●「ラスト・スキャンダル~あるハリウッドスターの禁じられた情事~The Last of Robin Hood」
2013 アメリカ Big Indie Pictures and more.91min.
監督・(共同)脚本:リチャード・グラツァー
出演:ケヴィン・クライン、ダコタ・ファニング、スーザン・サランドン、マット・ケイン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

郷ひろみのヒット曲「ハリウッド・スキャンダル」が頭を流れた。まあ、典型的な
ハリウッド・スキャンダル。絵に描いたような。エロール・フリンとは原題にあるように
「ロビン・フッド」を当たり役とした俳優さんで、話が1959年だから、映画産業が
隆盛を極めているこの時期には、いささか手垢にまみれた古いタイプの俳優であった。

とにかく彼は女と見れば手を出す風の女性にだらしないというかマメというか、そう
いうタイプであり、スキャンダルが歩いているような感じ、しかし自分の時代が
過ぎ去っていくという恐怖みたいなものはあったのだろう。

一方でハリウッド女優を夢見るビバリー・アードランド(ダコタ)は、オーディションと
称しエロールの自宅で処女を奪われる。女たらしのエロール、これまで3度の結婚を経験
してきているが、ビバリーへの恋は真面目だった。仕事を貰う都合上18歳と自称していたが
実はまだ15歳であった。ビバリーは歌も演技もダンスも、実は大したことはない。
いわゆる大部屋女優であったが、エロールの力で主役の映画を与えられる。

その映画とはハリウッドではことごとく断られた挙句、キューバで革命に身を投じた女性を
描くものをエロール自らの資金と演出で製作されたものであった。(本作では
「ロリータ」の企画を前に、自分とビバリーを売り込むが、キューブリック監督に
にべもなく断られるシーンが出てくる)そこまでにエロールはビバリーに入れあげて
いたのだ。

一方、ビバリーの母フロレンス(サランドン)は、娘をなんとか売り出そうとエロールに
取り入ったり、できの悪いステージママっぷりが炸裂していた。これがきっかけで
離婚までしてしまう。アフリカ行きは反対したのに。

ビバリーも最初は何も知らないうちに処女を奪われたが、エロールの心が真面目で
自分はほんとうに彼から愛されていることが分かり、歳の差を超えての愛情生活が
始まる。そして婚約にまで至るのだった。

大きな仕事もなくなったエロールは資金を捻出するために大型のヨットを手放したり
していたが、彼が50歳の時、バンクーバー滞在中のパーティーで急死してしまう。
映画はそこから始まる。アメリカに戻ると待ち構えていた記者から矢継ぎ早の質問の
嵐。最後にいた女は未成年だったということで大騒ぎとなった。ビバリーと、背後に
いた母フロレンスもバッシングにあった。ビバリーは精神科に入れられる始末。
母は世間の間違った理解を正そうと出版を目論む。ビバリーもエロールも本当に
心から愛し合っていたと言いたいと。でも実はカネに困ってもいたのだった。
母が記者に口述することが映像として構成されいく。ビバリーは母に取材は絶対に
受けないで、というが、母は出版するのだった。

1950年台後半の古き良きハリウッド、オーディションに来た女性を頂いちゃった
スターはたっくさんいるだろう。今は未成年でそれをやったら逮捕されてしまう
けれど当時はおおらかだったのだね。ゴシップネタになるだけですんじゃう。
さして珍しくないお話だと思うのだけれど、スター、少女とその母、という構図で
起きた事件は、事実としてそれなりに面白くはあるけど、所詮ゴシップを覗いた、
という感じにしか収まらない。「へえー、そんな事があったんだ」で終わってしまう。
人間ドラマとして描かれていないというか、テレビの再現ドラマのようだ。

ケヴィン・クラインがエロールによく似ていてびっくり。ダコタはこの時期くらいが
少女役としてのハイライトって感じかなあ。最近は役に恵まれず、天才子役の
行末が案じられる。一番の怪演だったのは母フロレンスを演じたスーザン・サランドン。
こういう母親いるよねえ、と思わせる。一見娘のことを思っているようでいて、どこか
常に打算が働いているという・・。
しかし、昔の人はよくタバコを吸ったねえ。四六時中タバコ吸っている。

日本劇場未公開。WOWOWで鑑賞。
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<ストーリー>
往年のハリウッド俳優エロール・フリンの晩年にスポットを当て、最後の恋人となった
若手女優ビバリー・アードランドとのスキャンダラスな関係を描いた伝記ドラマ。

1959年10月、人気俳優のエロール・フリンが50歳の若さで急逝した。マスコミは
プレイボーイだったフリンの最後の恋人である17歳の女優ビバリーに注目。ビバリーの
母親フロレンスは暴露本の出版を勧められ、2年前のビバリーとフリンの出会いから
死別までを赤裸々に語りはじめる。
フリン役をケビン・クライン、ビバリー役をダコタ・ファニング、フロレンス役を
スーザン・サランドンがそれぞれ演じた。
監督・脚本は「アリスのままで」のリチャード・グラツァー&ウォッシュ・ウエストモアランド。
<映画.com>

<IMDb=★5.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:30% Audience Score:24%>





# by jazzyoba0083 | 2017-06-07 23:05 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「20センチュリーウーマン 20th Century Woman」
2016 アメリカ A24,Annapruna Pictures and more.119min.
監督・脚本:マイク・ミルズ
出演:アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・カーウィグ、ルーカス・ジェイド・ズマン
   ビリー・クラダップ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

この前に観た「グランドフィナーレ」ほどではないが、どこか観念的なニュアンスがある作品。
でも、その性質はまるで違うのだけれど。本作はマイク・ミルズが自分の母親をモデルにして
制作した、1979年を懸命に生きる女性への愛と尊敬に溢れたなかなか考えさせられる作品と
なっている。出演者が全員いいのだが、やはり大活躍のアネット・ベニングの円熟の演技が
見どころである。1979年といえば作品中にも出てくるようにジミー・カーター大統領時代で、
イラン大使館人質事件、第二次オイルショック、朴正煕暗殺、など国際的には緊張していた
一方、本作でも語られるように、セックスに対するタブーが外れ、性に関する書籍が次々と
発行され、男女の役割に対する議論も多く行なわれるようになっていた。

ただでさえ性に目覚める15歳の男の子を女手一つで育てるドロシア(ベニング)。
家をいろんな人に貸していて、奇妙な共同生活が繰り広げられている。
離婚を経験し、多感な男の子を育てているドロシア、子宮頸がんを患っている
写真家アビー、夜な夜な息子ジェイミーと一緒に寝に来る、友人以上恋人未満
(体には触らせない)幼馴染のジュリー、ドロシアに惹かれているヒッピー大工の
ウイリアムズとそれれぞれ難しい人生を生きている人たちと関わりながら、自分も
大変、周りも大変なんだけど、捨てておけないドロシアの苦悩が描かれていく。

そもそも多感期に入った息子の教育を若い同居人アビーとジュリーにお願いしたのが
問題の発端。女性二人はいい子なのだが、ドロシアが育った頃とは考え方が全然違い、
あけすけな性の世界に連れて行ってしまう。息子ジェイミーも素直で良い子なのだが
性に関してはやはり男の子で、若い女性二人に感化されていく。見ていてハラハラ
し通しのドロシアだった。

自分の老いも意識しながら、自分だって恋もしたいと思いながら、回りの事に
精一杯頑張ってしまうドロシアだった。「子どもを育てるって大変よね」とか
言われて。作中にカーター大統領のテレビ演説をみんなで見るシーンがあるのだが、
まさにカーターが指摘しているのは社会秩序の崩壊。ドロシアは共感してしまう
のだった。

彼女はタバコの吸い過ぎで、1999年に肺がんで亡くなるのだが、再婚も果たし、
それぞれ関係していた人たち(ひとつ屋根の下にいたひとたち)もそれぞれの
幸せな人生を獲得したと説明される。再婚相手がドロシアの誕生日には必ず
プレゼントしたという複葉機での遊覧飛行のシーン。BGMが「As Time Goes By」
で、眩しく美しい青空の中を満面の笑顔で飛んでいるドロシアに決定的な
カタルシスを感じたのだった。音楽といえば、基本的には1979年当時に流行っていた
ロックやパンクが使われるのだが、ドロシアが聞く時はいつもベニー・グッドマンら
の活躍していた1930~40年代のスウィング・ジャズだったりするのも、さりげない
主人公の心情を表していて素敵だった。

本作、とにかくアネット・ベニングのシワも隠さない薄いメイクとボサボサ頭で母親と
女性を演じている姿が圧倒的である。
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<ストーリー>
「サムサッカー」「人生はビギナーズ」のマイク・ミルズ監督が自身の母親をテーマに
描いた半自伝的ドラマ。多感な思春期の少年が、自由奔放なシングルマザーと2人の
個性的な女性たちに囲まれて過ごしたひと夏の成長の物語を、ユーモアを織り交ぜ
瑞々しいタッチで綴る。
主演は母親役にアネット・ベニング、その息子をルーカス・ジェイド・ズマン。
共演にグレタ・ガーウィグ、エル・ファニング、ビリー・クラダップ。

 1979年、サンタバーバラ。シングルマザーのドロシアと母ひとり子ひとりの生活を
送る15歳の少年ジェイミー。家には他に、子宮頸がんを患いニューヨークから地元に
戻ってきたパンクな写真家アビーと元ヒッピーの便利屋ウィリアムが間借りしていた。
さらにジェイミーの2つ上の幼なじみジュリーも夜な夜な彼の部屋にやってきては一緒の
ベッドで眠っていく。けれども決して体には触らせてくれない。

そんな中、反抗期を迎えた息子のことがまるで理解できず、お手上げ状態になってしまった
ドロシア。そこで彼女は、アビーとジュリーに息子の教育係になってほしいと相談する。
こうしてジェイミーは、強烈な個性を持つ3人の女性たちと15歳の特別な夏を過ごすことに
なるのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:74%>



# by jazzyoba0083 | 2017-06-06 13:50 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「グランドフィナーレ Youth」
2015 イタリア・フランス・スイス・イギリス Indigo Film and more.124min.
監督・脚本:パオロ・ソレンティーノ
出演:マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポール・ダノ
   ジェーン・フォンダ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

この監督の作品は初めてかもしれない。非常に観念的な映画で、私の苦手とする
ジャンルである。観ながら、カンヌやベルリンで評価されそうな作品だなあ、と
思っていたら、やはりそうであった。

出ている人は円熟の役者ばかりだから玄人受けはするだろうが、日本での興業は
おぼつかなかったのではないだろうか。素直な感想を言えば、「何をいいたいのか
よく分からない」ということ。邦題もミスリードを誘う。現代の「YOUTH」(若さ)に
こそ、この映画の本質があろう。出てくる人がほとんど老人で、おそらく
過去と現在と未来に行き来する、それぞれの様々な思いが重層的に重なって表現
されているのだと思う。断片的エピソードは理解できるのだが、全体として、何を
表現したかったのか、「若さ」とは何か?ということなのか?それはちょっと違うだろう。

スイスの温泉療養施設付き豪華ホテル。セレブが集まるところだ。
コアになるエピソードをもたらすのは、クラッシック音楽の世界の巨匠ブレッド・
バリンジャー(ケイン)。彼は高名な指揮者であり作曲家。引退してここにいる。
もう一人はそろそろ映画監督業も終いにしようかと考え最後の作品を製作中に
滞在しているミック・ボイル(カイテル)の二人。二人は親友という設定。
(ブレッドの娘の旦那がミックの息子、という関係。親戚ですな)

もう人生は最終ステージ。これから新しいことはしない、と決めいているブレッドは
女王陛下が勲章を授けたいと言っている、ついてはフィリップ殿下の誕生日でもある
授賞式に、代表曲「シンプル・ソング」を指揮して欲しいと懇願してくるイギリス
政府の役人に「引退したからもうやらない」とにべもなく断る。

一方、監督のミックは、まだまだ演出に色気を出し、これまで長い間コンビを
組んできた恋人でもある大女優ブレンダ・モレル(ジェーン・フォンダ)がスイスに
到着するのを待ち、ラストシーンを仕上げようとしていた。
(ミックが今作っている映画がどう見ても傑作になるとは思えないような描かれ方)

そんな二人は温泉に入れば健康や病気の話、でも全裸で温泉に入ってくるミス・
ユニバースを見ると「神だ」とか言って、まだまだ男としての名残がある状態。

この二人の男の考え方というか、自分が理解している自分自身の立ち位置が
少しずつ変化していくところが面白い。ブレッドは、勲章を受け、BBC交響楽団を
指揮して女王夫妻の前で「シンプル・ソング」を演奏することになり、片や、ミックの
元にやっとのことでブレンダ・モレルがやってくるのだが、ブレンダは映画には出演しない、
と断言する。慌てるミックに、ブレンダは53年間の恨みつらみが爆発するのだった。

