マン・オブ・スティール Man of Steel

●「マン・オブ・スティール Man of Steel」
2012 アメリカ Warner Bros.Legendary Pictures,Syncopy.143min.
監督:ザック・スナイダー 製作:クリストファー・ノーラン
出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムズ、マイケス・シャノン、ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、
    ローレンス・フィッシュバーン、ラッセル・クロウ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
アメコミもののシリーズが進むにつれ、コミック的世界から内省的な暗い映画になる傾向が
あるようだ。バットマンシリーズがそうであったように。映画館に観に行こうと思っていて
チャンスを逸したのでこのたびのWOWOW放映で鑑賞。で、ネットで評判を観てみると、
厳しい意見が多いのにびっくりした。すなわち、バットマンならともかく、スーパーマンの持つ
キャラクターからすれば、「明るく荒唐無稽なくらい超人的正義の味方」から外れていて、
「こんなん、スーパーマンじゃないや」というもの。たしかに、赤いパンツは履いてないし、
少年時代から自分の出自についてうじうじ悩んでいるし、成長しても、自分の進む道に
迷い続ける。こんなアメコミヒーローいらんわ、と感じる人は多いだろう。特にそういう点に
厳しい日本では受け入れがたいとする勢力は多いだろう。

クリストファー・ノーランがバットマンシリーズで成功した手法はスーパーマンには似合わない
ということだろう。この映画のタイトルにスーパーマンの名称は入ってないし、(「ダークナイト」
もそうだけど)、作品の中でもスーパーマンという呼称は数回しか出てこない。
人々が空を見上げて「あ、スーパーマンだ!」というシーンもない。コミックではクラーク・ケント
は、普段はドジでおっちょこちょいで、でもどこか憎めない青年なのだが、本作ではコミックで
描かれるようなユーモアはほとんどない。トラックの運転手を殴るかわりにトラックをグジャグジャ
にしてしまうところと、ラストのデイリープラネットへの就職シーンくらいなものだ。

私はどうだったか。結構面白く観てしまいました。アメコミものの内省的暗さというのは
バットマンシリーズで慣れてしまっていたのか、みなさんが感じるほど違和感はなかった。
こういう解釈のスーパーマンがあってもいいじゃないか。クリストファー・リーブのものが
無くなるわけでもないわけだし。だいたい、細かいことを言い始めたらきりがないわけで、
クリプトン星人がなんで人間と同じ格好をしていて、さらに英語をしゃべっているのか、
地球に攻撃しに来た時には自動翻訳機経由、なんて技もあるのだろうが、クリプトン星での
シーンは英語でなくてもいいはずだものね。
ただし、私も「アメコミのヒーロー」があまり内省的に暗くなるのは好きではないが、映画と
しての完成度は高く、ストーリーもそれなりによく構成できていて、観ていて納得性は個人的
には高かった。配役陣も豪華で、特にケヴィン・コスナーとダイアン・レインの養父母は良かった。

この映画で一番引っかかったのは、クリプトン星の血を絶やしたくないゾッド将軍が言って
いることは、地球を暴力的に奪うことは論外だが、そんなに悪いことを言ってないんじゃないか、
と思えてしまったことだ。ロレーンがゾッド将軍の宇宙船に乗り込もうとすると、女性将校が
「宇宙船の中の空気は組成が違うから」といって、ヘルメットを着けてくれるところとか、ところ
どころに、クリプトン星人たちだってかわいそうじゃん、と思ってしまったことだ。
勧善懲悪を旨とするアメコミは、こういう中途半端な思想性は排除してもらいたいものだ、と
感じた。たとえクリプトン星人に一部の理があったとしても、最終的には地球にとっては
受け入れられない大敵であり、それこそスーパーマンが完膚なきまでにやっつける対象と
ならなくてはならないはずだ。

ま、所詮はアメコミですから、ラスト40分ほどの大活劇によってカタルシスを得るわけですが、
その超人同士の戦いは、これまで観たどのアクションより迫力があるというか、ありえない
描写で、いうなれば度肝を抜かれてしまったのだった。いくつビルを壊せばいいんだよ、どっか
他に行ってやれよ、と突っ込みたくもなるというものだ。ただ派手であるぶん画面を観ている分
には面白かった。なにせ2時間20分の前半が動きが少なかったので・・・。
だが、最後は首をひねったら終わりって・・弱点なわけ?

次作は来年度公開でバットマンとの共演とか。どんなものになるのか、怖いもの見たさもあり
興味津々。
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<ストーリー>
「 DCコミックスが誇る最強のスーパー・ヒーロー“スーパーマン”を、「ダークナイト」の
クリストファー・ノーラン製作・原案、「300 <スリーハンドレッド>」「ウォッチメン」の
ザック・スナイダー監督で装いも新たに再起動させたアクション超大作。
スーパーマンの知られざる誕生の物語を壮大なスケールで描き出す。スーパーマン役は
「インモータルズ -神々の戦い-」のヘンリー・カヴィル、共演にエイミー・アダムス、
マイケル・シャノン、ケヴィン・コスナー、ラッセル・クロウ。

 クリプトン星で生まれたその赤ん坊は、滅亡を悟った父に最後の希望を託され、地球へと
送られた。地球にたどり着いた彼は、ジョナサンとマーサの夫婦に拾われ、クラーク・ケントと
して育てられる。次第に超人的な能力に目覚めていく少年時代、養父からはその能力を使う
ことを固く禁じられていた。周囲との違いに孤独と葛藤を抱えながら青年へと成長したクラークは、
やがて自分探しの旅に出て、自らの使命を確信する。そんなある日、クリプトン星の生き残り、
ゾッド将軍がクラークの存在に気づき、彼を追って地球へと襲来する。」(allcinema)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-07-22 23:15 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)