アイアン・ソルジャー  Fort Bliss

●「アイアン・ソルジャー Fort Bliss」
2013 アメリカ Yeniceri Produksiyon A.S., National Picture Show Co.116min.
監督・脚本:クローディア・マイヤーズ
出演:ミシェル・モナハン、ロン・リヴィングストン、マノロ・カルドナ、ベンガ・アキナベ、オークス・フェグリー他
e0040938_1429811.jpg

<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
DVDスルーなので、邦題の付け方がお座なりだ。実際は兵士(衛生兵)として戦地に
赴いた(赴く)母と幼い息子の話なのだが、これじゃ、ドンパチ映画かと勘違いするだろう。

極めてまっとうな真面目なお話で、こういう側面もあるだろうに、地味だから今まで映画に
ならなかったのだろうな。まあ、映画館に行くまでもなく、HBOあたりが作るテレビ映画でも
いいかもしれない。陸軍の衛生兵としての人生を天職と心得る母と、戦地に長く行くため
母の愛情を忘れる幼い息子とのお互いの葛藤をストレートに描く。

15ヶ月に渡るアフガニスタンの作戦から一時帰国したマギー2等軍曹は、別れた夫の
後妻アルマにすっかりなつき、自分のところに来てくれない息子ポールの姿に愕然とする。
無理もなかろう。子供にとっての1年3ヶ月は長い。
ショックを受けつつも、なんとか母子の絆を回復しようと工夫を凝らすマギーであった。
一つのポイントは乗っていたクルマがエンストし、立ち寄った修理工場で借りだした
バイクの後ろに載せて、走ったことか。それがきっかけだったように映った。またそこの
修理工場のリチャードに次第に恋心を覚えるマギーであったのだ。こうして、苦労しつつも
母子、そしてリチャードとの恋も順調に行き始めたか、と思っていた時、帰国した時に
交通事故で亡くなってしまった上官と入れ替わりで再びアフガニスタンに行く命令が下る。

基地勤務(内勤)でしばらくいられると思っていたマギーは、同僚のアドバイスに乗り、
2年間息子を連れて韓国の田舎に赴任する希望を出す。母のいいない間に息子ポールが
夢遊病の状態を示すようになってしまったことも、彼女の決断の後押しをした。
(この辺りリアリティがあってよかった)優秀な衛生兵のリーダーとして期待していた彼女の
部隊の上官はがっかりする。この上官も子供と上手く行かなかった経験を持つのだ。 
マギーの韓国行きは決まるが、彼女の部下たちの失意は大きかった。
特に後継に指名した軍曹が本人にも自信がなく、部下からも信頼がない。心配するマギーに
深夜軍曹から電話がかかって来た。どうやら、部下を率いる自信が丸でないようだ。

使命感の強いマギーは、やはり韓国行きを止め、アフガニスタン行きに戻る決意をする。
またポールと1年ほどの別れとなる。もちろん別れた夫も後妻アルマも面倒は見てくれるし、
親権についても、マギーが帰ってきてからゆっくり考えると申し出もしてくれた。
修理工のリチャードも、待っていると言ってくれた。

そしてアフガンに旅立つ朝、マミーと泣くポールに振り返るまいと覚悟を決めて迎えのクルマに
歩き始めたのだが、やはり我慢が出来ず、再びポールのもとに戻り抱き合うのだった。
母は息子より国を取ったのだが、軍人とはいえ、母はやはり母であったのだ。あたりまえだけど。

こんな例はアメリカにはゴマンと転がっている話なんだろうな。ポールは今度1年後にマギーが
無事に帰国したら、マミーと言って駆けつけてくれるだろうか、その答えを出さないまま映画は
終わる。ラストシーン、戦場のマギーの腕には息子の暮らすアメリカ時間を表示する時計が
はめられていた。別れる時、ポールにもママの居るところの時間が分かるよう、2つの腕時計
をはめてきたのだ。母であろうと父であろうと子の親である軍人は、常にこうした宿命に晒され
ているわけだ。故に軍人が戦地に趣き生死を掛けた戦いが繰り広げられるような世界であっては
いけないのだ。描いた世界は小さいが、訴えるものは大きい、なかなかの佳作であった。
ミシェル・モナハン、軍人と母親(また女として)をいい感じで演じていた。
機会があればご覧になることをお勧めしたい映画です。
e0040938_14294021.jpg

この映画の詳細はこちらまで。
トラックバックURL : https://jazzyoba.exblog.jp/tb/22780730
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by jazzyoba0083 | 2015-02-03 23:20 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)