2016年 02月 20日
マダム・マロリーと魔法のスパイス The Hundred-Foot Journey
2013 アメリカ DreamWorks,Amblin Entertainment,Touchstone Pictures.122min.
監督:ラッセ・ハルストレム 製作:スティーヴン・スピルバーグ、オプラ・ウィンフリー他
原作: リチャード・C・モライス 『マダム・マロリーと魔法のスパイス』(集英社刊)
出演:ヘレン・ミレン、オム・プリ、マニシャ・ダヤル、シャルロット・ル・ボン、ミシェル・ブラン他
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
ディズニーとスピルバーグ(アムブリン)が手を組んで、名称ラッセ・ハルストレムに
メガフォンを取らせ、主演にオスカー女優ヘレン・ミレンを据えたこハートフルドラマ。
この座組でつまんなかったら承知しないぞ、と思って観ていたのだが、安心して
観ることが出来た。佳作、良作である。
「移民」という今日的なテーマがたまたま設定されているので、インドとフランスの文化の
ぶつかり合いという意味でも興味が持てた。原作が面白いのであろうが、名匠ハルストレムの
演出も冴えていて、時々クスリと笑わせ、ハラハラさせ、ホロリとさせ、うるうるとさせる。
ミシュラン一つ星200年の伝統を誇るフランス料理レストランの前に開業したインド
移民のインド料理店。そのふた家族のプライドのかかったいがみ合いと、主人公たる
料理人ハッサンのフランス料理を学びたい、また彼の才能を見ぬいたマダム・マロリーの
慧眼により、仏印両家族が打ち解けあい、理解していくさまに、心温かくなる。
キャストの中ではやはりマダム・マロリーのヘレン・ミレンの時に凛とし、時に優しい
表情豊かな演技、加えてインド一家のパパ、オム・プリ(ジャン・ギャバンみたいだ)の
ぶつかり合い、頑固な様、意地の張り合い、理解、融和、愛情、と変化していく演技がとても
良かった。
ハッサンの努力と才能で、マダムのレストランは30年間星ひとつだったのが2つに昇格、
ハッサンはここに残ってみんなで3つ星を目指す、というと思いきや、もうひとエピソード
挟まれる。
ハッサンはパリへヘッドハントされ、雑誌の表紙になるまでの人気シェフとなった。作る
フレンチは超現代的はアートのようなものであった。しかしハッサンはどこか引っかかる
ものがあった。そんなエピソードを挟んで彼は故郷へ戻り、再びマダムから譲られた
レストランで三つ星を目指すのだった。そしてビジネスパートナーには彼を最初から
支え(一時険悪にはなったが)てきた副シェフだったマルグリットが伴侶としてなることに
なったのだった。そんな恋愛譚もさりげなくまぶしてある。めでたし!
邦題がハリポタ風で味気ないが、原題は100フィートほどの小道を挟んだ2つの
レストランの間を行き来し、成長の旅をするハッサンの姿を連想させる味のあるものだ。
ぶつかり、理解し、融和し、平和になる。どこかの国の政治家に学ばせたいことがホノボノ
と示される好編である。ディズニーとアムビリンなので安心して家族で観られる作品。
<ストーリー>
南フランスを舞台に、100フィート(=約30メートル)隔てた真向いにある2つのレストランの
間で起きる衝突を描いたベストセラー小説を、名匠ラッセ・ハルストレム監督が映画化した
ヒューマンドラマ。フランス料理店の名物女店主がライバルのインド料理店の息子が作る
料理と出会い、変わっていく姿を名優ヘレン・ミレンが体現する。
南フランスの山間に建つミシュラン1つ星のフレンチ・レストラン“ル・ソル・プルルール”の
オーナー、マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)は、最高のサービスと味を提供することに人生を
かけている。
ある日、故郷を追われ、ヨーロッパで再起を果たそうと旅していたインド人一家が、車の故障
のために足止めを食う。そこで一家の父は、空き家となったレストランに興味を持ち、インド・
レストランの開業を決断する。しかしそれは、マダム・マロリーのレストランからわずか100
フィートの道を隔てた真向いにあった。
一家の次男ハッサン(マニッシュ・ダヤル)は絶対味覚を持ち、料理名人だった亡き母から
受け継いだ魔法のスパイスを操る天才料理人だった。しかし、大きな音量で音楽を流し、
強烈な匂いのスパイスを使った料理を出す“メゾン・ムンバイ”は静かな雰囲気のフレンチとは
対照的で、マダム・マロリーにとって向かいの店迷惑な存在だった。その上、市場での食材の
奪い合いも巻き起こり、2つのレストランは一触即発の危機を迎える。さらに、窮地の一家を
助けた縁でハッサンが想いを寄せていた女性マルグリット(シャルロッテ・ルボン)は、
ル・ソル・プルルールの副料理長だった……。(Movie Walker)
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