ベイビー・ドライバー Baby Driver

●「ベイビー・ドライバー Baby Driver」
2017 アメリカ TirStar Pictures(a SONY company),Working Title. 113min.
監督・脚本・(共同)製作:エドガー・ライト
出演:アンセル・エルゴート、ケヴィン・スペイシー、リリー・ジェームズ、エイザ・ゴンザレス、ジョン・ハム、
   ジェイミー・フォックス他
e0040938_17061357.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
面白かった!音楽に合わせて映像編集をしていくのは今に始まったことではないが、その使い方とセンスが良い。
多くの観客から「ミュージカル映画」だ、と云われる所以であろう。
全編ロックを中心とした音楽が流れ、それは主人公の生き方に沿ったものなのだが、中でも大切なのがこの物語の
ベースになっていると思われるクィーンの「ブライトン・ロック」だ。作品中には2回の大事なシーンで使われる。

この歌詞は英国の小説家グレアム・グリーンの同名の小説をベースにしている。外界と遮断して生きる17歳の殺人者
主人公のピンキー、彼と知り合い献身的な愛で彼を支えるウェイトレスのローズ。
映画に置き換えると、ベイビー・ドライバーと彼がいつも行くダイナーで知り合うデボラという少女に相当する。
彼の内包する心身の傷を癒やすのは音楽でしかなく、いつも耳にはiPodのイヤフォンを突っ込んで音楽を聞いている。
そしてマイクロカセットを持ち歩き、町や人のふとした音や会話を録音し、サンプリングしてラップに仕立て、
カセットにダビングし、大量に保管してある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、彼の商売はいわゆる「ゲッタウェイ・ドライバー」=逃がし屋である。最近ではライアン・ゴズリングの佳作が
記憶に新しい。ボスのドク(ケヴィン・スペイシー)は自分の手を汚さず、金融機関を狙った強盗を計画し、毎回
名うての実行犯を集め、大金をモノにしてきた。そしてその犯行現場にスタンバイして犯人を車に乗せて、神業的
ドライビングテクニックで警察を巻いて逃し、自分も報酬を貰うというのがベイビーの仕事である。

仲間からベイビーと呼ばれ自分もそれを使っている青年(アンセル)は、幼い頃に両親が車を運転中に口喧嘩をして
よそ見をしているうちにトラックに激突。両親は死亡、彼はトラウマと衝撃から酷い耳鳴りに悩まされるようになり
以来、耳鳴りをかき消すこと、交通事故の原因となった両親のケンカが原因となり他人と積極的に関わりたくなく、
自分の殻に籠もっていたい欲求から、年がら年中イヤフォンを耳にしているのだった。しかし、ちゃんと人の話は
聞いている。

彼は以前ボスの車を壊すか何かで、ボスにかなりの返済を抱えていて、それを返すまでは逃がし屋を手伝わなくては
ならなかった。しかしそれもあと2回。そしてそれも上手く済ませ、ボスからも、これでお前は自由だ、と
宣言された。ベイビーは両親亡き後、黒人で口の聞けない老人を養父として暮らしていた。そしてボスからは
仕事のたびに少しづつ分前を貰っていて、かなりの金が溜まっていた。

そんなベイビーがダイナーでデボラという少女と知り合い、恋に落ちる。危ない仕事が終わったので、ピザの
宅配ドライバーを始める一方これまで溜め込んだ金があるから、それを元手にデボラと高級レストランに行ったり
中古ながら大きなクルマを買ったりしていた。
だが、ボスから再び危ない話に誘われる。強引に引っ張り込まれるベイビーだったが、いつも持っているマイクロ
カセットから作ったリミックステープの存在を、いずれ警察に渡す道具と思われたのか、養父も痛めつけられ
逃げるに逃げ出せない状況となった。しかし、ベイビーは犯行前にデボラを誘って街の外へ逃げるつもりでいた。
しかし、チャンスを失い、強盗現場にやってこざるを得ない状況となってしまった。

ベイビーは人を傷つけることが大嫌いというかトラウマ上、出来ないというか、犯行現場で警備員が撃たれたのを
観てクルマを前にいたトラックに激突させ、助手席にいたバッツ(ジェイミー)を殺し、更にボニーとクライド
状態のバディ(ジョン・ハム)とダーリン(エイザ・ゴンザレス)と共に大量の警官に追いかけられる身となる。
ダーリンは警察との激しい銃撃戦で蜂の巣になり絶命。大事な女の哀れな末期に逆上したバディは、すべては
ベイビーのせいだと、警察に追われつつもベイビーを追い詰めてくる・・・。