作品全体としては上記だけのことではなくもっと複雑であって、二人の老人の
家族や生い立ちが絡んでくる。そしてブレッドがなぜ指揮をしようとしたかも
ミックの存在が大きかったりするのだ。

最終局面での老人二人に起きる大変化については面白く観たが、それが「若さ」と
いうタイトルにどう結びついていくのかは、謎だった。
Life goes on.ということなのだろうかなあ。年齢に関係なく。

画がとても綺麗で、構図などに非常にコダワリが感じられる。なんでも説明してしまう
作品よりも、観ている側の想像を刺激する意味での「観念的」な描写もいいのだが、
時としてシュールに過ぎてしまうと、言いいたいことが分からりづらくなる。

そうした意味で「観念的な」本作は、見る人に人生のいろいろな側面を考えさせる
ことだろう。だめな人は途中で脱落するタイプの映画。
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<ストーリー>
アルプスの高級リゾートホテルでバカンスを送る作曲家フレッド・バリイジャー
(マイケル・ケイン)のもとに、女王陛下からの勲章の授与と出演依頼が舞い込んでくる。

フレッドの名を世界中に知らしめた不朽の名曲「シンプル・ソング」を、フィリップ殿下の
誕生日に指揮するという名誉あるオファーであったが、彼は興味すら示さない。
BBC交響楽団の演奏で偉大なソプラノ歌手スミ・ジョーが歌うと言われてもフレッドは
もう引退したからと頑なに拒むのだった……。

母国イギリスのロンドン、そしてニューヨーク、最後はヴェネチアの楽団で24年、
作曲と指揮に持てる才能の全てを注ぎ込んだフレッドは、80歳となった今ではすっかり
燃え尽きていた。ホテルの宿泊客は、今も世界中のヒーローである元サッカー選手や
かつて大ヒットしたロボット映画の役名で呼ばれることにウンザリしているハリウッド
スターのジミー・トリー(ポール・ダノ)などセレブぞろい。そんな彼らは皆世間とは
違う風変わりな事情を抱えていた。

フレッドの60年来の親友である映画監督のミック・ボイル(ハーヴェイ・カイテル)も
同じホテルに宿泊していたが、現役を続けるミックは若いスタッフたちと新作の脚本
執筆に励んでいる。そんな中、父を心配する娘のレナ(レイチェル・ワイズ)が予約した
マッサージやサウナ、健康診断を淡々とこなすフレッド。何ごとにも無気力になって
しまったフレッドの唯一の楽しみは、ミックとの昔話と悪ふざけ、そして歳を重ねたが
ために頭と体のあちこちに出て来た不具合自慢だった。

ある時、部屋へ戻ると、夫のジュリアンと旅行に出かけたはずのレナが泣きじゃくっている。
ジュリアンの父であるミックに、君の息子が私の娘を捨てたと告げるフレッド。
驚いたミックはすぐに息子を呼び出すが、彼は新しい恋人を連れて来る。フレッドは
レナを慰めようとするが、音楽が全てでママのことなど一切顧みなかったパパに夫婦の
愛情の何が分かるのかと激しく責められる。フレッドのもとに女王の特使が再び現れ、
頑として断るが必至で食い下がる特使に遂にフレッドは本当の理由を語り出す。

「シンプル・ソング」にまつわる母への想いを初めて聞いたレナは思わず涙する。
そんな折、長年タッグを組んできたブレンダ・モレル(ジェーン・フォンダ)に主演を
断られたミックの映画が製作中止に追い込まれる。ミックが選んだ結末に衝撃を受けた
フレッドは「君の音楽は驚きや新しい感動をもたらした」という友の言葉を胸に最後の
ステージに立つことを決意。だが彼はその前に会わねばならない人がいた。
そしてフレッドは10年ぶりにヴェネチアに暮らす妻を訪ねる……。(Movie Walker)

<IMDB=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: 74%  Audience Score:68% >



# by jazzyoba0083 | 2017-06-05 23:25 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「トリプル9 裏切りのコード Triple 9」
2015 アメリカ Worldview Entertainment and more.115min.
監督:ジョン・コルヒート
出演:ケイシー・アフレック、キウェテル・イジョフォー、アンソニー・マッキー、
   ウディ・ハレルソン、ケイト・ウィンスレット他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
オスカー主演男優賞を獲り今や旬のケイシー・アフレック主演で、他にも注目すべき
配役なのと、警察モノは好きなので観てみました。

終始暗い画面で、ストーリーの暗さとシンクロしている。それはいいとして、個人的に
参ったのは、新米刑事クリス役ケイシー・アフレックと、元警官で強盗団の一人
ゲイブ役のアーロン・ポール、現役刑事で強盗団の一人マイケル役のキウェテル・イジョフォーと
同じ刑事のマーカス役のアンソニー・マッキーの主要な配役の二組がよく似ているので
混乱したこと。よく見れば全然違うのだが、画面が暗い上、同じ強盗団で黒人刑事だったり
するし、役名が「マ」で始まるなど、混乱に拍車を掛けた。

故に早送りでもう一度確認しながら観た次第。ケイト・ウィンスレットの使い方も
もったいないし、結果ラスボスとなるフランコ刑事役のクリフトン・コリンズ・Jrの
存在感の希薄さといい、全体的にミスキャストじゃないかなあ。日本人の私だからかも
しれないけど。そういうわけで、ラストの銃撃戦も何がどうなっているのか初見では
分からず、映画の良さが伝わらなかった。

最後の最後、クリスのおじである刑事ジェフリー(ウディ・ハレルソン)とフランコの
刺し違えはまあ、納得だけど。

999とは、警察内の符丁で、警察官が襲撃された現場があることを周辺に知らせるもの。
これがコールされると、周辺にいる警察官は何はともあれその現場に駆けつける。
これを利用して、警察官不在の瞬間を創り出し、悪事を働こうというのが、この映画の
骨子となる。

舞台はジョージア州の州都アトランタ。黒人の多い都市として知られる南部の町だ。
ここの現役刑事や元軍人らで構成される強盗団がいた。一応仕切っているのは
ロシアンマフィアのボスの妻の妹を嫁にしているマイケル刑事(イジョフォー)。
(ボスの妻がケイト・ウィンスレット)
こうした状況で市警にやってくるのが新米刑事クリス(アフレック)。彼の叔父が
市警のベテラン刑事ジェフリーである。このおじさん結構やさぐれている。

マイケル刑事は自分の子どもを人質に取られ、国の機関ビルからセキュリティコードを
盗み出すというヤバイ仕事を請け負わされる。この仕事をやり遂げるためにバディを
組んでいるクリス刑事を騙して、999の状況を創り出し、強盗を成功させようとした。
事態が進むに連れて、クリス刑事は自分が騙されていたことを理解する。

いわば警察内の悪と新米刑事とその叔父の虚々実々の駆け引きと、999が成功するのか
どうかが本作の見どころになるのだろう。が、これまでに書いてきたように、
わかりづらく、せっかく意図するところが表現できていないと感じたのだった。
個人的に一番の見どころは、最初の強盗シーンで、盗んだカネから赤い煙が吹き出して
車の中やら、体やらが真っ赤に染まってしまい、強盗団が泡を食う所かな。
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<ストーリー>
ロサンゼルスやマイアミを凌ぐ凶悪犯罪都市アトランタ。ある時、5人組の武装グループが
銀行を襲撃する。特殊部隊の元兵士と悪徳警官で構成された犯人グループを率いる
リーダーのマイケル(キウェテル・イジョフォー)は、この仕事を最後にロシアン・
マフィアとの関係を絶つつもりだった。ところが、非情な女ボスのイリーナ
(ケイト・ウィンスレット)は、それを許さなかった。最愛の一人息子を人質に
取られたマイケルは、不可能と言われる警戒厳重な国土安全保障省の施設を標的に
した襲撃計画を練り上げる。
それは、警官が撃たれたことを意味する緊急コード“トリプルナイン”を発動させ、
アトランタ市警の機能を10分間完全停止させるというものだった。
しかし、標的となった警官クリスや重大犯罪課の刑事アレンを巻き込んだその
犯罪計画は、マイケルたち犯行グループの内部対立や裏切りも絡み、予想外の事態へ
発展してゆく……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:53% Audience Score:42%>



# by jazzyoba0083 | 2017-06-03 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

サウスポー Southpaw

●「サウスポー Southpaw」
2015 アメリカ Escape Artists and more.124min.
監督:アントワーン・フークア
出演:ジェイク・ギレンホール、フォレスト・ウィッテカー、レイチェル・マクアダムズ、
   ナオミ・ハリス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

割りと表面的な描き方ではあるが、ジェイク・ギレンホールら配役の演技により
また、ボクシングシーンの見事な描写により、一級の映画になっている。

本作を観ていて、「目標」という言葉が思い浮かんだ。施設育ちからボクシングの
世界で3つの団体でのライトヘビー級チャンプとなった英雄ビリー・ホープ(ジェイク)。
腕っ節一本でのし上がったこの男は攻める人生しか歩んでこず、それで成功してきた
ため、ボクシングでも人生でも天才肌ではあるが「無手勝流」でガードということを
しない。それがこの映画の根本である。栄光に包まれたこの男の人生に暗転が
訪れた時、「守る」ということを学ぶのだろうか、その過程がエンディングに向けて
描かれていくのだ。息を飲むようなストーリーでも、驚愕の結末でもないが、
一人の男の人生の「取り舵いっぱい」は、なかなか感動的ではある。


地位も名誉も、カネも、そして同じ施設で育った美しい妻も、可愛い娘も手に
入れたビリー。冒頭で描かれる試合でも逆転勝利し、最強伝説は継続していた。
そして、勝利の後、自分と妻が育った施設への寄付を求めるチャリティパーティーで
自ら次回の対戦相手と名乗り出たジョーダンとその取り巻きから、挑発を受け
喧嘩となり、誰かが銃を撃ち、その流れ弾が妻に当たり妻はその場で亡くなって
しまう。

ビリーの喪失感は大きく、生活は荒れる。喧嘩をしたことなどから1年間の試合
停止となり、たちまちカネも無くなり、トレーナーやプロモーターたちも離れて
いってしまう。そのために娘からも離されてしまい、更生プログラムの実施を
命じられる。

そんな彼を救ったのが街のボクシングジムトレーナー、ティック(ウィテカー)
だった。ビリーの、人生は「自制」すること、「守ること」「目標を持って
努力すること」を欠いたまま突っ走ってきた。ティックは、ジムで雇うことに
より、ビリーの考え方を少しずつ変えていった。娘と離されたことで、ビリー
自身も考え方を変えていく。

そして1年後、ラスベガスで、あの挑発したジョーダン(今はチャンピオンに
なっていた)との試合が組まれることになった。ビリーは、ティックを
トレーナーに、独自の方法でサウスポーにスタイルを変え、ボクシングも
良くガードもするものに変化させていった。そして試合当日。
真面目な更生プログラムに対する姿勢が評価され、娘との同居を認められた
ため、娘も控室で父の闘いを見つめる。試合は怨恨も入り、壮絶な殴り合いに
なる。ジョーダンは試合中にも挑発してくるが、ビリーは自分を押さえられる
ようになっていた。最終12ラウンドで、決定的なダウンを奪うビリーだったが、
カウント中に試合終了となり、結果は判定となった。結果は2-1でビリーの
勝利だった。会場は帰ってきた強いチャンプに沸き返り、コーナーにかがんだ
ビリーは亡き妻に感謝と報告をし、控室で娘としっかり抱き合ったのだった。
ビリーの人生は、いま始まったのかもしれない。

以上のような話で、難しいところは何もない。半年かけて体を絞った
ギレンホールのボクシングシーンは非常にリアルで、本物の試合を観ているか
のようだ。いや演出されているので本物より迫力があるようにみえる。
また映画全体としてもテンポが良いので2時間超えの映画だという感じは
まったく受けなかった。妻マクアダムズ、ウィテカー、そして娘を支える
司法団体の女性に、「ムーンライト」で主人公のジャンキーの母親を好演した
ナオミ・ハリスが配される。ストーリーの主だった登場人物は少ないものの
非常に締まった演技陣で、これに支えられ、深い味わいのある映画となった。

監督は、フィルモグラフィーを観てみれば、私が好きな「ザ・シューター/
極大射程」「トレーニング・デイ」「イコライザー」などの作品を
手がけたアントワーン・フークワであった。
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<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:60% Audience Score:76%>



# by jazzyoba0083 | 2017-06-01 23:15 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「フェイク・ライフ ー顔のない男ー Un illustre iconnue」
2014 フランス・ベルギー  Capter 2,Pathe and more 118min
監督・(共同)脚本:マチュー・デラポルト
出演:マチュー・カソヴィッツ、マリ=ジョゼ・クローズ、エリック・カラヴァカ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
特殊メイクを使って他になりかわってしまうことを、趣味以上の性癖に
してしまっている男の話。冒頭の爆発シーンからリバースする画面を見ると
この話一つ、というカンジがするのだが、大団円はさにあらず。

