●「女王陛下のお気に入り The Favourite」
2018 アイルランド・アメリカ・イギリス Element Pictures,Scarlet Films,Film4,Waypoint Entertainment.120min.
監督:ヨルゴス・ランティモス  
出演:オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト、ジョー・アルウィン他

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<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
オスカーが発表される前に、観られる映画は観ておこうということで、先週金曜に封切られた本作を観にシネコンへ
出かけた。今オスカーでは7部門でノミネートされている、イギリス王室を舞台にした(ブラック)コメディだ。
ランティモス監督の作品は私としては初見。

さて、本作、噂に違わず大変面白かった。なんと言ってもオリヴィア・コールマン(アン女王)を始め、女官の
レイチェル・ワイズ、最後に笑うことに(なったのか?)エマ・ストーンの三人の演技を堪能できる。特に
コールマンは素晴らしい。やる気のないお嬢様のアン女王をまるでその人が乗り移ったように演じきる。
わがままだけど孤独、コンプレックスの塊で、愛に飢えているが美味いものを食い過ぎで痛風で歩けない身。
そして、そうした女王をいいことに宮廷を仕切るワイズも冷徹な女官(レディの称号を持つ)のキャラクターが
きっちりハマっているし、成り上がる野心家ストーンも目が大きいだけに目力が凄い。舞台はほとんどが宮廷で
三人のやり取りで占められるのだが、そのやり取りがこの映画の面白さだ。
男性軍はほとんど盛りたて役のような役割で、彼女らを浮かび上がらせるために存在するような演出。それも
良かった。世界史的に言うと、ホイッグ党とトーリー党の人々だ。

ほぼ事実に基づいて書かれた脚本が、当時の(実際を知らないので大きなことは言えないが)宮廷の裏側、
「性」や「個人的愛憎」や「権謀術数」で当時真っ最中だったフランスとの「スペイン継承戦争」の裏面を
垣間見せる。なかでも女王とレディ・サラ(ワイズ)のレズビアン関係、自分が女王の側近になるために
トーリー党の男と結婚するが、初夜のベッドは、旦那を手コキしておしまいという、「性」を通して人格や
人間関係をクローズアップして見せているところが個人的に新しく、宮廷内ではF○CKとか汚い言葉が
飛び交うのだ。町山智浩氏は日本で言う「大奥」の話に通底する、と語っていたが、なるほどそう理解すると
早いかも知れない。

監督はインタビューで、人物の性格を一度で理解できるようには描きたくなかったと語っている。
確かに3人の女性のキャラクターは一元的ではなく複雑でかつ変化していく。そのあたりの
醍醐味も映画の味わいとなっている。また衣装やダンス、言葉など現代的に変えてもいるという。なるほど
1708年の英国ではあるが、全体が持つ雰囲気が現代っぽい雰囲気がある。それも観ている人に近しい
感覚を与えるのに成功しているのではないか。ラストシーンに女王とエマ・ストーンと17匹のウサギが
オーバーラップし、ウサギだけが浮かび上がるという観念的シーンだが、これは何を暗示しているのだ
ろうか。17匹のウサギは女王が産んだものの死んでしまった子供の数。女王は同じ数のウサギを「我が子」
と称して飼っていたのだが・・・。冒頭のエマ・ストーンと、ワイズの排除に成功し、レディの称号を得た
エマ・ストーンの性格はまるで変わってしまっていたのではあるが・・・。

別に歴史を知らなくても全然面白い。この映画は三人の女性の立ち位置とその変化、キャラクターの有様と
3人の女優の名演技を味わえば、それで十分なのだから。オスカー、脚本賞、衣装化粧賞あたりは獲るんじゃ
ないか。
主演女優賞はグレン・クローズとの勝負になるだろう。どちらが獲っても不思議ではないが、アメリカ人的
にはグレン・クローズの作品が好みかなあ。

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<ストーリー>
「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」の鬼才ヨルゴス・ランティモス
監督が、18世紀初頭のイギリスを舞台に贈る絢爛豪華な宮廷ドラマ。女王の寵愛を得ようと2人の女官が熾烈な
駆け引きを繰り広げるドロ沼の愛憎劇をシニカルな筆致で描き出す。主演のアン女王役には本作の演技でヴェネチア
国際映画祭やゴールデングローブ賞をはじめ数々の賞に輝いたオリヴィア・コールマン。
共演にエマ・ストーンとレイチェル・ワイズ。

 18世紀初頭のイングランド。フランスとの戦争が長引く中、アン女王の幼馴染で、イングランド軍を率いる
モールバラ公爵の妻サラは、病弱な女王に代わって宮廷の実権を握り、戦費の調達に奔走していた。そんな時、
サラの従妹で上流階級から没落した若い娘アビゲイルが現われ、召使いとして働き始める。サラが政治に時間を
取られるようになる一方、アビゲイルは巧みに女王の歓心を買い、着実にその信頼を勝ち取っていく。宮廷で
不動の地位を築いていたはずのサラも、次第にアビゲイルの秘めたる野心に警戒心を抱くようになるが…。
(allcinema)

<IMDb=★7.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:94% Audience Score:64%>
<KINENOTE=77.6点>

# by jazzyoba0083 | 2019-02-19 11:45 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ゴッドファーザー PartⅢ  Godfather:PartⅢ」
1990 アメリカ Paramount Pictures (presents),Zoetrope Studios.162min.
監督・製作・(共同)脚本:フランシス・フォード・コッポラ 原作:マリオ・プーゾ
出演:アル・パチーノ、ダイアン・キートン、アンディ・ガルシア、タリア・シャイア、ソフィア・コッポラ、
   イーライ・ウォラック他

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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
やっとゴッドファーザーのトリロジー完結作を観終えた。Ⅱから16年経過し、マイケル・コルレオーネの晩年の
人生の転換と懺悔・贖罪の物語である。もう各映画サイトでは百家争鳴、議論百出、私程度のちょっと観が
大層なことを言えないのですが、個人的な感想として、「これはこれであり」だと思った。世の評価では、
1,2に比してかなり落ちる、ソフィア・コッポラがイモ、アンディ・ガルシアが軽い、ロバート・デュバルなど
抑えになる配役を欠いた、全体に平板である、エンディングのバラードは頂けない、などが代表されるものだ。

確かに舞台にバチカンを大きくフィーチャーし、当時起きた実話をアレンジして挿入しつつ組み立てた全体像は
前作に比べ、大味になった感もあるが、それはそれなりに面白く見たし、(ツッコミどころもあるが)特に
再後半の息子が主役を務めるオペラを鑑賞に来たマイケル一家と、暗殺団との駆け引きは劇中劇の盛り上がりと
シンクロして、大団円に相応しいサスペンスを味わった。娘を銃殺されたマイケルの大きな口を開け放って
声を失い慟哭する様は、アル・パチーノ渾身の演技で印象深い。またダイアン・キートンとタリア・シャイアの
ベテラン女優の活躍も光っていた。アンディ・ガルシアは軽いか?いや、最後のファミリーを仕切ろうとする姿勢
はマイケルに殺された兄の恩讐を超えていい感じを受けた。ソフィア・コッポラ、一番批判の分かれるところでは
あるが、私は悪くはないと思う。顔立ちは好きではないが、映画の足を引っ張るような演技ではなかったと
感じた。

バチカンの闇はよく語られるところだが、法王暗殺、法王庁内での大司教暗殺など、バチカン銀行の不正など
ローマ・カトリックの総本山を相手に良くもこんな突っ込んだことを描いたな、文句は出なかったのだろうかと
要らん心配もした。
冒頭のダンス、結婚式、世代交代の相克、ラストの哀愁とこれまでの流れは踏襲されている。そしてバチカンを
巻き込んだことは、確かに前作に比べ味わいを異なるものにした可能性はあるものの、マイケルが悪事から
足を洗い、実業の世界に進出、兄の子(ガルシア)に次を任せようとする気持ち、だが、周囲はその意志に
反し、再びマイケルらコルリオーネ一家を血を血で洗う抗争へと引き戻す。老齢となり引退したドン・コルリオーネ
はシチリアの隠居宅の庭の椅子に座り、前のめりになり倒れ、全巻の終わりである。この終わり方にも批判が
あるが、1,2のエンディングの流れから行って、こういう表現でいいと思った。マイケルの自分の思いとは違う
人生の終幕の描き方に相応しい。1,2の映像と重なるその前のシーンが印象的だったから余計にそう感じた。
1でチンピラだったアル・パチーノが20年の実際の時間の経過を経て、ドンとなり、家族を得て変化していく
その心象もしっかりと演じきっていた。3作のうちでどれが好きか、とは愚問かもしれない。3つ合わせて1つの
サーガとして捉えるべきなのかも知れない。ただ出来の良さはどれか、という問いに対しての回答はあるだろう。
私としてはやはり1にトドメを刺すと思うのだが。

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<ストーリー:結末まで書かれています>
マフィア・ファミリーの年代記をつづった、フランシス・フォード・コッポラ監督による壮大な大河ドラマの
シリーズ最終章。名優アル・パチーノが、暗黒社会に君臨しつづけるマフィアのドンの苦悩と孤独を、秀逸な
演技でにじませる。

父ビトーからコルレオーネ・ファミリーのドンの地位を継承したマイケル(アル・パチーノ)が、ファミリーの
存続のため兄フレドを殺してから20年を経た1979年。マイケルはバチカンのギルディ大司教(ドナル・ドネリー)
と手を結び、ファミリーの永続的な繁栄を図ろうとする。

しかしオペラ歌手をめざす息子アンソニー(フランク・ダンブロージョ)はそんな父と反目し合っていた。
マイケルのカトリック教会からの叙勲を祝うパーティーの席上で、マイケルは10年前に別れた妻ケイ(ダイアン・
キートン)と再会する。そしてそこにはマイケルの妹、コニー(タリア・シャイア)がファミリーの後継者にと
思って連れてきた長兄の故ソニーの息子ヴィンセント(アンディ・ガルシア)の姿もあった。

マイケルの娘メリーは従兄ヴィンセントに運命的な愛の予感を覚えてゆく…。かつてのコルレオーネ家の縄張りは
ジョーイ・ザザ(ジョー・マンティーニャ)によって牛耳られていた。ファミリーが犯罪から手を引き、合法的な
仕事に移ることを宣言したマイケルはザザの配下にいたヴィンセントを自分のもとに置き、後継者として育てようと
するが、そのことを契機にザザとヴィンセントの抗争が表面化し、暴力沙汰が起こってしまう。

そんなヴィンセントにファミリーの記事を書くことを目的とした女性ジャーナリスト、グレイス(ブリジット・
フォンダ)が接近する。一方、マイケルはB・J・ハリソン(ジョージ・ハミルトン)を新たな片腕として大司教と
の契約にこぎつけようとしていたが、法王の突然の発病で危機に直面する。
そんなある日、父と和解したアンソニーのオペラ・デビューが決まり、ファミリーはその発祥の地であるシシリーに
集まった。今、オペラの幕が上がろうとしている。だが、敵の手もすぐ近くに忍び寄り、オペラの最中にボディ・
ガードが殺される。そして上演後の拍手喝采のあと、外に出たマイケルに向けて銃が放たれた。だが狙いははずれ、
撃たれたのはメリーだった。マイケルの叫び声が響く。それから数年後、家の庭に腰かけていたマイケルに、
静かな最期が訪れるのだった。(Movie Walker)

<IMDb=7.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:68% Audience Score:78%>
<KINENOTE=78.0点>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-18 22:30 | Trackback | Comments(0)

スプリット Split

●「スプリット Split」
2017 アメリカ Universal Pictures. 117min.
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
出演:ジェームズ・マカヴォイ、アニャ・テイラー=ジョイ、ベティ・バックリー、ジェシカ・スーラ他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
相変わらず、私には分かりにくいナイト・シャマランの作品。これ、「アンブレイカブル」と「ミスター・ガラス」
の三部作の中間に位置するもので、ラストのブルース・ウィリス(ノンクレジット)の登場は「アンブレイカブル」を
観ていないとなんのこっちゃか分からない。

