●「パール・ハーバー Pearl Harbor」(3回目)
2001 アメリカ Touchstone Pictures (presents),Jerry Bruckheimer Films.183min.
監督・製作:マイケル・ベイ  製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセイル、アレック・ボールドウィン、マコ他

e0040938_14165066.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
3回目の鑑賞。終戦記念日の翌日に鑑賞するのも意味あることかと。前回は5年前。その後、実際にアリゾナ記念館、
フォード島、太平洋航空機館など、真珠湾に関する見学も経ているので多少は詳しくもなっているんじゃないか、と
考え、それを補足できるかどうかもあり観てみた次第だ。

全体の評価は5年前と大きく変わらない。とにかく色んなものを詰め込みすぎて3時間を超える映画になってしまい、
締りが無くなっているなあ、と改めて感じた。幼い頃からの親友が一人の女性をめぐる恋物語、真珠湾攻撃と米軍、
日本軍司令部の葛藤、ドゥーリットルによるローズベルト大統領の命を受けた空母からの東京空襲と中国着陸と
それぞれが1本の映画になりそうなストーリが3つ交差しながら話が進む。

それぞれのパートの脚本はそれなりによく書かれてたと思うが、大盛りご飯は三杯は食べられない。特に出だしの
40分ほどは恋愛話なので、いつ戦闘シーンが出てくるのかイライラする。

真珠湾攻撃が始まるまでは1時間以上を要する。恋模様の中にも日米和平交渉の緊張などを挟み込んだらもう少し
テンポは上がったんじゃないか。
それぞれの話を10分ずつ縮め、せめて150分ほどにまとめたらまだよかったと感じる。あいかわらず日本軍の考証
不足は噴飯ものだが、連合艦隊(海軍)の、真珠湾奇襲が成功しても、すぐに和平に持ち込まないと持たないという
ニュアンスが出ていたのは良かったと思う。故に★を前回より1つ増やした。オアフ島での日本のスパイ活動なども
本当の話だ。

流石にマイケル・ベイだけあり、欧州の空戦を含め、真珠湾の戦闘は迫力があった。一つの戦闘シーンにも物語性を
持たせ、たんなるドッカンボッカンにはなっていないのはさすがだし、この時期のCGの使い方も上手いと思う。
これでもか、という真珠湾の日本軍の徹底した攻撃(3波攻撃は中止されたが)は地獄絵図であり、この作戦だけを
見れば、やり方は卑怯だが、戦略、戦術としては完璧だったといえるだろう。

複数機のP-40戦闘機が飛び立ってゼロ戦や97式艦爆を撃墜し帰還した話は実話に基づいているが、離陸したのは
ノースだかベローズにあった日本軍の知らない滑走路からの発進ではなかったかな。

もう少し短かったら本当に良かったのにと残念だ。これを「ダンケルク」を作ったクリストファー・ノーランに
作らせたら面白いんじゃないか、と観ながら思っていた。しかし、ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、
ケイト・ベッキンセイル、アレック・ボールドウィン、ジョン・ボイトに加え、若き日のマイケル・シャノン、
キューバ・グッディング・ジュニア、トム・サイズモアが観られるのはめっけものだ。

e0040938_14165836.jpg
<ストーリー>
「アルマゲドン」のジェリー・ブラッカイマー製作、マイケル・ベイ監督コンビが、同じく同作に出演し
たベン・アフレックを主演に迎えて描いた戦争映画。日本軍の真珠湾攻撃をフィーチャーし、史実に
とらわれることなく、甘いメロドラマと戦闘シーンが展開される。

1941年。兄弟のように固い絆で結ばれた若者レイフとダニー。レイフは恋人イヴリンをダニーに託し、
ヨーロッパの戦地へと向かう。やがて、軍からハワイ転属命令を受けたダニーとイヴリンのもとにレイフ
戦死の報が届く。二人は互いの心の傷を癒すべく支えあい、いつしか結ばれる。
しかし、戦況が逼迫し始めた12月6日、イヴリンの目の前に死んだはずのレイフが現われた……。
(allcinema)

<IMDb=★6.2>
<Metaciritic=44>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:24% Audience Score:66%>
<KINTENOTE=60.3点>



# by jazzyoba0083 | 2019-08-16 23:45 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「モリーズ・ゲーム Molly's Game」
2017 アメリカ STX Entertainment (presents) and more. 140min.
監督・脚本:アーロン・ソーキン
出演:ジェシカ・チャスティン、イドリス・エルバ、ケヴィン・コスナー、マイケル・セラ、ジェレミー・ストロング他

e0040938_17060150.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
こういう人が実在したとは知らなかった。まあ多くの日本人は知らないだろう。しかし、落差の大きな人生だな、と
感心する。幼い頃の父親からのスパルタ教育といい。モーグルのトップアスリートから闇ポーカーを仕切る女になる
とは、映画のネタにはピッタリだ。頭がいい女性を、胸の大きさを強調したジェシカ・チャスティンが熱演する。
モリー・ブルームという人物の育ち、教育、アスリートとしての根性、品性などの重要なキャラクテーが匂い立つ
ようなピッタリの役柄だった。

冒頭自分のことを自分で説明する早口のナレーションが続くのがしんどかった。セリフの量の多さはソーキンが脚本を
書いた「ソーシャルネットワーク」の冒頭に通底している。それとポーカーの基本が分かってないと面白さは半減する
かもしれない。かのゲームは基本、騙し合いなのだな、ということが分かれば面白さは着いてくるけど。
もちろん、確率論や統計論的に分析すれば勝てるゲームでもあるから、頭が良くて、ハッタリが効くやつが強いだけだ。

モーグルのジャンプの際の松の枝に引っかかったばかりに大きな人生の転換点を迎え、その後何故かグギャンブルの
世界へ。そしてセレブを集めての秘密の会員制ポーカー賭博場の経営、FBIによる捜査、訴追、全財産の没収と、
若くして目まぐるしい人生を歩んだモリー・ブルーム。これを心理的背景に心理学教授だった父と、困難な裁判を
引き受けてくれた黒人弁護士チャーリーとのやり取りの中で(もちろん賭場での彼女もだが)彼女の心理を綴り上げ
ていく。この辺りはソーキン脚本の白眉だろう。あの松の枝が無かったら、という人生の機微を活写する。

面白くてよく出来ているのだが、どこまで理解できたのか不安、というのもソーキン脚本の大きな要素だな、と
個人的には思う。本作、とにかくジェシカ・チャスティンを観る映画と割り切ってみましょう。

e0040938_17065403.jpg

<ストーリー>
2002年、冬季オリンピック予選の最終戦。女子モーグル北米3位のモリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、
五輪出場を目前にしていた。心理学教授の厳格な父親(ケヴィン・コスナー)のもと、幼い頃からひたすら練習を
重ね、12歳の時の背骨の大手術からも復活したモリーだったが、その大会で松の枝にぶつかりスキー板が外れて
転倒、怪我を負った彼女のアスリート人生は終りを迎えるのだった。

その後、ケガから回復したモリーは、ロサンゼルスで1年間の休暇を取っていたが、バイト先のボスからポーカー・
ゲームのアシスタントを頼まれる。
そこは、ハリウッドスターのプレイヤーX(マイケル・セラ)、映画監督、ラッパー、ボクサーなど大金持ちの
有名人ばかりが集まる場所であった。ゲームの参加費は1万ドル。一夜で100万ドルの金が動くスリリングな
世界で、最高レベルの人々との交流に生き甲斐を見つけるモリーだったが、数年後、突然クビを言い渡されて
しまう。

モリーは秘かに練っていた計画を実行し、自ら経営する“モリーズ・ルーム”をオープン。その後、ニューヨークに
拠点を移し、並外れた才覚によって新たなる伝説を築いていく。
しかし、2012年、突如FBIに踏み込まれ、モリーズ・ルームは閉鎖。彼女は全財産を没収される。2014年、
回顧録『モリーズ・ゲーム』を出版後、モリーは違法賭博運営の容疑で突然FBIに逮捕される。
もう2年もやっていないと答えるモリーだが、令状を前に成す術もない。何人もの弁護士に断られたモリーは、
チャーリー・ジャフィー(イドリス・エルバ)に弁護を依頼。ジャフィーは、タブロイド紙に載る“ポーカー・
プリンセス”は自分向きの事件ではないと断るが、実際のモリーはタブロイド紙に書きたてられるような人物で
ないことを知り、彼女の弁護を引き受けることを決意する……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Metacritic=71>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:81% Audience Score:84%>
<KINENOTE=74.0点>







# by jazzyoba0083 | 2019-08-10 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「ミッドナイト・ラン Midnight Run」
1988 アメリカ Universal Pictures (presents),City Light Films. 126min.
監督:マーティン・ブレスト
出演:ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディン、ヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン、デニス・ファリナ他

e0040938_15161859.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
時代を感じるおおらかな作りではあるが、ラストのこれぞカタルシスの見本みたいなスッキリ具合も含め、
とても素直に面白い!と感じることが出来た。ストーリーを変に捏ね繰り回さず、キャラクターもはっきり
していて、緊張感もあり、ロードムービーとしても、バディものとしても一流だと感じた。

コメディの要素を含みつつ、スリリングなシーンやカーチェイスなどのアクションという点もしっかり押さえ、
人間模様も描かれ飽きさせない工夫もしっかりとしている。

元警官の賞金稼ぎ、主演の若きロバート・デニーロ、マフィアの金を横領して恵まれない人に寄付したという
変な会計士チャールズ・クローディンも良かったが、終始おちょくられるダメFBIのボス、ヤフェット・コットーも
役に徹したキャラクターを演じ、好感が持てた。更に賞金稼ぎのライバル、ジョン・アシュトンも欠かせない存在
だった。

構造としてはロスの保釈金保証業者が金を出して保釈した会計士デュークが逃亡、このままでは保釈金没収となって
しまうため、デニーロ演じるジャック・ウォルシュに身柄の確保を依頼する。一方、会計士がマフィアの実態を
知っているとみて会計士デュークとマフィアを追うFBI捜査官アロンゾ。更に、1200万ドルを盗み出した会計士を
ただでは置かないマフィアがデュークを亡き者にするため追ってくる。なぜジャックがシカゴ警察を辞めたのかが
マフィアの罠であったことなど、その背景にいた警官がジャックの女房と再婚したことなどもちゃんと描かれ
ストーリーも全体としてよく出来ている。

早々にデュークを見つけてNYからLAに護送しようとしたら、デュークは飛行機恐怖症だと、搭乗を拒否される。
そこでジャックとデュークは列車でLAに向かう。しかしまともに護送旅行が済むわけがない。
FBI、マフィア、ジャックと同業者のライバル、マーヴィンとの競争など、ドタバタが展開される。
コメディーが底にあるので決して憎めない展開で安心して観ていられるのが楽しい。

ジャックとデュークの護送旅行のうちに、二人が助けられたり助けたりする状況もあり、二人の間に友情が芽生えて
くる。ラストでデュークを連れて無事にLAに到着したジャックは、保釈金保証業者にデュークを渡さず逃がすことに
した。それに応えてデュークは体に巻き付けて隠していた30万ドルをジャックにプレゼントしたのだった。

アナログな味わいたっぷりなアクション・コメディ。ミッション・インポッシブルも007もいいけど、こういう
おおらかな活劇もいいなあ。

e0040938_15162584.jpg
<ストーリー>
シカゴ警察を退職しロスでバウンティ・ハンターをしているジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)は、
保釈金融会社社長エディ(ジョー・パントリアーノ)の依頼でギャングのジミー・セラノ(デニス・ファリナ)の
金を横領した経理係のジョナサン・マデューカス(チャールズ・グローディン)の行方を追いかける。

そんな彼を、セラノを追う重要な証人であるマデューカスは渡せないとFBI捜査官モーズリ(ヤフェット・
コットー)は妨害するが、車の中で彼の身分証を盗んだウォルシュはそれを偽造しニューヨークヘ飛び、モーズリの
名をかたり何なくマデューカスを逮捕するが、それによりウォルシュは以後FBIとセラノ一味から追われることに
なる。

