四十二番街 42nd Street

●「四十二番街 42nd Street」
1933 アメリカ Warner Bors. 86min.
監督:ロイド・ベーコン ステージ構成・振り付け:バズビー・バークレイ 撮影:ソル・ポリート
出演:ベベ・ダニエルズ、ジョージ・ブレント、ワーナー・バクスター、ウナ・マーケル、ジンジャーロジャーズ
   ディック・パウエル、、ルビー・キラー、ガイ・カービー他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
ミュージカル映画好きとしては必見の作品であった。これまで鑑賞の機会を逸していたが、市主催の映画上映会で
本作を取り上げてくれたので、大きな画面かついい音で楽しむことが出来た。

その後のミュージカル映画の方向を決定づけた、ともいわれる名作であり、ステージ構成を担当したバズビー・
バークレイの面目躍如たる、当時映画ならではの映像表現(たくさんの股の下からカメラを移動する、人の
輪を俯瞰で撮影し、万華鏡のように見せる、ラインダンスの横打ちのパースペクティブを活かした画像)などなどは、その後たくさんのミュージカル映画で「デフォルト」のように使われたのである。
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さらに、こうしたミュージカルの映像表現の素晴らしさだけではなく、本作の優れている点は、1933年製とは
思えない役者のきっちりした演技と、キャメラの画角の捉え方、影の使い方、多重映像の使い方などなど、
びっくりするほど、今日的である。なかんづく、劇中の演出家ジュリアン・マーシュを演じたワーナー・バクスターの演技は、とても魅力的だった。(それもそのはず、彼はこの4年前に「懐かしのアリゾナ」でオスカー主演男優賞を
受賞している。演技はシュアだ)

物語としてはいわゆるバックステージもの。厳しいオーディションを経て、素人同然の女の子がスターの地位を
得るというサクセスストーリー。特に後半30分ほどの劇中レビュー「プリティ・レディ」が先程の映像効果を
満載した見どころとなる。主人公に予定されていた女優が足を折り、素人同然のドロシーが初日の主役を務め
大評判になる。ストーリーとしては特筆するまでのことはないのだが(よく出来てはいる)、とにかく後半30分に
つきる。それと最後の演出家ジュリアンの、決して笑顔で無い表情(これがラストカット)が、ニュアンスを含んで
いた。
こうした映画はあっけらかんとハッピーエンドになるのがこれまでだったが、本作はジュリアンが医師から
これ以上働くと命に関わると忠告を受けつつ頑張った作品ゆえ、その嬉しさ達成感、さらに苦悩が入り混じった
表情だったのだろう。このころのこのタイプの映画には珍しいラストである。

1933年といえば、大恐慌からルーズベルトによるニューディール政策、そして迫る戦争の足音といった時期で
ドイツではこの年、ヒトラーのナチス党が政権を獲得、日本では軍部の横暴が目立ち始め、日中戦争は間近で
あった。そんな時期だった。これからしばらく世界は暗雲の中に突入する。そんな時期に作られたことを思って
見るとまた感慨もひとしお。

そしてミュージカル映画の歴史としてはその頃からいわゆるレビュー映画からミュージカル映画への転換時期に
あたる重要な時代でもあった。そこに現れたこの映画は誠にエポックメイキングであったのだ。MGMの
一連のミュージカル製作に火を付け、「巨星ジーグフェルド」が完成するのは1936年のことだった。

<ストーリー:結末まで書かれています>
金持ちのアブナー・ディロン親爺は女優ドロシー・ブロックに惚れ、彼女をスターにするミュージカル・ショウに
金を出すことになった。しかしドロシーが恋しているのはヴォードヴィル時代からのパートナーのパット・
デニングだった。このショウの演出は有名なジュリアン・マーシュがやることとなり、一所懸命に稽古をつけて
いた。彼はこのために命を失うかもしれないと医者に言われたが、彼は引退しても差し支えないだけの金を獲り
たいのであった。

長い間コーラス・ガールをやっているロレーンとアンは自分たちの出世はあきらめてペギィ・ソーヤーという
若いコーラス・ガールを立派なものにしたいと熱心に世話を焼いている。ペギィには若い二枚目役のビリィも
肩を入れていた。それをペギィはありがたいと思い、恋を感ずるようにさえなった。
ある晩ペギィはパットに家に送ってもらったがその途上、パットは舞台監督マーシュの手下に殴られた。
マーシュはパットとドロシーの仲が金主に知れたら大変ダと思っていたので懲らしたのである。ペギィは
傷ついたパットを自分の下宿へ連れ帰って介抱したが、下宿の女将に誤解を受けて追い出されてしまい、
金がないので二人はパットのホテルへ泊まった。

マーシュは苦心してようやくふたがあけられるまでにこぎつけた。パットとベギィが路で出会って親しげに
話しているところを見たドロシーは嫉妬してしまう。逆上気味のドロシーは初夜の前晩金主を罵倒したので
ディロンは怒ってドロシーをスターにするなら金は出さぬと言い出す。が結局ドロシーが謝るなら堪忍すると
折れた。原因を知らないマーシュはドロシーにすぐパットと切れろ、と忠告したが、それを耳に挟んだペギィは
パットがまた殴られると早合点してドロシーに警告してやった。ドロシーはかえって怒って、はずみに踵を
くじいてしまう。

一方アンはディロンを口説いてスターになろうとしたが、それはマーシュに跳ねられ、結局ペギィをスターに
することとなる。ペギィは怖いような気がしたが、気を取り直して稽古に励んだ。ビリィも彼女を勇気づけ恋を
告白した。ドロシーもパットと仲直りしてペギィの親切を知り、彼女の成功を祈ると告げた。かくてペギィは
晴の舞台を踏んで見事に成功した。監督のマーシュはヘトヘトになってもう死にそうであったが、観衆がペギィを
ほめるのを聞いて満足の笑みを浮かべたのであった。彼が死を賭して尽くした努力は観衆には認められなかったが、
それでもマーシュは満足だった。(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:95% Audience Score:74% >




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by jazzyoba0083 | 2018-04-12 11:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)