宇宙からの脱出 Marooned

●「宇宙からの脱出 Marooned」
1969 アメリカ Columbia Pictures Corporation,Frankovich Productions. 128min.
監督:ジョン・スタージェス
出演:グレゴリー・ペック、デヴィッド・ジャンセン、リチャード・クレンナ、ジーン・ハックマン他
e0040938_11191993.jpg
<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
ジャンル、監督、出演者で観てみた。この年のオスカーの特殊視覚効果賞を獲っている作品なのだが、
現在のVFXを見慣れたものとしては、クロマキーのなんともおぼつかない映像が歯がゆかった。それを
上回る物語性があるか、といえばそうでもない。3人の宇宙飛行士が地球帰還に際し、飛行船が逆噴射
せず、取り残されるという設定で、管制センターと飛行士の見解の相違、飛行士の妻らの悲しみ、
飛行士同士の争い、救出作戦と、よくある話に終始し、その割に各シークエンスが長く、全体の上映
時間も冗漫に長くなってしまった。あのジョン・スタージェスの作品か?と思ってしまう。出ている俳優らも
豪華な割にがっかりな仕上がり。

1968年にこの映像や設定がどのくらい凄かったのかそうでもなかったのか、調べてみたら、前年には
キューブリックの「2001年宇宙の旅」が製作されている。この映画にもオスカーは特殊視覚効果賞を与えて
いるのだが、一年経過して、前年の同様の作品を上回っているとは思えない作品に同じ賞を与えるのは
どうなんだろう。もちろんCGもなく、光学的に処理された映像となるわけだが、「2001年~」の出来の良さ
に比べると、これで同じ賞か?それでは「2001年~」が可哀想じゃないか、と思えてしまう。
一方、「アポロ13号」事件が起きたのが1970年。状況は違うが、3人の宇宙飛行士の生命が宇宙空間で危険に
晒されたわけで、その点でいえば先見性のあるシチュエーションだったともいえよう。
アポロ計画真っ最中のことで、米国空軍、NASAの協力があったとはいえ、飛行服の仕上がりなどには、若干
不出来な感じを覚えた。ただ背負型の小型ジェット移動装置とか、暗闇に浮かぶ宇宙船の美術は観るべきもがある。

wikipediaによれば、本作は1964年に発表されたマーティン・ケイディンの小説が元となっているようで、
小説では、マーキュリー宇宙船を、当時開発中であったジェミニ宇宙船とソ連のボストーク宇宙船が
救助する、という設定だったそうで、映画化するについて、進行中であったアポロ計画にアダプトされた
ということだ。

繰り返しになるが、それぞれのシークエンスをもう少し手短に纏め、冗漫さを消せば、もう少しいい映画に
なっていたのではないかと思うと、勿体無いことをした、と思う。飛行士の1人、若きジーン・ハックマンの
荒々しい演技が観られる。グレゴリー・ペックは存在感はあるものの、もう一つ心に響いてこない。
救助に参加するソ連の飛行士への敬意など、当時の冷戦状況からすると仕方のないことかもしれないが、
素っ気なさ過ぎな感じだ。

因みに原題のMaroonedとは、孤立した、取り残された、という意味だそうだ。
e0040938_11195707.png
<ストーリー>
ヒューストン基地から発射された宇宙船アイアンマン1号は、いま順調な飛行を続けていた。この宇宙船には、
プルエット(リチャード・クレンナ)、ロード(ジーン・ハックマン)、ストーン(ジェームズ・フランシスカス)
の3飛行士が搭乗していた。
3人は、地上基地の責任者キース博士(グレゴリー・ペック)と、主任飛行士ダウティ(デイヴィッド・ジャンセン)
から送られてきた指令通り、宇宙ステーション建設のためのすべての作業をすませ、やがて、地球へ戻ることと
なった。

だがここで、原因不明の事故が起き、地球へ戻るための推進ロケットが点火しなくなってしまった。さっそく、
地上センターでは、原因究明のため電子計算機を駆使した。初めのうちは余裕を示していた当の飛行士たちにも、
無限の沈黙の宇宙空間にとり残された、不安と恐怖が、じわじわと迫ってきた。
そのころ地上基地では、テッドを一人乗り宇宙船に乗せ、救助に向かわせることにした。しかし、この救助計画
には、数多くの困難が伴った。数日もかかる軌道計算、宇宙船の食料と酸素の心配等々。その上に、救出船発射
間際に、基地は大暴風雨に見舞われてしまった。そのため、いったん発射を見あわせた基地では、台風対策に
頭を悩ませるのだった。こうして、地上基地があせりを感じていたころ、宇宙空間では、3人の飛行士たちが、
懸命の脱出作業にはげんでいた。しかし、その作業中、プルエットが命を落としてしまい、無辺の宇宙に、
ロードとストーンの2人がとり残されてしまった。救助作業に全力を傾けた地上基地は、しばらくして、
すばらしい考えを思いついた。台風の目の無風状態を利用して救助船を打ち上げようという考えがそれだった。
基地のすべての人々がその成功を祈った。その中で、無事救助船は、宇宙の迷子となった2人を救出すべく、
上昇して行くのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★5.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score:43% >
※Rotten Tomatoesの批評家の数字は母数があまりにも少なくて信用しない方がいい。むしろ一般の評価が
正しいと思う。



トラックバックURL : https://jazzyoba.exblog.jp/tb/26309005
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by jazzyoba0083 | 2017-12-20 23:25 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)