他人と入れ替わる、という映画はこれまでもいろいろとあったのだが、
本作は、主人公の背景を説明せず、性癖のみに特化して展開させ、最終場面で
彼が手に入れたものを提示して終わるのだが、それが彼の心の動きを
単純化して示していて分かりやすく面白かった。特殊メイクのプロだからと
言って、子どもの認知を迫る女性や、子どもからはバレないものだろうか?
もともと似ている顔立ちを選ぶといっても。

不動産屋の従業員セバスチャン・ニコラは、部屋を探しに来た男になりすまして
みる。彼の部屋に行ってあたかも彼のように過ごしてい見る。(おかしいやつ
なんだよね)断酒会のカードを見つけると、彼になるりすまして参加し、
作った身の上を語ったりしていている。バレることを考えないのだろうか。
案の定、そこで「お前は誰だ?」と指摘され、逃げ出し、後を追いかけられると
いう危険にも会うわけなんだけど。

そのセバスチャン、次回に狙いを付けたのは、高名なピアニストなのだが事故で
指を二本失いった男。世をはかなんで隠遁しているような男モンタルトに目を
付ける。二本の指が無いのなら、と自分の指も包丁で落としてしまう。(痛い!)
さっそく完璧な変装。喋り方までしっかりと研究する。さらに彼を自分の家に連れ
込み、自分に仕立て上げて、「この電話を聞く頃自分はいません」と留守番電話に残し、
ガス爆発で家ごと吹き飛ばしてしまう。これが冒頭のシーンだ。
しかし、モンタルトの元に愛人クレマンスが登場、自分の子ヴァンサンを認知しろと
迫る。このヴァンサン少年、凄腕のバイオリニストなのだ。
クレマンスとヴァンサンに愛されているという感情が芽生え、「他の誰でもない」
「自分という存在を消して生きる」という人生を楽しんでいたセバスチャンの
生き方に変化が生まれる。それはモンタルトとして生きることで、ヴァンサンの
成長を見つめ続ける幸せ、ということだ。

だが、ガス爆発を調べていた警察は、ついにモンタルトがセバスチャンであり
殺人犯であるということを突き止め、セバスチャンは逮捕され、刑務所に送られる
ことになる。が、彼はこれまでの性癖を脱し、ついに自分を見出したのだ。

「何者でもない自分」「他人の人生でしか楽しめない自分」でも、自分とは誰か、
とわかった時はすでに遅かったのかもしれないが、刑務所から出てきた時の
セバスチャンはきっと、人を愛せる「自分がある」人間になっているのだろう。
高邁で哲学的なテーマではあるが、描写が俗っぽいので、そのあたりで魅せる映画だ。
ヨーロッパの映画だなあ、と感じさせる一編だ。
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<ストーリー>
42歳の独身男性セバスチャンは表向き、不動産会社で働く真面目な人物。だが、
自分が出会った男性に特殊メイクを使ってなりすますことで、自身が孤独である
ことをごまかしながら生きるという、異常な一面があった。そんなセバスチャンは、
著名だが気難しいバイオリニスト、アンリに家を探す仕事を担当し、本人に悟られ
ないようアンリになりすまし始めるが、アンリが自分の息子の父親であると主張
する女性クレマンスと出会い……。
(wowow)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audiece Score:62%>







# by jazzyoba0083 | 2017-05-31 23:20 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

モアナと伝説の海 Moana

●「モアナと伝説の海 Moana」
2016 アメリカ Walt Disney Pictures.107min.
監督:ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ 
出演(声):アウリィ・クラヴァーリョ(モアナ)、ドゥエイン・ジョンソン(マウイ)
      レイチェル・ハウス(タラおばあちゃん)、ジェイマン・クレメント(タマトア)他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

回りの大人たちに結構評判が良かったのと、ハワイ好きなら観ておくべし、ということで
まさしく、先日のホノルルからの帰国便で観てみました。故に2D版。★は7.5。

ハワイの話ではなく、古代のポリネシア全体の話として描かれるので、昔、昔、と
始まるお話ですよ、というのが分かりやすい。モアナはハワイ語で「太平洋」を
意味している。「リトルマーメイド」「アラジン」を作ったコンビなので、破綻の
ないストーリー仕立て、そして冒険におけるハラハラ感やカタルシスの演出、そして
音楽と、どれを取り上げても一流であることは間違いない。喋る言葉や仕草が今日的
だが、それは今日のアニメなので、キャラクターの魅力を今日的に際立たせるためには
(味付けとして)必要だと理解できる。特に「マウイ」のキャラは非常に魅力的で
仕草やセリフも、おちゃめで力持ち。子どもにとっては観ていて気持ちのよいヒーロー
だろう。特に最後の登場の仕方は。

今回日本語字幕で観たのだが、吹き替えではどういうニュアンスであったのか、訳が
ちょっと気になる。基本的には子どもが観て分かるような仕立なので、単純で、勇気を
持って冒険に繰り出す、人間として「愛と優しさと勇気」という不朽の3大テーマを
ディズニーらしい作り方で提示するという筋立てである。

言わんとすることろが普遍的なので、大人が観ても十分に鑑賞に耐えうる、というか
より深い意味合いを汲み取れるという点では、大人が観たほうが良いんじゃないか
(ギャグの味わいも含め)と思えてしまう作品である。大人びたことをいうモアナと
なかなか会話のセンスが良いマウイとのやりとりは、大人の方が味わい深いんじゃ
なかろうか。
子供向けアニメなので、突っ込んでしまえば突っ込めるところもあるが、それを
言っちゃあディズニー・アニメにならんでしょ、ということで、気にしないのが礼儀。

キャラクターたちの動きもモーションキャプチャをアニメ化したのではないか、と思う
ほどリアルで自然だし、波の感じなどもCGというより写真を観ているようなリアルさを
感じる。重要な狂言回しとなる「頭のネジの切れた鶏」ヘイヘイがいい味を出す。
唯一、マウイのタトゥーがやたらにかっこいいので、これを真似たいという人が出てくると
ヤバイかもね。(ポリネシアやハワイには伝統的タトゥーをした男性を多く見るが)

時間も適当でエンドの想像も容易だが、モアナとマウイの冒険、なかなか楽しく
感動的だ。
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<ストーリー>
 「リトル・マーメイド」「アラジン」のジョン・マスカー&ロン・クレメンツ
監督が、海に選ばれた少女モアナを主人公に描く冒険ファンタジー・ミュージカル・
アニメーション。
海と運命的な絆で結ばれたヒロインが、世界を救うために伝説の英雄とともに
大海原を舞台に繰り広げる大冒険を描く。
声の出演はヒロインのモアナ役にオーディションで選ばれたハワイ出身の新星、
アウリイ・クラヴァーリョ、伝説の英雄マウイ役にドウェイン・ジョンソン。

 神秘的な伝説が息づく南海の楽園、モツゥヌイ島。16歳の少女モアナは、
幼い頃のある体験がきっかけで海と特別な絆で結ばれていた。島では外洋に出る
ことが固く禁じられていたが、好奇心旺盛なモアナは、いつか外の海を見て
みたいとの思いを募らせていた。
そんな中、島で不穏な出来事が起こり始める。それは、かつて半神半人の
マウイが命の女神テ・フィティの“心”を盗んだために生まれたという暗黒の闇が、
島にも迫っていることを示していた。
モアナは祖母タラに背中を押され、伝説の英雄マウイを見つけ出し、テ・フィティに
“心”を返すために大海原へと飛び出していくのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: 96% Audience Score:89%>




# by jazzyoba0083 | 2017-05-25 15:00 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

夜に生きる Live by Night

●「夜に生きる Live by Night」
2017 アメリカ Warner Bros.,Appian Way,Pearl Street Film.129min.
監督・脚本:ベン・アフレック 原作:デニス・ルヘイン『夜に生きる』
出演:ベン・アフレック、エル・ファニング、ブレンダン・グリーソン、クリス・メッシーナ、
   シエナ・ミラー、ゾーイ・サルダナ、クリス・クーパー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

こちらにはプロデューサーとしてレオナルド・ディカプリオの名前がある。本作は
5年前ほどに出版されてエドガー賞などを受賞したルヘインの長編小説を映画化した
ものだ。WOWOWで放映されている「ボードウォーク・エンパイア」などと時期も
綴る大河な雰囲気も、似ている。

第一次世界大戦に出征した青年ジョー・コフリン(ベン)が、戦争で味わった
上から受ける不条理な命令に嫌気が差し、父親がボストン市警の幹部だというのに
一匹狼風な「無法者」となり、組織を組むマフィアギャングと対立、ここに恋愛を
絡めて綴るロアリングトゥエンティの恋愛+ノアールドラマということになろう。

ギャングの世界の駆け引きが面白く、ガンアクション、恋愛模様と、欲張っては
いるが、ありがちではあるがアンハッピーエンドも含めてエンターテインメントと
してそこそこ面白く見ることができた。才人ベン・アフレック、手堅く纏めてある。
ただ、人生訓とかを見出す映画ではないので、テレビドラマっぽい薄さは感じるが。
かと言ってエンタメに振り切ってもいないので、そのあたりが原作があるとはいえ
本作の弱みであろう。

全体の骨格は、「戦争から帰って身内のなかまだけで賭場などを襲うギャング時代」
「アイルランド系の親分の情婦を恋人にし、それがバレて情婦は殺され自分はボコボコに
される時代」「アイルランド系親分への復讐心にもえ、一転、イタリア系ギャングに加わり
フロリダ州タンパを任され、一大勢力を築く時代」「一大勢力になったがために
イタリア系親分からも命を狙われ、自分の手下を率いて、両勢力と戦う時期」
「フロリダ時代に知り合った女性を心から愛し、勢力争いに勝利を収め、隠居、
平和な家庭で静かに暮らそうとした矢先、妻が撃たれて死亡」、「死んだはずの
最初の女が実は生きていて、彼女に会いに行く」そして幼い息子を連れて、しかし
彼の人生は続く・・・。

こんな流れとなっている。これにタンパ時代に腐敗した警察のボスの娘が登場、
禁酒時代が終わりこれからはギャンブルだ、と思った矢先に、「神の意志に
反している」と大衆を扇動されて、中止に追い込まれるものの、彼女は自殺。
警官のボスは気が触れて「悔改めよ」と呟き続ける毎日、彼がジョー一家の
自宅前で乱射した銃の流れ弾に当たり妻が死亡したのだ。

この手の映画は、どのくらいドラマティック(劇的)な人生として観ている方を
飽きさせず、埋めた伏線を回収しながら、ストーリーをいかに面白くしていくか、
にかかるわけだが、原作があったとはいえ、脚本にまとめ演出し主演したベンには
はやり非凡さは感じる。全体としてエンタテインメントとしては(軟派だが)面白く
仕上がったと思った。
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<ストーリー>

『ミスティック・リバー』など数々の映画化作で知られるデニス・ルヘインの
小説を、ベン・アフレックが監督&主演を務めて映画化したクライム・サスペンス。
1920年代のボストンを舞台に、犯罪者として裏社会でのし上がっていく男をベン・
アフレックが演じる。
エル・ファニングやシエナ・ミラーなど演技派女優が華を添える。


1920~30年代の禁酒法時代のアメリカ・ボストン。ボストン警察の幹部を父親に
持ち、厳格な家庭に育ったジョー(ベン・アフレック)は、父に反発して仲間と
強盗を繰り返していた。
街ではギャングの2大勢力が対立していたが、誰にも支配されたくないジョーは
組織に入る気などなかった。しかし、一方のボスの愛人エマ(シエナ・ミラー)と
出会い、恋に落ちる。欲しいものをすべて手に入れるには、ギャングとしてのし
上がるしかない。こうしてジョーの人生は激変するのだった……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<RottenTomatoes=Tomatometer:34% Audience Score:43%>







# by jazzyoba0083 | 2017-05-24 14:30 | 洋画=や行 | Trackback | Comments(0)

ムーンライト Moonlight

●「ムーンライト Moonlight」
2016 アメリカ A24,Pastel,Plan B Entertainment.111min.
監督・脚本:バリー・ジェンキンス 製作総指揮(共同):ブラッド・ピット
出演:トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ、マハーシャラ・アリ他
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       <2016年度アカデミー賞作品、脚本、助演男優各賞受賞作品>
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

