レイチェルの結婚 Rachel Getting Married

●「レイチェルの結婚 Rachel Getting Married」
2008 アメリカ Clinica Estetico,Marc Platt Productions,112min.
監督:ジョナサン・デミ
出演:アン・ハサウェイ、ローズマリー・デウィット、ビル・アーウィン、トゥンデ・アデビンペ
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<感想>
「プラダを着た悪魔」でカワイコちゃんを演じていた、あの娘がシリアスな役をどう演じるか、
これでオスカー候補になった、ということもあり、観てみました。
ハン・ハサウェイの演技は、迫力あり、体当たりの演技だな、という感じは出ていたと思う。
この映画の特色に、音楽が常に映画の中で本当に鳴っているということがあるが、本人も
告白しているように、現場での音楽がうるさくて相手のセリフが聞こえず、思わず、
「音楽を止めてよ!」とアドリブでさけぶところがあるが、そこも上手く使われている。

殆ど全編手持ちカメラで、ドキュメント風の仕上げ。出演者のセリフ回しも、普段のしゃべりの
ような雰囲気を敢えて出していた。カット割りもめちゃめちゃ早かったり、長回しだったり。
そういう映像的なメリハリもあり、だ。

映画全体としては、秀作、とう点にまでは達していないと感じた。問題児を抱えた家族の相克は
丁寧に描かれてはいたが、何かが足りない。何だろう。
一番違和感を覚えたのは、家から飛び出した妹がY字路をまっすぐ進んで岩に激突して気絶
するのだが、その後姉から手当てを受けて急にしおらしくなってしまい、姉との感情の激突も
和らぐのだが、あまりに突然の変化に、あれれ、と思ってしまった。

<ストーリー>
麻薬依存症のキム(ハサウェイ)は、姉レイチェルの結婚式のため、一時帰宅する。
帰ってみると、キムは介添え人から外されていることにショックを受ける。そして、式の前の
両家や友人とのパーティーのスピーチで、自分が依存症であることなどを、口走り、周囲を
白けさせたり。姉との気持ちのすれ違いは、妹にも姉にも原因があった。

依存症のキムは、運転免許取り立ての頃、幼い弟イーサンを連れて遊びに行き、クルマごと
河に転落、チャイルドシートを外せなかったキムは、イーサンを溺死させてしまったのだ。
キムは自らを許せない、姉は弟を殺した妹を許せないのは勿論、両親の目がどうしても
キムに行ってしまうことに嫉妬していたこともあった。その後キムは施設に送られて更生プロ
グラムをこなし、なんとか外泊が許可されるまでになった。

弟の事故死のため両親は離婚、姉は音楽関係で成功しているシドニーという黒人男性と結婚
するまでになった。そこに現れた問題児の妹。お互いに解決していない感情を激突させ、
またこれに父や、別れた母も加わり、崩壊した家族が、それぞれの立場で、主張し、攻め、
労わる。更に結婚式というセレモニーと新しい家族が増えることにより、次第に変化して行く。
そして、いい争いの挙句にクルマに乗って外に飛び出たキムは、自ら林の中に突っ込んでいき
岩に激突して気絶する。ジョギング中の人が発見し、救助され、家に戻ってきたキムを姉の
レイチェルは優しく接し、一緒に風呂に入って背中を流すとそこにはイーサンという名前の
刺青が・・・。彼女は自分を許せない故に、周りに当たり散らし、自虐的にもなっていたのだ。
姉は、妹を許すことに。そして介添え人に指名し、いよいよ結婚式と披露パーティーが開かれた。

キムは姉を祝福し、失敗することなく披露宴までを終えた。そしてまた施設に帰って行った。
しずかに見送るレイチェルであった。

レイチェルの結婚相手がヒンドゥー教?を信じる黒人一家であることが、ある意味この映画に
変化を与えている。アメリカ東部のコネティカット州で、白人一家と黒人一家が宗教も違う
(結婚する二人はキリスト教か?)中でファミリーとなろうとしていることに対比し、
白人側の家族は崩壊一歩手前状態。こうした状況が映画に厚みを加えていると感じた。

本論ではないが、日本人から見ると、全くの白人一家と全くの黒人一家がお互いに尊敬しあい
愛し合い、同じファミリーになろうとする姿勢は、なかなか理解しがたいかもしれない。
私などはそっちの方に興味が言ってしまったくらいだ。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-06-30 23:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)