デッドプール Deadpool

●「デッドプール Deadpool」
2016 アメリカ 20th Century Fox.108min.
監督:ティム・ミラー
出演:ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン、エド・スクライン、T・J・ミラー他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>

「アメコミファン」して評価に多少のゲタを履かせて頂きました。が、それをおいても
面白い映画だと思う。マーベル初のR指定になるほどの、お下劣、残酷、なのだが、
いわば「大人版マーベル映画」として、とっても楽しい時間を過ごせた。コミック映画って
最初のうちは、無邪気にノーテンキに正義のミカタをやっているのだが、シリーズが
進んでいくと、内省的になり、小難しい点が出てくる。バットマン、スーパーマン、
スパイダーマンなどなどまたアヴェンジャー系も皆そんな歴史を踏んでったような気がする。

ところがこの映画は、冒頭から徹頭徹尾、「とことん復讐」「やるなら容赦なく」という
男の子映画が持っていてほしいと願うカタルシスを十分すぎるほど積み込み、スピード感に
溢れ、楽しいことこの上ない。ただ、下ネタ満載(下ネタの画像も)だし、血がドバドバなので
それ系が嫌いな人にはお勧めできない。

もともと普通の人間だった男がミュータント化されるのはX-MENシリーズでもあったから
珍しい展開ではないのだが、ストーリーの展開が、なにせ、「いまからおバカ映画を始めます」
というクレジットが流れるくらい、人を食った、おバカで、お下品で、というもので、
眉間にシワを寄せて、なんて本来アメコミには要らない(と私は思う)要素はとことん排除し
その「過激っぷり」「バカっぷり」「おふざけぶり」の、半端ない突き抜け方を褒めたいと思う。
脚本と演出が上手く機能した結果だ。

また「デッドプール」こと、ウェイドの乾燥した性格もいい味付けで、醜い顔にさせられちゃう
のだが、めげずに愛する人のために悪と戦うという姿もカッコイイ!セリフもウィットが
効いていて楽しい。これぞアメコミの基本!アクションシーンのガジェットも含め闘いの工夫も良く
考えられていると感じた。加えてアクションの容赦・中途半端さが全く無い(非道無情ではあるが)
というのも、この手の映画を観ているものとしてはスカッとする。

また時制を前後させたり、敢えてデジタルの早送り場面を見せたり、CGの派手な使い方も
含めて、画作りにも興奮させられた。このところ観たマーベルものでは一番といってもいいかも
しれない。クセは強いけど。で、これがアメリカで大ヒットしたので、さっそく現在パート2を
製作中。今度はIMAX 3D版で観ようかな。本作の監督、これが一作目らしいけど、やるじゃん。

しかし、アヴェンジャーもどんどん増えていくけど、X-MENもどんどん新メンバーが増えて
いくなあ。
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<ストーリー:結末まで触れています>

ニューヨークでトラブルシューターをしながら日銭を稼ぎ生活しているウェイド・ウィルソンは、
高級娼婦のヴァネッサと出会い交際し始める。愛し合い結婚の約束をしたウェイドは、
意識を失い病院で末期ガンと診断される。

ウェイドは酒場に来たリクルーターの男の誘いに乗り、がんの治療と引き換えに極秘の
人体実験の被験者となることを決める。それと同時に、ヴァネッサの前から姿を消す。
ウェイドは施設でフランシスというミュータントの男から細胞を変異させる薬品を投与され、
変異を誘発する為に拷問を受ける。
ウェイドの細胞は変異し、不死身の肉体を手に入れるが、引き換えに全身が爛れた醜い
姿に変異した。意図的に火事を起こして施設から脱出したウェイドだったが、ヴァネッサが
醜い自分の姿を受け入れるとは思わず、再会を避けて盲目の老婆アルの家に居候する。

フランシスの言った言葉を頼りに元の姿に戻るため、覆面をつけて死人が出るかどうかの
賭け(Dead Pool)に由来したデッドプールと名乗り、フランシスと組織につながりのある
人物を襲撃する。

リクルーターの男からフランシスの居場所を聞きだしたウェイドは高速道路でフランシスを
襲撃する。
フランシスを追い詰めるが、そこにテレビ放送で騒動を見て駆けつけたミュータントの
ヒーローチーム「X-MEN」のコロッサスとネがソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド
が現れ、彼らと問答している間にフランシスに逃亡されてしまう。

デッドプールの正体を知ったフランシスは人質にヴァネッサを誘拐する。これを知った
ウェイドは、コロッサスとネガソニックの協力を得て、フランシスがいる巨大航空母艦が
ある廃棄場に向かい、フランシスの傭兵を相手に戦いを始める。
ウェイドはフランシスを追い詰め元の姿に戻すよう迫るが、フランシスは「元通りにする
方法などない」言いウェイドはフランシスを射殺する。

戦いの後にウェイドとヴァネッサは対面し、ウェイドは素顔を見せるが、ヴァネッサは
ウェイドを受け入れて二人が結ばれて物語は終わる。(wikipedia)

<IMDb=★8.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:84% Audience Score:90%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355574こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-04-20 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち The Eichmann Show」
2015 イギリス Feelgood Fiction,BBC,and more.96min.
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
出演:マーティン・フリーマン、アンソニー・ラパリア、レベッカ・フロント、アンディ・ナイマン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

セミドキュメンタリーのような作りの中で、初めてテレビ放映された裁判として歴史に
名を刻むことになった、1961年を中心としたテルアビブでの「アドルフ・アイヒマン裁判」での
テレビ側の人間を中心に裁判が描かれる。
ユダヤ人が初めてナチを裁くという歴史的な裁判であり、この裁判で証言をした200人以上の
絶滅収容所体験者の口から出た言葉に世界が衝撃を受けた裁判としても有名なものだ。

本作では、歴史的なこの裁判をなんとかテレビを通して世界に送り出し、ナチスが欧州の
ユダヤ人に何をしたかを詳らかにしなくてはならない、と正義に燃えるテレビプロデューサーと
彼にフィーチャーされた赤狩りにあって仕事がなくなったドキュメンタリー映画監督の
コンビが、イスラエル当局の様々な制限を打ち破りついに放送にこぎつける。アメリカなどには
生で送れなかったので、ビデオテープにして空輸し放映したという。(この時代にもうVTRが
あったとはちょっと驚いた)

この映画でのハイライトは、もちろんアイヒマンやヘスらがユダヤ人にした仕打ちの人道的な
弾劾であることは勿論なのだが、この裁判を通して、表情を崩さないアイヒマンの変化を
何とかして捉えようとするドキュメンタリー作家としてのディレクターと、「テレビ映え」
視聴者受けに次第に傾いてしまう箇所(特に、ガガーリンの宇宙旅行とキューバ危機がこの
裁判に重なり世界の興味からこの裁判が遠のいてしまうことを危惧する時期)では、
プロデューサーとしてのテレビ的成功が全面に出てきてしまう側面との対比が、見せ場では
なかったか。プロデューサーとて正義感にあふれてはいるのだが、所詮テレビ業界の人間
なんだなあ、と。観てもらえてナンボじゃないか、という口だ。

そして、裁判でアイヒマンに見せる収容所の凄惨な場面は、作品中でもスタッフが気分が
悪くなり持ち場を離れざるを得ないようなものすごいものなのだが、ディレクターが狙い
たいアイヒマンの表情の揺れは撮れなかった。逆に証人が証言中に失神したりする。
その映像は、自分たちが作っているテレビ番組が超えることの出来ない圧倒的な存在を
示していた。
また当時は迫害されたユダヤ人たちがその様子を語ると、「そんなことがあるわけがない」と
世間から信用されなかった、という事実はショックだった。このアイヒマン裁判が、そうして
隠れてしまっていたホロコーストの実態をあぶり出す世界史的な役目もしたわけだ。
片や、ディレクターの宿の女主人とのやり取りで、結局アラブの地であった場所を
イスラエルとして建国してしまったことに始まる大いなる不幸も片方には出来てしまった
わけだ。イギリスの三枚舌外交の悪辣さはあったとはいえ、だ。

結局アイヒマンは人道に対する罪やユダヤ人迫害についての罪などで絞首刑になるのだが
自分に責任はない、と終始主張していた。多くのナチ司令官がそうであったように。
自分は命令されていただけだと。アイヒマンの本当の心情は語られることは無かった。
「所詮小役人に過ぎない」といえるのかどうかは誰も分かるまい。
本作でも最後にプロデューサーが語るが、こうした「正気の沙汰ではない」ことをする
のが、出来てしまうのが人間なのだ、ということ。今の世界情勢を見る時、当時のナチの
存在を、「歴史に消えた汚点」と言い切ってしまえない怖さを改めて感じさせた。

粛々と進むドラマではあるが、当時の映像も含め、見る価値のある映画である。今だからこそ。
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<ストーリー>
1961年にイスラエルで開かれた“アイヒマン裁判”を撮影し、世界にホロコーストの真実を
伝えたテレビマンたちの実話を映画化したドラマ。
歴史的TVイベントの舞台裏を通して、幾多の困難を乗り越え、世紀の裁判のTV放映を
実現させた男たちの葛藤と信念を描き出していく。
出演はマーティン・フリーマン、アンソニー・ラパリア、レベッカ・フロント。
監督は「アンコール!!」のポール・アンドリュー・ウィリアムズ。

 1960年、ユダヤ人絶滅計画を推し進めたナチ親衛隊の将校アドルフ・アイヒマンが
逃亡先のアルゼンチンでイスラエル諜報機関により拘束される。その後、彼はイスラエルへ
移送され、エルサレムの法廷で裁かれることに。
アメリカの若き敏腕プロデューサー、ミルトン・フルックマンはこの裁判のTV放映権を
獲得、監督に赤狩りで職を失っていた米国人ドキュメンタリー監督レオ・フルヴィッツを
起用するなど一流のスタッフを編成し、万全の体制で本番に臨もうと意気込む。
そんな彼らの前には、思いも寄らぬ数々の困難が待ち受けていたのだが…。

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:--- Audience Score:56%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355429#1こちらまで。

 

# by jazzyoba0083 | 2017-04-19 22:55 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

極秘捜査 Geukbisusa

●「極秘捜査 Geukbisusa」
2015 韓国 108分
監督・(共同)脚本:クァク・キョンテク
出演:キム・ユンソク、ユ・ヘジン、チョン・ホビン、ソン・ヨンチャン、イ・ジョンウン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

WOWOWのオンデマンドで、「誘拐報道」と間違えて観始めてしまった作品。このところの
こともあり、余程の興味が向かないと韓国映画は観ないのだが・・・。
最後に本人たちの写真のも出てくるのだが、1978年、釜山で実際に起きた誘拐事件を扱った
ものだ。が、これが事実に基づいたものじゃなくて単なる創りものだったら絶対に見続けよう
とは思わなかった。というのも、捜査の大きな力になっているのが「導師」といわれる
占い師だからだ。もちろん警察がそういう捜査を公認しているわけではないのだが、ソウル対
釜山とか、内部闘争とか、腐っている警察の中で、誘拐された子供の母親の気持ちを考えれば
いたたまれず、捜査に乗り込む際の、たまたま相棒となるのが、導師だったわけだ。

幼い幼稚園児が誘拐され身代金が要求されるのだが、心当たりがない。捜査を任されたのは
両親とつながりのあるコン刑事。母親はあちこちの占い師にすがるのだが、だれもが「もう
死んでいる」という。最後に訪れたキム導師のみは「まだ生きている」と占う。
そこからコン刑事とキム導師の真剣な捜査が始まる。そうしているうちにも、警察内部の
足の引っ張りあいや、「極秘捜査」を進めるコン刑事に対し、公開捜査をしようとする
上層部、敵はあちらこちらにいるのだった。