「ゲイの少年が、貧しいフロリダやアメリカ南部で苦労して成長してく話」ではない。
ゲイはこの映画の重要なファクターだが、決定的なものではない。
 この映画、とても雰囲気を持っていて、観ていて美しいし、クラッシック音楽を、
この灼熱の南部の貧民街に持ってきたのも良い、映像もおそらく大判のデジタル
カメラを使用したと思われ、貧民のエリアが描かれる割には美しい。そういう雰囲気の
良さをもっているので観ていて辛くなるようなものではないし、ゲイの場面はほとんど出て
こない。暴力的に苛烈であるわけでもない。ゆえに、どうだろう、この映画を観た人の
多くは「この映画、何を言いたいのだろう」と思うのではないだろうか。

ジャンキー漬けの母親に育てられ(育児は放棄状態ではあったが)た、いじめられっ子の
ゲイの少年が、なにがどうなったのか、大人になり一番自分が唾棄していた大人、ヤクの
売人になっていた。この一人の男、シャローンの半生を淡々と南部の光の中で綴る。
そうした暮らしや人々との交流の中から、観ている人は、エピソード毎に人生の実相に
ついて考えさせられるだろう。

全体はシャローンの少年時代(ここで彼をサポートするヤクの売人の親分が、オスカー
で助演男優賞を獲ったマハーシャラ・アリ。彼の存在感はデカイ。ヤクの売人を
しながら、自分のしている仕事を肯定しているフシがない。彼のインパクトは成長する
シャローンに大きく影響したのだった)
しかし、シャローンの母は売春でカネを稼ぎ、リトルと呼ばれるシャローンとまとも
に向き合わず、荒れた生活をしているのだが、彼女にヤクを売っているのもフアン
(アリ)だったりする。

やがて高校生になると、更にイジメは苛烈になり、ついに同級生の悪を椅子で殴って
刑務所送りとなる。青春時代に同級生で自分をブラックと呼ぶケヴィンとゲイの間と
なる。でもほんの一瞬。すでにフアンは亡くなっていた。

刑務所から出てきたシャローンは、子供の頃の面影は何処へやら。口中金歯の
入れ歯を付けて、どこからみても立派なヤクの売人になっていた。シャローンは
同じく刑務所に入っていた高校生時代の友人で、今は保護観察身分ながらコックを
しているケヴィンに会いに行く。彼には離婚はしたが、小さい子供がいる。
彼が店長をするダイナーに出かけ、再会。ケヴィンの、自分の暮らしとは違う
人生に、思うところは有った。シャローンはその晩ケヴィンのところに泊めてもらう。

その後、シャローンは施設に入っている母親に会いに行く。母親は幼い頃のことを
謝るのだがシャローンには今さらそれをどうこう言うつもりもない。

ラストは海辺で遊ぶ黒人の子供ら。そして小さい頃のシャローンがムーンライトに
照らされるところで終わる。

バリー・ジェンキンス監督はマイアミの危ない当たりに住んでいたことがあり、この
話、抒情詩のような一編は監督の実体験に基いているらしい。

貧困をベースにした、ゲイの(ハードではない)成分の入った男の子が、夢も
希望もないような世界で、何を思って行きてきたのか。自分の居所はここにしかない
男たち。結婚して家庭を持っている友人。死にそうに働くけど稼ぎは少ない、けどもう
あの世界には戻りたくないという。すさんだ暮らしはしているが、ゲイという心情は
どこかシャローンに人間らしさを取り戻す(実際にゲイと付き合っているわけではない
のだが)心根であったにちがいない。

貧困、育児放棄、イジメ、ゲイ、麻薬取引、暴力、刑務所、人生に対するあらゆる
マイナーなファクターの中で育って来たシャローンはどこへいくのだろうか、いや
どこへも行けないのかもしれない。

本作を観て何をどう考えるのかは、観客に任されている。

最後に技術的なカット割りについて。全体的にアングルが低めだと思った。幼少期を
描く時も、上からのショットより、目線と平行して画角を設定し、安定を引き出すと
共に、観ている人に共感を生みやすくしている感覚がした。またラストに近く、
シャーローンがケヴィンとレストランで会う時の呼び鈴のカットアウトの音の使い方も
とても印象的だった。カメラが基本的に終始優しいという印象も得られた。(青年に
なってヤクの売人になったシャローンの目つきも、優しい)だからこそ観ている人に
いろいろなんことを考えさせてくれるのだろう。シャローンは幸せを掴めるのだろうか、と。

名古屋ではシネコンでは上映されなかった作品だ。オスカーで作品賞を獲っていると
いうのに。「地味」「分かりづらい」という点が敬遠されたのだろう。
好悪は別れると思うけど、私には、みずみずしく心が優しくなるような作品であった。
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<ストーリー>
シャロン(アレックス・ヒバート)は、学校で“リトル”というあだ名で苛められて
いる内気な少年。ある日、いつものようにいじめっ子たちに追われていたところを、
麻薬ディーラーのフアン(マハーシャラ・アリ)に助けられる。
何も話さないシャロンを、恋人のテレサ(ジャネール・モネイ)の元に連れ帰る
フアン。その後も何かとシャロンを気にかけるようになり、やがてシャロンも心を
開いていく。

ある日、海で“自分の道は自分で決めろよ。周りに決めさせるな”と生き方を教えて
くれたフアンを、父親のように感じ始める。家に帰っても行き場のないシャロンに
とって、フアンと男友達のケヴィンだけが心を許せる唯一の“友達”だった。

やがて高校に進学したシャロン(ジャハール・ジェローム)だったが、相変わらず
学校で苛められていた。母親のポーラ(ナオミ・ハリス)は麻薬に溺れ、酩酊状態の
日が続く。
自宅に居場所を失くしたシャロンは、フアンとテレサの家へ向かう。“うちのルールは
愛と自信を持つこと”と、変わらずにシャロンを迎えるテレサ。ある日、同級生に
罵られ、大きなショックを受けたシャロンが夜の浜辺に向かったところ、ケヴィンが
現れる。シャロンは、密かにケヴィンに惹かれていた。月明かりが輝く夜、2人は
初めてお互いの心に触れることに……。

しかし翌日、学校である事件が起きてしまう。その事件をきっかけに、シャロン
(トレヴァンテ・ローズ)は大きく変わっていた。高校の時と違って体を鍛え上げた
彼は、弱い自分から脱却して心身に鎧を纏っていた。
ある夜、突然ケヴィン(アンドレ・ホーランド)から連絡が入る。料理人として
ダイナーで働いていたケヴィンは、シャロンに似た客がかけたある曲を耳にして
シャロンを思い出し、連絡してきたという。あの頃のすべてを忘れようとしていた
シャロンは、突然の電話に動揺を隠せない。翌日、シャロンは複雑な想いを胸に、
ケヴィンと再会するが……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98% AudienceScore:80%>



# by jazzyoba0083 | 2017-05-23 14:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「ザ・コンサルタント The Accountant」
2016 アメリカ Warner Bros.Pictures.130min.
監督:キャビン・オコナー
出演:ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・バーンサル他
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<評価:★★★★★★★★★☆☆>
<感想>

面白い。巧妙に練られた脚本なので、ちりばめられた伏線がバシバシ回収される
快さとともに、いささか込み入ったストーリーがわかりづらく感じるかもしれない。
この後観たベン・アフレックの「夜に生きる」より、物語の出来としては(映画の
描かれる世界と提示されるエンタテインメントは全然異なるのだが)こちらのほうが
上だと感じた。同じベンアフの映画であれば、だが。ベンアフも弟くんがオスカーを
獲り勢いに乗ってくるだろうから、二人していい作品をどんどんと生み出していって
欲しいものだ。ベンアフの昔からのファンとしてそう思う。

さて、本作。主人公の会計士クリスチャン(ベン)は、高感度自閉症といわれる病気を
持つ。幼い頃からその矯正には苦労していて、今でも寝る前には激しく点滅するライトの
中で大音量のロックを聞き、足を鍛える作業を課し、クスリを飲んで寝るという日々だ。

高感度自閉症とは何か、よく分かっていないのだが、アスペルガーとかどこかサヴァン
症候群にも似ている感じを受けた。人とのコミュニケーションが苦手だったりする
一方、特殊な能力に長けている。クリスチャンの場合、数字を操ることだった。
これで彼は軍人から会計士となり、また闇に生きる人間となっていくのだった。

冒頭に出てくるギャングを次々と仕留め、親分らしきやつも容赦しない戦闘能力は
(ここ伏瀬になっているわけだが)、どうして身につけたのか。会計士と裏の
暗殺者としての彼を電話でコントロールする女性は誰か?依頼されたロボテック社に
雇われた武装集団を率いる男はだれか?クリスチャンはなぜ軍事刑務所に入っていた
のか、そこで出会ったギャングの会計士との関係は何か。ロボテック社でクリスチャンと
会計監査に当たる女性デイナ(アナ)とクリスチャンの関係はどうなっていくのか?
ロボテック社の真の悪は誰か、などなどが、先述のように冒頭のギャング惨殺シーンから
始まる一連の伏線が回収されていく過程で明らかにされ、エンディングまで観ている人を
引きつけて離さない。
このあたり、脚本もいいが、監督の作劇のうまさが光る。それとベンアフのほとんど
笑顔がない演技も主人公をクールに描き、いい感じだった。

本国の興業もヒットし、続編も企画されているらしい。ボーンシリーズのようになって
行くのだろうか。期待してしまう。
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<ストーリー>
田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)に舞い込んだ
大企業からの財務調査依頼。彼は重大な不正を見つけるが、なぜか依頼は一方的に
打ち切られてしまう。その日から、何者かに命を狙われるウルフ。
実は彼は、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切る裏社会の掃除屋でもあった。
年収1000万ドル、天才的頭脳を持ち、最強のファイターで命中率100%のスナイパー。
本籍・本名・私生活、そのすべてが謎に包まれた会計コンサルタントは、
アメリカ政府やマフィア、一流企業に追われながら危険な仕事に身を投じていく……。
(Movie Walker)

<IMDB=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:52% Audience Score:77%>





# by jazzyoba0083 | 2017-05-16 23:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「美女と野獣 Beauty and the Beast」
2017 アメリカ Mandeville Films,Walt Disney Pictures.130min.
監督:ビル・コンドン アニメ版『美女と野獣』に基づく
出演:エマ・ワトソン、ダン・ステゥィーヴンス、 ルーク・エヴァンス、ユアン・マクレガー
   スタンリー・トゥッチ、イアン・マッケラン、エマ・トンプソン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

"This is Disney!!"という映画だ。本作はこれまでも実写やアニメで幾つか作られて
来たが、ついに本家がアニメ版を基本に実写版を制作した。
劇中の歌も、おなじみのアラン・メンケン、ティム・ライス(アニメではオスカーの
作曲賞と主題歌賞を獲得しているね)らに依るもの。
個人的には劇団四季の公演を何回となく見ているのでスジはしっかり理解している。
演出も大筋、アニメ版に沿ったものだ。エマ・ワトソンのベルは問題なく可愛いし
歌もうまい。メイクしていしまうと誰が誰だか分からないが、しっかりとした配役を
得て、劇としてもちゃんとしている。プロダクションデザインも美しい。

ビル・コンドン監督は、最新のCG、VFXを得て、この物語にダイナミズムを与え、
2時間以上の映画を大いに見どころのあるものに(特に作画的に)仕上げた。
ただ、VFXにかけてしまうと、なんでも出来てしまうので、そのあたりの加減の
難しさはあったろう。華やかな"Be Our Guest"のシーンは、私は劇団四季の舞台の
方が、インパクトがあった。限られた舞台という空間での美術、特効は素晴らしい。
それに比べると映画は何でも出来てしまうからなあ。最後のガストンが城から落ちる
ところも。先にも書いたけど、もう映画や舞台、アニメで完成されたものの実写化の
難しいところだろう。

上記を割り引いても、エンタテインメントとしては上質であり、見応えは十分だ。
日米でもヒットしているのは分かる。大団円では、結末は分かっていても、所詮
童話の世界のことと分かっていても胸が熱くなるのは、今の時代、「愛に対する視界が
くすみ過ぎで」「見を捨てるほどの真実の愛」があまりにも少ないからだろう。
「君の名は。」のラストの純愛と通ずるものを感じたのだった。
みんな本作を見て、濁った愛の洗濯をすると良いだろう。
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<ストーリー>
ある時、ひとりの美しい王子(ダン・スティーヴンス)が、魔女の呪いによって醜い
野獣の姿に変えられてしまう。魔女が残した一輪のバラの花びらがすべて散る前に、
誰かを心から愛し、愛されることができなければ永遠に人間には戻れない。

呪われた城の中で希望を失いかけていた野獣と城の住人たちの孤独な日々に変化を
もたらしたのは、美しい村の娘ベル(エマ・ワトソン)であった。
聡明で進歩的な考えを持つベルは、閉鎖的な村人たちになじめず傷つくことも
あったが、それでも人と違うことを受け入れ、かけがえのない自分を信じていた。

一方、野獣は人と違う外見に縛られ、本当の自分の価値を見出せずにいた。そんな
二人が出会い、やがて惹かれ合っていくのだが……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:71% Audience Score:85%>



