ワンダー 君は太陽 Wonder

●「ワンダー 君は太陽 Wonder」
2017 アメリカ Lionsgate,Mandeville Films,Participant Media,Walden Media.113min.
監督・(共同)脚本:スティーヴン・チョボスキー  原作:R・J・パラシオ著『ワンダー』
出演:ジェイコブ・トレンブレイ、ジュリア・ロバーツ、オーウェン・ウィルソン、イザベラ・ヴィドヴィッチ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆-α>
<感想>
感動が胸にこみ上げる、ハートウォーミングな一編。この映画を悪く言う人はいないでしょう。原作モノだが、
映像が持つ強みを十分に発揮し、四季やハロゥイン、クリスマス、サマーキャンプ、修了式などのイベントも
上手にエピソードに取り込み、チャプターの作り方なども上手く工夫されている。
(はじめの数章は登場人物の名前を表記して、その人の目線で物語られる。まま使われる手ではあるが)

障害を持った少年の勇気、弟が家族の中心となり家庭が「息子=サン=「太陽」=邦題の所以=を回る惑星の
よう」で、ママやパパを弟に取られちゃってるよ、と心では思うけど、心底弟思いの姉、そして理解ある両親。
勇気を持って通い始めた学校の校長、先生、理解ある友人、いじめっ子たちも最後にはハイファイブをするように
なる事態。基本的に悪い人が出てこない。設定が「出来過ぎ」の感がある。そこがマイナスアルファの要素だ。

確かに主人公のオギー少年はマイノリティ中のマイノリティの存在だろうが、ここまで恵まれていたのは幸いと
言わねばなるまい。加えて10歳の少年にしては達観した感じがちょっと引っかかるものを感じた。優秀だし。

しかしそうした映画の出来を裏側から見ると、こんなストレートな「良い」映画が作られ、それが「良い」と評価
されるほどアメリカを中心とした世界が、実際はその逆にある、ということを製作者はいいたかったのではないか。
トランプに見せたい映画であるなあ、と思えるように、世界を覆う「ヘテロ(異質)なものに対する不寛容」に
対する回答なのではないか。

校長先生が、オギーをいじめた子に言う「見た目は変えられない。ならば私たちが変わらなくては」と。まさに。
オギーは「スターウォーズ」が大好きなのだが、前身毛むくじゃらのハン・ソロの盟友であるチューバッカの
存在を心の支えとしている部分がある。(映像にもメタファーとして本物が出てくる)まさに「スターウォーズ」に
代表される宇宙時代には、誰がどういう容姿で、何語を話すか、などは関係ないのだ。オギーが宇宙に憧れるのは
そのあたりのメタファーである。

ジュリア・ロバーツの存在感の強みはさて置くとしても、子役たちの芝居が上手い。彼らの上手さがなければ
この映画からここまで感動を受け取れなかったのではないか。ただ、取ってつけたようなカタルシス的な
イジメっ子のボスとその両親と校長の掛け合いは私は不必要ではなかったか、と感じた。

「子どもは強いなあ」「とはいうもののそれを支える親を始めとした大人の存在(影響)は大きいなあ」
「自分は他人にはなれないのだなあ」「誰でもその人しかない価値を持っているのだなあ」などということを
考えながら観ていた。全編を流れるメンタリティーはアメリカだなあ、と思う。日本で作ると「万引き家族」の
ようなメンタリティになるんじゃなかろうか。

「出来過ぎ」と腐しはしたが、原作モノとはいえ、ストーリーの構成はユニークで面白く、重くない出来の割に
考えさせる点も多い佳作であることは確かだ。日本ならさしあたり「文部省特選」(今はないけど)という映画。
「心洗われたい」「温かい涙をたくさん流したい」「心が暖かくなりたい」という人がいたら必見ではないだろうか?

原題の「wonder」については母のジュリア・ロバーツがオギーに掛ける言葉「あなたは"奇跡"」として使われて
いるが、この言葉を英和辞典で引くとこの映画にフィットする実にいろんな意味が出ている。一度調べてみては?
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<ストーリー>
全世界で800万部を超えるベストセラーとなったR・J・パラシオの小説を、『ウォールフラワー』のスティーヴン・
チョボスキー監督が映画化した人間ドラマ。
遺伝子の疾患で人とは異なる顔で生まれた少年が、両親の決断で小学5年生で初めて学校へ通い、さまざまな困難に
立ち向かいながらも成長していく姿がつづられる。

10歳のオギー・プルマン(ジェイコブ・トレンブレイ)は、「スター・ウォーズ」が大好きで、宇宙飛行士に
憧れる男の子。だが彼は、普通の子とは少し違う見た目をしていた。遺伝子の疾患で、他の人とは異なる顔で生まれて
きたのだ。そのため、27回もの手術を受け、一度も学校に通わないまま自宅学習を続けてきた。

ところが、母親のイザベル(ジュリア・ロバーツ)は、“まだ早い”という夫のネート(オーウェン・ウィルソン)の
反対を押し切って、オギーを5年生の初日から学校に通わせることを決意する。
夏休みの間、イザベルに連れられて校長先生に会いに行くオギー。トゥシュマン校長先生(マンディ・パティンキン)の
“おケツ校長だ”という自己紹介に、オギーの緊張はややほぐれる。
だが、“生徒が学校を案内する”と聞き、動揺。 紹介されたのは、ジャック・ウィル(ノア・ジュプ)、ジュリアン
(ブライス・カイザー)、シャーロット(エル・マッキノン)の3人。いかにもお金持ちのジュリアンは、“その顔は?”と
聞いてくる。毅然とした態度を取るオギーだったが、帰宅後は元気がない。イヤならやめてもいいと言いかけるイザベルに、
“大丈夫、僕は行きたい”と答え、学校に通い始めるが……。(Movie Walker)

<IMDb=8.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:85% Audience Score:88% >






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by jazzyoba0083 | 2018-06-27 16:20 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)