ミッドナイト・ガイズ Stand Up Guys

●「ミッドナイト・ガイズ Stand Up Guys」
2012 アメリカ Lionsgate,Sidney Kimmel Entertainment,Lakeshore Entertainment.85min.
監督:フィッシャー・スティーヴンス
出演:アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキン、ジュリアナ・マルグリーズ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
このところ、ハリウッドではかつての名優が大活躍だ。本作もオスカー俳優が3人揃って、1時間半、
いい演技を見せてくれる。自分が近い年齢になってきた、ということもあるが、評価の定まった
名優の演技は、それを観ているだけで価値があるので、楽しい。
ましてや、本作は物語も単純で、かつ映像も計算されていて、ほのぼのと見終えることが出来た。

28年間(!)、無実の罪を一人で被って刑務所に入っていたアル・パチーノの良さもさることながら、
クリストファー・ウォーケンが良かったなあ。孫娘を想いながらの行動が泣かせる。
アラン・アーキンは、二人に比べると出番は少ないが、3人組の話として欠かせない存在だ。

アル・パチーノは、やることは時としてめちゃくちゃだが、結構哲学的なセリフを吐く。これがなかなか
いい。アラン・アーキンの葬儀の弔辞の時の「人は2度死ぬ。1度は肉体が滅びるとき、2度めは
名前を呼ばれることがなくなった時だ(忘れられる時)。」なんて、なかなか言えません。そういう
ギャップもまた楽しい。

幼い頃からのわるがきトリオは大きくなってからもギャングの手先として悪いことをしていたのだが
アル・パチーノが刑務所に入ったことで、残りの二人は引退する。
ウォーケンは油絵で朝日を描いて、という規則だだしい生活を送る。近くのダイナーで働く
孫娘のところに朝飯を食べに行くのが日課だ。(ただし、この娘はウォーケンがおじいちゃんである
ことを最後まで知らない)。アーキンは体を壊して、看護師をしている娘から離れて介護施設で
暮らしている。

そんな折、アル・パチーノが28年の刑期を終えて出所してきた。迎えに来たのはウォーケンだけ。
しかも、ウォーケンはボスから、かつての銃撃戦の中で、アルに息子を殺されたと信じていて
(不可抗力の自己だった)、刑務所で黙っていてやったにも拘らず、アルを殺せ、と指示されて
いた。期限は次の日の朝10時。

親友を殺せるわけもなく、またアルは妙にウォーケンに殺されてもいいや、と思っている節が
ある。二人で夜の街を徘徊し、バイアグラを片手にいっぱい飲んで娼婦を買ったり、ケインを
介護施設から釣れだして、不良のスポーツカーを盗み出して夜の街をぶっ飛ばし、トランクに
閉じ込められていた女性の敵を討ちに行ったり、そんなことをしているうちに無理がたたって
ケインは運転席で絶命してしまう。これを娘の看護師に伝えにいき、夜中に墓場に埋め、
3人で葬儀を行うのだ。看護師の娘は彼らの行動に感謝する。

刻限の朝10時は刻々と迫ってきた。二人は紳士服店に侵入し、スーツを新しくし、そこに
ウォーケンに殺しの最速に来たボス=クラップハンズの手下を懲らしめて、ボスのところに
向かう。
その前に朝食を摂った二人だが、アルは、ダイナーの店員がウォーケンの孫であることに
感づいていた。ウォーケンはクラップハンズに、アルを許してやれ、と電話するが、
ボスは激怒し、絶対に息子を殺したやつは許さん、と聞かない。

ウォーケンは自分の家の鍵をダイナーの「お客様からのメッセージボード」に孫娘の名前を
書いてピンで止め、家も貯めた金もみんな孫にやる決心をして、アルとボスのもとへと
殴り込みに出かける。

最後アルとウォーケンがどうなったかは描かれていないが、願わくば、あの二人の爺さんたち
が、ボスをやっつけて、そののち悠々とした生活を送っていてもらいたいものだ。
そんな余韻を残して映画はジョン・ヴォン・ジョビの歌で終わっていくのだ。

良い味わいの映画であった。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「かつての仲間たちの生き様が詰まった一夜を描くギャング映画。
監督は「酔いどれ詩人になるまえに」に出演する一方「はじまりはキッスから」などで
メガホンを取るフィッシャー・スティーヴンス。
28年ぶりに出所しかつての仕事仲間と羽目をはずす男を「ゴッドファーザー」で世界的な
人気を集め「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」で第65回アカデミー賞主演男優賞を
受賞したアル・パチーノが、仲間への思いとボスからの指示の間で葛藤する男を
「ディア・ハンター」で第51回同助演男優賞を受賞したクリストファー・ウォーケンが、
もう一人の仲間を「リトル・ミス・サンシャイン」で第79回同助演男優賞を受賞した
アラン・アーキンが演じている。

28年もの長きにわたる刑期を終えたギャングのヴァル(アル・パチーノ)は、出所して
まず仕事仲間のドク(クリストファー・ウォーケン)と再会。親友との再会を喜び合い、
盛り場へ繰り出して28年分の鬱憤を晴らすべく羽目をはずす。
一方ドクは、ボスのクラップハンド(マーク・マーゴリス)から翌朝10時までにヴァルを
抹殺するよう指令が下されており、親友を前に葛藤していた。
ついには指令についてヴァルに告白してしまう。二人はその問題から目を背けるかの
ように盗んだスポーツカーで3人目の仲間ハーシュ(アラン・アーキン)に会いに行く。
スポーツカーに若い女が監禁されているのに気付いた彼らは、女を連れて首謀者の
アジトへ乗り込む。人助けや警察とのカーチェイスなど、娑婆の空気を味わうヴァル。
約束の時間は、刻一刻と迫っていた……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
Commented by zebra at 2014-10-26 01:51 x
マジラッキーでした。ツタヤの会員カードが切れる頃でしたので更新手続きしたときにもらった 一本無料(新作は2泊3日)の案内ハガキで見ちゃいました。

内容は 秀作でした

>願わくば、あの二人の爺さんたち
が、ボスをやっつけて、そののち悠々とした生活を送っていてもらいたいものだ。
そこですね。 う~ん・・・ どうかな???組織に逆らえばただで済むはずもないのに ウォーケン演じた老ギャングは パチーノ演じたヴァルの友情を選んだ。 たぶん ふたりとも 殺された気がしますね。が 後悔はないでしょうね。
Commented by jazzyoba0083 at 2014-11-13 14:44
zebraさん、レスに気がつくのが遅すぎでした!ごめんなさい。毎度ありがとうございます。
いい映画でしたよね。エンディングですが、私もまあ、たとえ親分を殺しても手下はいるわけで
多勢に無勢だなあ、とは思っていたのですが。「友情」という一点に収斂した終わり方は
余韻を持っていて良かったです!
by jazzyoba0083 | 2014-10-14 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(2)