# by jazzyoba0083 | 2017-05-14 15:00 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち Eliz Graves」
2014 アメリカ Icon Productions,Sobini Films.113min.
監督:ブラッド・アンダーソン
原作:エドガー・アラン・ポー『タール博士とフェザー教授の療法』
出演:ケイト・ベッキンセイル、ジム・スタージェス、ベン・キングズレー、マイケル・ケイン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

ポーの小説がベースになっているので、全体に暗~い雰囲気はしょうが無いし、
それでないとこの映画が成り立たない。で、どんでん返しをした上での、
大どんでん返し。まんまとハマりました。そんな簡単に作者の術中にハマっていて
いいのでしょうか、とは思いつつ思いっきりやられました。その面白さに加点した
次第。配役的にはベン・キングスレーとマイケル・ケインの新旧の医院長が快演でした。
ミスリードを誘うような伏線も冒頭あたりにしっかりと埋め込まれいて、これが
どんでん返しに効いてくるのだな。

時代は間もなく20世紀になろうかとする1800年代最後の頃のイギリス。
冒頭「ヒステリー」について講義するオックスフォード大学の教室。サンプルと
して連れてこられた美しい精神病?患者エリザ(ベッキンセール)。彼女は自分は
正常だというが、教授の手にかかると精神病的発作が起きる。
当時としては最先端の治療についての授業だったわけだ。
このあたりの時代設定からして、この手の映画に向いている。現代の私たちは
その時代をしらないし、特に精神病治療に関しては無知に近いだろう。そうした観客の
無知につけこんで?「知らないものは怖い」という恐怖を吹き込む演出(著作)。

さて、ストーンハースト・アサイラムという精神病院にエドワード・ニューゲート
という若い精神科医師がやってくる。オックスフォード大から推薦状がいっている
はずだと。ラム病院長(キングスレー)は、紹介状など来ていないが、研修をしたい
のなら受け入れてやろうと、引き受ける。
病院内を見学すると、患者が自由に動き回っている。ラムは、拘束したり多量の薬物
を投与する良り、開放して精神を自由にしたほうが治療としては優れているのだと
主張している。ピアノを引く女性は、冒頭の大学の教室で晒し者にされていた女性
じゃないか。確かに彼女も生き生きとしている。ラムは「この病院の特徴は患者が
皆高貴な人、金持ちの家族なのですよ」とか言う。

さてさて、これからがいろいろと大変なんです。観ていない人は読まないほうがいいです

実はこの病院、患者と医師側がまるっと入れ替わっちゃっているんですな。ラム病院長
自身、この病院につれてこられた戦時精神病患者だったわけ。で、当時のソルト病院長
(マイケル・ケイン)らが取り仕切るこの病院で、痛めつけたり、メチャクチャな
治療を受けていた。軍医だったラムは反乱を起こし、ソルトら病院のスタッフを地下に
閉じ込め、ラム自ら病院長となり、それなりの成果も上げていたのだった。

しかし、この状態を見たニューゲートは、一目惚れしてしまったグレイブス夫人
(ベッキンセール)と共に、脱出やら、説得やらやるのだが、ラムには受け入れ
なれない。しかも、当時出始めた電気を頭に通す治療法を入れ、地下の人々を
廃人にする計画に出たのだった。しかし、ニューゲートは捕らえられ、逆に電気攻めに
あう寸前、グレイブス夫人に助けられる。

まだまだ、いろいろと仕掛けはあるのだが、ニューゲートとグレイブス夫人が共に
逃亡した後、二人の男が病院を訪ねてきた。一人はオックスフォード大学の
エドワード・ニューゲート医師を名乗り、もう一人は、隻眼で、グレイブス夫人の
夫だという。なな、なんと、青年医師を詐称していた男は、冒頭の講義の席で
後続の患者のサンプルとして控えていた時、グレイブス夫人を見て一目惚れした
ニューゲート医師の精神病患者だったというのだ!病院からニューゲートのメガネや
銃を持って逃亡していたのだった。(だから紹介状なんか来るわけないのだ)
そして、夫人が旦那の目をくり抜いたという噂も本当だった! ということは、
あの若い男も、夫人も結構強度なキチガイということだ!
ラムは軍医時代、瀕死の兵隊5人を射殺し、自殺を企てたが弾切れとなり、この
罪で病院に入れられた。ニセニューゲートは、ラムが収容されていた独房で殺した
兵隊の写真を見つけ、ラムにそれを見せた途端、フラッシュバックが起きて、正気を
失い、病気再発。➤廃人。

その後イタリアに逃亡した二人は、男はラムを名乗る精神科医師となっていたのだ。
あちゃー。キチガイによる病院乗っ取りでうっちゃられ、さらに主人公の正体で
うっちゃられるという・・・。ガジェットの伏線も効いていて詰めも良かったと
思うけど、最後、キチガイ同士でうまくいくのかなあ。

暗い映画だったけど、なかなか面白かったです。
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<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:52% Audience Score:49%>






# by jazzyoba0083 | 2017-05-11 23:05 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「クーパー家の晩餐会 Love the Coopers」
2015 アメリカ CBS Films,and more.107min.
監督:ジェシー・ネルソン 
出演:ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、アラン・アーキン、エド・ヘルムズ
   アマンダ・サイフリッド、マリサ・トメイ、ジェイク・レイシー、オリビア・ワイルド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

「クリスマス啓蒙用の聖書的教訓一杯の大人の絵本」という感じで、クリスマス前に
クリスムードの中で観てナンボの映画だ。居並ぶ大スターの演技さえ楽しめば
それでよし。教訓的なセリフが耳に届けば、日本人には更によし、というもの。

クーパー家でなくても年に一度の大イベント、クリスマス。かの家には大家族が
集まりお祝いと食事をする習わしになっていた。今年もクリスマスがやってくる。
しかし、それぞれがそれぞれの悩みを抱えたまま集まってくるからもう大変!

家族構成はこうだ。おじいちゃんにアラン・アーキン。彼はダイナーの娘、アマンダ・
サイフリッドに熱を上げ、こう5年も通い詰めている。
その娘ダイアン・キートンと夫ジョン・グッドマン。結婚40年で、もう離婚がすぐそこ
に用意されていて、今年のクリスマスが最後という覚悟。
ダイアンの独身の妹マリサ・トメイは、姉にペンダントのプレゼントを万引きして
警察に捕まる。夫妻の長男エド・ヘルムズは失業中。妻も家を出ていくという状況。
娘オリビア・ワイルドはおじいちゃんの病院の医師と不倫中だが、空港で軍人の若者に
「一日だけ恋人になって」と拝み倒し家に連れてくる・・・・。
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いよいよクリスマスイブの晩餐会が始まった。それぞれが抱える小さな嘘がバレて
きてしまう。そんな中おじいちゃんが倒れしまった!
しかし幸い軽度の脳卒中でクリスマスディナーは再開される。
家族は大切だ。(アメリカ人のキリスト教的倫理観ではなおさら、家族愛は大事)

「人だもの、欠点は多い。なぜみんな細かい欠点ばかりを気にしてあげつらい、
大きな愛情に感謝しないんだろう」ということだね。

この作品は一家の愛犬のナレーションで進行するのだが、
「一番近くにいる人が一番大切だ、ということに気が付かなくちゃね」と締める。
分かりやすいオチとなっている。

多人数(しかも大俳優だらけ)で、キャラクターの設定とかそれぞれのプロット
の進行(時制も含め)はバラバラにとっちらからずに手堅く纏められているので、
それこそ前述のようにクリスマス時期にホノボノ観るにはいいだろう。悪い映画
ではない。が、その後どうなるのかという示唆が、プロットにあったりなかったり。
これはしょうが無いかな。で、作品としてどうか、と言われちゃうと、そこまでの
映画ではないなと。クリスマスを機に家族の絆を再確認したい向きにはピッタリ。
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<ストーリー>
 クーパー家の人々が年に一度顔を揃えるクリスマス・ディナーを舞台に、
それぞれに問題を抱えながらもそれをひた隠して晩餐会を楽しくやり過ごそうと
する中で巻き起こる騒動を、ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、
アラン・アーキン、マリサ・トメイはじめ豪華オールスターキャストで描いた
群像コメディ。監督は「I am Sam アイ・アム・サム」のジェシー・ネルソン。

 クリスマス・イブ。クーパー家では、この日に一族が一堂に会し晩餐会を
開くのが毎年の恒例行事。今年も各地から続々と集まってきた家族を温かく
迎える夫婦のシャーロットとサム。
しかし40年連れ添った2人は離婚を決意し、シャーロットはこれが最後の晩餐会と
覚悟を決めていた。そのシャーロットの父バッキーは、若いウェイトレスに夢中で、
彼女の働くダイナーに5年も通い詰めていた。
一方、シャーロットとはケンカばかりの妹エマ。姉へのプレゼントを探していて
出来心から万引きで捕まってしまう。そんな中、独身の娘エレノアは、空港で
出会った軍人の青年ジョーに一日だけ恋人のフリをしてもらうことを思いつくが…。
(allcinema)

<IMDb=★5.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:18%  Audience Score:36%>




# by jazzyoba0083 | 2017-05-10 22:15 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「カフェ・ソサエティ Café Society 」
2016 アメリカ Perdido Productions,Gravier Productions,FilmNation Entertainment.96min.
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ジーニー・バーリン、スティーヴ・カレル、ジェシー・アイゼンバーグ、ブレイク・ライブリー他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ウディ・アレン大好きなので、封切の日にシネコンに。GW真っ最中というのにガラガラだったなあ。
出演者にも派手さはないし、賞がらみの話題もないから、致し方ないかもな。
でも映画としては面白かった。しかし、なんだろう、いつものコテコテのアレン節じゃないので、
「え?こんな純情な恋愛ストーリーでいいの?」と、例のシニカルな「不条理とも不合理とも
非情とも毒とも」受け取れる粘っこい調子、また時として使われるサスペンスなタッチもないし、
おバカな風情もないので、ちょっとタタラを踏んでしまった。まあ、結論的には「人生、いうほど
上手くは行かない」と見せておいて、アレン流の「時代を飲み込んで(そして捨てた)恋愛観の
素敵な提示、ということなのだと受け止めた。
恋愛観、ノスタルジー、ジャズ、ファッション、これらはいつものアレン流が貫かれているので、
作品としての上質さが欠けているということはない。そしてこれもいつも通り、女優の存在は華麗に
して大きいのだ。
ユダヤ教やユダヤ人を自虐的に揶揄するのはいつも通り。それが物語の生死感の皮肉だったりもする。

時代は1930年代。「華麗なるギャツビー」のジャズエイジ、「ロアリングトゥエンティ」が29年の
世界大恐慌とともに終焉、そこからニューディールで立ち直ろうとするもののアメリカ経済はあまり
上手く行かない。
欧州ではヒトラー、日本では軍部によるファシズムが台頭し始めていた。そんな時期、トーキー時代を
迎えたハリウッドは本作にもその名が出てくるフレッド・アステア、ジュディ・ガーランドなどが活躍を
始めたころで、活況を呈していた。映画中に全面的にフィーチャーされるジャズは、スィングジャズと
言われるボールルームでのダンスのバックで演奏されるようなものが全盛を迎え、ベニー・グッドマンや
トミー・ドーシーらが人気だった。振るわぬ経済をしり目にハリウッドは華やかであったのだ。
そんな第二次世界大戦に突入するまでの幸せな時期が舞台となっている。

アレンの映画は「夢・夢想」がキーになり、独特の幻想感を醸し出すものもあるのだが、本作は
リアリズムが基本だ。そんなアレン流リアリズムの中から逆に「夢」を紡いで見せているような感じを
受けた。繰り返すがいつものアレン風毒気がほとんど感じられないので、逆に評価が自分の中では
ちょっぴり下がってしまった。じゃあ、「ギター弾きの恋」はどうなんだ?ということなんだけれども。
こんな純情なのがアレンでいいんだっけ?と¥。蘊蓄系のセリフはいつものように多々あるが。

今回、アレンは演出に徹していて、その役をジェシー・アイゼンバーグが担っている。どこかアレンを
想起させる雰囲気がある。しゃべり方も演出だろうが、早口でアレン風。風采が上がらず、女性に
モテず、屁理屈ばかりは上手いという感じもそのままだ。

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大雑把にストーリーを言っちゃうと、以下のごとし。(ネタバレですからご注意)

NYからハリウッドに出てきて凄腕映画エージェントの叔父の元で働くことになるボビー
(アイゼンバーグ)。叔父フィルはスティーヴ・カレルが演じる。ボビーはその叔父の秘書ヴェロニカ
(クリスティン・ステュワート)の美しさにやられてしまう。高嶺の花だと思いつつ、彼は積極的に
アプローチ、やがてヴォニーの心をつかむことに成功する。しかし、ヴォニーには不倫相手がいたのだ。
それが叔父フィル!ヴォニーは、フィルがボビーの叔父とは知らず身の上話をボビーにする。

