理想の女(ひと) A Good Woman

●「理想の女(ひと) A Good Woman」
2004 イギリス・スペイン・イタリア・アメリカ・ルクセンブルグ Beyond Films.93min.
監督:マイク・バーカー  原作:オスカー・ワイルド 「ウィンダミア卿夫人の扇」
出演:ヘレン・ハント、スカーレット・ヨハンソン、トム・ウィルキンソン、マーク・アンバース他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
WOWOWのスカーレット・ヨハンソン特集で放映していたものを鑑賞。日本では
あまり評判にならなかったのではないかと記憶しているが、なかなか味な映画で
楽しませてもらった。だらだらせずに短めに切り上げたのもいい。
原作が文芸大家のものなので、物語は心配ないのだが、原作未読で前知識なしで
観たので、前半は「深みに欠けるかな」と感じたが、この映画の肝となる秘密が明かされた
ところからグイグイと引き込まれていった。

大恐慌時代の貴族や富豪らブルジョアの生態がイタリア・アマルフィを舞台にして
映像作品としてもよく描かれていたと思う。
若々しいヨハンソンもいいが、何と言ってもヘレン・ハントだろう。前半は悪女のように描かれ
途中から俄然人間性の厚みが増す存在となる。原作の味わいがしっかり出ているのだろう
金持ちたちの気の利いたセリフ、格言を多用した会話のやりとりなど、ワイルド原作らしい、
ヒューモアとウィットに富んだ内容も楽しい。資産家であり、避暑にイタリアを訪れ、仕事を
せずにパーティーや賭け事に明け暮れる。興味のあるのは男女のことばかり。そんな高踏な
様や俗な様を楽しむことが出来る。

メグ(ヨハンソン)の夫であるウィンダミア卿は彼女の21歳の誕生日のプレゼントを探しに
訪れた骨董屋で、アーリン夫人(ハント)と出会う。NYで落ちぶれてしまい、新たな金づるを
探しに来たアーリン夫人の目の前に現れたウィンダミア卿。アーリン夫人が選んだ扇を
めぐる二人の目線の絡みは、まさしく男女のそれであった。しかし、アーリン夫人は実は
メグの母親であったのだ。生まれてすぐにメグを捨てたのだった。ウィンダミア卿はいつ
それを知ったのか、夫人が告白し、金をせびったのか。アーリン夫人がメグが成長した
自分の子供であることをどうして知っているのか、その辺りは詳らかにされない。

メグに横恋慕するウィンダミア卿の友人ダーリントン卿は、アーリン夫人とウィンダミア卿が
浮気をしている証拠を見せて、メグを自分のものにしようとする。
一方2度の結婚に失敗した大金持ちのタピィはアーリン夫人に一目惚れし、即結婚を申し
込む。しかし夫人は結婚には失望していると、応じない。
メグを巡る夫ウィンダミア卿と、横恋慕のダーリントン卿、夫とアーリン夫人の浮気を信じて
しまうメグ、アーリン夫人がメグの母と知っているウィンダミア卿は自分の口からアーリン
夫人がメグの母親だと言えない・・・そんな状況のなか、ウィンダミア卿は、金をやるから
NYに帰ってくれとアーリン夫人に懇願する。
そしてタピィとの関係は?そんなこじれた状況の中でクライマックスを迎えるのだ。

別れを告げにウィンダミア卿を訪ねたアーリン夫人は、メグとふたりきりになったチャンスに
真実を告げようとしたが、「約束は守れる?」と聞かれ「母に誓って」といわれ、メグが母親を
理想の女性像としていることを知り、秘密を打ち明けるのを止める。

実は母と娘である二人の女性を描き、原題のように「良き女性」とは「信じること」と「おもいやり」
であろう、ということをワイルドは言いたかったのに違いない。
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<ストーリー>
1930年、南イタリアのアマルフィ。この町は世界各国からやって来た上流階級の人々が、
ひと夏のバカンスを過ごす高級リゾートとして知られている。
そこに、ひと組の初々しいカップルが到着した。ニューヨーク社交界の華として知られる
メグ・ウィンダミア(スカーレット・ヨハンソン)と、彼女の夫ロバート(マーク・アンバース)だ。

地元の社交界の中心人物であるルッチーノ伯爵夫人(ミレーナ・ヴコティッチ)の案内で、
町の見物に連れ出されるメグ。若くみずみずしい魅力をふりまく彼女は、たちまち
プレイボーイの英国貴族ダーリントン卿(スティーヴン・キャンベル=モア)の目をひくが、
彼の口説きのテクニックも、夫を一途に愛するメグには通用しなかった。

一方メグの21歳の誕生日に特別なプレゼントを贈ろうと骨董店を訪れたロバートは、
そこで魅惑的なアメリカ人女性のミセス・アーリン(ヘレン・ハント)と出会う。ウィンダミア夫妻と
同じニューヨークからやって来た彼女は、華やかな恋愛遍歴を重ねるなかで、数々の
スキャンダルをたくましく生き抜いてきた女だ。そんなアーリンのアドバイスに従って、純金を
あしらった豪華な扇をメグへのプレゼントに選ぶロバート。以来、急速に接近したふたりの仲は、
瞬く間に社交界の噂の的になる。

その噂を裏付ける証拠をダーリントン卿が見つけたのは、ウィンダミア夫妻の別荘をたずねた
時のことだった。何気なく盗み見たロバートの小切手。それは、ロバートがアーリンに多額の
金を渡していることを物語っていた。出会いの日以来、メグにかなわぬ思いを寄せていた
ダーリントン卿は、「もしもロバートが浮気をしたら?」とさり気なくメグにさぐりを入れる。
が、ロバートの誠実さを信じて疑わないメグは、自分たちは模範的な夫婦だと答えた。

社交界にはもうひとり、噂を信じようとしない人物がいた。アーリンの中に、外見の華やかさとは
異なる良き妻になる素質を見出し、思いをつのらせるイギリス人の大富豪タピィ
(トム・ウィルキンソン)だ。アマルフィの劇場でオペラが上演された夜、アーリンのエスコートを
買って出た彼は、帰り道に立ち寄った彼女の別荘で、思い切ってプロポーズの言葉を口にする。
しかしアーリンは、「私にとって、結婚は日の射さない部屋と同じなの」と言い、タピィの申し出を
断る。

誕生日を迎えたメグは、ロバートから例の扇をプレゼントされる。大喜びするメグだが、幸せの
絶頂は長くは続かなかった。その日、ロバートが外出したあと、誕生日プレゼントを携えて訪ね
てきたダーリントン卿に仕向けられるまま小切手帳を開いたメグは、夫がアーリンにたびたび
金を渡していることを知ってしまう。激しいショックにかられ、部屋に閉じこもってしまうメグ。

そんな彼女が誕生日パーティの会場に姿を現したとき、集まった人々は域を呑んだ。なんとメグは、
アーリンが着ていたのと同じ肌を大胆に露出したドレスをまとって現れたのだ。
ロバートに対するメグの様子から、夫妻の間に亀裂が生じたことを察するダーリントン卿。
彼から駆け落ちの話をもちかけられたメグは、自分自身の傷ついた気持ちをロバート宛ての
書置きに記すと、ダーリントン卿のボートに向かう。だがメグには知る由もなかった。アーリンと
ロバートのスキャンダルの陰に、自身の出生の秘密がからんでいたことを。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-09-02 22:40 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)