ抜きの家族の新しい暮らしが
始まったのだ。
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大柄なポーラがちょっと初潮を迎える中学生にしては体格が良すぎるんじゃないか、とは思ったけど、
彼女を含め、手話を駆使し、特に両親と弟はセリフが全く無い演技だが、キャラクターを上手く出して
見ものであった。ポーラを演じたルアンヌ・エメラは実際にテレビのオーディション番組で優勝し、この
映画にキャティングされたまだ素人っけが残る女優さん。そこら辺も良い方に作用したんじゃないか。
独特の軽・重い感じがいい。自分の道を見つけていくという青春ドラマでもあり、家族ドラマでもある。
佳作。

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353061#1こちらまで。

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:81% Audience Score:76%>


# by jazzyoba0083 | 2017-02-16 22:55 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「DEMONデーモン Go with Me(Blackway)」
2015 アメリカ Enderby Entertainment,Gotham Group.90min.
監督:ダニエル・アルフレッドソン
出演:アンソニー・ホプキンス、ジュリア・スタイルズ、アレクサンダー・ルドウィグ、レイ・リオッタ他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>

日本未公開映画を紹介するWOWOWで鑑賞した。
「病んだ田舎町不気味さ」という雰囲気。ホプキンスを始めとして役者は揃っているのに、映画としては
非常に中途半端さを拭いきれないものであった。
単純に言ってしまえば、おじいさんと若者と若い女性が町の極悪ボスをやっつけに行くというお話。

ホプキンス(さすがの演技)演じるレスターは不気味な老人であるが、彼の背景は娘がヤクで亡くなり、
奥さんには逃げられたということや、娘の葬儀の帰りに当時警官だったブラックウェイ(リオッタ。これまた
ベタな名前で!)にあれこれとイビれたこともあるということなどが提示される。
レスターの娘はこのエリアの麻薬を一手に引き受けるローカル組織のボスであるブラックウェイにヤク漬けに
されて殺されたのだ。彼に大きなウラミがあることは分かる。
一方、レストランに勤める若い女性リリアンは、猫を殺され、ストーキングをされ、暴力も振るわれていた。
(ブラックウェイを殺しに出かけるにはちょっと動機が弱いか)
レスターに味方する甥のネイトの3人で山の鉱山の小屋にいるといわれるブラックウェイを探しに出かけた。
山深い、今は廃坑となっている所にブラックウェイはいるのか?高まる緊張感!

なんだけど、ラストは意外とあっさり終わっちゃうんだ。ブラックウェイは彼ら三人を付けてここまで
やってきて先手を打つ。ネイトと殴り合いになり、リリアンも危ない。爺さんはカモ撃ち銃を持って
ブラックウェイを狙うが、もつれあう2人に狙いがつけづらい。そこに爺さんの後ろから、ブラックウェイの
手下がライフルをぶっ放し、爺さんは肩を撃たれてしまう。しかし、負けない爺さんは起き上がり、
リリアンに迫ろうとしているブラックウェイを、ズドンと一発! ボス、即死! 手下も死んで、2人を山の中に
埋めてしまいましたとさ。で? 終わり? ラストの爺さんの顔のアップの意味は?

ホプキンスの笑わない演技はたしかに良いが、レイ・リオッタの極悪非道なボスは迫力不足。
だいたい脚本がアカンのだな。短い映画なので、ホプキンスファンの方はご覧になるといいかも。
この出来では配給会社は手が出ないだろうな。

<IMDb=★5.2>
<Rotten Tomatoes:Tomatometer=-- Audience Score=34%>
<ストーリー>
ハイネケン誘拐の代償」のアンソニー・ホプキンスとダニエル・アルフレッドソン監督が再タッグを組み、
謎の男から執拗に嫌がらせを受ける女性の姿を通してアメリカ地方社会の闇をあぶり出した社会派サスペンス。

母の遺産である一軒家を相続し、故郷の田舎町に戻ってきたリリアン。そこで彼女はブラックウェイと
呼ばれる謎の男から繰り返し嫌がらせを受けるようになるが、保安官や町の人々に相談しても町を去るよう
警告されるばかりだった。そんな中、老男性レスターと彼の親戚である若者ネイトだけがリリアンに味方し、
誰も居場所を知らないというブラックウェイを一緒に探しはじめるが……。