そうこうするうちに、キム導師が、四柱推命から土、水、などの気を受けて、誘拐された
児童がいそうな場所を予言する。これに従って、コン刑事らが動き出すが・・・。

結局、借金だらけのそこらにいる男が犯人で、逮捕され、幼児も無事に保護され一件落着
だったが、警察で表彰、昇進したのは、コン刑事の足をひっぱり最後だけ美味しいところを
もっていった嫌な幹部だけ。さらに、占いを当てたキム導師は、恩師である導師に手柄を
譲ってしまった。ラストシーンで、キム導師は、コン刑事が今後活躍し、身分もどんどん
昇進する、と予言し、字幕では、実際に今刑事は出世し、警視正にまでになったという
説明がなされる。

70年代の韓国警察のカネで動く腐り具合がちゃんと出ているし、リアルに起きたことの
緊張感はあるし、相変わらず彼の国の人はエキセントリックだし、まあまあ面白く観ました。
現代は韓国語がわからないと意味不明だろうが、カタカナにすると「グクビスサ」。
極秘捜査のハングル発音であります。
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<ストーリー>

韓国犯罪史上に残る奇妙な少女誘拐事件を映画化した実録サスペンス。ある裕福な家庭の
少女が誘拐され、担当刑事は母親の信頼する占い師と協力して捜査に当たることに。

釜山。小学生の少女が何者かに誘拐された。少女の家庭が裕福だったことから営利目的か
と思われたが、犯人からは一向に身代金を要求するような連絡がない。
担当のコン刑事は、安全を優先する極秘捜査の継続を主張するが、膠着状態が続き、
公開捜査に踏み切るべきという声は高まるばかりだった。
彼が自信を失う一方、少女の両親、特に母親は、信頼する占い師のキム導師が言う
「コン刑事が娘を救う」との予言を信じ続けるが……。
(WOWOW)

<IMDb=★6.3>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=356447#1

# by jazzyoba0083 | 2017-04-17 23:00 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「ジャッキー/ファーストレディ最後の使命 Jackie」
2016 アメリカ Fox Searchlight Pictures,LD Entertainment,Wild Bunch.99min.
監督:パブロ・ラライン
出演:ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレタ・ガーウィグ、リチャード・E・グラント他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

ジャクリーン・ケネディ、華やかで悲劇的な存在。大統領暗殺の数年後、ギリシアの大富豪オナシスと
再婚し、死亡時の名前は、ジャクリーン・ケネディ・オナシス、であった。また長男のJFKジュニアも
自ら操縦する自家用機の墜落で死亡、いまやJFKの直系の血を継ぐのは、現在楽天に勤務している
キャロライン・ケネディの長男となってしまった。
そのあたりの毀誉褒貶がないまぜになり、ジャッキーの本心というか実態は我々普通の日本人には
あまりよく理解さいれていないのではないか。また多くのアメリカ人庶民とても。

そんなジャッキーの、JFK暗殺後ほぼ1週間後に雑誌記者からインタビューを受ける形で、ホワイト
ハウスでの生活やJFKを巡る、あるいは子どもたち、ホワイトハウススタッフたちを巡る、結構
重い話が展開される。有名な話は知ってはいても、彼女が語る真実は、ジャッキーの新しい
イメージとして、個人的には面白かった。(映画に書かれたことが本当かどうかは分からないが)

ジャッキーは美人だし、富豪の娘だし、頭はいいし、ファッションアイコンでもあったので
ミーハーな気分で観に行くと、あかんですよ。映画は「重い」。けだし本作は、脚本と
ナタリーの演技を味わうものなのだろう。

ダラスで夫が銃弾に倒れた後、脳が飛び散る頭を押さえ、必死に呼びかけた。しかし、夫は
既に死んでいたことは判ったという。国の安全と政治を継続的に執行するために、棺を乗せ
ワシントンへともどるエアフォースワンの中で、副大統領リンドン・ジョンソンの次期大統領
への宣誓式が行なわれる。(有名なシーンだ)ジャッキーは側近のアドバイスを受け付けず、
血の付いた服で、どうどうと飛行機の先頭出入り口から外へと出ていく。

ジャッキーがホワイトハウスに入り、調度品を全て国民と現代のモチーフに会うように変更した
ドキュメンタリーの再現映像も使われ(この初めてホワイトハウス内部を公開した
ドキュメンタリーでジャッキーはエミー賞を獲得した)、自分がファーストレディとして
ホワイトハウスをどう変えようか、また夫をどうサポートしようか腐心したことが語られる。
一方で、暗殺後ジャッキーは、周囲からは同情の目で見られるが、立場的には「元大統領婦人」。
自分と夫がやってきたことが次々とジョンソンのスタッフににより上書きされていってしまう。

夫の葬儀さえ、自分の主張が通らなくなってきている。しかし自分を主張するジャッキー。
そこには、自分とJFKの仕事とホワイトハウスでの時間を、国民の心に永遠に残して欲しかった
という強い思いがあったからだ。それが二人の生きた証だからだ。そこにジャッキーの強い
こだわりを感じるのだ。そこには大統領夫人として幸せだったのか不幸だったのか、などの
感情は入らない、入れてもらえない。ラスト。最初に流産した子と、産まれた直後に死亡した
二人の子供の棺を夫の隣に埋葬してもらったシーンにおいて、彼女のケネディ家の嫁として
またJFKの妻としての「私的な」感情が戻ってきたシーンであったように思えた。

ナタリーのジャッキーは、似ている似ていないは置いておいて、そのほとんど笑わない演技は
弱さと毅然さがよく演じられ迫力があった。
アップの多用、記者との会見は正対ショットで、いわゆる「ナメ」を使わない新鮮さ、モノクロの
映像でホワイトハウスを紹介するドキュメンタリー映画の質と、当時の音声の再現、葬儀を
中心として時折使われる当時の映像も巧みであった。ジャッキーの心情を代弁するような、
いささか大仰ではあるが、音楽も映像・物語にマッチしていたといえる。

JFKがどういう人であったかとか周囲のスタッフがどうであったか、自分の子供たちはどうで
あったかとかはあまり関係なく、「元ファーストレディ」としてどう振る舞わなければなら
なかったか、そうでなければ、自分とJFKは歴史に残らなくなってしまう、という側面を
ジャッキーサイドから描いた映画である。
故に、サースガードがいきなりボビーとして出て来るが、アメリカ人なら知っている所では
あってもこれが、弟で司法長官だったロバート・ケネディとすぐには分かりづらかろう。また
もう一人の弟、エドワード・ケネディも作品中で紹介されることはない。

ひたすら「元ファーストレディ」となってしまったジャッキーの心情が綴られる作品なのだ。
毎度のことながらRotten Tomatoesでは、玄人筋に受けが良く、一般客にはそうでもない、と
いうのも理解出来る。日本でもヒットはしづらかろう。
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<ストーリー>
1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ大統領は、テキサス州ダラスでのパレードの最中に
銃撃される。
目の前で愛する夫を暗殺されたファーストレディのジャッキーことジャクリーン・ケネディは、
怒りと衝撃に震えていたが、悲しんでいる時間はなかった。
すぐに副大統領が新たな大統領に就任して激務を引き継ぎ、刻一刻と夫が過去の人になって
いくのを目の当たりにしたジャッキーは、彼の名前と功績が後世に残るかどうかは、
この数日間の自分の行動にかかっていると気付いたのだ。
自らの手で築き上げてきた<ケネディ伝説>を永遠にするために、ジャッキーは命の危険さえも
顧みず、最後の使命に身を投じる──。(公式HPより)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:63%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358900こちらまで。



# by jazzyoba0083 | 2017-04-16 16:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ハイヒールを履いた女 I,Annna」
2012 イギリス・ドイツ・フランス Embargo Films.92min.
監督・脚本:バーナビー・サウスコーム 原作:エリサ・リューイン『わたしはアンナ』
出演:シャーロット・ランプリング、ガブリエル・バーン、エディ・マーサン、ラルフ・ブラウン他

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評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

日本未公開映画を放送するWOWOWの「ジャパン・プレミア」で鑑賞。「愛の嵐」から39年の
シャーロット・ランプリング。相変わらず、何を考えているのかいないのかよく分からない謎の
配役。個人的には、ラストの孫の交通事故の下りあたりで訳がわからなくなり、ネットで調べて
ようやく理解した次第。まあ、私の観方が稚拙であったのおしかりは甘んじますが、それにしても
埋められた伏線がわかりづらくて・・・。空のブランコ、留守番電話・・・。後で言われれば、
なるほどね、とは思うけど、これじゃ分かりづらいでしょ?

人が入り乱れるので、あれがこれでこれがあの人でって確認していてこれだから、しれっと観飛ばすと
なんのこっちゃか全くわからない映画になってしまうのじゃないか。原作ものだから、といって映像化上、
無理からぬ事、とは到底思えない欠点となっていると思う。

中年の独身者を集めた「お見合いパーティー」があるよね、で、そこで主人公アンナ(ランブリング)が
ジョージ・ストーンという男と出会うね、で意気投合してジョージの家に行くよね、するとそこに、
悪の入り口に立ってしまっている息子が来ちゃうよね。息子は気まずく出ていくよね。
一方、殺人事件が発生するよね、殺されたのはジョージだわな。近くにいた刑事バーニーが現場に
急行するよね、するとそこでアンナ出会うよね、彼女はカエルさんデザインの孫の?傘を探して
いたと、いうね。バーニーは妻と上手く行かず別居しホテル住まいだね、バーニーはどうやら
彼女に一目惚れしちゃうふうだね。で、彼女を付けていくうちに、また独身パーティー会場に
やってくるね。お互い偽名を使って話し合うね。で意気投合するけど、その夜は送って帰るね。

アンナには娘と孫娘がいて、部屋に出入りしているんだね。一方警察の捜査は防犯カメラから
アンナのクルマを割り出すね。で、ジョージもアンナが犯人らしいとは思うけど、自分で何とか
したいと考えるね。(どうしようっていうんだろうかね)で、アンナの家に行くね。警察も来るね。
フラッシュバックとして、ジョージの頭を美術品で殴り殺しているシーンがでるね。やっぱり
ジョージを殺したのはアンナで正解。で、アンナは部屋にカギをかけ訪ねてきたバーニーを締め出し
窓から飛び降り自殺しようとするね。そのフラッシュバックでは、遊ばせていた孫娘が自分から
離れていってしまい交通事故に会う、というところだ。それを娘に知らせるという辛いシーン
だったな。そうか、娘と孫は随分前に死んでいたわけだな。それが理由で精神が不安定になり
男漁りをしていたのか? 消火器でドアを壊して部屋にバーニーはアンナの腕をつかみ、
「君が死ぬことはないんだ」と説得するね。それで終わり。
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まず、この刑事、ストーカーまがいで脇が甘い。事件に私情を持ち込みすぎ。そして殺された
ジョージの妻や息子、その仲間というか上層部にいる悪の存在は何だったの?全編の中で
アンナと孫の登場するシーンの置き場所は適切であったの?と制作上いろいろと突っ込んで
観たくなる所一杯。冒頭からネタばれを読んでから観ても大丈夫な映画だと思うので、観たい、
と思う人は映画にまつわる伏線や、生きている人なのか死んでいる人なのかを知ってから観ても
いいんじゃないかなあ。そんな映画でした。

<IMDb=★6.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:60% Audience Score:50%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359843#1こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-04-13 22:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

愛の嵐 The Night Porter

●「愛の嵐 The Night Porter」
1974 イタリア・アメリカ Lotar Film Productions.117min.
監督・(共同)原作・脚本:リリアーナ・カヴァーニ
出演:ダーク・ボカード、シャーロット・ランプリング、フィリップ・ルロア、イザ・ミランダ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

私が大学3年生の時の作品。当時の印象は「キワモノ」。(それほど映画に興味が無かった時期
でもあるのだが)今回、WOWOWがシャーロット・ランプリングの作品を沢山放送した機会に
ちゃんと本作を観てみることにした。賞の対象になるような映画ではなかったが、その表現が
(時代も有ったのだろう)大変評判になった作品だから。シャーロットの上半身ハダカで
サスペンダーにナチSSの帽子、というポスターや雑誌への掲載写真は衝撃的ではあった。