マデューカスの飛行機恐怖症のおかげで一路汽車でロスヘと予定を変更したことを知らないエディは、ウォルシュに
業を煮やし彼の同業者マーヴィン・ドフラー(ジョン・アシュトン)にマデューカス移送を依頼する。汽車の中で
2人を襲うドフラーを殴り倒したらウォルシュは、モーズリの名で彼を警察に引き渡しバスに乗り換えた。

バスターミナルで待ち構えるFBIとセラノ一味は、2人がバスから降りるや銃撃戦を展開、その隙にパトカーを
奪い2人は逃走する。思いがけず9年振りに別れた妻子のもとを訪ねるウォルシュは、突然の訪問に戸惑う前妻に
冷たくあしらわれるが、素直に喜びを表現する娘デニース(ダニエル・デュクロス)に心ほだされた彼女は、
ウォルシュに車と金を提供するのだった。

セラノ一味とFBlに追われるウォルシュとマデューカスの旅は続く。途中、ドフラーもからみ、セラノ一味の
ヘリコプターを撃ち墜としたり、激流の中を逃走したり、またFBIをかたり酒場から金を盗んで貨物列車に
飛び乗ったりしてゆくうちに、孤独なウォルシュと心優しいマデューカスとの間には奇妙な友情の絆が深まって
ゆくのだった。
しかしついに、ウォルシュはモーズリに、マデューカスはドフラーに捕まり、ドフラーからセラノの手に渡った
マデューカスを救い出すため、ウォルシュはモーズリを説得し、セラノ一味を陥し入れるある賭けを試みた。
そしてそれは思いがけない成功を収め、自由の身となったマデューカスーは友情の証し、と隠し持っていた金を
ウォルシュに差し出し、2人は、またそれぞれの道を歩むべく別れてゆくのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★7.6>
<Metaciritic=78>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:96% Audience Score:87% >
<KINENOTE=77.1点>




# by jazzyoba0083 | 2019-08-07 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

エヴァ Eva

●「エヴァ Eva」
2018 フランス Macassar Productions and more.102min.
監督:ブノワ・ジャコー  ジェイムズ・ハドリー・チェイス:『悪女イヴ』(東京創元社刊)
出演:イザベル・ユペール、ギャスパー・ウリエル、ジュリア・ロワ、マルク・バルベ、リシャール・ベリ他

e0040938_16520010.jpg
<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
イザベル・ユペールが出ていれば何でも良い作品、というわけにはならない。人の原稿を盗んで
人気作家となり、自滅していくというアイデアは過去にも見た覚えがある。ミステリーの仕掛けが
安直なのと、ギャスパー・ウリエルの影が薄い。エヴァが何をしたかったのか見えてこない、それらは
流石にイザベル・ユペールを主演に据えたからと言って解決するものではない。この手のミステリーは
原作本を読んで想像を巡らすところに良さがあると感じるわけで、それを全部見えてしまう映画に
したら面白さが半減してしまうという例ではないか。

イザベルが日本の大衆に認知されたのは2016年の「ELLE」の頃からだと思う。私もそこから彼女を
認識した。その後注目して見てはいるが、なかなか良作に巡り合っているとは言い難い感じだ。
今年66歳の容色も顔は相当ライトをオーバー目に当ててシワを飛ばしている様子がミエミエだ。
ギャスパーの彼女役の若い女優さんの方が本作に関していえばよほど魅力的だった。
「ELLE」と同様の出来かと思ってみると裏切られるかも知れない。私には残念な出来であった。

e0040938_16521129.jpg
<ストーリー>
「エル ELLE」のイザベル・ユペールが娼婦を演じる官能ドラマ。他人の戯曲を盗んで発表し、
成功を掴んだベルトランは、2作目の執筆のため別荘にやってくる。そこで窓を割って入り込んでいた
男女を見つけ憤慨するが、娼婦のエヴァに一瞬で心を奪われる。
出演は、「たかだ世界の終り」のギャスパー・ウリエル、「殺意は薔薇の香り」のリシャール・ベリ。
監督は、「マリー・アントワネットに別れをつげて」のブノワ・ジャコー。

ベルトラン(ギャスパー・ウリエル)は他人の戯曲を盗んで発表し、一躍成功を掴んだ。しかし
2作目を期待されるがペンは進まず、パトロンから矢の催促を受ける。ベルトランが執筆のための
別荘に着くと、吹雪で立ち往生した男女が窓ガラスを割って家の中に入り、くつろいでいた。
ベルトランは文句を言おうと、バスタブに浸かっていた娼婦エヴァ(イザベル・ユペール)に近寄る
が、一瞬で彼女に心を奪われる。
次作の題材という名目でエヴァに近づくが、冷たくあしらわれる。思うようにならない関係に
苛立ちを募らせると、周囲の人間を巻き込み、官能と破滅の道に向かっていく……。
(Movie Walker)

<IMDb=★4.6>
<Metacritic=38>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:14% Audience Score:No data>
<KINENOTE=60.4点>



# by jazzyoba0083 | 2019-08-01 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

search/サーチ  Searching

●「search/サーチ  Searching」
2018 アメリカ Screen Gems,Stage 6 Films,Bazelevs Production. 102min.
監督・(共同)脚本:アニーシュ・チャガンティ
出演:ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ジョセフ・リー、ミシェル・ラー他

e0040938_16084703.jpg

<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
全編PC上の画面のみで構成される、と聞いても実際どんな映画になるのか分からなかった。しかし、
見終えて思うことは、「よく出来ているなあ」という事。このアイデアに感服した。思いつくようで
なかなか出来ないと思う。この企画書は読んだだけでは分からないので、チャガンティは全部自分で
表現したオーディション版を制作して製作者に見せたそうだ。思いついただけではなく、スカイプ、
フェイスタイム、グーグル、You Tube、Facebookなどなど、ポータルサイトやSNSを上手く使い、
PC画面を見つめているだけの映画ではない演出となっている。これは感想を書く方も難しいので
ご覧いただくしかないが、これは是非見ていただきたいと思う。ストーリーもちゃんと出来ている。
すごく良いとは言えないかも知れないが、どんでん返しも有り、オチもちゃんとしているし。
作画のアイデア倒れになってしまわなかったところが見事だ。タイトルも自分の娘を探すという意味
と検索という意味がダブルミーニングになっている。

娘の行方が分からなくなった父がPCを駆使して探し出すというミステリーなのだが、このお父さんの
PCの扱いかたが半端なく上手いんだな。まあその手の職業だからなのだけど。会議もPCでのテレビ
電話会議で、在宅勤務だし。娘の交流関係を洗うためにFacebookやInstagramなどを探り歩く。
その検索の様子が映画になっているわけ。テレビのニュースも局のHPのストリーミングを使い、
最初のうちはカリフォルニアのローカルテレビの画像を使い、大団円になるとCNNを使うという手法も
なかなか考えてある。監督は若干27歳! さすがはネット世代だ。次作のアイデアが楽しみだ。

誘拐される娘がいわゆる映画的な美人ではなく、どうしてトラブルに巻き込まれたか見ている人を
煙に巻く効果を生んでいる。日本では馴染みのないSNSが出てきたりしてその点でも面白かった。

色々書いても隔靴掻痒な感じを感想を書く方も免れない。繰り返すけど、見ていただくしか良さは
分からないと思う。 今年の見っけもんの一つになるだろう。

e0040938_16085782.jpg

<ストーリー>
全編PC画面の映像で展開する斬新な手法が話題となり、2018年のサンダンス映画祭で観客賞に輝いた
サスペンス・スリラー。突然、姿を消した高校生の娘の行方を捜す父親が、彼女が利用していたSNSに
アクセスすることで、知られざる一面を目にするさまがスリリングに描かれる。
27歳の新鋭、アニーシュ・チャガンティの長編初監督作。

6歳の女子高生マーゴットが忽然と姿を消し、行方不明事件として捜査が始まる。家出なのか、
誘拐なのかわからないまま37時間が経過。娘の無事を信じる父デビッド(ジョン・チョー)は、
彼女のPCにログインしSNSにアクセスを試みる。インスタグラム、フェイスブック、ツイッター……。
そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで異なる、
別人のような娘の姿だった……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Metacritic=70>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:88%>
<KINENOTE=79.5 点>




# by jazzyoba0083 | 2019-07-31 23:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 Trumbo」
2015 アメリカ Bleecker Street Films,ShivHans Pictures,Groundswell Productions. 124min.
監督:ジェイ・ローチ  原作:ブルース・クック「(映画と同名)」
出演:ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、エル・ファニング、ジョン・グッドマン、
   マイケル・スタールバーグ、ヘレン・ミレン他

e0040938_12293520.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
マッカーシーの赤狩りと対決したエド・マーローを描いた「グッドナイト&グッドラック」の再見に合わせて、
レンタルで鑑賞した。
終戦後から1960年前半くらいまでのアメリカにおける共産党運動がクルーニー作品と併せて観るとより立体
的に理解出来る。ダルトン・トランボはいわゆる「ハリウッド・テン」と称されるハリウッドの容共過激派と
見做された一派だが、「ローマの休日」を友人名を借りて書いてオスカーを獲り、近年その名誉が回復された
ニュースで知った人だ。今回もそのエピソードは出てくる。

マッカーシズムと言われる共産党とそのシンパの摘発がピークに達する前から、なぜアメリカに共産党員が
多くなったかという部分から本作は始まる。
第二次世界大戦当時まで連合国として枢軸国側と対峙したソ連はアメリカの同盟国で、ファシズムと戦う
その思想はアメリカのアンチ・ファシズムの労働階級に受け入れられ、市民運動と一体化して裾野が広がって
いった。しかし、終戦後は一転、共産主義はアメリカの自由主義を侵食するものとして、特に共和党から
指弾告発されるようになる。
原子爆弾の秘密をソ連に渡したとして有罪となったローゼンバーグ事件も本作に出てくる。実際ハリウッド
にも共産党員はいたし、すでに人気脚本家として活躍していたトランボも一時期アメリカ共産党に属していた
こともある。大体、トランボは大戦前から「ジョニーは戦場へ行った」などの反戦的小説を書いて当局から
睨まれてはいたのだ。

ただ、トランボはハリウッドの経営者が映画の儲けを独り占めしてしまい、スタジオの労働者たちにはその
恩恵が回らない状況を苦々しく思っていた。要するに金持ちの社会主義者だったのだ。
次第に社会主義者に対する締め付けはキツくなり、全国的に密告や告発の恐怖に覆われる暗い時代になって
しまった。
そういう時代を更に悪くしたのが、嘘八百を並べて無実の人を摘発したアル中の共和党上院議員マッカーシー
だったのだ。それを援護したのがニクソンでありレーガンだった。

ハリウッドにもジョン・ウェインを中心とする「アメリカの理想を守る映画連盟」という組織が設立され、
非米活動委員会への協力が推進されていた。ハリウッドの中でも保守派と労働運動を支持する一派が分かれ
ていたが、スタジオの経営者らはジョン・ウェインらの味方となり、トランボたちは次第に仕事を失って
いく。遂にはハリウッド・テンと呼ばれる主要メンバーは議会に召喚され、トランボは証言を拒否したり
反論したため議会侮辱罪として刑務所に入ることになってしまった・・・。

その後、トランボは出所し、偽名で脚本を書いたりして口に糊していたがマッカーシズムもマローや議会、
軍などの力で終焉を迎え、またハリウッドの中でもカーク・ダグラスやオットー・プレミンジャーといった
映画人、キング兄弟のようにB級映画製作者だが反骨精神に満ちた人々が動き出し、ハリウッド・テンや
「ブラックリスト」も次第に有名無実になっていった。