本作は、ひところ流行った多重人格者が主役のミステリーで、大筋としては目新しくない。多重人格者が
女子高校生3人を拉致して(動物園の)地下室に閉じ込め、次々に登場する人格に女子高生は脱出を試みるが
上手くいかない。23の人格が次々と入れ替わり、ケヴィン(マカヴォイ)は精神科医に掛かってもいるのだが、
医師も扱いには苦悩していた。こうした構造は既視感ありあり。
ケヴィンは(24番目の)ビーストがやってくる、と言っているのだが、当然それは24番目のケヴィンの性格で
あることは読める。だが、ビーストがそんじょそこらの変人でないところが、ナイト・シャマランの面目だろう。
全身に血管が浮き出て、壁を手足を使ってよじ登り、鉄格子を両手で押し曲げる怪力ぶりを示す。ショットガンで
腹に穴が相手も死なない。ケヴィンは「ミスター・ガラス」にも出てくるからね。 思わず「ハルク」、
「ウルヴァリン」か!とツッコミを入れたくなるところだ。多重人格モノとアメコミが合体したか?という風情に、
何をどう考えていいのかクエスチョンマークが頭の中を飛び交う。それと多くの方が指摘しているように
拉致される女子高生ケイシーのフラッシュバックはカットするか、もっと短くして最後の体に付いた傷を
見せれば何があったかは分かると思うのだが。マカヴォイの怪演は見応えがあった。それと一番感心したのは
エンドロールが24個、分割小画面になってメイン画面の背後で動いていることだった。

面白くないわけではないけど、今ひとつ乗り切れなかったなあ。ラストシーンで突然ブルース・ウィリスが出て
来て「アンブレイカブル」を思わせるセリフを吐いて終わるのだが・・・。うーん、「ミスター・ガラス」は
未見なのだが、ネットで内容を調べると、ますます「アヴェンジャーズ」か「Xメン」シリーズか、(マカヴォイ
だけに)という筋書きっぽいので・・・。ナイト・シャマランの諸作は「シックスセンス」「アンブレイカブル」
「ヴィレッジ」など、私は必ず戸惑いながら観ている。そして感想は毎度、「面白くはないんだけど、なんだか
なあ」という風なのだな。映画館には行かないけど、WOWOWで放送していると観ちゃう、という。何を
しでかして呉れるかという期待があるのだろうと思う。
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<ストーリー>
衝撃的なストーリー展開がウリのM.ナイト・シャマラン監督によるサスペンス・スリラー。23もの人格を
持つ謎の男に誘拐・監禁された3人の女子高生たちの運命が描かれる。
『X-MEN』シリーズのジェームズ・マカヴォイが多重人格の男を、アニヤ・テイラー=ジョイやヘイリー・
ルー・リチャードソンら期待の若手が女子高生役を演じる。

女子高生ケイシー(アニヤ・テイラー=ジョイ)は、級友クレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)の
バースデー・パーティーに招かれ、その帰り、クレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)と共に家まで車で
送ってもらう。だが突如見知らぬ男(ジェームズ・マカヴォイ)が車に乗り込み、3人は眠らされ、拉致されて
しまう……。目覚めるとそこは殺風景な密室。やがてドアを開けて入ってきた男は神経質な雰囲気を漂わせて
いた。
このままでは命が危ない。どうすれば脱出できるのかと3人が頭をひねっていた矢先、扉の向こうからさっきの
男と女性の声が聞こえる。「助けて!」と叫ぶ少女たち。しかし姿を現したのは、女性の洋服を着て、女性の
ような口調で話す男だった。「大丈夫、彼はあなたたちに手を出したりしないわ」絶句する少女たちに、今度は
屈託なく「僕、9歳だよ」と男は話かける。実は彼は23もの人格を持っており、DID<解離性同一性障害>で
精神医学を専門とする女医フレッチャー(ベティ・バックリー)のセラピーを受けていたのだった。
密室で3人の女子高生 VS 23人の人格の熾烈な攻防が繰り広げられる中、男にもうひとり“24人目”の人格が
生まれようとしていた……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.3>
<Rotttentomatoes=Tomatometer:77% Audience Score:79%>
<KINENOTE=71.3点>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-15 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「スティング The Sting」(名画再見シリーズ)
1973 アメリカ Universal Pictures,Zanuck/Brown Productions .
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング、アイリーン・ブレナン他

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<評価:★★★★★★★★★★>
<感想>
何をいまさら、の超傑作である。もう何年も前に観て内容も薄れがちなところ、市の映画鑑賞会で上映してくれた。
タダで。なんと幸せなことであろうか。会場は整理券の段階で満員札止め。さもありなん。同好の士は多い。

さて、本作。オスカー7部門に輝いた傑作で、私も文句なく★10である。脚本、演出、キャメラ、美術、衣装、
音楽、そしてキャスト、とどれをとっても注文のつけようがない。まったく隙のなさには参った。クルマ好き
にとっては出てくる宝石のような1930年代のアメ車たちに垂涎だろう。

この映画はどんでん返し、だましのダイナミズムを楽しむものであるが、その構造が明らかにネタバラシの
騙しと、装置を作って嵌めようとする物語を見せておいて、そこに客をビックリさせるような仕掛けを仕込む、
という憎いばかりのもので、騙された客は、そうと知って思わず笑顔になってしまうという効果を生んで
いる。
全編6章から構成され、それぞれにタイトルが付いている。やや話が込み入っているので、こうした構成は
頭の整理をするのに役立っている。冒頭からエンディングに至るまでのイラストを上手く使った作画も上手い。
そして、オスカーを3度も獲っている名キャメラマン、ロバート・サーティースによる鮮やかなキャメラワークに
乗って、素晴らしい衣装に身を包み、演技する名優たちの光っていること。

ポール・ニューマンもロバート・レッドフォードにとってもロバート・ショウにとっても代表作の一つと
なっている。年齢的にも一番いい時期に一番いい映画に出会った彼らも幸せだったのだろう。
しかし、それにつけてもジョージ・ロイ・ヒルという監督は多作ではなかったが、ハズレのない人だ。
おそらく彼のもとに集まる「組」のメンバーに恵まれたのだろうと推察するのだが。
映画史に残る名作、と断言出来る作品。エヴァーグリーンな映画だ。

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<ストーリー:サイトには結末まで書かれていますが、ここではそこをカットしてあります>
<下ごしらえ> 1936年。シカゴに近いジョリエットの下町で道路師と呼ばれる詐欺師3人が通りがかりの
男から金を奪った。これがこの物語の事件の発端である。数日後、主謀者のルーサーが死体となって見つかった。
仕掛けた男はニューヨークの大親分ロネガンの手下で、賭博の上がりをシカゴに届ける途中、3人組に金を
奪われた男だった。大組織に手を出した当然のむくいとしてルーサーは消されたのだが、組織の手は一味の1
人フッカー(ロバート・レッドフォード)にものびていた。ルーサーの復讐を誓ってフッカーはシカゴの
ゴンドルフを訪ねた。だが頼みとするドンドルフは、ギャング同志の争いでFBIから追われ、今では売春宿に
幸うじて身を隠している有り様だった。しかし、親友の死を知ったゴンドルフ(ポール・ニューマン)は、
相手がロネガン(ロバート・ショウ)と聞き目を輝かせた。

<シナリオ> その日から2人は、ロネガンの身辺を洗い、彼がポーカーと競馬に眼がないこと、近くシカゴを
訪れることなどを調べ上げた。ゴンドルフは急ぎ昔の仲間を集め、シカゴの下町にインチキノミ屋を構えた。

<ひっかけ> シカゴに向かう列車の車中で、ロネガンはいつもポーカー賭博をやると聞いたゴンドルフは、
その仲間入りをし、いかさまでロネガンを大きくへこませた。しかも、ロネガンのサイフはゴンドルフの情婦に
スリ取られていたために負け金を払うことも出来ない始末だった。

<吊り店> 翌日、ロネガンの宿にゴンドルフの勝金を取りにきたフッカーは、ゴンドルフのポーカーが
イカサマであることを告げ、頭にきたロネガンに負け金の何十倍も稼げる話を持ち込んだ。それによると、
ゴンドルフの経営するノミ屋に電送されてくる競馬の中継は、電報局の局長を組んで2分程遅らせて放送して
いるので、実際にはすでにゴールしている馬券を買えるから、ゴンドルフを破産させるのは訳がないをいうのだ。
その代償として、ゴンドルフの縄張りを自分にくれというのがフッカーの条件だった。

<しめ出し> だが、彼らの活発な動きはFBIの目にとまり始めていた。フッカーを追うスナイダー
(チャールズ・ダーニング)という悪徳警官もうろついている。ロネガンはフッカーの持ち込んだ話が
信用できるのかどうか、あらゆる手を打ってフッカーをためしていた。そしてついに、50万ドルの大金を
注ぎ込むことにしたロネガンは、自らノミ屋に出向いた。

<最後にぐっさり> ロネガンが50万ドル注ぎ込んだレースが始まった瞬間、ノミ屋にFBIが踏み込んできた。
ゴンドルフは自分を裏切ったフッカーを射殺し、そして自らもFBIの銃弾に倒れた。
(以下略。最後のお楽しみは明かせません)

<IMDb=8.3 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:95%>
<KINENOTE=85.1点>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-14 16:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「掠奪された七人の花嫁 Seven Brides for Seven Brothers」(名画再見シリーズ)
1954 アメリカ MGM 102min.
監督:スタンリー・ドーネン
出演者:ハワード・キール、ジェーン・パウエル、ラス・タンブリン、トミー・ロール、ジェフ・リチャーズ他

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<評価:★★★★★★★★★☆+α>
<感想>
毎月木曜は3月まで市の映画鑑賞会で、MGMのミュージカルを上映してくれている。タダで。大画面で観る
傑作ミュージカルは、流石にいいなあ。本作はDVDを持ってはいるけど、大画面で楽しみたくて午前の回に
でかけた。同好の士で満席。まあ平日の午前中だから敬老会みたいな感じだけれど。ww

さて、本作はMGMミュージカルの4作目。監督はMGMにこの人あり、スタンリー・ドーネン。「雨に唄えば」
に続く作品だ。この映画の最大の見所は、村の祭のシーンのダンスだ。男女14人以上がもつれ、揃い、見事な
ダンスを披露する。コレオグラファーはブロードウェイを代表する名人マイケル・キッド。8曲の歌は、この
時期のミュージカル映画では本作のみの登場となるジーン・デ・ポール。末っ子を演じたラス・タンブリンは
後に「ウェストサイド物語」でジェット団のリーダー、リフを演じることになる。85歳となった今もご健在だ。

さて、この映画はテクニカラーではなく、アンスコカラー。どういうイキサツか、寡聞にして知らないが、
アンスコで撮られた映画は数少ないと思う。透明感のあるカラーだというが、保存ということでいうと
テクニカラーには敵わず、今我々が観るDVDは上映当時の色ではないし、上映当時から発色やシャープネスに
問題はあったようだ。

閑話休題。物語はプルタークが書いた古代ローマ人のサバイン婦人誘拐の故事に取材したスティーヴン・ペネの
「すすり泣く女たち」に依っているが、オレゴン山中の出来事としてブロードウェイミュージカルに翻案した
のも凄いけど、歌と踊りを配した脚色にした(オスカー脚色賞受賞)アルバート・ハケットらの脚色チームの
筆力がものを言っている。

作中、8曲を提供しているジーン・デ・ポールも日本ではあまり知られていないが、バイオグラフィーを見ると
本作が人生の最大の仕事だったようだ。ジャズファンにはおなじみスタンダード「I'll Remember April(四月の
思い出)」=アボット/コステロ主演の人気コメディ映画凸凹シリーズの一編『凸凹カウボーイの巻』
(1942年製作:原題:Ride 'em Cowboy)挿入歌の作曲者、といえばピンと来るかも知れない。
彼の本作の仕事は素晴らしい。

物語、音楽、ダンス、三拍子揃って(せっかくのシネマスコープなのでこれでテクニカラーだったら言うこと
ないのだが)、楽しい至福のときが過ごせる。今から65年も前の作品とは到底思えない質の高さだ。
全部セット、というのが当時らしいダイナミックさだ。ストーリーにツッコミを入れるなどは野暮の骨頂。

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<ストーリー:結末まで書かれています>
1850年のお話。アダム・ポンティピー(ハワード・キール)はオレゴンの山奥から町へ出てきた。
そして首尾よく料理店の女ミリー(ジェーン・パウエル)を口説き落として山の農場へ連れ帰った。
アダムのうまい口説を本気にして来たミリーは、総勢7名の荒々しいポンティピー兄弟に会い、散らかし放題の
家の中を見てすっかり幻滅の悲哀を感じてしまったが、すぐ気をとりなおしてかいがいしく働き出したから、
さすがの兄弟たちも身なりをさっぱりと改め、新しい生活にのりだした。