1957年のウィーンで始まる本作は、かつて収容所にいた少女ルチア(シャーロット)と、そこで
この少女を倒錯した愛情の世界で愛した親衛隊のマックスが、意外なシーンで再会することから
始まる。今や高名なクラッシック指揮者の妻となったルチア、かたやホテルのマネージャーと
いう立場であった。
そこから、二人の戦時中の映像がカットバックしながら、現在の二人の「愛」?の行方を追う。
一方で、今でもヒトラーを信奉するSSの生き残りたちは、マックスの正体がバレ、ルチアが彼が
SSであったことの証人となることを恐れ、二人の口を塞ごうと説得を重ねる。

さもありなんのヒトラー親衛隊のユダヤ人を相手にした倒錯した、あるいは屈折した性癖は
衝撃的であるし、男娼の存在、性に対する異様な態度など、今でこそそうびっくりはしないの
だが、当時は衝撃を持って迎えらたのだろう。そこで記録係としてフィルムを回していた
マックスは、収容所のユダヤ人の中にルチアという独特の美しさを持った少女を見つけ、いわば
彼女を「調教」していくのだ。 

こうしてストーリーや映像表現を追っていくと、「変態映画、エロ映画か」と思い至ることは
簡単である。
確かにマックスの性癖はまともではない。そして、異常な環境で、死んで当たり前という中、
形はどうあれ、愛情を示してくれたマックスに対し、まともではないにしろ、深い愛情を
感じてしまっていくルチアではあったのだ。それは戦後15年ほども経過して後も、二人の心に深く拭い
切れずに残っていたわけで、再会でその炎に火が付いてしまったのだ。マックスは戦後
「ドブネズミとして生きる」と称し、SSであったことを伏せ、静かに暮らしていたいと
思っていた。ところがルチアの登場で、状況は全く変わってしまう。マックスの口からナチ
シンパのグループがバレてしまわないか、彼らは二人をなき者にしようとして来たのだった。

自分のアパートに閉じこもり、外には全く出ず、食い物はなくなり、仲間に拉致されることを
恐れルチアは鎖で繋がれる。だが、夫と離れマックスといることを選んだのはルチアであった。
マックスには同情は出来ないが、死の淵から形はいびつだが愛情という手を差し伸べ命を
救ってくれたマックスを深く愛してしまったルチアこそ悲劇(本人は悲劇とは思っていないが)
であった。

当時まだ20代であったシャーロットのあの独特の眼差し、そしてまるで少年のような薄い胸。
狂気の愛に取り込まれたユダヤ少女とその成長した姿は凄味があった。かたや一見人の良さそうな
おっさん風のダーク・ボガード、変態を突き抜けたある意味「純愛」を貫いた中年男の悲哀が
出ていた。二人は死出の服を着て、街から逃亡しようとするのだが、待っているのは悲劇であり、
二人はその結末を甘んじて受ける覚悟だったのだ。歪んではいたが、これも一つの「愛に生きた」
男女の話なのだ。女流監督の手により脚本も作られていることを思うと、ルチアの側面が一層
心を打つのだった。
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<ストーリー>

1957年、冬のウィーン。とあるホテルで夜番のフロント係兼ポーターとして働くマクシミリアン
(マックス)は、戦時中はナチス親衛隊の将校で、現在は素性を隠してひっそりと暮らしていた。
ある日、客としてアメリカから有名なオペラ指揮者が訪れる。マックスはフロントに現れた指揮者の
妻を見て困惑する。彼女、ルチアは13年前、マックスが強制収容所で弄んだユダヤ人の少女であった
からだ。ルチアもまた驚きの表情を隠せなかった。

ルチアは夫に早くウィーンを発とうと促すものの、出発の直前になって何故か一人で留まることに
決める。自らの出身地でもあるウィーンの街をさまよいながら、彼女は強制収容所での異常な体験を
追憶していた。収容所に入れられた当初からマックスに目をつけられ、彼の倒錯した性の玩具として
扱われたこと。周囲の冷たい視線を浴びながら、着せ替え人形のように順応せざるを得なかったこと―。


一方で、弁護士のクラウスやバレエダンサーのバートら、元ナチ将校の面々がホテルの一室に集まって
いた。彼らは戦後のナチ残党狩りを生き延びるために、ナチス時代の所業を互いにもみ消し合い、
時には証人の抹殺まで行っていた。そんな彼らの会合の中で、奇しくもルチアの存在が取りざたされる。
会合を盗み聞きしていた彼女は、身の危険を感じ今すぐ出発することに決めた。

部屋で苛立ちながら荷造りをするルチアのもとに、マックスがやってきた。彼はいきなりルチアを
殴りつけ、詰問する。「どうして今さら、目の前に現れたんだ!」しかしマックスは、彼女の腕に
残る囚人番号の入れ墨に、思い出したように唇を寄せる。2人は激しくもみ合ううちに、熱い息を
吐き、けたたましく笑いながら交わっていた。たちまち13年間の空白は消え、ルチアとマックスは
再び倒錯した愛憎の嵐へと叩き落とされたのだ…。(wikipedia)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:68% Audience Score:70%>


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# by jazzyoba0083 | 2017-04-11 23:15 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「あの日のように抱きしめて Phoenix」
2015 ドイツ  Schramm Film Koerner & Weber 98min.
監督:クリスエィアン・ペッツオルト  原作:ユベール・モンティエ『帰らざる肉体』
出演:ニーナ・ホス、ロナルド・ツァフェルト、ニーナ・クンツェンドルフ、ミヒャエル・マールテンス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

戦争がもたらす不幸の一形態を、サスペンスの要素を巧妙に取り入れて訴えた。個人的には
好きな作品だ。原作があるので、ストーリーの面白さは映画が本来持っていたものではないのだ
ろうが、映像化することにより、この物語が持つ重要性が一層大きく示されたといえる。
舞台は第二次世界世界大戦終結後のベルリンである。

ナチ対ユダヤというとどうしても問題が大きくなる部分に目が行きがちだが、夫婦という最小限の
他人同士のユニットの間に訪れたこの問題が、夫婦だからこその濃さと主張を持って迫る。

加えて、ジャズの名曲「スピーク・ロウ」をこの映画の重要なファクターに置いたという点も大きな
評価になる。オープニングのベースのみの旋律で始まり、ラストは主人公ユダヤ人ネリーが夫のピアノ
伴奏で歌うのだが、その歌詞の内容とリンクした夫の驚愕の表情、そして歌い終わり光の中に消えていく
ネリーの姿は彼女の未来への一筋の希望を示していて鮮やかであった。それが原題へと続くのだろう。

また、ネリーの友人にしてナチス・ドイツを憎み、パレスチナに建設されるユダヤの国に一緒に行こうと
誘う弁護士ルネ、彼女は何くれと無くネリーを助けるのだが、「死者にしか思いが向かないの」と言って、
最期は自殺してしまう。ナチスにメチャクチャにされた人生と結局シオニズムに身を投ずることもなく
死んでいくルネにも、戦争が一人の人生・精神を如何に破壊するものか、を示していて興味深いものが
あった。死んだルネはネリーの夫がネリーがナチに逮捕される前に既に離婚を申し立ていたという書類を
残していた。そして彼女が残した銃で夫を殺そうか、という思いに至る時期もあった。が、ネリーは
夫を愛していたのだ。心から。しかし、その書類を見るに及び、ルネが言っていた「あなたの夫は
あなたが死んだことで、遺産を独り占めしようとしているのよ」という言葉を信じるに至る。

本当の妻なのに、ナチスにより顔に壊滅的な怪我を負って整形をしたため、本当の妻と見抜けぬ
裏切りの夫は、それなりの小物っぷりがそれはそれで良かった。彼の人生を誰が咎められようか。あの
戦時に置いて。声や体つきで本物と分かるだろう、整形うますぎだろう、とかいうツッコミは
さておくとして、長い映画ではないが、2時間以上の映画を見たような「思い」が残った。
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<ストーリー>

1945年6月、敗戦直後のドイツ・ベルリンに元歌手のユダヤ人女性ネリーが強制収容所から
奇跡的に生還する。顔に深い傷を負った彼女は、親友の弁護士レネの助けで顔面修復手術を受ける。
傷の癒えたネリーは愛する夫ジョニーとの再会を果たすが、彼女が死んだと頑なに信じている
ジョニーは彼女を妻によく似た別人と思い込み、彼女の一族の遺産を手に入れるために妻に
なりすましてほしいと頼む。
激しいショックを受けたものの、ジョニーとの再会のみを心の支えに収容所で必死に生き抜いて
来た彼女は、ジョニーの提案を受け入れ、ジョニーと共同生活を始める。
元の顔を失い、自分自身をも失っていた彼女はジョニーの言うままに昔のネリーを演じる中で
本来の自分を取り戻せたような気持ちになっていく。

一方、ジョニーが保身のためにネリーをナチスに売り、彼女の逮捕直前に離婚までしていた
事実を知るレネは、ネリーにジョニーは裏切り者なので縁を切れと言う。ネリーも疑念を抱く
ものの、事情があったのだと思い、ジョニーの言うがままに妻を演じ続ける。
そんなある日、レネが自殺する。レネの遺書には、ジョニーが一方的にネリーと離婚していた
ことを示す書類が同封されていた。

ジョニーは昔のネリーを知る友人たちとネリーとの「再会」の場を設ける。「ネリー」として
受け入れられた彼女は、友人らの前でジョニーとの思い出の曲「スピーク・ロウ(英語版)」を
歌いたいとして、ジョニーにピアノ伴奏を頼む。動揺しながらもピアノを弾き始めたジョニーは、
ネリーの歌声と腕に刻まれた囚人番号でようやく彼女が妻本人であることに気づく。
伴奏の手を止め、呆然とするジョニーを無視してネリーは歌い続ける。そして、ジョニーを残して
その場を去っていく。(wikipedia)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98% Audience Score:78%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353091こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-04-10 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「LION/ライオン ~25年目のただいま~ LION 」
2016 オーストラリア The Weinstein Company,Sea/Saw Films.119min.
監督:ガース・デイヴィス  原作:『25年目の「ただいま」』サルー・ブライアリー
出演:デヴ・パテル、ルーニー・マーラ、サニー・パワール、ニコール・キッドマン、デヴッド・ウィンハム他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:ラストまで書かれています>

タイトルがなぜ「LION」なのかは、映画の最後の最後に明かされるので、ネタバラシは
しておかないで置きます。今年のオスカー6部門にノミネートされた作品がようやくシネコンに
やってきました。「ムーンライト」が単館(名古屋では)上映になっている状況であれば、
本作がシネコンで上映されたのが奇跡のようだ。そのくらい内容は地味目である。
ちなみにうちの直ぐ側のイ○ン系のシネコンでは上映していない。まあ、今は春休み系の戦隊もの
やアニメ、JKものなどが幅を効かせているからなあ。

さて、本作、原作がある実話ものなので、感動のゲタを履いているとはいえ、よく出来た映画では
ある。では何故個人的に★が7つ(7.5)なのか。その理由が、少年時代を描く時間帯が長すぎた
んじゃないか、と感じたからだ。その部分では映画の抑揚が少ないと思った。確かに、成長してからの
主人公が仕事を捨ててまでグーグルアースを使って自分の出身地や実母、実兄と会いたい、との
思いを強めるための仕掛けとは理解出来るのだが、物語が大きく動き出すまでが平板な感じだった。
-------------------------------------------
インド、コルカタ付近で暮らしていた貧しい一家。兄弟はある日はぐれてしまい、弟サルーは動くな、と
言われていたのに列車に乗って、迷子となる。それ以来25年。彼はオーストラリアのお金持ちの
慈善篤志家の養子となり、何不自由無い成長をしていた。そして、同じインドの施設からは兄貴分と
して、自傷癖のあるマントッシュという男の子も養子として貰われてきたのだった。
成長し、ホテル経営を学ぶためメルボルンの大学で学ぶことになる。そこには多くの仲間がいた。
中に恋人となるルーシー(ルーニー・マーラ)もいた。サルーは育ての母スー(キッドマン)に
大きな感謝と愛情を感じていつつも、実の母は、兄は元気でいるだろうか、気になって仕方が
ない。友人の勧めで、グーグルアースを使って、幼いころの記憶を元に、実家のありかを探し始めた。