本作ではトランボと彼を取り巻くハリウッドの革新派の仲間たち、トランボに理解を示しながら家を守る
妻(ダイアン・レイン)、娘(エル・ファニング)息子の家族の団結の様子、キング兄弟(ジョン・グッド
マン)の行動、トランボの友人で最初は彼を援助していたが後に議会で彼らの名前を出してしまうエドワード
・G・ロビンソン(スタールバーグ)、保守派ジャーナリスト(ヘレン・ミレン)、それにカーク・ダグラス
やオットー・プレミンジャーの行動を描き、トランボとその時代、また家族の団結を映画いていく。
キモになるところに重要なキャスティングがなされていて映画が引き締まっていた。

結局トランボはローバート・リッチ名義でキング兄弟のスタジオで製作した「黒い牡牛」でオスカー
脚本賞を受賞、彼はリッチは自分であるとカミングアウトし、それをカーク・ダグラスらが援護し、
ハリウッドの赤狩り旋風は収束していく。カーク主演、プレミンジャー監督の「栄光への脱出」はトランボの
名前がクレジットされていた。トランボの死後、「ローマの休日」のオスカーも渡され、映画の
クレジットもトランボの名前が追加された。

トランボの正義に関わる信念と、家族の様子が一番、響いた。前半はテンポ良く背景を説明し、後半は
トランボの苦悩と時代の変化を人間味いっぱいに描いていく。個人的にはヘレン・ミレン演じた保守派の
女性ジャーナリストがもう少しギャフンとなったら良かったのに、と感じた。トランボを熱演したブライアン・
クランストンが良かったし先述のようにキモに名優と呼ばれる人たちを配したのも効果的だった。

e0040938_12294413.jpg

<ストーリー>
1940年代から50年代にかけてアメリカで猛威をふるった赤狩りによってハリウッドを追われながらも、
偽名で活動を続け、「ローマの休日」など数々の名作を世に残した不屈の脚本家ダルトン・トランボの
苦難と復活の軌跡を映画化した感動の伝記ドラマ。いわれなき汚名による迫害に屈することなく己の
信念を貫いた男の物書きとしての矜持を、愛する家族との強い絆の物語と共に描き出す。
主演はTV「ブレイキング・バッド」のブライアン・クランストン。監督は「ミート・ザ・ペアレンツ」
のジェイ・ローチ。

 第二次世界大戦が終結し、米ソ冷戦体制が始まるとともに、アメリカでは赤狩りが猛威をふるう。共産
主義的思想は徹底的に排除され、その糾弾の矛先はハリウッドにも向けられる。
売れっ子脚本家だったダルトン・トランボは、公聴会での証言を拒んだために議会侮辱罪で収監され、
最愛の家族とも離ればなれとなってしまう。1年後、ようやく出所したトランボだったが、ハリウッドの
ブラックリストに載った彼に仕事の依頼が来ることはなかった。そんな中、家族を養っていくためにB級
映画専門のキングス・ブラザース社から格安の仕事を請け負い、偽名で脚本を書きまくるトランボだったが…。
(allcinema)

<IMDb=★7.5>
<Metacritic=60>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:74% Audience Score:79% >
<KINENOTE=80.6点>





# by jazzyoba0083 | 2019-07-30 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「クリミナル・タウン November Criminals」
2018 アメリカ Black Bicycle Entertainment,Lotus Entertainment.85min.
監督:サーシャ・カヴァシ サム・マンソン:『クリミナル・タウン』(ハヤカワ文庫刊)
出演:クロエ・グレース・モレッツ、アンセル・エルゴート、デヴィッド・ストラザーン、キャサリン・キーナー他

e0040938_16341672.jpg
<評価:★★★★★☆☆☆☆☆+α>
<感想>
クロエ・グレース・モレッツは「キック・アス」以降、ほとんど見るようにしているのだが、伸び悩み
だなあ。というか良い作品に恵まれていない。
本作も、ミステリーとしての出来は良くなくて、そこそこいいキャスティングが活かしきれていなかった。
「ベイビー・ドライバー」で好演したエルゴートとモレッツは高校3年の同級生で、共に大学進学を目指して
いる。彼らの親友と言っても良い黒人がコーヒーショップでバイト中に射殺される、という事件が勃発する。

その時二人は初めて体の関係になっていたのだ。モレッツの母親は政府の高官っぽいセレブ、片やエルゴート
の父(ストラザーン)は落ちぶれた作家?彼らは最近母親を病気で失っていた。その時に自分は何も出来な
かったという責めがエルゴートをして友人の時は何とか自分ができることをしたいと思っていた訳だ。

エルゴートが友人の殺害を警察が単なるギャングの抗争と見ていることに腹を立てた彼は学校にビラを張っ
たり警察にねじ込みに行ったりヤリ過ぎの行動を取る。モレッツは彼のやり方はちょっとまずいなあ、と感じ
ながらも、こころで理解はしていた。モレッツが旧友から殺された生徒がヤバイやつらと付き合いがあった
と聞く。彼の普段からは想像が出来ないのだが、エルゴートは止めるモレッツを振り切って危ない裏社会に
犯人探しに乗り込むのだった。

この後は結局友人はヤクをやっていたということが判明、売人と揉めていたとう情報を入手し犯人探しに
行き、撃たれたが間一髪モレッツが警察に通報してエルゴートは怪我をしたが、一命をとりとめ事件は
解決した。そして二人はモレッツはイエール大へ、エルゴートはシカゴ大に進学した。彼はこれを機に
別れることになるのか、と覚悟したが、モレッツからはシカゴとボストンを結ぶ列車の時刻表が
プレゼントされたのでした・・・。

というお話なのだが、友人がヤクをやっていたというオチは何だか安直だし、時間が1時間半もないので
機微については描ききれないのだろうけど、モレッツ、彼女の母、エルゴート、彼の父という関係が
濃く描かれていたらもう少し何とかなったかなあ。でも友人がヤクをやっていたというのは如何にも
安直で、救いがたい。

e0040938_16342412.jpg

<ストーリー>
「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートと「キック・アス」シリーズのクロエ・グレース・
モレッツが共演した犯罪サスペンス。警察をはじめ街中が親友の銃殺事件に動こうとしないことに疑問を
抱いたアディソンは、フィービーと独自捜査に乗り出す。
監督は「ヒッチコック」のサーシャ・ガヴァシ。
2010年にアメリカで発表されたヤングアダルト小説『NOVEMBER CRIMINALS』を原作にしている。

ワシントンD.C.に暮らす優等生のケビンが銃殺される。警察は、事件はチンピラの黒人少年が麻薬を巡る
ギャング同士の抗争に巻き込まれたものであり、犯人は組織内で始末されたとして、早々に捜査を畳もう
とする。
しかしケビンが麻薬に関わって殺されたなどありえないと考えた親友のアディソン(アンセル・エルゴート)
は、彼の名誉を取り戻すため、恋人未満の幼なじみフィービー(クロエ・グレース・モレッツ)と一緒に
独自に事件を追い始める。

しかし警察は証言を取り合わず、学校は大学への推薦状を餌に捜査を牽制するなど、まるで街中が事件から
目を背けているようであり、ケビンの両親も息子はこの街に殺されたと口をつぐむ。
違和感を抱いたアディソンとフィービーは、やがて戻れぬところへ踏み込んでいく。(Movie Walker)

<IMDb=★5.3>
<Metaciritic=31>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:0% Audience Score:23%>
<KINENOTE=No data>



# by jazzyoba0083 | 2019-07-29 22:45 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「天気の子 Weathering with You」
2019 日本 コミックス・ウェーブ・フィルム 114分
原作・脚本・監督:新海誠 音楽:RADWINPS
声の出演:醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、梶裕貴、平泉成、倍賞美津子、小栗旬他

e0040938_20334175.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
「君の名は。」以来の新海誠作品ということで、前作に大変感動し、関心も持ったので、夏休みで
お子様たちで混雑するシネコンに行ってきた。「君の名は。」ほどの熱狂はなかった。が、公開
一週目は興収1位だ。「君の名は。」の1週目を超えているというが、前作はブレイクするまでにやや
時間がかかった。今回は前作を受けての公開なのでハードルはかなり高いと見た。

新海誠ワールドというのだだろうか、地球規模の壮大なファンタジーと少年少女から大人になっていく
男女の恋心を描くボーイミーツガールという本筋は共通のもので、前作より、時制をいじくっていない
部分、観ている方は分かりやすい。が、異常気象にちょっと無理が感じられた。前作の隕石の落下と
いうとんでもない事象ではなく、気象という現実に分かりやすいテーマを持ってきたところに難しさが
出たような感じだ。
ラストの持っていき方は前作と通底するものを感じた。舞台が東京しか出ないので前作のような舞台の広がり
という意味では画の「広がり観」は前作より少ない。RADWINPSの音楽が前作より前に出るので、好みが
分かれるだろう。帆高の声を担当した醍醐虎汰朗の声変わりし立ての割れたような声と小栗旬の声が私には
心地悪かった。

一方で、作画のレベルは前回より更に上がり、細かいリアリティに溢れる描写はもちろんだが、(今回も
聖地巡り現象が起きるのだろうな)、立体的なズームとか、アニメではあまり観ないダイナミックな
映像が見事だった。360度パンとか、回転しながらのビル群のズームバックとか。また画そのものも
パンフォーカス有り、ナメの画ありで多彩。そうした作画だけを観ていても結構楽しい。
空から主人公の二人が落ちて来るシーンでは「未来のミライ」に同じようなシーンがあったなあ、などと
思っていた。

タイトルの「天気の子」ってどういうことなのだろうか、と思っていったのだが、ああいう事だったのね。
水没した東京は200年前の江戸時代のようになってしまたままだけど、それで良かったのかな。若干
無邪気過ぎるのではないか、という感じを受けた。ストーリーとして成熟が今ひとつというか。

相変わらずタイアップの使い方が上手く、JR東日本、サントリー、マクドナルド、日清食品、アルバイト
ニュース、などなど。これでもか感はある。そのあたりの企画の抜け目なさは川村元気の仕掛けか。

前作の超ヒットを受けての本作なので何かと比べられてしまうが、本作がダメではない。物語も作画も
いいとは思うのだが、「君の名は。」という強烈な一作があったが故に新海誠監督は自らに高いハードルを
かしてしまったのだ。さて、本作どこまで興収を上げるのか、楽しみである。

e0040938_20335234.jpg

<ストーリー>
大ヒット・アニメ「君の名は。」の新海誠監督が再び川村元気プロデューサーとタッグを組んで贈るファンタジー
長編アニメーション。天候の調和が狂っていく時代を舞台に、不思議な能力を持つ少女と出会った家出少年が
運命に翻弄されながら繰り広げる愛と冒険の物語を描く。
声の出演は主人公の少年少女に醍醐虎汰朗、森七菜。小栗旬、本田翼、倍賞千恵子、平泉成ら豪華キャストが脇を
固める。
 
 天候が不順で雨が降り続く夏の東京。離島の実家を家出した高校生の森嶋帆高は、なかなかバイト先を見つけられず、
東京の厳しさに打ちのめされかけていた。そんなとき、小さな編集プロダクションを経営する須賀圭介に拾われ、
住み込みで働くことに。さっそく事務所で働く女子大生の夏美とともに、怪しげなオカルト雑誌のための取材を
任された帆高。
やがて彼は、弟とふたりで暮らす明るい少女、天野陽菜と出会う。彼女にはある不思議な能力があった。なんと彼女は、
祈るだけで雨空を青空に変えることができるのだったが…。(allcinema)

<KINENOTE=79.6点>




# by jazzyoba0083 | 2019-07-27 11:10 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「早春 (4Kデジタルリマスター版)」
1956 日本 松竹 144分
監督:小津安二郎  脚本:野田高梧、小津安二郎
出演:池部良、淡島千景、岸恵子、笠智衆、山村聡、杉村春子、浦辺粂子、東野英治郎、加東大介他

e0040938_14054364.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
小津作品は10本以上観ていると思うが、その中でも異色な内容だと思う。松竹専属の小津だが、本作では
池部良、淡島千景という東宝スターを起用し、「君の名は」で国民的スターとなった松竹の若手看板女優
岸恵子と組ませた。後は一連の小津組の常連さんたちがずらりと顔を並べた。小津の公開作品としては最長の
144分。いささか長すぎの感あり。モノクロ作品。