主人公リリアン役を「ジェイソン・ボーン」シリーズのジュリア・スタイルズ、謎の男ブラックウェイ役を
「グッドフェローズ」のレイ・リオッタ、レスター役をホプキンスがそれぞれ演じた。(映画.com)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359268こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-02-15 23:00 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「愛しき人生のつくりかた Les Souvenirs」
2015 フランス Nolita Cinema and more.93min.
監督・(共同)脚本:ジャン=ポール・ルーヴ
出演:アニー・コルディ、ミシェル・ブラン、シャンタン・ロビー、マチュー・スピノジ、ジャン=ポール・ルーヴ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

いかにもフレンチテイスト、「面白うて、やがて哀しき」という風情と「ビタースウィート」という
テイストをまとった、ある家族に焦点を当てた掌編ドラマ、という感じだ。★は6.5+α。

エスナール一家のおじいちゃんの葬儀から始まる。孤独になったおばあちゃんマドレーヌが主人公風。
そしておばあちゃん子にして孫で作家を目指している青年ロマン、その恋人になるノルマンディー地方の
女性教師、ロマンの父ミシェルは郵便局を定年退職したばかり。母は教師をしているが定年間近。2人の
関係は冷めそうでギクシャクしている。
父には2人の男兄弟がいる。そんな一家に起こるエピソードがとっちらかりそうで、なんとか纏めてあり
ラストシークエンスにおいての伏線の回収でカタルシスを得ている。ラストにかけての構成と盛り上げ方は
上手いのではないか。

おばちゃんは最愛の夫を亡くし、一人暮らし。しかしある日倒れてしまい、心配したミシェルは
おばあちゃんを老人ホームに入れることにする。納得して入ったホームだが友人が出来るわけでもなく
孫のロマンは頻繁に訪ねてくれたけど、自分の居場所ではないと考えていた。

ミシェルはメニューを1時間眺めていても決まらないグズで、そのあたり長年連れ添った妻との関係は
ギクシャクしている。ロマンはホテルの夜勤のバイトを始めていた。そんなある日、おばあちゃんんが
ホームから消えてしまった。慌てた一家はほうぼう探し回るが、長男ミシェルは自分がホームに入れた
からだ、自分が殺したんだ、と悲観する。もうおばあちゃんが生きていないような思い込みぶり。

冷静な孫のロマンはおばあちゃんは思いでの地に行ったに違いなと確信し、クルマでノルマンディーに
出かける。そこの案内所では自殺しにきた青年か、とかからかわれたが、おばあちゃんは母校の小学校を
訪ねていたのだった。そしてそこで、先日の葬式でちら見して気に入っていた女性が教師として勤めて
いることも判った。教師のアイデアで、小学校のこどもたちと触れ合い、みんなに自分の画まで描いて貰い
とてもいい時間を過ごせたおばあちゃん、だがホテルに帰ると、再び倒れてしまった。救急車で病院に
運ばれるが昏睡状態。ロマンは旅の本を読み聞かせてみるが・・・。

ラストシーンは映画冒頭の葬式シーンと同じ。しかし埋葬されるのはおばあちゃんだ。司祭曰く、
「人間は埋葬されるために生まれてくるのではない」「愛とは与えるものなのだ」とおばあちゃんが
生涯を通してみんなを愛したことを説いた。そこに遅れてきたノルマンディーの女性教師。すでに
ロマンとの間に愛が芽生えていた。

まさに「Life goes on」。三世代のふとした人生のドラマには含蓄のあるコトバも多く(ガソリン
スタンドの店員や司祭)一家三世代の愛のありようが心温まるストーリーで語られている。ラストの
閉じられたおばあちゃんの墓石からの引きながらの俯瞰パーンで、墓場から2人して仲良く去っていく
孫のロマンと恋人の女性教師の姿を捉えたシーンは非常に多くを物語る良いカットだった。
「流転する人生」・・・。短い時間であるが、フランス映画らしいウィットに富み人生の実相を
見る人に考えさせる良作といえよう。
監督で映画に出演もしているジャン=ポール・ルーヴはハフポストのインタビューで「この映画は
なにかを伝えたいという明確なものは無くて、今の社会はこうなんだ、ということを観てもらいた
かった」と応えている。そのように出来上がったと思う。三世代一家の事象から人生を考えさせる
ような仕上がりになっている。
主役のおばあちゃんマドレーヌを演じたのはフランスの国民的歌手アニー・コルディ。美しい
ノルマンディーの風景とともに流れるシャルル・トレネの「残されし恋には」が、効果的に
使われている。ラストシーンでは胸がキュンとなるだろう。

