レッズ Reds

●「レッズ Reds」
1981 アメリカ Barclays Mercantile Industrial Finance and more.Dist.:Paramount. 196min.
監督・製作・(共同)脚本:ウォーレン・ベイティ
出演:ウォーレン・ベイティ、ダイアン・キートン、ジャック・ニコルソン、モーリン・ステイプルトン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
ハリウッドきってのリベラリストとして知られるウォーレン・ベイティ。彼が監督、製作、主演、そして
脚本まで手がけ、見事オスカー監督賞を獲った長編歴史映画。本作からはオスカーの撮影賞と助演女優賞も
排出している。
しかし長い映画だ。申し訳ないが、私はインターミッションを挟んで二日間かけて見せて貰った。個人的には、
アメリカにおける社会主義運動の一端を見せていただき、更に、この映画で描かれているジョン・リードと
ルイーズ・ブライアントという人物が実在し、本作に描かれているような事実があったことを知ったことが
大きかった。映画の良さよりもそっちに興味が行った。それが製作者の目論見であったとすれば、いい映画だった
ということになろうか。

雑誌記者であったジョン・リード(ベイティ)と社会主義というより自由主義運動家であった人妻ルイーズ・
ブライアント(キートン)の自由恋愛と結婚そしてその後の愛の世界と、2人のロシア革命を中心とした
社会主義運動を同じ重さできちんと描こうと思うと、3時間を超える長さは必要なのだろう。実際、長いは
長いけど、その2つの軸は「基本的には」ちゃんと描けていた。(どちらかというと2人の愛の物語に重心が
あるかなとは思ったが)但し、2人の友人で理解者でもあった作家・詩人のユージン・オニール(ジャック・
ニコルソン)とルイーズの関係がなんだかよく分からなかったが。

見どころは、第一次世界大戦の最中に起きた「ロシア革命」を現地に取材し、「世界を揺るがした10日間」と
いうレーニンも絶賛したルポルタージュを著した辺りの顛末だろう。(レーニン役がそっくりでびっくり)
ボルシェビキによる王政打倒は、当時のアメリカの大戦に対する姿勢に辟易していた社会改革に燃える
ジョン・リードにしてみれば、圧倒的に理想的な姿であったはずだ。ジャーナリストとして絶対に見て置かな
ければならない事件だった。ジョンはルイーズと共にロシアに渡り取材を敢行した。

だが、しかし、革命のその後の真実を知るに及び、権力は腐敗する、という必然に眉根を曇らせながらも、
これを参考にしてより良きアメリカ社会を作るための理想は捨てなかったのだ。一方で、若くして腎臓の片方を
摘出し、体力には不安があったジョンは中東遠征での銃撃戦で負った傷が致命傷になり、敗血症を発症、ロシアに
追いかけてきたルイーズに見守られながらロシアの地で亡くなった。「アメリカに帰りたい」とルイーズに
語りかけて。

実際は複雑で入り組んだストーリーなのだが、描かれる社会的な事象と、二人の愛情に絡む話題はてんこ盛り
である。

映画はジョンとルイーズを知る人たちのインタビューを冒頭を始め随所にはめ込み、メリハリを付けながら
進行する。その描き方とストーリーの展開、主役2人の演技は見どころが多い。ドキュメンタリー的要素を
組み込むことにより、作劇にリアリティを出す手法は、本作には合っていたと思う。ベイティの八面六臂の活躍は
評価すべきであろう。またダイアン・キートンの演技もまた光っていたと思う。ジャック・ニコルソンとジーン・
ハックマンはもったいなかった。

繰り返しになるが、個人的には第一次世界大戦前後のアメリカという国における社会主義、共産主義の
模様がロシア革命と絡めながら多少でも理解出来たというのがこの映画を観た最大の成果であった。
もう一度観るか、と聞かれれば、多分二度目は無いと思う。でもいい映画ではある。

蛇足だが、この年のオスカーには私が最強の冒険映画と信じている「レイダース/失われた聖櫃(アーク)」が
ノミネートされていた。結局この年のオスカーを席巻したのは「炎のランナー」(作品、脚本、作曲)と
「黄昏」(主演男優=ヘンリー・フォンダ、主演女優=キャサリーン・ヘプバーン、脚色)そして
視覚効果や編集などバックグラウンド系が「レイダース~」の三作品であったが、「レッズ」は主要部門と
しては監督賞を押さえた。この事はリベラルなハリウッドの姿勢を伺い知るに十分であろう。
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<ストーリー:最後まで書かれています>
名門ハーバード大学卒業後、ジャーナリストの道に入ったジョン・リード(ウォーレン・ベイティ)は、
第1次世界大戦のさなかヨーロッパで火の手が上がった国際労働者同盟の闘争に接して、初めて政治運動に
目覚めた。アメリカがこの戦いに参戦すべきかどうか、知識人に深刻な問題を投げかけていたが、リードは
断固反対の態度をとり、雑誌『民衆』に寄稿を続けていた。

ジョンが人妻のルイズ・ブライアント(ダイアン・キートン)と知り合ったのは1915年、彼女も女性解放問題を
抱え、現実との板挟みに悩んでいた。2人はお互いの立場を尊重しあうという合意のもとで同棲生活に入った。
2人の周囲には『民衆』編集長マックス(エドワード・ハーマン)、アナキストで女権主義者のエマ・ゴールドマン
(モーリン・スティプルトン)、劇作家ユージン・オニール(ジャック・ニコルソン)らの友人がいて、
ジョンは一層、反戦運動にのめり込み、とうとうルイズを伴って、革命勃発直後のロシアに渡ることになった。

ロシア全土を揺り動かしている労働革命は、ジャーナリストとして社会主義運動家として自分自身の眼で
見なければならなかったのだ。ペトログラードで見た革命の熱気と興奮は、ジョンを駆りたて、その体験記
『世界をゆるがした十日間』はセンセーショナルな話題となった。

ジョンはその勢いで社会党の革新化に着手するが、対立する右派の制裁に会い、除名、さらに彼が率いる左派も
分派し、これを収拾するために、ルイズの反対を押し切って再び封鎖中のロシアに潜入した。
ジョンが作ったアメリカ共産労働党を公認するお墨つきをもらうのがその目的だった。しかし、革命派の党主脳は
これを拒否、ボルシェビキの指導者ジノビエフ(イェジー・コジンスキー)のロシア滞在の勧めを拒んで密かに
帰国する。
その帰途、反共闘争をくりひろげるフインランド当局に捕えられ、投獄されてしまう。ジョン逮捕の知らせを
受けたルイズは、オニールの助けで密航者としてフィンランドに旅立ったが、到着したとき既にジョンは釈放され、
再びロシアに戻ったあとだった。
ルイズと連絡がとれぬまま、ジョンはコミンテルン執行委員の地位を与えられバク地方に演説旅行に出かけた。
その頃、ジョンを追ってロシアに入ったルイズは、エマと再会、旧交を温め合った。数週間後、銃弾のあとも
生々しい列車がモスクワ駅に着いた。そこにはジョンを迎えるルイズの姿があった。だが、長い別離の末の
再会も空しく、ジョンは病に倒れ、生まれ故郷のアメリカを見ることもなく世を去った。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:95% Audience Score:82%>



     

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by jazzyoba0083 | 2018-04-26 23:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)