ドリーム Hidden Figures

●「ドリーム Hidden Figures」
2016 アメリカ Levantine Films,Chernin Entertainment,Fox 2000 Pictures.127min.
監督・(共同)脚本:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャーネイ・モネイ、ケヴィン・コスナー、キルステン・ダンスト、マハーシャラ・アリ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
2日続けて映画館で「心地の良い」映画を見られる幸せ!これは皆さんにお勧めしたい良作です。
今年のアカデミー賞候補作品の中で最後に登場した本作、待たされた甲斐があったという出来でした。
昨日のジャームッシュが「普通の生活」を切り取った「心地の良さ」とすれば、本作は、黒人差別と
戦いつつ信念を貫いた実在の人物のダイナミックな(ちょっと語弊があるな)生き方から感じられる
「心地の良さ」だ。年をとって涙もろくなったせいか、何回か涙腺崩壊になりそうなシーンがあった。
白人が解けない数式をスラスラと解いてしまい、びっくり顔の白人には容易にカタルシスを感じる
事ができる。

★は8.5を進呈したい。マイナスは、黒人差別がもう少しきつく描かれても良かったんじゃないか、と
思ったから。まさに公民権運動吹き荒れる時期、この映画に出てくる(基本はNASAの人なんだが)人物は
ベースとしてはいい人なんだもの。冒頭に登場し、主役3人をパトカーで先導してくれる白人警官を
初めとして、カッコいい本部長ケヴィン・コスナー、三人の上司キルステン・ダンスト、理解あるもの。
映画では、非白人用トイレに行くためにNASAの構内を片道800メートルも行き来しなくてはいけないとか
オフィスにあるコーヒーサーバーが分けられているとか、主人公の一人がNASAでの技術者の資格を得る
ために白人だけの高校に通わせろと、裁判に持ち込まなくてはならなくなるのだが、判決を言い渡す白人判事、
情けをかけてくれるし、事実かもしれないが、環境は過酷だが、周りはいい人、というのが、いささか
迫力不足というか。最高に良いやつなのはフレンドシップ7に乗ってアメリカ人として初めて地球を周回
したグレン飛行士だ。彼の場合は、主人公の一人計算の天才キャサリンを心から信頼しているのだ。
実際はもっともっと私生活も含め黒人ゆえの苦しさはあっただろう。
三人の努力は認めるとしても彼女たちは恵まれていたほうだとも言えるだろう。

さりとて、あの時代に、国家事業に参加し、極めて重要な仕事を、底辺から初め、実力を認めさせ、
しかるべき仕事と地位を与えられるようになった実在の三人には敬意を払わずにはいられないし、
彼女らの才能を認めた本部長ケヴィン・コスナーや上司キルステン・ダンスト、飛行士らの、差別をしない
勇気、国家事業を成功させるためにあの時期、肌の色は関係ないという姿勢も敬意を評さざるを得ない。
そしてそれらが描かれた映画は、観ていて心地悪いはずがない。プロジェクトは成功していくんだし。

現在も90歳を超えて存命でいらっしゃる三人は、フレンドシップを成功させた後、ジェミニ計画、
アポロ計画、そしてスペースシャトル計画まで関わり、彼女らの名前を関した施設がNASAに作られる
までになったという。キャサリンは大統領から米国人として最高の栄誉である「大統領自由勲章」を
与えられている。

事実とは少し違う色付けがされているようだが、アメリカ人がいかにも喜びそうな作りで、本国での
評価も極めて高い。原題の"Hidden Figures" とは「隠された人/数式」というダブルミーニング。
日本のタイトルは大上段に構えすぎで、もう少し何とかならなかったのかな。

主役の3人の黒人女優さんたち、ボスを演じるケヴィン・コスナー(ちょっとかっこ良すぎかな)、
オスカーで助演男優賞に輝いた(「ムーンライト」)マハーシャラ・アリら、ナイスなキャストであった。

国の大事業でしかもソ連との競争という状況で、(途中からIBMの大型コンピュータが出てきて、白人の
技術者が使いこなせないで困っている中、主人公の一人がフォートラン(懐かしいなあ)をマスターし
動かしてしまうシーンはいいなあ)仕事と黒人であるという大きな壁に負けずに挑んで結果を出した
3人の女性に、素直に感動してしまうのだった。
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<ストーリー>
アメリカと旧ソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年代初頭、アメリカ初の有人周回飛行の
成功に尽力したNASAに勤務する3人の黒人女性の実話を映画化した人間ドラマ。
黒人への差別が激しい時代背景の中、家族のために奮闘する女性たちの姿を描き、第89回アカデミー賞では
3部門でノミネートされた。

1961年、東西冷戦下のアメリカとソ連は熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。ヴァージニア州ハンプトンの
NASAラングレー研究所では、優秀な黒人女性たちが計算手として西計算グループで働いていた。
リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望するが、上司ミッチェル
(キルステン・ダンスト)は「黒人グループには管理職を置かない」と却下する。
メアリー(ジャネール・モネイ)は技術部への転属が決まり、エンジニアを志すが、黒人には無理だと
諦めている。幼いころから数学の天才少女と呼ばれていたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は
黒人女性として初のハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、白人男性
ばかりの職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレもなかった。

それでも家庭を持つ3人は、国家の威信をかけたマーキュリー計画に貢献しようと奮闘した。
1961年4月12日、ソ連はユーリ・ガガーリンを乗せたボストーク1号で史上初の有人宇宙飛行を成功させる。
ソ連に先を越されたNASAへの猛烈なプレッシャーのなか、キャサリンはロケットの打ち上げに欠かせない
複雑な計算や解析に取り組み、その実力をハリソンに認められ、宇宙特別研究本部で中心的な役割を任される。

一方ドロシーは、新たに導入されたIBMのコンピュータを使ったデータ処理の担当に指名され、メアリーは
裁判所への請願が実り、白人専用だった学校で技術者養成プログラムを受けるチャンスを得る。
夫に先立たれ、3人の子供をひとりで育てていたキャサリンは、教会で出会ったジム・ジョンソン中佐
(マハーシャラ・アリ)のプロポーズを受ける。

1962年2月20日、宇宙飛行士ジョン・グレンがアメリカ初の地球周回軌道飛行に挑む日。打ち上げ直前に
想定外のトラブルが発生し、すでに職務を終えて宇宙特別研究本部を離れていたキャサリンに、
コンピュータには任せられない重大な計算が託される……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:93% >



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by jazzyoba0083 | 2017-09-29 12:35 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)