2016年 03月 04日
インヒアレント・ヴァイス Inherent Vice
2014 アメリカ Ghoulardi Film Company,IAC Films,Warner Bros. 148min.
監督・脚本・(共同)製作:ポール・トーマス・アンダースン 原作 トマス・ピンチョン 『LAヴァイス』(新潮社刊)
出演:ホアキン・フェニックス、ジョシュ・ブローリン、オーウェン・ウィルソン、キャサリン・ウォーターストン、
リース・ウィザースプーン、ベニチオ・デル・トロ他

<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
本作のブログを書くにあたり、難物PTAの過去に観た作品の自分の感想を再読してみた。
「ブギー・ナイツ」「マグノリア」「パンチドランク・ラブ」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ザ・マスター」。
基本は「難解」「何を言おうとしているのか分からない」「形而上的」「突然終わる」などが共通項で
あった。
どの映画を観ても一応面白くは観られるのだかが、観終わって「はて、結局この映画の
いいたい所は?」となってしまっているのだ。
で、本作。これまで観たPTA作品のなかでも飛びきり難しかった!内容のレジュメからは
もっとドタバタの探偵ものと思っていたのだが、まあPTAの作品がそれで終わるわけはない。
毎度の事ながら、登場人物が多く、名前を覚えるのに苦労する上、ストーリーがトンでいるので、
その「いいたい所」を把握するのが難しい。
やっぱりPTAの作品は2度3度観ないと分からない。それでも分からないかもしれないけれど。
藤原帰一さんは「定石を破る趣味の監督が訳の分からない小説を映画にしたんですから、
分かりにくいのも当然です。 」(毎日新聞)と言っている。良かった、私だけじゃないんだ。
「サイケデリックな70年代のマリファナ的サブカル的ヒッピー的なんじゃこれ?」なものなの
だろう。
つまりPTAとしてはピンチョンの原作が持つ時代の雰囲気を形而上的映像の世界で表現した、と
言えるかもしれない。PTAの映画にはつきものの「なんじゃこれ」感は、時に「人生なんて
ままならない不条理なもの」的な冷笑的、自虐的なアプローチを持つが本作もメインストリーム
としてはそういうことなんだろう。特有の長まわしもふんだんに使われるが、この手法はその
シーンに大きな意味を持たせる(セリフも長い)場合が多いのだが、PTAの作品ではそうとも
言えない。「人生の意味? へん、そんなものを描いたわけじゃないんだよ」というPTAの
斜に構えたセリフが聞こえてきそうである。
「グルーヴィー」なんていう詠嘆のセリフがよく出てくるが、同時代を生きていたものとしては
たしかにこの言葉は一世を風靡したことは理解できる。今で言う「クール」くらいの意味合いで
使われていたと思う。PTAの手にかかると、時代をバカにしているというか、おちょくっている風
にしかみえないのだけれど。「努力は報われない」「時間は解決しない」という悲観的テーゼに
正義というアンチテーゼを持って立ち向かう。でもクサばっかりやっているラリラリな探偵なん
だもんねえ、というアカンベーも見えたり。
また本筋とは関係のない「『スキヤキソング』が流れる日本人が経営するパンケーキ屋」に
ビッグフットが入り、「もっとーパンケーキ◯※▲√#✕」などという怪しい日本語を喋るの
だが、これなんかも、ふざけているとしか思えないが、映画全体の中では雰囲気を持つのだ
から不思議なんだよなあ。「意味無いじゃん」というシーンとかセリフが多いのでこれでまた
難解な上に難解になる。
「インヒアレント・ヴァイス」とは保険業界用語で「特有の瑕疵」を指す。小説ではLAという
土地に対して「サンアンドレアス断層」は「インヒアレント・ヴァイス」という風に描かれている
のだそうだが、この映画ではシャスタが自分の事をそういい、植木等の「はい、それま~
で~よぉ~」的な意味合いを持つのだと思う。
機会があればまた観てみたとは思うが、時間を置いてみると初見と変わらないから、再見
するなら立て続けのほうがいいな。

<ストーリー>
1970年代初頭。ロサンゼルスに住むマリファナ中毒の私立探偵ドック(ホアキン・フェニックス)
の前に、今も忘れることのできない元カノのシャスタ(キャサリン・ウォーターストン)が現れる。
不動産業界の大富豪の愛人になったシャスタはドックに、カレの妻とその恋人が大富豪の
拉致と監禁を企てていると訴え、その悪だくみを暴いてほしいと依頼する。
だが捜査に踏み出したドックは殺人の濡れ衣を着せられ、大富豪もシャスタも失踪してしまう。
そんな中、ドックは巨額が動く土地開発に絡む国際麻薬組織のきな臭い陰謀に巻き込まれて
いく……。(Movie Walker)
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