キャストと内容を眺めると、戦後も10年を超えてまだまだ敗戦の影響がそこかしこにみえるものの、次第に
生活にも変化が生まれ、男女の恋愛にも新しい描き方が出てきたな、という印象を受けた。小津といえば、
嫁に行く娘と父親に代表される古い恋愛、親子の愛情の描き方をしてきたな、というい感じなのだが、ここでは
いわゆる「不倫」を題材とし、新しい考えの娘(岸恵子)と古いタイプの嫁(淡島千景)の愛情に対する
比較を描いた。また会社の多数の同僚という設定も小津としては新しい感じを受けた。
刺激を求めて会社の若い娘と浮気をしたものの、嫁の元へと帰っていくという池部良の立場が今ひとつ
はっきりしていない。感情の起伏が少ない男なのだが、それにしても淡々とし過ぎな感じだった。
女性陣でいえば「ドライ」な岸恵子対「ウェット」な淡島千景という構図。これに昔ながらの女性観を語る
淡島の母、浦辺粂子のセリフが何気ないが結構重要だったりする。子供が生まれることが食っていけるか
どうかで悩むことになるという当時の社会、恐らく大学は出たけれど、という時代だっと思うが、厳しい
世相も伺い知れる。

小津の画像の作り方だが開巻のファーストカットが落ち着かない都会や町の風景なのだが、本作もそれで
始まる。また部屋数の少ないアパートや店舗が舞台なので、いくつもの襖を開けてパースペクティブを
演出するというシーンが少ない。一方で、トラックショットが多いのと、ワンショットのカメラ正対では
ないカットが多用され、台詞回しもあの独特の繰り返しが印象的な台詞が少ないなと感じた。

キャスト、キャメラ、台詞、設定と小津としては新鮮な感じを受けはしたが、内容的には、この後に製作
される「東京暮色「彼岸花」から「秋刀魚の味」くらいまでの作劇のほうが個人的には好みだ。
とはいえ、本作はこれはこれで醸し出される世界観は嫌いではない。

e0040938_14055320.jpg
<ストーリー>
杉山正二は蒲田から丸ビルの会杜に通勤しているサラリーマンである。結婚後八年、細君昌子との仲は
倦怠期である。毎朝同じ電車に乗り合わせることから、いつとはなく親しくなった通勤仲間の青木、辻、
田村、野村、それに女ではキンギョという綽名の金子千代など。退社後は麻雀やパチンコにふけるのが
このごろでは日課のようになっていた。

細君の昌子は毎日の単調をまぎらすため、荏原中延の実家に帰り、小さなおでん屋をやっている母の
しげを相手に、愚痴の一つもこぼしたくなる。
さて、通勤グループとある日曜日江ノ島へハイキングに出かけたその日から、杉山と千代の仲が急速に
親しさを増した。そして杉山は千代の誘惑に克てず、ある夜、初めて家をあけた。それが仲間に知れて、
千代は吊し上げを食った。その模様を千代は杉山の胸に縋って訴えるが、杉山はもてあますだけであった。

良人と千代の秘密を、見破った昌子は、家を出た。その日、杉山は会社で、同僚三浦の死を聞かされた。
サラリーマンの生活に心から希望をかけている男だっただけに、彼の死は杉山に暗い後味を残さずには
いなかった。仕事の面でも家庭生活の上でも、杉山はこの機会に立ち直りたいと思った。丁度、地方工場
への転勤の話も出ていることだし、千代との関係も清算して田舎へ行くのも、一つの方法かも知れない。

一方、昌子は家を出て以来、旧友の婦人記者富永栄のアパートに同居して、杉山からの電話にさえ出よう
としなかった。杉山の赴任先は岡山県の三石だった。途中大津でおりて、仲人の小野寺を訪ねると、
小野寺は「いざとなると、会社なんて冷たいもんだし、やっぱり女房が一番アテになるんじやないかい」
といった。
山に囲まれたわびしい三石に着任して幾日目かの夕方、工場から下宿に帰った杉山は、そこに昌子の姿を見た。
二人は夫婦らしい言葉で、夫婦らしく語り合うのだった。(Movie Walker)

<KINENOTE=76.0点>



# by jazzyoba0083 | 2019-07-22 23:30 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

エド・ウッド Ed Wood

●「エド・ウッド Ed Wood」
1994 アメリカ Touchstone Pictures. 124min.
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、マーティン・ランドー、サラ・ジェシカ・パーカー、パトリシア・アークエット
   ヴィンセント・ドノフリオ、ビル・マーレイ、ジェフリー・ジョーンズ他

e0040938_21160672.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
こういう映画人が実在したとは、寡聞にして知らなかった。「史上最低の映画監督」と言われながらもとことん
映画を愛したエド・ウッド。彼を好演したジョニー・デップと相方となるベラ・ルゴシを怪演したマーティン・
ランドー(オスカー助演男優賞獲得)がすこぶる良い。もちろん映画に対する愛情とゴシックな演出が見事な
ティム・バートンも讃えなければなるまい。

まともな人がほとんどいない映画で、エド・ウッド自身女装愛好家(ゲイではない)だし、見た目がほとんど
ドラキュラな(映画でもそういう扱い)ルゴシが痛々しくも哀愁漂う愛すべき存在。エドの友人たちや俳優たちも
ひとくせもふたくせもある役柄で喜怒哀楽が伝わりやすいキャラクター設定となっている。どこか憎めないと
いうか愛すべき存在として描かれている。たとえケチなプロデューサーだとしても。

主にエド・ウッドの伝記映画ではあるが、サラ・ジェシカの演じる恋人やその後、妻となる恋人の存在、ゲイの
友人やヴァンパイラ、最低の監督が自分と並ぶと考えているオーソン・ウェルズの存在さえ、微笑ましくも
温かい。そうした点でコメディであり、友情モノでもあり、映画界の内幕モノでもある。
ティム・バートンの映画愛が詰まった一作となった。残念ながら私はエドの映画(ラストで出てくる
「プラン9・フロム・アウター・スペース (1959)」なんかも観てみたい。マーティン・ランドーの愛娘が
300ドルの出資で主役を射止める役で登場しているのもなんかほのぼのしていてこの際、許せてしまう。

しかし、こんな無茶苦茶な映画のとり方で劇場用の映画が撮れてしまう時代だったのだなあと変な感心をして
しまった。4日で撮り上げるというのは考えようによっては異才といえるのかもしれない。本作で描かれるエドは
熱意だけの人、という表面上のことだけではなく、ハリウッドで映画を作ることの苦労と彼のその後の没落を
予感させて悲哀も感じるのである。
ラストで主要人物のその後が字幕で出るが、エドは54歳で失意のうちにアルコールが原因で命を落とす。
最初のガールフレンドだったドロレスはその後作曲家として名を上げ、プレスリーの「ロッカフラベイビー」
「スイムで行こう」を作曲したと説明され、びっくりした。

e0040938_21161599.jpg
<ストーリー>
史上最低の監督と言われた男、エドワード・デイヴィッド・ウッド・ジュニア、通称エド・ウッドの愛すべき、
奇想天外な半生を描いた伝記映画。ルドルフ・グレイの評伝『Nightmare of Ecstasy』(邦訳・早川書房刊
『エド・ウッド 史上最低の映画監督』)を、“エドの同類”を自認する「バットマン リターンズ」のティム・
バートンの監督で映画化。(以下略)

30歳のエド・ウッド(ジョニー・デップ)は、“オーソン・ウェルズは26歳で「市民ケーン」をとった”を座右
の銘に、貧しいながらも映画製作の夢に燃えていた。ある日、性転換した男の話を映画化する、と小耳に
はさんだ彼は早速プロデューサーに売り込む。「これは僕のための作品です。僕は女装が趣味だから、人に
言えない辛さが分かる」と力説するが、バカ扱いされて追い返された。その帰り道でエドは往年の怪奇スター、
ベラ・ルゴシ(マーティン・ランドー)と運命的な出会いを果たす。

ベラの出演をエサに監督になった彼は友人のオカマ、バニー(ビル・マーレイ)や恋人ドロレス(サラ・
ジェシカ・パーカー)らの協力を得て、監督・脚本・主演した性転換の話「グレンとグレンダ」を完成させた。
これを履歴書代わりにいろいろ売り込むがうまく行くはずもなく、自分で資金を集めることに。その間にも
エドの元には、頭の足りない巨漢プロレスラーのトー・ジョンソン(ジョージ“ジ・アニマル”スティール)、
インチキ予言者クリズウェル(ジェフリー・ジョーンズ)など、一風変わった仲間たちが集まってきた。

次回作「原子の花嫁」がクランク・インするが、アンゴラのセーターと女装に執着するエドにあきれた
ドロレスは怒り爆発し、彼の元を去った。失意のうちにテレビで人気の妖婦ヴァンパイラ(リサ・マリー)に
出演のアプローチをするが、けんもほろろ。そんな中、麻薬中毒のベラの病状は悪化する一方で、エドは彼を
入院させた。その病院で彼は心優しい女性キャシー(パトリシア・アークェット)と出会うが、彼女は彼の
女装癖も受け入れてくれるのだった。

一方、エドは心からベラの容体を心配していたが、入院費用が払えず、彼に嘘をついて退院させねばならな
かった。「原子の花嫁」が配給会社により「怪物の花嫁」と改題されプレミア試写が行われた。ブーイングの
嵐だったが、エドは満足だった。そして数フィートのフィルムを残してベラが死んだ。傷心の彼の前に、
バプテスト教会の信者という新たなカモが登場。早速資金を調達した彼は、史上最悪の映画と後世に名を残す
「プラン9 フロム・アウタースペース」に着手。ついにヴァンパイラの出演も取り付け、ベラの形見の
フィルムや多くの仲間たちと共に意気揚々と撮影に入った。

ところが、今回の出資者はあれこれと撮影に口を出し、エドは爆発寸前。お気に入りのアンゴラを着ても
心が落ちつかない彼は撮影所を飛び出すが、入ったバーで尊敬するオーソン・ウェルズ(ヴィンセント・
ドノフリオ)と遭遇する。彼から「夢のためなら闘え。他人の夢を撮ってどうなる?」と教え諭されたエドは
胸を張って撮影所に戻り、自身の納得のいく作品を堂々完成させた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.9>
<Metacirtic=70>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:88%>
<KINENOTE=68.3点>



# by jazzyoba0083 | 2019-07-21 22:30 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル I,Tonya」
2017 アメリカ AI-Film、Clubhouse Pictures (II) and more. 120min.
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:マーゴット・ロビー、セバスチャン・スタン、アリソン・ジャネイ、ジュリアンヌ・ニコルソン、ボビー・カナヴェイル他

e0040938_13220777.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
シネコンに行こうと思っているうちに見逃した一作。やっと観ることが出来た。面白かった。脚本、演出が
良い。(若干小賢しい気もするけど、面白さが勝っていた)
やはり、母親を演じたアリソン・ジャネイの存在感が圧倒的。

コミカルな味付けの中に、本質が浮かび上がってくるという作りはなかなかなものだ。つまり、トーニャは
消費されるゴシップ、スキャンダルとして本人たちが思っている異常にクローズアップされていくという
社会事情があぶり出されるのだ。今ならネットがあるからこれ以上の騒ぎになるだろう。
今の日本でもワイドショーで連日放送されるゴシップネタは、大衆受けを狙って脚色され、同調圧力の中で
吊し上げにも似た環境を作り出す。世の中はヒールを求めている。それをみんなで叩いてうさを晴らして
いるのだ。ネット炎上と違わない構図だろう。

たしかに、トーニャの母の屈折した愛情、元夫のこれまた屈折した愛情は共に暴力を伴ってトーニャを襲う。
幼い頃からイジメに近い扱いを受けてきたトーニャの性格がネジ曲がるのも仕方がない。一方でスケートの
技術は確かに天賦の才能があったのは間違いない。
もし、というのは無い話だが、もしあの実力が良い環境下で鍛えられたら金メダルを獲っていたかも知れない。
しかし、である。あの実力は、あの母親の育て方があったからとも考えられる。母親自ら「怒らすと火がつく」
という彼女の性格を見抜いての、あの仕方だった部分もある。だが、果物ナイフを投げてそれが腕に刺さるに
及び、トーニャの中でも何かが切れた。