熱中する余り、仕事もやめ、恋人ルーシーとの間も思わしくなくなる中、彼は遂にインドの実家を
割り出す。
--------------------------------------------
インドの孤児を養子に迎えるというオーストラリアの夫婦。子供を作ることは出来たが、生まれた
子供が必ず幸せになるだろうか、ならば自分らの子供を持たず、養子を取り、彼らを立派するほうが
この世に意義がある、ということからの行動だが、カルトでもないのに、こうした夫婦がいるんだ
なあ。ブラピとアンジーみたいに自分の子もいて、養子もたくさんいて、慈善に熱心という金持ち
なら多少は理解も進むのではあるるが。

それと、観終えて一番思ったのは、たまたま前日にトランプがイランにミサイル攻撃をした直後
だったからかもしれないが、この映画に描かれているように、殆どが善人だったら世の中どんなに
いいだろう、ということとその反面、年間8万人いると説明されるインドの行方不明の子供の
原因の多くが貧困であり、中東問題も宗教問題も大きいが、貧困の問題も見逃されないものだ、
ということ。
一方で、どんな事情があるにせよ、実の家族を思う人の愛情の強さ、とは何者にも変え難いと
いうこと。さらに一方で、サルーのように恵まれた家庭に引き取られPCを自在に扱え、
実家を探し当てて、その土地まで行く金銭的な余裕があった、という側面も忘れてはならない
とも。サルーの家族への愛、そして努力を否定するものではないし、よくやったとは思うけど、
彼みたいな子供ばかりではないということも私たちは知っておかなくてはならないだろう。

ラストに本物のサルー一家とオーストラリアの育ての母が対面する動画が出て来るが、スチル
写真のほうが効果があったと思うのだが。

出演者陣については全体に良いと思う。特に最近個人的に注目のルーニー・マーラがここでも
大事な役割を担っていて好演。
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<ストーリー>
5歳の時に迷子になり、オーストラリア人夫婦の養子として育てられたインドの少年が、
大人となりGoogle Earthを駆使して生家を見つけ出し、25年の時を経て実の家族との再会を
果たした奇跡の実話を「スラムドッグ$ミリオネア」「奇蹟がくれた数式」のデヴ・パテル主演で
映画化した感動ドラマ。
共演はルーニー・マーラ、デヴィッド・ウェンハム、ニコール・キッドマン。
監督は、これが長編デビューとなるオーストラリアの新鋭、ガース・デイヴィス。

 優しい養父母のもと、オーストラリアで何不自由なく育った青年サルー。友人や恋人にも恵まれ、
幸せな日々を送る彼だったが、ひとつだけ誰にも言えない悲しい過去があった。インドの田舎町に
生まれたサルーは5歳の時、不運が重なり兄とはぐれ、たったひとり回送列車に閉じ込められて、
遥か遠くの街コルカタに運ばれてしまう。
そして言葉も通じない大都会で過酷な放浪の末に、オーストラリア人夫婦に養子として引き取られた
のだった。
ある時、サルーの脳裏にこれまで押しとどめていたそんな少年時代の記憶が強烈によみがえる。
インドの家族への思いが募り、わずかな記憶を頼りに、Google Earthで故郷の家を見つけ出すと
決意するサルーだったが…。(allcinema)

<IMDb=★8.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:86% Audience Score:92%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359060#1こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-04-09 11:20 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「ミッシング・サン Meadowland」
2015 アメリカ Bron Studios,Itaca Films.94min.
監督・撮影:リード・モラーノ
出演:オリヴィア・ワイルド、ルーク・ウィルソン、ジョバンニ・リビシ、エリザベス・モス、タイ・シンプキンス他
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<評価:★★★★☆☆☆☆☆☆☆>
<感想>

IMDbの評価は低かったが、「突然消えた子供に、夫婦は・・」というサマリーに釣られ
観てみた。いや、辛かった。「辛い人生」って意味じゃなく、観ているのがシンドいと
いう意味で。何を言いたいのか分からなかった。子供を失った夫婦の悲しみを表現しようと
しているのか?それだったらもう少し細部にコダワリがほしい所だ。

ドライブの途中で寄ったガソリンスタンドのトイレからこつ然と消えた一人息子ジェシー。
何処へ言ったのか、誰かが誘拐したのか、事故か、事件か。全く手がかりが無いまま、ラスト
では、警察から当時着ていたジェシーの服が証拠として示される。まあ、だれかに拉致され
殺されたんだろうな。ま、そういう平仄を合わせるに際し、ちらりと決定的なものを見せる、と
いう手法も分からない訳ではない。

では、子供を失った教師サラはどうか。精神安定剤を服用しながらも酒を飲む、学校にいるアスペルガー
の子どもアダムにジェシーの面影を重ね、彼の父親と会い、セックスに至る。何、この母の心情。
つまり壊れた、ってこと?まだ証拠のシャツの事を聞く前だよ。壊れたらそれでいいじゃない?
そして、アスペルガーのアダムへの対応の始末は?像の涙で終わりかい!って感じ。あのあたりは
情緒に流され過ぎではないか。警察官のオヤジの立場も今ひとつはっきりしない。
この手の神隠し映画はこれまでもいろいろあったけど、話が抽象?過ぎて分かりづらかった。
Rottentomatoesのtomatometerの100%は、壊れているんじゃないか?
日本劇場未公開作品。
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<ストーリー>
TVドラマ「The O.C.」で注目されたワイルドが、消えた息子を案じるあまり精神を崩壊させて
いく母親役を熱演したサスペンス。共演は「キューティ・ブロンド」シリーズのL・ウィルソン、
「テッド」のG・リビッシ。加えて「ジュラシック・ワールド」の子役T・シンプキンスが孤独な
少年役で印象深い好演を見せた。
サスペンスより、むしろ最愛の息子を突然奪われた両親の苦悩を描く人間ドラマに重点が置かれた
演出が光る。「最高の人生のはじめ方」などの撮影を手掛けたR・モラーノが監督デビューを飾った。
(WOWOW)

<IMDb=★5.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100%  Audience Score:57%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=357398#1こちらまで。



# by jazzyoba0083 | 2017-04-07 22:40 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「人生は小説よりも奇なり Love Is Strange」
2014 アメリカ Parts and Labor.95min.
監督・(共同)脚本・製作:アイラ・サックス
出演:ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリナ、マリサ・トメイ、ダーレン・バロウズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

老人のゲイカップルの哀愁に満ちた話である。ゲイを主体にした映画は基本、あまり好まない
ので、どうしようか迷ったが、アメリカでの評価が高いので鑑賞してみた。短いし。
(お断りするが、私はLGBTに対し何ら偏見もない。が、映像としての男性同士の絡みが苦手
なんであります)

ショパンの曲をうまく使い、ニューヨークという都市の雰囲気の中、70歳を超える画家ベンと
やや年下の音楽教師ジョージの、老齢に及んだゲイカップルの哀愁が独特のタッチで描かれ、
ベンは最期は亡くなってしまうのだが、彼の甥の子の最期の涙とガールフレンドが象徴する
夕景は、希望よりも物悲しさが胸に広がる。監督としてはラストは若い人を登場させてカタルシスと
したかったのだろうけど、やはり映画全編に流れる哀愁の強さを、ラストだけで消すことは出来
なかった。39年もの間、パートナーとして暮らしていたベンとジョージはNY州が同性結婚を
認めたことから、晴れて結婚式を挙げ、一緒に暮らし始めた。家族を始め周囲に彼らを白い目で
みる人はいない。そこはさすがNY州である。

しかし、つまづきはジョージが教師をしている学校が、ミッション系であったことから始まる。
教区司祭の許しは得られず、クビとなり、アパートの家賃を払えず、二人は別れ別れに親戚の
家に居候することになる。せっかく一緒になれたのに、この有様。親戚に世話になりながら
肩身の狭い暮らしを余儀なくされる。もうそう長くない人生を愛する人と豊かに暮らしたいと
小さい願いも叶わないのか・・・。

主役の二人は、キャリアも長く、NYの秋を感じさせる哀愁を上手く演じ、またマリサ・トメイと
いうヴァーサタイルなキャストをしたことで、(彼女はベンの甥の妻)作品が一段と締まった
感じを受けた。
全編を流れる「愛する人との居場所」に対する哀愁に胸がつまる。LGBTに対する過剰な反発が
必要以上に描かれていないのも良かった。
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<ストーリー>
長年連れ添ってきたゲイの熟年カップルが、同性婚合法化を機に正式に結婚するも思わぬ逆風に
さらされ、改めて世間の厳しい現実に気づかされるさまと、それでも変わらない2人の深い愛情を
描いた感動のヒューマン・ドラマ。
主演は「ガープの世界」のジョン・リスゴーと「フリーダ」のアルフレッド・モリナ。
共演にマリサ・トメイ。監督は「あぁ、結婚生活」のアイラ・サックス。

 ニューヨークのマンハッタン。画家のベンと音楽教師のジョージは、連れ添って39年になる
ゲイのカップル。法律の改正によってニューヨーク州でも同性婚が認められ、ついに念願叶い
晴れて正式に結婚した2人。周囲にも祝福され、これまで以上に幸せな新婚生活が始まると
思いきや、同性婚を理由にジョージは勤めていたカトリック系の学校をクビになってしまう。
2人は瞬く間に経済的に追い込まれ、長年暮らしたアパートメントを出なければならなくなる。
こうして新婚早々離ればなれとなり、それぞれに肩身の狭い居候生活を余儀なくされるベンと
ジョージだったが…。(allcinema)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:95% Audience Score:66%>

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# by jazzyoba0083 | 2017-04-06 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「マネーモンスター Money Monster」
2016 アメリカ TriStar Pictures.(a sony company) 95min.
監督:ジョディ・フォスター
出演:ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ジャック・オコンネル、ドミニク・ウェスト他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

面白かったけど、どうも底の浅さが気になる。いや、そういう映画じゃなく、活劇だから、と
いう向きには、上映時間も短いし、楽しいだろう。が、ウォールストリートのアメリカっぽい
お金のやり取りを描くものとしては、主張が弱いなと感じた。それとジュリア・ロバーツ、
テレビ局のディレクターなのだが、映画全体への取り込み方も含め、使い方が勿体無いと
思った。

現在の株の取引は、大型高速コンピュータを使いアルゴリズムを利用し、1秒以下の
差異で利益を得るという、素人筋ではなかなか対応出来ないシステムになっていることは
有名な話だし、それが暴走すると、企業の成績や地政学を反映せず、本来株式相場が持つ、
資本主義の有意な側面を崩してしまうということも発生し、証券取引等委員会が制限に
乗り出した、というニュースも記憶に新しい。
-------------------------------------------
そういう背景があり、FNNというテレビ局(おそらくfinancialNewsNetworkかなんかの
頭文字だろう)の株価や為替をネタにした人気バラエティ番組「マネーモンスター」の司会が
リー・ゲイツ(クルーニー)。その番組の辣腕ディレクター、パティにジュリア・ロバーツと
いう配置。
ある日の番組に宅配を装った若い男がスタジオに闖入、生放送中のリーに銃を突きつけ、しかも爆弾
ベストを着せて、デッドマンスイッチという押し続けたスイッチが切れると爆発するというボタンを
手にしている。彼は、この番組で上昇間違いない、銀行より安全有利と言われたアイビス社の株を
母の遺産6万ドル全額をぶち込んだ。これが暴落。アイビス社全体で8億ドルの損失を出しだのだった。
当日はアイビス社の広報責任者ダイアンに、「バグ」だと主張するトラブルの真相を聞き出そうと
中継を結んでいたところだったのだ。

乱入者カイルは、単純に頭に来たんだろうな。富めるものは常に富み、搾取されるのは常に貧乏人だと。
8億ドルを損失者全員に補償しろ、と要求する。生放送中の異常な事件に世間も警察も沸騰。
カイルは生きて出る気はないとは言うのだが。やがて妊娠した恋人も連れてこられて説得に当たる
のだが、恋人はカイルを馬鹿呼ばわりする一方で役に立たない。警察はスタジオ天井に侵入し、
犯人が爆弾のスイッチを入れても爆発しないよう、リーが着せられているベストに付いた受信
装置を狙い撃ちにする計画に出た。当然リーも怪我をする。それでも多くが救われるというわけだ。

