たかが世界の終わり Juste la fin du monde

●「たかが世界の終わり Juste la fin du monde 」
2017 カナダ・フランス  Sons of Manual 99min.
監督・製作・脚本・編集:グザヴィエ・ドラン 
原作:ジャン=リュック・ラガルス『まさに世界の終わり』
出演:ギャスパー・ウリエル、ヴァンサン・カッセル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、ナタリー・バイ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに次ぐグランプリを獲得した作品だが、いかにもカンヌ好みの作風で
フレンチの香りプンプン。本作を殆ど全てに渡って手がけたグザヴィエ・ドランという監督、欧州映画に
疎い私として初めての接触だった。

被写界深度の浅いクロースアップ多用やフォーカス移動を多用した画作りに監督の趣味性というか演出の好みを
感じる。また久々に観ていて息の詰まるような方向性の見えないストーリー。怒涛のセリフ劇。
邦題は原作のママ「まさに世界の終わり」の方がニュアンスが見えて私は良かったのじゃないかと思った。

ある若き作家(であるとは映画中で判ったのだろうか。私は妹が壁に兄の新聞切り抜きを貼ってあったり、
一家での食事中に父親が「業界のゴシップを教えろよ」とかいうセリフで著名人であることは分かったが
人気作家であるとは分からなかった)が、死期の迫った病に冒され、長年疎遠だった家族に会いに行く
飛行機の中から始まる。

ともかくヴァンサン・カッセル演じる長兄アントワーヌの、ここまでやるか、という皮肉と中傷に満ちた
弟に投げかけるセリフが圧倒的。どうしてこうも弟に辛く当たるの?という。作家はゲイなのだが、それが
嫌なのか。
対して妹シュザンヌは、家を出て自分の好きな道を歩んでいる次兄が羨ましくて仕方がない。自分もいつか
家を出たいと思っているので、長兄や母と半目しあっている。
一方初対面だったアントワーヌの嫁カトリーヌ(コティヤール)は、夫と義弟の言い争いに驚きながらも
物静かな義弟に対し客観的な目線を投げかける。母親はゲイであった次男に対し心に澱を持ってはいるが
そして、いろいろと言うがやはり母親だ。
こうした父親のいない4人と一人の嫁が、作家が帰ってきたことで積年、心に溜まっていたものが噴出、
99分間ひたすら言い争う。

カンヌ的に見れば、家族のそれぞれに対する屈折したり素直だったり、愛だったり皮肉だったりする感情の
交換を圧倒的なセリフ劇の中で描いて魅せる、というようなことなのだろう。自分の死期が近いことを家族に
伝え、暇乞いをしに来た作家が、自分の不在の時間に生まれた様々な家族の感情の中で、結局大事なことを
言い出せないまま、再び帰っていくことになる。ラストカット、鳩時計から飛び出して家の中を暫く飛び回って
いた小鳥が死んでひっくり返っているカットと作家が家を出るカットが重なって映画が終わるのだが、
これは何のメタファーか。鳩時計の小屋は作家の家で、家の中を飛び回り最後には死んでしまった小鳥は
作家の姿の投影か。「まさに世界の終わり」ということなんだろう。作家は家族に絶望して帰っていったのだ
ろうか?自分を責めて家を後にしたのだろうか。それは観た人の感想に任されているのだろう。

暖かい家族を描いたものではないので、観終わって心に重いものが残る。マリオン・コティヤールが一服の
清涼剤的存在。
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<ストーリー>
愛しているのに傷つけあう家族の姿を描き、第69回カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた、グザビエ・ドラン
監督による人間ドラマ。愛と葛藤を描き続けてきた監督が、ギャスパー・ウリエル、ヴァンサン・カッセル、
マリオン・コティヤールといったフランスを代表する俳優たちを集め、家族の物語を描き出す。

12年ぶりに故郷に帰ってきた34歳の作家ルイ(ギャスパー・ウリエル)。それは、死期が迫っていることを
家族に伝えるためだった。母(ナタリー・バイ)はルイの好きな料理を用意し、妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)は
いつもより着飾り、そわそわしながら彼の帰りを待っていた。そんな二人とは対照的に、兄のアントワーヌ
(ヴァンサン・カッセル)は彼をそっけなく迎える。
アントワーヌの妻カトリーヌ(マリオン・コティヤール)は、ルイとは初対面だった。ぎこちない会話が続く中、
ルイはデザートの頃には打ち明けようと決意。しかしアントワーヌの激しい言葉を皮切りに、それぞれの胸の
内にあった感情が噴出する。(Movie Walker)

<IMDb=★6.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:44% Audience Score:53% >







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by jazzyoba0083 | 2018-05-28 23:00 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)