トゥ・ザ・ワンダー To The Wonder

●「トゥ・ザ・ワンダー To The Wonder」
2012 アメリカ  Brother K Productions.112min.
監督・脚本:テレンス・マリック
出演:ベン・アフレック、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムズ、ハビエル・バルデム他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
観ちゃったから感想は書くけど、苦手なジャンルの作品だ。流石はマリック。
時間軸と思考軸と場所軸が、夢幻のように交差し、ストーリーはあるようでないようで、無い。
聞けば、台本はなく、出演者には次々にメモが渡されたんだそうで、役者も大変だった
だろう。が、それにより逆に自然な人間の振る舞いになっていく、という監督の狙いも
あるに違いない。ハビエル・バルデムの司祭の登場で俄然宗教色を強めてきて、
「愛」とは何か、人間とは何か、など高邁なテーマが見えてくる。
オクラホマの高級住宅街にあるベンの家は生活感があまりなく、家具のない部屋は
空疎な心のメタファーなのだろう。
全編手持ちのステディカムで撮影、揺れるカメラが人生の揺れや悩みを象徴している。
しかも監督が人工的照明を嫌ったため「マジック・アワー」という暮れなずむ時間に撮影された
シーンが多く、美しいことは確か。また、この「昼間」と「夜」の間の時間が、人間の「愛情」の
苦悩の暗喩と言えよう。 

フランスのモン・サン・ミシェルで出会った二人(ベン・アフレックとオルガ)、ベンの故郷である
アメリカ・オクラホマに移ってくる。彼女には10歳の娘がいた。二人は愛しあい、愛しあい過ぎで
怖い位と。しかし、異国での暮らしは心のすれ違いを呼び、やがてたまらなくなったオルガは
浮気をしてしまう。そしてフランスに帰るんだけど・・。そこで映画は終わる。

この監督の「ツリー・オブ・ライフ」という作品も同様に大変観念的な作品らしく、私は見ない
だろうな。本作は出演者に惹かれた、ということもあるけど、見て損したとまでは言わないけど
自分の苦手なジャンルの作品ってあるんだな、と思った。

制作者は何をどう撮ろうと勝手であり、見る人がどうのこうのいうことじゃないけど、プライベート
フィルムならともかく、一応興行である作品は、金になってなんぼなところもあるわけで、
そういう意味からもよくわからない映画であった。日本でもアメリカでも単館系で公開され
あっという間に終わったんじゃないかな。マリックの熱狂的信者は別として。
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<ストーリー(らしきもの)>
「ニール(ベン・アフレック)とマリーナ(オルガ・キュリレンコ)はフランスのモンサンミシェルに
いた。アメリカを離れてフランスへやって来た作家志望のニールは、マリーナと出会い、
恋に落ちる。10代で結婚し、娘タチアナ(タチアナ・チリン)を生みながらも、夫に捨てられた
ことで希望を失いかけていたマリーナを救ったのがニールだった。

2年後、アメリカへ渡った彼らは、オクラホマの小さな町バードルズルで暮らしていた。
ニールは故郷に近いこの町で、作家への夢を諦め、環境保護の調査官として勤務。前の夫と
正式に離婚していないマリーナは、ニールと結婚はできないものの、穏やかな生活に満足して
いた。ニールとタチアナの関係も良好だったが、故郷から離れた土地で友だちに恵まれず、
独りぼっちのタチアナは母に言う。“フランスへ帰ろう”。

マリーナはニールとの関係を相談するため、カトリック教会のクインターナ神父(ハビエル・
バルデム)のもとを訪れる。だが、布教に励み、町の人々から親しまれるクインターナも、
信仰への情熱を失いかけていた。神はどこにいるのか?なぜ自分の前に姿を現さないのか?
やがて、マリーナと諍いが増え、タチアナからも“パパ気取りはやめて”と非難されるようになると、
ニールの気持ちは冷めてゆく。
滞在ビザが切れたマリーナは、タチアナとともにフランスへ帰国。その後、ニールは幼なじみの
ジェーン(レイチェル・マクアダムス)と関係を深めてゆく。しばらくして、タチアナの家出を
きっかけにマリーナがフランスでの生活に耐え切れなくなったことを知ったニールは、責任感から
彼女を呼び戻して結婚。ジェーンは去ってゆく。しかし、マリーナの強く激しい愛を、ニールは
受け止めることができなかった。信仰の前で葛藤するクインターナ同様、愛について深く考える
ニール。愛は感情か?義務か?それとも命令なのか?やがて2人は、それぞれの選択をする
ことになる。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-08-14 22:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)