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes:Tomatometer= --  Audience Score=56%>
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<ストーリー>
パリとノルマンディを舞台に、夫に先立たれたおばあちゃんが、それぞれに悩みを抱えた息子と孫と
織りなす家族3世代の物語を心温まるタッチで綴る人生ドラマ。
主演はフランスの国民的歌手のアニー・コルディ。共演に「仕立て屋の恋」のミシェル・ブラン、
TVを中心に活躍する若手マチュー・スピノジ。
監督は俳優としても活躍し、これが監督長編3作目のジャン=ポール・ルーヴ。

 最愛の夫をなくしたばかりのマドレーヌは、パリの小さなアパルトマンでひとり静かに暮らしていた。
3人の息子を育て上げ、それなりに充実した人生を過ごしてきたマドレーヌ。今も、大学生の孫ロマンの
ことが可愛くてしょうがない。
そんなある日、マドレーヌが突然倒れて入院する事態に。大事には至らなかったものの、ひとり暮らしは
心配と、息子のミシェルは兄弟と相談してマドレーヌを老人ホームに入居させることに。退屈なホーム生活に
不満が募るマドレーヌ。ある時、足繁く通ってくれるロマンから、息子たちがアパルトマンを勝手に売り払って
いたこと知り憤慨、ホームから姿を消してしまう。そこでロマンは彼女を探す旅に出るのだったが…。
(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354248こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-02-13 23:10 | 洋画=あ行 | Comments(0)

マリアンヌ Allied

●「マリアンヌ Allied」
2016 アメリカ GK Films,Paramount Pictures and more.124min.
監督・(共同)製作:ロバート・ゼメキス
出演:ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール、ジャレッド・ハリス、サイモン・マクバーニー、リジー・キャプラン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

ゼメキスファンとして、正直な感想を言えば、「ゼメキスらしく、もうひとヒネリ、ふたヒネリ欲しかった!」。
大きなスケールの悲恋モノで、結末もハッピーエンドではない。それはいいとしても、筋書きがちょっと
単調で、ラストも想像できてしまう。あの「フォレスト・ガンプ/一期一会」「キャスト・アウェイ」
もっと言えば「バックトゥーザフューチャー」のゼメキスだから、期待も大きかったのだ。良い配役も得て
いるのになあ。特にマリオンの演技は、そりゃあ確かなものだ。ああいうシチュエーションで揺れる感情を
表現するのは難しいと思うのだ。彼女は演技派だなあと確認した。そこは良かった。ブラピは普通だ。

あと良い点を上げると、オスカーの衣装デザイン賞のノミニーにもなっている美術全般の仕上がりの良さ。
衣装・化粧から小道具、ロケーション美術、飛行機などの大道具と関連したCG、どれも一級品で
素晴らしかった。そのあたりはゼメキスの作品はこれまでも抜かりが無かった。結局、脚本が弱いんだろう。
映画は「カサブランカ」編と「ロンドン」編と大きく2つに別れる。激しいドンパチはカサブランカ編のみで
(空襲を除く)あとの銃声は、ラストに悲劇的に響くもののみだ。故にロンドン編は行き詰まる心理劇となる。

上官から「お前の妻はドイツのスパイだ。証拠も有る」と言われちゃ、普通じゃいられません。ダメだと
言われても、いろいろと検証してみたくなる気持ちも分かるというもの。そして、本当の姿を知った時の
夫(ブラピ)の行動も、そういうふうになるわなあ、というもの。そして悲劇のラスト。
日本のドラマや映画もそうだけど、急いで逃げたい時に限り、クルマや飛行機のエンジンはかからないものだ。
 
       <ここから先は結末まで触れていますので、ご注意ください>

ブラピ演じるマックス・バタンはカナダ軍から派遣されたイギリス軍特殊作戦執行部の中佐。(結構エラい)
彼はパラシュートでモロッコに入り、カサブランカで「スズメバチの柄のドレスの女がお前の妻となる」
との指示で、マリオン演じるフランス人レジスタンス、マリアンヌ・ボーセジュールという女性と合流、
夫婦を装い、現地での信頼を獲得したのち、在モロッコドイツ大使と大使館付武官を一気に射殺するという
作戦に臨む。
作戦は成功し、2人は同じミッションを成し遂げたこともあり、急速に接近。ホントに結婚することに
なる。そして内勤となったマックスはロンドンに帰り、穏やかな日々を送ることになる。しかし、
ある日、上官から「お前の妻はドイツのスパイだ。マリアンヌ・ボーセジュールは既に死んでいる。
他人になりすましているのだ。正体が明らかになれば、お前が殺せ」と言われる。
明日、ニセの暗号をお前に電話するから、メモをしておけ、それがドイツに筒抜けになるのか
分かるようになっているから、そうなれば殺せ、お前も一枚噛んでいれば、「大逆罪」で死刑だぞ、と
宣告される。こえー!
その頃、夫妻には空襲下で生まれた女児がいた。

