ウォルト・ディズニーの約束 Saving Mr.Banks

●「ウォルト・ディズニーの約束 Saving Mr.Banks」
2013 アメリカ Walt Disney,Ruby Films,Essential Media and Entertainment.125min.
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:エマ・トンプソン、トム・ハンクス、ポール・ジアマッティ、コリン・ファレル、ジェイソン・シュワルツマン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
邦題の付け方というのはつくづく難しいなあ、と思った。原題には「メリー・ポピンズ」を知って
居る人ならすぐに分かるタイトルでオシャレかつ、含蓄があるのだが、確かに邦題でこれを
もってきちゃ、何のことか分からない。邦題はその通りなんだが、味気がないなあという感じ。
「メリー・ポピンズ」を見ていたほうが数倍面白い。見ていないとコアな面白さが伝わらないかも
しれない。

さて、皆さんご存知のディズニー映画の傑作ミュージカルで挿入歌もエヴァーグリーンに
なっている「メリー・ポピンズ」。これは元々、オーストラリア生まれでイギリス育ちの児童文学作家
パメラ・リンドン・トラヴァース(P・L・トラヴァース=本名:ヘレン・リンドン・ゴフ )が書いた
ベストセラーが原作なのだが、これをディズニーは20年間映画化をオファーし続けて、やっと
映画化にこぎつけたという、裏面史と、作者トラヴァース夫人がどういう心情で、この童話を
書いたか、という彼女の精神的な自伝がクロスしながら構成されている。幼少名キンディの
父親がコリン・ファレル。最後の方で登場する、伯母さんがその姿といい、行動といい、
メリー・ポピンズのモデルになったのではないかな。

トラヴァース夫人を演じたエマ・トンプソンがとっても良かった。もう頑固でイケズで、私なら
結構失礼なその態度に激怒するような性格なのだが、その性格も、また、映画化に付いて
事細かく指示を繰り返す態度も、幼いころの父親との生活と悲しい想い出が染み付いていて
自分の殻に閉じこもっているからなのだ。さすがにディズニーはそれを見破るわけだ。

文句を言われながらも、台本の作成は進行する。ラストシーンで歌われる凧揚げの歌では
ついには夫人が脚本家と踊りだすムードまでチームはなっていった。だが、アニメは絶対に
ダメ、といっていたのにペンギンのダンスシーンだけはアニメに、というディズニーの姿勢に
激怒した夫人はロンドンに帰ってしまった。ウォルトは速攻後を追いかけて、彼女の殻を
解放してあげるのだ。
幼いキンディ(トラバース夫人)に対し、父親は「夢を見ることを諦めるな」を教え、一生懸命
子供のために遊んでくれたが、肺結核で若くして亡くなる。酒もやめられず、何も分からない
キンディは母が隠した酒を父の病床に持って行ったりしていた。それが父の死期を早めた、
とずっと自分を責めていたのだ。そうした中から生まれた「メリー・ポピンズ」に対し、夫人は
譲れないものは譲れない、とディズニーランドに連れて行かれても、「ウォルトの金のなる木を
見る気もないわ」と言うほど頑なだった。それをウォルトはロンドンまで駆けつけて彼女の
凍ってしまった心を溶かしていったのだ。彼が帰った後、夫人は映画化の権利書のサインする。

そして1964年、ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画「メリー・ポピンズ」jは
プレミア公開を迎えた。ハリウッドのチャイニーズ・シアターに招かれた夫人は、映画を観て
涙するのだった。きっと父親との想い出が吹き出たのだろう。映画はもちろん大成功、
アカデミー賞で5部門を獲得するエバーグリーンのフィルムになったのだった。

壮大な物語を2つの軸を交差させながら進行するので、強引は部分もあるのだが、全体に
ディズニー映画らしいハートフルな仕上がりとなっていた。エマ・トンプソンの憎たらしさは
それはもう、一流だ。さすがはケンブリッジ卒で脚本賞もとったことのある才媛だな。
それとハリウッドを訪れた際の夫人のリムジンの専用運転手を演じたポール・ジアマッティが
その配役の背景も含め、いいスパイスであった。
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<ストーリー>
「 ウォルト・ディズニー製作の名作ミュージカル・ファンタジー「メリー・ポピンズ」の
誕生秘話をトム・ハンクスとエマ・トンプソンの主演で映画化した感動ドラマ。
世界的ベストセラー・ファンタジー『メリー・ポピンズ』の映画化に情熱を燃やすウォルト・
ディズニーが、頑固な原作者P・L・トラヴァースから許諾を得るまでの悪戦苦闘の道のりを、
原作に秘められた彼女の幼少期の物語を織り交ぜ描き出す。
監督は「オールド・ルーキー」「しあわせの隠れ場所」のジョン・リー・ハンコック。

 1961年、ロサンジェルス。ハリウッドを代表する大物映画プロデューサー、ウォルト・
ディズニーには、娘との約束でもある20年来の悲願があった。それは、彼女の愛読書
『メリー・ポピンズ』を映画化するというもの。
しかしウォルトの再三の懇願にもかかわらず、いまだ原作者のP・L・トラヴァースから
許可を得られずにいた。そんな中、ようやく映画化についての話し合いが実現することに
なり、トラヴァースがロンドンからやって来る。
さっそく最大限のもてなしで彼女を迎えようとするウォルトだったが、お堅い英国淑女
トラヴァースの心を掴むことに苦心する。おまけに、アニメもミュージカルも拒否された上、
内容にもことごとく難癖をつけられるなど、頑なな彼女にすっかり手を焼き、一向に了解を
取り付けられないウォルトだったが…。」(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2015-05-11 23:40 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)