マイルス・アヘッド Miles Ahead

●「マイルス・アヘッド Miles Ahead」
2015 アメリカ Sony Pictures Classics and more. 100min.
監督・(共同)原案・製作・脚本:ドン・チードル
出演:ドン・チードル、ユアン・マクレガー、エマヤツィ・コーリナルディ、レイキース・リー・スタンフィールド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ジャズファンとしては、観てみたいな、と思いつつも映画館まで足を運ぶまでの映画かなあ、WOWOWを
待ってもいいかなあ、と思っていたら1年が経ち、WOWOWで放映してくれた。
ジャズの世界に燦然と輝く伝説のビッグスターの、フィクションを含めた自伝的作品。内容よりもドン・チードルが
マイルスによく似せている(トランペットの吹き方や指使いも)方に目が行ってしまった。そこはよく出来て
いた。ジャズやマイルスに興味のない人は観ても一般的な感動があるわけではないので、特に日本では一般受けは
しないだろう。

ビバップ、クール、モード、ジャズ・ファンクと常にジャズの世界をリードしてきたマイルズが、1980年代初頭に
5年間活動を停止していた時のお話だ。気分屋で、怒りっぽく、何を考えているかよく分からない変人としても
知られる(特に晩年は)マイルズが、次へのステップを踏み出そうともがく姿、というより、フランシス(名盤
「いつかお王子様が」のLPジャケットを飾る黒人女性)との別れやドラッグや酒で、破滅的な生活を送って
いる様を描く。自分がスターになり始め、フランシスと知り合うころと、荒んだ生活の現在をカットバックしな
がら物語が綴られる。カメラワークや編集などに工夫が見られるが、全体の物語としては、弱い。何に焦点が
当たっているのかよく分からない。フランシスの喪失なのか、新しい音楽への模索なのか。

雑誌「ローリングストーン」の記者役のユアン・マクレガーが狂言回し的な役どころ。ただ、100分では
マイルスってそういう人だったのだ・・・というところまでは行かない。個人的には名盤だと思っている
「クールの誕生」(一般的にも歴史的名盤として通用している)を、マイルスは駄作、と言っている点。
それよりも「スケッチ・オブ・スペイン」のほうが気に入っている、という点、「俺の音楽をジャズと
呼ぶな。ソーシャルミュージックと呼べ」と言っている点が新しかった。

マイルズは祖父は地主で父は歯科医、母は音楽家、という恵まれた環境に育ち、チャーリー・パーカーや
ディジー・ガレスピーらバップムーブメントの巨人たちとの交流にも恵まれた。そのあたり精神的に
打たれ弱いところがあったのではないか。自らの殻に閉じこもり、わがままを押し通す。妻フランシスが
怒って離れていくのも分かるというものだ。そうした彼の心には「寂しさ」が渦巻いていたのだろうけど、
それを他人にぶつけたり、ドラッグや酒に解決を求めたのでは、早死はするというものだ。

私にとってはマイルス・デイヴィスという男を再認識する点では面白い映画であったと思うけど、同じ
ジャズ映画の「ラウンド・ミッドナイト」のような一般的感動は獲得できなかった。ただしドン・チードルの
トランペットの当て振り(本物の音源を使っていたようだ)はお見事。
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<ストーリー>
ジャズ界を牽引してきた天才トランぺッター、マイルス・デイヴィス(ドン・チードル)は、1970年代後半に
入ると活動を休止。慢性の腰痛を抱え、ドラッグや鎮痛剤の使用から一人自宅で荒れた生活を送る彼のもとに、
音楽レポーターのデイヴ・ブレイデン(ユアン・マクレガー)が押しかけてくる。
二人は、盗まれたマイルスの新曲入りテープを取り戻すことに。脳裏にミューズであった元妻フランシス・
テイラー(エマヤツィ・コーリナルディ)との結婚生活の思い出が蘇り、気まぐれな性質に拍車をかける
マイルス。死を考えるほど苦悩し絶望する彼だったが、やがて音楽に救いを見出していく。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:74% Audience Score:57%>




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by jazzyoba0083 | 2017-11-24 22:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)