「え、マリアンヌがスパイ!?そんなことはありえない」とバタンは妻の写真を持って、彼女を
知っていると言われる兵士やレジスタンスに会いに出かける。そこで知った事実でバタン本人が
まだ知らなかったのは、マリアンヌが上手くピアノを弾いた、ということだ、しかも「ラ・マルセイエーズ」を。
揺れ動く心を押さえてバタンは彼女をパブに連れていき、ピアノの前に座らせ、「ラ・マルセイエーズ」を
弾いてくれ、と迫るのだった・・・。彼女の口から出た答えは・・・・。

他人の名前とはいえ、ボーセジュールとは。フランス語で書くとBeau ces jours と聞こえる。
(ホントは違う綴だけど)和訳すると、美しいこれらの日々、というほどの意味だが、マリアンヌの
魂の声のように思えた。彼女がロンドンで過ごした夫と娘を愛した日々に偽りは無かった、という
ことだ。(スパイはしちゃったけど)

冒頭でも書いたように、「ケレンの神様」のようなゼメキスにしてみると、非常にストレートな作劇で
いい映画なんだけど、あれえ、という感が無きにしもあらずなのだ。妻の疑惑がもう一段濃く提示される
ようなシークエンスが入らなかっただろうか。ちなみに原作の「Allied」(アライド)は、連合した、
同様の、などの意味をもつ割りと味も素っ気もないもの。

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:61% Audience Score:67%>
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<ストーリー>
「フライト」「ザ・ウォーク」のロバート・ゼメキス監督がブラッド・ピットとマリオン・コティヤールを
主演に迎えて贈る歴史サスペンス・ラブストーリー。
第二次大戦下のカサブランカとロンドンを舞台に、ナチス・ドイツとの戦いで極秘任務を負い偽装夫婦の
相手として出会った一組の男女が、時代に翻弄されながら繰り広げる切なくもミステリアスな愛の行方を
サスペンスフルかつエレガントに綴る。
 
1942年。モロッコのカサブランカに降り立ったカナダの諜報員マックス。イギリスの特殊作戦執行部に
所属する彼は、極秘任務を与えられ、ナイトクラブで偽装妻と落ち合う。彼女はフランス軍の伝説的女性
レジスタンス、マリアンヌ。2人は夫婦を装い、ドイツ大使の暗殺という過酷な任務に挑む。
その中で図らずも互いに心惹かれていくマックスとマリアンヌ。その後2人はロンドンで結婚し、可愛い娘
にも恵まれ、幸せな結婚生活を送るのだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358099#1こちらまで。





# by jazzyoba0083 | 2017-02-12 12:25 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章 The Second Best Exotic Marigold Hotel」
2015 イギリス Babieka,Blueprint Pictures.122min.
監督・(共同)製作、原案:ジョン・マッデン
出演:ジュディ・デンチ、マギー・スミス、ビル・ナイ、デヴ・パテル、ペネロープ・ウィルトン、セリア・イムリー
   ロナルド・ピックアップ、ティナ・デサイ、ダイアナ・ハードキャッスル、リチャード・ギア他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
たいそう面白かった作品の続編。いわゆるグランドホテル形式で、インドはジャイプルに開業した
マリーゴールドホテルは、ワケアリの熟年者たちが住んでいるように使っていて、他の部屋の埋まりも
良く繁盛していた。初作は青年の熱意と熟年者の知恵で、古いけどエキゾチックなホテルが開業する
までを描いた。続編冒頭はアメリカはサン・ディエゴ、ホテル業界の大物に、マリーゴールドホテルの
第二号店を出さないか、というオファーを、経営主任たるリュミエル(マギー・スミス)と若きオーナー
ソニー・カプール(デヴ・パテル)が、申し出にやってきたのだ。大物バーレイは、後日調査員を
派遣し、事の次第を判断する、ということになった。