ある日、ミリーが弟たちと一緒に町へ買物に出たところ、彼らは町の娘に手を出してボーイ・フレンドと
喧嘩をひき起こす始末。これではならぬとミリーは弟たちに女性と交際するエチケットを教え、どうやら1人前に
して6人の弟たちを町へ連れ出した。1人1人相手を得て、至極神妙にやっていたうちはよかったが、町の男が
誤ってアダムの頭へ厚板を落としたのがきっかけとなって、おさえられていた血気が一挙に爆発し、大乱闘を
展開した。そんなことで折角のロマンスへのチャンスを失った兄弟は、冬を迎えて憂鬱な日を送っていたが、
それを見たアダムは、古代ローマ人は町を襲って各々結婚相手をさらって来たと智恵をつけてやった。

間もなく兄弟の駆る4頭立ての馬車が町を襲い、娘たちをさらっていった。町人が後を追って彼らに迫ったとき、
その間に雪崩が突発してポンティピー農場への1本道は春の雪どけまで断たれてしまった。ミリーはこの野蛮な
行為に憤慨して男たちを納屋へ追いやり、娘たちは自分と一緒に母屋においた。

ミリーの厳重な監視の下に、若者たちは、いや娘たちもうつうつと一冬を過ごした。春が来て雪がとけると、
早速町の人たちが武器をもって娘たちを取り返しにやって来たが、なんと娘たちは兄弟と手をとりあって町人に
反抗する。折もおり、ミリーに第1子が誕生し、やがて、押しよせた町びとたちを立会人に、6組の結婚式が
賑やかにとり行われたのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:88% Audience Score:87%>




# by jazzyoba0083 | 2019-02-14 11:45 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

黒いオルフェ Orfeu Negro

●「黒いオルフェ Orfeu Negro」
1959 フランス Dispat Films,Gemma,Tupan Filmes. 107min.
監督・(共同)脚本:マルセル・カミュ  音楽:アントニオ・カルロス・ジョビン、ルイス・ボンファ
出演:ブレノ・メロ、マルペッサ・ドーン、ルールデス・デ・オリヴェイラ、レア・ガルシア他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
ジャズファン、ボサノバファン、映画ファンとして、50年くらい前に観ていて当たり前の映画だった。
(当時はVHSもDVDも無かったけど)今まで接する機会はいくらもあっただろうに、何故か今まで観る
機会を逸していた。いつでも観られるから、と高をくくっていたのだろう。今回WOWOWがアカデミー賞
受賞作品を放送、本作も外国語映画賞を受賞しているので放送してくれた。それを録画(もちろん保存)し
この度やっと鑑賞した次第。

確かに1959年に、アントニオ・カルロス・ジョビンとルイス・ボンファが手がけた、サンバでもない
ブラジル音楽「ボサノヴァ」は、当時としては洗練されて新しい音楽だったのだろうなあ、というのは
分かる。もう大学時代からLP盤が擦り切れるほど聴いた"Wave"を始めとした一連のジョビンの音楽の
原点に触れることが出来て幸せだった。

映画としてはブラジル人作家ヴィニシウス・ヂ・モライス(「ボサノヴァ運動の主導者の一人でもあった)
がギリシア悲劇を現代のブラジルに置き換え書いた戯曲をフランス人マルセル・カミュが映像化したもの。
オスカーも獲ったし、アメリカでの評価もすこぶる高い。もちろん音楽は素晴らしいが、この実験的な映画を
アメリカ並に評価しようとは思えなかった。
もちろんいい映画の一つであることは分かるが、とこどころのシーンで間延びする箇所がみられ、
ユーリディスが死ぬ辺りから一気にテンポが上がるが、前半が間延びしているのではないか、と感じたからだ。
107分がすごく長く感じた。今の若い人が当時の実験的なこの映像を観ると分からないだろう。それほど
時代性を感じる。が、私のような年齢にはこれはこれなりにエヴァーグリーンである。

wikiによれば、原作者のモライスはこの映画を認めていないという。ブラジルでの評価はあまり高くないとも。
ブラジルやファベーラの本質が描かれていない、ということらしい。なるほど。
舞台となるリオ・デ・ジャネイロ。主人公らが暮らすファベーラは五輪の時に危ない貧民窟だとさんざん
云われたが、この映画に描かれるファベーラは貧しいものの、ごくありがちな貧しい集落としてしか
描かれていない。それ以上どういう思想がここにあるのかは不勉強にして未知であるが。不法占拠とか
そういうブラジルの貧しさをモライスは言いたかったのかどうか。そういう点については確かに薄いと
いう印象だ。とにかくリオ・デ・ジャネイロのカルナバルの前夜と当日に繰り広げられる恋愛悲劇を
観念性を持って描くことにマルセル・カミュの言いたいことがあったように感じた。

もしモライスのいうように本来の戯曲『オルフェウ・ダ・コンセイサゥン』が謳いたいところが描かれて
いないにしても、それを「翻案」し本作をものしたマルセル・カミュの独創性、芸術性は認めたい。
が、具象性と観念性が水と油のように感じてしまい、それぞれは理解できるのだが、どこか異質感を
感じてしまうのだった。ファベーラでオルフェにまとわりつく少年くらいの歳だったんだな、1959年の
私は。オルフェが新しい曲だといってユーディリスに聞かせる「カルナバルの朝」(黒いオルフェ)。
ユーリディスの頬を伝う涙はどういう意味があったのだろうか。死神に追われる彼女が死を悟ったのか、
死を悟りつつ、美しい旋律に触れて感動したからなのか。彼女の口からは旋律に感激した旨語られるが、
初めて聴いたメロディーにどういう感動があったのか、は分からなかった。

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<ストーリー:結末まで書かれています>
リオのカーニバルを背景にギリシャ神話のオルフェとユリディスの愛の現代化を試みたもの。
監督は「濁流(1957)」のマルセル・カミュ。その第二作。
ブラジルの詩人ヴィニシウス・デ・モラエスの戯曲からジャック・ヴィオが脚本を書き、カミュとビオが
脚色・台詞を書いた。撮影は「ひと夏の情事」のジャン・ブルゴワン。
音楽はアントニオ・カルロス・ジョビンとルイス・ボンファの作曲。出演者はほとんど一般市民から選ばれ、
ブレノ・メロ、マルペッサ・ドーン、ルールディス・デ・オリヴェイラ、レア・ガルシア、アデマール・ダ・
シルバら。
製作サッシャ・ゴルディーヌ。五九年カンヌ映画祭グランプリ、アカデミー最優秀外国映画賞、ゴールデン・
グローブ賞を受けた。

カーニバルを明日にひかえたリオ・デ・ジャネイロにやってきた黒人娘ユリディス(マルペッサ・ドーン)は、
市電の運転手である黒人青年オルフェ(ブレノ・メロ)の電車にのった。彼女は、自分を追う謎の男を避けて、
田舎から従姉セラフィーナを尋ねてきたのである。電車が終点について仕事を終ったオルフェは、婚約者ミラと
ともに街に行き、質屋からギターをうけ出した。

オルフェの歌とギターは、村の子供たちの敬畏の的だった。丘の従姉の家についたユリディスは、隣りから
きこえる美しい歌声にさそわれテラスに出た。
こうして、オルフェとユリディスは再会し、愛しあった。夜、明日のカーニバルの練習であるサンバの群舞に
二人は酔った。すると、死の仮面をつけた例の男が現れ、ユリディスを追った。失神したユリディスを救った
オルフェは、彼女を自分の部屋のベッドに横たえた。

--カーニバルの当日、ユリディスは従姉の仮装を借りてオルフェの指揮する熱狂的な踊りの輪の中に入った。
夜になった頃、ミラがそんなユリディスに気づいて、彼女につかみかかった。逃れるユリディスを、死の仮面の
男が追っていた。必死に市電の車庫に逃げこんだが、天井においつめられた。ユリディスの手が高圧線に
かかった時、かけつけたオルフェが車庫内を明るくしようと電気スイッチを押した。ユリディスは死んだ。
死んだ彼女を求めてオルフェは深夜の街を、病院から警察へとさまよった。警察の小使いに連れられて、祈祷所で
オルフェはユリディスの呼び声を聞いた。その方をふりむいてしまった彼は、霊媒の老婆を見た。ユリディスの
死体は死体置場にあった。夜が明けようとしていた。オルフェは死体を抱いて丘に帰った。嫉妬に狂ったミラが
小屋に放火していた。彼女の投げた石でオルフェはユリディスを抱いたまま断崖から落ちた。二人の死体は重なった。
彼のギターを鳴らしながら、黒人の子供たちは日の出を迎えた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:87%>
<KINENOTE=71.6点>





# by jazzyoba0083 | 2019-02-13 23:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「トレイン・ミッション The Commuter」
2018 アメリカ Studio Canal 105min.
監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:リーアム・ニーソン、ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、ジョナサン・ハンクス、サム・ニール他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
どこかで観たようなプロットだなあ、と思ってネットを見たら、『フライト・ゲーム』の監督さんと主演で、空を
飛ぶか、鉄路を走るか、の違いだった。まるで同じとは云わないが、見えない犯人に困り顔させたら最高のリーアム・
ニーソンを配しているのは同じだ。本国での評価は非常に厳しいものだが、私は確かに犯行の真相は描かれず、
深みに欠けるというのは頷けるものの、目の前で繰り広げられるハラハラは、なかなか面白かったと感じた。

allcinemaに感想を寄せたある方の指摘のように、ニューヨーク辺りを走っている列車のチケットの仕組みを理解
しておいたほうがより分かりやすいだろう。通勤電車なので、通勤通学客は定期を持っているが、そうでない客は
車掌からチケットを買い、区間にハサミの入った切符を座席の上辺に挿しておく、というもの。それが分かっている
と、犯人がどこで降りるか、などの謎解きに関する理解は早い。
使われる路線はグランドセントラル駅発の「ハドソンライン」で、終点のコールドスプリングまで小一時間。
その間にリアルタイムで行われる犯行と解決を描く。

主役マイケル・マコーリー(ニーソン)は、元警官で今は保険会社に勤めるが、60歳にして、会社からリストラされ
てしまう。家のローンと大学生になった息子の学費がまだ残っているというのに。妻にホントの事を言えない状態で
乗った帰宅の通勤電車で、彼は見知らぬ女から「この列車に乗っているある人物を探しだしたら10万ドルをあげる」
と依頼される。押し付けられたマイケルはまずは手付として支払われる金がある、と言われるトイレに行ってみると
トイレの下部にある通風孔の網の後ろにかなりの金額が入った封筒があった。それを懐に入れたところからマコーリー
の仕事は始まってしまった。通勤電車なので殆どは顔見知りだが、何人かは知らない人がいた。だがカバンを持って
いる、というだけで男女も分からない。手こずるうちに電話から次々と報告を求める女は、ついに妻と息子を
人質にとってしまう。更に列車の床下にFBIの死体もあったり・・・。

「プリン」と称される、というがまったく誰なのか、分からない。追い詰められるマコーリー。

終点に向けて次第に客が減る中で、犯人はついに運転手を射殺、列車は暴走を始める。車掌とともに乗客を
最後尾の車両に集め、そこだけ切り離すという手に出た。

観ている方は、列車の進行とともに、謎が明かされていくことに付き合うことになる。伏線としてマコーリーと
組んでいた現役警官マーフィー(パトリック・ウィルソン)の存在と、テレビニュースでやっていた市役所の
職員がビルから転落して死亡した、というニュース。そして最後にプリンが誰かわかった時に語った事。

列車は最後に脱線転覆するのだが、マコーリーらの乗った車両は転覆を免れたが、マコーリーは人質を取って
立てこもった犯人にされてしまった。そこに乗り込んでくる元同僚のマーフィー。

その辺りから次々と謎が解け始め、最後に悪い警官だと観ている方はミスリードされてしまったに違いない
警察の上司が実はいいやつで、マーフィーを警察に再雇用、ラストシーンは列車に乗っていたあの女の
前に座ったマコーリーが警察のバッジを女に見せるところで終わる。

あの女は誰だったのか、は明かされない。その背後にいる真の黒幕も明らかにならない。続編があるのだろうか。
通勤電車に乗っているということはニューヨーク市警に関係した女性なのか?市役所にいるらしい黒幕の関係者
なのだろうか。謎は続く。
話の展開にやや強引さがあったり、結末がいまいちすっきりしなかったりマイナス点もあるがアクションも
含めてなかなかおもしろく見させて貰った。

