壬生義士伝

●「壬生義士伝」
2002 日本 松竹 137分
監督:滝田洋二郎  原作:浅田次郎  脚本:中島丈博
出演:中井貴一、佐藤浩市、村田雄浩、三宅祐司、夏川結衣、中谷美紀、塩見三省、堺雅人他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
一口で言って長過ぎ。実は4月の頭はLAに出張していて、本作はJALの機内で観賞した。
綺麗とも言えない小さな画面で見たので、割り引いてあげないと可哀そうな部分もあるが、
飛行機の中でもこの時間は必要以上に長く、特に皆さん指摘のように中盤から後半に掛けて
だれる。浅田次郎の「シエラザード」を読んだ時ももう少しタイトにしたほうがいいのに、と思った
ことがあるが、これも映像としてそうなってしまった。
脚本はボタバラなどのどろどろ昼ドラ王、中島丈博。持って行き方はいいのだが、やはり
繰り返すがだれる。それと、これは原作のことなのでしょうがないが、南部藩の食い扶持稼ぎ
脱藩浪人(中井)が、故郷の嫁や子どもらにお金を支送るために新撰組に身を投じ、
金の亡者と言われながらも、命を大切に、いつかは南部に戻ることを信じて生きていた。
彼は周囲にもいつも生きろ、命を大切にしろ、と、無駄に命を掛けることを諫めていたが、
結局、彼自身鳥羽伏見の戦いで、「武士の義」に殉じてしまう。このあたり、すっきりしなかった。

なんであれだけ家族を大切にしそのために脱藩までし、命の大切さを信条にしていた男が、
武士の忠節や義に殉じようとするのか、そのあたりの心情が理解しきれなかった。
そして、優秀な長男は、父親の血をもろに受け継いで、まだ少年だというのに、家族と判れ
榎本武明の「五稜郭」の戦いに参戦し、帰らぬ身となる。

冒頭、老人となったかつての人斬り斉藤一(佐藤浩市)が、熱をだしたマゴを背負い訪れた
医院で、大野という医師の机の上に、かつて彼が新撰組に居た時に「一番憎んだ男」と
して見ていた「吉村貫一郎」という男の写真が飾ってあるのを見つける・・・・
映画のスタートとしては如何にも「伝奇」作品らしくて面白い。以降、斉藤(佐藤)の語りで
話は進むのだ。中井と佐藤の演技は、誠に宜しい。脇を固める村田、夏川、中谷、堺、塩見ら
も実在の人物にも似ていて宜しい。ただ三宅祐司は、このポジションかなあ、という疑問が
残った。

本作はこの年の日本アカデミー賞作品、主演男優(中井)、助演男優(佐藤)を獲得しているが、
作品賞かなあ、という疑問が残った。2時間くらいに仕上げていたらもっともっと面白い映画に
なったろうにな。きょうびの日本映画は、無駄に長いのが多く、辟易する。

<ストーリー>
「人気作家浅田次郎の同名ベストセラー小説を、「秘密」「陰陽師 ~おんみょうじ~」の
滝田洋二郎監督が映画化した感動の時代劇。
混迷する幕末を舞台に、無名の新撰組隊士吉村貫一郎を主人公に、“守銭奴”とさげすまれても、
愚直なまでに愛する者のために生き抜いた一人の男の波瀾の運命を描く。
主演は中井貴一。共演に佐藤浩市。
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 幕末の京都・壬生。尊皇攘夷の名の下にこの地で結成された新撰組は、表向きこそ勢いを見せるが、
力を増す倒幕勢力の前に浮き足立ち士気は低下の一方だった。そんなある日、一人の剣士が
入隊してきた。盛岡の南部藩出身のその男、吉村貫一郎はみすぼらしい身なりに似合わず、
これまでに何人もの人を斬り捨ててきた猛者だった。
しかし、大儀のためには己の命をも顧みない隊士たちの中にあって、恥ずかしげもなく命に固執し、
さらには何かにつけてお金に執着する貫一郎の姿は異彩を放っていた。そんな貫一郎に、近藤勇も
一目置く斎藤一は嫌悪を感じるのだったが…。」(allcinema)
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by jazzyoba0083 | 2011-04-05 12:00 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)