映画は実在の人物にインタビューした光景を役者が演じてドキュメンタリー風の中に役者のカメラ目線のセリフが
あったり、スポーツチャンネルの記者(役者)が「バカばっかり」と呆れたり、コミカルな味付けが楽しい。
本作で語られることが全部真実でないことは、冒頭字幕で説明される。「だいたい事実に基づく、ほとんどは
当たっていると思う」と人を食った感じで。母親を除く周囲の人々が本当に「バカ」ばっかりで、本人や夫の
求心力かも知れないが、回りがもう少し賢かったらあの事件はなかったかも知れない。

関係者の殆どが裁判沙汰となっているとはいえ、まだ皆さん健在な時期に、よくこんな映画を作れたな、と
感じた。ナンシー・ケリガンは本作は観ていないそうだ。事件について本作ではトーニャは知らなかったのに
巻き添えを食った雰囲気にまとめていた。しかし彼女の描かれ方はヒールである。セリフの殆どにF○UKINが
付くという下品さ。

オーストラリア出身のマーゴット・ロビーはアイスホッケーの選手であったため基本は出来ていたがフィギュア
スケートについてはコーチについてみっちりレッスンしたのだそうだ。プロスケーターの吹き替えとCGがあると
はいえ氷上での頑張りは加点ポイントだろう。また彼女を捉える映像も上手いこと表現できていて見ごたえが
あった。
リアルタイムで靴紐が切れたと言って泣きべそをかくトーニャを観ているが、脚本、演出、キャスト、全体と
してよく出来た映画だと思う。

e0040938_13221878.jpg
<ストーリー>
1994年のリレハンメルオリンピックへの出場権を巡って、元夫らにライバル襲撃を命じたと疑われ、一躍時の
人となったフィギュアスケート選手、トーニャ・ハーディング。彼女に多大な影響を与えたと言われる母親と
の関係や衝撃的な事件の経緯などを追った人間ドラマ。『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビーが
トーニャを演じる。

貧しい家庭に生まれたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)は、幼少の頃から厳しく育てられた。
幼くしてスケートを始めた彼女は、天賦の才と努力により、1991年に女子選手として伊藤みどりに続き史上
2人目となるトリプルアクセルに成功。1992年のアルベールビルオリンピック代表選手に選出された。

1994年1月6日、リレハンメルオリンピック選考会となる全米選手権を前に、練習を終えたナンシー・
ケリガンが何者かに襲撃される事件が発生。膝を殴打され負傷したナンシーは全米選手権欠場を余儀なくされる。
トーニャの元夫ジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)の指示による犯行と判明し、トーニャ自身にも
疑惑の目が向けられた。
一度は栄光を掴みアメリカ中から愛された彼女のスケート人生は、この事件を境に一変し、転落していく。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Metaciric=77>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:88% >
<KINENOTE=77.4点>



# by jazzyoba0083 | 2019-07-16 23:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「キリング・フィールド The Killing Fields」
1984 イギリス Goldcrest,International Film Investors,Enigma (First Casualty) .141min.
監督:ローランド・ジョフィ 原作:シドニー・シャンバーグ
出演:サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコヴィッチ、ジュリアン・サンズ他

e0040938_15541320.jpg
<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
恥ずかしながら、今頃観ています。ジョン・レノンの「イマジン」が、こういう風に使われていたのを
今日まで知らなかった。恥じ入るばかりだ。もっと「地獄の黙示録」っぽい観念的な作品かと、思い込んで
いた。こんな史実をベースにしたハードな作品だとは知らなかったなあ。もっと早くに見れば良かった。
何故今になってから、というと先日、韓国映画の「タクシー運転手 約束は海を超えて」という実話物を
観た時(ブログは後日アップします)、感想の一つに「韓国版キリング・フィールド」というのがあり、
そうだ、と思った時にWOWOWで放映してくれたので録画して鑑賞した次第だ。

ベトナム戦争時のカンボジアの出来事を、NYタイムズのシドニー・シャンバーグ記者と現地記者で通訳を
努めてくれたカンボジア人プランの苦闘を描く実話ものだ。前半はカンボジアから米英仏などの欧米軍が
撤退し、クメール・ルージュが支配するまで。ここでシャンバーグ記者はプランを伴えず、帰国する。
プランはクメール・ルージュに捉えられ、洗脳の日々。しかし収容所から脱走し、国境を超えて米軍の
キャンプに駆け込み、二人が再会するまでを描いている。シャンバーグはピュリッツァー賞を受賞している。

本作のハイライトはなんと言ってもクメール・ルージュに捕らえられたプランの地獄の日々の描写だろう。
これは再会後にシャンバーグがプランから取材して纏めたものだろうが、狂気の集団のカルトな恐怖が
支配する洗脳の世界。まさにオーム真理教の世界だ。特に純真な子供らは簡単に狂気に染まり、躊躇なく
殺人に手を染めていく。それが後に全世界に知られる大量虐殺の一部なのだろう。

映画は米軍の知らないふりしたカンボジア爆撃から、特派員たちの苦闘、さらに現地住民のありさまを
丁寧に描き、さらにクメール・ルージュの恐怖支配も細かく描写した。目を覆いたくなるような光景も
出てくる。描かれる世界のリアルさとドラマ性が相まって迫力のある、説得性のある作品となったと
感じた。ポル・ポトのジェノサイドの全貌を明らかにしていないという批判もあるが、この映画を作った
ことだけでも凄いことだと思う。

冒頭からキャメラの塩梅がとてもいいなあ、と思っていたら、やはりオスカーの撮影賞と編集賞を獲って
いた。またプランを演じたカンボジア人ニョールは助演男優賞を獲ったのだった。産婦人科医だった彼は
実際に4年間クメール・ルージュに捕らわれた経験を持つ。その後アメリカに移った。本作以降、数々の
映画に出演したが、96年、LAの自宅近くでコカイン代欲しさの黒人3人組に銃で撃たれて死亡してしまう。
クメール・ルージュから生き抜いたのに、新天地でヤク欲しさの賊に殺されるとは、何という皮肉というか
悲劇なんだろう。そう思う時本作がいっそう重く感じられる。
実際のプランはベトナム軍がポル・ポト派を一掃するまでの4年間、収容所の暮らしを耐え、80年に渡米、
NYタイムズの報道カメラマンとして活動したという。
シャンバーグは2016年に亡くなっている。

なんとも重いテーマだが、観なければいけない作品だろう。

e0040938_15543051.jpg
<ストーリー:結末まで書いてあります>
1973年8月。ニューヨーク・タイムズの汽車シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)は、特派員
としてカンボジアの首都プノンペンに来た。
当時のカンボジアはアメリカを後楯にしたロン・ノル政権と、反米・救国を旗印に掲げた革命派勢力、クメール・
ルージュとの闘いが表面化した時期でもあった。カンボジア人のディス・プラン(ハイン・S・ニョール)が、
現地で彼の通訳・ガイドとして仕事を助けてくれることになった。

翌74年に入って、革命派のプノンペン進攻は目前に迫った。外国人や政府関係者は、必死に国外へ出ようと
かけずりまわり、プランの家族も、シャンバーグの手を借りて、無事にアメリカへ旅立った。
同年4月、プノンペン解放、ロン・ノル政権はついに崩壊、新しくクメール・ルージュを率いるポル・ポト政権が
誕生した。シャンバーグ、プラン、そしてアメリカ人キャメラマンのロックオフ(ジョン・マルコヴィッチ)、
イギリス人記者のジョン・スウェイン(ジュリアン・サンズ)は、病院に取材に行くが、クメール・ルージュの
兵士に逮捕される。プランは三人の命の恩人となったのである。

四人は最後の避難所であるフランス大使館へと逃げ込むが、やがて、カンボジア人であるプランだけが、クメール・
ルージュに引き立てられ、どこかへ連行されていった。数日後、シャンバークたちは無事、国外へ避難することが
できた--。

ニューヨークに戻ったシャンバークは、プランの身を案じながらも、カンボジアの取材記事でピューリツッァー賞を
受賞した。この栄誉はすべてプランのおかげだった。受賞式の日、ロックオフがシャンバーグを訪れ「あの賞が
欲しくてプランを脱出させなかったんだな」となじるのだった。--

その頃、プランは、過去の身分を隠し、クメール・ルージュの監視下で労働していた。町の住人たちは農村で強制
労働させられ、子供が親をスパイするという惨状の中で、数え切れないほどの人々が殺された。
やがて、辛くも脱走したプランは累々たる屍を踏み越えて、とある村にたどりつき、村の長の家でハウスボーイと
して働くようになる。しかしその主人もクメール・ルージュに殺されたため、託された少年とともに村を脱出。
途中、地雷で少年は死に、プランが死ぬ思いをしながら、タイの難民キャンプにたどりついたのは、79年も秋に
なったころだった。
プラン生存の連絡を受けたシャンバーグは、タイの難民キャンプへ飛んだ。「許してくれ」とシャンバーグ。
「許すことなどないよ」とプラン。抱き合う二人をカーラジオから流れるジョン・レノンの“イマジン”が優しく
つつみ込んでいた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:92%>
<Metacritic=No Data>
<KINENOTE=76.9点>



# by jazzyoba0083 | 2019-07-13 23:15 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「ゴールデン・リバー The Sisters Brothers」
2018 フランス/スペイン/ルーマニア/ベルギー/アメリカ Why Not Productions.120min.
監督・(共同脚本)ジャック・オーディアール 
原作:パトリック・デウィット・『シスターズ・ブラザーズ』(創元推理文庫刊)
出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ジレンホール、リズ・アーメッド他

e0040938_17254578.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ジレンホールは最近出過ぎの感じだが、4人の渋いキャスティングに釣られて劇場へ。フランス製ウェス
タンな座組であるが、出来はまるっきりアメリカンだ。どこかコーエン兄弟の匂いがした。不条理ではないの
だが、科学者ハーマンが作った川の中の金を輝かせる薬品て、硝酸だか硫酸だかが混じっているんじゃないの?
観ながら、「ヤバイなあ」とは薄々分かったが、やはりか!という感じだ。これが映画の大きな山場だ。
そこに至るまでが若干たるかったのと、相関関係が明確にならず(個人的にだが)時間が経つのが重かった。

原作にあるように、主役はシスターズという苗字を持ったライリーとフェニックスの兄弟であり、二人が
オレゴン準州の提督(と称されるボス)に命じられて追う化学者アーメッドに同業者ジレンホールが加わると
いう形。
そしてシスターズ兄弟の中でも、この映画権を買ったプロダクションを経営するライリーがメインという
立ち位置となっている。

殺し屋兄弟が、金を見つけやすくするという化学式(フォーミュラ)を発明したインド系ぽい男と彼に
くっついて金を獲りたいジレンホールを追うのだが、終盤に来て、4人はチカラを合わせて、
兄弟がメイフィールドという町の女ボスをやっつけたために追ってきた男たちと対決し全滅させ、
さらに4人で化学者ハーマンが作った液体を堰き止めた川に流し、いくつかナゲットを獲得することに
成功する。しかし、あせった弟チャーリー(フェニックス)が原液を川に入れてしまい、自らも川に
転落したため、全員大ヤケドを負うことになってしまう。

この事故で化学者は死亡、大ヤケドを負ったモリス(ジレンホール)は銃で自殺、チャーリーは片腕を
失うことになる。散々な結末で、怒りを提督に向け、オレゴンに戻ったら、提督はすでに病気か何かで
死んでいた。二人の兄弟は母親の元に戻っていったのだった。ラストシーンは実家のベッドでそよ風に
吹かれる兄イーライの姿。
しかしそこそこ集めた金のナゲットはどうしたのかな。あれだけあればそこそこ良い目をみられるのじゃ
ないかな。人間、欲張るとろくなことな無い、ということなのかしら。