さて、覆面調査員としてホテルにやってくる男は誰か?そんな折に、予約無しでぶらりとホテルに
現れたのは、いかにもの風体のガイ・チェンバース(ギア)という男があらわれた。
ソニーはバーレイが言っていた男(ガイ)の謎掛けで、彼こそ調査員と思い込み、まさにいい部屋に
チェックインしようとしていた女性の部屋を取り上げ、彼を厚遇するのだった。苦々しくそれを
見ていたフロントに勤める彼の婚約者スナイナと、リュミエルであった。

ソニーの母(リレット・デュベイ)と惹かれ合っていくガイは、本当に調査員なのか?そうこうして
いるうちに第二のマリーゴールドホテルとして買収をもくろんでいたホテルを、ソニーが恋敵と勝手に
思い込んでしまったクシャルに先を越されて買われてしまう。結婚式を間近に控えたソニーとスナイナの
間がギクシャクしてくる。さて、こんな状態で二号館をオープンできるのか?というお話を
縦軸に、ご老人5組の愛憎の行方を横軸に、大団円に向けて話が進む。ご老人それぞれのエピソードも
上手いこと纏められ、ソニーの母とガイの恋の行方も気になりつつ、ソニーとスナイナはすった
もんだで、ラスト、結婚式のシーンではインド式の大ダンス大会。そしてそれぞれに落ち着いた
カップルが各々のスクーターにタンデムで乗り・・・・。

イギリス式のウィットに富んだ会話に、ご老人独特の辛辣さが加味され、粋な会話のキャッチボールが
楽しい。それぞれ人生を重ね、豊かな知見に裏付けられた会話は含蓄に富んでいて、メモしたくなる。
「自分を惨めだ、と思う人生こそ残念だ」というのが個人的に気に入った。若い人には辛気臭いドラマ
かもしれないが、その豊かな経験こそ映画を通して味わうとよい。またイギリスの名優たちの演技がお話を
サポートする。前作に続き、人間を描かせたら逸品のジョン・マッデンの演出も冴えている。

本作中ではまさに買収に失敗し、調査員を取り間違え他の客に迷惑をかけ、婚約者とこじれる若き
オーナーのソニーが、若者のコトバは悪いが「浅はかさ」を代表している。しかし、若い人は
若いなりの解決をし、ご老人はご老人なりの解決を図っていく。勢いは当然若い人にあるわけで。
そのあたりの心の揺れ動きをジュディ・デンチ扮するイヴリンが上手いこと演じている。仕事も恋も
遅すぎる、ということはないのだ、ということを。ラストに近く、「Strangers in the Night」に乗せて
円熟の人々が踊るシーンがあるのだが、まさにホテルに来るまでは見知らぬ同士が、心を許し合って
ダンスをする、う~ん、いいシーンだった。

前作に続き、心温まり、愉快痛快な、含蓄に富んだ良作に出来上がった。

<IMDb=★6.6
<Rotten Tomatoes:Tomatometer=63% Audience Score=59%>
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<ストーリー>
インドの自称“高級リゾート・ホテル”で第二の人生を送ろうとイギリスからやって来た高齢者たちが
繰り広げる悲喜こもごもの人生模様を描き世界的にヒットした群像コメディ・ドラマ「マリーゴールド・
ホテルで会いましょう」の続編。
出演はジュディ・デンチ、マギー・スミス、ビル・ナイ、デヴ・パテルら前作からの続投組に加え、
リチャード・ギアが新たに参加。監督は引き続き「恋におちたシェイクスピア」「コレリ大尉の
マンドリン」のジョン・マッデン。

 インドのマリーゴールド・ホテルに長期滞在するイヴリンたちイギリス人の男女5人。最初は
不満タラタラだったが、今ではこのボロホテルに愛着すら感じていた。おかげでマリーゴールド・ホテルは
今や常時満室状態。恋人スナイナとの結婚を控え、すっかり順風満帆の若きオーナー、ソニーは、
さっそく事業の拡大に乗り出す。そして宿泊客から共同マネージャーに転身したミュリエルとともに
渡米し、新館オープンの資金獲得のために投資会社へと乗り込んでいく。

