青の寝室 La Chambre Bleue

●「青の寝室 La Chambre Bleue」
2014 フランス Alfama Films.76min.
監督:マチュー・アマルリック  原作:ジョルジュ・シムノン「青の寝室」
出演:マチュー・アマルリック、レア・ドリュッケール、ステファニー・クリュ、ロラン・ポワトルノー他。
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆> 
<感想>
「メグレ警部シリーズ」で知られるベルギーの作家、ジョルジュ・シムンが1964年に発表した
小説、「青の寝室」を、「グランド・ブダペスト・ホテル」にも出ていた俳優で監督でもある
マチュー・アマルリックが監督・主演で作った、自ら「B級テイスト」と称する、76分の少作品。
マチューのパートナーであり共同脚本を書いたステファニー・クリュが、マチューの妻を演じる。

ネットで原作のあらすじに目を通してみたが、ほぼ忠実に再現してある。だから日本の上映では
ぼかしも入る。(劇場未公開。WOWOWで鑑賞)
所謂不倫映画ではあるが、男女の感情のズレがラストの恐怖を呼ぶというエロチック・サスペンス。

事業も成功し、美人の妻と可愛い娘もいるジュリアン(マチュー)が、小学校からの同級生であった
道でパンクして困っているデルフィーヌを助けるのだが、その際、デルフィーヌから「私はあなたを
小学生の時から好きだった」と、誘う。そして道路脇の林に入り、コトに及んでしまう。このあたり
早すぎな感じ。それ以来、11か月の間に8度、ホテルの青い部屋で激しい情事を重ねる。

しかし、自分の妻も愛しているし、何より娘に嘘をついているのが心苦しい。やがて二人の
関係を終わらせようとするジュリアンだったが、デルフィーヌから意味深な手紙が何通も
やってくる。そしてある日、デルフィーヌの夫が急死する。常から健康を害していた夫は
いつ急死しても不思議ではない、と主治医はいうが、検視の結果、毒物が検出された。
一方、ジュリアンの妻もまた毒殺体で発見される。

二人は逮捕され、予審が始まるのだが、情事の進行と予審判事が行う尋問とが交互に描かれ、
最初のほうでは、ジュリアンがどういう罪で警察にいるのかが分からない仕掛けになっている。
これも原作通りの展開である。 夫に毒物を盛れるのは薬局を経営している夫の妻である
デルフィーヌなのだが、本人から告白はない。ジュリアンが自分の妻を殺すとは到底思えないが、
証拠がない。二人の不倫は、村中では結構有名な話で、重病の薬局の夫と結婚したデルフィーヌは
カネ目当てだ、との証言も飛び出す。

本裁判で、二人は結局終身刑を言い渡されるのだが、その際にデルフィーヌがいう「一緒になれる
っていったでしょ」という言葉が恐ろしい。結局、肉体も含めて溺れるような愛情に包まれて
しまった抜き差しならぬデルフィーヌと、家庭のことを思い手を引こうとしたジュリアンの愛の差が、
ジュリアンを破滅に追い込んでいったのだ。作品中では、結局だれがだれを殺したのかは判然と
しない。作品が言いたいのは犯人の事ではなく、愛情のズレに人生を破滅させた男の話なのだ
ろう。俗っぽく言ってしまえば不倫は気をつけた方がいいぜ、という・・・。
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by jazzyoba0083 | 2015-05-12 22:40 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)