菊とギロチン

●「菊とギロチン」
2018 日本 スタンス・カンパニー、国映。189分
監督・(共同)脚本:瀬々敬久
出演:東出昌大、木竜麻生、寛一郎、韓英恵、渋川清彦、山中崇、井浦新他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
瀬々敬久監督の作品は「64」しか観たことがなく、多くを論評できないのだが、本作のみで
いうならば、このじだいに良くもこんな(いい意味で)映画を作ったな、製作側もよくカネを
出したな、という感じだった。2018年「キネ旬」の日本映画のベスト2位になって評判になって
いたことは知っていたが、前知識無しで観た作品、いや驚いた。藤田敏八や大島渚に通ずる
「不透明なエネルギー」を感じた作品だった。なによりこの脚本の着想が面白い。

時代は大正。関東大震災直後の世相不安と軍部の台頭、朝鮮人虐殺、社会主義者の弾圧、
シベリア帰り、そしてアナーキズムの流行に女相撲を組み合わせた。実際にあった
「ギロチン社」の実在の人物の動きに上手く女相撲興行を絡めている。
大正から昭和初期に日本で何が起きたか、下調べをして知識をおさらいしておくと楽しさは
倍加するだろう。

アナーキストたちのほんとにやる気があるんだか無いんだか良くわからないような頭でっかちの
行動。同じ農村部の極貧層から出てきている右翼と女相撲のありようから当時の世相(今日にも
通づる)を描いてみせた。脱力系のアナーキストに対して、真剣な女相撲。彼女たちの取り組みや
生き様も真剣だ。そこに絡んでくる警察や軍部の圧力。一座の中での、そしてアナーキストとの
恋愛模様と驚きの結末。

瀬々敬久監督は大正時代の世相を借りて、現代日本をカリカチュアライズしたように思えた。
大衆芸能と権力、抑圧された貧農(これがやがて2.26事件などを起こすわけだが)、ロシアで
起きた革命の上澄みだけを頭に入れたアナーキストや社会主義者らの反乱など、未熟で危うい
日本の民主主義は、あの時代と何か変わったのか!というような視点を感じたのだ。
荒っぽい作りという感じは敢えて、のことだろうか。東出昌大のアナーキストはかっこよすぎ
な感じがする。

花菊が旦那に連れ戻らされる道中、アナーキストの大二郎が爆弾を投げて旦那にケガを負わせる
ところでいきなりメインタイトルが赤で何の脈絡もなく「ガン」という感じ出てくる。
一見めちゃくちゃなようでいて、どこかが関連している。アナーキストらの結果は歴史的に
分かっているが、創作である女相撲の絡みは最後まで予断を許さず、3時間を超える大作を
引っ張ることが出来たと思う。

出演者は東出昌大他数人しか知らない。花菊の木竜麻生はオーディションで選ばれたそうだが、
貧農の出身の割には流石に女相撲に入るだけあり肉付きはいい。笑顔をほとんど見せない彼女の
思いつめた演技は時代の匂いを感じさせて良かったのではないか。

大衆と国家・権力の関係、格差社会であえぐ民衆みたいなものが感じ取れたら成功、なのかな。
個人の自由や自由な創作などが抑圧されていく過程が無くなっていく時代というか。
ポスターに書かれているコピーのように大正時代の青春群像劇、というさっぱりしたくくりでは
ないようなエネルギーも感じるが、どこか斜めに構えているような気がする。

いかにもキネ旬好みの映画ではあるが、興行的に成功するような手の映画ではなさそうだな。

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<ストーリー>
「64-ロクヨン- 前編/後編」の瀬々敬久が、構想30年の企画を実現させた入魂の作品。大正末期。
自由な雰囲気が失われつつある世相の中、東京近郊で出会った女相撲一座の女力士たちとアナキスト
・グループ“ギロチン社”のメンバーが惹かれ合っていく。

大正末期。関東大震災直後の日本には、不穏な空気が漂っていた。軍部が権力を強める中、
それまでの自由で華やかな雰囲気は徐々に失われ、人々は貧困と出口の見えない閉塞感にあえ
いでいた。
そんなある日、東京近郊に女相撲一座“玉岩興行”がやって来る。力自慢の女力士たちに加え、
元遊女の十勝川(韓英恵)や家出娘など、ワケあり娘ばかりが集まったこの一座には、新人力士の
花菊(木竜麻生)の姿もあった。
貧しい農家の嫁だった花菊は、夫の暴力に耐えかねて家出し、女相撲に加わったのだ。“強くなり
たい。自分の力で生きてみたい”と願う花菊は、周囲の人々から奇異の目で見られながらも、
厳しい練習を積んでいく。そして訪れた興行の日。会場には、妙な若者たちの顔ぶれがあった。

それは“格差のない平等な社会”を標榜するアナキスト・グループ“ギロチン社”の面々。師と仰ぐ
思想家の大杉栄が殺されたことに憤慨し、復讐を画策すべく、この土地に流れ着いたのだ。
そして、女力士たちの戦い魅せられた“ギロチン社”の中心メンバー、中濱鐵(東出昌大)と
古田大次郎(寛一郎)は、彼女たちと行動を共にするようになる。
“差別のない世界で自由に生きたい”。その純粋な願いは、性別や年齢を越え、彼らを強く結び
つけていく。次第に惹かれあっていく中濱と十勝川、古田と花菊。だが、彼らの前には、
厳しい現実が容赦なく立ちはだかる……。(Movie Walker)

<kINENOTE= 75.3点>



# by jazzyoba0083 | 2019-12-11 23:30 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「TAXi ダイヤモンド・ミッション TAXi 5」
2018 フランス EuropaCorp and more. 103min.
監督:フランク・ガスタンビドゥ 共同脚本・製作:リュック・ベッソン
出演:フランク・ガスタンビドゥ、マリク・ベンタラ、ベルナール・ファルシー、サルバトーレ・エスポジト他

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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
リュック・ベッソンが脚本を一人で手掛けていた頃の「TAXi」は物語性もしっかりしていてアク
ションとの両輪が上手く回ってちゃんと面白かった。久しぶりに観るこのシリーズ、最近どう
いう具合になっていのか確認も含めて鑑賞。ベッソンは名前貸しだけな感じだ。

主役のスーパー・ポリス、マロを演じるフランク・ガスタンピドゥが監督も努めた。フランス版
おバカ映画となっていた。確かにチューンナップされたタクシーはカッ飛びはするけど、それ
だけで、中身がカスカス、コメディにもなり切れていないし、CGバリバリの時代にカー・
アクションを上手く魅せていくことは難しいとは思うけど、マロの左遷先であるマルセイユの
市警メンバーや市長のステレオタイプのおバカぶりも知恵が足りない。
(マルセイユ市警から抗議が来なかったのかな、と思うくらいのおバカぶりだった。)
ゲロまみれ多数、糞便まみれあり。

デブのエロ婦警、瞳孔が開いちゃった危ない系、小人・・・。差別映画スレスレの人物構成。
最後にプジョーのパトカーが空を飛んで、クルーザーに突き刺さるところは見せ所なんだろう
けど、「おお!」とはならないんだな、今の時代。アイデアとしても陳腐だし。
悪役弱いし、警官そう強くないし。

こうしたご時世でまだこのシリーズ、作り続けるつもりだろうか。客、入らないだろうなあ。

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<ストーリー>
リュック・ベッソン製作・脚本による人気カー・アクションのシリーズ第5弾。地方都市に
左遷されたスピード狂の問題警官が、宝石を狙うイタリアの強盗団を捕まえるため、間抜け
なタクシードライバーとタッグを組み立ち向かう。
『TAXi』シリーズのファンだったというフランク・ガスタンビドが警官役だけでなく自ら
監督も務める。

検挙率No.1ながら、スピード狂で問題だらけの警官マロはパリ警察から、地方都市マルセイユ
へ左遷されてしまう。赴任したその街ではフェラーリなどの高級車を駆使し、華麗に宝石を
盗むイタリアの強盗団が犯行を重ねていた。マロは街を熟知している間抜けなタクシー運転手の
エディとタッグを組み、彼らの犯行を阻止しようとする。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Metacritic=-->
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:0% Audience Score:35%>
<KINENOTE=59.2>



# by jazzyoba0083 | 2019-12-11 22:40 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

焼肉ドラゴン

●「焼肉ドラゴン」
2018 日本 KADOKAWA ファントム・フィルム 127分
監督・原作・脚本:鄭義信(チョン・ウィシン)
出演:キム・サンホ、イ・ジョンウン、大泉洋、真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、大谷亮平
   ハン・ドンギョル、イム・ヒチョル、根岸季衣他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
在日韓国人、朝鮮人を描いた作品はこれまで「パッチギ」や「血と骨」など観てきて、いずれも
佳作であった。彼らの置かれた立場が生むエネルギーと感情は、日本人の心を波立たせるのに
十分だ。本作も、在日韓国人一世と二世の話。舞台万博前後の大阪だ。ここでも、先の大戦の傷と
母国を追われた人々、異世界で暮らしていかなければならない身の苦しみ、悩み、怒りが綴られる。

「血と骨」の脚本を書いた鄭義信の戯曲を映画化しただけのチカラを感じた。ラストのひっぱりが
いささか長すぎの恨みはあるが、全体としてエネルギッシュで彼らの苦しみ、悲しみを上手く描い
ていたと思う。大国に上と下を挟まれ朝見外交か隷属かという長い歴史の中で翻弄される大衆の
哀しみとでもいうのだろうか、後半でキム・サンホが人生を述懐する下りは胸を打つ。
「働いて、働いて・・」と。アボジが済州島出身者で「済州島事件」で一族郎党が皆殺しに合った
という下地がすでに悲惨である。

帰りたくても故郷を奪われ、アボジは大戦で片腕すら無くした。帰国しようとして全財産を積んだ
船が沈没するという悲劇も後を追う。だから日本で暮らしていかなければ生きていけない、
そういう状況で、伊丹空港滑走路そばの一角に在日村(大阪市からみれば違法占拠)をバラックで
作り、アボジは「焼肉ドラゴン」という店を出して一家を養っているのだ。

オモニとは再婚同士で上の娘二人(真木よう子と井上真央)は先妻(病没)の子供だ。下の娘
(桜庭ななみ)はオモニの前の旦那との子。そして時生という高校一年生の男の子は今の二人の
子供という構成。三人の娘らはそれぞれに男の問題を抱えている。優秀な時生にはアボジは日本の
教育を受けさせて、日本で生きて行けるようにと進学校へ送り出した。しかしそこでは強烈なイジメ
があり、転校は許さないアボジとの板挟みとなり、彼は橋から河原に飛び降り自殺する。

また国有地を占拠しているとして大阪市からは立ち退きを言われている。アボジはこの土地は終戦後
醤油屋から買ったのだ、と主張するが騙されたのだろう。

日本全体が万博に向けて高度成長の真っ只中で、ものすごいエネルギーの中にあった。日本でも
何でも有りの状況で、在日たちもなんとか生きていけたが、バラックも消えていく時代でも有り、
彼らにとって暮らしづらい時代にもなっていく。

当時の流行歌や風俗、万博などを上手く絡め舞台劇っぽいといえばそう見えるがそれが欠点とはなって
いない。むしろ群像劇として様々な登場人物が放つ個性が生きていたのではないか。
ラストで3人の娘はそれぞれが愛する人と新しい生活の場所へと移っていく。もちろんバラックが
立ち退きにあったといこともある。足の悪い長女真木よう子は大泉洋と北朝鮮へ。さて二人はその後
どうなったのだろうか。韓国語が喋れない次女井上真央は韓国人と結婚して韓国へ。三女は日本人
(大谷亮平)と結婚して日本で生活していくことに。アボジとオモニはまた焼肉屋をやるのだろうか。

アボジは娘たちには娘たちの人生がある。好きに生きればいい。が幸せになって欲しいと願う。
親の願いは万国共通だ。だが彼らの背後にあるものはそれをなかなか許さない。そういう荒波を
超えていかなければならない運命を暗示して映画は終わる。設定はありがちだが、個々の状況に
苦悩とペーソスのプロットを上手く配した作劇は一流のものだ。韓国から迎えたキム・サンホと
イ・ジョンウンの演技が光る。また在日の事だけに視点を固定してはいけない作品であり、
親の、子の、親子の、男女の、それぞれのありようをこの映画なりに提示している視点を観なく
てはいけないのだ。

異国の地で生きようとする在日たちのエネルギー。彼らに立ちはだかる異国の文化や日本人という
壁。どうしようもない世界だがなんとかあがこう、いやあがかなければ生きていけないのだ。
そんな辛さ、哀しみが映画から滲み出てきた。