なんとか遠くへ逃げようとする二人。その前にボスのところに行ってリミックスのカセットテープを返して
もらおうとした。ボスはお前は誰だ状態。
しかしデボラと逃避行をすると知ったボスは、ベイビーとデボラをメキシコに逃すべく金とクルマを用意
してやる。だがそこにバディがやって来た。バディはボスを射殺し、二人が車に乗り逃げようとすると、
バディが来るまで追いかけてくる。
駐車場内での激しいチェイスとクルマを降りての激闘となるが、デボラの助けもあり(なかなかいい根性
してるよ、デボラは)しつこい上にもしつこいバディをやっとのことで仕留めることが出来た。
いよいよ二人でメキシコへと向かっていると、目の前にはまたまた大量の警官が。
しかしそこでベイビーは諦めておとなしく御用となる。

裁判となる。しかし証言台に立つ養父、逃亡の途中でクルマを拝借した御婦人にバッグを返し、ごめんなさい、と
言ったことなど、ベイビーの優しい面、生来の犯罪者ではない、など擁護する証言がなされ、両親の交通事故や
耳鳴りにも苦しんできたなどの情状が酌量されて、懲役25年、しかし5年後には仮釈放の権利があるとの判決を
受けた。(彼、仲間の強盗とはいえ何人か殺しちゃてるからね)そして模範囚として過ごした5年後、刑務所の外で
待つデボラの元に歩み寄るベイビーであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
というようなお話なのだが、洗練された音楽に乗せたクライムムービー、主人公はちょっと見、ひ弱な青年、
そんなスタイリッシュで、やわなイメージを払拭するように、ほぼCGなしの激しいカーチェイスと、容赦のない
殺しのシーンなど、タランティーノも真っ青なバランスがとれた構成がいい。
またデボラとの関係を大事にしようとするベイビーの姿勢から生まれる愛情周りの様々なトラブルと何を考えて
いるのか分からないバディやダーリン、バッツといった頭のネジが多数外れちゃっている奴らの存在と行動の
バランスもいい。「柔と剛」の塩梅が実に好ましいということだ。
そしてベイビーが逮捕され、刑に服して待っていたデボラとの真実の愛を確認する短い後日譚も、とってつけた
ような感じではあるが、それがまたいい感じだ。

監督、脚本、演者、製作者の関係が上手くいくとこういう面白い映画が出来るということだな。
個人的には、エンドロールで流れるサイモン&ガーファンクルの「Baby Driver」がリアルタイムでツボだった。

(※上記、「ブライトン・ロック」のくだりでは町山智浩著「「最前線の映画を読む」(インターナショナル
 新書 刊)を参照しました)
e0040938_17064335.jpg
<ストーリー>
「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」のエドガー・ライト監督が、
ギャングに雇われ、“逃がし屋”として働く天才ドライバーの青年ベイビーの活躍を描く痛快クライム・カー・
アクション。
リアルかつ華麗なカー・アクションに加え、主人公が絶えず聴いているiPodの曲がBGMとなり、そのビートに
合わせて全てのアクションが展開していく斬新な演出も話題に。
主演は「ダイバージェント」「きっと、星のせいじゃない。」のアンセル・エルゴート、
共演にケヴィン・スペイシー、リリー・ジェームズ、ジョン・ハム、ジェイミー・フォックス。
 
天才的なドライビング・テクニックを買われ、ギャングのボス、ドクの下で“逃がし屋”として働く青年ベイビー。
幼い頃の事故で両親を亡くし、自身もその後遺症で耳鳴りに悩まされている。そのためiPodが手放せず、
常にお気に入りのプレイリストを聴き続けていた。
すぐにキレる狂暴なバッツはじめコワモテの連中を乗せても顔色一つ変えず、クールにハンドルを握るベイビーは、
音楽を聴くことで集中力が研ぎ澄まされ、誰にも止められないクレイジーなドライバーへと変貌するのだった。
そんなベイビーが、ウェイトレスのデボラと出会い、恋に落ちる。そして彼女のために、この世界から足を
洗おうと決意するベイビーだったが…。(allinema)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:86% >





トラックバックURL : https://jazzyoba.exblog.jp/tb/27375052
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by jazzyoba0083 | 2018-07-01 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)