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<ストーリー>
リーアム・ニーソンが「フライト・ゲーム」のジャウマ・コレット=セラ監督との4度目のタッグで贈る
ノンストップ・サスペンス・アクション。通い慣れた通勤電車の中で思いも寄らぬ陰謀に巻き込まれた男が、
家族の命を守るために強制的に危険なミッションに挑む姿をスリリングに描く。
共演はヴェラ・ファーミガ、エリザベス・マクガヴァン、パトリック・ウィルソン、サム・ニール。

 10年間も勤めてきた保険会社を突然リストラされた元警官のマイケル・マコーリー。いつもの通勤電車で
帰路についた彼だったが、住宅ローンと息子の学費が大きな不安となって重くのしかかる。そんな彼の前に
見知らぬ女が現われ、乗客の中からある人物を捜し出せたら10万ドルを与えるという奇妙なゲームを持ち
かける。ヒントは、馴染みの乗客ではなく、終着駅で降りる人物、そして通称はプリンという3つ。

警戒しながらも高額な報酬に抗えずとりあえず捜し始めたマイケルだったが、すぐに容易でないと気づく。
しかしその時にはすでに相手の罠にハマり、妻子までをも人質に取られて後戻りできないところまで
追い詰められてしまうマイケルだったが…。(allcinema)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:57% Audience Score:40%>
<KINENOTE=72.3点>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-12 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル Jumanji:Welcome to the Jungle」
2017 アメリカ Columbia Pictures. 119min.
監督:ジェイク・カスダン
出演:ドゥエイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、カレン・ギラン、ニック・ジョナス他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
こういう映画も有りなのかも知れない。世界中で大ヒットしたんだものねえ。私には物語に深みがなく、
ちょっと青春の友情のセンチメンタリズムがくすぐられるくらいのゲーマー用映画にしか基本映らなかったが
若者向け?のゲームっぽいコメディ映画、と割り切って見れば、そこそこ面白く観ることも出来る。1995年の
ロビン・ウィリアムス主演のオリジナルは、ボードゲームだったけど、本作はスピード感もダイナミックな
動きもテレビゲームとなり、派手さと見栄えは上々となった。それに、キャラが変化するので、マッチョな
ドゥエインがヲタの高校生だったり、ジャック・ブラックが美人が売りのJKだったりするから、そのあたりの
アイデアも良かった。ゲームの基本ルールが良く分からなくても十分楽しい。

ストーリーも極めて分かりやすく、(まるで「ドラクエ」ww。)青春の甘酸っぱさや、おバカや、笑いや、
勇気や、友情などこの手の映画には欠かせない要素もしっかり抑えてあり、面白くなるのは必然の構造である。
それにナイスなキャスティングがドライブを掛けたという塩梅だな。「楽しいことしたい」と映画を見に行き
たい人にはピッタリだな。
映画館に行くまでもなく、3Dでなくてもいいや、という人はブルーレイやWOWOWでも面白いと思うよ。

特に美女JKが変化したジャック・ブラックと、あまり美人じゃないガリ勉の女子が変化したカレン・ギランが
良かったな。変なキャラで。それとドゥエイン・ジョンソンのヲタの喋り方が意外でこれも面白かった。
ゲーム映画だから3Dを意識したシーンが多く見られ、それ用のスクリーンで観た人は倍して楽しかっただろう。

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<ストーリー>
不思議なボードゲームが巻き起こす大騒動をロビン・ウィリアムズ主演で描いた95年の大ヒット・アドベンチャー
「ジュマンジ」の20年後の世界を舞台に贈る痛快アクション・アドベンチャー。テレビゲームの世界に迷い込んだ
主人公たちが、数々の想像を絶する恐怖の試練に晒されるさまをアトラクション感覚いっぱいに描き出す。
主演は「ワイルド・スピード ICE BREAK」のドウェイン・ジョンソン、共演にジャック・ブラック、
ケヴィン・ハート、カレン・ギラン。監督は「バッド・ティーチャー」「SEXテープ」のジェイク・カスダン。

 学校で居残りをさせられていた4人の高校生スペンサー、フリッジ、ベサニー、マーサは、地下の倉庫で
“ジュマンジ”という古いテレビゲームを発見する。ためしにそれぞれキャラを選んでプレイしようとしたところ、
いきなりゲームの中に吸い込まれてしまう。
気がつくとそこは鬱蒼としたジャングルで、4人は性格も性別も真逆のゲームキャラの姿になってしまっていた。
現実世界に戻るためには、敵キャラ、ヴァン・ペルト一味の追撃をかわしながら、難攻不落のステージをクリア
していかなければならなかった。しかも与えられたライフは3回で、使い切ったらゲームオーバー。
あまりにも理不尽な状況に放り込まれた4人は、それでも生きて現実世界に戻るべく、それぞれのスキルを駆使して
目の前の難関に立ち向かっていくのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:76% Audience Score:87%>
<KINENOTE=75.7点>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-11 23:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ファースト・マン First Man」
2018 アメリカ Universal Pictures,Dreamworks Pictures and more. 141min.
監督:デイミアン・チャゼル 原作:ジェイムズ・R・ハンセン『ファーストマン』 
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ他
出演:ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー、コリー・ストール他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
宇宙モノは実話からSFまで幅広く好きだから、私としては当然シネコンへ。しかも監督がチャゼル、主演が
ライアン・ゴズリングと来ては観ずにはいられない。

しかし、2時間20分、観終えて感じたことは、フライヤーも予告編も見ていたのだが、想像したものと違った。
この映画は、いわゆる英雄譚でも月への大冒険譚でもない。人類で初めて月に降り立ったニール・アームストロング
という人は、どういう人で、何故この人が月へ最初に行ったのか、という面にスポットを当てた人間ドラマだ。
だから宇宙ものとしては比較的地味だし、華々しくないし、むしろ暗いかもしれない。
時間配分としてはアポロ11号の月面着陸より、それ以前のことに多くの時間を費やしている。

情報によれば、とにかくアームストロングという人は、謹厳実直真面目、自己顕示欲もなく冷静沈着、肝が
座っている男で、しかも寡黙。映画でもゴズリングのセリフは多くないと言うか少ないというか、殆ど無いと
いってもいいほどだ。
それ故、これまで何度も映画化の話はあったが、ニールという人物が地味すぎで話にならず、また月面着陸の
後も多くを語ろうとせず、今日まで来ていたという。チャゼル監督はそれをそのとおりになぞり、一連のニール
絡みの事柄にマスコミは登場せず、月面着陸後のパレードや大統領との会見も描かれない。だいたい月面で
星条旗を立てるシーンすら無い。ヒューストン司令部の喜びのシーンや歓声も、テレビに釘付けになる国民の
姿もない。繰り返し発生する緊張、それに対する冷静な対応のニールの姿が繰り返される。

アップを多用し、ニールの目線での表現が多い。16ミリフィルムと70ミリフィルムを使い分け、さらにIMAX
カメラも投入、VFXやCGはほとんど使わず、ミニュチュアを作り、背景に必要なものは大きなLED画面に当時の
映像を映し出して合成したというほど、とことん当時の映像にこだわった。音楽もテルミンを使用したりとにかく
拘っている。
「映画にならない」ニールの物語をどう映画に仕立てたのか、その当たりのチャゼルの工夫がこの映画の見所。
普通の宇宙モノを期待していくと裏切られるかもしれないが、この映画の主旨はニールという人物が主で、月面
着陸は従なのだ。だから冒頭テストパイロットでのあわやの着陸に続き描かれるのは難病の娘の死である。

宇宙開発に対しソ連に遅れを取っていたアメリカの焦りは有名な話で、これまでも多くの映画に描かれて来た。
そうした事実を踏まえ、ジェミニ時代、アポロ計画の初期には悲劇的な事故も少なからぬ起きた。胆力を見込まれた
ニール・アームストロングは難しいプロジェクトに投入され、トラブルが次々と起きるが、そのたびに冷静で
周囲の信頼は厚く、当然のごとく月面着陸でも船長に指名される。ニールも当然のごとく受け入れる。

一方、二人の子供がいる良き父でもあったが、仕事の話は家ではしない。月面着陸が決っても子供に説明も
せず、妻に怒られる始末。夫婦の会話は多くはない。妻は夫のそういう性格を知っているので多くは
語らないが、不満は溜まっていた。(妻を演じたクレア・フォイが良かった。映画では描かれないが、夫婦は
38年も連れ添った挙げ句に離婚している)

そして、月面でクレーターに投げ入れたのは地球から持ってきた亡くなった娘カレンのブレスレットだった。
このワンシーンで、ニールという人間が決して冷静冷徹感情を動かさない心だけの人物ではないことを
描ききったと言えよう。(この映画を監修したニールの息子さんはこのことが実際にあったかどうかは
わからないという。チャゼル監督も事実として挿入した話題ではない、と話している)

アップの画面が多くて疲れたが、宇宙モノの新たな描き方をした作品として評価は高くていいと思う。

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<ストーリー>
NASAによる月面着陸計画に人生をささげた宇宙飛行士、ニール・アームストロングの実話を『ラ・ラ・
ランド』のデイミアン・チャゼル監督が映画化した人間ドラマ。『ラ・ラ・ランド』でもチャゼル監督と
タッグを組み、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞したライアン・ゴズリングがアームストロングを
演じる。

1961年、幼い娘カレンを病気で亡くした空軍のテストパイロット、ニール・アームストロング(ライアン・
ゴズリング)は、悲しみから逃げるように、NASAのジェミニ計画の宇宙飛行士に応募する。

1962年、宇宙飛行士に選ばれたニールは、妻ジャネット(クレア・フォイ)と長男を伴ってヒューストンへ。
有人宇宙センターでの訓練と講義を受けることに。指揮官のディーク・スレイトンは、世界の宇宙計画を
リードするソ連すら到達していない“月”を目指すと宣言。月に到達する小型船と帰還のための母船の
ドッキングを実証するジェミニ計画が成功すれば、月面に着陸するアポロ計画へと移行することが決まる。

やがて、ハードな訓練を乗り越え、絆を結ぶ飛行士たち。その中には、エリオット・シー(パトリック・
フュジット)やエド・ホワイト(ジェイソン・クラーク)がいた。そんなある日、ソ連が人類初の船外活動に
成功。またしても先を越されてしまう。

1966年、ニールは、ジェミニ8号の船長として史上初のドッキングを命じられる。代わりにその任務から
外されたエリオットが、訓練機の墜落事故で死亡。友の無念を胸に、デイヴ・スコット(クリストファー・
アボット)と2人、ジェミニ8号で飛び立ったニールは、アジェナ目標機とのドッキングに成功。ジェミニの
回転が止まらなくなる事故に遭遇しながらも、冷静な判断で危機を脱する。

こうして、アポロ計画へと移行し、パイロットにはエドが選ばれる。だが1967年、アポロの内部電源テスト中に
火災が発生。エドと2人の乗組員が死亡する事故に。アポロ計画が世間の非難を浴びていた1969年、月に着陸
するアポロ11号の船長にニールが任命される。乗組員は、バズ・オルドリン(コリー・ストール)と、
マイク・コリンズ(ルーカス・ハース)の2人。家族と別れたニールたち3人は、ついに未知の世界へと飛び
立つ……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:87% Audience Score:66% >
<KINENOTE=74.9点>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-11 11:45 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

七つの会議

●「七つの会議」
2018 東宝 TBSテレビ幹事「七つの会議製作委員会」 119分
監督:福澤克雄(TBSテレビ)  原作:池井戸潤「七つの会議」
出演:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、朝倉あき、藤森慎吾、橋爪功、世良公則、鹿賀丈史
   吉田羊、土屋太鳳、小泉孝太郎、横溝純平、木下ほうか、岡田浩暉、立川談春、北大路欣也、役所広司他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
もともと見る予定には無かったが、奥様が私が既に観ている「メリー・ポピンズ・リターンズ」を観に
シネコンに行くので、上映時間がほぼ揃うような映画はないか、と観た結果、これを鑑賞。
「ボヘミアン~」や「こんな夜更けにバナナかよ!」が時間に会えば二度目でも観たかったが残念ながら
合わなかった。