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<ストーリー>
第16回読売演劇大賞など数々の演劇賞に輝いた戯曲を、原作者の鄭義信が監督を手がけて映画化した
人間ドラマ。
昭和40年代の大阪を舞台に、万博の開催でにぎわう世間から取り残されたかのように生きる在日
韓国人家族の姿を描く。
一家の長女を真木よう子、次女を井上真央、三女を桜庭ななみが演じるほか、大泉洋が出演する。

関西の地方都市の一角で小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む6人家族。“たとえ昨日がどんなでも、
明日はきっとえぇ日になる”という亭主・龍吉の口癖のように、どんなに辛いことがあっても前向きに
生き、店は常連客たちでいつも賑わっていた。
何があっても強い絆で結ばれていた「焼肉ドラゴン」にも、次第に時代の波が押し寄せてくる。
(Movie Walker)

<KINENOTE=73.5点>




# by jazzyoba0083 | 2019-12-06 23:30 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「i ー新聞記者ドキュメントー」
2019 製作・配給:スターサンズ 「i ー新聞記者ドキュメントー制作委員会」 120分
監督:森達也 製作:河村光庸
出演:望月衣塑子(東京新聞社会部記者)

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
エピソードに新しさはないのだが、こうした映画を作った河村Pと体当たりで演出を試みた森達也、
さらに、シネコンながらこれを上映したイオンシネマズに★を一つ半くらい進呈したい。
先に河村は「新聞記者」というこれも望月とその周辺をモデルとしたドラマを製作し、これが
参院選告示日に封切り日を重ねるという反骨精神もあってか、予想外の大ヒットとなった。
このドラマは現在の日本のメディアがいかに権力に根幹を握られているか、また権力はメディアを
操作しようとしているかの闇を描いて魅せたが、本作はその事実をドキュメンタリーとしてリアルに
綴ったものである。

すでに有名人となりデモ会場などでは多くの声を掛けられる東京新聞社会部記者、望月衣塑子。
なかなかの美形であるが、独特の甲高い声で責められると、菅官房長官もイラッとするだろうなあ、と
変な感心。
閑話休題。彼女が挑んできた(挑んでいる)辺野古、伊藤詩織さんレイプ不起訴事件、森友問題、
宮古島火薬庫隠蔽事件、内閣官房報道室による望月本人に対するあからさまな質問妨害や圧力を
リアルに描いていく。

2時間は長いんじゃないか、と思っていたが、いやいや安倍内閣の悪行は枚挙に暇がなく、怒れる
望月はますます怒るわけだ。その模様は分かっていても見入ってしまう。それほど今のマスコミの
腐り具合と忖度、権力の奢りは凄まじいものがある。
作品中森監督自身がいみじくも口にするのだが、「なんで望月記者が注目されるの?当たり前の
ことを質問しているだけ、わからないことを教えてくれっていっているだけじゃない。こうして
ドキュメントを作っていること自体がオカシイよね」。

もちろん頑張っているのは望月記者だけではなく、毎日や朝日あたりにも気骨のある記者はいるし、
テレビではTBSの金平さんが頑張っている。(本作にも出てくる)
アメリカではトランプがあれだけヤバいことをやりたくっているけど、オカシイことはオカシイと
いうメディアがある。それに比して日本はどうか。
もう忖度の固まり。メディアも官僚も政治家もヒラメ化(上しか見ない)してしまい、まっとうな
ジャーナリズムが育つ環境ではない。彼らは戦前軍部に楯突いた桐生悠々の存在を知っているのだ
ろうか。

望月記者はとにかくオカシイこと(安倍や菅が好きとか嫌いとかの問題ではなく)はオカシイ、
税金の使われ方、政治の有り様として、まっとうじゃないことを指摘しているだけなのだ。
それを包み込もうとする権力とそれを忖度するメディア。また同調圧力に弱く、長いものには
巻かれておきたい、みんなと一緒がいい、自己肯定願望の強い今の日本人はそれをみすみすと許す。

安倍が憲政史上最長の首相在籍となったが、なるべくしてなったとしかいいようがない。
これだけメチャクチャな税金の使われ方と税金の召し上げ方をされていてなんにも怒らない
国民てなんなんだ、と思える。この映画を観ているとメディアの危機が望月の頑張りの裏返しと
して分かる一方、今の権力構造がいかに国民を愚弄しているかが見えてくるのだ。

安倍嫌いの人が見るとむかっ腹がたつので要注意。ドキュメンタリーはドラマ以上にリアルで
生々しく、ヒリヒリするので感情の波立つ度合いは高い。
望月記者、お洒落だし、ヴィトンのショルダーにモンクレールのダウンを着こなす。キャスター
付きの小さいトランクをどこへ行くにも持っていく。恐らく出会う人に不快な思いをさせたく
ないのだろう。
また森自身も菅の会見会場に入ろうとトライしたり、首相官邸前で警官と揉めたりして身体を
張って権力の横暴さを訴える。
末端の警官の何も考えず上の言うままに動く(当たり前だけど)人間性をまるで感じない
ロボットのような対応に恐怖を覚えるはずだ。

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<ストーリー>
大きな話題を集めた社会派サスペンス「新聞記者」のプロデューサーが監督に「A」「FAKE」の
森達也を迎え、今度は「新聞記者」のモデルとなった東京新聞社会部記者・望月衣塑子自身の
活動を追ったドキュメンタリー。
森友・加計問題に象徴される底が抜けたかのような官僚機構のデタラメぶりや政治の劣化が深刻さ
を増す中、官房長官の記者会見で気を吐く望月記者はなぜか記者クラブの中で異端の存在に。
そんな望月記者への密着取材を通して、その他の日本の大手メディアの危機的実態を浮かび上がら
せていくとともに、民主主義の根幹ともいうべきメディアとジャーナリズムのあるべき姿を問うて
いく。(allcinema)

<KINENOTE=76.1点>




# by jazzyoba0083 | 2019-12-04 11:40 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

ボーダー The Border (1982)

●「ボーダー The Border」
1982 アメリカ Universal Pictures,RKO Pictures,Efer Productions.109min.
監督:トニー・リチャードソン
出演:ジャック・ニコルソン、ハーヴェイ・カイテル、ヴァレリー・ペリン、ウォーレン・オーツ他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
今も昔も貧しいメキシコから自由の天地アメリカを目指す人々は変わらない。最新版の同名映画の出来は
良かったのだが、本作、独特の味わいはあるのだが、今ひとつピリッとしないというか、結局ニコルソンの
人情噺になっていいのか、良くわからない作品だった。主役二人の名前に惹かれてNHKBSの放映を録画して
鑑賞したが、半ばあたりから早見モードとなった。大きくフィーチャーされた時代を反映している
ライ・クーダーの音楽も、中身を上手く反映できていなかったように感じた。
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ロスの警官から国境警備隊に転職したニコルソン。エルパソにかなりの家を買って引っ越した。
だいぶ借金もしたようだ。警備隊の先輩カイテルは、不法入国を手助けする一味から金を貰って
お目こぼしをしている。隊長がその元締めのような悪の組織として描かれる。悪の巣窟として描かれる
NY市警の構図とそっくりだ。ニコルソンは悪いこと、と分かっていてカイテルに引っ張られて悪い世界に
足を突っ込んでいた。
そこに赤ちゃんと弟を抱えた若い女性を見つける。ニコルソンは罪滅ぼしのように、誘拐され転売されそう
になっている赤ちゃんを助け、女性と弟に金を渡して国境を超えるように手引する。
しかし川を渡って国境を超えたところで弟は撃たれて瀕死の重傷を負い、メキシコ側に戻り同じく
メキシコに戻った女性の腕の中で絶命した。ニコルソンは仲介人のボスをとっちめて赤ちゃんの行方を
探し、川を渡って女性のもとに赤ちゃんを届けるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
という物語なんだけど。国境を挟んで展開されるニコルソンと妻、そしてたまたま目にしてしまう美しい
あどけなく幼い母親、警備隊を覆う悪行などを絡めて描く。ニコルソンのキャラクターが立たなければ
ならないタイプの映画だと思うが、根っこはいいやつだと最後に描くことでオチとしたが、プロセスが
弱いと感じた。ライ・クーダーの音楽はそれを補いきれず、雰囲気をバックアップしただけで終わった。
悪に手を染めているカイテルの背景も分からずじまいだし。
銃の音も昔の西部劇の効果音みたいに貧弱な上、夜間の光景がそれこそ昔の西部劇を撮影するときみたいに
日中の撮影にくもりガラスを使った手法なので、全体に古さを感じてしまう。

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<ストーリー:結末まで書かれています>
ロサンゼルスの警官チャーリー・スミス(ジャック・ニコルソン)は、妻のマーシー(ヴァレリー・ペリン)
の望みでテキサスの国境の町、エルパソヘ引っ越すことになり彼女の親友サバンナと夫のキャット(ハーベイ・
カイテル)を頼って新しい生活へと旅立った。

一方国境をこえたメキシコでは乳のみ子をかかえた母親マリアが弟のファンと共に苦難の生活から何とか
立ち上がろうと努めていた。キャットと共に国境警備隊員として働くことになったチャーリーは、故郷を
すて未知の国に希望を託して不法入国する人々の悲惨な状況を知り激しいショックを受ける。

その国境地域の実状の厳しさを彼に教え案内してくれたチャーリーの相棒が何者かに殺された。不信を抱いた
彼は、警備隊の隊長レッド(ウォーレン・オーツ)に会った。
同じ頃彼は赤ん坊を抱きかかえたマリアを川で見かける。声をかけるが、侮蔑に満ちた表情を返すマリア。
浪費家の妻に嫌気がさしていたチャーリーは、家では安らぎを感じられなかった。そしてキャットが不法入
国者たちをコントロールする立場にあり、彼らを北部に送っては日銭をとっている事実を知って唖然とする
チャーリー。さらに彼らの手先のメキシコ人がマリアの子供をさらい英国系の家庭に売ろうとしていた。
キャットに批判を溶びせるチャーリーは、やがてマリアたちの味方についた。様々な防害をはらいのけ、
キャットら一味との撃ち合いの末、遂に赤ん坊を救い出したチャーリーに、マリアははじめて笑顔を送る
のだった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Metacritic=66>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80% Audience Score:53% >
<KINENOTE=64.8点>






# by jazzyoba0083 | 2019-11-29 23:00 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「復讐のドレスコード The Dressmaker」
2015 オーストラリア Screen Australia (presents),Film Art Media,White Hot Productions. 119min.
監督・(共同)脚本:ジョスリン・ムーアハウス
出演:ケイト・ウィンスレット、リアム・ヘムズワース、ジュディ・デイヴィス、ヒューゴ・ウィーヴィング他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ハリウッド製とはちょっと違うテイストはあるかな。意外といったら失礼だが、面白く見せて貰った。
どこかコーエン兄弟とかティム・バートンのブラックな匂いもしたりするのでその辺りのニュアンスは
嫌いじゃないので。しかしながらドレスメーカーというポジションが、新鮮であると同時にどうも
スカッとしないという感じがした。ケイト・ウィンスレットの演技はそんなキャラクターを上手く演じ
ていたと思う。

サスペンスであり、コメディであり、不条理劇でもあるようなてんこ盛り感があり、親子の結びつきの
ややこしい綾もあったりでちょっとストーリー的にも欲張ったかな、という感じもあった。
とはいうものの結局引っ張られて観ちゃったわけで作品にそれなりのチカラはあった、という事なのだ
ろう。単館・名画座系で上映されそうな感じでもあるが、配給の関係か、日本では劇場公開されなかった。

基本的にはケイト・ウィンスレットが少女時期に犯したといわれている少年殺人事件の真相を探る物語と
一流のドレスメーカーになって故郷に戻りその腕前を使ってかつて母と自分に冷たかった故郷に復讐を
遂げるという物語がメインになっている。

時代は1950年代半ばのオーストラリアの田舎町。自分は果たして25年前に犯したという少年殺人の
犯人なのか、あるいは真犯人は別にいるのか。田舎町に帰ってきたハデハデなウィンスレットはたちまち
注目されるが、昔の事件を皆覚えていて、遠巻きにする。そんな彼女を暖かく見つめるのは女装趣味のある
警察署長と、貧乏青年リアム・ヘムズワース。
ある日彼女は冴えない娘を自分のドレスを着せ、メイクをすると見違えたように美人になり、良縁を得る。
これを見た田舎のお姉ちゃんやおばちゃんらがウィンスレットのもとに押し寄せる。

一方、真犯人探しだが・・・。備忘録的に結末を書いておくと、少年は闘牛ごっこをして彼女を壁に
追い詰めようとして、彼女が身をかわした時に壁に自らの頭を激突させて、死んだのだった。その様子は
知恵遅れの彼女の弟がはっきり目撃していた。更に、その少年の父は自分の父親(市長)であったことも
判明。市長一派は、疎ましい愛人とその子供を町から放逐したかったらしい。俄然復讐にでるウィンスレット。

