ブルーに生まれついて Born to Be Blue

●「ブルーに生まれついて Born to Be Blue」
2015 アメリカ New Real Films,Lumanity Productions,Black Hangar Studios and more. 97min.
監督・脚本:ロバート・パドロー
出演:イーサン・ホーク、カーメン・イジョゴ、カラム・キース・レニー、トニー・ナッポ、ケダー・ブラウン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ウェストコーストの白人モダンジャストランペットプレイヤー、シンガーのチェット・ベイカーの物語である。
つい先日、ドン・チードルがマイルス・デイヴィスを演じた「マイルス・アヘッド」という作品を観たが、
出来としてはこちらのほうに軍配があがる。主人公はジャズプレイヤーではあるが、恋人を中心とした
人間模様がよく描かれているし、結局ドラッグを断ち切ることができなかったチェットの哀しさ、(憐れさ)も
上手いこと描かれていた。
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チェット・ベイカーは、色男で女性に人気があり、マイ・ファニー・バレンタインを歌ったチェットを聴いた
ことがある人も多いのではないか。中性的な歌声で、上手いとは言い難いが味があった。トランペットも
いわゆるバッパーのような火の出るようなアドリブが持ち味ではなく、叙情的な味わいが魅力であった。
ジェリー・マリガンらと並びウエストコーストジャズの重要なプレイヤーであり、この映画にも登場するが
「パシフィック・ジャズ」レーベルから多くのLPを出している。

ただ、人気絶頂の頃にヘロインに手を出し、欧州へ渡ったりイタリアで逮捕されたり(映画の冒頭)、NYに
帰ってきた1970年代40歳のときにはヘロインの金が元で殴られ、前歯と顎に重傷を負った。周囲も再起は
無理だろうと思っていたし、ヘロインのため保護観察官がついてまわる生活だった。
これをささえたのが、ヘロイン騒動で撮影が打ち切りになったが、チェットの映画で妻役をやったジェーン
だった。ハリウッドで本格的にデビューしたい夢を持ちつつチェットを温かく見守っていた。チェットも
苦労して、入れ歯状態で何とかトランペットを吹けるようになり、是非復帰したかったNYの「ハーフノート」にも
友人のディジー・ガレスピーの力添えで一夜限りの公演が出来るようになった。

ステージを目の前にして弱気になったチェットは、あれほど遠ざけていたヘロインに再び手を出し、演奏に
臨む。しかし、その模様を見つめていたジェーンは彼の元を去っていったのだった。

彼はその後欧州に永住したが、結局チェットは終生ヘロインと手を切ることができず、1988年、アムステルダムの
ホテルの窓から転落して死亡した。部屋にはヘロインがあったという。58歳であった。
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20歳代で成功の甘い味を味わってしまったことや、ヘロイン中毒のために療養所生活があったことや、前歯を折ら
れる前に欧州にいたことなどは端折られるが人間チェット・ベーカーの特に弱さ、ナイーブさがイーサン・ホークの
好演により、味わい深く描かれていた。また話の中核に恋人ジェーンとのやりとりを据えたのも話がわかりやすく
チェットの人間性を浮かび上がらせることに成功していたといえる。チェットは女性の出入りが激しく結婚も数度
繰り返したが、映画の中のジェーンほどのきちんとした付き合いをした女性はいない。だからジェーンは創作上の
人物と言えよう。だがそのためにチェットの(作劇上の)キャラクター作りに成功している。
実際のチェット・ベイカーは、この映画より遥かにハチャメチャで破滅型の人間であったようだ。天は二物を与えず、
といったところだろうか。
ジャズファンでなくても興味深い映画ではないか。
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<ストーリー>
「ビフォア・ミッドナイト」「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークが伝説のトランペット
奏者チェット・ベイカーを演じて高い評価を受けた感動の音楽伝記ドラマ。50年代のジャズ・シーンで一世を
風靡するも、麻薬でどん底へと転落したチェットが、愛する女性に支えられて再起を目指す苦闘の日々を見つめる。
共演はカーメン・イジョゴ。監督は、これが長編2作目となるカナダの新鋭、ロバート・バドロー。

 白人ジャズ・トランペット奏者のチェット・ベイカーは、その端正なルックスも相まって1950年代に一世を
風靡する。しかしドラッグに溺れ、たびたびトラブルを起こして、いつしか表舞台から姿を消してしまう。
そんな中、暴力沙汰に巻き込まれ、病院送りに。アゴを砕かれ、前歯を全部失う重傷で、トランペッターと
しては致命傷かに思われた。
それでも、恋人ジェーンの献身的なサポートのもと、ドラッグの誘惑を断ち、再起に向けて懸命に歩を進めて
いくチェットだった。((allcinema)

<IMDb=★6.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:88% Audience Score:73%>



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by jazzyoba0083 | 2018-02-02 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)