一方滞在客のイヴリンも、現地で始めた仕事が本採用になり充実した日々を送っていた。しかし、互いに
好意を寄せ合っているダグラスとの関係はなかなか進展しないまま。そんな中、ソニーが帰国して間もなく、
予約なしの客が現われる。彼を投資会社が送り込んできた覆面調査員だと睨み、丁重にもてなすソニー
だったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353844#1こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-02-11 23:20 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「5時から7時までの恋人カンケイ 5 to 7」
2015 アメリカ Demarest Films,Mockingbird Pictures.97min.
監督・脚本:ヴィクター・レヴィン
出演:アントン・イェルチン、ベレニス・マーロウ、オリヴィア・サールビー、ランベール・ウィルソン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
WOWOWの「W座」で放映された、日本劇場未公開作品。個人的には大いに「めっけもん」の作品だった。
★は7.5だが、今は亡きアントン・イェルチンに半星を捧げ8とした。
大体、邦題が全然ダメ。まるでラブコメの風情じゃないか。DVDのパッケージデザインもまるでダメ。
本来この作品が持つビターなラブストーリーを表しておらず、売らんかなのゲスな下心丸見えだ。
ラブコメを期待して買ったり見たりした人を裏切る行為でもある。

いちゃもんはこのくらいにして、本題。不思議な不倫関係を続ける2人の話なのだが、あまり期待しないで
見始めたのだが、次第に観ていて心地よさを感じてきた。俳優、NYという舞台、物語の設定、音楽、
ワンカット長回しの映像、もちろんオリジナル脚本を書いたレヴィンの力量も相俟って、実に味わいのある
作品になっている。
作品の中で、主人公の男女、また主人公の両親、友人などなどの会話が実にウィットとユーモアに富んでいて
アメリカの映画だなあ、と感じさせる心地よさもある。脇にベテラン名優を配したのも奏功した。
ただ、出て来る人がみんな基本セレブ、というのが気に入らないけど。また、NYでの男女の劇的な一目惚れ、
これも本来ありえないと思う。が、そんなことを言っていたらラブストーリーは始まらない。

主人公のなかなか芽の出ない作家ブライアンを演じたアントン・イェルチン、彼と5時から7時までの不倫
関係を結ぶ既婚のフランス人アリエルのベレニス・マーロウ、両者とも不思議な魅力を放っている。特に
ベレニスは映画に多く出ておらず、私には馴染みがないが、独特の存在感を持った女優さんだな、と感じた。
ただ、スタイルについていうと、映画の中ではウエストの位置が低く、胴長足太に見えて、それにヒールの
低い靴を履くので(アントンとの身長差をカバーするものだと思うけど)えらく見栄えが悪い。本来骨太の
体格なので、スタイリストのミスかもしれない。
昨年不幸な自動車事故で若くして亡くなってしまったイェルチンであるが、彼の幸せ薄そうな存在感も
見逃せない。監督はこうした2人を上手く使い、加えて、ブライアン(イェルチン)の両親にベテラン、
オスカーノミニーのフランク・ランジェラと、こちらも6度の主演女優賞ノミニーであるグレン・クローズを
配し、不倫とは対極にある夫婦像を描いていて巧みである。
また、ブライアンの不倫相手アリエルの夫の愛人であり(ややこしいな)雑誌編集者として彼の力になる
25歳の女性ジェーンに伸び盛りのオリヴィア・サールビーを置く、という全体のキャスティングは見事だ。

短い時間にメインストリームの話と回りのエピソードを上手く回収し、ラストは実に胸が苦しくなる切ない
ものとなっている。このラストシーン、イェルチンがもういない、と思ってみると、涙が出るほど切ない。
これはホントにいい映画に出会った、と感じた。
蛇足だが、「W座」のエピローグの中で濱田岳も指摘していたことだが、ブライアンがアリエルの夫から
手切れ金?として貰った25万ドルはどうしたんだろう?それと、一旦は離婚したはずのアリエルと夫が
ラストでまた復縁したようなんだが、そのあたりは観た人の想像に任されている。

<IMDb :★7.1>
<Rotten Tomatoes:Tomatometer 72% Audience score 71%>
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<ストーリー>
ニューヨークを舞台に、自由奔放な人妻パリジェンヌと真面目なアメリカ人青年の恋の行方を描いた大人の
ラブストーリー。ニューヨークで暮らす作家志望の青年ブライアンは、街角で煙草を吸っていたフランス人
女性アリエルに一目ぼれし、声をかける。2人はすぐに意気投合するが、実はアリエルは2人の子どもを持つ
人妻だった。アリエルから「5時から7時の不倫関係」を提案されたブライアンは、戸惑いながらも彼女と
付き合いはじめるが……。
「いとしい人」「アイドルとデートする方法」などの脚本家ビクター・レビンが長編初メガホンをとり、
2016年6月に急逝したアントン・イェルチンがブライアン役、「007 スカイフォール」のベレニス・マーロウが
アリエル役をそれぞれ演じた。(映画.com)