町の人らが揃って演劇に出かけたスキに、自分の家に火を放ち、その火が町に延焼するような仕掛けを作り
一人パリに引き上げていったのだった!
独特の味わいを持つ本作、WOWOWで観たのだったが、ケイト・ウィンスレットの名前に惹かれて観たの
だったが、通りすがりで観た割には満足度は高い映画だった。

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<ストーリー>
「愛を読むひと」で第81回アカデミー賞の主演女優賞に輝いた人気女優ウィンスレットをはじめ、
「ハンガー・ゲーム」シリーズのL・ヘムズワース、「マトリックス」シリーズのH・ウィーヴィン
グなど、英国やオーストラリアの出身である豪華キャストがそろった充実作。
過去の殺人事件の謎に迫るミステリーと、ブラックユーモアコメディという2つの異なるテイスト
が同居するオフビート編。やはりオーストラリアの出身で、「キルトに綴る愛」などでも知られる
J・ムーアハウスが監督。WOWOWの放送が日本初公開。

オーストラリアの田舎町ダンガター。25年前の少女時代、同世代の少年スチュワートを殺したと
疑われながら町を去ったティリーが、久しぶりに町に帰って来る。認知症にかかった母親モリーの
面倒をみるためだが、ティリーの帰郷をよく思わない者も大勢いた。やがてティリーが服作りが上手な
デザイナーだと知った町の女性たちは次々と彼女にドレスを作るよう頼むようになるが、ティリーは
自分と同世代の男性テディと親しくなり……。
(WOWOW)

<IMDb=★7.1>
<Metacritic=47>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:56% Audience Score:66% >







# by jazzyoba0083 | 2019-11-28 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 Tulip Fever」
2017  アメリカ・イギリス Worldview Entertainment,Paramount Pictures,Ruby Films.105min.
監督:ジャスティン・チャドウィック 
原作:デボラ・モガー 『チューリップ熱』(白水社刊)/『チューリップ・フィーバー』(河出文庫刊)
出演:アリシア・ヴィキャンデル、デイン・デハーン、ジャック・オコンネル、クリストフ・ヴァルツ、ジュディ・デンチ他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1600年代のオランダには実際にチューリップ相場があり、投機熱が加熱しバブルの様相を呈した時期が
確かにあった。そうした事実とフェルメールやレンブラントの時代でもあった2つの当時のオランダの
光に焦点を当ててデボラ・モガーが著した小説の映画化。

なかなか個性的な登場人物がチューリップの球根を巡っての駆け引きを結構上手いプロットで描くが、
アリシア・ヴィキャンデル演じる主人公の行動が、ちょっと私の常識を逸脱していて、ラストのどんでん
返し?もそんなに上手くいくものかなあ、という蓋然性に納得がいかず、結局引いてしまって終わったの
だった。また、魚屋の子供を宿し、結果お金持ちから財産をごっそりいただいちゃった家政婦マリア
(ホリディ・グレインジャー)に物語を乗っ取られてしまったような塩梅も、如何なものか、という感じだ。

まあハッピーエンドとして描かれているが、お金持ちコルネリス(クリストフ・ヴァルツ)=孤児院から
ソフィア(アリシア)をお金で妻に貰い受けたものの、それを負い目に感じていた=は、妻に絵かきと
浮気された上に子供もマリアと魚屋の子供であったことを知り、世をはかなんで、東南アジア(東インド
会社か?)に行ってしまったのだが、彼の地で現地の妻を迎え子供も出来幸せを手に入れたと言われても
なんだかなあ、という感じだ。

また医師と助産師を抱き込んでお棺まで用意して死んだふりをして周囲を騙したソフィア、コルネリスに
腕を見込まれてソフィアの肖像画を描いたのは良かったがソフィアと出来てしまい、その後チューリップ
相場で失敗する絵かきのヤン(デイン・デハーン)は教会の絵描きとして再スタートを切ることが出来て
いるとか、都合の良い状況にいささか鼻白んだ。球根で金儲けをしている教会のジュディ・デンチなど
いいキャラがいるのにもったいなかったな。球根を酔っ払って玉ねぎと間違えて食べちゃったヤンの抜けた
友人の存在は傑作だったけど。

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<ストーリー>
作家デボラ・モガーがフェルメールの絵画から着想を得た小説を映画化。チューリップへの投機が盛ん
だった17世紀のオランダ。孤児だったソフィアは成人すると、有力な商人コルネリスに嫁ぐ。
ある日、夫が肖像画を描かせようと若手画家ヤンを家に招くが……。
監督は、「ブーリン家の姉妹」のジャスティン・チャドウィック。
出演は、「リリーのすべて」のアリシア・ヴィキャンデル、「アメイジング・スパイダーマン2」の
デイン・デハーン、「恋におちたシェイクスピア」のジュディ・デンチ、「ジャンゴ 繋がれざる者」の
クリストフ・ヴァルツ。

17世紀のオランダ、アムステルダム。チューリップの投機が盛んで、中でも希少な縞模様の入った
ものを“ブレイカー(色割れ)”と呼んだ。孤児として聖ウルスラ修道院で育った美しい少女ソフィア
(アリシア・ヴィキャンデル)は成人すると、富豪で有力者である商人コルネリス・サンツフォールト
(クリストフ・ヴァルツ)に嫁ぐ。
なかなか子供を授からないソフィアは、ソルフ医師(トム・ホランダー)に相談する。

一方、サンツフォールト家の女中マリア(ホリデイ・グレインジャー)は、魚売りのウィレム(ジャック・
オコンネル)に恋をしていた。コルネリスは妻との肖像画を描いてもらおうと、絵画商人マテウスから
若手画家ヤン・ファン・ロース(デイン・デハーン)を紹介してもらう。ヤンはソフィアの姿を観た瞬間、
恋に落ち、ソフィアも徐々に彼に惹かれていく。
その頃、ウィレムはマリアとの結婚のため、チューリップの球根の所有権証明書を手に入れる。ウィレムが
証明書への署名をもらうため所有者であるウルスラ修道院の修道院長(ジュディ・デンチ)を訪ねると、
修道院には白と真紅のブレイカーが1輪咲いていた。“マリア提督”と名付けられた球根の証明書を入手し、
幸せを掴んだはずのウィレムは、ヤンと逢瀬を重ねるソフィアの姿をマリアと勘違いしてしまう。

傷心のなか酒場で財布を盗まれ、恋人も財産も失ったウィレムは、そのままアムステルダムから姿を消す。
ウィレムを失ったマリアは、彼との子供を授かっていることをソフィアに告白する。ソフィアはマリアの
子供を自分の子供だと夫に思い込ませることを思いつく。妊娠により妻と夜を共に過ごせなくなった
コルネリスは、仕事と偽りユトレヒトの女の元へ行き、数週間留守にする。その間ソフィアとヤンは幸せな
日々を送る。
しかし、ヤンはソフィアのために金を工面しようと、チューリップの球根を盗みにウルスラ修道院へもぐり
こみ、捕えられる。それでも球根を諦めきれず、チューリップ売買に乗り出すが……。(Movie Walker)

<IMDB=★6.2>
<Metacritic=38>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:10% Audience Score:43%>
<KINENOTE=71.6点>




# by jazzyoba0083 | 2019-11-24 22:50 | 洋画=た行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ザ・ハント ナチスに狙われた男 The 12th Man」
2018 ノルウェー Nordisk Film Production AS,Zwart Arbeid.135min.
監督:ハラルド・ズワルト
出演:トマス・グルスタット、ジョナサン・リス・マイヤーズ、マッツ・ショーゴード・ペテルセン他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
なぜかノルウェーの映画をたて続けに観ることになった。本作は実話に基づいていて、私たち
日本人が知らない(であろう)北欧の国々とナチスとの戦いの過酷な一面を描く。
ノルウェーはナチスに侵攻されるのだが、海軍を中心としてイギリス軍に入り教育を受けた将校、
兵士も多かったと知った。彼らは英国仕込みの技術でナチに対抗しようとしたのだ。

そうだ、忘れてはいけないのは「ヒトラーに屈しなかった国王」として映画になった反骨の
ノルウェー国王ホーコン7世の存在だ。「私には4000万の味方がいる」と国民を深く信じて
ナチスの降伏要請を蹴った王様だ。こうしてみるとノルウェーという国のファシズムに対する
強烈な反対姿勢が読み取れる構図といえる。

ノルウェーはナチスの侵攻に国を上げて対抗したのだが、その人々の考え方がこの映画の根幹を
支えていた様子がよく分かる。
英国で訓練された12人の海軍兵士がナチスに占拠された灯台爆破の任を受けて、現場に向かうも、
途中でナチスの砲艦に発見され全員囚われてしまう。12人の兵士らは捕らえられたり、海岸で
SSに射殺されたりした。その際、一人の兵士が逃亡に成功する。
ゲシュタポはヒムラーへの報告が全員殺害ということでなくてはならないため、立場上、必死で
捜索する。寒い海の中では生きてはいけないという意見に自分から凍てつく海に入ってみる
将校もいたり。彼らも必死だ。保身のために。

12番目の兵士ヤン・ボールスルドのスウェーデン国境を目指した極寒の地での決死の逃走と、
それを支えたノルウェー国民の団結を描いていく。
故に、ヤン自身が何かをやることに力点が置かれると言うより、彼を助ける普通の人々の勇気と
決意が表現される。ヤン自身、ものすごい体力で何日も岩陰にビバークしても生き抜くという
精神性と肉体の強さを持っていた。ただ足の凍傷はいかんともしがたく、壊疽を放置すると
危ないとは途中の仲間からもいわれていたため、彼は自分で足の指をナイフで切り落とす。

そのため片足を引きずることになるのだが、全てが終わった後、味を引きずり遠くを見ている
一人の将校の姿から映画が始まるが、彼こそヤンであり、映画は過去へと遡っていくのだ。

ゲシュタポとの駆け引き、彼らからヤンや囚われた兵士を守ろうと頑張るノルウェー国民、
そしてヤン自身の孤独と極寒との戦い。これらが良き塩梅で描かれ、緊張感、愛国心、
反ナチズムといった感情を観客に強く訴えてくる。ただちょっと長いかな。

実話とはいえ、自国の歴史の隠された一面を明らかにし、ナチズムと戦った歴史を再認識させた
功績は大きいのではないか。はるか東洋の国民も、この際、こうした歴史を知っておくことは
決して無駄なことではないと感じたのだ。

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<ストーリー>
1943年、ナチスドイツ占領下のノルウェーで果敢にレジスタンス活動を行ない、ナチスに
追われることになった男の決死の逃避行を、実話をもとに映画化したサバイバル劇。

第2次世界大戦中、ナチスドイツの占領下となった北欧の国ノルウェーにおいて、12人の男
たちがレジスタンスの破壊工作活動を行なうも、11人は捕らえられて処刑される運命に。
そんな中、たったひとり、辛うじて難を逃れた主人公が、ナチスの追跡をかわしながら、
極寒の雪原で決死の逃避行とサバイバルを繰り広げるさまを、歴史的実話をもとに息詰まる
タッチで描く。
出演は、「マッチポイント」のJ・R=メイヤーズほか。監督は、「ベスト・キッド(2010)」
など、ハリウッドでも活躍するH・ズワルト。(WOWOW)

<IMDb=★7.4>
<Metacritic=70>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:86% Audience Score:78%>
<KINENOTE=75.2 点>



# by jazzyoba0083 | 2019-11-22 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ディザスター・アーティスト The Disaster Artist」
2017 アメリカ Good Universe,New Line Cinema and more. 104min.
監督:ジェームズ・フランコ
出演:ジェームズ・フランコ、セス・ローゲン、デイヴ・フランコ、アリ・グレイナー、アリソン・ブリー他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
カルトな映画制作者をカルトに撮るジェームズ・フランコ。そこにあるのは「映画愛」だ。とか
いう惹句が付きそうな「変な映画」。
実話に基づいた映画で、2003年に全米1館で公開され、1週目の興行収入が1800ドルだったという
史上最低の映画を作った謎の人物トミー・ウィソーとその映画「ザ・ルーム」の制作過程に焦点を
当てた日本未公開(だろうなあ)なれど、愛すべき逸品。

映画の終わりに本作で撮られた映像と本家の「The Room」がどれだけ似ているカットを作っている
かを比べたカットがいくつか並んべられるが、ほんとにここまでやるんだ、というフランコの気概を
感じる。またトミー・ウィソーとジェームズ・フランコが気持ち悪いくらいそっくりなんだな。

