ゲティ家の身代金 All the Money in the World

●「ゲティ家の身代金 All the Money in the World」
2017 アメリカ Scott Free Productions,TriStar Pictures and more.133min.
監督:リドリー・スコット
出演:ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォルバーグ、
   チャーリ・プラマー、ロマン・デュリス、ティモシー・ハットン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
この事件は、私が大学生の時に発生し、リアルタイムの報道に接していたので細部は
ともかく大意はだいたい把握していて、記憶によく残っている。ロスのマリブにある
ゲティ美術館にも行ったことがあり、個人の収集物としてはエジプトやギリシア時代の
ものから近代のものまでものすごい所蔵品なのと、庭などの造作が素晴らしかったのを
覚えている。ここが映画にそのアイデアが出てくる「マリブの別荘」だったのだろう。

閑話休題。リドリーの作品は大体映画館で観るようにしている。私にとっては当たり
ハズレの大きな監督で、今回も、大丈夫かなあ、といささかの不安はあったが、実話もの
だったので、大外れはしまいと予想はしていた。
本作、大向うを唸らせるようなケレン味があるわけではないが、しっかりと纏まって
できの良い作品だと思う。やはりクリストファー・プラマーの存在が圧倒的だった。
聞けば、ゲティの役はケヴィン・スペイシーで、既に撮影は終了していたのだが、例の
セクハラ問題で公開が出来なくなり、急遽プラマーで最初から撮り直した、しかも9ヶ月で
完成させたというから驚きだ。これでプラマーはオスカーの助演男優賞候補になったのだから
大したものだと言わざるを得ない。結果論だがプラマーで良かった。

原作モノを脚色してあるので、石油の大富豪ゲティ家の孫がイタリアで誘拐され、多額の
身代金を要求されたが、老ゲティは身代金の支払いを拒否。そのため犯人から誘拐された
孫の切り取られた右耳が送りつけられた、などの大きなイベントは事実に即していると
思うけど、ウォルバーグやロマン・デュリスのチンクアンタの存在は創作なのではないかと
感じた。

主人公と位置づけられるのは老ゲティの三男の嫁(老ゲティにしてみれば義理の娘)
アビゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)。夫(三男)はイタリアに住みドラッグまみれの
怠惰な生活をしていて、子どもの3世が誘拐される時点では既にアビゲイルとは離婚していた。
こうした状況下で、アビゲイルには犯人から要求された1700万ドルなど到底払えるわけも
なく、老ゲティに頼んだのだが、他の孫にも同じようなことが起きると拒否される。
老ゲティは父親の石油業を継ぎ世界一の石油王、大富豪となった人物であるが、ケチで有名
で、身代金は払えないという片方で高価な美術品を買い漁っていた。

そこで元CIAで老ゲティの会社に雇われているチェイス(ウォルバーグ)という男が
アビゲイルの手助けをすることになる。次々と電話がかかってくるが、支払いが出来ない。
最初に誘拐した犯人らは、犯罪を投資と考える男に3世を売った。チェイスは身代金の
値切りを要求、すると犯人側も次第に値段を下げてきた。
アビゲイルはかつて老ゲティから買えば20万ドルはするだろうという古代の彫刻を
貰っていたことを思い出し、身代金の一部にでもとサザビーズへ持ち込むが、鑑定員から
これは美術館で15ドルで売っているお土産ですよ、と言われ愕然。老ゲティが真からの
守銭奴であることを再認識する。

そうこうしているうちに業を煮やした犯人らは3世の耳を切り取り新聞社に送りつけ、
もうこれ以上は待てない。次は足を切るぞ、と脅してきた。ここに及び老ゲティは
身代金の支払いを承諾。しかし、それを節税対策に使おうとし、吝嗇も極まれりという
状況に。値切りに根切り倒したドルはリラに換算され犯人に手渡り、3世は開放される。
そうしたなかで老ゲティは寿命を終える。

莫大な老ゲティの遺産は、結局アビゲイルしか手を付けられないことが判明し、彼女は
ゲティの石油会社の責任者に就任することになったのだった。そして何くれと無く
協力してくれたチェイスはアビゲイルの、残って、という誘いを断り、ゲティ家を
出ていったのだった。

物語の中で目立ったことは、老ゲティの金に対する考え方、富豪はケチと言われるが
実にそうであったし、彼の興味は美術品の収集にしか向かなかったのだ。美術品は
裏切らないからであろうか。人間は信じられないからであろうか。その結果が現在
ロスのマリブにあるゲティ財団が運営する「ゲティ美術館」となるわけだが。
そしてもう一つは、母として圧倒的な強さを示すアビゲイルの行動力。心配もするが
現実を直視、出来ることを直ちに行動に映し、結果的に息子を救い出すことが出来た。
母は強し、である。
そして映画にアクセントを与えている役回りとしてウォルバーグと、最初の誘拐犯の
メンバーで、3世に同情的なチンクアンタの存在。彼ら二人がギスギスしがちな物語の
なかで潤滑油のような役割を上手く果たしていた。それは演出側の作戦勝ちということも
出来る。

調べればゲティは結婚離婚歴も多く子どもも孫も多い。愛人もたくさんいただろう。
遺産相続の際には相当もめたようだ。そしてその一族は呪われたように悲惨な亡くなり方を
している。耳を切られた3世ももうこの世にはいない。因果は巡る、である。
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<ストーリー>
1973年にローマで起きた石油王ジャン・ポール・ゲティの孫の誘拐事件を、巨匠リドリー・
スコット監督が映画化した人間ドラマ。孫が誘拐されるも、身代金の支払いを拒否する
ゲティと誘拐犯に戦いを挑む母親の姿が描かれる。
息子を助けようと奮闘する母親をミシェル・ウィリアムズ、大富豪ゲティをクリストファー・
プラマーが演じる。

“世界中のすべての金を手にした”と言われた世界一の大富豪、石油王のジャン・ポール・
ゲティ(クリストファー・プラマー)の17歳の孫ポールが誘拐され、1700万ドルという
破格の身代金を要求される。
しかし、大富豪であり稀代の守銭奴でもあるゲティは、その支払いを拒否する。ポールの
母ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は離婚によりゲティ家を離れ、一般家庭の人間に
なっていた。彼女は息子のために誘拐犯だけでなく、ゲティとも戦うことになる。
警察から狂言誘拐を疑われ、マスコミに追い回され、ゲイルは疲弊していく。

一方、身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身が危なくなって
いた。ゲティはそれでも頑なに身代金を支払おうとしない。ゲイルは愛する息子のため、
一か八かの賭けに出る。(Movie Walker)

<IMDb=★6.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:78% Audience Score:67% >




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by jazzyoba0083 | 2018-05-29 12:00 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)