私が、生きる肌 La piel que habito

●「私が、生きる肌 La piel que habito 」
2012 スペイン Blue Haze Entertainment ,Canal+ España ,El Deseo D.A. S.L.U. 120min.
監督:ペドロ・アルモドバル  原作:ティエリ・ジョンケ「私が、生きる肌」
出演:アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ジャン・コルネット他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
キャッチ・コピーが「あなたは、これを愛と呼べるか-」なんだけど、呼べねーよ、と
見た人は思うでしょう。屈折した形成外科医の愛情。彼にとっては愛情なんだけど、
大方の人には狂気と映るでしょう。だから映画として見ていて楽しいのだけれど。

途中まではトラ男が出てきたりして、けっこうシュールなんだけど、中ほどで
お手伝いと見ていていた女性(実際は外科医の母親)が、独白するあたりから
事態が呑み込めてくる。あとは一気呵成に。
しかし、娘を強姦した男を性転換して自殺した自分の妻そっくりに仕立て上げて、
愛せるものだろうか?そのあたりの狂気がこの映画の見ものであり、また誘拐され
強制的に性転換されてしまい、美女に生まれ変わったものの、心までは変わって
いなかった悲劇。ラスト、母親に会いに行くのだが、母親の反応が出る直前で
映画は終わる。 この放り出し加減も、これしかないんじゃないか、と思わせる
エンドだと感じた。 話が動き出すまで多少まどろっこしいところはあるが、全体として
スタイリッシュでエロチック、生々しく、かつ幻想的、また悲劇的な大人のための作品。
(R-15指定)。
前半を謎めいた構成にしておいて、後半一気に具体的は狂気の愛情の裏側を描く
構成が魅力的だ。その後半で、アナヤが実は男だったと分かると画面に現れる
裸体はエロさが失われるのが不思議な感覚。男として見てしまうので、冒頭の
映像のようなエロティックさは感じなくなるのだ。

アントニオ・バンデラス、人工美女エレナ・アナヤ、良かったです。それと強制性転換男
ビセンテ役のジャン・コルネット、娘を強姦する青年なんだけど、なんで背が低い男を、
と思っていたらら、後で大男じゃ困る事情があるわけで、彼が大男だったら外科医も
誘拐しなかったと思う。妻と身長が大体同じじゃないとだめなわけだから。
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<ストーリー>
「妻を失った天才医師が、自ら開発した“完璧な肌”を移植して妻そっくりの美女を創り
上げる。スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルが、愛と狂気の境界線に挑んだ衝撃作。
惜しげもなくさらされるエレナ・アナヤの裸体、ジャン=ポール・ゴルチエによる華麗な
衣装、退廃的な性描写。官能美あふれる映像に目を奪われる。

謎めいた雰囲気を漂わせる女性ベラ(エレナ・アナヤ)は、全裸と見まがうしなやかな
肢体に肌色のボディ・ストッキングをまとい、ヨガの瞑想に耽っている。
彼女は画期的な人工皮膚の開発に没頭する天才形成外科医ロベル(アントニオ・
バンデラス)によって幽閉されていた。
ロベルが夢見るのは、かつて非業の死を遂げた最愛の妻を救えるはずだった“完璧な
肌”の創造。あらゆる良心の呵責を失ったロベルはベラを実験台に、開発中の
人工皮膚を移植し、今は亡き妻そっくりの美女を創り上げてゆく……。
そして、ベラは一体何者で、どのような宿命のもとでロベルと巡り合ったのか……。」
(Movie Walkler)

以下ネタバレのストーリーはこちら
wikipediaまで。

本作の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-09-24 23:20 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)