もうこれは観て頂くしかないのだが、とにかくトミー・ウィソーという怪人物の映画に対する愛情を
感じられればOKなのではないか。映画が好きでサンフランシスコからハリウッドに親友を連れて
出てくるが、演技の経験がまるでないトミーは当然オーディションに落ちまくる。親友とても同じ
ようなもので、そこでトミーが言い出したのは「じゃあ、自分たちで作っちゃえばいいじゃん」
ということ。
低予算のインディーズ映画ではなく、ハリウッドのちゃんとしたスタッフを雇い、ハリウッドの役者を
オーディションで採用し、撮影用のキャメラはレンタルするのが普通なところを
「35ミリとデジタルHDカメラ、両方とも買うから」とか言い出す。映画の事は何も知らないが
とにかく見様見真似と映画愛に満ちた唯我独尊のスタイルで現場を仕切りまくる。

ストーリーは一応恋愛悲劇であるのだが、カット回収されず突然意味のないシーンが入ったり、
主役であるトミーの演技が下手すぎな上に、変な訛りがあり(本人はニューオリンズだというがそうは
聞こえないという)現場スタッフから激怒されたり、ものすごい現場が描かれていく。撮影期間は
どんどん伸びていくが不思議とお金はどこからか出てくる。スタッフにも相当のギャラが支払われるのだ。
自分でこの映画は600万ドル使った、とかいう。

やっと完成した作品をプレミア上映するという。その頃には親友はたもとを分かち小劇場で舞台俳優を
やっていた。しかし、トミーから君と作った映画じゃないか、といわれ、当日トミーが用意した
とんでもない長さのストレッチリムジンで劇場い乗り付けた。
作品は最初のうちは目を背けるようなヘタレな出来に観客は唖然としていたが、次第にツッコミどころに
爆笑が湧き始めた。最後には大爆笑で、トミーの名前が連呼される事態になった。
途中で悄然として「客が笑っている・・・」というが、親友は「ちがうよ、ウケているんだよ。
ヒッチコックがウケたか?」と励ます。劇場に再び入ると場内はスタンディングオベーション!
トミーは「私のコメディーを楽しんでくれたかい?この映画が出来たのは親友がいたからだ」とか
美しいことを口にするのだった。因みにタイトルと中身は全然関係ない(とされる)。

最初は大失敗の映画だったがその後、口コミでカルトな流行が広がり、今でも世界中で公開が続いて
いるという。トミー・ウィソ-は依然として謎な人物なままだという。

少し前に史上最低の監督といわれた「エド・ウッド」をジョニー・デップ主演で観たが内容は異なれど
共通するのは映画に対する異常な愛情だ。
ジェームズ・フランコ自身も頭はいいのにセス・ローゲンなどと組んでおバカ映画ばかりつくっているし
しかもこの映画をIMAXで上映したというから、何を考えているのかよくわからないのはトミー・ウィソー
に似たりよったり。彼の映画に対する映画愛がこれを作らせたのだな。先にも書いたがラストでの、何ら
本編に影響のないこだわりのそっくりカットを観ればそれが分かるというものだ。
個人的に好きなシーンは、トニーが屋上に出てきて、「殴ってない!オレはリサを殴ってない!嘘じゃない!(と空のペット
ボトルを床に投げつけ、)やあ、マーク!」という下り。トニーの感情の移動が出来ないセリフ棒読みが
たまらない。

WOWOWで放映した本作、何も知らずに観たのだが、「エド・ウッド」並の衝撃を受けて、Blu-rayに
保存することにした。またゆっくり見る機会もあるだろう。ジョン・カーペンターの感覚に似ているの
かもしれない。こうした映画バカによってハリウッドから名作も駄作も作られていくんだな、という
感慨が湧くのだった。

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<ストーリー>
1998年のサンフランシスコ。俳優になるために演技学校に通っていたグレッグ・セステロは、そこで
トミー・ウィソーという一風変わった男性と知り合いになった。
当初、ウィソーのオーバーな演技に唖然としていたセステロであったが、彼の独特な風貌とアクセント、
エキセントリックな振る舞い、自分の過去を決して語らないというスタンスに好印象を持つようになって
いった。その一方、演技指導を担当していたジーン・シェルトンはウィソーの演技を厳しく批判した。
「ここで燻っていても道は開けない」と考えたウィソーの薦めで、セステロはロサンゼルスに引っ越す
ことになった。

それが功を奏したのか、セステロは芸能事務所と契約することができた上に、恋人(アンバー)を
見つけることもできた。一方のウィソーはオーディションに落ち続けていた。親友が公私ともに順調なの
を見て、ウィソーはグレッグに嫉妬心を燃やし始めた。
しかし、セステロも映画出演には至れず、徐々に苛立ちが募っていった。そんなある日、セステロは
冗談のつもりで「自分たちで映画を作ってしまえば良い」と言ったところ、ウィソーはそれを本気にして
しまった。彼は何かにとりつかれたように『The Room』の脚本を書き上げていった。

ウィソーの行動力は並外れたもので、資金や機材、スタッフを次々に調達してきた。しかし、彼には映画
製作に関する知識も経験もなかった。当然、そんなウィソーが指揮を執る撮影現場は大混乱に陥ることと
なった。(引用:Wikipedia)

<IMDb=★7.4>
<Metacritic=76>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:91% Audience Score:86% >
<KINENOTE=74.2点>



# by jazzyoba0083 | 2019-11-20 10:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「エンド・オブ・ステイツ Angel Has Fallen」
2019 アメリカ Millennium Films. 121min.
監督:リック・ローマン・ウォー
出演:ジェラルド・バトラー、モーガン・フリーマン、ジェイダ・ピンケット・スミス、ニック・ノルティ
   ウェイド・ジェニングス他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
中身はほぼスカスカなれど、スカッとする復讐系アクションはいいかんじで、恐らくこのシリーズを
観に行く人はだいたい、スカッとしに行きたいのではないだろうか。この手の映画の批評家と一般との
見方の差はRotten Tomatoesをみるとよく分かる。本作でも批評家の支持は39%しかないのに対し
一般の支持は93%もある。ことほど左様に本作は芸術性とはかけ離れた徹底した大衆娯楽作品なのだ。

かくいう私もこの手の映画が好きで、これまでのシリーズは全部観ている。ホワイトハウスとロンドンを
舞台に激しいアクションを展開し、大統領を守ってきたシークレットサービス、マイク・バニングが今回は
アメリカに戻っての大暴れ。ストーリー的なものを一応触れておくと、トランブル大統領(フリーマン)の
主席警護官であるマイクは湖で釣りを楽しむ大統領の警護に当たっていた。そこに大量のドローンが襲来し
マイク以外の警護官18人が死亡。大統領も意識不明になる。ボートから大統領を伴って湖に飛び込んだ
マイクも病院に運ばれる。しかし、病室にやってきたFBIの捜査官は、マイクが大統領襲撃の犯人である
証拠がある。口座に1000万ドル振り込まれ、これがロシアからの送金の疑いがあるとか言う。

典型的冤罪、真犯人は許しちゃおけない!タイプの作品フラッグが立ちました!さあ、観客はマイクが
どうやって冤罪を晴らし、真犯人に鉄槌を食らわせるか、に期待が高鳴るわけ。で、その真犯人は早々に
バレてしまっていて、これまた良くある同僚、(今は民間警備会社に勤めていて、大統領の政策で警備に
かける民間への予算を削ろうとすることに反対してるのと、大統領にあつく信頼されているマイクに
嫉妬している面もある。)この背後にはこれまた例によって副大統領が警備会社とグルになって本来なら
大統領を亡き者にして、自分が這い上がろうという、既視感ありありのストーリーとなっている。

まあ、それは了解して観に行くのだから半ばどうでもいい。巨大トラックを使ったカーチェイス、そして
今回の大きな見どころの一つであるマイクの親父さんニック・ノルティの登場だ。彼もかつて同じような
職にあり、家の周りは爆弾だらけ。銃を使わせても歳を感じさせない上手さ、なのだが彼の存在もどうも
中途半端な感じは否めない。今回の最大の見所はガンアクションかな。
私として一番面白い!と思った展開は、準主役かと思わせておいたマイクを追う美人FBI捜査官(ジェイダ・
ピンケット・スミス)が半ばあたりであっけなく悪に撃たれて殉職するというほぼ「間抜けなの?」と
でも言いたくなるシーンだったなあ。

とにかくドッカン!ボッカン!バリバリ!ババババババ!という爽快感を味わいたい人向けの作品で
あります。個人的にに来年あたりのWOWOWを待ってもいいかなあ、と思いつつのシネコンだった
けど、まあ大画面で観られたのはよしとしましょう。
それにしても邦題の大仰なことよ。この場合、ステイツにはTheを付けて欲しかったな。

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<ストーリー>
『エンド・オブ・ホワイトハウス』『エンド・オブ・キングダム』に続く、人気アクションシリーズ第3弾。
ジェラルド・バトラーが、アメリカ大統領を警護するシークレット・サービスの最強エージェント、
マイク・バニング役で続投し、再び世界の脅威と対峙する。
『オーバードライヴ』の俊英リック・ローマン・ウォーがメガホンをとり、『トランスポーター』『96時間』
シリーズなどを手掛けたロバート・マーク・ケイメンが脚本を担当する。

未曾有のテロ事件から世界を救い、大統領から絶大な信頼を得るシークレット・サービスのマイク。
引退を考えるようになったある日、休暇中の大統領を大量のドローン爆弾が襲う事件が発生する。
激しい攻撃のなか、身を挺して大統領を守り意識を失ってしまったマイク。やがて目を覚ますと、
彼は大統領暗殺の容疑者としてFBIに拘束されていた。
何者かによって犯人に仕立て上げられたマイクは真実を明らかにすべく、巨大な陰謀に立ち向かう。
(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Metacritic=45>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:39% Audience Score:93%>



# by jazzyoba0083 | 2019-11-19 17:15 | 洋画=あ行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ラグナロク オーディン神話伝説 Gåten Ragnarok」
2013 ノルウェー Fantefilm 94min.
監督:ミケル・B・サンデモーゼ
出演:ポール・スヴェーレ・ハーゲン、ニコライ・クレーヴェ・ブロック、ビヨーン・スンクェスト他

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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
ノルウェーの映画というものは(合作を除き)ほぼ見る機会がない。監督も俳優さんも知らない人。
逆に変なバイアスが掛からない分、新鮮に映るのだろうけど。というわけでWOWOWでの放映を
録画し、「本国で大ヒット」という惹句に惹かれて観てみた。

私の、古代秘宝ものだろうという先入観がいけなかったのかもしれないが、怪獣映画とは思わなかった。
何度みても覚えられない「ラグナロク」という名前は映画やテレビドラマにも使われていて、wikiを
読むと、「北欧神話」で「世界の終末の日」という意味らしい。ワグナーの「神々の黄昏」もここから
来ているようだ。邦題のサブタイトルに付いている「オーディーン」とは「北欧神話の主神にして戦争と
死の神」だという。アヴェンジャーズの「ロキ」も北欧神話だったな。

さて、お話だが、バイキングの古い船の研究をしている主人公シーグル。仲間のアランと自分たちが
発見したルーン文字の書かれた石版と博物館にある女王の副葬品の照合から、北にあるオーディーンの
眼といわれる湖に「答え」があるらしいと、「夏休みはスペインに行きたんだもん」という娘と息子を
伴い(バケーションついで?ww)に旧ソ連国境に近い北のはて、フィンマルクに向かう。

そこで女性の探検家と現地ガイドのおじいさんが合流し、湖を目指すのだった。湖は簡単に見つかり
一行は筏を組んで湖の真ん中にある島に向かう。そここそ、古代に国王が飲み込まれたモンスターが
住むところだったわけだ!
まあ、ツッコミどころ超満載、ご都合主義も極まる内容をいちいち記していてもきりがないので止め
るが、(ネット上のネタバレ詳細ストーリー紹介ブログを検索のこと)、途中でモンスター・パニック
映画だと分かってしまったが、まあラストまでお付き合いしました。全体としてみなさんが想像つく
ような内容で、私としてはモンスターの描写も含め何だかなあ、感満載の映画だった。
「え?そうなっちゃうわけ?」「なんで今、それなの」「そんなことができちゃうの」という・・ww

新鮮だったのはノルウェーの北の端は旧ソ連との国境があってかつて戦争があったので戦車とか軍事
関連のものが多数廃棄されていた、ということと、季節が夏なので、彼の地は白夜であり、夜が来ない。
故に、洞窟にいつまでいても外が明るいので、一瞬おや?と思うが、すぐに「なるほどね」と理解できた。
という具合に映画の本筋とはまるで関係のないところに感心していたのだった。

