2016年 03月 10日
アフガン・レポート Kajaki
2014 イギリス・ヨルダン Pukka Films and more.109min.
監督・(共同)製作:ポール・ケイティス
出演:デヴィッド・エリオット、マーク・スタンリー、スコット・カイル、ベンジャミン・オマフォミー他

<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
息の詰まる映画だ。2006年9月にアフガン南部で実際に起きたイギリス兵たちの悲劇が
ドキュメンタリー風に描かれる。地雷原にハマッてしまい次々と重傷者が出る中で
なかなか助けが来ず・・・という過酷な環境がリアルに綴られていく。とにかく敵は地雷。
敵の姿は出てこない。一人のタリバンの姿もない。しかもこの地雷、20年前以上に当時の
ソ連がアフガンに侵攻した時に埋めたものらしい・・。不条理の極みとも言うべき状況で
イギリス兵士らはなんとか事態を楽観的に捉えようとするのだが・・・。
荒廃したアフガンの荒野に残された数人のイギリス兵士。動くたびに次々と地雷に
やられる。人一人吹っ飛ばすチカラが無いので、片足がもげたり、体が抉られたりと
地味ではあるが決定的なダメージと痛みを伴う悲惨な光景は、見ていても痛々しい。
救助ヘリが大型しかなくて近寄れない、さらにその後来たヘリの救助部隊が、地雷原だ
というのに担架を下ろして地上を歩く!
シーンの殆どが地雷原であり、一人、また一人と地雷にやられていく光景が続く。派手な
戦闘も戦車も航空戦もない。あるのは姿が見えない地雷とジリジリと照らすアフガンの
太陽だ。地味ではあるが苦痛と不条理に満ちている。戦争というのはそういうモノだ。
そういう戦争の一面を描いていて優れていると思った。傷口がかなりリアルに再現されてい
たと見えて、WOWOWの映像でもぼかしが入っていた。(ぼかしは要らないと思うんだけど。
そのリアルさも含めて戦争の残虐性不条理性なのだが)
ラストに実際の兵士の写真とともにその後が語られるが、こんな目にあってもなお、兵士を
続けていった人が多いのに驚いてしまった。
日本では劇場おろかDVDでも観られないらしい。こういう映画をきちんと見てほしい。

<ストーリー>
2006年、タリバン勢力を掃討すべくアフガニスタンに駐留していたイギリス部隊の1兵士が
地雷を踏んで重傷を負い、彼の救出に向かった部隊の仲間たちも、相次いで地雷にやられて
負傷。一触即発の危機的状況の中、残りの者たちは地雷原を遠巻きにして、なすすべも
なくその状況を見守るほかないという悲惨な生き地獄が現出することに。この実際に起きた
悲劇を映画化。監督はこれが長編劇映画監督デビューとなるP・ケイティス。
2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件を受けて、アメリカ主導の下に始まった対テロ
戦争にイギリスも参加。タリバン勢力を掃討すべく、アフガニスタンにも多くの若者が派兵され
ることに。
2006年9月5日。同地の村カジャキに駐留していたイギリス部隊の兵士のひとり、スチューは、
移動パトロール中、地雷を踏んで右足を失うはめに。さらには、彼の救出に駆けつけたほかの
仲間たちも、次々と地雷に触れて重傷を負い…。 (WOWOW)
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