シャイン Shine

●「シャイン Shine」
1995 オーストラリア Australian Film Finance Corporation,and others,105min.
監督:スコット・ヒックス
出演:ジェフリー・ラッシュ、ノア・テイラー、アレックス・ラファロウィッツ、アーミン・ミュラー=スタール
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<1996年度アカデミー主演男優賞受賞作品>


<評価:★★★★★★★★☆☆>
実話をベースに脚色してあるとは言え、凄い人生だ。タイトルの「シャイン」とは何の
謂か、と考えたのだが、主人公デイヴィッドが「輝く」時を得たのは、彼を輝かせる愛を
見つけ出した時だった、ということと解釈した。それは「星占い」の女性との結婚だ。

愛情深いのだが、歪んでしまった父親の、独占欲の強い父性に抑圧され、天才を
潰されかけた少年時代。父は、息子の才能を独占したかったのだろう。しかし
天才は、囲われることで、抑圧され、精神に異常をきたしてしまうのだった。

「僕は子供になっていくよ」と自分で言うとおり、少年のままの精神状態で止まってしまい
更に奇行が加わる。そんなデイヴッドを自分の星占いに従って結婚したギリアンとの
まさしく運命的、かつ障害を乗り越えた愛情は、デイヴィッドに「輝き」を取り戻したのだ。

父親の抑圧的・独占的な父親の愛情と、大きく全てを受け入れるギリアンの愛情が
比較され、そこに一人の天才を天才たらしめるかどうかの鍵を表現したように
感じたのだ。オスカーを獲得したジェフリー・ラッシュの演技は鬼気迫るものであり、
天才と狂気の狭間に揺れる成人してからのデイヴィッドを好演した。
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劇的な天才の半生であり、それだけで物語性は下駄を履いた感じなのだが、それを
優れた脚本脚色が、高い完成度の映画に仕立てている。また、撮影、編集も
上々で、物語を一気に見させるパワーを作品に与えている。
映画の中のピアノはゴットヘルフ自身の演奏だそうだが、ラッシュの指もまるで
本当に弾いている様に動く。

<プロダクションノート&ストーリー>
「監督はテレビのドキュメンタリー出身のスコット・ヒックス。製作はジェーン・スコット。
ヘルフゴッド夫妻に取材したヒックスの原案を基に、ジャン・サルディが脚本を執筆。
音楽はデイヴィッド・ヒルシュフェルダーで、ピアノ演奏はヘルフゴット自身によるもの。

出演は成人したデイヴィッド・ヘルフゴット役を23年間舞台での俳優・演出のキャリアを
持つジェフリー・ラッシュ、10代を「ペテルブルグ幻想」のノア・テイラー、幼年期を
アレックス・ラファロヴィッツが演じた。」

ピアノの天才少年と呼ばれ、一度は精神を病みながら、ハンディキャップを越えて
復帰した実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴッド(1948-)の半生を基に描く
感動の音楽ドラマ。
監督はテレビのドキュメンタリー出身のスコット・ヒックス。製作はジェーン・スコット。
共演は父親役に「ホーリー・ウェディング」のアーミン・ミューラー=スタール、
「ある貴婦人の肖像」の名優ジョン・ギールグッド、「ジョージー・ガール」の
リン・レッドグレイヴほか。97年キネマ旬報外国映画ベスト・テン第3位。

激しい雨の晩、ワイン・バーで働くシルヴィア(ソニア・トッド)はびしょ濡れで店の
ドアを叩いたデイヴィッド・ヘルフゴッド(ジェフリー・ラッシュ)を家まで送ってやった。
デイヴィッドは幼少の頃(アレックス・ラファロヴィッツ)から音楽狂の父ピーター
(アーミン・ミューラー=スタール)にピアノを仕込まれ、天才少年として評判になった。

だがアメリカ、ついで英国の王立音楽院に留学の話が出ると、最初は息子の
才能に鼻高々だった父は、突然彼が家族から離れることを暴力的に拒否する。
デイヴィッド(ノア・テイラー)は著名な作家で、年齢を越えて友情を結んだ
キャサリン・プリチャードの励ましで、ついに家を出る。
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ロンドンで彼はセシル・パーカーに師事、パーカーは彼をわが子のように愛し、
鍛える。彼はコンクールでの演奏曲に、幼年時代から父にいつか弾きこなす
よう言われていたラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を選ぶ。
猛特訓でこの難曲を完璧に演奏したデイヴィッド、だがその直後、あまりの
ストレスに彼は発狂した。

それから10数年を精神病院で過ごしたデイヴィッドはかつて自分のファンだった
という女性に引き取られるが、その後引取り先を転々とした。
そしてある晩、あのバーのドアを叩いたのだ。シルヴィアはやがてデイヴィッドが
ピアノを弾くことを知り、彼はやがて店の専属ピアニストとして大人気になる。
新聞にも記事が出て、父も訪ねてくるが、彼は父を許せなかった。シルヴィアが
星占い師のギリアン(リン・レッドグレイヴ)を紹介し、二人はやがて愛し合い、
結婚する。デイヴィッドはついにコンサート・ピアニストとして復帰する。だがその席に、
父の姿はなかった。彼は妻とともに父の墓に参る。彼の前には新しい人生が
広がっていた。」(goo映画)

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by jazzyoba0083 | 2012-04-07 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)