2009年 08月 03日
バートン・フィンク Barton Fink
1991 アメリカ Unversal Pictures,Manufesto Film Sales,Circle Fims,116min.
監督:ジョエル・コーエン 脚本:ジョエル&イーサン・コーエン
出演:ジョン・タートゥーロ、ジョン・グッドマン、ジュディ・デイヴィス、マイケル・ラーナー、他
このところ気になっているコーエン兄弟の作品。WOWOWで放送していたので、録画して観賞。
「ミラーズ・クロッシング」以来かな。劇場公開の「バーン・アフター・リーディング」はパス
したので。
この映画も、いわゆるスカッとする作品ではないのだが、コーエン兄弟の世界が好きな人には
たまらないだろうことは判る。
独特のストーリー。カメラワーク、美術、編集、構図など、1カットづつにコーエン兄弟の志を
感じる。物語は、NYで成功のきっかけを掴んだ劇作家が、所属の社長からハリウッドへ行って
映画の脚本を書いたほうが、名声を得ることが出来る、という指示で、西海岸へ向かう。
彼の名前がバートン・フィンクだ。
宿舎に決めたホテルは、窓も開かないような安ホテル、壁に海辺で砂浜に座りビーチパラソルの
下で手を額にかざして海を観ている水着の女性の後ろ姿の画が飾ってあった。これが、
エンディングへと導くのだが。
紹介された映画会社の社長は、やたら調子のいいやつで、ライターを尊敬しているという。
彼からのアイデアで、レスラー映画の脚本を書くことになる。実はバートンは映画を良く
知らないのだ。
ホテルに缶詰めになってタイプライターの前に座るものの、アイデアは湧いてこない。そんな折、
隣の部屋に投宿しているチャーリーという巨漢の男(ジョン・グッドマン)と最初は隣の音が
うるさいと抗議したのだが、それがきっかけで彼と親しく話が出来るようになる。
彼は保険のセールスマンで、アメリカを渡り歩いているという。気のいいやつで、孤独な
作業のバートンに何くれとなく声をかけてくる。
映画のプロデューサーに相談をしに行くと、同業者と会話したらどうか、とアドバイスされた。
たまたまその後のトイレで、高名な作家ビル・メイヒューに出会い、彼から自分の家に来る
ように言われる。
訪ねていくと、ビルは酒で荒れていて秘書で恋人のオードリー・テイラー(ジュディ・
デイヴィス)が対応、いずれちゃんとした時に3人で会いましょうと言ってくれる。
後日、3人で会うと、ビルにはアーカンソーに精神を病んだ妻がいて、そんなこともあり、
ビルは物が書けない状況だった。そんなビルからは何のヒントも得ることは出来なかった。
彼の投宿しているホテルは、どこか不気味で、チャーリーが生活している隣室からは相変わらず
変な音が聞こえ、壁紙が自然と剥がれてくる。
或る夜、チャーリーがいつものようにバートンの部屋に酒を持ってきて、今度NYに出張だ、
という。そこでバートンは叔父さんの住所を教え、訪ねるように勧める。
書けない状況が続き、プロデューサーからは明日社長に口頭でストーリーを説明しなく
ちゃならん、と言われ、窮したバートンは、ビルの恋人で秘書のオードリーに深夜にも
関わらず助けを求める。
オードリーは来てくれて、いろいろ話すうちに、最近のビルの作品はオードリーが書いていた
ことが判った。その夜、二人は男女の中に。しかし・・・
翌朝起きてみると、ベッドの横で寝ているのは、血まみれになって死んでいるオードリーだった。
(オードリーの肌にたかっている蚊を叩いてつぶすと、その衝撃で、彼女の体の下から大量の血が
流れ出てくるところは、良くできた戦慄の演出だ)
絶叫するバートンの部屋に隣室からチャーリーが駆けつけるが、何ともない、と追い払う。
バートンにはオードリーをどうにかしたという記憶が全くないのだ。バートンは、やはり
チャーリーに真実を告げ、自分はやってない、と困り果てていると、チャーリーは、自ら遺体の
始末を買って出て、このことは何も無かったし、お前も何もしていないのだ、忘れろ、という。
社長への説明は何とか切り抜けたが、チャーリーが数日出かけるという。ある箱を彼に預けて。
バートンはこの街で、信じられるのは君だけだ、と泣きつくが、すぐ戻るから、と言い残して
出かけて行った。
次の日、ロス警察の刑事2人が、チャーリーの写真を持って、この男を知らないか、と訪ねてきた。
実は彼は本名カール・ムントといい、殺人鬼だ、というのだ。刑事から何か知っているか、
と聞かれたが、彼は隣室の保険外交員だ、としか答えなかった。刑事たちは名刺を残して去って
行った。
チャーリー(ムント)が預けて行った箱には、殺した女の首でも入って売るのか、と想起させる。
これをきっかけに、チャーリーは俄然筆が進み、あっという間にレスラーものの台本を書き
あげてしまう。
書きあげて浮かれて街へ出てダンスホールにいって帰ってくると部屋には件の刑事がいて、
作家のビルとオードリーの死体が見つかったという。お前も共犯だ。ムントはどこにいるか
正直に言え、と迫る。
そこにムント(チャーリー)がショットガンを携えて戻ってきた。ホテル内が異常に熱い。
そのうち、壁から火が出てくる。ムントが火を点けたのか?そしてムントは「精神の生命を
見せてやる」と叫びながら刑事二人を射殺する。
ムントは手錠でベッドに繋がれたバートンの部屋に現れ、「おれを変だというならみんな変だ」
「あがらえられない残酷な気持ち、おれは解放してやってったんだ」「NYの叔父さんの家には
行ったよ、みんないい人だった」「預けた荷物は俺のものじゃない」といい、ベッドを壊して
バートンを開放し、ムントは自分の部屋に戻って行った。
ホテルから出たバートンは、NYの叔父さんの家に電話するが誰も出ない。(殺されたのだろう、
ムントに)
出来あがった台本を社長の元に持っていくが、駄作だ、穀つぶし、契約し脚本は書かせるが
製作はしない、と激しくののしる。自分はいい作品を書いたつもりなのに。
悄然として海岸に来たバートン。手にはムントから預けられた箱が。そこに水着の女が通り
かかり、「いい日ね」と声をかける。その箱はあなたのなの?「判らない」「女優なの」
「バカね」という会話が続き、彼女は砂浜に腰をおろし、海のかなたを手をかざして見つめる。
そう、ホテルの部屋に飾ってあったあの絵のままに・・・ END。
どこまでが真実で、どこまでが妄想・虚構なのか判然としない。ラストの海岸の女性は何者?
あの
壁の絵との繋がりは?ホテルの火災はイメージなのか本当なのか。
茶色を基調にした画面に、奥行きを意識した構図、カメラワークなど、素晴らしい。判りにくい
ことが不快ではない、コーエン兄弟の真骨頂だろう。人間の実相は非常に不可解である、
ということを映像を通して感じた。それが彼らの言いたいことかどうかは知らないが。
コーエン兄弟の映画ってみんなそんな感じじゃないだろうか。主役のタートゥーロ、殺人鬼を
演じたデブのジョン・グッドマン、ハマってましたね。
NYで「小市民の実生活を描きたい。そこにこそ真実がある」と言っていたバートン。
「精神の生命を見せてやる」とショットガンをぶっ放すムント。そこには通底するものが
ありますね。
この映画の情報はこちらまで。
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