パトリオット・デイ Patriots Day

●「パトリオット・デイ Patriots Day」
2016 アメリカ CBS Films and more.133min.
監督・(共同)原案・脚本:ビーター・バーグ
出演:マーク・ウォルバーグ、ケヴィン・ベーコン、ジョン・グッドマン、J・K・シモンズ、ミシェル・モナハン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
2013年4月15日のボストン・マラソンでの爆弾テロ事件は記憶に新しい。本作は、この事件をベースに7割を実話、
3割を創作で作り上げた、ドキュメンタリー風ドラマだ。マラソンの日は合衆国のマサチューセッツ、メイン、
ウィスコンシンの3州で独立戦争緒戦の戦捷を記念して「愛国者の日」と定めており、当マラソン大会もその日に
開催される。毎年4月第三月曜日だ。映画のタイトルは、この日の名前と、まさに爆弾テロに立ち向かう、あるいは
被害に遭ってもそれに負けずに人生に立ち向かう「英雄」たちを掛けている。

さて、この事件はまだ記憶に新しく、犯人逮捕にいたる経過も仔細ではないが、概要は覚えているので興味深く、かつ
緊張感を引っ張る構成が上手くて最後まで(最後は実際の人物のインタビューが出てくるなど、ドキュメンタリーと
なっているが)ドキドキしながら観ることが出来た。それにしてもマーク・ウォルバーグ、このところ立て続けに観て
いる。

何か国難のような事件や戦争が起きると、アメリカという国は人種や宗教を超えて一致団結する傾向があり、9.11の時も
そうだったし、この事件の時も、愛国者だらけとなる。本国での公開ではおそらく拍手が起きるような映画だろうし、
評価も高い。それが悪いとは言わないが、犯人の兄弟の背景は狂信的なムスリムとして描かれ、その背景はオミット
される。

主犯格は死亡しているので、本当はどうなのかは分からない。彼らのセリフに「9.11は政府が仕掛けた芝居であり、
目撃者はみんな俳優だ。お前らはマスコミに騙されている」と語るが、実際にそう信じていたとすれば、イスラムの信条、
ムジャヒディンとしての戦いというのではなく、彼らこそ洗脳された狂信者と言わねばなるまい。また、FBIの
特別捜査官(ケヴィン・ベーコン=渋くて良かったけど)が、初動で、この事件がテロであるかどうかにも慎重で
あったり、防犯カメラから特定されかかった犯人の写真を公開することを知事や市長、県警本部長らが主張するなか、
「もし犯人でなかったらイスラムを敵に回すことになり、一大事だ」と慎重となる。
それは観ている方は一方の救いではあるが、どこか作品中の免罪符臭い感じがした。

殺人課の刑事であるが、チョンボをやって現場のパトロール警官の仕事をさせられるマーク・ウォルバーグは、実際の
警官3人をまとめてキャラクターを作り出したという架空の人物。だが、地元に詳しい彼が防犯カメラから犯人に迫る
映像を見つけ出す。

次第に自分たちの周辺に操作の手が伸びてきたことを感じた兄弟は、中華系の男のベンツのSUVを乗っ取って、
圧力鍋爆弾を積んでニューヨークでの新たなテロを目指して東上するが、人質になった中華系の男がガソリンスタンドで
給油中に逃亡し、それから犯人と警察の大追跡劇が展開される。追い詰められた兄弟は発砲し、爆弾を投げまるで
戦争のような光景が展開する。ここがアクションとしての最大の見所。ほんとにこんなに爆弾を投げて、戦争のような
ことがあったのかな。脚色された感じはするが、迫力は物凄かった。

地元警察、FBI、州兵らの苦闘、テロに巻き込まれて足を失った人を冒頭から伏線として入れて、構成し、後半20分位は
彼らがテロ後のマラソン大会に義足で出場し完走するシーン、フェンウェイボールパークで開催されたレッドソックスと
市民と警察のイベントなども実写で見せ、主要演者たちが努めた実在の知事、市長、市警幹部、FBI特別捜査官、犠牲者
らが実名で登場し、インタビューでこの事件の意義などを語る。

マーク・ウォルバーグが先輩の警官に語るセリフで「愛の力だけが勝つ」というのだが、まあ、これがこの映画の主張
と見ていいだろう。この映画を観た人は、登場人物らの勇気と愛情と愛国精神、不屈のアメリカ魂を追体験するのは
誠に結構だし、無辜の市民が足を吹き飛ばれつつ、負けない人生を歩むのシーンは心打たれる。それは素晴らしいことだ
と思う。一方でその背後にあるアメリカがこれまで世界中でやって来た、決して自慢できない行為の数々にも思いを
致してみるべきだろう。そういうバランス感覚を日本人には持ってもらいたいものだ。

因みにマラソンシーンは実際に行われた後年のマラソン大会に協力を求めた他、爆発シーンの再現には完璧なセットを
作り、床のタイルも実際のものを使い、ガムのシミすら忠実に再現したという。そのプロダクションデザインの苦労は、
映画の質を上げるものとして大いに評価されるべき。
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<ストーリー>
2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件の裏側に迫る実録サスペンス。犯人逮捕に挑むボストン警察殺人課の
刑事の目を通して、事件解決までの過程が生々しく描かれる。刑事のトミーをマーク・ウォールバーグが演じ、
『バーニング・オーシャン』など3度目のタッグとなるピーター・バーグ監督による息詰まるドラマを盛り立てる。

2013年4月15日。殺人課の刑事トミー(マーク・ウォールバーグ)は、朝からボストンマラソンの警備に駆り出され
ていた。オリンピックの次に歴史の古いこのマラソン大会は、毎年祝日である「パトリオット・デイ(愛国者の日)」
に開催され、117回目を迎えるこの日も50万人の観衆で賑わっていた。
そんななか、次々と走者がゴールし、最高潮の盛り上がりの最中、トミーの背後で突如大爆発が発生。歓声は悲鳴に
変わり、煙が立ち込める中に血を流した負傷者たちが折り重なって倒れていた。トミーらボストン警察の面々は
事態が飲み込めないまま救護活動を開始。
やがて到着したFBI捜査官リック(ケヴィン・ベーコン)が現場を慎重に観察すると「これはテロだ」と断定。
管轄はFBIへ移るが、犯人に対する怒りが沸々と湧き上がっていたトミーは、病院を回って負傷者たちの話を丁寧に
聞いてまわるのだった。9.11同時多発テロ以降の事件にアメリカは震撼、爆発時の映像はまたたく間に世界中に
配信される。やがて監視カメラに映る不審な“黒い帽子の男”と“白い帽子の男”が容疑者として浮上する……。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80 Audience Score:87%>





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by jazzyoba0083 | 2018-06-05 23:20 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)