本作、アメリカでの評価が決して低くないのが分からないなあ。

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<ストーリー>
北欧神話で“世界終末の日”を意味する“ラグナロク”の研究に没頭する考古学者が、その謎の解明に
挑むアドベンチャー。
出演は「コン・ティキ」のポール・スヴェーレ・ヴァルハイム・ハーゲン、「エッセンシャル・
キリング」のニコライ・クレーヴェ・ブロック。
北欧の美しい自然をバックに、スリリングな物語が展開する。2014年5月17日より、東京・新宿シネマ
カリテにて開催された「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2014」にて上映。
2014年6月14日より、大阪・第七藝術劇場にて1週間限定公開。

考古学者のシーグル(ポール・スヴェーレ・ヴァルハイム・ハーゲン)は長年、歴史的なバイキング
船の研究に没頭していた。ある日、発掘されたバイキング船であるオーセベリ船から、謎のルーン文字
を発見。それは、北欧神話における”終末の日”を意味する“ラグナロク”について書かれたものだった。

そこへ、同僚のアラン(ニコライ・クレーヴェ・ブロック)がルーン文字の刻まれた大きな石を
持ってやってくる。調査を進めるうち、シーグルはその暗号がバイキングの財宝が眠る場所を示す
地図であることを確信。
その場所とは、ノルウェー最北の国境の湖にある“オーディンの眼”と呼ばれる島だった。
こうして、シーグルは子供たちとともに、真実を追求する冒険へと旅立つ……。(Movie Waker)

<IMDb=★5.9>
<Metacritic=52>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:69% Audience Score:42% >
<KINENOTE=50点>



# by jazzyoba0083 | 2019-11-18 22:15 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「500ページの夢の束 Please Stand By」
2017 アメリカ Allegiance Theater,2929 Productions. 93min.
監督・ベン・リューイン   原作戯曲・脚本:マイケ・ルゴラムコ
出演:ダコタ・ファニング、トニ・コレット、アリス・イヴ、マリケル・スタール=デヴィッド他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
自閉症の若い女性の頑張りと、少し開けた未来を描いた佳作だとおもう。日本ではキノフィルムの
配給だが、いかにも同社が扱うような雰囲気がある。おそらく大型シネコンなどでは上映しずらい
作品ではなかったか、私の知る範囲では名画座・単館系の上映になったのだと思う。が、隠れた
佳作と評価したい。

昨今ダッチロール状態のダコタだが、(妹のエルの方が売れてしまっている)ここでは自閉症の女性の
感性と独特の動きを好演し、観ている人に共感を呼ぶものに仕上がっている。
この手の難病ものは興行的に当たり外れが激しいのでキャストとストーリーを天秤にかけて配給も
悩むんだと思う。昔にはダスティン・ホフマンとトム・クルーズの「レインマン」という傑作もあった
し「アイ・アム・サム」も忘れがたい。
それらに比べれば小品だし、話題も少ないが、観ている人はダコタを応援し、彼女の前進にきっと
カタルシスを感じるだろう。

ダコタと彼女の姉を演じたアリス・イヴ、そして施設のケアワーカーをしているトニ・コレットが
ダコタを支える。そして何気にトニ・コレットの息子や「シナボン」の同僚がなかなか味わい深い所を
演じている。

彼女が「スター・トレック」脚本コンテストにエントリーするという夢を持って500ページ近い脚本を
パソコンで作成するが、間に合わないと自分でロスのパラマウントスタジオへ持ち込むべく、彼女に
とっては人生初の大冒険に出かけるのだ。当然、バスに乗れない、お金の勘定が上手くいかない、
簡単にだまされる、意思が的確に伝わらない、などの困難を乗り越えなければならない。その壁は
健常者が思うより高く厚いものなのだろう。悪いやつも登場する。

途中で交通事故にあい、病院から脱走する際に綴じていない脚本が外階段で散乱してしまい、そのため
彼女はコピー屋のゴミ箱から反故紙を取り出し、またイチから書き出すのだ!

最後にはケアワーカー親子や妹に見守られ、一人でパラマウントスタジオの係に脚本を届けるのだが、
係は「郵送」「消印のあるもの」しか認められないという。しかし彼女は脚本を投入する専用のポストに
投げ入れて出てきたのだ。

観ている人はダコタに対して「だめだよ、それじゃあ」とか「そこじゃない」とか共感しながら応援して
いる自分を発見するだろう。

脚本は入選することは叶わなかったが、ダコタ(役名:ウェンディ)の脚本の執筆とSFからLAまでの
大旅行は彼女にとって大きな自信となり、ウェンディの人生の前進に少し役立ったことが分かる。
それはラストシークエンスでのウェンディの「人の目を観て話すことができる」自信に満ちた表情と
行動で分かるようになっているのだ。短い映画なのでチャンスがあれば一度ご覧になるといいと思う。

原題は本人が気を静める時に自分に言い聞かせる言葉。「スタンバイお願いします」。
「スター・トレック」から本人が取ったのであろう。
邦題もなかなか味わい深いのではないか。

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<ストーリー>
ダコタ・ファニングが『スター・トレック』が大好きな自閉症の少女を演じる青春ドラマ。
『スター・トレック』の脚本コンテストに応募するため、愛犬を連れて初めての一人旅に出た少女が、
旅先で出会う人々との交流を通して、成長していく姿を描く。
『マイレージ、マイライフ』のダニエル・ダビッキが製作を務める。

自閉症を抱えるウェンディは『スター・トレック』が大好きで、自分なりの脚本を書くのが趣味。
ソーシャルワーカーのスコッティの協力を得て、アルバイトを始めた彼女はある日、『スター・
トレック』の脚本コンテストが開催されることを知り、渾身の作を書き上げる。
だが、郵送では締め切りに間に合わないと気付き、愛犬と一緒にハリウッドへ向かう。
(Movie Walker)

<IMDb=★6.7>
<Metacritic=49>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:58% Audience Score:69%>
<KINENOTE=74.8点>





# by jazzyoba0083 | 2019-11-17 20:30 | 洋画=か行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「君がくれた恋のシナリオ Playing It Cool」
2014 アメリカ Voltage Pictures,Wonderland Sound and Vision.95min.
監督:ジャスティン・リアドン
出演:クリス・エヴァンス、ミシェル・モナハン、トファー・グレイス、アンソニー・マッキー他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
チョット息抜きに観るにはいい感じ。ラブコメって結局登場人物にシンパシーを感じるかどうかが
好悪の分かれ目だと思うのだが、(そんなことはどうでもいい。へえって感じで観飛ばす人も
いるでしょう)本作の場合、「私」と「彼女」という主人公二人にシンパシーを感じることは
無かった。
こういうカップルもいるんだろうなあ、くらいにしか響かなかった。よって?日本はビデオスルー。

作家と恋人という設定もありがちだし、夫がいながら「私」と付き合い、まるで私を弄ぶような
存在の「彼女」のキャラクターにシンパシーを感じづらかった。結局二人は最後にくっつくんだ
ろうな、という筋書きも想像しやすい。「私」の友人たちがやたらに下品でシモネタを連発する
のも作品の方向性や質を混乱させる。

「私」は母親の、「彼女」は父親のトラウマを持ち、それぞれの愛の形がいびつになっていたのだ。
その結果、「私」は恋愛に臆病になり、「彼女」は愛の認識が変形したままになっている。
その二人が出会い、軌道修正をしながら結ばれるということなのだが。

ラストはサンフランシスコの名所案内風で、さらに「卒業」風。見たけど直後に中身を忘れてしまう
ような中身なんだなあ。クリス・エヴァンスが製作総指揮をしていえるから、彼がこうしたドラマを
作りたかったのだろう。ミシェル・モナハンは「彼女」のキャラクターを演じきっていたとは見え
なかった。コミカルにしたりアニメ動画を使ったり、工夫はしているので画面上飽きることは
ないのだが、中身が一致しないと、残念な映画になってしまうのだ。

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<ストーリー>
「キャプテン・アメリカ」シリーズのキャップ役、「gifted/ギフテッド」で知られるハンサム
スターのエヴァンスが、ロマンティックコメディで新たな魅力を見せた、特に女性ファンは必見の
要注目作。同時に映画業界コメディでもあり、ハリウッドの裏話もお楽しみ。
共演陣も「キャプテン・アメリカ」シリーズでファルコン役を演じたA・マッキー、エヴァンスの
弟スコットなど、エヴァンスにとってはアットホームだったはず。
監督は本作が長編デビュー作となったJ・リアドン。WOWOWの放送が日本初公開。

アクション映画の脚本を書きたい“私”だが、エージェントのブライアンはスター2人の主演が
決まっている恋愛映画の脚本を書くよう勧めてくる。
“私”は少年時代、母親から恋愛はするなとしつけられて育ったため、まったく恋愛に関心を持た
ないまま大人になった。彼は友人たちに恋愛について質問するが、それも無駄足に終わる。
そんな“私”はあるパーティーで出会った“彼女”に好意を抱くが、“彼女”にはもう婚約者がいて……。
(WOWOW)

<IMDb=★6.0>
<Metacritic=30>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:14% Audience Score:32%>





# by jazzyoba0083 | 2019-11-16 22:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「ターミネーター:ニュー・フェイト  Terminator:Dark Fate 」(2回目)
2019 アメリカ Paramount Pictures,Twentieth Century Fox,Skydance Media.129min.
監督:ティム・ミラー 製作:ジェームズ・キャメロン 脚本:ジェームズ・キャメロン
出演:アーノルド・シュワルツネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィス、
   ナタリア・レイエス、ガブリエル・ルナ他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
連続して同じタイトルのブログを書くというのは恐らく初めて。今日再びシネコンに行って
来た。何故か。ジェームズ・キャメロンの脚本が一回観た時に感じたように、スカスカなはずは
無い、と思って確認してきたのだ。

どうやら、眠気に負けてかなりの重要な部分を見損ねていたようで、そこはキャメロンとティム・
ミラー監督に謝らなくてはならない。T2の正統な続編ということでタイムラインを揃えるのに苦労
するのだが、ラストシークエンスは分かりづらいと感じた。以下、整理してみる。(ネタバレです)

・冒頭、サラ・コナーが押さえつけられながら1997年の8月に人類は滅びるのよ、と絶叫する
 シーンが登場する。
・次のシーンは1998年。結局、サラ・コナーの活躍により、核爆発による人類の絶滅は回避された
 ということが示される。(サラ・コナーとジョン役のエドワード・ファーロングはCGにより若い
 姿で登場する)
・そこに、シュワちゃん風貌のT800が現れて、ジョンを射殺してしまう。
 (T2で溶鉱炉に消えたT800とは別タイプの機械ということになる)
・さらに22年後。ということは2020年ということになると思う。舞台はメキシコ。
 夜空から全裸の女性が降ってくる。彼女は強化型人間の兵士グレースであった。
・未来の世界。「リージョン」というAIが人類に戦争を仕掛けた。(これは「スカイネット」
 と同様の構図。しかし、この映画では「スカイネット」の未来は存在しない。)
 その戦争から人類を救う自動車工場で働くダニ-という女性を守るためにグレースは2043年の
 未来から送り込まれたのだった。
・ダニーを抹殺スべく送り込まれたのはREV-9というターミネーター。彼は液体金属で出来て
 いて、変幻自在に姿を変えバラバラになってもまたくっつくというT1000より高度な殺人
 マシンであった。この辺りまでは前回観た時の感想のように、1,2作目の筋書きとほぼ同じ
 スタイル。
・最初のグレースとREV-9の戦いの場は自動車工場。プレス機にREV-9を挟むのは初作への
 オマージュだろう。これではREV-9は死なないけど。
・手強いREV-9に追われ、カーチェイスになる。なぜ自分が逃げているのか、途中で弟が殺さ
 れるのだが、その不条理も理解出来なかった。しかしグレースの話を聞くと次第に事情が分か
 って来たのだった。
・カーチェイスで追い詰められたグレースとダニ-。そこに一台の車が。サラ・コナーの登場だ。
 彼女はすごい武器を使ってREV-9を橋の下に落とし、手榴弾を投げて爆発させる。
 「I'll be back」と言って橋の下にREV-9が死んだかどうか確認に降りた時、グレースと
 ダニーはサラ・コナーが乗ってきた車を奪い逃走した。REV-9は死んでいなかった。
・サラ・コナーはジョンを救えなかったことを嘆き、酒浸りになりつつ、22年間復讐のターミ
 ネーター狩りをし続けていたのだった。
・グレースは未来の反乱軍で兵士をやっていたが、志願して強化型となった。全身機械ではない
 ので水や食料、また薬が必要となる、という点が説明される。
・薬局を襲い、薬を手に入れたグレースとダニーにサラ・コナーは追いつく。
・そこでグレースから人工知能「リージョン」に支配され何十億もの人間が殺される世界が
 未来にあり、その世界を救うのがダニ-なのだ、と未来の出来事が語られる。その時は
 まだサラ・コナーはダニーが生む子供がジョンのように世界を救うのだと信じていた。
・しかし、未来のダニーにグレースは救われ、世界を救うのはダニ-本人であることが分かる。
・サラ・コナーには発信人不明のメールが来て、ターミネーターの居場所を教えてくれるので
 それで狩りをしていたと説明。今回グレースたちのもとに来れたのもそのメールが来たから。
 メールにはいつも最後に「For John」と書かれているという。
・グレースはサラの携帯を取ると分解し、指に当てると、発信地がアメリカのテキサスである
 ことが分かる。「未来の常識」だと。
・ヘリでテキサスに向かうと、ログハウスにはあのT800がいたのだ。怒りに震えるサラは彼を 
 殺そうとするが、グレースらに止められる。
・ジョンを殺害後姿をくらましていたT800は、カールと名乗りカーテン屋を営んでいた。彼は
 シングルマザーを引き取り男の子と生活していた。「スカイネット」の未来がなくなり指令が
 来なくなったT800は親子の生活を重ねるとサラの気持ちが分かるようになり、改心して人間
 らしく生きようと決意してきたという。しかしターミネーターが現れると感知出来、この情報を
 サラにメールで送っていたのだった。
・REV-9の必殺武器を米軍の少佐が持っている情報を得て、彼らは国境を超え基地を目指す
 ことに。
・一行はダニーの叔父の手引で国境を超えてアメリカに密入国しようとするも、REV-9が先
 回りしていて、あっさり国境警備隊に捕まる。エネルギーが切れていたグレースは医師らに
 よって体の秘密を知られてしまう。

