プロバンスの贈りもの A Good Year(再見)

●「プロバンスの贈りもの A Good Year」
2006 アメリカ Fox 2000 Pictures (presents),Scott Free Productions. 114min.
監督・製作:リドリー・スコット 原作:ピーター・メイル『プロヴァンスの贈りもの』(河出書房新社刊)
出演:ラッセル・クロウ、マリオン・コティヤール、フレディ・ハイモア、アルバート・フィニー、アビー・コーニッシュ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
このブログを開設したころに公開された映画で、2009年に観て、当ブログにも感想を書いた。その時は結構シビアな
感想を書いていた。リドリーがどのような作品を作って来たのかは今のほうが理解は進んではいるが、当時は
活劇系の人だという印象が強い傾向であったみたい。いい雰囲気を持った映画だなあ、という思いはあったようだ。
その後好きな女優さんの一人となるマリオン・コティヤールの印象が強かった記憶もある。来年南仏を訪問して
みたいと思っているので、どういう映画だったかな、という事やロケした風景を確認したくて再見した。

9年経つと映画の感想も変わることもあるのだな、という典型。見方が進んだというのか、感性が変化したと
いうか、当時の見方が浅かったと云うか。(汗)
今回の再見で思ったのは、初見の時に感じたこととは、やや異なる。今の私が感じたのは、南仏の急がない人生を
愉しむ人々の暮らしが、眉根をひそませる必要もなく、肩の力を抜いてリラックス出来る、いい感じの映画に仕上
がっているなということ。そしてコティヤールはこのころから存在感があった、ということだ。

ネット上での感想の中に、「リドリー・スコット、やっちまったな」という厳しい意見が多いが、私はそうは思わない。
(Rotten Tomatoesの評論家評価と、一般観客の評価の差にこの映画の捉えられ方の相違が現れていて興味深い。
観た結果、いい映画を誰が監督したものであろうが、いいものはいいし、著名な監督が作ったからといって全部が
名作であるわけでもないのは自明だ)
この作品は「エイリアン」とか「ブレードランナー」「ブラック・レイン」「テルマ&ルイーズ」などの潮流にあると
思ってはダメだ。彼がこの手の映画しか作ってはいけないという法律があるわけでもなく、期待したい気持ちは
分かるけど、本作はプロバンスにワイン用ワインヤードを持つリドリーが、現地で聞いた「ブティックワイン」の
噂を親友で作家のピーター・メイルに話し、それをメイルが小説化、更にそれをリドリーが映画化したものなので、
彼が製作を担当していることからみても、彼の個人的趣味性の強い作品であり、その辺りの事情を汲んだ上でリドリーの
名前について語らないと、片手落ちということにならないか。それとリドリーがイギリス人であり、「年中しょぼくれた
空のイギリス」人が南仏に強烈なあこがれを感じるメンタリティは個人的には極めてよく理解出来る。
ただし、リドリーは確かにこの映画を境にピークを過ぎていってしまうような感じではある。老境に達してきたと
言うこともできようが。本作で肩の力が抜けてしまい、元に戻らなくなった、のかもしれない。それはそれで・・。

本作へのリドリーの想いは強く、子役も含めたキャスティングや切り取られた南仏の光景(名所も含め)、ストーリーの
流れも、描かれる人間模様も、作品全体を通す、ロハスな雰囲気をきっちり汲み上げ手堅い仕上げとなっている。
しかも、登場する若い女性陣にミステリックかつ、ホノボノとしたエピソードもあったりで、誠に心がハッピーになる。
語られる世界は極めてオーソドックスなのだが、そこを陳腐にしていないところは、作家と監督の思いが深い
ところで結びついていたことに由来する強さなのだろう。
「歌枕」の一つでもあるプロヴァンスものでは一番出来がいいのではないかと思っている。原題はワインの「当たり年」
という意味で、映画ではいろんな意味合いを含んでいる、なかなか味わいのあるタイトルである。

幼い頃プロヴァンスで叔父さんと過ごした記憶。長ずるに及び、ロンドン・シティーの名うての金融トレーダーに
なり、この叔父の死去でシャトーをたたまなくてはならなくなるのだが、プロヴァンスで出会うコティヤールや
ブドウ畑の使用人、シャトーの世話をする奥さん、など魅力的な人物との交流で、主人公の心がほぐれていく・・。
コティヤール、やっぱりいいなあ。この人がいると映画が締まる、という俳優さんがいる。そういう俳優さんの
一人が私にとってはマリオン・コティヤール。(「マリアンヌ」では残念な演出に泣いたけど)

また観るだろう。いい「雰囲気」を味わうという鑑賞の仕方をするには絶好の映画だと思う。
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<ストーリー>
少年マックス(フレディ・ハイモア)は毎年夏になると、南仏プロヴァンスに住みつきワイン造りをしながら
人生を謳歌するヘンリーおじさん(アルバート・フィニー)のもとでヴァカンスを過ごしていた。

時は流れ、ヘンリーが授けてくれた叡智と哲学のおかげでロンドンの金融界で豪腕トレーダーとして活躍する
マックス(ラッセル・クロウ)は、超多忙な日々を送り贅沢な独身ライフを楽しんでいたが、彼には本当の愛は
見えていなかった。
ある日マックスのもとに、ヘンリーが亡くなったとの報せが届き、遺産を相続するためにプロヴァンスへ向かう。
途中、自転車の女性を轢きそうになるが、マックスは気付かずに車を走らせる。女性は地元のレストランのオーナー、
ファニー(マリオン・コティヤール)。鼻っ柱の強いファニーは、シャトーの前に例の暴走車が停まっているのを
見つけ、仕返しをしにマックスの前に現れる。相続と売却の手続きをすぐに済ませ、ロンドンにとんぼ返りする
つもりでいたマックス。ところがハプニングに見舞われ、この地で休暇を取ることに。滞在を重ねるうち楽しかった
幼い日の記憶が次々とよみがえり、彼の心はゆれる。そして何よりも彼の心を乱したのは、ファニーの存在だった。

ファニーのレストランに助っ人に入ったマックスは、彼女とのデートの約束を取り付ける。大人の会話を楽しんだ
後にめぐる上質なワインの酔い。二人はムーディな雰囲気のまま、マックスのシャトーに泊まる。
翌朝、ここは自分の人生に向かないと告げるマックスに、ファニーはマックスの人生がここに向かないと切り返す。
やがてシャトーとぶどう園の売却の手続きを終えたマックスに、ロンドンへ戻る日が来る。惹かれあいながらも
マックスとファニーは、人生の価値観の違いから別々の路を歩みはじめようとするのだが、プロヴァンスでの
幾つもの贈りものが、彼を変えようとしていた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:26% Audience Score:65%>



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by jazzyoba0083 | 2018-06-23 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)