行ったシネコンの一番大きなスクリーンでの上映。朝イチだったからか、三分の一ほどの入でほぼ中高年。
ストーリーは企業のデータ改ざん、隠蔽体質を告発するもので、話は単純で勧善懲悪、水戸黄門、いつもの
半沢直樹風(登場する銀行は名刺のデザインまで「半沢直樹」と一緒)カタルシスをえるもの。だが、本作の
ちょっと異なるのは、巨悪は生き続け、告発者たる野村萬斎が、ラストで曰く「世の中、不正はなくならない、
絶対に」と、今の日本を揶揄するような台詞があり、完璧なハッピーエンドではない、ということ。
時あたかも、雇用統計データの捏造疑惑やモリカケ問題など、役所の隠蔽体質が問題視されている状況下、
タイミングは良かったといえる。日本企業の抱える様々は負の面を俯瞰的に眺めることが出来て、サラリー
マンなら溜飲を下げることも、共感することも出来るのではないかな。その点に絞っても面白いストーリー
だった。

TBS福澤組の制作なので、まずまず安心して観ていられるし、(出ている役者はほとんど日曜劇場と同じ)
役者も安定している。特に今回、私としては普段テレビでは観られない野村萬斎の演技が観たかったわけで、
その点、野村の演技はやや伝統舞台の名残はあるものの、流石に上手い。5年ほど前にNHKがテレビ
ドラマ化した時は吉田鋼太郎が演じたが、そちらも観ては見たいが、野村のキャラに主人公は合っていたと思う。
また香川照之はもうくどいくらい出てくるけど、この人の演技は観ていて決して飽きることがない。

こうしたテレビ局の作る邦画は殆ど見に行かない。テレビでみればいいと思っているから。だけど、流石
映画館の大スクリーンと暗い閉鎖された空間で観る「映画」は、それなりに良いものがある。連ドラと違い
テンポは良いし、カタルシスはすぐにくるしね。短期集中出来るし。今回も話としては面白かった。
画面もワンカットがテレビより意識して長くしていたのではないかな。落ち着いていた。場面の転換が
いかにも、ここでCMって風情なのはテレビマンの習い性なのかなあ。 
テレビ局の作るTV番組の延長線にあるような映画はこれからもよほどのことが無い限り、見に行かないかなあ。
奥様は「コード・ブルー」とか好きだけどねえ。

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<ストーリー>
「半沢直樹」「下町ロケット」など数多くの映像化作品で知られる人気作家・池井戸潤の同名作を、野村萬斎
主演で映画化したミステリー。万年係長が上司のパワハラを告発したことを機に、会社内で起こる騒動が描か
れる。TVドラマ化された池井戸作品の常連である、香川照之や片岡愛之助ら実力派俳優が多数共演している。

都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)、通称“居眠りハッカク”は
どこの会社にも一人はいる所謂ぐうたら社員。ノルマも最低限しか果さず、定例の営業会議では傍観している
だけの八角は、トップセールスマンである課長・坂戸(片岡愛之助)からその怠惰ぶりを叱責されるが、一人
飄々と毎日を送っていた。
一方、甘えたサラリーマン根性の部下は完膚なきまでに叩き潰してきた社内で絶対的存在の営業部長・北川誠
(香川照之)が進める結果第一主義の方針のもと、部員たちは寝る間を惜しんで働くのだった。

そんなある日、突然、坂戸がパワハラで訴えられ異動となる。訴えたのは、年上の部下である八角だった。
北川の信頼も厚いエース・坂戸に対するパワハラ委員会の不可解な裁定に揺れる社員たち。
そんな折、万年二番手に甘んじてきた営業二課長の原島(及川光博)が新課長として着任。だが、会社の顔で
ある一課で成績を上げられず、原島は場違いすら感じていた。やがて、パワハラ騒動に隠されたある謎が、
社員たちの人生、そして会社の存在をも揺るがし始めていく……。(Movie Walker)

<KINENOTE=78.4点>




# by jazzyoba0083 | 2019-02-10 11:30 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「彼女が目覚めるその日まで Brain on Fire」
2016 アメリカ・アイルランド Denver and Delilah Productions and more. 89min.
監督:ジェラルド・バレット   原作:スザンナ・キャラハン『脳に棲む魔物』(KADOKAWA刊)
出演:クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン、リチャードアーミティッジ、ジェニー・スレイト、タイラー・ペリー他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
実話ものが好きな私としては、一応面白く観たが、主人公は誰?という感じで、映画の主張にまとまりと
深みを感じることが出来なかった。描かれた現象を観ている分にはドキュメンタリーを観ているようで
興味深く観るにはみたけど。メインは病気?主人公の若き女性記者?病気を見つけた医師?彼女を支えた
家族や職場の仲間?ボーイフレンド?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ニューヨーク・ポストのスザンナ・キャラハンは野望と希望に燃えた若き女性記者。しかし、ある時から
体調に変化が出て、まともに仕事も暮らしも出来なくなっていく。「双極性障害」「統合失調症」いろんな
病気が予想されるが、体も感染症も以上無い。医師は精神病院に行くように説明するが、納得しない両親や
ボーイフレンド。あるインド系女性医師の勘が結果的に彼女を救うことになった。この意志は、何か違和感を
覚え、恩師の元を訪ね、懇願し、スザンナを診てもらう。彼も最初のうちはまるで分からなかったが、
ある日、スザンナに時計を描かせてみて、閃いた。脳の生検をした結果、「抗NMDA受容体抗体脳炎」という
病気で自分の体が脳を攻撃し脳が炎症を起こしていたのだ。幸い発見が早く、治療とリハビリの結果
スザンナは7ヶ月で職場に戻れたのだった。そして、編集長の勧めもあり、自伝「脳に棲む悪魔」を執筆する
のだった。ラストの字幕では彼女は映画公開の翌年、ボーイフレンドと結婚している。そして彼女の
病気を発見した医師は、「抗NMDA受容体抗体脳炎」専門の病院を作り、これまでおそらく多くの人が
単なる「精神病」とされ誤った治療の結果、不幸な人生を送っていた状況を大きく改善したのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

話としてはそんなところだ。わけも分からず自分が壊れていく様子をクロエ・グレース・モレッツが好演。
事前に実話に基づいたとだけは知っていたが、彼女がどんな病で生死はどうだったのかを知らずに見たのが
新鮮でよかったと思う。素材としては面白いので、89分ではなく、2時間ほどにしてもう少し、主張を明確
にしたらもっと面白くなったと思うのだが。見て損のない映画ではあると思う。本国の評価は低いけど。

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<ストーリー>
ある日突然、感情がコントロールできなくなる原因不明の病に侵された若き新聞記者が、両親と恋人の支えに
よって人生を取り戻していくさまを描く、クロエ・グレース・モレッツ主演の人間ドラマ。
2009年に抗NMDA受容体脳炎に侵されたニューヨーク・ポスト紙の記者スザンナ・キャラハンが自らの闘病を
つづったノンフィクションが原作となっている。

ニューヨーク・ポスト紙に勤める21歳の若手記者スザンナ・キャハラン(クロエ・グレース・モレッツ)は、
いつか一面を飾るとの夢を掲げ仕事に励んでいる。プライベート面でもミュージシャンの恋人スティーヴン
(トーマス・マン)との交際を始め、公私ともに順調だった。
しかし物忘れがひどくなり、大切な取材で大失態を犯す始末。さらに幻覚や幻聴に悩まされるため不眠に陥り、
全身が痙攣する激しい発作を起こすまでに。それでも検査で異常は見つからず、日に日に混乱し会話もできなく
なったスザンナを精神病院へ転院させるよう勧める医師たち。
スザンナの瞳の奥の叫びを感じていた両親とスティーヴンは決して諦めずに彼女を支える。(Movie Walker)

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:13% Audience Score:67%>
<KINENOTE=70.3点>





# by jazzyoba0083 | 2019-02-09 22:45 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

アクアマン Aquaman

●「アクアマン Aquaman」
2018 アメリカ Warner Bros.,DC Comics,DC Entertainment and more. 143min.
監督:ジェームズ・ワン
出演:ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソン、ニコール・キッドマン他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
アクアマン自体は、ジャスティス・リーグに出ていたので初見ではないが、この度初めて単独で映画になった。
アメリカではあの「ダークナイト」を超えてDCコミックスものとしては「ワンダーウーマン」さえなし得な
かった史上最高興収記録を作った。パーツとしてのアクアマンを観ていて、単独映画が出来るとは知っていたし
まあ、WOWOWまで待ってもいいか、と思っていたら、本国での大ヒットのニュースに接し、元来アメコミ映画
大好きな私としては、もう観たくて堪らなくなった。しかも、進化したIMAXレーザー3Dというシステムでの
登場で、どう楽しませてくれるのかという期待もあった。

片道クルマで一時間ほどかけて笹島まででかけ109シネマズで朝一番の回を観賞。結構な入りだった。やはり
若い人が多かった。

さて、本作、ストーリーとしては驚くことはない。海底王国アトランティスの新国王アーサー(アクアマン)が
誕生するまでの物語だ。どのヒーロー物にもついて回る誕生の話。で、この映画は何が魅力で凄いのか、本国で
の大ヒットは何故なのか、の大きなキーは、圧倒的な迫力で迫る映像(VFX、CG、カメラの視点のマルチ
アングルな動きなど)の出来が素晴らしいことだ。水中の動きは無重力に似ているし、更に髪の毛は水に
絶えず揺れていなくてはならない。その当たりのキメの細かさ、そしてクリーチャーの創造性のユニークさ、
などもとても良くできている。得てしてややこしくなりがちなアメコミのストーリーも分かりやすく、
海底の7つの王国の融和と統合や、人類が海を汚染することなど、世界人類が現在かかえる問題も提起している。
海を汚す人間をアクアマンにやっつけてもらいたいけど、今回はそういう設定ではない。

監督のジェームズ・ワンは「ソウ」「ワイルド・スピード」等で知られるが、私は彼の作品を初めて観た。
本作でのインタビューで、カメラワークのユニークさを本人も上げていていたが、コンピューターを得た
視点の動きは、多彩で楽しくワクワクさせるものであった。「アクアマン」のジェイソン・モモアは
私はこの役でしか知らない俳優さんだが、このキャラにはフィットしていたと思う。「アクアマン」は
アトランティスから逃げ出し流れ着いた王女と灯台守との間に出来た半分人間、という設定なのだが、
彼と純粋な海底人たちとの相克や愛情も見どころだろう。ラストはアーサーがアトランティスの新国王となり
一応ハッピーエンドとはなる。当然、この手の映画の常道として、エンドロールの間に、次の作品への
予告めいた映像が挿入される。

映像の出来に+αを足した評価としたが、物語や役者の演技など全体として7.5というところだ。
物語の深みに欠けたかなあ。そこまで要求してはいけないのかなあ、この手は。むしろコミックス
本来の持つ少年向け冒険譚としてはいい出来なのかも知れない。
ジュリー・アンドリュースが声を担当していたカラセン女王は、全然気が付かなかったなあ。
全体に満足度の高い映画であったが、シニアでも2100円は、どうなんだろう、IMAXレーザー3D。

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<ストーリー>
「ジャスティス・リーグ」で初登場したジェイソン・モモア扮するDCコミックス原作スーパー・
ヒーロー“アクアマン”初の単独主演作となるアクション・アドベンチャー超大作。
海底帝国アトランティスの女王と人間の血を引くアクアマンが、地上征服を目論むアトランティスの野望を
阻止すべく海中を舞台に繰り広げる壮絶な戦いの行方を、圧倒的なスケールと映像美で描き出す。
共演はアンバー・ハード、ウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソン、ニコール・キッドマン。
監督は「ソウ」「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン。

 海底には知られざる巨大な帝国アトランティスがあった。ある日、アトランティス王国の女王アトランナと
灯台守が出会い、やがて2人の間に、海の生物すべてと意思疎通できるアクアマンが誕生する。2つの世界を
ひとつにまとめる使命を託され、たくましく成長したアクアマン。

そんな彼の前に、海底国ゼベルの王女メラが現われ、アクアマンの異父弟でありアトランティス王国の若き王
オームが、海を汚し続ける人類に怒り地上征服に乗り出したと告げる。オームの暴走を止めてほしいという
メラに懇願され、渋々ながらも過酷な戦いに身を投じていくアクアマンだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:65% Audience Score:78% >