その後、執拗に追い続けるREV-9とダニーを守るグレースとT800の戦いが続く。その
アクションシーンはキャメロンいわくT2の2倍だというが、実際はそれ以上に感じる。CGの出来が
T2時代から遥かに進んだこともあり、空中戦などは迫真で観ていてチカラが入る。

最後はダムに墜落した輸送機と追ってきたREV-9の戦いだ。結局、何をしても死なないREV-9
に対し、グレースは自分の体内エネルギー発生機を使えばREV-9の神経系をダメにできると
いう。それをやるとグレースは死んでしまう。だがグレースは自分はダニーを守るために送られて
きたし、未来ではグレースはダニーに助けてもらったから、と自分の体内の装置を取り出せという。
泣く泣くグレースからエネルギー発生機を取り出し、REV-9の目に突き刺す。しかし、なかなか
REV-9は死なない。そこに気絶していたT800が再起し、REV-9の頭を押さえ、発電タービンの
中で大爆発を起こしREV-9を道連れにして両者とも破碎されて絶命したのだった。

ラストシークエンスは公園で遊ぶグレースと呼ばれる娘を見つめるダニ-。そこにサラ・コナーが
ジープで乗り付け、未来に対する覚悟を促す。そこで映画は終わる。

眠気にかまけていた前回鑑賞時に比べると、アクションが堪能出来たし、筋もよく見えた。最後の
グレースという少女は犠牲になったグレースとは違う人物だよね。「グレースに二度目の苦労を
味あわせたくない」とダニーは言うが。

キャメロンの脚本もよく理解できたし、T2からの経緯の細かい綾みたいなものもよく見えた。
だがしかし、である。やはり「T2」を観た時の衝撃以上のものは感じられなかったな。
最後にT800が自己犠牲になるシーンも前に溶鉱炉に消えたシーンを観ているから、あまり
悲しいとは言えなかったし。

それより、ダニーが将来「リージョン」とどう戦うようになるのか、次作に期待したいところだ。
(ストーリーや各評価サイトの情報は前回のブログを参照ください)

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# by jazzyoba0083 | 2019-11-15 12:20 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ターミネーター:ニュー・フェイト  Terminator:Dark Fate 」
2019 アメリカ Paramount Pictures,Twentieth Century Fox,Skydance Media.129min.
監督:ティム・ミラー 製作:ジェームズ・キャメロン
出演:アーノルド・シュワルツネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィス、
   ナタリア・レイエス、ガブリエル・ルナ他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ずっとこのシリーズを観てきて、最近のグダグダ具合から、「オワコン」か、と感じていたが、
初作、2作目を監督したジェームズ・キャメロンが後ろに付いている、という事、監督が
私の大好きな「デッドプール」のティム・ミラーであること、前宣伝が「パート2」の正式な
続編、と、わざわざ断っていたこと、などから大いに期待してシネコンに出かけたのだった。

正直言えば、肩透かしを食った。眠かった。ネットで日本での公開からの感想を読むと高評価を
与えている人が多いが、私はそれほどでもない、と感じた。

まず、ストーリーが、初作からパート2へと続く物語のオルタナティブなものじゃないかと
感じたこと。T800のシュワちゃんの役割を女性版のグレースを置き、(グレースはジョン
の立場のあわせ技という感じ)みんなでチカラを合わせて未来から送られてきたREV-9という
新型のターミネーターと戦うのだ。これは、1と2の流れと根底は同じだ。ラストはやや平和な
描き方となるのも弱いかな、と感じた。続編はありな感じ。

さらに未来から送られてくる(すでに「サイバーダイン」社の「スカイネット」ではなく新しい
「リージョン」という人工知能がコントロールする世界らしい)REV-9は、T-1000以上の
トランスフォーム能力を持っていて、ちょっとやそっとでは破壊できそうにない感じではある。
だが、T2当時のT1000のあの金属が自在に変化する驚きほどの感じはない。
(各戦闘シーンは華々しいが)
故にあの手この手で対抗するがなかなかREV-9を破壊できない。故に戦闘シーンが長い。
故に眠くなる。

「ターミネーター3」以降は無かったことにして、冒頭サラ・コナーと息子ジョンの登場、
ジョンを殺すシュワちゃん様のT800の顛末が描かれ、これは3以降の全く別の世界が展開さ
れるのだな、という意思を表明する。
そしてサラ・コナーの活躍で未来が救われた22年後、シュワちゃんは隠遁生活をしていたの
だった。つまりT2でジョンを救い溶鉱炉に消えたT800とは別のT800なのだ、という事
なのだ。本作のT800は、ジョンを殺したのち、人間らしい暮らしをしていたのだった。
(ありゃまw)
サラ・コナーはこの戦いにシュワちゃんを引っ張り出す。彼には家族がいたのだ。それもまた
新鮮なシチュエーションではあった。出かけるときに「I won't be back」と言って去るのも前作
へのオマージュだ。そうしたオマージュは各所に見られる。全体を通してオマージュが過ぎる感じ。

未来からやってきたのは今度は女性。グレースと名乗りREV-9と戦う。それはメキシコの自動車
工場で働くダニ-という女性を守るためだ。ネタバレでいうが、本作ではこの女性が生む子供が
将来の地球を救うという前回のストーリーをなぞるのではなく、ダニー本人が将来世界を救うと
いう(か、「リージョン」の脅威となる)存在として描かれる。

彼女の存在を消すべく「リージョン」はREV-9を現在に送り込み、これに対決すべく追いかけて
きたのがグレース。
彼女に味方するのがサラ・コナーとシュワちゃんのT800なわけだ。グレースはTシリーズの
ように完全に改造された人型アンドロイドではなく、人間に近い、「強化人間」という点も
前作との違いを付けている点だ。

長々と書いたが結局、全体のコンセプトは初作とT2と同じということ。グレースは悲劇的な
最期は遂げず、将来のグレースが強化人間にならないように、今のグレースを大切に育てる
ことになったということで幕となる。

うーん、初作とT2好きの私としては物語のニューマンな点などは買いたいし、各アクション
シーンは工夫されていたと思うけど、あまりにも繰り返しが長すぎて飽きるんだよね。
確かにストーリーはT2からの繋がりとはなっているけど、なっているだけの感じで、続編を
作りたいために製作しました、って感じを拭えない私。

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<ストーリー>
「ターミネーター」シリーズの生みの親ジェームズ・キャメロンが製作・原案として「ターミ
ネーター2」以来の復帰を果たし、同じく同作以来のシリーズ復帰となるサラ・コナー役の
リンダ・ハミルトンを主演に迎え、改めて「ターミネーター2」の直接の続編として贈るSF
アクション大作。
シリーズの顔アーノルド・シュワルツェネッガーも再登板し、“審判の日”が回避されたはずの
人類を待ち受ける新たな衝撃の運命を描く。
共演はシリーズ初参加となるマッケンジー・デイヴィス、ナタリア・レイエス、ガブリエル・ルナ。
監督は「デッドプール」のティム・ミラー。

 メキシコシティの自動車工場で働く21歳の女性ダニーは、未来からやって来たターミネーター
“REV-9”の突然の襲撃に遭う。絶体絶命の窮地を、今度は未来から送り込まれた強化型兵士の
グレースが救う。それでも執拗に迫ってくるREV-9にグレースが手を焼いていると、どこから
ともなく伝説の女戦士サラ・コナーが現われ、REV-9を撃退する。
グレースによると、ダニーの命には人類の未来がかかっているという。やがてダニー、グレースと
行動をともにするサラの前に、かつて溶鉱炉で消滅したはずの旧型ターミネーター“T-800”が姿を
現わすが…。(allcinema)

<IMDb=★6.5>
<Matacritic=54>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:72 Audience:84>
<KINENOTE=74.0点>






# by jazzyoba0083 | 2019-11-09 12:15 | 洋画=た行 | Trackback(1) | Comments(0)

ミスター・ガラス Glass

●「ミスター・ガラス Glass」
2019 アメリカ Buena Vista International and more.129min.
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン 
出演:ジェームズ・マカヴォイ、サミュエル・L・ジャクソン、ブルース・ウィルス、アニャ・テイラー=ジョイ他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
「アンブレイカブル」「スプリット」の完結編が「ミスター・ガラス」という事になる。前2作を
観ていないとちょっと辛いかなあ。特にラストシークエンスの大団円は。

列車事故で唯一人生き残ったデヴィッド(ブルース)、前作では女子高校生を監禁し、その異常
ぶりを振りまいてくれた多重人格者ケヴィン(マカヴォイ)、そして体が壊れやすいものの、
超人的な頭脳をもつミスター・ガラスことイライジャ(ジャクソン)。

犯罪を感知する能力を持つデヴィッドは息子とともに、セキュリティ会社を経営し、ビースト
こと"群れ"ケヴィンを追う。女子高生を軟禁したケヴィンから彼女らを助けるが、
不死身のデビッドがケヴィンと共に工場の窓から転落したこところを警察に捕らえられる。
そして精神病院に入れられ、ステイプル博士から「あなたがたは妄想の世界にいるだけ」と
説得される。
ケヴィンは大人しい人格にさせるため大きなフラッシュライトに囲まれた部屋に入れられて
いた。一方列車脱線犯のイライジャもこの病院に収容されていて、彼は二人を外に逃がし、
精神病院の庭で警備員や本人たちと戦わせる映像を防犯カメラに収めるのだった。

防犯カメラに映る特にビーストとなったケヴィンの、車もひっくり返してしまう馬鹿力、
ケヴィンにやられてもヘタらないデヴィッドと、その超能力ぶりを発揮し患者や医者などに
被害が出ているため警察が駆けつけ、超人たちは警察と対峙する。
警察はなぜか麻酔銃などは使わず、人力で抑えようとするがケヴィンの前には為すすべがなく、
ついにスナイパーの登場となる。

ケヴィンはまず、水に弱いデヴィッドを水槽に放り込み、水槽は破裂して外に流れ出た二人
だったが、デヴィッドは警官に庭の水たまりに頭を突っ込まれて殺される。
ケヴィンはスナイパーにならを撃たれ、前回監禁した女子高生の中で唯一父親から暴力を
受けていたことから手を出さなかったケイシーの腕の中で「ケヴィン・ウェンデル・クラム」
に戻って絶命する。

一方、その前にケヴィンは実はデヴィッドが助かった列車事故にケヴィンの父親も乗っていて
死亡。そのためにケヴィンの母親の暴力がひどくなり、結果彼の中にビーストが誕生したこと
を知った。ケヴィンはイライジャを車椅子から突き落とし、彼はまた骨を降り絶命する。
「これは始まりに過ぎない」と言い残して。

結局3人の超人は死んだ。そしてデヴィッドの息子、ケイシー、イライジャの母の3人が残った。
イライジャの最後の言葉は、ラストに証明される。ビーストとなったケヴィンの馬鹿力や
不死身のデヴィッドの動きを録画したものは、ステイプル博士に依って消去されたはずだったが
実はイライジャはこの動画を世界中に配信していたのだった。

