あなたを見送る7日間 This Is Where I Leave You

●「あなたを見送る7日間 This Is Where I Leave You」
2014 アメリカ 21 Laps Entertainment,Spring Creek Productions,Warner Bros. 104min.
監督・(共同)製作:ショーン・レヴィ
出演:ジェイソン・ベイトマン、ティナ・フェイ、ジェーン・フォンダ、アダム・ドライヴァー、ローズ・バーン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
このところ殺伐とした映画が続いていたので、この手のハートフルコメディはつかの間の
心の安寧であり、評価もいささか甘め。6,5というのが妥当か。

ハリウッド製のハートフルコメディの王道のような作りで、根本には結構シリアスな家族
再生というテーマがあるのだが、それを演者の気の利いたセリフやユーモアで味付けし
綺麗な映像で纏めるという破綻のない作品だ。常道なので退屈っちゃあ退屈だが、その
当りは「ナイト・ミュージアム」「リアル・スティール」を創ったショーン・レヴィなりの上手い
纏め方はしてある。この種のコメディ、嫌いじゃない。もっとコメディチックでもいいくらい。

ユダヤ教とシモネタを満載する、というのもよく見るハリウッド製ハートフルコメディでは
よく見るパターン。親のどちらかが亡くなり、それを機会に仲があまりよろしくない兄弟が
問題を抱えつつ集まり、一騒動の後、それぞれの絆を確認しあって別れるというのも
良くある話だ。以上書いてきたようなステレオタイプのドラマに活気を与え作品の出来を
良くしているのが出演陣だ。主役のジェイソン・ベイトマン、ティナ・フェイ、ジェーン・フォンダら
芸達者が並び、兄弟陣やその妻らの演技も安定して嫌味がない。個人的には末っ子フィリップを
演じたアダム・ドライバーの、飛んだ性格が面白かった。
その辺りの、ストーリーのわかりやすさが演技の上手さを際立たせて映画の味を一等上等に
していると感じた。脚本と演者と画作りが三位一体となって止揚した作品ということが出来る。
そうそう、基本悪い人が一人も出てこないというのもこの種のドラマでは大事な点である。
オチの付け方も、ご都合主義と言われればそうなんだが、カタルシスもあり、この手の映画では
まあ、そんなものだろう。
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<ストーリー>
いわゆる“ミッドライフ・クライシス(中年の危機)”をテーマにした群像劇。それぞれ中年に
なったきょうだいは、物質的に恵まれていたとしても精神的には行き詰まっている。そんな
迷える大人たちをユーモラスに描いて笑いを誘うが、同世代の観客はつい考えさせられる
一面も。
出演は「ハンコック」「ディス/コネクト」のJ・ベイトマン、TV「30 ROCK/サーティー・ロック」の
T・フェイ、ベテラン女優J・フォンダなど多彩な顔ぶれ。監督は「ナイト ミュージアム」シリーズ
などコメディに強いS・レヴィ。

ラジオ局で働くジャドは、妻と自分の上司がずっと不倫していたと知ってショックを受けるが、
父親の訃報を聞いて久しぶりに実家へ。ユダヤ教のしきたりで、長兄ポール、長女ウェンディ、
末っ子の弟フィリップ、母親ヒラリーらと故人が亡くなってからの7日間をともに過ごすことになる
が、彼らはそれぞれ問題を抱えて困っていた。そんなジャドは高校時代、自分より年下で軽く
付き合ったが、今や大人になった女性ペニーと再会し……。 (WOWOW)

結末を防備録的に書いてしまいますので、これから観たいというかたは此の先はお読みになら
ないよう。

1年に渡る妻と上司との不倫を気づかなかったラジオ局ディレクター、ジャッド・アルトマン
(ベイトマン)。タイミング悪く父が亡くなり、遺言で家族みんなが集まり「シヴァ」という行事を
することになる。故郷に帰るとかつて仲が良かったペニーが、まだ一人で居た。彼女に胸トキメク
ジャッドでもあった。
兄弟全員、もちろん母親も問題を抱えていて、故郷に残って父の事業を継いだ長男夫妻には
子供が出来ず、妊活に励む日々。長女ウエンディにはおまるでうんちが出来るくらいの男の子が
いてダンナはビジネスで忙しい。彼女は実は近所のホリーと深く愛し合っていたが交通事故で
ホリーは頭をうち後遺症のため自立が難しかったため、今のダンナと結婚したものの、未だに
ホリーへの愛情を捨てきれないでいる。
末っ子フィリップは自由奔放に生きてきて、結構危なかったりする。そんな男に惚れてしまった
カウンセラーでPhdのトレイシーが、葬式後にやってきた。
そして母親は最近豊胸手術をして若々しい。子育て記を出版しそれが結構当たったりしていて
夫を助けたのだが、会話はあけすけ、彼女も自由奔放なのだ。

そんな問題山積の一家が外出もしないで7日間家にこもり喪に服すという「シヴァ」に
取り組む。そんな7日間で、兄弟たちはそれぞれの問題に向き合い、また父親を見直し
兄弟の絆を確認していく。次男ジャッドは浮気妻が妊娠したと告げられ、オレの子じゃない
だろう、というが妻は確信しているという。離婚しても赤ちゃんは一緒に育てて、と。
心は完全にペニーに向いていて一夜を共にしてしまっているジャッドは、子供可愛さに
妻を許そうとするが、ペニーに対する思いが強いことを確認。子育てには責任は持つが
やはりペニーを愛している自分を偽るわけにはいかないと覚悟するのだった。

ラスト、このまま行くと、ペニーだけが可哀想だ、と思うのだが、そこはちゃんと救いを
入れて、大団円となるのだ。

ハートフルコメディがお好きな方、一度ご覧いただくといいかも。日本ではDVDスルーに
なってます。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-04 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)