# by jazzyoba0083 | 2019-02-09 12:15 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「エタニティ 永遠の花たち Éternité」
2016 フランス Nord-Ouest Films and more.115min.
監督:トラン・アン・ユン  原作:アリス・フェルネ
出演:オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョ、ジェレミー・レニエ、ピエール・ドゥラドンシャン他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
全編何かしらのピアノ曲が流れ、緻密に計算された美しい映像は、時としてマネやモネ、ルノアールなどの印象派の
絵画を連想させる。小説は未読でどういう魅力のある本かは分からないが、本作は、19世紀から始まるフランスの
裕福な一族(オドレイ・トトゥを母とする第一世代から現代までの時間が流れる)の数世代に渡る「生と死と愛」の
「映像詩」に感じた。とにかく映像が美しい。深みを持った色彩。動きがある映像すらワンフレームごとが絵画に
なるのではないか、と思われる構図が生きた画面、プロダクションデザインと、あえて柄物を避け中間色を多用した
衣装。屋外の景色は花が豊かに咲き誇り、先述のように印象派の絵画を思わせる。

そうした映像と音楽の中で描かれるのは、世代ごとに繰り返される誕生、死、結婚、という人生の流れ。かつて
女性は多産であり一人が7人も8人も産む。新生児医療が発達していない時代なので、赤ちゃんで死亡するケースも
多い。また母の体力も持たず産後の肥立ちが悪く死亡するケースも多い。成長しても男子は戦争に、また事故も
多かった。そうした状況を一家は粛々と受け入れ(感情はうちに秘めているのだろう)、時は進む。クロニクル、
日本語を探せば「輪廻転生」「人生流転」とでも言えるような情景が描かれいく。あまりに淡々とし、セリフより
ボイスオーバーが多いので、眠くもなるが、これはこれで考えさせるところもあった。あの頃は「死」を当然の
ごとく受け入れ、世代は交代していったのだ。今は100歳まで生き、身の回りに「近しい人の死」が無い。
果たしてこれは幸せなことなのかどうか。監督はそこを言いたいのではなかったかもしれないが、私はそう
感じたのだった。

好悪の分かれる作品だろう。きれいな映像が好きな方は一見の価値あり、です。

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<ストーリー>
「青いパパイヤの香り」「ノルウェイの森」のトラン・アン・ユン監督がアリス・フェルネのベストセラー小説を
原作に、19世紀末のフランス上流階級の数世代にわたる愛と哀しみの人生を静かに見つめたドラマ。
主演は「アメリ」のオドレイ・トトゥ、共演に「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロラン、
「アーティスト」のベレニス・ベジョ。

 19世紀末のフランス。美しい花と緑に囲まれた大きな邸宅に生まれ育った17歳のヴァランティーヌは、
親が決めたジュールとの婚約を自分の意志で解消してしまう。ところが、それでも諦めないジュールに心動かされ、
改めて結婚を決意する。6人の子どもたちにも恵まれ、幸せな人生を送っていくが、生まれて間もない赤ん坊が
亡くなったのをきっかけに、立て続けに不幸に見舞われていく。
悲しみに暮れるヴァランティーヌだったが、息子のアンリが幼なじみのマチルドとの結婚を決め、やがて初めての
孫が生まれると元気を取り戻していく。
一方、マチルドと姉妹同然に育った従姉妹のガブリエルも夫のシャルルとともに同じ建物に住み、互いに交流を
深めていく中で、再び戻ってきた大家族のような賑やかさがヴァランティーヌに喜びを与えていくのだったが…。

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:ーー Audience Score:38%>
<KINENOTE=63.0点>





# by jazzyoba0083 | 2019-02-07 22:55 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「ノー・マンズ・ランド No Man's Land」
2001 フランス/イタリア/ベルギー/イギリス/スロヴェニア 98min.
監督・脚本・音楽:ダニス・ダノヴィッチ
出演:フランコ・ジュリッチ、レネ・ビトラヤツ、フイリプ・ショヴァゴヴイツチ、カトリン・カートリッジ他

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<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
この監督の作品は去年「汚れたミルク/あるセールスマンの告発 (2014)」を観た。実話に基づいた
シリアスな告発映画で、見応えがあったのを記憶している。その監督のデビュー作がこれだ。
本作で、ゴールデングローブとオスカーの外国語映画賞を取り、注目された。私もタイトル名は聞いていたが
今回初めて鑑賞した。ブラックユーモアではあるけれど描かれる世界は過激に辛辣で、皮肉で、告発的である。

1993年のボスニア紛争を舞台に、戦争の愚かしさ、不条理、さらには人間の愚かしさを徹底して皮肉る。
描かれるのはほぼ塹壕の中。ボスニア兵とセルビア兵が対峙する。かつては同じユーゴスラビア国民として
同じ言葉を喋り、一つの国歌を歌っていた人間たちだ。東欧は民族と宗教が複雑に重なり合い組み合わさり
複雑な政治状況を持ち、かつての同じ国民同士が殺し合う、という惨劇が繰り広げられ、これに大国の思惑が
からみ、さらに自体を複雑にしていた。こうした状況下、ボスニアとセルビアの中間地帯(ノー・マンズ・
ランド)で、たった3人の兵士と、(突き詰めれば、ボスニア兵のチキとセルビア新兵ニノの二人)の
やりとりに、更に両国の戦いに関与しない国連保護軍(UNPROFOR:フランス軍やドイツ軍が中心)の
いい加減な立場と、他人の国なんてどうでもよくて、事なかれ主義、それより早く帰りたい勢力が加わる。
またこの事態を報道する、功名心だけのマスコミの記者やカメラマンが絡み、三者三様の国際紛争との
関わり合い方から、戦争の愚かしさ、人間の愚かしさを透かしてみせる。それはお金がかかった戦闘シーンが
あるわけでも大掛かりなセットがあるわけでもないのだが、描かれる皮肉な世界は強烈なインパクトを持つ。

塹壕の中のチキのニノ。「セルビアが戦争を仕掛けたと言え」とお互いに言い合う。銃を持ったほうが立場は
上になり、「ボスニアが仕掛けた」と銃の取り合いの中で両方が言う結果となる。実際はどっち?
できれば関わりたくない国連軍、怪我をしたボスニア兵の下に重さに反応する地雷が仕掛けられ、ドイツ軍の
地雷専門家が来るが、「これは手に負えない」とギブアップしてしまう。スカート姿の秘書を連れた上官が
やってきて、マスコミ受けをすることを言い、地雷の上の兵士を放置して帰ってしまう。マスコミは扇情的
シーンのみ欲しがり、国連軍に無理を言い、現地兵士に頓珍漢な質問を浴びせる。

塹壕の中の二人の敵対する兵士は戦争全般の象徴であり、国連軍も、マスコミも、当事者意識のないお客様。
自分たちの立場さえ良ければそれでOKなのだ。そして一番強烈なのが、ラストシーン。全員塹壕から
引き上げたあとに一人取り残された地雷の上に横たわる負傷したボスニア兵。動けば地雷は爆発する。
これはもう、今の世界そのものなのだ。自らの愚かしさの上に動くに動けない世界。一応関わって見せる
国際社会。功名心だけのマスコミ、今の世界情勢をこれだけ堂々と皮肉ってくれた映画はそうそうあるまい。
「人間て、こんなに愚かしい」と。救いの無い映画ではあるが、マスコミを含め権力を持つ人々を最大限皮肉って
見せてくれた。コメディの要素も含むだけに、笑うに笑えないのが逆に辛辣さに重みを加えていた。

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<ストーリー>
ボスニア紛争真っ直中、“ノー・マンズ・ランド”と呼ばれるボスニアとセルビアの中間地帯に取り残された、
敵対する二人の兵士を中心にそれを取り巻く両陣営、国連軍、マスコミを登場させ、笑いの中で戦争を痛烈に
皮肉り、その不条理や愚かさを見事にあぶり出した辛辣な戦争コメディ。

紛争当時、自らカメラを手に最前線に立ち、数多くの映像を撮り続けたダニス・タノヴィッチ監督の長編
デビュー作。周到に練られた脚本は各国で絶賛され、2001年のカンヌ映画祭で脚本賞を受賞したほか、
2002年のゴールデングローブ賞とアカデミー賞の外国語映画賞もW受賞。

 1993年6月。ボスニア紛争の最前線。霧で道に迷ったボスニア軍の兵士たちは、いつの間にか敵陣に入り込み、
気づいたときにはセルビア軍の攻撃が始まっていた。
唯一の生存者チキは、なんとか塹壕にたどり着き身を隠す。そこは、ボスニアとセルビアの中間地帯
“ノー・マンズ・ランド”。偵察に来たセルビア新兵ニノと老兵士はボスニア兵の死体の下に地雷を仕掛けて引き
上げようとする。その瞬間、隠れていたチキが二人を撃ち、老兵士は死に、ニノは怪我を負う。

チキとニノの睨み合いが続く中、死んだと思われていたボスニア兵が意識を取り戻す。しかし、少しでも体を
動かせばさっき仕掛けた地雷が……。チキはまさに身動きできない仲間を気遣いつつも敵兵ニノに眼を光らせ
るのだったが……。

 戦争の不条理を描き出した作品は数あれど、かつてこれほどまでに辛辣な内容があっただろうか。たしかに、
中間地帯に取り残された兵士たちのにっちもさっちも行かないシチュエーションはまさにコメディの王道であり、
極限状況で彼らがとる行動もまたおかしみに満ち、随所に笑いの要素が溢れてはいる。
しかし、そんな彼らのすぐ横に厳然と横たわっている(!)一個の命の重みの前には、そうそう簡単には
笑い声にするのを躊躇させてしまうのもまた事実である。たしかに、ブラック・コメディではあるのだろうが、
そのブラックさがハンパじゃないのである。
これがデビュー作となるダニス・タノヴィッチ監督の“悪意”は、これを観ている観客にも向けられているのかも
知れない? ともかくも必見の傑作である。(allcinema)

<IMDb=★8.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:93% >
<KINENOTE=75.7点>






# by jazzyoba0083 | 2019-02-06 22:55 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「メリー・ポピンズ・リターンズ Mary Poppins Returns」
2018 アメリカ Walt Disney Pictures and more.131min.
監督・(共同)製作・原案:ロブ・マーシャル
出演:エミリー・ブラント、リン=マヌエル・ミランダ、ベン・ウィショー、エミリー・モーティマー、
   コリン・ファース、メリル・ストリープ、ディック・ヴァン・ダイク他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
いかにもディズニーらしい、いかにもロブ・マーシャルらしい、面白いというより楽しい映画だった。
若きジュリー・アンドリュースがオスカー主演女優賞を獲った記念すべきオリジナルが1964年、そう
東京オリンピックの年の製作だったんだ。あれから半世紀以上の時代が流れ、キャストも音楽も一新して
新しいメリー・ポピンズが帰ってきた。オリジナルのあの楽しさ、感激、歌の素晴らしさを知る身として
は観ずにはいられない。前評判ではエミリー・ブラントがすごく良いらしいということもあり。

さて、物語としてはオリジナルから25年の月日が流れ、子供だったマイケルは一家を構え、あの時と
同じくらいの年齢の子供が三人いる父親になっていた。残念ながら妻は既になくなり、家ではマイケルの
姉ジェーン、お手伝いさんのエレンと暮らしていた。職業は絵かき。しかし世界大恐慌のアオリで仕事が
はかばかしくなく、銀行から借りていたお金が返せず長らく住んだ家を差し押さえられてしまう。
期限までに支払わないと、一家は家を出なくてはならない。と、その時、あの傘を手にした魔法使い
メリーポピンズがやってきた・・・。

アニメと実写を組み合わせた歌と踊りは大人でも楽しくウキウキ!夢と冒険とスリルと家族愛と音楽と
魔法!メリー・ポピンズの使う魔法は、ハリー・ポッターのようなものでなく単純なものだが、心温かく
優しい気持ちにさせられる魅力に溢れている。
そして、前評判通り、エミリー・ブラントの出来(歌ももちろん!)がとてもいい。大人な魔女を抑制的
に演じていて、しかし優しさを湛え表情は豊か。お子様映画に勢いが向かいそうなところをしっかりと
重しになっていた。ジュディ・アンドリュースの影が付きまとうだろうに、よく振り切って演じたと思う。
エミリーのメリーポピンズとして仕上がっていた!
コリン・ファースやメリル・ストリープ、更にお手伝いさんのジュリー・ウォルターズ、お姉さんの
エミリー・モティマーの役どころも重要だった。更に準主役といっていいジャックを演じたリン=マヌエル・
ミランダもとても良かった。

そして前作を知っている人にはとっても嬉しい仕掛けもいっぱい。最大なものは前作で大道芸人バートと
銀行家ミスター・ドース・シニアの二役を演じていたディック・ヴァン・ダイクがドース・ジュニアと
して登場。御年92歳!でタップを踊るんだ! そして凧の裏に貼り付けられた株券も・・・。

どこかで「チム・チム・チェリー」か「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」が
流れてくれないかなあ、とは思っていたが、全編新作で押し通して正解だったな。変に前作の影を追う
べきではない。しかし、ディズニーは自社の宝物とでも言うべき作品によく続編を作らせたものだ。
(ネタが無いのか?)