そうこうする裏側では、アイビス社のCEOキャンビーの不正が次第にあぶり出されてくる。
アルゴリズムの設計者の言葉では、一社に集中して買うことは機械はしない、とかアルゴリズムは
嘘がつけないなど。「人の指紋があるのさ」。キャンビーの不正が確定的になる。
そこで、リーとアイビス社の広報ダイアンのアイデアで局の近くの連邦会議堂でキャンビーが会見を
開くことになる。その場まで銃と爆弾ベストで移動するリーとカイル。沿道には見物客が多数だ。
やがて、会議堂でキャンビーと相対したリーとカイル、爆弾ベストをリーからキャンビーに着せ替え
させ、キャンビーに真相を迫る。局に刻々と入るキャンビーの不正情報は追いかけてきた中継車の中から
送出されていく。彼の不正映像の数々を背景に、キャンビーを追い詰め、カイルはついにキャンビーの
口から「悪かった」という謝罪の言葉を引き出すことに成功した。しかし、回りはスナイパーだらけ。

実はカイルは全財産を失い頭に来ただけで、爆弾ベストも粘土製であった。途中からキャンビーを
責める役目はリーへと変わっていく。キャンビーが謝罪を口にし、カイルは武器を捨てようとした
瞬間、スナイパーに撃たれ絶命してしまう。恐らくテレビでカイルを応援していた大衆はがっかり
したことだろう。
そして、リーとパティは「次は何をネタにしようか」と語り合っている。
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---------------------------------------------
最期のシーン、テレビ局関係者の軽いノリを表現したものだろうが、カイル射殺のシーンのリーの
心情とは一致しないような違和感を覚えた。ああいう終わり方で良かったのか?と。
スピード感もあり、次にどうなるのか、ハラハラもいい感じなのだが、高速取引を隠れ蓑にした
CEOの詐欺的投資行為に原因を求めた根本とその回りが弱い感じだった。ジュリア・ロバーツの
考え方が伝わってこない、そしてアイビス社広報ダイアンが最初からいい人で登場するのが勿体無い。
映像の構成、流れは良い。
全体としてそこそこ面白い映画ではあります。

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:57% Audience Score:51%>


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# by jazzyoba0083 | 2017-04-05 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「天国からの奇跡 Miracles from Heaven」
2016  アメリカ Columbia Pictures,TriStar Pictures(a SONY company) 109min.
監督:パトリシア・リゲン
出演:ジェニファー・ガーナー、カイリー・ロジャース、マーティン・ヘンダーソン、ジョン・キャロル・リンチ、
   クイーン・ラティファ、エウヘニオ・ベルデス他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

よく出来た宗教映画、という感じ。アメリカはテキサスで実際に起きた奇跡?を基にした作品。
アメリカという国がキリスト教という宗教でいかにまとまっているかがよく分かる。故にアメリカ国民が
好きそうな映画だなあ、と感じた。この手の映画はどうしてお神様の押しつけが鼻についてしまう恨みが
付きまとうのだが、本作とてそれは免れないが、ベースとなる話が、原題のミラクルが複数であるように
神様の存在=複数の人間の愛として語られるところにカタルシスがあるといえよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
舞台はテキサスの田舎。全財産を叩いて大きな動物病院を開業したビーム一家は、三人の娘のいる
平和な家庭で、日曜には一家で教会の日曜学校に出かける敬虔なキリスト教徒であった。アメリカの
田舎ではどこでも見られる光景。
しかし、ある日、次女のアナベルに難病が発症する。内臓が機能せず、絶えず痛みが襲うという
子供にとっては辛い難病であった。いくつもの病院を回るが原因が分からず、ついにボストンに
直せる医師がいるという情報を得る。母クリスティは、お金を算段し、9ヶ月も先まで予約が埋まって
いるという医師に予約なしで面会にでかける。病院では当然予約なしでは断られる。だが受付の
女性にはクリスティの言葉は胸に響いたようだった。そしてボストンの街のレストランでウエイトレスの
アンジェラ(ラティファ)と出会い、街を案内してもらい、まるで家族のような付き合いとなっていく。

受付の女性の配慮でナルコ医師に診てもらい、手術もしたが、難治性であることは変わりがなかった。
どうやら脳のニューロンが消化器官への動きの指令を出してないのではないか、と。ボストン小児病院で
しか処方できないクスリのお陰で帰宅は出来たが、膨れたお腹と鼻からの栄養、そして絶えず襲う痛みに
アナベルの心も折れ勝ちだった。そして母クリスティは、娘の姿を見るにつけ、神様は何をしているの
だろうか、と信仰も揺るぐのだった。そんな折、教会では信者から「アナの病気が治らないのは
両親やアナ自身に罪があるのではないか」と言われ、教会に対する不信はピークになる。

仲良し3姉妹は何かとアナを気にかけ、ある日お姉ちゃんと大きな老木に登る。ところがもろくなって
いた枝が折れ、アナは老木の大きなウロに落下してしまう。ハシゴ車が出動し、何とか救い出し
ドクターヘリで救急搬送されたのだった。
しかし、担当医師も驚いたのは、アナには何の怪我も無かったのだった。家に帰ってまた姉妹たちと
遊ぶアナ。ふと両親は気がついた。アナが痛がらない。あんなにソファから動かなかったアナが
元気に遊んでいる。そして、お腹の膨れも収まってしまっていた。

急ぎボストンにナルコ医師を尋ね、診察を受けるが、症状が全て消えている、というのだ。アナが
両親に言うには、ウロに落ちた時、幽体離脱を体験、蝶に招かれ天国に行き、神様から両親の元に
帰りなさい、と言われたという。自分は痛みのある世界に戻りたくない、というのだが、その時
すくい上げれられたのだ。それ以来、アナの難病は雲散霧消していた。

この話はマスコミでも取り上げられ、母クリスティは教会でこの話をすることになった。当然
神の存在を肯定的に捉えるのだが、アインシュタインの名言「人生には、二つの道しかない。

一つは、奇跡などまったく存在しないかのように生きること。もう一つは、

すべてが奇跡であるかのように生きることだ。」

クリスティは奇跡は愛であると主張した。その脳裏には、家族はもとより支えてくれた近隣の友人、
ボストンのアンジェラ、ナルコ医師、受付の女性、父と二人の姉妹が飛行機に乗ろうとした時
クレジットカードが使えない状況を、とっさに救ってくれた航空会社の窓口担当者、などなど
アナを支えてくれた人々の愛こそ、奇跡であると締めくくった。

しかし、教会の聴衆からは、「アナの難病は売名のためのニセの病気じゃないのか」などの
声があがった。しかしそれを押さえたのはボストンでアナと同室だった白血病少女ヘイリーの
父(新聞記者)だった。ヘイリーはアナから神様を信じることを教えてもらい、最期はとても
穏やかに逝った、アナには感謝している、と。

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
つまり、神様がいる、いないということは大事な
ことかもしれないが、いると信じることで心の平安を得る、ということこそ「信仰」の根幹で
ある、と言いたかったのだと思う。ラストあたりではウルウルと来る仕掛けになっている。
更に、エンドロール前には実際のビーム一家が紹介される。あの大木は既に折れてしまって
いると。そしてアナは今は元気な中学生となり、病気は再発していない、と説明される。

宗教臭い、と先入観を持たずに観ればそれなりにいろんなことを考えさせる、そこそこいい映画だと
思う。

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:43% Audience Score:81%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355829こちらまで。



# by jazzyoba0083 | 2017-04-04 22:55 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「リチャードの秘密 What Richard Did」
2012 アイルランド Element Pictures.88min.
監督:レニー・アブラハムソン
出演:ジャック・レイナー、ローシン・マーフィ、サム・キーリー、ロレイン・ピルキントン、ラース・ミケルセン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
日本劇場未公開。WOWOWの「ジャパン・プレミア」にて鑑賞。90分弱だから良かったのだが、
それ以上長いと息が詰まりそうなくらい重い映画。この監督、2015には「ルーム」という映画を作り
見事オスカー作品賞ノミニーとなっている。その映画も見たが、どこか息が詰まりそうな雰囲気は通底
している感じもする。

18歳の高校生ラグビーチームの仲間たち。その取り巻きの女の子。主人公はリチャード。監督の娘ララと
いい仲だ。前半40分は、淡々と高校生たちやリチャードの家庭生活が描かれていく。ちょっと長すぎな
恨みも残る。後半物語が動き出すベースとなるリチャードが事件の結果失うものの大きさを示すとしても、だ。
一人っ子で、スポーツも勉強も出来る、親としては自慢の息子だ。仲間からの信頼も厚い。金持ちのボンだが
それをことさら鼻にかけるでもなく、普通にいる男子高校生。(老けて見えるけどね)

そのリチャードがあるパーティーで喧嘩となり、みんなでボコるんだけど、どうやらリチャードが最後に
頭を蹴ったのが致命傷となり、友人は死んでしまう。ここからが、映画の真骨頂だ。
自分自身と家庭や名誉など失うものの大きさに怯え、みなで口裏を合わせようとする。ガールフレンドも
リチャードを庇って嘘をついてくれた。父親にも打ち明けるが、彼からは有効なアドバイスはなかった。

亡くなった友人の葬儀の日、その母は、喧嘩の場にいたたくさんの友人のうち、ほんの数人しか証言して
くれない、みんなあの場所にいたのでしょ!どうして?と涙ながらに訴える。それを聞いてリチャードは
堪らない気持ちになる。そして、ガールフレンドに「自首するよ」と宣言する。それがいいと思うよ、と。
出所したらスペインだかパリだかに移り住もう、と話し合う。まあまあ、リチャードも良心の呵責には
耐えかねたのか、なかなか勇気があるじゃないか、と、それで映画は終わるのか、と思った。

しかし、本作はラスト2分にあるわけだ。リチャードが学校で授業を受けているシーン。警察には行かな
かったのだ・・・・。

このラストを、どう見るかだろう。誰の心にも住むリチャード。果たして、敢然と自首出来るだろうか。
しかし、どこかの瞬間で嘘がほころびることはあるだろうし、一生、自分は殺人者としての罪を背負って
生きていかなくてなならない。毎日だ。自分だったら、どうするだろうか、と問題を投げかけ映画は終わる。
Rotten Tomatoesの評価が示すように、玄人筋ウケが良く、一般客のウケは今ひとつ、という評価も良く
分かる。
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<ストーリー>
大学進学が近い18歳の少年リチャードは、同じ学校のラグビー部でチームメイトだった友人たちと楽しく
夏休みを過ごす。やがてリチャードは同い年の少女ララと出会って意気投合し、彼女と恋に落ちる。ある晩、
近所の家のパーティーでリチャードはささいなきっかけからララの元恋人コナーとけんかになり、
リチャードは倒れたコナーを放置して帰宅する。
翌日、コナーが遺体となって見つかったためリチャードは強くショックを受ける。
(WOWOW)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:61%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359514こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-04-03 22:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「64ーロクヨンー」
2016 日本 東宝 「ロクヨン製作委員会(TBS系)」前編:121分 後編:119分
監督・(共同)脚本:瀬々敬久  原作:横山秀夫『64(ロクヨン)』
出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、三浦友和、永瀬正敏、吉岡秀隆、夏川結衣、窪田正孝、瑛太、滝藤賢一、
仲村トオル、奥田瑛二、坂口健太郎、小澤征悦、筒井康隆、鶴田真由、赤井英和、烏丸せつこ、芳根京子、他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

今年発表された第40回日本アカデミー賞の作品賞は、最優秀を獲った「シン・ゴジラ」ほか、秀作が並び
本作にとっていささか不幸だった。そのくらい力のある映画だった。ピエール瀧を主人公に据えたNHKテレビの
ドラマに触発され、原作も読了、ある意味既視感のある映画では有ったが、そんなことを差し引いても魅力ある
作品に仕上がった。テレビも原作に忠実だったが、映画は前後編に分けて長くした分、更に原作の良さに肉薄
した。原作に忠実なのが映画として良いわけでは必ずしも無いのだが、本作は、原作の良い点を映画作品として
極めて上手く抽出し得ている。秀作といえるだろう。

