ローマン・J・イスラエル、エスク. Roman J. Israel, Esq.

●「ローマン・J・イスラエル、エスク. Roman J. Israel, Esq.」
2017 アメリカ Cross Creek Pictures and more. 122min.(日本未公開・未発売)
監督・脚本:ダン・ギルロイ
出演:デンゼル・ワシントン、コリン・ファレル、カルメン・イジョゴ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
「落下の王国」「ボーン・レガシー」最近では「キングコング:髑髏島の巨神」の
脚本を書き、私も大いに楽しませてもらった「ナイトクローラー」で初監督を務めた
ダン・ギルロイが、特殊な才能を持つ特異な弁護士にデンゼル・ワシントンを起用し
制作した最新作。日本では公開されていないし、DVDやBlu-rayでも未発売の作品である。
欧州旅行の帰りの飛行機の中で鑑賞。

70年代で時間が止まったようなアフロヘアに大きなフレームのメガネを掛け、よれよれの
ブレザー姿の弁護士、ローマン・J・イスラエル。(デンゼル)エスクワイヤーとは
アメリカでは法曹界の人物に付けられる敬称であり、Mr.とかMrs.などと同じ感じ。
日本人にはあまり馴染みがないが。
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映画はイスラエルが自分で自分を訴える書面を作成するところから始まる。彼は弁護士法に
違反し、法を破ったことから弁護士資格を剥奪し、永久追放する緊急決定を望むとして
あった。なぜそんな訴状を書くことになったのか・・・。

彼はある種のサバンであろう。(映画の中でも仲間がそう指摘している)大学時代の
指導教官であった弁護士と共同事務所を持っているが、法廷には出ず、もっぱら訴状の
作成や準備書面の用意などバックヤードの仕事をしている。一方で、アメリカの司法制度の
改革を目指して勉強し、準備もしていた。いつの日かその歪みを提訴する訴状を司法省に
持ち込むのが夢であった。部屋の中は汚く、もちろん独身であった。
だが、カリフォルニア州の刑法を全部諳んじているなど、サバン独特の特殊な能力を
持っていた。一方で他人のことを考慮しない発言をしてしまい、対面での仕事は苦手だった。
かれは社会の底辺で苦労する人たちの裁判に精を出し、金儲けには興味がない。

そんな中、共同経営者である老弁護士が倒れ、重態となってしまう。そのため、彼が
抱えていた裁判をイスラエルが引き受けざるを得なくなってしまう。法廷では裁判長と
言い争いになり法廷侮辱罪に問われてしまったり、嘘がつけず思ったことをそのまま
口にするイスラエルにとって法廷弁護人という仕事は辛かった。
そんな折、行き倒れを助けた縁で彼は福祉事務所でボランティアで働くマヤ(イジョゴ)と
出会う。マヤはイスラエルの自分を犠牲にしてまで社会正義のために働く姿に感動を受ける。

他方、同じ指導教官の元で弁護士になったジョージ・ピアース(ファレル)は、依頼人の
ために全力で弁護はするが、金儲けに軸足があり、既に多くの弁護士を雇い4つの事務所を
持つ経営者でもあった。
イスラエルは、自分の共同経営者が不正経理をしていて破産しそうな実態を掴み、なんとか
他の事務所に雇ってもらおうとするが、なかなか上手くいかない。友人のジョージは
いいやつだが、金儲けのための弁護には興味がない。しかしジョージの方は、イスラエルの
才能を自分のために欲しがり、彼を雇うことにした。

イスラエルは、二人の若者が商店に強盗に入り、一人の男の発砲で商店主が死亡するという
事件の発砲していないほうの若者の親から弁護を担当する。商店主がアルメニア人であった
ため、アメリカのアルメニア協会から、銃を撃って逃げている男に賞金10万ドルが掛けられ
た。そうした中で、イスラエルはジョージとの会話により、大きな変化が起きた。
自己犠牲をして社会に貢献する弁護士より、現実と折り合いをつけ金銭的なメリットも
十分に享受するというジョージの生き方に感化されたのか。

イスラエルは獄中の依頼者の息子から真犯人の男の隠れ家を聞き出し、これを司法取引に
使い、息子の減刑を試みて担当判事と交渉するが判事はニベもない。このままでは15年は
くらってしまう。だが、変化してしまったイスラエルは何故かアルメニア人協会に逃亡犯の
居場所をタレこみ、10万ドルを自分で手に入れてしまう。そして逃亡犯の若者は逮捕され
たのだった。この金で彼はメキシコだかアカプルコだかに行き、海であそび、一流の
テーラーでスーツをあつらえ、イタリア製の靴を買い、ヘアスタイルも変えた。

そうして再びLAに姿を表したイスラエルに一同は驚くも、ジョージは彼が自分が希望する
スタイルの弁護士になったことを喜んだ。そして彼を人権担当の弁護士として売り出すことを
発表した。俗っぽくなるイスラエルに対し、彼をみていたジョージは社会に役立つことも
していかなくてはならないと覚醒させられてきたようだ。
マヤを一流レストランに食事に誘う。今までと違うイスラエルに面食らうマヤ。そうした中、
恩師で共同経営者でもある弁護士が亡くなる。

イスラエルがタレこんだ真犯人の弁護もジョージの事務所で受けることになり、イスラエルが
それを担当することになった。面会に行くと、「俺の隠れ場所をしっていたのは、仲間の
あいつだけだ。ということはタレこんだのはあんただな。どうせ俺は死刑だ。だが娑婆の俺の
仲間が黙っちゃいないぜ」と言われてしまう。

再びイスラエルの頭で何かが変わった。自分が一瞬でもこれまでの考えと違ったことを
しようとしたことを反省したのか、怖くなったのか。アルメニア人協会から貰った10万ドルの
うち使った5000ドルちょっとはまるまる宅急便にして返し、映画の冒頭にもあるように
自分で自分を訴え、裁判で自分を弁護しようという戦法に出たのだ。そのうち事務所にも
ジョージにも懸賞金をイスラエルが貰ったということが知れ渡った。依頼人の秘密を
他人に売り渡したことは弁護士としてやってはいけないことだ。

再び元の姿に戻ったイスラエルは司法制度改革の訴訟準備を再開、そんなある夜、ジョージと
街なかで話、帰っていくイスラエルの後を、怪しげな男が近づいていく。

映画はイスラエルの死を暗示し、マヤが再び施設で奮闘する姿を映し、またジョージが
イスラエルの夢だった司法制度改革の訴状を持ってワシントンへ行き、書類を提出する
ところで終わっていく。
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アフロヘアにメガネで太ったイスラエルを演じたデンゼル・ワシントンは一見彼と
分からないほど。ハードで渋い役回りが多かったデンゼルの新境地、なかなか魅せる
演技だった。が、ストーリー展開としては面白いものの、結局何が言いたいのかさっぱり
分からなかったし、イスラエルの心境の2回の劇的変化は何がもたらしたのか、も、
よく理解出来なかった。実話のようなスムーズな流れで面白かっただけにキーになる
二点に引っかかってしまい、残念な印象。
世俗に寄ってしまったコリン・ファレルがデンゼルと接しているうちに社会正義に
目覚め、一方、社会正義一辺倒だったデンゼルがファレルと接しているうちに世俗に
目覚めてしまい、もとに戻るものの時既に遅し、ということなのかなあ。

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:52% Audience Score:54% >







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by jazzyoba0083 | 2018-05-19 15:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)