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<ストーリー>
実写とアニメーションを合成したユニークな映像などが評価され、第37回アカデミー賞で5部門に輝いた
名作ミュージカルの続編。前作から20年後の大恐慌時代のロンドンを舞台に、母を亡くし悲しみにくれる
バンクス家のピンチを、魔法使いのメリー・ポピンズが魔法の力で救う。エミリー・ブラントがメリー・
ポピンズを演じる。

大恐慌のただ中にあるロンドン。バンクス家の長男マイケル(ベン・ウィショー)は今では父や祖父が勤めた
フィデリティ銀行で臨時の仕事に就き、家庭を持っている。しかしロンドンは大暴落のあおりを受け、
余裕を失っていた。妻を亡くし悲しみに暮れるマイケル一家に、追い打ちをかけるように融資の返済期限が切れ、
家を失いかねない状況に。
そんな折、かつてバンクス家に来た魔法使いのメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)が、20年前と変わらぬ
姿で空から舞い降りてくる。
バスタブの底を抜けて海底探検に向かったり、絵画の世界に飛び込み華麗なミュージカル・ショーを繰り広げ
たりと、一風変わった方法でバンクス家の子供たちのしつけをするメリー・ポピンズ。
彼女の魔法は日常をカラフルに変えていく。(Movie Walker)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:78% Audience Score:69%>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-05 11:45 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「ブルースチール Blue Steel」
1990 アメリカ Lightning Pictures (presents) 102min.
監督・(共同)脚本:キャスリン・ビグロー
出演:ジェイミー・リー・カーティス、ロン・シルヴァー、クランシー・ブラウン、ルイーズ・フレッチャー他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
「ハート・ロッカー」等で最近ブレイクしたキャスリン・ビグロー監督の初期の作品。一応(苦笑)
プロデューサーにオリバー・ストーンの名前が見える。今から30年前、ビグローも30代、あれも
やりたい、これも入れたい、と欲張ったな。そこそこ観られるの作品であるのだが、出来の悪い
ブライアン・デ・パルマのB級映画の匂いがプンプンする。プロットとプロットの結びつきに強引さが
目立ち(たとえば主人公と犯人の出会いとか、犯人と分かってからの主人公や犯人の行動などなど)、
粗っぽいなあ、と思って見ていた。ロン・シルヴァー演じるサイコパスは気持ち悪くてなかなか良かった
のだが、どこか一本筋が通ってなさそうで、そのあたりがいまいち。
主人公の女性警官メーガン・ターナー(ジェイミー・リー・カーティス)は雰囲気はいいのだけれど、
プロットの弱さに引きずられて上手いことキャラクターが出せず、損をしていた感じだった。
(個人的に彼女は「トゥルーライズ」でジェット機を操縦していたシュワちゃんの奥さん役が
とても印象的だった)

Rotten Tomatoesの批評家連の評価は高めだが、私は一般鑑賞者の評価の方が当たっているのではないか
と思う。またIMDbの★も妥当だと思う。

ひとつ思うのは後年、ビグローが賞を獲るような映画と描き方の根っこが繋がっているな、と感じる雰囲気
は持っている。美人だが、男がなるもの、という相場の警官になる主人公の目に映るサイコパスとDVの父親、
そして自分が警官になったことで射殺される親友や相棒の殺人課の刑事(手錠でハンドルに繋いじゃだめ
でしょ。しかもそうして追った相手がただのホームレスで、その間に相棒はサイコパスに銃を突きつけ
られるという・・)など、取り囲む男どもに対する不信や狂気など、ビグローがずっと持ちづづけている
テーマじゃないかと思う。最近の「デトロイト」の黒人をいたぶる白人の若い警官もそうした狂気を内在
しているし。本作では、それを「銃」という形で具象化しようとしたのではないか。
まあ、出来はいまいちだったがビグロー監督を勉強する上では良かったと思う。

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<ストーリー>
ニューヨーク・ポリス・アカデミーを卒業し、生涯の夢だった警官になったメーガン・ターナー
(ジェイミー・リー・カーティス)は、パトロールの第1夜にスーパーマーケットの押し入り強盗を目撃し、
彼女は犯人を射殺する。ところが現場から犯人の銃が発見されず、はっきりとした証言も得られなかった
ことにより、メーガンは停職処分をうけてしまう。実はその銃は、現場に居合わせた株のエグゼクティヴ、
ユージン・ハント(ロン・シルヴァー)が盗んでいたのだった。

彼は銃を放つメーガンの姿に魅せられ、その銃の薬莢に彼女の名を彫り込み、深夜無差別殺人を展開させる。
殺人課のニック刑事(クランシー・ブラウン)の監視のもと、混乱の日々を過ごすメーガンは、ある雨の日
ユージンと出会う。ユージンの正体を知らないメーガンはやがて彼と激しい恋におちるが、ある夜ユージン
から自分が犯人であることを告白されたメーガンは、彼を逮捕することを決意する。
しかし強力な弁護士がつき、確実な証拠もつかめないままメーガンが手をこまねいているうちに、ユージンは
彼女の親友のトレーシー(エリザベス・ペーニャ)を射殺し、ニックも彼の銃弾に倒れた。
そしてひとりユージンに立ち向かう決意をしたメーガンは、凄まじい逃走と追跡の果てに、命からがら
ユージンを射殺するのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★5.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:71% Audience Score:36%>
<KINENOTE=63.6点>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-04 23:05 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

マスカレード・ホテル

●「マスカレード・ホテル」
2018 日本 東宝、フジテレビジョン、シネ・バザール。133分
監督:鈴木雅之  原作:東野圭吾『マスカレード・ホテル』
出演:木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、松たか子、渡部篤郎、石橋凌、鶴見辰吾、濱田岳、菜々緒、宇梶剛士、生瀬勝久他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
原作は未読なれど、ミステリのプロットがテレビの2時間サスペンスのようで、物語としては不満な出来だった。
ただ、オールスターの顔ぶれや評価すべきカメラの動き(映像の工夫)などで2時間以上はとりあえず飽きずに
観ることは出来た。お客を信用して疑うことを避けるホテルの姿勢と、人を見たら泥棒と思え、の警察の、両者の
姿勢や考え方の違いに一定の面白みを感じることは出来た。

一番もったいないと思ったのは、濱田岳、高嶋政宏、宇梶剛士と菜々緒、生瀬勝久のパートが本筋とは全く関係なく、
ホテルの苦労話の挿話に過ぎないので、これを、サスペンスの伏線やミスリードに使えばいいものを、と思ってみて
いた。
最後の真犯人のバラシの下りは、そうした伏線が細い、というか謎解きが「単独峰」のように孤立してしまい、
展開がイージーであっけなく、サスペンス、ミステリものとして厚みを欠く、手応えが薄いものになってしまった。

なんだか多くのキャスティングを押し込まれて、消化するのに汲々とした感じで、お腹いっぱいだけど、未消化、と
いった体だ。キムタクは悪くはないのだけれど、この人はホント何をやってもキムタクなんだなあ。
本来、アガサ・クリスティなどのミステリものが持つグランドホテル形式の緊張感がまったくなかったのが残念。

あえて評価するとすれば考えられたカメラアングルなどのキャメラワークだ。それがなかったら、途中で寝ていた
だろう。それとキムタクと長澤に変な恋愛感情を入れなかったのが(あったかなかったかは見た人の想像に任せた)、
物語の「湿度」を下げて、良かったとは思う。

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<ストーリー>
東野圭吾の人気シリーズを木村拓哉&長澤まさみ主演で映画化したミステリー。連続殺人事件を解決するため、
ホテルに潜入したエリート刑事・新田と優秀なホテルマン、山岸がタッグを組み、事件の真相に迫っていく。
濱田岳、前田敦子、笹野高史、高嶋政宏ら豪華キャストがホテルを訪れる素性の知れない宿泊客を演じる。

都内で3件の殺人事件が起こり、すべての事件現場に残された不可解な数字の羅列から、事件は予告連続殺人として捜査
されることになる。警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介(木村拓哉)はその数字を解読し、次の犯行場所はホテル・
コルテシア東京であることを突き止める。
しかし犯人への手掛かりは一切不明のため、警察はコルテシア東京での潜入捜査を決断する。新田はホテルのフロント
クラークとして犯人を追うことになり、コルテシア東京の優秀なフロントクラーク・山岸尚美(長澤まさみ)が彼の
教育係に任命される。刑事として次々と現れる素性の知れない宿泊客たちの仮面を剥がそうとする新田と、ホテルマンと
して利用客の仮面を守ろうとする尚美は幾度となく衝突を繰り返すが、共にプロとして価値観を理解し合うようになって
いき、二人の間に不思議な信頼関係が芽生えていく。そんななか、事件は急展開を迎え、警察とホテルは追い込まれて
いく……。(Movie Walker)

<KINENOTE=74.0点>



# by jazzyoba0083 | 2019-02-03 12:15 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「ピースメーカー The Peacemaker」
1997 アメリカ DreamWorks SKG 124min.
監督:ミミ・レダー
出演:ニコール・キッドマン、ジョージ・クルーニー、マーセル・ユーレス、アレクサンダー・バルエフ他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
もう20年以上も前の作品になるのだなあ。(記念すべきドリームワークスの第1作)作らた当時はまだ9.11の
前で、作品のNYのシーンにはWTCのツインタワーも見えている。本作が作られた時期を考えて、これを今見ると、
またいろいろと考えさせられた。
1997年には既に収束していたボスニア紛争はチェコやユーゴスラビアの解体を招き、東ヨーロッパが不幸の
どん底にいたころだ。そうした状況を背景に、大国の横暴、身勝手がいかに小国の幸せを踏みにじるか、と
いう今もなんら変わらないテーマを思い出していた。ただ、このボスニア紛争を始めとする当時の東欧の混乱は
日本人にはいささか難しく、その辺りがこのアクション映画の面白さのマイナスに働いてしまったのではないか。

スタートという米ロの核軍縮の約束事で廃棄されるはずのロシアの核弾頭が盗まれるという大筋は分かりやすい
のに、背景が複雑なので、一体誰の何がどうなっているのか、が見えづらくなってしまったウラミが残った。

まだVFXも今ほど洗練されていな中、カーチェイスを始めとしてなかなか頑張っていたと思うし、特に今は
世界遺産となったウィーンの町中でのカーチェイスは貴重なのではないか。ニコール・キッドマン、キレイだけど、
この後のほうが更に妖艶になった。クルーニーももう少し年齢が行った時代のほうが作品に厚みを感じるが、
この映画は、ふたりとも若い魅力はそれなりに魅せてくれていたと思う。アメリカでの評価は低いが興収は良かった
ようで、アクション娯楽作としてはそこそこ面白い(話は複雑っぽく大味な感じもするが)と感じた。
ピースメーカーという言葉が皮肉に聞こえたら、この映画の狙いの一つは達成したと思って良いのでは?