離婚を約束していたフィルだが、不調に終わり、ヴォニーとは終わることに。失恋したヴォニーは
ボビーのところに。二人はやがて結婚を意識する仲となる。そして結婚してNYへ行こう、というところ
まで来た。だがだが、この期に及び、叔父フィルは離婚を成立させ、ヴォニーに再度求愛するのだった。
もともと尊敬もし愛していたフィル。でもボビーも愛している。結局、ヴォニーが選んだのはフィルで
あり、ハリウッドに残る道であった。

失意のうちにNYに帰ってきたボビー。ギャングの長兄が経営するクラブを手伝っているうちに、この
クラブ、政治家、文化人、芸能人らもたくさんやってくる有名な店となっていく。そこに客として
やってきた女性。彼女も名前はヴェロニカ。美しい!ボビーは積極的にアプローチし、もう一人の
ヴォニーの心をつかみ、結婚、子供も生まれる。そして店はどんどん栄える。
ある日、その店に
フィルと、妻となったヴォニーが客としてやってくる。ヴォニーの美しさは相変わらずであり、かつて
ハリウッドではちゃらちゃらした映画スターをバカにしていたのが、今やそんな身になってしまって
いた。今どうして自分の前に現れたのか、戸惑うボビーであったが、自分の心の奥底にヴォニーへの
愛情がしっかりと息をしているのに気付くのだった。
NYの夜景が美しいセントラルパークでキスを交わす二人。でも、それぞれの妻、夫は確かに愛して
いるのだ。が、結ばれはしなかったが、二人の一番大切な愛は確かにここにある、それは誰に対する
裏切りでもなく(背徳ということばすら消化してしまった)、と思う瞬間だったのかもしれない。

こうやって書いてくると、はやり、時代をくみ取りつつ、時代を排した普遍性を持つアレン流の恋愛観
の提示なのだな。「夢から夢へ」「現実から夢へ」「夢から現実へ」そんな恋愛におけるフェイズが
上手く多層的に示された、やはりアレンならではの恋愛映画ではある。ラストのボビーの後ろ姿が
語ること、そんなことではなかったか。

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: 71% Audience Score:57%>

この映画の詳細は・・・



# by jazzyoba0083 | 2017-05-05 15:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「マジカル・ガール Magical Girl」
2014 スペイン Aqui y Alli Films and more. 127min.
監督・脚本:カルロス・ベルムト
出演:バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ、ホセ・サクリスタン、ルシア・ポリャン他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想:観た人でないと理解できない内容かと思いますので、ぜひ鑑賞後にお読みください>
驚いた。面白い。funnyという意味じゃなく、もっと衝撃的な意味で。かつて、コーエン兄弟の
「ノーカントリー」を見た時の衝撃に似ているかもしれない。ストーリーは全然違うのだが、
「理屈がない」という点において、恐怖を覚えるような感覚。「理屈」はあるにはあるのだが、
「容赦のなさ」「有無のない」バイオレンスの、予見できない恐怖、といえるのだろうか。

本作、欧州を中心に多くの賞を獲ったのだが、当時、日本で話題になりましたっけ?日本の
アニメが主題に大きく絡んでいたり、長山洋子の歌が使われていたりで、日本との関係も
大きかったのに。少なくとも私は寡聞にして知らなかった。スペインの映画はWOWOWでも
ないと、なかなか見られないし。(←言い訳ですw)

白血病の娘を持つ、失業中の元教師、精神科医の夫人として精神的に不安定な生活をしている
バルバラという若い女性。そして、かつてバルバラを小学校のときに担任だったことがある
刑務所帰りのこちらも元教師。大きくいうと、その3つのバラバラだった運命がやがて交差し、
予測不能な衝撃のラストを迎える。先を読めそうで読めない面白さ、それが現実となったときの
衝撃、これが本作の面白味だろう。「え??!」と思うエンディング。そこには正義とか理性とかは
存在しない。「どうです?びっくりでしょ?」という監督の声が聞こえてきそうだ。

「びっくり」要素を加味するものとして、物語のコアとなるくらいの大事なプロットを省略し
説明していないので、観ているほうは想像するしかないわけ。で、その想像の世界に恐怖が
潜んでいるという・・・。
説明なし、の一番大きいヤツは、冒頭小学校の教室で出てくる教師ダミアンとバルバラの
その後の関係。途中、脅迫されたバルバラは、ジグソーパズルなどやらかしているダミアンに
金を貸してくれ、と頼むシーンがあるが、成長してからのダミアンとバルバラの間には何か
あったのだろう。それが刑務所に行く結果に繋がっているのかもしれない、という点。
また、バルバラが瀕死の重傷を負う「とかげの部屋」とは何か。中で何が行われていたのか、
これも(まあ、セックスがらみのサドの世界なんだろうけど)説明はない。(というか伏線は
ある)

それにしても、最後の最後、白血病の娘アリシア(ダミアンにちゃんと理解されぬまま殺される
ルイスの一人娘。ルイスは彼女が日本のアニメの大ファンであるんで、高いお金を出して、
アニメのヒロインのドレスを買いたいと思うのだが、その日暮らしのルイスは、金策に尽きて
悪いことを考えたのだ。それがバルバラとの浮気をバラすぞ、と彼女を脅迫し現金をせびるというもの。
なぜルイスがバルバラと知り合い一夜を共にしたかというと、金が欲しいルイスが宝石店の
ショーウィンドウを割ろうと石を構えた時、そこのビルからゲロが落ちてきた、から。なぜ
ゲロが落ちてきたかというと、精神的に病んでいた(これダミアンに関係あるかも)バルバラが
自殺?しようと大量の睡眠薬だか安定剤を飲んだものの、気持ち悪くなり、窓からゲロを
吐いた、から。ゲロをかけてしまったルイスを家に入れ、洗濯し・・・といううちに。
ルイスは携帯で房事を録音していたんだな。ゲスの極み!=長くなりました)、そのアリシアまで
ダミアンは殺しちゃうんだぞ。ルイスを酒場で射殺して、観ていた客と店長も殺したうえでだ。
何がそうまでして、ダミアンをダークサイドに引きずり込んだのか。ダミアンとバルバラとの間に
何があったというのか。バルバラのせいで刑務所にいったのなら、瀕死で自分の家の前で倒れていた
バルバラの心は?そして彼女のために徹底的な復讐を完結したダミアンは、バルバラを過去のこと
から恨みこそすれ、復讐に手を貸すことはないと思うのだが。いや、そこまでバルバラは
ダミアンの心に食い込んでいたのか。ならなぜ最初に金を貸さなかったのか。最後のワンピースで
完成しえなかったダミアンの大きなジグソーパズルは何を語るのか。

一切の不思議と謎を内包したままエンドロールへとなだれ込む。パパが揃えてくれたドレスとバトンを
持ち、帰ってきたパパを驚かそうとしていた不治の病の少女を射殺するなんざ、許しちゃおけないのだが、
なぜか、観ている私は暴力肯定では全くないものの、なぜか、カタルシスさえ覚えてしまったのだった。
不思議な映画だった。
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<ストーリー>
失業中の父親が、病気で余命わずかな娘の望みを叶えてやろうとしたことから、出会うはずの

なかった人々が思わぬ運命に巻き込まれてゆく。ブラックユーモアに包まれた独創的なストーリーを、

アニメや歌謡曲などの日本テイストが彩る。

監督は、人気漫画『ドラゴンボール』を再解釈したコミックを出版するなど、日本のサブカルに

精通したカルロス・ベルムト。初監督となる本作で、サン・セバスチャン国際映画祭グランプリと

監督賞を受賞した。出演は「赤いブーツの女」のホセ・サクリスタン、「私が、生きる肌」の

バルバラ・レニー、「世界で一番醜い女」のルイス・ベルメホ、本作でスクリーンデビューを

飾ったルシア・ポジャン。


 12歳の少女アリシア(ルシア・ポジャン)は、白血病で余命わずか。そんな彼女の願いは、

大好きな日本のアニメ『魔法少女ユキコ』のコスチュームを着て踊ること。文学の教師だった父

ルイス(ルイス・ベルメホ)は失業中にもかかわらず、娘の最後の願いをかなえてやろうと、その

コスチュームを手に入れようとする。

ところが調べてみると、それは7千ユーロもする高額商品だった。金策に奔走したものの、

失業中の身ではいかんともしがたく、やむなく高級宝飾店への強盗を決意。大きな石で店の窓を

叩き割ろうとした、まさにその瞬間。空からおう吐物が肩に降ってきた。

それは、精神科医の夫と暮らしながらも心に闇を抱えた女性バルバラ(バルバラ・レニー)が、

大量の薬を酒で流し込んだ結果、気分が悪くなって窓から吐き出したものだった。逃げようとする

ルイスを呼び止め、自宅に招き入れるバルバラ。汚れた服を洗濯すると、バルバラはルイスに抱いて

くれるよう求め、2人は関係を持つ。


翌日、ルイスはそのことをネタに、7千ユーロを要求してバルバラを脅迫。やむなくバルバラは、

裏の仕事をしているかつての仲間、アダ(エリザベト・ヘラベルト)の元を訪れると、豪邸で暮らす

車椅子の男の暴行に耐え、7千ユーロを手に入れる。

その金を受け取り、アリシアにコスチュームを買ってやるルイス。ところが、魔法のステッキが足り

ないことに気付き、再びバルバラを脅迫。やむなく、豪邸を再訪するバルバラ。心身ともに傷を負った

バルバラは、自分と過去に因縁を持つ刑務所から出たばかりの元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)に

救いを求める。バルバラに会うことを恐れていたダミアンだったが、自分を“守護天使”と呼ぶ彼女の

変わり果てた姿に心を決め、ルイスの尾行を開始。出会うはずのなかったアリシア、ルイス、バルバラ、

ダミアン。やがて彼らの運命が交錯し、予想もしなかった悲劇へ向かってゆく……。


<IMDb=★7.3>

<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score:81%>




# by jazzyoba0083 | 2017-05-04 23:10 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「フィフス・ウェイブ The 5th Wave」
2016 アメリカ Columbia Pictures.112min.
監督:J・ブレイクソン  原作:リック・ヤンシー『フィフス・ウェイブ』
出演:クロエグレースモレッツ、ニック・ロビンソン、ロン・リヴィングストン、リーヴ・シュレイバー他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>

大昔、テレビ映画で「インベーダー」という宇宙人モノがあった。地球を占領せんと
人間の体を乗っ取って、善人に悪を及ぼす、とうもの。宇宙人である証拠は小指が
曲がらない点。高校のころだったか、30分ものだったけど、結構怖くて、それでも
気になって一生懸命観ていた。

なぜそんな話から始めたか、というと、本作も、所謂エイリアン的な宇宙人は出て
来ないから。人間の体を乗っ取って、お互いを戦わせて、滅ぼし、地球を乗っ取ろうと
いう形式が、前記「インベーダー」とよく似ていたからだ。異形の宇宙人や、スター・
ウォーズばりの空中戦CGで魅せるタイプじゃない宇宙モノは、余程構成に気をつけないと
ならない。原作本があるが、本は想像の世界なので、怖さが映画とは違う形で迫ってくると
いう利点があるが、丸見えの映画では、へなちょこ作品になっちゃう。その心配が現実に
なったのが本作だ。クロエ・グレース・モレッツの健気な活躍が無ければ★4つ位の評価だ。
宇宙モノ空想科学モノ大好きな私としてはシネコンに行こうかと思っていた作品。行かなくて
良かった!ww

クロエもダコタ・ファニングと同様、作品を選ばないと、三流になっちゃう心配があるなあ。

5th waveとは5波に渡る異星人の攻撃を表している。一波は、地球上の電気、電磁的なものを
シャットダウンしまうこと。これはなかなか画になるので、面白かった。クルマも動かず、
スマホやPCなども動かないわけだから。飛行機は落ちちゃうし。お、と思わせておいて
第二波は津波と地震。これ普通。第三波は謎のウイルスを蔓延させちゃうというもの。
第四波では人類に寄生を始める。そして第五波は、人間同士を戦わせるというもの。

主役のクロエ・グレース・モレッツは普通の高校生だったのが、母親がウィルスで死に、
父親は軍隊に化けた異星人に射殺され、弟は拉致された一家の長女だ。彼女、M-16風の
ライフルをキャンプから持ち出して使うのだが、普通の高校生が軍隊のマシンガンを普通に
扱えるだろうか?という点から始まり、なぜ異星人は地球を乗っ取りに来たか、寄生している
異星人?はでかいシラミみたいな形しているんだけど、あれがこんな知能を持っているのかなあ、
地震とか津波とかどうやって起こしているわけ?などなど結構肝となる疑問を捨て置いて
話が進み、しまいには、アザーズと名付けられた異星人に乗っ取られた人間と、そうでない
普通の人間との闘いが繰り広げられるのだが、どうみてもショボいんだなあ。
弟を救出し、仲間と、途中で出会う愛する人?と共にアザーズと闘い、地平を開くのだけど。

