リミットレス Limitless

●「リミットレス Limitless」
2014 アメリカ  Relativity Media,Virgin Produced.105min.
監督:ニール・バーガー  原作:アラン・グリン 『ブレイン・ドラッグ』(文春文庫刊)
出演:ブラッドリー・クーパー、ロバート・デ・ニーロ、アビー・コーニッシュ、アンドリュー・ハワード他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
このところ毎年オスカーにノミネートされ、すっかりハリウッドを代表する俳優と
なったブラッドリー・クーパー。アメリカでのベストセラー小説をベースにした脚本を得て
なかなか面白い作品を仕上げた。監督の映像に対するこだわりも、凝っていて、
編集点の分からない超ロングズームとか、頭のなかの思考が映像で現れたり、それらも
面白く観た。

普段は20%しか使われていない人間の脳を100%活性化させるクスリが
開発され、それを飲んだ売れない作家志望の主人公の、破天荒な人生の転換が描かれる。
誰もこうしたある種スーパーマン的な存在に憧れるので、そういう単純化した構成も
また一種の英雄譚として興味を引くところ、カタルシスとなっている。

冒頭のシーンの謎がラストに明らかにされるのだが、ナレーションを主人公が担当するという
仕掛けだ。ブラッドリーと時に協力し結局対峙する実業界の大物に扮するデ・ニーロもさすがの
重さとなっている。
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一粒飲むと30秒以内に空は飛べないけど頭脳が高速回転を始めて、スーパーマン状態と
なる。当然副作用もあるのだが、最初のうちは分からない。別れた妻の弟と街で偶然出くわし
クスリを貰う。まあいいから飲んでみろよ、一粒800ドルだぜ、といって去っていく義弟は
かつてはヤクの売人をしていたのだが、今はやばいクスリを扱っているらしい。一粒飲んで
一晩で傑作をもので来た主人公エディ=クーパーは、出版社に持ち込むと絶賛される。
そこで更にクスリをもらおうと義弟のマンションに行くと、義弟の部屋は荒らされ、さらに
額に一発撃ち込まれ絶命してた。慌てて911に電話するが、エディはクスリを求めて部屋を
探し、結果オーブンの下に大量のNZTと呼ばれるクスリとそこそこの現金を発見。
警察でいろいろと聞かれ、担当の警部に釈然としない、と言われるものの放免される。

さて、そこからのエディは本を書くだけでなく、義弟の現金を元手に投資をはじめたちまち
何倍にも増やし、市場の注目を浴びる。語学もあっという間に覚え、難しい本もたちまち
読み切り理解し、その知恵を使って市場で財産をどんどんと増やしていったのだ。

売れない小説家志望の時に去って行った彼女も、彼のもとに戻ってきて、さらにヴァン・ルーン
=デ・ニーロという大物の合併劇のアドバイザリースタッフとして活躍し始めた。
しかし、クスリがだんだん底をついてきて、また副作用として記憶が飛ぶという現象も
出始めてた。ある夜記憶をなくしたまま街をさまよったエディは、クラブで知り合った女と
ホテルにしけ込むが、その後のニュースで、どうやらその女を自分が殺したらしいと知り、
愕然とする。またヴァンルーンとの交渉にも副作用が出て、吐き気や頭痛になやまされる。

さらにそのクスリを投資のタネ銭のため金を借りた男に脅されて1錠やったところ彼も覚醒して
しまい、その後クスリを強請られることになる。更に知らない男に突き回されることにもなる。
警備を厳重にしたマンションに転居したもののそこもクスリを狙う賊に襲われる。しかし、エディには
一粒のクスリも残っていないのだ。命が危ない状況の中、彼は隠し持っていた包丁で賊のボスを
刺殺し、彼が注射器で体にクスリを入れたので、ナイフ傷から流れでた血をすすって、覚醒し、
残りの二人の賊を殺したのだった。これは売人同士の殺し合いに見せようと決めた。

そこでエディは知り合いの製薬メーカーのラボの研究員を200万ドルで買収し、よく分からない
NZTを、量産してもらうことにする。

途中で記憶が飛ぶなどトラブルもあったがヴァンルーンの右腕としてクスリを使った膨大な
知識を元に史上最大の合併といわれるものを成功させ、4000万ドルを手にする。
しかし、クスリは確実にエディの体を蝕んでいた。前妻も、今の彼女もクスリを止めるように
アドバイスする。しかし薬なしではエディはタダのボンクラだ。彼はこのまま廃人になって
しまうのか?

しかし数カ月後、エディは合衆国上院議員に当選していた。ヴァンルーンは彼がクスリを使っている
こと、殺人の嫌疑がかけらたことも知っていて半ばおどして自分のスタッフにしておこうと
する。しかもエディが依頼してた製薬会社のラボは閉鎖させたという。が、エディは逆に
ヴァンルーンがこれまでしてきた数々の汚いビジネスを公表するぞ、とに脅した。
彼は薬はやめていたのだ。つまりエディはNZTの服用で活性化した脳がそのままの状態で
とどまる進化を遂げていたのだった。彼は全能の力と予言力、金、恋人すべてを手に入れた
のだった。
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最後にスーパーマンになることに成功したエディの姿に、見る人はカタルシスを感じるか、嫌悪を
感じるか。またそんなクスリを飲みたいものだと思うだろうか。万能となったエディは将来幸せに
なれるのか。彼は大統領になろうとする野心をもっているようだが、こんな奴が大統領になった
暁に、国は大丈夫なのだろうか。そもそもNZTと義弟の関係、このクスリは何を目的に誰が
作り始めたのか、軍か?そんなところは観客の想像に預けられるのである。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-10-29 22:40 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)