アスファルト Asphalte

●「アスファルト Asphalte」
2015 フランス La Caméra Deluxe,Maje Productions,Single Man Productions. 100min.
監督・脚本:サミュエル・ベンシェトリ
出演:イザベル・ユペール、ジュール・ベンシェトリ、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ギュスタヴ・ケルヴェン
   タサディット・マンディ、マイケル・ピット
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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
なんだろうな、この感覚。いかにもフレンチ映画っぽいオフビート感とでもいうのだろうか。
アメリカだとジャームッシュが創りそうな、とでもいうのだろうか。カウリスマキとも違うし。
なんか既視感のある作風ではある。
映画から主張がガンガン伝わってくるようなものではない。どちらかというと何を言わんとして
いるのだろうか、と思ってしまうようなタイプ。でも観終わった後に残るホノボノ感。不思議な
作品だ。

割りと高層の(でも古い)アパートを舞台にした群像劇であるが、3組の男女の交流に絞られる。
2階に住んでいるからエレベーターは使わない、と修理代の支払いを拒否した独身中年男性が、車椅子生活と
なり入院先の看護婦に憧れていくパート、何故かアパートの屋上に着陸してしまったアメリカの宇宙飛行士と
彼を二泊させて面倒をみるアラブ系のおばさんのパート、そして向かい同士に住む若い男と引っ越してきた
女優のパート。
それぞれお互いに何を考えているか良くわからないながらも、必死にコミュニケートしようとする。そして次第に
心が通じるようになっていく。もどかしい、不器用である、けれどそうした人間を観る人は愛おしく思う
ことだろう。その朴訥な描き方の中に、人間の温かさのようなものが観終わって滲み出てくる。

設定されたシチュエーションにありえなさがあるので、(なぜアメリカの宇宙船がフランスのアパートの
屋根に降りてくるか?とか)シュールな展開も納得しながらみることが出来る。いわば不条理の中に
放り出された男女の、心を求めあう過程。車椅子の男性が自販機のパンを求めはるばる病院までやってくる
とか、みんな遠回りして生きている姿も描かれ、そのさりげなさも味わいとなっている。
3組ともそれぞれ味がある。女優を演じるのが最近スポットが当たっているイザベル・ユペールである。
向かいの青年に次作のためのオーディション動画を撮ってもらうのだが、青年が知らないうちに演技指導を
している。そうしたコミュニケーションギャップが面白くも胸に迫る。

音楽もほとんど流れない舞台劇のような作品。ラストは宇宙飛行士を回収に来たアメリカ軍さしまわしの
ヘリがアパートの敷地に着陸し、飛行士は去っていくところで、余韻を残しながらカットアウトのように
終わっていく。
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<ストーリー>
 フランス郊外の古ぼけた団地を舞台に、そこに暮らす不器用で孤独な男女が織りなすほろ苦くもユーモラスな
人間模様をミニマルかつ軽妙に綴る群像コメディ。出演はイザベル・ユペール、マイケル・ピット、ヴァレリア・
ブルーニ・テデスキ。監督は「歌え! ジャニス★ジョプリンのように」のサミュエル・ベンシェトリ。

 フランス郊外にあるオンボロ団地。故障中のエレベーターを住民が費用を負担して修理することに。しかし
2階に住む自称写真家のスタンコヴィッチは断固拒否。結局、彼だけは金を出さない代わりにエレベーターを
使用しないことで決着する。ところがその直後、彼は足を怪我して車椅子生活に。誰にも見つからないよう
深夜に食料調達に向かうが、そんな時間に買えるところは病院の自動販売機だけ。するとそこで、何やら
ワケありの夜勤の看護師と出会い、心惹かれるスタンコヴィッチだったが…。

母親がいつも留守にしている10代の少年シャルリ。ある日、となりに中年女性が引っ越してくる。
この団地に不釣り合いな彼女の正体は、すっかり落ちぶれてしまった女優ジャンヌだったが…。

ある日、NASAの宇宙飛行士ジョン・マッケンジーを乗せたカプセルが団地の屋上に不時着する。これを
秘密にしたいNASAからの要望で、最上階に住むアルジェリア系移民のマダム・ハミダが彼を2日間かくまう
ことになるのだが…。(allcinema)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score: 74%>


by jazzyoba0083 | 2018-01-25 10:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)