本が面白かったからと言って映画にして面白いとは限らない、といういい例だな。
え?これってヤングアダルト映画なの? なら早く言ってよお。
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<ストーリー>

謎の生命体“アザーズ”の襲来で壊滅的状況となった地球で、人類滅亡の危機に立ち向かう
人々の姿をひとりの女子高生の目を通して描くSFミステリー。原作は13年に発刊された
ベストセラー小説で、クロエ・グレース・モレッツが人間に紛れ込んだアザーズに怯え
ながらも、弟を探すために孤独なサバイバルに挑むヒロインを演じる。

第1の波=暗黒、第2の波=崩壊、第3の波=感染、第4の波=侵略……。圧倒的知能を持つ
生命体<アザーズ>により4度にわたる攻撃を受け、人類の99%が死滅。地球はほぼ壊滅
状態となっていた。
そんな中、生き残った女子高生キャシー(クロエ・グレース・モレッツ)は、離ればなれに
なってしまった弟を救うため、子供たちが拉致された基地へと向かう。だが<アザーズ>は
人間に紛れ込み、誰が敵なのか味方なのか分からない。そんな末期的な状況の中、旅の
途中でキャシーはある男性に命を助けられる。キャシーは彼に惹かれながらも心から
信頼できないまま、ともに基地を目指すのだった。人類滅亡を意味する第5の波≪フィフス・
ウェイブ≫が来る前に、人類は<アザーズ>を見抜き、彼らの目的を阻止できるのか……。
(Movie Walker)

<IMDb=★5.4>
<Rotten Tomatoes:Tomatometer:16% Audience Score:38%>




# by jazzyoba0083 | 2017-05-03 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「デス・プルーフ in グラインドハウス Death Proof (from "Grindhouse")」
2007 アメリカ Dimension Films,Troublemaker Studios. 113min.
監督・脚本・撮影・(共同)製作:クェンティン・タランティーノ
出演:カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ローズ・マッゴーワン、シドニー・ターミア・ポワチエ
   ゾーイ・ベル、ジョーダン・ラッド、トレイシー・トムズ、ヴァネッサ・フェルリト他
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<評価:★★★★★★★★☆☆ あるいは ★★★☆☆☆☆☆☆☆>
<感想>
この映画を見るにあたってはいくつかの知識が必要。私はタランティーノの映画は
好きだが、詳しいほうではないので、今回の鑑賞に当たり、少し勉強させて貰った。
(タランティーノファンの方はスルーして下さいね)
そもそも、「グラインドハウス」とはタランティーノとロバート・ロドリゲスにより、
2007年に製作・公開された映画で、2本の作品と実在しない4本の映画の予告編から
構成されている。このうち映画部分はロバートの「プラネット・テラー」と
タランティーノによる「デス・プルーフ(耐死仕様)」。

「グラインドハウス」とは、かつてエクスプロイテーション映画やB級映画を2~3本立てで
上映していたアメリカの(場末の)映画館のこと。エクスプロイテーションとは、観客から
金を巻き上げるような詐欺的映画なことらしい。この辺りはちょっと私も勉強不足だ。

で、この映画と同時にタランティーノの「デス・プルーフ」部分に新たにシーンを加えて
単独興業に供したのが本作、というわけだ。タランティーノのB級映画に対するオマージュが
込められていて(愛情は感じることができる)、前半はこうした場末の映画館によくあったように
フィルムに傷をつけてあったり、音が飛んだりする。ああ、タランティーノはこうした場末的映画が
好きなんだなあ、と思わせる工夫である。
加えて、タランティーノの特徴である「意味のないだらだらした会話」が続くので、タランティーノ
好きで、この会話の後に何が来るかがわかっていないと、「なんじゃこの映画」「意味不明」
という意見も出ることは至極当然でそれほど、「アク」の強い映画である。
本作は大きく二つの別の話から成り立っているのだが、どちらも、はじめは意味がないガールズ
トークがだらだらと続く。
普通の人(私も含め)は、それぞれの「だらだらトーク」に嫌になってしまい、離脱したく
なるであろう。見どころは、2つのパートのカーチェイスシーンというか、車を使った
暴力シーンである。前半の部分は、スタントマンと称するカート・ラッセル扮するマイクが
ドライブインに集まった若い女たちを自分の車に乗せて殺したり、車を追いかけまわし、
えぐい殺し方をする。

後半は、14か月後の別の場所。やはりドライブインみたいなところに
集まってくちゃくちゃしゃべっているハリウッドのおそらくB級映画製作スタッフ(メイクや
ヘアみたいな)の女の子たちvs「耐死仕様」で追いかけまわすマイクの話。
ニュージーランドからやってきた女の子が「バニシング・ポイント」のダッジ・チャレンジャーに
憧れ、来ていた町にその車を売り出している男を見つけ、みんなでたらしこんで、試乗
させてもらうのだが、ボンネットに乗っかってスタントまがいなことをやったりして、相当
むちゃくちゃな試乗をしていた。そこにマイクの突っ込んできて、さんざん追廻して、彼女らを
恐怖のどん底に突き落す。(止まればいいとおもうのだけれどね。ww)しかし、ボンネットに
つかまり続けるニュージーランド人女性ゾーイの吹き替えなしのスタントは見ごたえあり。
しかし、いったん止まったところで女の子の一人が銃でマイクを撃つと形勢は逆転。こんどは
女の子がマイクを追いかけ回す。しかも執拗に、徹底的に。そしてついに車を転覆させ、
出てきたマイクをフルボッコにする。最後にはのどにかかと落とし!(殺しちゃったのかな)
ここに「The End」と!

ハイライトは後半のからラストだろう。タランティーノらしい緊迫とアホラシサに満ちていて
ここは気持ちがいい。全体の出来?としてどうか、と言われると、冒頭の評価に記したように
タランティーノの感性が大好きな人は★8つ以上だろうけど、たまたま見た人は、なんのこっちゃと
★3つ、ということになるのではないか。バカバカしさ(これタランティーノ流だからただのバカ
じゃないのが困るんだけど)とやりすぎ風のバイオレスが、やなりタランティーノの魅力だな、と
いうことは分かった。「傑作」か「くそ映画」か。どういわれようとタランティーノは満足なんだよ、
きっと。ww

タランティーノの作る映画はどういう風合いを持つか、かなりわかっている人でないとこの映画の
面白味は味わえないだろう。だらだら続く会話を字幕を追ってしっかりストーリーを追おうと思わ
なくても、全体に大きない影響はないでしょう。ww
私個人的にはタランティーノの魅力が一層理解できた映画ではあったが、好きな映画か、と問われると
そうでもない、と答えざるを得ない。ま。ジョン・カーペンターの諸作を面白いと思える人はいいかも。
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<ストーリー>
B級映画ばかりを2本立て、3本立てで上映するアメリカでかつて流行った映画館“グラインドハウス”を現代に
甦らせるべく、クエンティン・タランティーノ監督と盟友ロバート・ロドリゲス監督がホラー映画を競作した
2本立てムービー「グラインドハウス」のうちのタランティーノ版で、独立した1本の作品として再編集された
ディレクターズ・カット完全版。

カート・ラッセル扮する元スタントマンが、愛車を凶器にセクシー美女たちを次々に血祭りに上げるさまと、
そんな恐怖の殺人鬼に敢然と立ち向かうスタントウーマンとの壮絶な死闘をCGに頼らない迫真のカー・
アクション満載で描く痛快スラッシャー・ムービー。
なお劇中でスタントウーマンを演じたゾーイ・ベルは実際にハリウッドで活躍するスタントウーマンで、彼女が
ユマ・サーマンのスタントとして「キル・ビル」の撮影に参加したのが縁で、今回ヒロインに大抜擢となった。

 テキサス州オーステインの人気DJ、ジャングル・ジュリアは気の置けない仲間たちとバーへ繰り出し、
女の子だけの会話に花を咲かせていた。そんな彼女たちを、ドクロマークの不気味な車を駆る顔に傷のある謎の
中年男、スタントマン・マイクが秘かにつけ回していた…。

14ヵ月後、テネシー州で映画の撮影に参加していたスタントウーマンのゾーイ。彼女は空き時間を利用して、
仲間たちとある計画を実行する。それは、売りに出されていた憧れの車、映画「バニシング・ポイント」に
登場した70年代型ダッジ・チャレンジャーに試乗しスタントライドを楽しむこと。さっそくボンネットに乗り、
危険なスタントを始めるゾーイ。やがてそんな彼女たちを、あの男スタントマン・マイクが、新たな獲物に
見定め襲いかかるのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:65% Audience Score:72%>

この映画の詳細は




# by jazzyoba0083 | 2017-05-01 23:15 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ワイアット・アープ Wyatt Earp」
1994 アメリカ Warner Bros.,and more. 191min.
監督:ローレンス・カスダン
出演:ケヴィン・コスナー、デニス・クエイド、ジーン・ハックマン、イザベラ・ロッセリーニ、トム・サイズモア他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
名作「OK牧場の決闘」、「ドク・ホリディ」など、さまざまな映画の題材にもなっている
実在の「保安官にしてならず者」ワイアット・アープの生涯を描く作品だ。

確かに劇的な生涯を送った人ではあるが、この映画、長すぎ。幼少期から始まり、
皆が拳銃を持たなくなった老年時代まで描き切る。波乱万丈に描かれるから、それ
なりに面白くも観られるのだが、いかんせん、3時間以上の大河にする必要のある
物語に値する人物なのか。ネタバレ覚悟だが、最初の結婚(純愛を貫いたもの)が
新妻の腸チフスによる急死という悲劇を経て、ワイアットの性格が変化していく様子は
見どころではあるが、私がプロデューサーなら、この最初の結婚の悲劇後から
描いていくので十分に物語は出来るんじゃないか、と思うだろう。

生涯を描くゆえに、登場人物も多く、ドク・ホリディ、ワイアットの兄と弟、バット・
マスターソン、そして2度目の妻となるジョジーなど、それぞれキャラの立った人物も
多く、これを欲張って描こうとするから、中途半端な感じを免れない。
デニス・クエイドのドク・ホリディなんて、主役を食うくらいのいいキャラクター
だったのに。

一方、新妻を腸チフスであっという間に失い、自暴自棄になり、無法にも手を出した
アープが、保安官助手として兄弟と、また野牛の皮を商売にしていたときに知り合った
マスターソン兄弟、加えてアープを親友と信じるドク・ホリディなど魅力的な
仲間たちに囲まれ、ラストあたりではジョジーという女性との愛情の芽生えという
要素もプラスされ、アープというのは、単純な保安官ではない、屈折した人生を
生きてきて、純粋な正義漢でもないし、結構山っ気もあったりで人間ぽかったと
いう面は長い時間をかけて描けていたし、人となりもよくわかった。

いわゆるOK牧場の決闘で、私闘とみなされて訴追を受けるが無罪となり、2番目の
妻となったジョジーとアラスカに金を求めて一旗あげようと船で向かう姿で映画は
終わるのだが、アープという人はほんとに波乱万丈だったんだなあ、という以外に
あまり感動とか、人生に対する教訓というものは感じなかった。長いわりに何が言いたい
のかよくわならないままスルリと流れて行ってしまった引っ掛かりのない作品になっちゃた
なあ。

この引っ掛かりのないつくりに、この年のラジー賞を賑わせる結果となってしまった。
極論を言えば、ワイアット・アープの話は「荒野の決闘」「OK牧場の決斗」それに
「ドク・ホリディ」以上はもう映画にする必要はなかったんじゃないか?
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<ストーリー>
1800年代、アイオワ。ワイアット・アープ少年は厳格な父ニコラス(ジーン・ハックマン)に
家族の絆の強さと正義を教え込まれて育った。成長したワイアット(ケヴィン・コスナー)は、
ミズーリ州で法律を学び、美しい娘ウリラ(アナベス・ギッシュ)と恋に落ち、結婚した。
だが幸せは長く続かず、彼女は彼の子を身ごもったまま若くしてチフスで亡くなる。
思い出の家に火を放ち、街を出たワイアットは酒浸りの日々を送り、ついに馬泥棒で拘置所に
入れられる。保釈金を積んで彼を助けてくれた父によって彼は目を覚まし、以後は酒は一滴も
口にせず真面目に働く。

