メタルヘッド Hesher

●「メタルヘッド Hesher」
2010アメリカ Last Picture Company,CatchPlay,Corner Store Entertainment,106min.
監督:スペンサー・サッサー
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ナタリー・ポートマン、レイン・ウィルソン、デヴィン・ブロシュー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
暴力と汚い言葉が飛び交うし、大麻も出てくるので当然ながらR15+。
しかしながら、面白かったという言葉が適当ではないが、面白かった。
すなわち妙に心に引っ掛かる映画で、引っ張られながらエンディングまで
一気にみた。邦題は微妙だなあ。ジョセフ・ゴードン=レヴィットの作品を立て
続けに3本(「ルーパー」「50/50」と本作)観たが、どれもキャラが違っていて
別人に見える。これからいっぱい出てくる俳優さんだろうな。

原題、ヘッシャーとは、よく分からない頭のねじが4,5本抜けちゃったような青年
の名前なんだが、つまりは、TJ少年、その父親、スーパーのレジ係のネーちゃん
それぞれの心の「怒り」「赦し」のメタファーであることは明確なので、つまり本作は
「寓話」映画ということになろう。
そりゃそうだよね。あんな滅茶苦茶な、しかも体の全面に頭を打ちぬく男、背中に
F○ck youの指が大きく入れ墨されている男なんていませんぜ。しかも日々何して
暮らしを立てているのか描かれないし。

母親を交通事故で亡くし、茫然自失、仕事もしないで引きこもる父、大破した
クルマに異常に執着、いじめっ子と対立するTJ、人生の方向を見失った
スーパーのレジ係の女性。それぞれが対面する様々な事象に対する一義的には
怒りのメタファーとしてヘッシャーは登場する。

ヘッシャーのやることはいつも突然で、暴力的。TJをいじめる子のクルマにガソリン
を掛けて燃やす、レジ係ニコール(ナタリー)の起こした事故の被害者にすごんで
撤退させる、スーパーでは汚い言葉を連発する、空き屋のプールに入り込み
やりたい放題、壊したい放題・・・。次第にTJの暴力志向も激しくなり、ヘッシャーの
クルマの窓に石を投げて割るに
および、ヘッシャーは子供を救うべくその場に来たオヤジも殴り倒してしまう。

TJは、いじめっ子をハサミで脅して聞き出したスクラップ場に忍び込んで
母の愛車を探して死にそうになる。

そんなヘッシャーだが、おばあちゃんには優しかった。だがそのおばあちゃんの
お葬式では、またしても汚い言葉を連発し、挙句の果てにその場でゲロを吐く
始末。だが、ヘッシャーは散歩したいといっていたおばあちゃんに最後の散歩を
させるんだ、といってお棺を外に持ち出す。それに手を添えるTJと父親であった。
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引きこもりの父親も新たに出直す決心をし、ヘッシャーは去っていった。
玄関には母のボルボが赤い鉄の塊になって置かれていた。屋根には
「Hesher was here!!」の大きな文字が・・・。

最初はなんてメチャクチャな野郎か、と思っていたが、だんだんそれが登場人物
たちの心のメタファーなんだ、ということが分かってくる。それが分かると
物語の中の説明が付かないことも、気にならなくなるのだ。

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by jazzyoba0083 | 2013-01-28 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)