日曜日が待ち遠しい Vivement dimanche!

●「日曜日が待ち遠しい Vivement dimanche!」
1982 フランス Films A2,Les Films du Carrosse,Soprofilms.111min.
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ファニー・アルダン、ジャン=ルイ・トランティニャン、カロリーヌ・シオル他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
フランソワ・トリュフォーの遺作。52歳で世を去っているので、枯れた味はない。
フレンチのエスプリとヒューモアっていうのだろうか、トリュフォーの作品は
「アメリカの夜」くらいしか見ていないし、とりたてて好きな監督でもないので知った
風なことは言えないのだけれど・・・。

たまたまWOWOWで放映していて、作品名だけは知っていたので鑑賞。
当たりであった。パシッと出来上がった映画、というより、どこか脱力系の
ミステリーであり、若干のラブコメディでもあったりする。

敢えてツッコミどころを作ったような隙を演出し、ムダな間、ムダなサスペンス、
ムダなユーモア、など、見ていると真面目なんだかふざけているのかよく判らない
ところがある。それが嫌ではなく、見ている人の肩をすかすのが面白くてしょうがない
といった風情のトリュフォー・タッチとでもいうのだろうか。エンドクレジットのバックも
そんな感じだ。
また作品中に映画館が重要なアイテムとして登場するが、そこで上映されているのが
「突撃」と「恐怖の報酬」だったりする。映画が好きなんだなあと感じさせる。

「ええ?有り得ないでしょう?」というツッコミを楽しむようなタイプの映画であろう。
監督もそういう見方を歓迎しているフシがある。
主演のファニー・アルダンはこの時トリュフォーの奥様で、背が高くスタイルが
いいし、足が綺麗だ。それを分かっているシーンも出てくる。

82年の作品だがあえて白黒にして、雰囲気を出している。フランス車好きには、
映画後半で主人公らが運転するシトロエンDSがフランス映画らしい味わい付けに
一役かっている、と感じることでしょう。

最初のシーンで殺人犯の顔が出てくるのだが、ストーリーが始まってから出てくる
人間と誰が誰だかわからなくなってしまい、ずっと、不動産社長が犯人なのにシラを
切っているのかと思った。秘書と社長の恋のありようがちょいと不自然な感じがする。

本作の原作のタイトルが「土曜日は逃げろ」で映画は「日曜日が待ち遠しい」(これは
アルダンのセリフ)なんて、トリュフォーは素敵だ。

またアルダンは今年(2012)トリュフォー生誕80年を記念して来日し、この作品に
ついて、「私にとってこの作品はシャンパンの入ったグラスのような気がします。
泡がはじけていて、そのために自分でコントロールできないような酔いがやってきます」
と形容していた、という。

フランス映画好きならお勧めでしょう。

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<ストーリー>
「バルバラ・ベッケル(ファニー・アルダン)は、南仏のニースに近い町にあるヴェルセル
不動産のオフィスで秘書として働いている。社長のジュリアン・ヴェルセル(ジャン・ルイ・
トランティニャン)は狩猟好きで、その朝も鴨撃ちに行っていた。
留守中に社長夫人のマリー・クリスティーヌから電話が入り、預金を下ろして送って
欲しいと依頼される。オフィスを留守にできないことなどを理由にバルバラが断っている
ところへ、ジュリアンが戻って来た。
電話をかわった彼に、秘書の悪口を言う夫人。結局、バルバラは、クビになってしまった。

その日、警察署長のサンテリと助手のジャンブロー刑事がオフィスにやって来て
ジュリアンの狩猟仲間のジャック・マスリエという男が、その朝やはり鴨撃ちに行って銃で
撃ち殺されたことを知らされた。バルバラは、素人劇団の団員で仕事を終えると、稽古に
入る。次の日曜日にヴィクトル・ユゴーの「王のたのしみ」が上演されることになっていて、
バルバラは、道化師トリブーレの娘で小姓姿のブランシュの役だった。
道化師トリブーレを演じるベルトランは、バルバラとは一年前に離婚しているが、今でも
時々関係を迫っていた。

クビを宣告したはずのジュリアンが、自分の殺人の容疑を晴らすために無実を立証して
欲しいと協力を頼みに来た。ジュリアンの許に脅迫電話がかかり、ヴェルセル夫人と
恋愛関係にあったマスリエを、ジュリアンが嫉妬から殺したんだ、となじった。
その夜、ニースのホテルから戻った妻とその電話をめぐって口論するジュリアン。
遂に警察に呼ばれたジュリアンは、親友の弁護士クレマンのおかげで拘留はまぬがれた
ものの、家に帰ってみると、妻が惨殺されていた。

ジュリアンの頼みで、マリー・クリスティーヌの結婚前の行動を探ることになったバルバラは、
ニースに向かった。そしてひょんなことから知り合ったラブラシュの協力を得て、
マリー・クリスティーヌが、本名ジョジアーヌといい、偽名を使って結婚、美容院を経営して
いたというのもうそで、その場所はかつて“赤い天使”というナイトクラブであったことが
わかった。マスリエが館主だった映画館“エデン”座に電話して事件を探っていくバルバラ。
バックに大きな売春組織が絡んでいることがわかった彼女は娼婦に扮して組織のボスなる
人物ルイゾンに挑む。しかし、犯人は意外にも弁護士のクレマンだった。
マリー・クリスティーヌを死ぬほど愛していた彼は、自分の罪を告白すると、警察の目の前で
自らピストルの引き金を引くのだった。 」(goo映画)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2012-11-24 23:10 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)