化学者ハーマンが金を売って目指すものは理想の民主主義の世界。その組織を作るための軍資金としたい
のだった。そこに今日性を感じるが原作にあるのだろうけど取って付けた感が・・・。それに共感してしまう
提督の連絡係モリス(ジレンホール)だった。

1850年代の銃がリボルバーを脱着させて弾の交換をする、というところとか、イーライの愛馬が厩舎の
火事で火傷を負い、結局死んでしまい、イーライがひどく気落ちするところとか、イーライの口に毒蜘蛛が
入り中毒症状が出るところとか、チャーリーの片腕を糸鋸で切り落とすところとか、妙にリアルな面もあり、
一体何を表現したかったのか良くわからない感じも受けたのだ。リアルな表現がその後に結びつかない感じ。
これがヴェネチア国際映画祭の監督賞かなあ。異色の西部劇であることは確かだけど。

4人はそれぞれキャラクターが立ちやすい役者ではあるが、4人の組み合わせが何かを生み出したかといえば
なかなか難しかったのではないか。劇薬で金を採るという、ひょっとしたら本当にあったかもしれない現象が
活かしきれてなくて、女豪傑が出てきたり、ドラマの前半と後半がちぐはぐになってしまっていたと感じた。
兄弟愛、友人愛を汲み取るべきなんだろうか。私の観方が浅かったか。うーむ!

e0040938_17255422.jpg

<ストーリー>
1851年、ゴールドラッシュに沸くアメリカ、オレゴンのとある町。普通の平穏な暮らしに憧れる兄イーライ
(ジョン・C・ライリー)と裏社会でのし上がりたい弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)は、最強と
呼ばれる凄腕の殺し屋“シスターズ兄弟”だった。

あるとき、彼らの雇い主である提督から、連絡係モリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム
(リズ・アーメッド)という男を始末するよう依頼される。兄弟がサンフランシスコに南下しているころ、
モリスは数キロ先のマートル・クリークでウォームを見つける。
2日後、次の町ウルフ・クリークで、モリスはウォームから声をかけられる。うまい具合に話が進み、
モリスはウォームと一緒にジャクソンビルへ砂金を採りに行くことになる。ウォームはモリスに、黄金を
見分ける化学式を発見したと打ち明ける。だがジャクソンビルに到着すると、モリスの正体がばれてしまう。

雇い主の目的は化学式を奪うことだと知ったモリスは、翌朝、ウォームと連れ立って逃げ出す。道中、ウォーム
は手に入れた黄金で理想の社会を創る計画を語る。その話に心酔したモリスは、父の遺産を資金に、その夢に
加わることにする。メイフィールドまで来た兄弟は、その町に自分の名前をつけた権力者がウォームの化学式を
奪おうと部下を放ったと聞き、モリスの裏切りに気づく。
サンフランシスコで兄弟は二人の居場所を突き止めるが、二人に捕えられる。しかしメイフィールドの部下も
現れ、兄弟の力を借りて彼らを撃退する。ウォームからの提案で、4人は手を組んで黄金を採ることに。
だが、4人の思惑が交錯し……。(Movie Walker) 兄と弟の名前を入れ違うミスを発見したので訂正して転載。

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:87% Audience Score:67%>
<Metacritic=78>
<KINENOTE= 73.4点>





# by jazzyoba0083 | 2019-07-12 14:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「さらば愛しきアウトロー The Old Man & The Gun」
2018 Wildwood Enterprises and more. 93min.
監督・脚本:デヴィッド・ロウリー 原作:デヴィッド・グラン「The Old Man & The Gun」
出演:ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、シシー・スペイセク、ダニー・クローヴァー
   トム・ウェイツ、チカ・サンプター他

e0040938_16111616.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
レッドフォードの俳優引退作品ということで、敬意を評して鑑賞にでかけた。配給の関係でメジャーな
シネコンには掛からない。スクリーンでレッドフォードを拝めるのはこれが最後、ということではあるが
そこは彼一流の考えで、愛すべき掌編で纏めた感じ。レッドフォードが以前から演じてみたいと思って
いた実在の泥棒フォレスト・タッカーを自らプロデュースして主演。

監督と脚本はケイシー・アフレック繋がりっぽい起用。全編小洒落た感じで、テロップを上手く使って
ユーモアも演出していた。レッドフォードとスペイセクの高年齢者コンビの顔の皺が気になったが、
スクリーンのレッドフォードを観ていると、過去の名作の数々が思い浮かんできて途切れなかった。
アメリカでの批評が異常に高いのはレッドフォードに対するリスペクトかしら。愛すべき作品では
あるが映画としての出来を言えばそう驚くものではないと思ったのだが。

フォレスト・タッカーは80年代の2年間に92件の強盗を働き、生涯に16回の脱獄を成功させたが、強盗時に
チラリと見せる拳銃は一度も使ったことがないという紳士強盗。被害にあったほうが、「紳士だった」と
言ってしまう程。その憎めない(本当はどうかは知らないが)キャラクターを、レッドフォードは気負わ
ないでしみじみと演じていた。
事件の最中、パトカーから逃れるのに利用したエンストトラックの持ち主だったジュエル(スペイセク)と
のロマンスもいい塩梅。スペイセクの鼻が上を向きすぎていて気になっちゃったけど。
17回目の強盗でも逮捕され、ジュエルの忠告で刑期を勤め上げ彼女に家に住ませてもらうが、スマートな
強盗をすることに幸福感を感じる(ほとんど病気な)フォレストは、その後4回も強盗を続けることになる。

現在83歳のレッドフォードが83歳で亡くなったフォレストを演技するにはちょうどいい年回り。流離う
癖のある二人のキャラクターが自然と重なってきて、好感の持てる一品となった。彼を追う刑事を演じた
ケイシー・アフレックも若いのにどこか枯れた味を醸し出し、大スターの引退興行に花を添えていた。
フォレストの犯罪記録を見る時に過去の若いレッドフォードと対面することが出来るという工夫もされて
いる。実際のフォレスト・タッカーは服役中、刑務所で亡くなっている。
原作のタイトルは「老人と海」のもじりだろうか。

e0040938_16112427.jpg

<ストーリー>
名優ロバート・レッドフォードが、実在した伝説の銀行強盗を演じる俳優引退作。80年代アメリカ。
紳士的な犯行スタイルで強盗と脱獄を繰り返したフォレスト・タッカー。ジョン・ハント刑事が彼を追う
なか、フォレストは仲間と共に金塊を狙った大仕事を計画する。
共演は「歌え!ロレッタ 愛のために」のシシー・スペイセク、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の
ケイシー・アフレック、「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローヴァー、
「Dr.パルナサスの鏡」のトム・ウェイツ。

1980年代、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、
目的を遂げる74歳の銀行強盗フォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)。被害者のはずの銀行の
窓口係や支店長は彼のことを「紳士だった」「礼儀正しかった」と口々に誉めそやす。
一度も人を傷つけず、2年間で93件もの銀行強盗を成功させたフォレスト。事件を担当するジョン・ハント
刑事(ケイシー・アフレック)も、追いかければ追いかけるほど、彼の生き方に魅了されていくのだった。

そして、フォレストが堅気ではないと感じながらも、心を奪われてしまった恋人も……。
そんななか、フォレストは仲間のテディ(ダニー・グローヴァー)とウォラー(トム・ウェイツ)と共に、
金塊を狙った大仕事を計画、まんまと成功させる。しかし、“黄昏ギャング”と大々的に報道されたために、
予想もしなかった危機にさらされてゆく……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:60%>
<Metacritic=80>
<KINENOTE=76.8点>(7月12日現在)



# by jazzyoba0083 | 2019-07-12 11:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「はじめてのおもてなし Willkommen bei den Hartmanns 」
2016 ドイツ Wiedemann & Berg Filmproduktion,Sentana Filmproduktion.116min.
監督・脚本:ジーモン・ファーフーヘン
出演:センタ・バーガー、ハイナー・ラウターバッハ、フロリアン・ダーヴィト・フィッツ、パリーナ・ロジンスキー他

e0040938_16470988.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ドイツにおける2016年の興収1位になった作品ということで、劇場に見に行こうとしていたら終わって
しまっていたのをWOWOWが放映してくれたので観てみた。
作られた頃、欧州は難民問題で大騒ぎだった時期。ドイツでも受け入れ、排斥で国論が大きく分かれて
いた。折しもトランプ現象に象徴されるように、不寛容なムードと右傾化が世界を覆う中、こういう映画が
作られ、国内で興収1位を獲ったという事実にドイツ国民がまだまだ健全だな、と感じた一方、日本でも広く
こういう映画が観られるといいのに、とも感じたのだった。配給の関係でシネコンにはかからない映画と
なってしまったが、チャンスがあれば一度観ておくことをお勧めしたい作品だ。監督はセンタ・バーガーと
本作のプロデューサーとの夫婦の息子だそうだ。

リタイア時期になりしかも心臓に爆弾を抱えるも現場を離れない頑固な医師である父、元教諭にして今は
専業主婦、旦那との間は冷え冷えとしている。長男はケイタイが話せないワーカホリックの国際弁護士。
彼の一家も結構危うい。長女は30歳を超えてもまだ大学に残り続けていれ、自分がどうしたいのか分からず
もがいている。4人家族のハートマン一家に、アフリカ系の移民がやってくる。自分の国の状況を鑑み
母親がリードし、父もしぶしぶ承諾、面接などもやってみた。

登場人物が全員、「いるよなあ、こういう人」というタイプで感情が移入しやすい。こういうのは国際的に
不変なんだろう。子供も一家を構えるようになる一方で長年連れ添った夫婦の間には隙間風が吹いている。
子供もそれぞれ問題を抱えている。四分五裂になりそうなハートマン一家を救ったのは実は移民として
ホームステイするようになったディアロであったのだな。

ディアロ君がいい人過ぎるのが難点ではあるが、彼はハートマン一家から一歩引いて家族を見るので良く
関係が分かる。で、それぞれに偽らざる意見を吐くのだが、それがアドバイスとなっているという構図。
移民側の問題点、それを受け入れる、受け入れない(ネオナチまで登場するのだが)住民たち。それぞれ
相手の事を理解しようとしない態度=移民問題を置いても家族間の問題として普遍的なテーマ=を乗り越え
理解しあって家族や地域が再生していく。

ドタバタもあるが、重いテーマをエンタメに落とし込んで2時間弱にまとめ上げた力量は買うべきものがある
だろう。一方でややステレオタイプに進行しエンディングを迎えるので、深みに欠けるかな、という
恨みが残るが、こうした映画を作ること自体が尊いのだろう。そしてそれをたくさんの国民が観るということが
尊いのだろう。本来家族の間で解決し再生しなければならない事柄を移民のディアロ君を投入することで
一枚多層的な表現にはなっていたと思った。結果、ディアロ君の存在と家族再生の2つのミッションを完遂
することは出来ていた。トランプに是非観てもらいたい映画だ。(観ないだろうけど)

e0040938_16472055.jpg

<ストーリー>
難民の青年の受け入れをきっかけに、バラバラだった家族が人生を見つめ直してゆく様を描いたドイツ製コメディ。
ミュンヘンに暮らすハートマン家の母アンゲリカはある日、難民の受け入れを宣言し、ナイジェリアから来た
青年ディアロに自宅を提供するが……。
主演は「戦争のはらわた」を始め、ヨーロッパやハリウッドで長年活躍してきたオーストリア出身のセンタ・
バーガー。監督のサイモン・バーホーベンは息子に当たる。

ミュンヘンの閑静な住宅地に暮らすハートマン家。ある日のディナーの席で、母アンゲリカ(センタ・バーガー)
が難民の受け入れを宣言する。教師を引退して生き甲斐を失った彼女は、夫リヒャルトの反対を押し切って、
ナイジェリアから来た難民の青年ディアロ(エリック・カボンゴ)のために自宅を提供。初めてのおもてなしに
張り切る一家だったが、大騒動が起きてしまう。
さらに、ディアロの亡命申請も却下に。果たして、崩壊寸前の家族と天涯孤独の青年は、平和な明日を手に入れ
ることが出来るのか……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:No Data Audience Score:20%>
<Metacritic=No Data>
<KINENOTE= 75.9点>