※補足しておくと、ブライアンは年上の人妻アリエルをホントに愛してしまい、やっと獲った雑誌ニューヨーカーの
新人賞作品の出版バンス6000ドルで指輪を買い、正面からプロポーズする。アリエルも、流れで結婚した初めての
男である夫にはないトキメキをブライアンに感じていて、2時間だけの関係よりも深く愛するようになっては
いたが、2人の子供がいることが大きなブレーキとなり、ブライアンと一緒になる道は選ばなかった。
だが、夫とは離婚した。ブライアンは深い悲しみの中に突き落とされるが、その悲しみを小説を書くエネルギーに
変えて、アリエルとの関係を題材にした小説を書き上げ出版にこぎつける。

そして時間が経ち、彼も結婚し、(編集者のジェーンと結婚するかと思ったらさにあらず)子供が出来た。
別れから3~4年経ったであろうある日、思い出のグッゲンハイム美術館の前を妻とベビーカーにのせた
赤ちゃんとで通り過ぎようとすると、アリエルが一家と共に美術館から出てきたのだった。あいさつを交わす
アリエルとブライアン。さり気なくブライアンに見せたアリエルの右手薬指には、ブライアンがプロポーズで
くれたものの一度は返した(ブライアンがいつも密会に使うホテルのドアマンに預けておいた)ディオールの
指輪が光っていた・・・・。視線を交わしながら、再び別の道を歩いて去る2人だった・・・。

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358908こちらまで。





# by jazzyoba0083 | 2017-02-09 22:45 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「パッチ・オブ・フォグ ー偽りの友人ー A Patch of Fog」
2015 イギリス The Fyzz Facility Film Three and more. 93min.
監督:マイケル・レノックス
出演:スティーヴン・グレアム、コンリース・ヒル、ララ・パルヴァー、アーシャ・アリ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
日本劇場未公開。WOWOWにて鑑賞。短めのサイコ・サスペンス。★は6.5。手堅くまとめて
あったが、仕掛けが古くて最期のオチは想像出来てしまった。作品「一面の霧」の作者に関する
秘密には新鮮さがあった。ほとんど主人公の大学教授にして作家のサンディと、彼の万引きを
目撃し、ストーカーとなった警備員ロバートの心理劇といえる。

潰れたコインや、授業で使うビデオのし掛けなど、短い時間にガジェットを上手く配置した作劇は
なかなか魅せた。ただ、一番表現しなければならない警備員ロバートの心の塩梅をもう少し加えて
欲しかった。防犯カメラで万引きを目撃し、それをネタに関係を迫るはロバートの常套手段なのだが、
なぜ、サンディだったのか。

半年も前から彼の万引きを目撃して録画し、彼がテレビにも出る高名な作家だということを分かっていて
「友人になろう」と迫ったわけだが、高名な作家と付き合うことが彼にとって何なのか。そこのあたりが
今ひとつピンと来なかった。
警備員ロバートの孤独なのか。孤独が産んだサイコパスということなのか。悲劇的なラストはまさに
2人は似たり寄ったり、ということなのだな、と個人的には理解したのだった。生涯でたった一冊書いた
「一面の霧」という本が持つ大きな秘密を引きずったサンディもまた孤独だったに違いない。
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<ストーリー>

セレブである大学教授の万引を見つけた警備員は、ストーカーとなって教授に付きまとい始めるが……。
イギリス産のショッキングなスリラー。WOWOWの放送が日本初公開。

