アニーよ銃をとれ Annie Get Your Gun

●「アニーよ銃をとれ Annie Get Your Gun」
1950 アメリカ Metro-Goldwyn-Mayer. 107min.
監督:ジョージ・シドニー  脚本:シドニー・シェルダン
出演:ベティ・ハットン、ハワード・キール、ルイス・カルハーン、J・キャロル・ネイシュ他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
今日は月イチの市が開催する映像鑑賞会。この半年は古いミュージカルシリーズで、今日午前の
出し物が「アニーよ銃をとれ」だった。
この時期のMGMものは大好きなれど、たまに鑑賞が抜け落ちているものがある。本作もそれで、
これに続く「ショウほど素敵な商売はない」は観ているのだが、今回は初見であった。

この映画調べるといろいろと面白いことが分かってきて、ますます興味深くなったDVDを買おうかしら、
とも思う。まず主演の実在の女性ガンマン、アニー・オークリーを演じたベティ・ハットンだが、まさに
本作が彼女のピークとも思える演技と歌が素晴らしい。小柄でそう美人という訳でもないのだが、愛すべき
キャラクターを十分に発散。吹き替えをしない乗馬シーンやその歌声など、今見ても一級品の芸・演技で
ある。その後はあまり作品に恵まれず、もともとブロードウェイでの舞台劇であったこの作品のその舞台で
アニーを演じ、その後「ショーほど~」にも主演する御大エセル・マーマンにかなり意地悪されたり、テレビの
世界に軸足を移したことが裏目に出たりして本作からほどなく引退してし消息不明となってしまう。

本来この映画のアニーにはジュディ・ガーランドがキャスティングされていたのだが、彼女は当時精神が
安定しておらず、急遽代役としてキャスティングされたのだが、本作こそ大ヒットとなったがその後は、
ガーランドはいろいろあったが銀幕に復帰したがハットンはついに戻ることはなかった。惜しい人材では
ある。

この映画が不滅の価値を獲得しているのは、シドニー・シェルダン(後述)の、王道なストーリーの中にも
細かい笑いのシーンを入れ、コメディエンヌの才覚も有るベティ・ハットンがそれを上手くこなしている点、
またストーリーに乗せて歌われるアメリカのポピュラー音楽の巨人アーヴィング・バーリンの今やスタンダードと
もなっている名曲の数々、さらに発色がいいテクニカラーの映像、当然ジョージ・シドニーの演出と
それぞれが上手く組み合わさって相乗効果を出している点であろう。

脚本家シドニー・シェルダンはその後「ゲームの達人」で注目されるのであるが、もともとは映画の脚本家で
名作「イースター・パレード」「Anything Goes」を始め、テレビの世界では「可愛い魔女ジニー」の
企画・原作・製作・脚本を手がけている。

巨人アーヴィング・バーリンはブロードウェイとこの映画のために曲を書いたが、多くの曲がスタンダードと
なっている。(リチャード・ロジャーズとオスカー・ハマースタイン二世は舞台の製作)ジョージ・ガーシュイン、
ジェローム・カーン、リチャード・ロジャーズ、オスカー・ハマースタイン、そしてコール・ポーターと並ぶ
いわゆる「ティンパンアレイ」出身のポピュラーソング作曲家で彼らが作った多くのブロードウェイミュージックは、その後ジャズやアメリカンポップスのスタンダードとなった。
本作を手掛けたアーヴィング・バーリンといえば、「ホワイトクリスマス」が我が国では有名だ。

本作の見所は先程から行っているように、ベティ・ハットンの身体能力も高い演技と、コメディエンヌの
才能も有るコケットな面白み、今では「くさい」とも言われてしまうが安心の王道なよく出来たストーリーと
安定した演出、名曲の数々と上手い歌。映画そのもののハッピーエンドも含め、幸福なアメリカの50年代を
象徴するような、悪い言葉で言えば「能天気」な映画であるが、古き良きハリウッドの楽しさ、価値はこうした
ところにある。

ただし、この映画には先住民(インディアン)が重要な位置を占める(バッファロー・ビルのショーには
インディアンは欠かせない。)が、彼らの描き方はティピカルなヒールであり、白人を殺す(本作では
あくまでもショーの団員でいい人ばかりなのだが)存在。アメリカ西部開拓史は、先住民からの搾取・略奪・
ごまかしの歴史であるため、字幕でもしょうがないところはインディアンと使っているがそうでないところは
先住民としている。このような描き方は、現代にあって、いくら昔の映画、舞台、の話とはいえども、
彼らの理解を得るには努力が必要なはずだ。またバーリング側との曲の著作権を巡るいざこざで長い間
DVDにもならなかったのだそうで、今これを観られる私たちは、先住民のことを思いつつ観るにしても、
幸せなことだ。
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<ストーリー>
1946年以来ニューヨークで大当りをとった、リチャード・ロジャース=オスカー・ハマースタイン・2世製作の
同名のミュージカル・プレイを映画化した、1950年度色彩音楽映画の代表作。原作はハーバート及びドロシー・
フィールズ(「春を手さぐる」)、これを「イースター・パレード」のシドニー・シェルドンが脚色し、
最近音楽劇専門のジョージ・シドニイ(「赤きダニューブ」)が監督している。

作詞作曲は「イースター・パレード」のアアヴィング・バアリン、ミュージカル・ナンバーは同じく
「イースター・パレード」のロバート・アルトンが担当する。撮影はチャアルズ・ロシャア、音楽監督は
「大雷雨」のアドルフ・ドイッチェ。「腰抜けと原爆娘」のベティ・ハットンがアニイに扮して活躍の他、
相手役はMGM新進のハワード・キール、以下「赤きダニューブ」のルイス・カルハーン、「群衆」の
エドワード・アーノルド、「ジャンヌ・ダーク」のJ・キャロル・ナイシュ、「恋愛放送」のキーナン・
ウィンらが共演する。

バッファロ・ビル(ルイス・カルハーン)の西部ショウ一座がシンシナチの町に乗り込んで来た時、ホテルで
座の2枚目スター、フランク・バトラア(ハワード・キイル)を見そめた山の娘アニイ・オークリイ
(ベティ・ハットン)は、ショウの射撃競技でフランクを打ち負かし、憧れの彼とともに一座に加わって
旅することになった。

旅の日数が増えるに従いアニイは見ちがえるような美人となってフランクの愛をかち得ることに成功するが、
仕事の上では彼女の方がすべてに立ちまさって、スタアダムの位置を奪われたフランクは何かにつけて失意の
日を送るようになった。
アニイの名射手振りに惚れこんだインディアン酋長シッティング・ブル(J・キャロル・ナイシュ)は彼女を
養子に迎え、ますます意気あがった彼女はヨーロッパ興行でも人気を高めるばかりであった。一方商売仇の
ポウニイ・ビル(エドワード・アーノルド)一座に転じたフランクは、帰国したバッファロ・ビルと共演
することになり、2人はニューヨークで再会するが、しばらく意地を張り合っていたアニイも、呼びもの
射撃競技では勝ちをフランクにゆずり、天下晴れて手をとり合った。(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score:67% >





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by jazzyoba0083 | 2017-12-14 11:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)