# by jazzyoba0083 | 2019-07-11 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「タクシー運転手~約束は海を超えて A Taxi Driver」
2017 韓国 The Lamp.137min.
監督:チャン・フン
出演:ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジン、リュ・ジョンヨル、パク・ヒョックオン他

e0040938_11533651.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
1980年の光州事件はすでに社会人になっていた私にはリアルタイムの経験であった。前年に朴正煕暗殺事件が
起き、軍部の全斗煥が政権にを握り当時の韓国は日本一般市民にはまだまだ距離がある混沌の国の印象だった。

全斗煥は政敵・金大中を逮捕、彼の出身地である全羅南道の最大都市光州市では、学生を中心に抗議の声が
上がった。これが後に光州事件と呼ばれる民衆弾圧の端緒だった。

本作はこの事件の最中に、ドイツメディアの東京支局ピーターが現地に取材に入り、現地で起きた事実を
全世界に発信した数少ない報道となったが、それを影で支えたソウルのタクシー運転手キム・マンソプの
悩みと行動を描いた実話に基づいている。

前半は韓国映画一流のコミカルな味わいも有りつつ、後半光州の事件現場がメインになってくると俄然
サスペンスフルな社会派な作風となる。たかだか40年前の韓国で軍部が民衆を弾圧するという民主主義に
反する事件があったのだ、と今更ながら韓国という国の成り立ちの複雑さに想いを致すと同時に、この手の
政権告発型映画が日本で作られない権力への阿り、忖度、物言えば唇寒し的な現状に怒りと諦めが湧き上がる。
(「新聞記者」がもっともっとヒットすればいいと思う。それとこれに続く昨日が生まれることを願う)

光州事件では実際にタクシーが活躍した状況があったようだが、本作でもソウルから来たタクシーと光州市の
義憤に駆られたタクシー運転手らがチカラを合わせ、権力に対峙し、自らを犠牲にしながら、マンソプと
ピーターをソウルへと逃がすのだ。(だいぶ脚色はされているだろうが) 白眉はソウルへと逃げるマンソプの
タクシーをKCIAや軍のクルマが追跡するのだが、光州市のタクシー軍団が権力側のクルマを邪魔して、
マンソプのタクシーを逃がすカーチェイスシーンか。それ以前に一度はピーターを残して光州市を去るマンソプ
の悩み、自分はピーターを空港へ無事に送り届けるという仕事を受けた義務がある、という仕事と事件を
客観的に見つめる行動が描かれ結局マンソプは引き返してピーターを乗せるのだが、それがカーチェイス
シーンに重さを与えていた。また権力側の発表のみの報道はいかに国民の目を騙すか、というシーンも
描かれていた。

映画前半の部分で多少カット出来るところがあったかな、という恨みは残るが、エンターテインメントの中に
事件を描く作品としてはよく出来ていたのではないかと感じた。ソウルの豊かでないいちタクシー運転手が
高額な代金に釣られて特派員を光州に運ぶが、事件に触れ、市民に触れるに及び次第に覚醒していく様は
分かりやすい。彼は最初は学生たちを批判さえしてたのだ。
本作の感想の一つに「韓国版キリング・フィールドだ」というのがあって、同作品を未見だった私は急いで
「キリング・フィールド」を観た。そして描かれる世界に圧倒されたのだった。事件のありようとか
規模とか異なるところは大きいが、自らの職業に自信を持つ一般市民がマスメディアの人間を助けるという
構図は多くの部分で重なる。ただし、キリング~のプランはクメール・ルージュに捕らわれ更に地獄を見るわけ
だが。

本作ではエンディングに亡くなる前の本物のピーターが登場し、「是非一度再会したい。君のタクシーで
今の韓国をドライブしたい」と語りかけるシーンがある。結局空港へピーターを届けたマンソプ(実際は
キム・サボク)は彼に偽の名前を知らせたため生涯で再会を果たすことは叶わなかったという。
しかし、本作をマンソプの息子が観て自分の父だと名乗り出た結果、ピーターの未亡人が公開後の2017年
ソウルを訪れ文在寅大統領と映画を鑑賞したという。80年代のクルマを集めるのは大変だったのではないか。

e0040938_11534836.jpg

<ストーリー>
1980年5月に韓国の全羅南道光州市(現:光州広域市)で起こった民主化を求める民衆蜂起の光州事件が描かれ
ている。史実においては全斗煥らによるクーデターや金大中の逮捕を発端として、学生や市民を中心とした
デモが戒厳軍との銃撃戦を伴う武装闘争へと拡大していった。
作中ではソウルのタクシー運転手キム・マンソプは、10万ウォンと言う高額な運賃が得られることを期待し、
ドイツ人記者のピーターを乗せ光州へと車を走らせ、検問を掻い潜り光州へ入る。そこでピーターは軍による
暴虐を目撃し、その事実を全世界に発信するため撮影記録を持ち帰ることを決意する。キムも、仲間や市民と
の出会い、そして無残にも次々に死んで行く彼らを見るうち、次第にピーターの使命を理解するようになり、
クライマックスではピーターのカメラを没収しようとする政府の追手とカーチェイスをしながらソウルへと
戻る(wikipedia)

<IMDb=★7.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:96% Audience Score:90%>
<Metacritic=69>
<KINENOTE=82.6 点>




# by jazzyoba0083 | 2019-07-10 23:00 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「五人の軍隊 UN ESERCITO DI CINQUE UOMINI」
1969 イタリア Tiger Film. Dist.MGM Pictures.111min.
監督:ドン・テイラー 音楽:エンリオ・モリコーネ
出演:ピーター・グレイブス、ジェームズ・ダリー、丹波哲郎、バッド・スペンサー、ニーノ・カステルヌオーヴォ他

e0040938_17581847.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
いかにも時代を感じさせる映画だ。ジェームズ・コバーンでも出てきそうな雰囲気。ドン・テイラーも亡くなって
から10年以上経つ。「ファイナル・カウントダウン」が印象深い。ストーリーの展開に伴うアクションなど、現在の
「ミッション・インポッシブル」「007」シリーズに比べればしごく単純。だがそれが故に明快で、この頃のアクション
映画の良さがある。素朴な勧善懲悪。嫌いじゃない。NHKBSでの放映を鑑賞。

ピーター・グレイブス演じるボス・ダッチマンの元に集まった4人のハグレものや逃亡者たち。ひと癖もふた癖もある
やつらだが、メキシコ軍を相手にチームを組んで戦う。砂金を運ぶ列車を強奪して山分けしようという魂胆だ。
サイボーグ009みたいにそれぞれに得意な能力があり、爆弾に精通したもの、射撃の名手、ナイフの名手、力持ちなど。
それぞれがそれぞれのチカラを発揮して、軍が厳しく警備する50万ドルを積んだ列車の強奪に成功する。

結論としてダッチマンは砂金を自分らのものとはせず、自分の家族をひどい目に遭わせたメキシコ政府軍に対抗する
革命軍に軍資金として差し出すというもの。自分らの分前は事前に話していた1000ドルのみ。しかし、ダッチマンの
男気に打たれた4人は、笑って許すのだった。そして彼らは集まった地元民に胴上げされて行進する・・・。

活劇と人情噺。それに丹波哲郎の大活躍と恋の行方。(丹波哲郎、英語のセリフどうするつもりなんだろう、と
心配していたら、彼は無口なんだ、ということで一切喋らないww。列車から転落して追いつくために走って
走って・・。)我らがサムライ、大活躍です。最後は美女をゲットするし。ツッコミどころ満載だが、当時の
アクション映画が持つプリミティブな楽しさを享受すれば良いのだ。5人のキャラがそれぞれいい。それとロケの
キャメラがいい。理屈抜きに肩が凝らない娯楽作ってこんな感じだったんだよなあ。
そうそう、内容とは別に冒頭のタイトルバックがメキシコ革命の実写写真なのだが死体がこんなに出てくる
タイトルバックもあまり知らない。非常に重暗い映画かな、と思わせておいて痛快娯楽作というオチ。

e0040938_17582886.jpg

<ストーリー>
メキシコ人ルイス(N・カステルヌオーボ)は、メシト(B・スペンサー)、オーガスタス(J・ダリー)、
サムライ(丹波哲郎)の三人をつれて彼等の雇い主ダッチマン(P・グレーブス)とある集落で落合った。
そこで五人は、メキシコ軍に処刑されそうになっていた革命党員を助け、村人に歓迎された。その中でもマリア
(D・ジョルダーノ)は特にサムライに心を奪われた。

金目当の彼等はさっそく大仕事にとりかかった。その仕事とは軍隊の護送する莫大な砂金を奪取することであった。
五人のプロフェッショナルたちは、それぞれの特技--ダッチマンの頭脳、ルイスのアクロバット、メシトの列車
運転の能力、オーガスタスのダイナマイト、サムライの剣--をもってまんまと獲物を手中にした。

だがここで配分に関して争いが起りかけた。その時、メキシコ兵が砂金を取り返しに来た。五人は再び力を合せて、
これを全滅させたが、仲間どうしの争いはもはや避けられないものとなっていた。だが、彼等の醜い争いを知らない
村人の歓迎と歓声につつまれて、彼等はすべての報酬をあきらめるのだった。人は自分達の救いの神である五人の
英雄を肩にかつぎあげ、いつまでも、喜びつづけていた。(Movie Walker)
(※上記結末は端折りすぎ:筆者註)

<IMDb=★6.7>
<Metacritic=No Data>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:No Data Audience Score:41%>
<KINTENOTE=61.6点>




# by jazzyoba0083 | 2019-07-08 23:10 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム Spider-Man:Far from Home」
2019 アメリカ Columbia Pitures,Marvel Studios.135min.
監督:ジョン・ワッツ 脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
出演:トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファブロー
   マリサ・トメイ、ジェイク・ジレンホール、アンガーリー・ライス他

e0040938_23321591.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:完全にネタバラシをしていますので未見の方は要注意>
「スパイダーマン」こそIMAX3Dで観るべき映画。映画の性格上、3Dが最大限に生きてくる。そして最近の
3Dの出来がまたいいのだ。普通の映画のほぼ倍の料金だが、内容が伴えば高いとは思えない。
本作の3Dは作を重ねるごとに出来が良くなる感じだし、演出側もそれを意識したカットを作るので余計に
楽しい。

また先日の「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」で、アイアン・マン、キャプテン・アメリカ、ブラック・
ウィドウ、ヴィジョンが消えて、シリーズが満了となったが、その後の新しい時代のスタートを告げるため
本作の開巻、亡くなった彼らに「哀悼の意を込めて・・」という字幕とともに写真が映され時代の区切りを
明示する。更にピーターらが通う学校には最終「指パッチン」で5年前に戻った生徒とそのまま進学した生徒
が共存するという事態になっていて「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」を観ていないと事態が理解出来ない
かも、という状況もある。(逆に観ていないと同作のネタバラシをされる局面となる)

いろんなヒーローやらエージェントやらが出てきて混乱することもなく、単純なストーリーで楽しませて
貰った!楽しかった!いい出来だったと思ったのだが、例のエンドロールの2つのオマケで混乱してしまい、
隣のお兄さんも「あれ?どう考えればいいのか?」と独り言を言って立ち上がったが、まさに何が本当の
ことなのか分からなくなった。映画の楽しさから言えば★9個を献上しようと思ったのだがラストの後味の
塩梅から一つマイナスした。オマケ2つ目に登場するのはフューリーとマリア・ヒルに変身していた
タロスとソレン(スクラル人=変身が得意。「キャプテン・マーベル」に登場するキャラクター)である
ことがとっさに分からないとどうなったかわからないという仕掛け。
これはコアファン意外には混乱の元だろう。ハードコアファンは1つ目のオマケに登場するフェイクニュース
を読み上げるJ・K・シモンズのジェイムソンに驚きとニヤリを感じるだろう。

