2009年 06月 11日
アリスのレストラン Alice's Restaurant
1969 アメリカ MGM,United Artists,111min.
監督:アーサー・ペン 原作:アーロ・ガスリー
出演:アーロ・ガスリー、パット・クィン、ジェームズ・ブロデリック、マイケル・マックラネイサン他

WOWOWで「いちご白書」を観て、間を置かずNHK-BSで本作を観た。「いちご白書」の舞台に
なっているのが1968年。本作が1969年。この1969年という年は、東大安田講堂事件があり、
アポロ11号が月面に着陸し、ベトナムに南ベトナム革命臨時政府が出来、前年にロバート・ケネディが
暗殺されている。そしてこの年のアカデミー作品賞は「真夜中のカーボーイ」であり、脚本賞が
「明日に向かって撃て」であった。そんな雰囲気の年で、私は高校2年生であった。
だから、ほぼ同世代のシンパシーを持ってこれらの映画を観ることができる。
ジャズ好きな私は、アーロとウッディのガスリー親子を残念ながら多くを知らないし、ピート・シーガーは
名前は聞いたことはあるが、曲を知っているわけではない。
そんな前提で、この映画を観はじめた。ウーロ・ガスリーは実名で出演し、ベトナムに送られる徴兵検査
を前にして大学をドロップアウトし、吟遊詩人のように放浪してくらしている。アリスが経営するレストラン
に集まる仲間、彼らが作る教会に集まる仲間。何か、アリスを中心としたコンミューン(死語)のような
雰囲気だ。あんな雑魚寝の雰囲気って、当時はあったようなあ。
フラワームーブメント盛んなころで、ヒッピーという人種が大人から眉をひそめられる存在として、しかし
サブカルチャーの主人公として活躍していた。もちろんその頃にもメインカルチャーはあったわけで。

ストーリーがあってないような映画で、(「いちご白書」もそんな感じだったが)、ウーロとその仲間、
やがて死に別れる父親のウッディとの対峙。「自分は何者でどこへ行くのか」という、若者ならば誰でも
くぐる疑問を、仲間と探す流浪の旅。本質とは関係のないところでの警官(体制)との対立や、ヤクに
走り孤独な死を遂げる仲間。そして雪の中の葬儀。やり場のない若さを持て余し、理由のない怒りに
身もだえしながら、どこかふざけている部分もある、そんな大学生は、アメリカだけじゃなく、日本にも
たくさんいたし、私もそうだった。「8月の濡れた砂」(’71製作)に出てくる若者たちにも共通する心情の
ような気がする。
アリスの存在は、若さから体制へと移り行くブリッジのような、過渡期のような存在として意識した。
だから、ウーロらにも理解を示しつつ、最後には旦那ともう一度結婚式を挙げる。そして大挙して祝福に
きた仲間が去っていったあと、教会の入口に一人たたずむウエディングドレス姿のアリスが、風に
吹かれて・・・映画が終わる。「いちご白書」の主人公が警官に担ぎ出されて排除されるシーンがストップ
して終わる感性に通じるものを感じた。
さらに、森田公一がかつて「青春時代が夢なんて、あとからほのぼの思うもの」「青春時代の真ん中は、
道に迷っているばかり」「青春時代の真ん中は 胸に刺射すことばかり」('76)と歌っていた「青春時代」
を思い出してしまった。そんな映画だった。共感を持ちながらみられたものの、ときどき引っ張り出して
きて観たいか、というと10年に1度でいいかな、そんな感じだった。
アリスの旦那を演じているジェームズ・ブロデリックは、マシューの親父さん、ということはサラ・ジェシカ・
パーカーの義理の親父さんということになるな。
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