25年前、25歳だったころに書いた小説「一面の霧」がベストセラーになり、現在はTV番組に出演しながら
大学教授をしている有名人サンディは、番組で司会を務めるシングルマザーのルーシーと付き合っている。
だがサンディには万引癖があり、彼はあるスーパーマーケットで万引をするが、警備員ロバートは彼が
万引している光景を撮影した防犯カメラの映像を保存していると言い、サンディに自分の友人になるよう
脅し始めて……。
(WOWOW)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358912こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-02-08 14:45 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声 Boychoir」
2014 アメリカ Informant Films,Informant Media.103min.
監督:フランソワ・ジラール
出演:ギャレット・ウェアリング、ダスティン・ホフマン、キャシー・ベイツ、エディ・イザード他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
★は6.5。決して悪い映画ではなのだが、展開がどうもありきたりすぎて。ただ、少年合唱団の
透き通った天使の歌声は堪能できた。アメリカに国立少年合唱団というものがあったとは
寡聞にして知らなかった。少年合唱団といえば、「ウィーン」が超有名である。

心根は優しいのだが、私生児として不幸な生い立ちをしたステット少年が、母が交通事故で
亡くなったことをきっかけに校長の勧めもあり、少年合唱団に入り、その天性のボーイ・ソプラノで
いろいろと苦労はあったが、ソロを任されるまでに成長する、というお話。
その指導に当たるのがダスティン・ホフマン。「ウィップラッシュ」の鬼コーチを思い出した。
あれほど性格破綻じゃないけど、生い立ちも似ている。

さて、全国でも有名なコーラス隊を抱える学校に来たはいいけど、正式な音楽教育など受けて
おらず、楽譜すら読めない。ただそのボーイ・ソプラノは、いち早く指導の先生が気づくほど
圧倒的だった。ただ、ステットは素行が悪く、その点先生方も苦労していた。
しかしステット少年は、楽譜をルームメイトに学び、聖歌を歌う歓びに目覚め、懸命に
練習する。そしてその実力は、団の中でも頭角を現していく。

お決まりとして、寄宿舎の中のイジメや、ソロを争う少年から大事なコンサートで楽譜を
隠されたり、暴力事件を起こしてしまったり・・・。
彼は私生児であるが、父親は富豪らしい。実力が出てきて注目され始めると、今の家族にも
ひた隠しにしていた私生児ステットの存在がバレてしまうので、スイスの寄宿学校に転校させ
ようとする。指導官カーヴェル先生(ホフマン)は、「残れ」と主張する。

そして、ニューヨークの教会でクリスマスにメサイアを歌うという名誉あるチャンスが巡ってくる。
ソロを取るのはもちろんステット。父も見学に来ていた。
ソロでハイDという超高い声を美しく出せるのはスティットだった。。
間もなく、ステットに声変わりが訪れる。彼の実力を見出した先生の一人は「ボーイ・ソプラノは
神様がほんのいっとき与えてくださる声だ。アルトで残る道もあるよ」と残留も出来ることを
言うが、スティットは、今の妻に真実を打ち明けた父と、ニューヨークの学校に転校していった
のだった。

天使の歌声を堪能する映画ではあるのだが、ステットという少年が、クアイアーの魅力に
周囲の理解もあって目覚めていき、さまざまな苦難を乗り越えて、その実力の頂点に上り詰める
ことが出来る、という、短い時間に山場の置き所も上手く、よくまとめられたお話だと思う。
大向うを唸らせるようなものではないが、ホノボノと見ることが出来る。
それにしても、アメリカ国立少年合唱団というのがあるのを初めて教えてくれたという点でも
見っけもんの映画であった。
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<ストーリー>
 問題児だった少年が、ひとつの出会いをきっかけに、“ボーイ・ソプラノ”としての才能を開花させ、
自らの運命を切り開いていく姿を描いた感動ドラマ。
出演は主人公の少年役にオーディションで選ばれた新人ギャレット・ウェアリング、その人生の師となる
厳格な教師役に名優ダスティン・ホフマン。
監督は「レッド・バイオリン」「シルク」のフランソワ・ジラール。

 12歳の少年ステットは、母親との2人暮らし。複雑な家庭環境のせいで心が荒み、学校では
トラブルばかりを起こす問題児。せっかく彼の才能を高く買う校長が国立少年合唱団のオーディションの
場を手配してくれたのに、それをドタキャンしてしまう。
そんなステットのもとに、母の事故死の知らせが届く。葬儀の場で初めて顔を合わせた裕福な父親は
彼を引き取ることを拒否し、代わりに多額の寄付金を用意して、国立少年合唱団の付属学校に転入させる。
そこでステットを待っていたのは、クラスメイトからのいじめと、厳格で知られるベテラン教師
カーヴェルの厳しい指導だったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353142こちらまで。



# by jazzyoba0083 | 2017-02-06 21:40 | 洋画=は行 | Comments(0)