ただ、惜しむらくは、同期にして今は人事部にいる仲村トオルとの関係がもう少し描けると個人的には嬉しかった
かな。原作には既にOBとなった刑事のところにいく箇所があったんじゃなかったか?そこはカットされていたか。

たった7日間しかなかった昭和64年にD県で発生した幼児誘拐殺人事件。時効まであと1年という舞台。
多層的な物語が、実に巧妙にラストに向けて修練していく。1つ1つのプロットが全て何か他のプロットに
繋がっていて、前後編ともずっと緊張の糸は途切れない。テレビや原作を読んでいてストーリーは分かっている
はずなのだが、演技陣のちからの入った芝居にぐいぐいと引き込まれていく。

主人公三上夫婦には疾走している娘がいる。三上が異動してきた広報室では記者クラブとのトラブルがある、
そして、ロクヨンの裏に隠された「幸田メモ」とそれに関わった若い吏員の悲劇と、県警の隠蔽体質、
さらに言えば、警察と言えども特にキャリアは地方警察など腰掛け程度にしか考えず、何事もなく1~2年を
やり過ごせればいいという事なけれ主義、ロクヨンの被害者の父の執念と怨念、それらがないまぜになりつつ
14年目にしてロクヨンは解決の方向に向かっていく。県警の偉い人は決して解決などして欲しくなく、
時効になってしまったほうがいいと思っているに違いないのだ。

ラスト、三上、被害者父の雨宮、真犯人の目崎、誘拐事件のとき犯人の電話録音を失敗した日吉と幸田の二人、
それぞれが、あの昭和64年に閉じ込められた人生から解き放たれたありさまが迫力を持って迫り、この
物語の本質がここにあったのだ、ということがよく理解できる終わり方となっている。
また三上の主戦場たる県警広報室の様子も、よく取材されていて、実際を知っている身としてもよく描けて
いると思った。これでもか、と出て来るオールスターについては、これでダメなら日本映画はダメしょう。
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<ストーリー>
人気作家・横山秀夫の傑作ミステリー巨編を佐藤浩市をはじめとする実力派キャストの豪華共演で映画化した
ミステリー・ドラマ。本作は前後編2部作の前編。時効まで1年と迫る未解決の少女誘拐殺人事件、
通称“ロクヨン”を抱えるとある県警を舞台に、ロクヨンを模した新たな誘拐事件の発生で混乱が広がる中、
刑事部から警務部の広報に異動になったばかりのベテラン警察官が、記者クラブとの軋轢や警察組織内部に
渦巻くいくつもの対立構造に振り回され、四面楚歌となりながらも、広報官としてギリギリのマスコミ対応に
奔走していくさまをスリリングに描き出す。
監督は「ヘヴンズ ストーリー」「ストレイヤーズ・クロニクル」の瀬々敬久。

 わずか7日間でその幕を閉じた昭和64年。その間に管内で発生した少女誘拐殺人事件。いまも未解決の
その事件を県警内部では“ロクヨン”と呼んでいた。刑事部で長く活躍しロクヨンの捜査にも関わったベテラン
刑事の三上義信。私生活では高校生の娘が家出失踪中という大きな問題に直面していた彼だったが、この春から
警務部の広報室に異動となり、戸惑いつつも広報室の改革に意欲を見せていた。

折しも県警ではロクヨンの時効まで1年と迫る中、警察庁長官の視察が計画される。そこで、長官と被害者の父親・
雨宮芳男との面会を調整するよう命じられた三上だったが、なかなか雨宮の了承を得られず困惑する。
そんな中、ある交通事故での匿名発表が記者クラブの猛烈な反発を招き、長官の視察が実現できるかも不透明な
状況に陥ってしまう。自らもなかなか捜査情報を得られず、県警と記者クラブの板挟みで窮地立たされた上、
刑事部と警務部、あるいは本庁と県警それぞれの思惑が複雑に絡み合った対立の渦にも巻き込まれていく三上は、
それでも懸命に事態の収拾に奔走するのだったが…。(allcinema 前編)

 平成14年12月。時効まであと1年と迫った“ロクヨン”の捜査員激励と被害者家族・雨宮の慰問を目的とした
警察庁長官の視察が翌日に迫る中、管内で新たな誘拐事件が発生する。しかも犯人は“ロクヨン”と同じように
身代金2000万円をスーツケースに入れ、父親が一人で運転する車で運ぶよう要求する。
事件の性質上、広報室の三上は記者クラブと報道協定を結ぶ必要に迫られるが、肝心の捜査情報はほとんど提供されず、
記者たちは一斉に反発、各社が独自に動き出しかねない危険な状況に。
そんな中、一向に情報が出てこないことに自らも業を煮やした三上は、ロクヨン捜査にも関わった刑事部時代の上司・
松岡が指揮を執る捜査車両に単身乗り込んでいくのだったが…。(allcinema 後編)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354941#1こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-04-02 23:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「10 クローバーフィールド・レーン 10 Cloverfield Lane」
2016 アメリカ Paramount Pictures,Bad Robot.103min.
監督:ダン・トラクテンバーグ  製作:J・J・ウィリアムズ他
出演:ジョン・グッドマン、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・ギャラガーJr.,ダグラス・M・グリフィン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

面白かった。約10年前に同じ製作会社が手がけた「クローバーフィールド」という作品があり、
その手の続編なのかな、とほとんど前知識も持たずに観たのだが、続編という感じはほとんど無く、
あらたなホラー映画として十分に楽しませてもらった。

「クローバーフィールド」は、いきなり宇宙からの攻撃で始まるので、一応ストーリーに対し身構えることが
できるのだが、本作は、本当はどういうことか、という真実に対するジレみたいなものが魅力となる。
コーエン兄弟作品でおなじみの怪人ジョン・グッドマンが、作品の本筋を隠すという意味合いから、とても
いい感じだった。
--------------------------------------------------
恋人と別れ、別の町に行こうとしていたミシェルは、出会い頭の交通事故に会い(これを交通事故と見せない
演出も=つまり宇宙人の仕業かもという=面白い演出)。目が覚めたのは手錠に繋がれたある一室。現れたのは
元海軍だったというハワードという大柄な中年男。こいつがまた胡散臭い風に描かれる。手錠でベッドに
繋がれていた、というのは一見変態か、と思わせるが、冷静に考えれば、外に出られて、外気の毒ガスが中に
入り込むのを防いでいたというべきだろう。

事態が良く飲み込めないミシェルに、ハワードは、中国だかロシアだか、北朝鮮だか宇宙人だか分からないが
攻撃してきた、外は放射能だか化学物質で全滅だ、通信も使えない、と説明する。自分はこの日の来るのを予感し、
万全のシェルターを作っていたのだと説明する。が、ミシェルにはにわかに信じがたい。あの手この手を使って
ハワードを攻撃してみるが相手にならない。ハワードは、交通事故は自分のミスで起こしてしまったのであり
申し訳ないと詫びる。攻撃から救うためにここに連れてきたのだと、しごくまともなことを説明、またもう一人
シェルターの中には救った若い男性がいるとも。

そして3人での奇妙なシェルター生活が始まる。逃げ出そうとして二重扉の前の窓まで来た所、隣人の
女性が顔面が毒ガスで崩れた風情で助けてくれ、入れてくれ、と叫んでいるのを見た。とするとハワードの
言っていることは本当なのか。もう一人の若い男エメットと企んでなんとか外へ出ようと画策する。
カーテンレールを割いて、ペットボトルを使い、何度もハワードにバレそうになりながら、防毒服を
作り、脱出の機を狙ってた。しかし、エメットがミシェルを救おうととっさに、ミシェルを支配下に置こうと
した、と嘘を付くが、これがバレて、エメットはハワードに射殺されてしまう。ハワードはミシェルに
「君を守るためだよ」と説明するのだった。

逃亡用の防護服の存在がバレたため、なんでも溶かす液体をハワードに掛けて換気口のフィルターを外して外に
出ることに成功した。外に出てマスクを外してみれば、息は出来るし、鳥の声は聞こえ、空には鳥の群れさえ
飛んでいる。なんだ、やっぱり変人ハワードに監禁されていたのか!と安堵したミシェルだっが、その瞬間、
上空に巨大な宇宙船がいるではないか!!そして毒ガスを撒いていくる。慌てて手作りの防護服を付け直す。
外に有った車で急いで逃げ出す。ラジオを付けるとどうやらアメリカ軍もかなり優勢な闘いをしているらしい。
ミシェルはラジオから流れていた、手助けを必要としているというヒューストンにクルマを走らせたのであった。
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というお話なのだが、豪華なシェルターを作っていたハワードという男の正体がどうも、胡散臭い。よく分からない
人物として描くことにより、一層の恐怖を生み出す仕掛けだ。娘だと言っていた写真は実の娘では無いようだし、
自分のシェルターを守るためにはエメットも躊躇なく殺す。その他にも怪しい点はいろいろと配され、怪しさを
演出している。
エメットもミシェルも連れて来なければ良かったのに。隣人さえシャットアウトするのに。そのあたりは
謎として残った。ミシェルが逃亡したあと、シェルターは爆発して炎上、恐らくハワードも死んでしまったので
あろう。一体ハワードという男は何者であったのだろうか。真に用心深い男であったのか、何か他に秘密の
ミッションを抱えていたのか。
ただ、シェルターの無線は使えない、と言いながら、AMラジオくらいは用意しておけば、全世界のラジオ放送は
キャッチ出来ただろうに。とか、如何に服飾デザイナーとは言え、簡易に作った防護服から毒ガスが漏れて来ない
ようにするのは至難の業であろう、と思ったり、ツッコミどころもあったが・・。全体としてはとても
面白く見ることが出来た。脚本に「ラ・ラ・ランド」のデミアン・チャゼルが加わっているのも興味深い。
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<ストーリー>
 2008年の大ヒット・パニック映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」をプロデュースしたJ・J・
エイブラムスが、同じ世界観を作品内に取り込むかたちで製作したSFミステリー・サスペンス。事態の全貌を
掴めぬまま地下シェルターに閉じ込められ、男2人との共同生活を強いられるハメになったヒロインが辿る驚愕の
運命をミステリアスかつサスペンスフルに描く。
出演はメアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・グッドマン、ジョン・ギャラガー・Jr。
監督は、これが長編デビューの新鋭、ダン・トラクテンバーグ。
 
車を運転中に事故を起こした若い女性ミシェル。意識を取り戻した彼女は、見知らぬ地下シェルターの中で
ベッドに手錠で縛りつけられていた。シェルターには所有者の巨漢男ハワードの他に、腕をケガした若い男
エメットもいた。彼女を閉じ込めている理由を、外で恐ろしいことが起きているからと力説するハワード。
脚を大ケガしていることもあり、疑いを抱きつつもひとまず彼らと共同生活を送りながら脱出のチャンスを
うかがうミシェルだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:79%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355424#1 こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-03-28 23:15 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「幸せをつかむ歌 Ricki and the Flash」
2015 アメリカ Clinica Estetico,LStar Capital.TriStar Pictures.101min.
監督:ジョナサン・デミ
出演:メリル・ストリープ、ケヴィン・クライン、エイミー・ガマー、オードラ・マクドナルド、セバスチャン・スタン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

まず感じたのは、メリルは歌が上手いなあ、ということ。「マンマ・ミーア!」はそれなりに、先日
オスカーにノミネートされた「マダムフローレンス!夢見るふたり」はそれなりに、そして今回はロックと
来たもんだ。ハスキーにシャウトするロックはなかなか聞かせる。上手いよ!だが、歌の披露が長すぎ
だったな。実の娘との共演も話題であったが、話時代としては、落ち着くところに落ち着いた、という
感じで、あまり面白みが無かった。が、エンディングのウェディングパーティーでの全員でのダンスなど
観終わって嫌な感じが残るようなものではなかったのは、ジョナサン・デミの上手さだろう。