映画に出てくるデヴィッドやケヴィンを殺す警官の腕にはクローバーの入れ墨が観られるのだが、
それはステイプル博士も所属する、「超人の存在を抹殺する機関」のメンバーだったのだ。

そして動画を観た世界の人々に超人の存在が示されることになり・・・。

本作は「ミスター・ガラス」と言う通り、イライジャが主役となっている。彼の頭脳が組み立て
た策謀は、前3作をまとめてエンディングを構成させている。

こんな脚本を書くのはナイト・シャマラン以外にはいないだろう。三部作が次第に考えオチに
なり、筋書きがややこしくて理解するのに苦労するようになるのだが、本作も、精神病院の
下りがいささかダレる。ラスト20分観れば全部分かってしまうような構成はシャマランらしく
ないなあ、と思った次第だ。「スプリット」の時と同様、24人の人格を演じ分けるマカヴォイ
が素晴らしいのだが、特にビーストの彼は特に良かった。ラストの温和な顔も。

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<ストーリー>
特殊能力を有するデヴィッド・ダンは「監視人(オーバーシーヤー)」とあだ名され、息子の
ジョセフと共に犯罪者を取り締まる活動を続けていた。ある日、デヴィッドはジョセフから
「ケビン・ウェンデル・クラムという解離性人格障害の男が、女子高生を倉庫に監禁した」と
いう話を聞き、直ちに人質の救助に向かい、そこでケビンの人格の一つビーストと熾烈な戦闘
となる。結果2人ともが警察に捕まり、精神病院に入院させられてしまうが、そこには
デヴィッドの仇敵、イライジャ・プライスも収容されていた。

精神病院の責任者である精神科医のエリー・ステイプルは、特殊能力を持つと主張する患者の
治療に専念しており、デヴィッドら3人は彼女の治療を受けることとなる。彼女は3人に対し、
特殊能力の有無の否定と、それを信じる精神の疾患を訴える。
納得出来ない3人だが、しかしデヴィッドとケビンは彼女の理論によって次第に自信が揺らい
でいく。

一方、認知症を装っていたイライジャは水面下でケビンに接触しビーストの人格を表出させ
ようとする。彼はデヴィットとケビンの存在を持って、ヒーローの実在を世界に証明する
ために動いていた。

イライジャの介入は成功し、表出したビーストが暴れ、病院全体を大混乱に陥れたが、それに
よって思わぬ真実が明かされることになる。イーストレイル117号の事故こそが全ての始まり
だったのである。(引用:Wikipedia)

<IMDb=★6.7>
<Metacritic=43>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:37% Audience Score:69%>
<KINENOTE=73.1点>




# by jazzyoba0083 | 2019-11-06 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback(1) | Comments(0)

セルピコ Serpico

●「セルピコ Serpico」
1973 アメリカ Artists Entertainments Complex, Inc.and more. 130min.
監督:シドニー・ルメット 脚本:ウォルド・ソルト、ノーマン・ウェクスラー
出演:アル・パチーノ、ジョン・ランドルフ、ジャック・キーホー、ビフ・マクガイア他

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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
いきなり脇道から入ってしまい恐縮だが、この名画がオスカーをひとつも獲れなかったのは
なんでだろう、と1973年のアカデミー賞各部門にノミネートされている映画を調べてみた。
これがすごい作品ばかりで、これは運が悪かったとしかいいようがない。
シドニー・ルメットもアル・パチーノも。脚本のウォルド・ソルト(「真夜中のカーボーイ」
を書いた)もだ。

因みにどんな作品が各部門にいるか、というと「スティング」「アメリカン・グラフィティ」、
「ラストタンゴ・イン・パリ」「さらば冬のかもめ」「ペイパー・ムーン」「追憶」
「エクソシスト」「ウィークエンド・ラブ」「セイブ・ザ・タイガー」「パピヨン」と、
これではちょっと「セルピコ」も可愛そうな感じ。
しかし、この時期って名画の宝庫なんだなあ、骨のある映画がたくさん作られていたんだなあ、
CG頼みや旧作のリメイクでお茶を濁そうとかいう根性が無かった映画作りの良き時代だったん
だなあ、とつくづく思うのだ。

閑話休題。その「セルピコ」。実話だ。セルピコとは実在したヒスパニック系のNY警察の
警官(刑事)。正義感の強さから警官になり刑事になったものの、市警に蔓延る不正を許せず
妥協もせず、組織内では孤立し結局在職当時には思いを貫き通した一人の孤独な男の話だ。
いまからもう40年以上も前の映画だが、当時のNY市警はひどい腐敗ぶりだったのだなと。
この手の筋(警察組織の腐敗ぶり)は何本かの映画に描かれて来ていて、定番のようになって
いるが、そもそもは「セルピコ」を以て嚆矢とするのではないか。上から下まで本当に腐って
いる様子が描かれる。

新人で配属された分署で、賭博の胴元から毎月なにがしかの金をもらう同僚たち。どうせ
賭博の金じゃないか、賄賂とは違う小遣いみたいなものだと、警官らの意識は極めて低い。
セルピコは絶対金を受け取らず、組織内で変わり者として孤立していく。
当然監察室という警察の警察みたいな組織があり、セルピコも告発するのだが、腐敗は
上部まで浸透していて、監察の動きも鈍い。信頼する上司から、必ず摘発するといわれて
待ちに待つが、結局なにも起こらない。

希望通り刑事になり、ヒッピーのような格好をして覚醒剤売人の摘発に乗り出すのだが、
売人の部屋に突入しようとしてドアに手を挟まれ、そこを顔を撃たれてしまう。
二人の同僚はすぐそばにいたにも関わらず、手を出そうとしない。買収されていた訳
ではなく、度胸が無かったのだ。周囲の腐敗ぶり、根性の無さ加減をあぶり出すことにより
ルメットはセルピコの孤独を嫌というほど描き出す。それに応える若きアル・パチーノの
演技が素晴らしい。新人からベテラン刑事への時間の変遷をセルピコが着ている服で表現
してみせるのもルメットのカッコいい手法だ。

冒頭、救急搬送されてくるセルピコが何故そうなったのかが、ラストで明かされる作劇も
上手い。顔を撃たれたセルピコだが、幸運にも弾は脳を傷つけず、決定的な障害は残らな
かった。憧れの金バッチを署長から贈呈されるセルピコだが、あれほど欲しかった金バッチ
を突っ返すのだった。そして警官を辞め、障害年金を貰ってスイスで誰も連絡が取れない
隠遁生活をしているという字幕で終わる。
何と孤独感の強い映画だろう。結局セルピコの告発で一応の摘発は進んだが、根っこまで
綺麗になったか、といえば、答えはノーであろう。そんな警察にセルピコは未練はなく、
金バッチどころか制服さえ脱ぐ決意をしたのだ。

セルピコの動きだけが描かれる一本調子の映画であり、もう一捻りもふた捻りも欲しかった
とする評価が多いが、私は一本道で描かれたからこそ、フランク・セルピコの孤独が浮き
立ったのではないか、ルメットの主張が色濃く出たのではないか、と思う次第だ。

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<ストーリー:結末まで書かれています>
1971年2月、ニューヨーク市警の警官フランク・セルピコ(アル・パチーノ)が重傷を負って
グリーンポイント病院に担ぎこまれた。
地区総監グリーン(ジョン・ランドルフ)は早速彼の病室に24時間の警戒態勢をを引かせた。

これより11年前、セルピコは希望と使命感に燃えて警察学校を卒業した。82分署に配属され、
はりきって勤務についたが理想と現実のギャップはみるまに彼の内部で広がっていった。
潔癖なセルピコには日常茶飯事として行なわれていた同僚たちの収賄、さぼりなどが耐えが
たいものに感じられた。
犯罪情報課勤務に変わって、彼は向上心の満足と息ぬきをかねてニューヨーク大学へ勉強に
行くようになり、そこで会ったレズリー(コーネリア・シャープ)というバレー・ダンサーと
知り合い、やがて同棲するようになった。
私服刑事になるための訓練を受け始めた彼は、ブレア(トニー・ロバーツ)というプリンス
トン大学出の同僚と仲良くなった。訓練が終わると、2人は私服刑事として、セルピコは
93分署に、ブレアはニューヨーク市長の調査部に配属されることになった。
ブレアにいわせるとこれは2人の性格にピッタリの配属だということになる。セルピコは町に、
そしてブレアは政治に大きな関心を寄せていた。

配属された最初の日、セルピコは何者かにワイロの分け前を渡された。ブレアに相談し、
調査部長に報告したが、部長はただ忘れてしまえと忠告するだけだった。それと同じく
して私生活の面でもレズリーを失った。
失意のセルピコは再びマクレインに会い、ブロンクスの第7地区に勤務を変えてもらうが、
ここの事態はさらに酷いものだった。前の分署で顔見知りだったキーオ(ジャック・キホー)
という男が、セルピコに、ここの分け前は今まででも最高だと耳打ちした。彼が受け持た
されたのは、ルベルという同僚とワイロ回収の仕事だったが、どうしても金をうけとろうと
しないセルピコの立場は徐々に孤立せざるを得なかった。
ブレアとセルピコは、市長の右腕として働いていたバーマンに実情を訴えたが、この夏には
暴動がおこる公算があり、市長としても警察と対決するわけにはいかないという理由でとり
あげてもらえなかった。
セルピコは窮地に立たされ新しい恋人ローリー(バーバラ・イーダ・ヤング)とも衝突、喧嘩
別れしてしまった。地区中から異端者扱いされている彼は、第8分署に転任することになったが、
彼を相棒として引き受けてくれる者は誰一人としていなかった。

そんな彼に手を差し伸べたのは、警視のロンバートただ1人だった。ブレアやロンバートの
応援で、ついに意を決したセルピコが汚職の実態をニューヨーク・タイムスにぶちまけた。
このニュースでニューヨーク中が蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
しかしセルピコはデラニー総監によって、市で最も危険なブルックリンの麻薬地帯に転勤を命じ
られてしまう。
ある日、数人の同僚とともに麻薬犯逮捕に出勤した彼は、同僚から故意に助けを受けられず、
重傷を負う。命がけでなぜあんなことをしたのかというグリーンの問いに、セルピコは答えた。
自分自身のためだった、と。
その後、彼は市警の汚職の実情を証言したのち退職し、今は傷痍年金を受け、スイスに住んで
いる。(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Metacritic=87=Must See>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:88%>
<KINENOTE=76.2点>



# by jazzyoba0083 | 2019-11-05 23:20 | 洋画=さ行 | Trackback(1) | Comments(0)

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」
2018 日本 松竹・製作委員会(アミューズ他) 120分
監督:前田哲 脚本:橋本裕志 
原作:渡辺一史・著『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』(文春文庫刊)
出演:大泉洋、高畑充希、三浦春馬、萩原聖人、渡辺真起子、綾戸智恵、竜雷太、佐藤浩市他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
今風にいうなら「普通に面白かった」。確かに障害に負けない心根とか、周りのボラの素晴らしさ、
(畢竟、鹿野さんの人間性に依るものであることになるのだろう)などは、驚くとともに、自分は
どうなんだ、健常者として鹿野ボラのような事に手を出せるだろうか、という自問に繋がる構成
にはなっていた。
作中、高畑充希の「鹿野ボラをなめるなよ」と病院関係者にタンカを切る所あたりはこの映画の
白眉となるのだろう。

鹿野靖明というASLを罹患した実在の人物のドキュメンタリー本を映画化しだのだが、当然脚色
もあっただろう。
大泉洋の演じた鹿野さんは、実際はどうだか知らないのだが、「わがままで実はデリケートな
人物像」を上手く表現していたのではと感じた。また高畑充希も良かった。周囲の三浦を初め
萩原らも悪くない。しかし、今ひとつピリッとしなかったのは何故だろうか。

終始鹿野さんの話の一本調子で、サイドストーリー、特にボランティアの悩みが薄いのではと
思うのだ、(描かれてはいるけど)人工呼吸器を付けてからというもの、24時間体制で
つきっきりとならなくてはならない。並大抵の角度では出来ない。その辺りをもう少し掘り
下げた描き方が出来ていたらもっと深みのある作品になっていたのではないかと思うのだ。
(そういうシーンもあったけど弱い感じを受けた)

大泉演じる鹿野さんの憎めないワガママと決死の思い、ユーモラスな口ぶりというのは本当に
そうだったのだろうな。鹿野さんがボラの美咲ちゃんに恋してしまい、結局振られるのだが、
鹿野さんはある程度予想していたのだろう。その後鹿野さんは、くっつくのか分かれるのか
うだうだしている美咲ちゃん(高畑充希)と田中くん(三浦春馬)をくっつける役割を担う
ことになる。彼流のおせっかいに巻き込まれる二人も鹿野さんの企みにまんまと引っかかる。
でも鹿野さんを憎めない。
遠くない死を覚悟していると思われる鹿野さんの放つアドバイスは深くボラにも観ている人の
心にもささるだろう。

