オン・ザ・ハイウェイ  Locke

●「オン・ザ・ハイウェイ Locke」
2013 アメリカ・イギリス IM Global,Shoebox Films.86min.
監督・脚本:スティーヴン・ナイト
出演:トム・ハーディー、(声:オリヴィア・コールマン、ルース・ウィルソン、アンドリュー・スコット他)
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
短い映画であるが、出てくる人物は一人だけ。映されるシーンは冒頭の工事現場以外は
高速道路を移動するクルマと男のみ。男はアイヴァン・ロック。原題はその名前から取られて
いる。扮するは、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で名を上げ、「レヴェナント 蘇りし者」で
オスカー助演男優賞ノミニーとなった売出し中の、イギリスの俳優トム・ハーディ。

アイヴァンはビル建築現場でコンクリートを流し込み土台を作る現場の監督だ。彼が夜、
愛車BMW X1に乗り高速を走りロンドンに行くのには重大な意味があったのだ。

全編一人芝居(というかクルマに掛かる、あるいは掛ける電話の声が共演者だが)。
これ以上長いことやっていると飽きる、という寸止めが効いていて、なかなか野心的で
オツな作品となっている。
見始めた最初の頃は、つまんないのかなあ、と思っていると電話でのやりとりながら
状況がドラマティックに転換し、スピードが上がってきて、緊張感の醸成もしっかりと
していて、面白くなった。

一人芝居ながらもアイヴァンという男の人となりが電話での様々な人の会話から浮かび
上がってくる。また車中で今は亡き父親への恨みつらみをつぶやき、ルームミラーの
自分に語りかける姿などから、自画像も浮かび上がってくる仕組みだ。
信頼される現場監督という仕事の顔、反面、長期出張の時、一夜の浮気から相手が妊娠、
そして今まさに子供が産まれようとしていた。彼はその病院に駆けつけている途中だったのだ。 

現場では途中で仕事を放棄され、任された男が泣き言をいいながら、明日朝からの大量の
コンクリの流し込みのしごとの準備をしている。アイヴァンの行動がシカゴの本社に知れ、
即刻クビとなる。それも仕方のないこと、とアイヴァンは腹をくくっている。

一方、家庭では贔屓サッカーチームのテレビ応援をするため妻と二人の子供が待っていた。
アイヴァンは電話で、「今夜は家に帰らない」といい、その理由を妻に話す。当然大ショックを
受ける。二人の男の子たちも、親たちの不穏な動きを察する。アイヴァンが子供から愛されて
いるんだなということが電話から伝わってくる。

一方、産気づいてロンドンの病院に運び込まれた浮気相手のベッサン。恨みつらみも
いいつつも、男の到着を待っていた。そこに医師から、へその緒がクビに巻き付いていて
危ない、と帝王切開することを告げられる。不安がるベッサンをなだめるアイヴァン。
やがて、電話の向うに赤ちゃんの泣き声が。アイヴァンは男としてのけじめを付けるため
出産に立ち会い、子供を認知はするが、浮気相手は一夜限りであり、この女に愛情は
感じていないのだ。愛しているのはやはり妻であった。

妻とのやり取りで、彼は家に帰れなくなったことが分かる。アイヴァンが自らつぶやくように
「出発するまでオレには仕事も家庭もクルマもあった。今やあるのはクルマだけだ」と。
短い間で劇的に人生が変化していく様子を夜の高速道路とハンズフリー電話という道具を
使って上手いこと表現出来た。

ラスト、病院に向けてランプを降りるところで終わっていくが、その後のアイヴァンを想像して
みるのが面白い。
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<ストーリー>
夜のハイウェイを舞台に、一人の男の86分間の出来事を車中で交わされる電話の会話だけで
描くワンシチュエーション・サスペンス。
監督・脚本は「ハミングバード」のスティーヴン・ナイト。出演は「ダークナイト ライジング」の
トム・ハーディ。電話の声を「ローン・レンジャー」のルース・ウィルソン、「思秋期」のオリヴィア・
コールマンらが担当する。

その夜、建築現場監督としてキャリアを積み上げてきた建設会社のエリート社員、アイヴァン・
ロック(トム・ハーディ)は、妻カトリーナ(声:ルース・ウィルソン)と二人の息子たちが待つ自宅
へと愛車BMWを走らせていた。

翌朝は現場で重要な作業を控え、キャリアの中でも最高の瞬間になるはずだった。
だが、一本の電話が彼に人生の全てを賭ける決断を迫る。しばらく考えを巡らせたアイヴァンは、
自宅から遠く離れたロンドンへと連なるハイウェイにハンドルを切った……。
そんな中、アイヴァンのもとにはひっきりなしに電話がかかってくる。上司のガレス、現場作業員の
ドナル、カトリーナ、子供たち、そして過去にアイヴァンと関係を持ったベッサン(声:オリヴィア・
コールマン)……。
ロンドンが近づくにつれ、アイヴァンを取り巻く状況は公私共に悪化の一途を辿っていくが……。
(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2016-03-24 22:55 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)