ロックな母ちゃん、リッキーは子供を捨ててバンドをナリワイとした生活。場末風のクラブでシャウトする日々。
充実はしているが金が無い。そんな折に娘のジュリーが離婚して荒れているという前夫の要請で
西部からインディアナポリスへと出かける。長い間ほっぽらかされて、今更何よ、という娘。まあ
しょうがないわな。

ある日、次男が婚約者を連れてくるという長男も来て久しぶりに家族で食事会を開くことになるが、
お互いに罵り合いで収集がつかない。長男はゲイだとカミングアウトするし。

別れれた夫には長い間リッキーの子供を我が子のように育ててきた黒人の後妻があった。次男の結婚式で
しゃしゃり出てこられてはたまらない。

娘のジュリーは次第に心を開き始める。そして次男夫婦の結婚披露宴の招待状が舞い込む。バンドの
リードギターで今のリッキーの恋人であるグレッグは自慢のギブソンのギターを質に入れ、西部までの旅費を
作ってくれたのだ。そして披露宴当日、回りの白い目にさらされて着席する。そしてリッキーのスピーチが
来た。リッキーはバンドのみんなでステージに上り、演奏を始めた。初めは躊躇したり、バカにしていた
参加者も、次第にダンスの輪に入っていったのだ。もちろん最初に踊り始めたのは次男夫婦であった・・。

そんなお話で、びっくりするようなスジではないのだが、ほんわかする作りにはなっている。深い
意味もないけれど、リッキーという母親の生き様みたいなものは伝わってきた。
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<ストーリー>
オスカー女優メリル・ストリープが夢を追って家族を捨てたワイルドな売れないロック歌手を熱演した感動ドラマ。
娘のピンチをきっかけに家族と再会したヒロインが、過去と向き合い、葛藤しながらも自らの生き様を見せることで
子どもたちとの絆を取り戻そうとしていく姿を描く。
メリル・ストリープと実の娘メイミー・ガマーが母娘役で共演し話題に。また、メリル・ストリープのバンド仲間を
リック・スプリングフィールド、リック・ローザスら一流ミュージシャンが演じているのも見どころ。
脚本は「JUNO/ジュノ」「ヤングアダルト」のディアブロ・コディ、
監督は「羊たちの沈黙」「レイチェルの結婚」のジョナサン・デミ。
 
ミュージシャンでの成功を夢みて3人の子どもと夫を捨てたリッキー。今は売れないバンド“リッキー&ザ・フラッシュ”の
ギター兼ボーカルとして、小さなライブハウスのステージに立つ日々。
そんなある日、元夫ピートから娘のジュリーが離婚して実家に戻ってきて以来、憔悴したままだと連絡を受ける。
なんとか飛行機代を工面し、ジュリーの元に駆けつけたリッキー。しかし20年ぶりの再会にも、ジュリーは自分を捨てた
母を許すことができない。そんな中、ピートから連絡を受けた2人の息子たちも戻ってきて、久々に家族が全員顔を
揃えるのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★6.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:64% Audience Score:43%>




# by jazzyoba0083 | 2017-03-27 22:45 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「パッセンジャー Passengers」
2016 アメリカ Columbia Pictures(a sony company).116min.
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:ネタばれしています>

宇宙を舞台にした、人間ドラマというより、恋愛映画、だな。オスカーノミニーとなった
プロダクションデザインは観る価値ある美しさだ。予告編で「惑星間冬眠旅行」の最中、一人だけ
早く目が覚めてしまった男がいた、といセリフに釣られ、この手の宇宙ものは大体見ているので、
いそいそとシネコンに行ったわけです。これが結構な入で。ま、封切って間もないのでこのくらい
入ってないとねえ。悪くはないけど、極めて良くもない、というほどの出来。個人的には嫌いでは
ないけど、何と言っても底が浅いんだね。

お話は単純。第二の地球と目される惑星に乗客5000人と400人ほどのクルーを乗せたアヴァロン号。
出発から30年経った時、一個の冷凍ポッドが壊れ一人の男が目覚める。周囲の機械はまるで到着の時が
来たかのように普通にふるまう。だが、回りを見回しても誰もいない。ジム(クリス・プラット)が
その男だ。機械に尋ねれば、惑星到着まであと90年あるという。死んじゃうじゃん、一人で!一時は
自殺も考えたジムだったが、アンドロイド型バーテンダー、アーサーをただ一人の友だちとして
なんとか一年ちょっとは持ちこたえた。しかし、孤独は如何ともしがたい。クルーを起こそうとしたりも
したが、一人ではどうしようもない。

そこで、ジムっては、可哀想に、客の中の可愛い娘オーロラをマニュアルを観てポッドを開けて、起こして
しまったのだ。最初のうちはオーロラもポッドが壊れて目が覚めたと思っていて、ジムと二人でそれなりに
時間の流れをごまかしていた。次第に恋愛感情も出てきて、ジムはオーロラに結婚指輪を渡そうとしていた。
そんな折、バーテンのアーサーがオーロラに本当のことを言っちゃうんだ。秘密だから黙っていろよって
言われているのに。

俄然激怒するオーロラ。口も聞いてくれない。そりゃそうだ、自分はジムによって殺されたも同然。
再びポッドに入り冬眠を目論むが、離陸の時のシステムがないと再び冬眠は出来ないようだった。

すると、こんどは甲板長がポッドの故障で起きてきた。そのころ、宇宙船には甚大な故障が発生して
いて、さらに小惑星との衝突もあり、いがみ合っている場合ではないオーロラも手を貸して修理に
当たる。その途中甲板長が持病で死亡するというアクシデントが!

最後はジムとオーロラが再び力を合わせて見事修理を完成させ、軌道に戻したのだった。
ジムは船内にある治療機を使えば再び冬眠できるかもしれないと知る。そしてオーロラに入る
ように言うのだ。

そして88年後。目的地に到着したアヴァロン号の中は植物が生い茂り、小屋ががあったりと、大きく
変貌していた。
さて、オーロラは一人で再び冬眠に入ったのだろうか、それとも、二人して残された何十年を暮らした
のだろうか。子供は出来たのかな?などの謎を残して映画は終わる。

視覚効果的に一番おお、っと思ったのは、船内の重力装置が故障し、一時的に全体が無重力になるところで
その時プールで泳いでいたオーロラが巨大な水球となったプールの自ら脱出できず、溺れそうになる
シーン。なるほど、そういう風になっちゃうのね、と。

ラストシークエンスは観客に様々な思いを投げかけて良かったのだが、基本は宇宙に取り残された男女の
ロビンソンクルーソー的ラブストーリーだから。同じ宇宙の孤独を描いた「ゼロ・グラビティ」と比べて
観ると人間の描き方の違いがよくわかると思う。
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<ストーリー>
 5000人の乗客を乗せ、新たな居住地を目指して航行中の豪華宇宙船を舞台に、冬眠ポッドのトラブルで
90年も早く目覚めてしまった2人の男女の運命を描くSFラブストーリー。
主演は「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンスと「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の
クリス・プラット。
監督は「ヘッドハンター」「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」のモルテン・ティルドゥム。

 近未来。豪華宇宙船アヴァロン号は5000人の乗客を乗せて地球を旅立ち、遠く離れた移住地に向かって航行
していた。乗客は目的地に到着するまでの120年間を冬眠装置の中で安全に眠り続けるはずだった。ところが、
航行中のアクシデントが原因で一つのポッドが不具合を起こし、エンジニアのジムだけが目覚めてしまう。

ほどなく自分以外に誰も起きていないことに気づくジム。それもそのはず、地球を旅立ってまだ30年しか経って
いなかった。つまり、ほかの乗客が目覚めるのは90年も先で、それはこの宇宙船の中でたった一人きりで残りの
一生を過ごさなければならないことを意味していた。それから1年が過ぎ、孤独に押し潰されそうになっていた
ジムは、目覚めたばかりの美しい女性オーロラと出会うが…。(allcinema)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:31% Audience Score:64%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359024#1こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-03-26 11:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

ボーダーライン Sicario

●「ボーダーライン Sicario」
2015 アメリカ Black Label Media,Lionsgate,Thunder Road Pictures.121min.
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エミリー・ブラント、ベネチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ヴィクター・ガーバー、ジョン・バーンサル他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

トランプによるメキシコ国境の壁建設が話題になっている時期だけに、観る方も前のめりになる。
(映画が作られたのは大統領選挙より前の事だが)そして、監督の作劇は勿論だけど、それのベースに
なっている脚本が上手い。物語の多重構造が、それと意識させることなく、終わってみると、そういう
ことだったんだな、というある種のカタルシスとなっている。

一応主役はエミリー・ブラントということになっているが、もう「ザ・ベネチオ・デル・トロ ショー」。
彼の持つ独特の闇、言葉の少ない怖さ、容赦の無さが、100%出ている作品であるといえる。
FBIの誘拐即応対応チームのリーダーにして、国防総省グループのメキシコ麻薬ルート壊滅チームに
リクルートされた、ケイト・メイサー捜査官(エミリー)は、正義を振りかざすものの、終始利用される
立場である。その立ち位置と言うものも、本作では大切になるわけだから、配役の意味を踏まえての
確かな演技をしていたことは良かった。

とにかく冒頭から2時間、緊張の糸が切れない。これでもかという銃撃シーンと先が読めないストーリーを
堪能させてもらった。これを盛り上げるのはオスカーのミニーとなった撮影、作曲、音響の各部門だ。
荒々しい映像と色調(メキシコを意識した)、緊張を煽る通奏低音のようなモノトラスな音、そうして
観ると映画というのはやはり総合芸術だな、と得心が行くのだ。

先に上手い多層構造といったが、利用されるFBI捜査官ケイトのシークエンス、妻と娘を惨殺され、復讐の
鬼と化しているメキシコの元検事アレハンドロのシークエンス、そしてそれら全部をひっくるめて利用しようと
するアメリカ国家(国防総省やCIA)のシークエンスと、時間を追うごとに層が重なっていくのだが
それが話を複雑化していないのがこの脚本の上手いところだろう。

さて、本作にはメキシコで麻薬の運搬を手伝う警官シルヴィオとその一家が何気なく挿入されているのだが、
彼は最後にはアレハンドロに利用され、無残にも(殺さなくてもいいじゃんかねえ)射殺されるのだが、この
3箇所ほどしか挿入されないメキシコ人一家が、ガチガチのハードボイルドの本作に「もののあはれ」を
感じされる、これまたいい挿話となっているのだ。

しかし、これをメキシコ政府やメキシコ人はどう観るのだろうか。上空からメキシコ国境が写されるのだが、
そこには既にフェンスや金網が設置されている。麻薬の持ち込みは、取り締まらなくてはならないが、なぜ
メキシコから麻薬が持ち込まれるのか、というアメリカ側とメキシコ側双方の原因を解決しないことには
始まらない。だが、本作でも描かれるように、アメリカという国家は悪を悪として利用しようとするから
質が悪いわけだ・・・。とにかく、ベネチオ、最高、な一作。
ヴィルヌーブ監督、「メッセージ」「ブレードランナー2049」とたて続けに期待作が公開される。楽しみだ。
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<ストーリー>

麻薬カルテル壊滅のため、アメリカとメキシコ国境の町に送り込まれた女性エージェントが、常軌を逸した
現場に直面し変わっていく姿を描くサスペンスアクション。ヒロインをエミリー・ブラントが演じ、
ベニチオ・デル・トロやジョシュ・ブローリンといった実力派が脇を固める。
監督は『複製された男』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。

 エリートFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、肥大化するメキシコ麻薬カルテルを潰すために
アメリカ国防総省特別部隊に選抜される。特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)に召集された彼女は、
アメリカとメキシコの国境付近を拠点とする麻薬組織ソノラカルテル撲滅のための極秘任務に、あるコロンビア人
(ベニチオ・デル・トロ)と共にあたることに。
しかしその任務は、仲間の動きさえも掴めない通常では考えられないような任務であった。人の命が簡単に
奪われるような状況下に置かれ、麻薬カルテル撲滅という大義のもとどこまで踏み込んでいいのか、法が機能しない
ような世界で合法的な手段だけで悪を制せるのかと、善悪の境が揺さぶられるケイト。そして巨悪を追えば追うほど
その闇は深まっていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:94% Audience Score:84%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354473こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-03-24 23:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