本当のヴィランだった「ミステリオ」が死に際に汚い手を使い、自分は「スパイダーマン」に殺された、
彼の正体はピーター・パーカーだ、と禁じ手のネタバラシをしてしまう。さあ、困ったぞ。次作はどうするん
だろう。

新しいアベンジャーズに「ミステリオ」というチカラ強い味方が出来た、と思っていたら、これがとんでもない
フェイクで、壮大なホログラムに多数のドローンを交えて構成されたイリュージョンだったのだ。
「ミステリオ」ことベック(ジレンホール)と仲間たちはかつてスタークの部下の技術者軍団だったのだが、
スタークに冷遇されていた。スターク亡き後、彼の跡を継ぐのは自分たちだと、壮大なフェイクシステムを
作り上げ、スタークがアベンジャーズのリーダーの後継者と目していたピーター・パーカーに接近したのだ。
そしてスタークのメガネ・イーディス(AIの最強アシスタント)を奪おうとしたのだ。

悪いことにシールドのニック・フューリー元長官(ジャクソン)も「ミステリオ」の存在を信じてしまう。
彼がイリュージョンだと理解したピーター・パーカーとのロンドンでの一騎打ちが始まる。

スパイダーマンの大事な要素の一つに青春映画の側面を持つという所がある。スーパーマンとロイス・レインの
関係に似ているが、高校生のピーターと友人、ガールフレンド、叔母さん(トメイ)らとの生活も、これまで
以上に本編に交差して描かれ、ラストではMJ(彼女は以前からピーターがスパイダーマンだと見破っていた
ことも告白する)との愛情を確認出来、彼女を抱えてウェブでNYの街の空の散歩をする、というシーンも出て
くる。
またハッピー(ファブロー)とメイおばさんとの恋の行方も描かれ、楽しさ3倍!加えて親友ネッドと
ベティの恋物語も加わるのだから、ワクワクだ。それぞれのオチも良く出来ていた。個人的にはマリサ・トメイ
のファンなので、あんな美人の叔母さんがいたら最高!と思いながら観ていた。またピーターのガールフレンド、
MJを演じているゼンデイヤが美人というかナイスバディというかそういう方向ではないところに親しみを
感じる。クラスメイトにはアジア系、ムスリム、黒人、インド系いろいろ揃えて神経を使ってるなあという
感じ。プラハ限定「ナイト・モンキー」もいいね。

アベンジャーズの最終ヴィラン、「サノス」との対決が物理的力技のぶつかり合いでの決着であった一方で、
本作では心理的な攻防に重点が置かれ、更に水とか風とか火とか、コブシではどうしようもない敵が登場
したり、まさに今アメリカで問題となって国民を二分すると言われる「真実」を巡る「フェイク」を
表現するような面に足を踏み込んでいる。誰が本物で誰がニセモノか分からない。観ている光景が本物か
フェイクか分からない。「ミステリオ」はそのあたりを突いてくるのだ。なかなか難しい局面へ踏み出したな、
という感想。「バットマン」がダークな観念的世界に走っていったようになるのだろうか。
ラストの「ミステリオ」による正体バラシを受けて、再び真実とフェイクの争いになりそうな感じもする。
「観念」の世界とはちょっと違うと思うのだが、内省的になりすぎないようにしてもらいたいものだ。

ピーターの話の主軸はクラスメイトとのベネチア~プラハ~ロンドンと続く旅行とそれらの都市を舞台に
した「ミステリオ」との戦いが描かれ、とてもシンプル。ただハードコアファン以外は置いてくよーという
姿勢はどうだろう、との思いもした。ここまでシリーズが進むと付いてこれない客は置いていかざるを得なく
なっているのが現状なんだろう。

e0040938_23322985.jpg
<ストーリー>
スパイダーマンこと高校生のピーター(トム・ホランド)は夏休みに、学校の友人たちとヨーロッパ旅行に
出かける。そこにニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が突如現れ、ピーターにミッションを
与える。炎や水など自然の力を操るクリーチャーたちによって、ヴェネチア、ベルリン、ロンドンといった
ヨーロッパの都市をはじめ、世界中に危機が迫っていた。
ニックはピーターに、ベック(ジェイク・ギレンホール)と呼ばれる人物を引き合わせる。“別の世界”から
来たという彼も、ピーターと共に敵に立ち向かっていく。彼は味方なのか、それとも……?
(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:97% >
<Metacritic=69>
<KINENOTE=83.3点>





# by jazzyoba0083 | 2019-07-06 12:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ワン・フロム・ザ・ハート One from the Heart」
1982 アメリカ Zoetrope Studios.Dist.Columbia Pictures.100min.
監督・(共同)脚本:フランシス・フォード・コッポラ  音楽:トム・ウェイツ
出演:フレデリック・フォレスト、テリー・ガー、ナターシャ・キンスキー、ラウル・ジュリア、レイニー・カザン他

e0040938_17125273.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
「佳作」と振ったが、異議のある方もいらっしゃると思う。確かにアメリカでの評価も低いし、興行的にも失敗して
いるし、実際映画を観ても、なんだかなあ、の部分はあることは確かだ。だから巨匠コッポラの作品群の中でも
「失敗作」に分類される作品なのだろう。しかし、だ。どこか捨て置け無い愛らしさもあるのだ。気になっちゃうのだ。

今から13年前に観ていてその感想もこのブログにあるので興味のある方はブログ内検索をして頂きたいと思うが、印象
は大きく変わるものではない。トム・ウェイツとクリスタル・ゲイルが歌うジャジーな歌声が映画をリードする。
ミュージカルというには出演者たちは歌わないから無理があると思われる方もいらっしゃるだろう。

全編コッポラが所有していた「ゾーイトロープ・スタジオ」セットで作った物語は、大人のファンタジーという感じで、
現実にはあり得ないシーンもあるので夢物語なのだろう。ストーリー自体はどうということはない、むしろ陳腐な
もの。5年の同棲にお互いの欠点ばかり目に付き始めたカップルがラスベガスを舞台に他の男女と付き合ってみるが、
やっぱり元サヤがいいなあ、というハッピーエンド。

色彩は鮮やかで、クレーンなどを多用した(いまならドローンがあるのになあ)カットも美しく、とにかく歌が良い。
タイトルも歌詞の一節から取られている。が、一方で歌が演技と有機的な結合に至らず浮いてしまっている感じも
受ける。さして美人でないところがいいテリー・ガーはこれ以前に「未知との遭遇」でドレイファスのエキセント
リックな妻を演じているのが記憶にある。フレデリック・フォレストはコッポラとは「地獄の黙示録」で一緒に
仕事をしている流れか。この主役の二人に存在の重さがないのが痛々しい感じ。若々しいエキゾチックなサーカス女
を演じるナターシャ・キンスキーが存在感を示している。

内容も演技もどうってことない作品なのだが、なぜか惹かれてしまう。不思議な作品なのだ。
今回観て一番感じたのは、スタジオシーンの各所にデイミアン・チャゼル監督の「ラ・ラ・ランド」が本作を
リスペクトしているんじゃないか、と思われるシーンがいくつかあったこと。ラスベガスの車道いっぱいに
広がって踊って歌うシーンとか。書き割りの前でのガーとジュリアのダンスシーンとか。
e0040938_17130925.png


e0040938_17130148.jpg

<ストーリー>
7月4日の独立記念日を明日に控えたラスベガスの街。旅行社に勤めるフラニー(テリー・ガー)は、ごったがえす
観光客をよそにショウ・ウィンドウのディスプレーに精を出していた。同じ頃、フラニーの同棲相手ハンク
(フレデリック・フォレスト)は、モーと共同経営している自動車解体工場にいた。明日はフラニーとハンクが
5年前に出逢った日でもあった。
夜になると、フラニーはボラボラ島行きの航空券を、ハンクは家の権利書を互いにプレゼントする。どうも、
しっくりといかない。その後、ささいな事から喧嘩になり、フラニーは出ていった。ハンクはモーの所へ、
フラニーは旅行社の同僚マギーのアパートに。

翌日、またショウ・ウィンドウでディスプレイを手直ししていたフラニーに、ピアニストだというレイ
(ラウル・ジュリア)が話しかける。一方、ハンクはサーカス一座の踊り子らしきライラ(ナスターシャ・
キンスキー)に心を奪われ、9時に会うことを約束する。とあるレストランに入ったフラニー、支配人に
売春婦と間違われて憤概する。と、そこへ来合わせたウェイターこそ、レイだった。ショー・タイムの
合間はウェイターをしているのだという。2人は話し込み、おかげでレイはクビになる。

その後、2人はステージで踊り始め、そのまま沿道に飛び出し、通行人も一緒に踊り出す。ライラと会った
ハンクは工場に連れてゆき、夢のような一時をすごした。フラニーのことが気になったハンクはモーと一緒に、
マギーのアパートに。マギーとモーは互いに惹かれあう。マギーからフラニーの居所を聞き出し、モテルから
フラニーを奪取。家についたが、フラニーはカンカンで、ボラボラ島に行くと言って去る。
マッカーラン空港に駆けつけたハンクは、フラニーにもどってくるよう訴えるが、彼女は飛行機に乗り込んで
しまった。傷心の思いで家にたどりつき、暖炉の前でたたずんでいるハンク。そこへ、彼女が帰ってきた。
2人は抱きあう。(KINENOTE)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:50% Audience Score:62%>
<Metacritic=57>
<KINENOTE=62.9点>



# by jazzyoba0083 | 2019-07-05 22:50 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間 The Mountain Between Us」
2017 アメリカ Chernin Entertainment,Twentieth Century Fox. 112min.
監督:ハニ・アブ・アサド  原作:チャールズ・マーティン著「The Mountain Between Us」
出演:ケイト・ウィンスレット、イドリス・エルバ、ボー・ブリッジス、ダーモット・マローニー他

e0040938_16023707.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
出演者に惹かれてWOWOWで鑑賞。邦題に踊らされた感があるが、それほどのサバイバル劇ではない。
どちらかというと、ラブ・ストーリーだ。軽飛行機が墜落して二人で山を降りる決意をするあたりまでは
展開もテンポも良かった。が、生還し、決着がつくエンドまではたいした緊張もせず、アレックス(ケイト)
の婚約者のマークが可愛そうだったなあ。命を掛けて生き残った二人の間の絆は何にもまして強いという
ことか。アレックスのマークに対する愛情というものは、その程度のものだったということ。
まあ、よかったんじゃないの、ほぼハッピーエンドで、と突き放してしまいたくなる。日本ではビデオ
スルーになったのも分かる気がする。これでは単館上映でも客は入らないだろうなあ。

墜落、クーガー、ベンの滑落、ケイトが氷の湖に落ちる、最終段階でベンが熊だかの罠に足を挟まれる
意外にサバイバル的な必死さもあまり感じられず、早々に人のいない人家を見つけちゃったりする。
最後まで見ることは出来るが、邦題ほどの緊張感はない。キャストについてもこれといってコメントする
ようなものもない。サバイバルものがお好きなかたは、とおすすめも出来ないし。困った映画だわ。

e0040938_16024665.jpg
<ストーリー>
ある年の冬。暴風雪で飛行機が運休になったために、外科医のベン・バスとジャーナリストのアレックス・
マーティンはソルトレイクシティの空港で足止めを食らってしまった。2人には帰路を急ぐ理由があった。
バスには診察する必要がある患者がいた。マーティンには明日結婚式を挙げる予定があった。

そこで、2人はチャーター機を利用することにした。飛行中、パイロットが突如として心臓発作を起こし
たため、飛行機が制御不能になり墜落してしまった。2人は重傷を負いながらも生きていたが、墜落した
場所はユタ州の高山地帯であった。

過酷な自然環境のただ中を生き延びるために、2人は助け合わなければならなかった。そんな極限状況の中、
バスとマーティンは急速に惹かれ合っていくのだった。(wikipedia)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:39% Audience Score:48%>
<Metacritic=48>
<KINENOTE=67.6点>







# by jazzyoba0083 | 2019-07-04 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)