ミミ・レダーはテレビ畑、「ER」で育ち、初めてメジャーな映画を撮った。まずまず手堅く纏めたと思う。この
あと「ディープインパクト」「ペイフォワード」と佳作をたて続けに撮ったあとはまたテレビに戻ってしまって
いるが、もうお年もお年、本格的にスクリーンに戻ることはないのだろうか。

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<ストーリー>
消えた核の行方を巡り、世界的な規模で展開するハイテク・サスペンスアクション。
監督のスティーヴン・スピルバーグ、パラマウント映画やタッチストーン・ピクチャーズ出身のプロデューサーの
ジェフリー・カッツェンバーグ、ゲフィン・レコードの代表であるデイヴィッド・ゲフィンの3人が共同で
設立して話題を呼んだエンターテイメントの総合会社、ドリームワークスKSG社(3人のイニシャル)の
第1回映画作品。
監督にはTVドラマ『ER 緊急救命室』の女性監督ミミ・レダーが抜擢され、劇場用長編映画のデビューを飾った。
米国のジャーナリスト、アンドリューとレスリーのコクバーン夫妻の旧ソ連における核燃料物質の密輸に関する取材に
基づき、「クリムゾン・タイド」のマイケル・シーファーが脚本を執筆。

ロシアから解体される予定の核弾頭10発が盗み出され、そのうちの1発は爆発した。核爆発を確認したアメリカは、
ケリー博士(ニコール・キッドマン)ら専門家を召集、国際テロ専門のデヴォー大佐(ジョージ・クルーニー)は
ウィーンで輸送に使ったトラックの足取りを掴む。目的地は謎の暗号「44E」。

その頃、ボスニアで外交官のデューサン(マーセル・ユース)が国連に派遣されることが決定した。一方、監視衛星で
トラックを捉えた大佐は核弾頭8発の回収に成功する。残りの1発はデューサンの手に渡り、外交官の荷物として無審査で
ニューヨークに持ち込まれた。博士は暗号「44E」が国連ビルのあるマンハッタン44丁目のことであることを解明する。
放射能探知機を便りにその行方を追う大佐と博士は、ついにデューサンを発見。デューサンは自殺し、危機は回避された。

<IMDb=★5.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:39% Audience Score:39%>
<KINENOTE=65.8点>




# by jazzyoba0083 | 2019-02-02 23:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ヒトラーに屈しなかった国王 The King's Choice」
2017 ノルウェー Paradox. 136min.
監督:エリック・ポッペ
出演:イェスパー・クリステンセン、アンドレス・バースモ・クリスティアンセン、カール・マルコヴィクス、カタリーナ・シュットラー他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<監督>
昨年映画館に見に行くつもりが機を失ってしまい見られなかった作品。この度WOWOWが放映してくれたので
録画して鑑賞した。個人的にノルウェーという国をよく知らない。ビートルズの曲と村上春樹の小説、ノーベル賞
冬季スポーツのノルディックくらだろうか。その国の第二次世界大戦時にこうした秘話があったことを知り得たことが、
まずこの映画を観たことの収穫。スカンジナビア半島の帽子のように北極海に面した横に細長い国である。首都は
オスロ。

映画の冒頭で説明されるが、ノルウェーは長らくデンマークとスウェーデンの属国状態であったが、20世紀の初頭
独立の機運が盛り上がり、国民投票で君主制が選ばれ、議会は投票の結果デンマークのカール王子(デンマーク国王
フレデリク8世とその妃でスウェーデン=ノルウェー国王カール15世の娘であるロヴィーサの次男。兄はデンマーク王
クリスチャン10世。)を国王に選出し、カール王子はホーコン7世として、オスロに入り、ノルウェーは立憲君主国で
主権国家となった。この映画はホーコン7世の治世の1940年4月、突然侵攻してきたナチスドイツとの戦いの物語で
ある。4月9日から3日間を描く。

当時、破竹の勢いであったヒトラー率いる第三帝国は、版図を急激に広げつつ有り、ドイツの周辺国に次々に侵攻して
いった。ノルウェーも例外ではなかった。本作では、オスロ駐在のドイツ大使がヒトラー直々の命令で国王に謁見し、
ナチスが認めた人物を首相に据えて、無血的に国を明け渡せと主張してきたのに対し、断れば、軍事侵攻を招き
(既に始まっていた)国民に犠牲を強いる、しかし、主権国家として、国民に信を問わない政体はありえないと考える
国王は、王宮から北へ北へと逃げる道すがら、悩みに悩む。息子の皇太子は国民の苦難を看過できないとして軍に
入ると主張する。 国王は謁見にやってきたドイツ大使に対し、国民の信を得ていない人物を首相に任じることはで
出来ない、とドイツの交渉を断ってしまう。悩んだ末に、国王は国民に艱難を舐めさせることになっても主権国家
たる挟持を捨ててはならない、と思ったのだ。その後ホーコン7世と皇太子はロンドンに亡命し、対独抗戦を励まし
続ける。当のノルウェーはドイツの本格的な侵攻に3日間で降伏した。皇太子の家族(ホーコン7世の孫たち)は
アメリカに避難していた。ドイツの敗戦とともに、家族はロンドンに集合し、オスロへと戻ってきたのだった。

本作では以上のような経緯をホーコン7世、駐オスロドイツ大使ブロイアーとその妻、皇太子、そして前線の
まだ少年のような兵士セーベルの目を通して描いていく。原題になる通り、「国王の選択」は、自分をノルウェーの
国王に選んでくれた国民を捨てる訳にはいかない、やすやすとヒトラーにくれてやることはしない、という決断は
身を捩るような苦しい決断だったに違いない。しかし、主権国家としてのノルウェーを決して売らないという決意は
末端の兵士やドイツ大使にも伝わる力強さを持っていたのだった。国民から愛される国王であり、国民を心から愛した
国王の決断だったのだ。物語を3日間という短い時間に押し込めたことにより、より映画から伝わるメッセージが
濃く感じられたのだった。画面がいささか単調だったかなあ。

この映画の中には今の世の中でも通じるセリフがたくさん出てくる。ということは、原題が第二次世界大戦前夜の
ような状況になっている、ということではないか、そう思ってこの映画を見る時、本作がただの歴史伝記映画では
ない、と思えてくるのだった。

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<ストーリー>
第二次世界大戦当時、ナチス・ドイツに抵抗し、国の運命を左右する決断を下したノルウェー国王の3日間を描いた
ドラマ。1940年4月、ナチス・ドイツ軍がノルウェーに侵攻。降伏を拒否したノルウェー国王ホーコン7世は、
首都オスロを離れるが……。

1940年4月9日、ナチス・ドイツ軍がノルウェーの首都オスロに侵攻。これに応戦するノルウェー軍だったが、
圧倒的な軍事力によって、主要都市が相次いで占領されてしまう。ドイツ軍は降伏を求めてくるが、ノルウェー
政府はその要求を拒否。
ノルウェー国王のホーコン7世(イェスパー・クリステンセン)は、政府閣僚と共にオスロを離れる。
だが、ドイツ公使は再び降伏を要求し、ノルウェー政府に国王との謁見の場を設けるよう求めてくる。
翌日、ドイツ公使と対峙した国王は、ナチスに従うか、国を離れて抵抗を続けるか、国の運命を左右する選択を
迫られる……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:84% Audiece Score:81%>
<KINENOTE=70.3点>




# by jazzyoba0083 | 2019-01-30 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「マクファーランド 未来への疾走 Mcfarland,USA」
2015 アメリカ Mayhem Pictures,Walt Disney Pictures.129min.
監督:ニキ・カーロ
出演:ケヴィン・コスナー、マリア・ベロ、モーガン・セイラー、マルタ・イガレータ、マイケル・アグエロ、セルヒオ・アベラル他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
貧困層の子供らが通う中学や高校、やる気の無さ、暴力、家の事情での不登校などが蔓延する程度の低い学校。
ここを舞台にし楽器、音楽やスポーツを通して、少年少女のやる気を出させ、相応の結果を出す、というプロットの
映画はたくさん見てきた。こうした映画は実話に基づいていることが多く、本作もまさにそれである。製作が
ディズニーだし、安心して見ていられる上、ハイライトは感激のシーンなので、誰でも胸が熱くなるだろうし、
涙が溢れるかも知れない。当たり前のような(予定調和っぽい)ストーリー(実話なんだけど)に驚くことはない
けど、そこは実話が持つチカラ、最後が大体分かっていても、感激して見終えることが出来る。本国での評価も高い。
アメリカではこうした話はゴロゴロしているんだろうなあ。

本作のユニーク(魅力)な点は、カリフォルニアの移民農家の子どもたちが主人公で、普段から登校前、下校後に走って
畑に行って過酷な収穫作業を手伝っていることから、「持久走」には普段から鍛えられていて、そこに目を付けた新任の
コーチ、ケヴィン・コスナーが「クロスカントリー部」を作った。7人の青年たちを鍛え上げてく様子が描かれて行くの
だが、子供らが好むと好まざるとに関わらずやらなくてはならなかった家の仕事と学校のスポーツが不可分であったことだ。
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前任の高校でやる気のないアメフト部の部員に体罰を加えたことからクビになり、カリフォルニア州のマクファーランド
高校にやっと採用されたジム・ホワイト(ケヴィン)。
カリフォルニアの地図を見ると分かるが、LAのちょっと北にベイカーズフィールドという大きな街がある。そこから
さらに北にいくとマクファーランドがある。住民の殆どはメキシコ系で、地元のアーモンドとかキャベツやアーティ
チョークなどの大農場に働く貧しい農業従事者が主な住民で、英語が通じない、という奇妙な環境だ。

こうしたいくつもの映画の例に漏れず、やる気のない生徒、荒れる生徒、親の事情で学校に来たり来なかったりする
生徒など問題児だらけ。その中でジムは本来のアメフトのコーチ補佐になるが、主任コーチと意見が合わず、辞めて
しまう。体育の時間にグランドを走らせてみると、やたら早い子供がいる。そこに目をつけたジムは自分も経験のない
クロスカントリー部を作ることを決心する。7名の部員が必要なのだが、部員集の紆余曲折も描かれる。
子供らは一家の収入を支える一人として期待されている労働者でもあったのだ。だがジムはスポーツでいい成績を挙げ
れば、大学に行ける、大学に行けば農業も勉強できるし、更にいい収入も約束され、家族を安心させられるぞ、と
部員を必死に集める。

こうして凸凹ではあるが7人のチームが出来た。コーチも選手も経験のないジャンルのスポーツに手探りで挑む。
交流大会でメタクソにやられると、やはり部員には悔しさが溢れる。そのチカラで州大会予選をなんと4位で
通過。こうなると街でも放っておかず、ヒスパニック系の陽気さも手伝って、お祭り騒ぎとなっていった。
一方、治安の悪いやさぐれた街に引っ越してきたことに妻や子供は早く引っ越したいと思っていたのだが、長女が
15歳の誕生日を迎えると知ると、地元の人達は総出で、ジムの家で長女の成人(メキシコでは女子は15で成人)式
をマリアッチn生バンドも入れたり料理を手伝ったり、大きなパーティーを開いてくれた。
感激するジム一家。マクファーランドの人たちを見直した一瞬だ。しかし、そのパーティーのあとで長女がよそ者に
暴力を振るわれる、という事態が発生、激怒したジムは、ライバル校で、ジムをコーチに誘っていたパロアルト高校に
職場を移そうと決心した。

その後に開かれた州大会本戦。揃いのジャージが作られ街中が応援に着て見守る中、7人の生徒は、お互いに補い
会い、見事にカリフォルニア州の高校対抗第一回クロスカントリー大会で優勝してしまう。ジムと7人の子供らの
奮闘、そして親の理解がこの偉業を達成させたのだった。ジムはライバル校へ行くのを止め、マクファーランド校に
残ることに決めた。

映画では7人のその後が実際の今の人物を紹介する形で描かれるが、7人はいずれも大学に進み、それぞれひとかどの
人物になっていた。そしてマクファーランド高校はその後カリフォルニア州でクロスカントリーの強豪校になったの
だった。
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底辺にいる生徒と優秀な(というより子供思い)の教師との成長の話は、繰り返すが、珍しくないが、いまアメリカが
抱える多様性という問題や、貧富の差という問題、教育の問題など、示唆に飛んだ内容で、アメリカにはまだ知らない
部分があるんだな、と勉強もさせてもらった。7人の生徒役がみな生き生きとしていた良かったし、ケヴィンの抑制の
効いた演技も全体のバランスの中で良かったと思う。日本の中学生や高校生に見てもらいたい作品である。
女流監督のニキ・カーロはこのあと「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」という話題作をモノして
いるが、本作でも丁寧な作り込みが感動を呼ぶ。
日本では劇場未公開となってしまったので、是非DVDなどで学校上映会があるといいかなあ、と。

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<ストーリー>
コーチも部員も経験ゼロからスタートした高校の陸上クロスカントリー部が、やがて全米屈指の強豪チームとなった
奇跡の実話を映画化。「ドラフト・デイ」などのK・コスナーが、貧困の中で希望を失っていた生徒たちに正面から
ぶつかり、やる気を引き出していく主人公役を熱演。人種も文化も言葉すら違う教師と生徒たちが、衝突しながらも
やがて信頼を築き上げていく姿が爽やかな感動を呼ぶ。
エンドロールでは実際のコーチや部員たちの姿、そしてマクファーランド高校クロスカントリー部の栄光の記録も
映し出される。(WOWOW)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80% Audience Score:88%>
<KINENOTE=71.6点>




# by jazzyoba0083 | 2019-01-29 22:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)