数年後、兄ジェームズを訪ねてウィチタにやって来たワイアットは、誰も手が付けられぬ
酔っぱらいを持ち前の豪胆さと銃の腕前で取り押さえた。それがきっかけで、彼は保安官の
バッジを与えられる。やがてダッジ・シティの連邦副保安官となったワイアットは、兄ヴァージル
(マイケル・マドセン)、弟モーガン(リンデン・アシュビー)と共に、法の執行者として町に
尽くす。
ある時、彼は肺病病みだが銃の腕は確かな男、ドク・ホリデイ(デニス・クエイド)と知り合い、
2人は親友となる。ワイアットは、誰も自分に銃を向けてこない生活を望み、兄弟たちと
アリゾナ州トゥームストーンに移った。この町で彼は、ジョージー(ジョアンナ・ゴーイング)
という美しい踊り子と結ばれた。
一方、町は凶悪なクラントン一家とマクローリー一家のために無法状態となっていた。アープ兄弟は
力を合わせて戦うが、ついに決闘の日を迎え、ドクを加えた4人はOKコラルへ向かう。至近距離での
銃撃戦が展開した末に勝利するが、最愛の弟モーガンが殺された。復讐を誓うワイアットは
ジョージーの制止を振り切り、ドクと共に死地へ向かう。死闘の末に一味を倒したワイアットは、
ジョージーとの愛を育んだ。(Movie Walker)

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: 42% Audience Score:61%>

この映画の詳細は





# by jazzyoba0083 | 2017-04-30 23:40 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

めし

●「めし」
1951 日本 製作・配給:東宝 97分 モノクロ
監督:成瀬巳喜男 原作:林芙美子 監修:川端康成
出演:原節子、上原謙、島崎雪子、杉葉子、風見章子、杉村春子、小林桂樹、大泉滉他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

「山の音」に次いで鑑賞した成瀬作品の2作目。「山の音」から3年前、私が
生まれる前年の作品。登場人物が重なり、男女の心のもつれを描くものだから
連続して見なければ良かったな、と反省。ストーリーが混乱してしまった。
(話としては全然違うが原と上原という夫婦の組み合わせは同じなので)

さて、本作は、林芙美子が朝日新聞に連載中に亡くなったため、監修を川端康成が
担当している。故にエンディングの創作は、川端や成瀬、脚色した田中澄江らの
思惑であって、林芙美子が、本作のようにハッピーエンドにしようとしていたかどうかは
不明である。

それにしても、現代の女性の考えと大きく違う当時の「夫婦」という状況や「女性」
というものの社会における立場を考えないと、大きな違和感が残るだろう。

東京出身者が転勤で大阪に暮らす。恋愛結婚とはいえ、証券マンとしての旦那の
稼ぎは良くなく、長屋に住まい、やりくりは大変。夫は帰れば「めし」。
妻・三千代(原節子)は、「このような女中のような暮らしが自分が求めていた
ものでは無いはずだ」と日々の夫婦生活に不満が溜まっている。
そこに、夫の姪っこ、里子(島崎雪子=いい演技だと思う)の登場、夫にシナを
作る姪、それをあまり憎からず思う夫、それを見てまた不満や怒りが湧く三千代。

臨界点に達した三千代は里子を東京に送っていくと称して、実家に帰る。母と
過ごす時間はストレスから開放され、次第に自分も独立して何かをしたいと
考えるようになる。これを打ち砕くのが、職安で偶然出会う旧友の山北けい子
(中北千枝子)であった。戦地から夫の帰還を待つ身であるが、小さい子供と
なんとか食っていかなくてはならない。「あなたのような幸福な奥さんにこんな
惨めな話ばかりしちゃって」と言われてしまう。

と、三千代は大阪に残した夫に手紙を書く。
「あなたの傍を離れるということが、どんなに不安に身を置くことか、やっと
分ったようです・・・」
後日、山北とその子が、駅頭で新聞売をしている姿を見てしまう。こんな女性も
いるのに、自分は・・。

自分は夫のそばにいてこそ幸福をつかめるのだ、それでいいのだ。と考えるように
なっていく。

そんなある日、夫が出張と称して三千代を迎えに来た(らしい)。くたびれた
革靴が玄関にあった。外出して、店でビールを飲む。
夫はお金のこともあり転職を考えていたらしく、妻と相談する、と言ってある、
という。三千代は「いいのに、あなたがお決めになって」というが、夫は
「そりゃね、ボクだって君が苦労しているのはわかっているんだけど」と返す。
そんな会話の中で、三千代は、自分の幸せは、この人と添い遂げることにあるのだ
と納得していく。帰りの列車の中、居眠りしている夫の横で、三千代は夫に書いた
手紙を破いて窓から捨てたのだった・・・。

この映画は主人公三千代のナレーションが入るのだが、ラストはこうだ。
「私の傍に夫がいる。眼を瞑っている。平凡なその横顔。生活の川に泳ぎに疲れ、
漂って、しかもなお闘って、泳ぎ続けている一人の男。その男の傍に寄り添って、
その男と一緒に幸福を求めながら生きていくことにした。
そのことは、私の本当の幸福なのかも知れない。女の幸福とは、そんなものでは
ないのだろうか」

懸命に生きようとする男の姿に、自分の幸せを重ねることで自身の幸福を見出した
三千代だったのだ。(あるいは何処か覚めた諦め、であったか)

どうだろう、現代の女性がこの結論めいたナレーションを聞くと、「そうじゃない
でしょ?」と言いたくなるのではないだろうか。しかし、時代は昭和26年である。
冒頭書いたように、女性、妻、嫁、という当時の社会的立場を考慮すれば、三千代の
ような結論が間違いであると誰がいえよう、というか、その結論こそ、ハッピーエンド
であると、観客には受け入れられたのではないか。(夫のヘタレぶりはもう少しなんとか
せいよ、という指摘は今でも通じるが)
もうひとり、男性で、夫の従兄の一夫(二本柳寛)が、里子とは逆の意味で、三千代
夫婦の愛情をもつれさせるファクター(メタファー)として重要である。

ラストのセリフはどうも川端康成の匂いがする。
それにつけても、主役の二人、いいです。成瀬監督は演技に対してほとんど細かいことを
指示しなかったそうだ。故に、原の顔の表情に伴う目線の上げ下げ、などは原自身の
演技だったようだ。小津作品の原とは違い、2作しか見ていないが、成瀬作品の原は
「艶」というか、もっと言えば「性的」さらに言えば「エロ」を感じる。この作品に
原が適切かどうか、は意見が別れるかもしれないが、原ならではの「めし」が出来た、
といえよう。同じ年に小津作品の「麦秋」が作られているが、同じ原節子でも、成瀬
作品のほうが、圧倒的に色っぽい。
そして上原のヘタレぶり。「山の音」でもそうだったが、天下の二枚目スターだった
んでしょ?この馬鹿っぷりはいい味です。

黒澤作品には欠かせない早坂文雄の音楽。この映画では饒舌過ぎると感じた。終始
流れっぱなしという感じ。一瞬音楽なしになるところでのショック的効果が感じとられる
ところもあるが、やはり饒舌ではなかったか。

成瀬作品、更に見てみたくなりました。
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<ストーリー>

林芙美子の未完の絶筆を映画化した成瀬巳喜男の戦後の代表作のひとつ。繊細にして
リアルな女性描写は、成瀬演出の真骨頂と言われている。
ノーベル賞作家・川端康成が監修を担当。


 恋愛結婚をした岡本初之輔と三千代の夫婦も、大阪天神の森のささやかな横町に
つつましいサラリーマンの生活に明け暮れしている間に、いつしか新婚の夢もあせ果て、
わずかなことでいさかりを繰りかえすようにさえなった。
そこへ姪の里子が家出して東京からやって来て、その華やいだ奔放な態度で家庭の
空気を一そうにかきみだすのであった。
三千代が同窓会で家をあけた日、初之輔と里子が家にいるにもかかわらず、階下の
入口にあった新調の靴がぬすまれたり、二人がいたという二階には里子がねていた
らしい毛布が敷かれていたりして、三千代の心にいまわしい想像をさえかき立てる
のであった。
そして里子が出入りの谷口のおばさんの息子芳太郎と遊びまわっていることを
三千代はつい強く叱責したりもするのだった。家庭内のこうした重苦しい空気に
堪えられず、三千代は里子を連れて東京へ立った。

三千代は再び初之輔の許へは帰らぬつもりで、職業を探す気にもなっていたが、
従兄の竹中一夫からそれとなく箱根へさそわれると、かえって初之輔の面影が
強く思い出されたりするのだった。その一夫と里子が親しく交際をはじめたことを
知ったとき、三千代は自分の身を置くところが初之輔の傍でしかないことを改めて
悟った。その折も折、初之輔は三千代を迎えに東京へ出て来た。平凡だが心安らかな
生活が天神の森で再びはじめられた。(Movie Walker)


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=135568こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-04-28 22:30 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

●「ブルックリンの恋人たち Song One」
2014 アメリカ Worldview Entertainment,Marc Platt Productions.86min.
監督:ケイト=バーカー・フロイランド
出演:アン・ハサウェイ、ジョニー・フリン、ベン・ローゼンフィールド、メアリー・ステンバージェン他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
このところ、重めの映画が続いていたので、アン・ハサウェイが出ていて短めのロマンス、というだけで
チョイスした作品。情緒のみでストーリーやカタルシスなし。音楽の力?が言いたかったのかな。
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疎遠になっていたストリートミュージシャンの弟が、交通事故に遭い意識不明となってしまう。彼の姉で、
人類学博士号を取ろうと頑張っていたフラニーは、モロッコから急遽NYへと帰ってくる。

弟ヘンリーの部屋でジェーム・ズフォレスターというアーティストのポスターがいっぱい貼ってあるのを
見つける。そして弟が行くつもりであったチケットを持ってライブに行ってみることに。
弟は一体どんな音楽にあこがれていたのか、興味があったのだ。
フォークギターを手に静かに、でも熱い歌詞の歌を歌うジェームズの歌に感激したフラニーは
ライブ終わりで出待ちして、ジェームズに、自分の弟の事情を話す。

枕元で、弟に音や感触の刺激を与えてなんとか意識を回復させようと頑張るフラニー、そして
母カレンであった。するとライブの翌日、なんとジェームズが病室にヘンリーを見舞いに来てくれ、
しかも歌を歌って行ってくれた。

その後、フラニーとジェームズは次第に惹かれあい、男女の仲となる。しかし、ジェームズは
ロンドンでのレコーディングやら、曲作りの住まいは山の中の小屋、とかだし、一方のフラニーは
モロッコで人類学の博士号のための研究を続けなくてはならない・・・。愛し合っていても
二人は結局一緒になれないのではないか、そんな予感を抱えつつ数日が流れる。

ある日、いつものように歌を流していると、ヘンリーの意識が戻った!なんと!歌の奇跡か!
良かった良かったなのだが、ラストシーンでは、それぞれの道を歩み始めたフラニーとジェームズの
姿があった。どうやら2枚目のアルバムづくりで悩んでいたジェームズはフラニーと付き合ったことで
いい曲が書けるようになったっぽい。
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なんだよ、二人は結局別れちゃうんじゃないか、愛し合っていながら。それでいいわけ??
納得できんなあ。フラニーとジェームズがデートするブルックリンの夜景が綺麗でした。
ベリーショートのアン・ハサウェイがキュート。弟、意識が戻って良かったね!今度からは
ヘッドフォンして考え事しながら道を歩いちゃいかんよ。ということが残っただけの映画でした。
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<ストーリー>
疎遠だった弟が事故で昏睡状態に陥ったのをきっかけに、ニューヨークの街で彼の足跡を辿り始めた
ヒロインが、弟の大好きなミュージシャンの青年と偶然に出会い、音楽を通して恋に落ちていく
さまを描いたラブ・ストーリー。
主演は「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイ、共演は俳優としてのみならずミュージシャンと
しても活躍するジョニー・フリン。監督は、これが長編デビューのケイト・バーカー=フロイランド。

 モロッコに拠点を置き、人類学博士号取得を目指して研究を続けていたフラニー。ある日、疎遠に
なっていた弟ヘンリーが交通事故で昏睡状態にあるとの知らせを受け、急遽ニューヨークへ帰郷する。
やがてヘンリーの部屋で彼の憧れのミュージシャン、ジェイムズ・フォレスターのライブチケットを
見つけたフラニーは、彼に代わってライブへと足を運ぶ。
その歌に感動したフラニーは、ライブ後にジェイムズと言葉を交わし、彼のファンだった弟が事故に
遭い入院中であることを伝えて別れた。

すると翌日、ツアー中にもかかわらず、ジェイムズがわざわざ病室を訪れ、意識の回復しないヘンリーの
ために歌を歌ってくれたのだった。
さらに、ヘンリーに聴かせるための音を集め歩くフラニーにも寄り添うジェイムズ。いつしか互いに
惹かれ合う2人だったが…。(allcinema)

<IMDb=★5.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:34% Audience Score:28%>

この映画の詳細は

# by jazzyoba0083 | 2017-04-27 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)