さざなみ 45 Years

●「さざなみ 45 Years」
2015 イギリス BFI Film Fund and more. 95min.
監督・脚本:アンドリュー・ヘイ
出演:シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ、ジェラルディン・ジェームズ、ドリー・ウェルズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

まあ、いろいろ有ったであろうけど、今はイギリスの田舎で穏やかな暮らしをしている老夫婦に
起きた「さざなみ」のような出来事。邦題はなかなか味がある。45年じゃ、何のことだか分からないから。

私くらいの歳になると、身につまされると言うか、人生経験を積み重ねないと分からない(若いことが悪い
ということではなく)ことが、じわりと胸に迫る。最後の結婚45周年イベントで踊る二人、特に主人公
シャーロット・ランプリングの目線の先にあったものは、果たして穏やかな未来であっただろうか、と
どきりとするようなエンディングである。ほぼ老人しか出てこない(最近は増えたけど)映画だが、主役
二人の演技で、原作はあるのだけど、えいや!と持っていった作画はなかなかだ。
シャーロットは本作でこの年のオスカーノミニーになったほか、ベルリンや全米批評家協会賞など沢山の
賞を獲得している。

冒頭、ジェフ(コートネイ)がケイト(シャーロット)と結婚する前、付き合っていたカチャという女性と
スイスアルプスの山歩きをした。彼女が転落し、行方不明になったのだが、半世紀近くも経って
当時のままの姿で氷河の中から発見された、という警察からの連絡が、なかなかミステリアスな設定で
宜しい。単に白骨体でないところに、現実の人間としてのリアリティが出ている。にくい出足だ。

「身内の方」って連絡が来ているけどなんで?と尋ねるケイトに対し「当時は夫婦と言わないと泊めて
くれなかったりしたからね」などと結構慌てている感じ。ケイトは、まあ結婚する前の話だし、死んだ
人の話だし、と余裕をカマしていた。スイスに行くの?こんな年になり、険しい山なんかに登れるかよ、
というジェフであった。

だが、ある晩屋根裏でゴソゴソしているジェフ、何しているの、カチャの写真が・・・見せてよ、と
いうやりとりが簡単にあり、後日、ジェフがいない時、屋根裏に入り、ジェフの当時の登山日誌を
見つける。そこにはカチャを写した多くのスライドが・・。
がぜん、夫に対する不信感が頭をもたげる。そして、カチャが死ななかったら彼女と結婚していた?
と尋ねると、「そうだな」という返事。間もなく結婚45周年のイベントがあるというのに、ケイトの
心には夫に対する不信感、嫉妬心がモクモクと台頭してきたのだった。ケイトも夫にいろいろと聞くが
夫ジェフは、心から悪気はなく、既にカチャは過去の人で、ケイトこそ愛する妻であるということは
不変であるようであった。ケイトが言いつのると、「彼女には関係のないことだ」と言うジェフ。
何気ない言葉だが、結構本質的だと思った。普通なら「お前には関係ないことだ」というだろう。
しかし、ジェフが口にしたセリフはカチャが主人公であったのだ。これにはケイトも傷ついたと
思う。だが、男の身として思うのは、(身勝手なんだけど)男は平気で複数の女性に平等に愛情を持てるのだ、
という事。これが分からないと、この老夫婦の「さざなみ」の本質は分からないのではないか。

気が乗らない、と言っていた自分たちの結婚45周年パーティーは、親友のジョージ夫婦が幹事となり
盛大に開かれた。スピーチでジェフは、涙を見せて、ケイトにこんな自分を長く愛してくれて
ありがとう、と感謝する。自分の人生で最良の事であったと。ジェフの言葉にウソはないであろう。
そして、結婚式の時と同じ「煙が目にしみる」でダンスをする二人。さて・・・。

たくさん使われる60年代英米ポップスが懐かしさを掻き立てる。
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<ストーリー>

2015年の第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞をW受賞するなど、各国の映画賞に輝いた、
とある夫婦の姿を映す人間ドラマ。シャーロット・ランプリングが長年連れ添った夫の元に届いた1通の手紙に
より心を乱される妻を、その相手を『長距離ランナーの孤独』のトム・コートネイが演じ、イギリスの名優の
共演となった。


 イギリスの小さな地方都市に暮らす夫婦、ジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)は、
結婚45年になる。子供はおらず、仕事を引退した今はささやかな日常を送っている。土曜日に結婚45周年祝賀
パーティを控えた月曜日、ジェフに一通の手紙が届く。50年以上前、雪山でジェフの恋人カチャがクレパスに落ち、
行方不明となっていた。しかし温暖化により雪が溶け、当時の姿のまま発見されたので遺体確認に来てほしい
というスイスの警察からの手紙だった。
ジェフが「ぼくのカチャ」と不用意に口にしたとき、二人の日常に変化が訪れる。ケイトに事情を説明する
ジェフは目の前の妻の存在を忘れ、上の空となっている。ケイトは家の中に冷たいものが入り込むのを感じる。

祝賀会の下打ち合わせに出掛けたケイトは、時計店でスイス製の高級時計を見つける。45周年の記念に夫に
ふさわしいと思い、家に電話を掛けるが、夫は出ない。何かに気を取られて電話に出られないのだと察し、
ケイトの気持ちに陰りが生まれていく。ケイトが家に戻ると、ジェフはいつもの夫に戻っていた。しかし夕食の
席で、ジェフはケイトにカチャとの出来事を語り出す。警察には夫婦と言ってあり、カチャはおもちゃのような
指輪を左手の薬指にしていた、と。ケイトは余裕の表情でやり過ごすが、内心は話を切り上げたくて仕方なかった。
ケイトは存在しない女への嫉妬心を重ねていき、夫へのぬぎいきれない不信感を募らせていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:97% Audiece Score:67%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355325#1こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-03-22 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「パンズ・ラビリンス Pan's Labyrinth 」
2006 メキシコ・スペイン・アメリカ Estudio Piccaso and more. 119min.
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アレックス・アングロ他
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              <2006年アカデミー賞 撮影賞 美術賞 メイクアップ賞 受賞作品>

<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>

久々の★9。大層面白かった!振り返ってみればこの監督の作品は「パシフィック・リム」を見て
びっくりした以来のこと。もっとこの人の作品を見たいと思った。イリニャトゥといいキュアロンと
いい、メキシコの監督ってこのところ凄いな、と今更ならが驚いた次第。

「ダーク・ファンタジー」とは言うけど、そういうジャンルを超えた面白み、映画が与えてくれる
観客個人の深読みの楽しさを満喫出来る、いわばジャンルレスな作品ということが出来よう。
残酷なシーンも出てくるのでお子様というより、大人の映画である。そこには様々なメタファーが
潜んでいる。それを読む解く面白みは先程書いたとおりだ。

個人的には2つの大きなメタファーを感じる部分が有った。主人公オフェリアは、ある日見つけた妖精に
案内され、牧神パンに出会うが、彼女こそ争いも貧富もない地底の王国の王女であるに違いない、ついては
3つの試練をパスすれば、王女と認め、王国に案内しようと誘われるのだが。
一つ目は、パンに「決して食べてはいけない」と言われた主人公の少女オフェリアは、我慢たまらずブドウを
2粒口にしてしまい。手のひらに目の付いたお化けに追いかけられる。なんとか逃げたが、約束を破ったことに
激怒したパン(所詮、オフェリア王女の下僕であろうに)が激怒し、王国の世界にはもう行けない!!と
オフェリアに告げる所。(ここでは私は、オフェリアのだらしなさを呪った)これは人の欲に対する弱さ、
ひいては人間の弱さの提示。

二つ目は、ラストシークエンス、
王子となるべき異父弟を連れ出してラビリンスに連れて来たのはいいのだが、パンから、王子の血を、と
いわれると拒否するオフェリア。するとそこに後を追ってきた異父の大尉が追いつき、オフェリアを撃つ。
弟は異父の手に。瀕死のオフェリアは地底の国で父や母(異父弟の出産時に死亡)が笑っていて、彼女が
歓迎させるようすが見られた。一瞬、あ、彼女の魂は救われ、王国へ行けたのか、と思うと画面は血を流し
倒れるオフェリアの姿に再び戻る。そして彼女は息を引き取る。(この時は、彼女の見た王国に彼女の魂は
行けたに違いないと思わずにはいられなかった)
地底の王国など存在していたのか?スペインのひどい内戦に疲れた少女の妄想が作り上げたのではないか、
しかし、残酷な戦争を繰り広げるフランコ軍の大尉(オフェリアの義父)は、人間の一方の悪という
メタファーであり、オフェリアと地底の王国は善のメタファーなのだ。これがベースとなり物語が構築され
ている。

だから、悪側の大尉と軍人たちは非道この上なく、捕虜に対する残酷な仕打ち、人の命をへとも思わない
極悪に描いておけば、後のカタルシスがより大きくなることは必定。それにしても残酷さの描き方は
半端ないのでお子様は見てはいけない。ゲリラを支援する大尉付きの女メルセデスの反撃に会い、口を
切り裂かれた大尉は、自分で口裂け女みたいになった口を縫うのだが、痛いよお!!
大尉に対する観客の憎しみを最大化しておいて、ラスト、自分の息子を奪い返し、迷宮を出てくると
待っていたのはレジスタンスたち。大尉「頼みがある。この子に生まれた時間を教えてやってくれ」
(大尉は時間フェチだった)メルセデス「お前の名前すら教えないさ」 メルセデスの弟が銃で
一発!このあたりのカタルシスがすごく生きてくるのだ。この引っ張り方はなかなかだ。
(映画の冒頭からこの大尉はいずれは地獄に落ちる目に合うのだろう、とは分かるのだが、その方法は、
と見ている方の期待値が次第に高まる構造になっているのだ)

過酷なスペイン内戦を舞台とし、そこにファンタジーの要素を入れた「戦争と平和」の構造を作り上げた
監督の脚本に唸る。終わり方も「所詮、現実からの逃避などは人間の頭の中でしかできやしないのだ」と
言われているようで、重い気分にもなる。パンや、安産を祈るための植物みたいなやつや、ナナフシ
みたいな虫など、おおよそ、お子様向けのファンタジーに出てくるような代物ではなく、むしろおどろ
おどろしく作り上げられている。そういう姿をした王国、というものにも意味を感じることが出来るだろう。

見てハッピーになる映画ではない。何か人生の実相を「ダークサイド」から眺めるような、暗さを
感じる。が、映画の出来としては極めて完成度の高いものといえる。
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<ストーリー>
「ブレイド2」「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ監督が「デビルズ・バックボーン」に続いて再び
スペイン内戦を背景に描く哀切のダーク・ファンタジー。再婚した母に連れられ、山中でレジスタンス
掃討の指揮をとる冷酷な義父のもとへとやって来た空想好きの少女は、やがて残酷な現実世界から逃避し
森の中の不思議な迷宮へと迷い込んでいくが…。
イマジネーションあふれるヴィジュアルと深いテーマ性が高く評価され、いわゆるジャンル映画であり
ながら数々の映画賞を席巻する活躍で大きな注目を集めた話題作。

 1944年のスペイン。内戦終結後もフランコ政権の圧政に反発する人々がゲリラ闘争を繰り広げる
山間部。内戦で父を亡くした少女オフェリアは、臨月の母カルメンと共にこの山奥へとやって来る。
この地でゲリラの鎮圧にあたるビダル将軍と母が再婚したのだった。冷酷で残忍な義父に恐怖と
憎しみを募らせるオフェリア。
その夜、彼女は昆虫の姿をした不思議な妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れる。
そこでオフェリアを出迎えたパン<牧神>は、彼女が地底の魔法の国のプリンセスの生まれ変わりで、
満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰ることが出来ると告げる。オフェリアはその
言葉を信じて、与えられた3つの試練に立ち向かう決意を固めるのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:95% Audience Score:91%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=326294#1こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-03-20 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)