鹿野さんが亡くなって物語が転回したところはものすごいあっさりだったけど、これはこれで
ありな演出だっただろう。結局美咲ちゃんと田中くんは結婚し、美咲ちゃんは望み通り教育大に
再チャレンジし、見事合格し教師の資格をとった。一度は医学生を辞めようとしていた田中くん
も医師になり、過疎地の医療に精を出している7年後の話となる。

鹿野さんがエロビデオを観る話、気管切開して声帯を失っても特殊な方法で言葉を取り戻した事。
あれは自分の本来持っていた声が戻ってくるのだろうか。その辺りは良かったと思う。

話としては面白かったが、一本調子だったのだが残念。鹿野さんのエピソードを少し削って
ボラの悩みを増やしたら、なんだかお笑い映画みたいな(本作がまったくそれになってしま
ったとは言わないが)テイストにもう少しシリアスさを加味できたのではなかと、思って
しまうのだ。それにしてもエンディングテーマのポルノグラフィティといい、アミューズの
影の濃い作品だったな。とはいえ、こうした映画が製作される意義は認めたいと思う。

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<ストーリー>
重度の筋ジストロフィーのために人の助けなしでは生きられないにも関わらず、自ら大勢の
ボランティアを集めて長年にわたって自立生活を続けた札幌在住の鹿野靖明さんと、彼の
もとに集ったボランティアたちとの交流を綴った渡辺一史の傑作ノンフィクションを
「探偵はBARにいる」「恋は雨上がりのように」の大泉洋主演で実写映画化した
ヒューマン・コメディ。
普通の障害者ならば遠慮してしまいそうなことでもずけずけと要求するワガママぶりで周囲を
振り回しながらも、自由と夢のために必死に生きる主人公と、その傍若無人な態度に反発しな
がらも少しずつ障害者の自立の意味を学び成長していく新米ボランティアの交流をユーモラスな
タッチで綴る。共演は高畑充希、三浦春馬。監督は「陽気なギャングが地球を回す」
「ブタがいた教室」の前田哲。

 北海道札幌市。34歳の鹿野靖明は幼い頃から難病の筋ジストロフィーを患い、今では体で
動かせるのは首と手だけ。24時間体制の介助が必要な体にもかかわらず医師の反対を押し切り、
病院ではなく市内のケア付き住宅で、大勢のボラ(ボランティア)に囲まれながらの自立生活を送っ
ていた。ボラたちはワガママ放題の鹿野に振り回されることもしばしばだったが、誰もが彼の
人間的な魅力の虜になっていた。
医大生の田中もそんなボラの一人。そんな中、田中の恋人・美咲がたまたま鹿野宅を訪れたところ、
いきなりボラとして手伝いをさせられるハメに。しかし、鹿野のわがまま過ぎる振る舞いに、
たちまち衝突してしまう美咲だったが…

<KINENOTE=77.2点>




# by jazzyoba0083 | 2019-11-04 23:20 | 邦画・新作 | Trackback(2) | Comments(0)

ブレイン・ゲーム Solace

●「ブレイン・ゲーム Solace」
2015 アメリカ New Line Cinema and more. 101min.
監督:アルフォンソ・ポヤルト
出演:アンソニー・ホプキンス、ジェフリー・ディーン・モーガン、アビー・コーニッシュ、コリン・ファレル他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
WOWOWのメッケモノの一つ。出演者に釣られて観た所、これがなかなか面白かった。
脚本がいいんだろう。それとやりすぎ感もある画作りも魅せる。しかしこれだけのメンツが
揃いながら、あまり評判にならなかったと記憶する。配給の問題だろうか。
主役級の4人がいずれもいい。安定の演技で、ともすると陳腐になりがちなストーリーを
支える。

物語を構成する人物の背景や動きが分かりやすく、ミステリー&サスペンス&ホラーで
ありながら進行が滞らず、上映時間も適切で冗漫な感じがないところも評価点だろう。
FBI捜査官ジェフリー・ディーン・モーガン、相棒アビー・コーニッシュ、霊感のある
医師で捜査協力者アンソニー・ホプキンス、サイコキラー、コリン・ファレルという配置。

共通した事柄を持つ人物が連続して殺されるという事件が起きる。FBIに捜査協力してきた
医師ジョン・クランシーは自分の娘が白血病で亡くなり、その後、妻とも疎遠になってしま
ったことから捜査協力とは距離を置いていた。しかし、長い間共に事件を解決してきた捜査官
ジョー・メリウェザーの依頼とあっては断れず、協力することに。
ジョーの相棒はやる気満々のキャサリン。

共通する事柄とは、殺された人物が老若男女問わず、死病に侵されているということだった。

犯人は「苦しんで死ぬことが自分にも見える。放置は出来ないので殺した。苦しむ姿はみて
いられない。これは慈悲深い行為だ」というチャールズという男。クランシー医師と同じく
人の将来が見えてしまう特殊な能力を持っていたのだった。
クランシー医師とチャールズの対決が迫る。そしてラストのどんでん返し・・・。

観ている人に予断を与えるように、途中で別の殺人事件と犯人を登場させてみたり、
キャサリンといざこざがあったクランシー医師が彼女の過去を全部暴いてしせたり、
親友とも思うメリウェザー捜査官が実は末期のガンであったとか、いろんなエピソードを
挿入し、凝った映像を見せて飽きさせない。

ラストのどんでん返しは、ありがちなので、もう一捻りあると絶品だったがなあ、と思った。
アンソニー・ホプキンスはこうしたキャラはどうしても「羊たちの沈黙」が重なってしまうが、
ナチュラルな演技はさすがだ。そして紅一点ともいうべきコーニッシュ、いつも体の線が
ミエミエのピタピタシャツを着ているのは、ウケ狙いかなあ。良かったけど。

本国の評価はメタ低いし、監督の狙うスタイリッシュな感じが鼻につく人は嫌だろうけど、
私はそこそこ面白く観ました。

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<ストーリー>
連続殺人事件の捜査に行き詰まったFBI捜査官(ジェフリー・ディーン・モーガン)とその若き
相棒(アビー・コーニッシュ)は、引退した元同僚のアナリストで医師のジョン・クランシー博士
(アンソニー・ホプキンス)に助けを求める。博士は娘の死をきっかけに世間から閉じこもり、
隠遁生活を送っていたが、この事件には特別な感情を抱き、捜査に協力する。
しかし、並外れた予知能力を持つ博士は、この事件の容疑者(コリン・ファレル)が、自身以上の
能力を持っていることに気づく。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Metacritic=36>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:25% Audience Score:43% >
<KINENOTE=67.9点>


# by jazzyoba0083 | 2019-10-31 22:55 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ウェスタン Once Upon a Time in the West」
1968 イタリア・アメリカ Rafran Cinematografica,San Marco. 141min.
監督・(共同)脚本:セルジオ・レオーネ 音楽:エンリオ・モリコーネ
出演:ヘンリー・フォンダ、クラウディア・カルディナーレ、チャールズ・ブロンソン、ジェイソン・ロバーズ他

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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
たびたびこのブログにも書かせて頂くのだが、いわゆる西部劇(マカロニ・ウエスタンを含む)に
ついては好んで観ない。趣味の問題だから誰がどういおうとしょうがない。ホラーも基本同じ。

しかし、この度NHKBSで放映した本作は、評価が異常に高く、先日の「ワンスアポンアタイムイン
ハリウッド」でも出てきたセルジオ・レオーネの傑作、という評判を観たら、映画好きとしては
見逃せないと長時間向き合った。本作にはいろんなバージョンがあり、今年50年ぶりに公開された
20分長いオリジナルバージョンもあるという。どこをカットしたんだろう、興味がある。
ややこしいのは当時公開された邦題は「ウエスタン」なのだが、今年公開のオリジナルは原題の
ママなのだ。

さて、2時間20分、レストアされたテクニカラーは公開当時の美しさ。セルジオ・レオーネの
作品は「Once Upon a time in America」しか観ていない(ひょとしたら「夕陽のガンマン」を
テレビで大昔観ているかも)のであれこれいえないが、「~アメリカ」は好みのギャング映画
であり、私が観た映画の中でも上の方にいる作品だ。

そのレオーネがアメリカ西部の開拓時代の一コマを叙事詩のように「昔々、アメリカの西部の
あるところで・・・」と語る一つの復讐譚を彼の西部に対する思い入れもたっぷりに描いている。
なかんずく、名手トニーノ・デリ・コリの映像が素晴らしい。映画のキャメラの教科書のような
映像のオンパレードだ。これを鑑賞しているだけでも価値がある。更にレオーネの思い入れを
ドライブさせるモリコーネの情緒たっぷりの(ちょっと外すとヤバいコミカルさもありつつの)
音楽も物語にジャストフィットしていて素晴らしい。

ヘンリー・フォンダは個人的に悪役のイメージがないので全体への感情移入を妨げたが、
ニューオリンズから全部投げ売って西部に嫁ぎにやって来た高級娼婦、着いたその日に
婚約者一家が殺されるという目にあうジルを演じたクラウディア・カルディナーレの蓮っ葉
ながら生活力を感じる姿、兄を殺された復讐を誓うニヒルなハモニカ、チャールズ・
ブロンソンのちょっと恥ずかしい位までの味付け、どれも良かったなあ。
そして忘れてはならないのはシャイアンを演じたジェイソン・ロバーズだ。狂言まわしの
ような役どころだが、本作の一服の清涼剤となっていた。彼の最期の描き方も含め。

ラストのフォンダとブロンソンの対決も、黒澤映画を観ているような感じで、レオーネの
スタイリストとしての描写、ここに尽きる、とった塩梅。ブロンソンのつるつるのお髭の
剃り跡が素晴らしかったな。(ちょっと考えると不思議な剃り跡なんだけど、まあいいか)

大いなる西部の鉄道敷設の土地を巡る欲がからんだ悪の一党と、それとは関係のないハモニカの
復讐が絡むストーリーは単純だが劇的。本物の鉄道と列車を走らせ、CGなしのガンファイトは
これも恥ずかしいほどスタイリッシュでクールだ。これらもレオーネの西部(劇)愛に相違ない
だろう。しかし、これだけ圧倒的に監督の思い入れ映画が単純に出た作品もあまりあるまい。
マーケティング重視の現在ではメジャーではもう作れないだろうな。インディーズに期待だが
彼らにここまでの資金を投下することはもはや出来まい。アイデア勝負になるのだろうな。
物量とも恵まれていた良き時代の映画、ということも出来る。

この作品を以て西部劇が好きになる、ということは無いだろうけど、本作が名作であることは
認めざるを得ない。Blu-rayに永久保存決定だ。

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<ストーリー:結末まで触れています>
西部に初めて鉄道が敷かれようとしていた頃……。アイルランドから移住して来たマクベインは
この荒野に大きな夢を抱いていた。そして、彼は砂漠を買い、ニュー・オリンズにいる婚約者ジル
(C・カルディナーレ)を呼ぶ準備をした。その彼の地権を狙う二人の悪党がいた。鉄道局の役人
モートン(G・フェルゼッティ)と、ガンマンのフランク(H・フォンダ)である。

そこへ、フランクを捜して一人のよそ者(C・ブロンソン)がやって来た。彼は“その男”と呼ばれた。
もの凄いガンさばきとハーモニカのうまいのが特徴であった。彼と同じ馬車でジルもやって来た。
彼女はマクベインに呼ばれて来たのだった。
しかし、その時すでに、マクベインはフランク一味の銃弾に倒れていた。この事件は、ハーフの
シャイアン(J・ロバーズ)のしわざということになったが、居酒屋で“その男”に出会ったシャイ
アンは、犯行を否定した。

一方、法的な利権がジルに与えられると知ると、フランクは彼女を狙いはじめた。身の危険を感じた
ジルは、保安官の助力を得て遺産をせりに出した。フランクは裏工作をしたが、“その男”とシャイアンが
権利を買いとり、再びジルに与えた。

その後も、フランクは執拗に彼女を狙ったが、目的を果せなかった。そしてついに、フランク一味の
襲撃を待っていた“その男”の怨みの銃弾がフランクを倒した。
その時“その男”の脳裏には一五歳の時フランクに虐殺された兄の事が浮かんでいた。
彼は再びこの土地を去って行った。夫の夢をうけついでいこうとするジルを残して……(Movie Walker)

<IMDb=★8.5>
<Metacirtic=80=Must See>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98% Audience Score:95% >
<KINENOTE=  点>




# by jazzyoba0083 | 2019-10-29 22:30 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)