荒野の用心棒 Per Un Pugno Di Dollari

●「荒野の用心棒 Per Un Pugno Di Dollari」
1964 イタリア・スペイン・西ドイツ uncredited 100min.
監督:セルジオ・レオーネ(ボブ・ロバートソン名義) 音楽:エンリオ・モリコーネ
出演:クリント・イーストウッド、ジャン・マリア・ヴォロンテ、マリアンネ・コッホ、ヨゼフ・エッガー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
大のイーストウッドファンなのだが、この時期の西部劇(マカロニ)は敬遠していた。たまたまNHKBSで
放映の機会があり、観ておかないと、ファンだと言い切れないかも知れない、と割り切って観てみた。

制作上にいろいろと逸話がある映画で、まず有名ななのは黒澤明の「用心棒」をレオーネが丸パクリして
東宝映画に訴えられて、負け、興収の15%を支払うことになったこと。(まあ、黒澤の当該映画がもともと
西部劇の要素を取り入れているので、なんと言って良いものやら。ただ黙ってやっちゃあいけません。)
さらに、イタリアで製作され、アメリカよりも日本の公開のほうが先で、アメリカでの公開は1967年に
なってから。その際には監督などはアメリカ人ぽい名前のクレジットにしている。

いわゆる「マカロニウエスタン」の嚆矢となる作品で、そのあとイーストウッドやジュリアーノ・ジェンマらの
作品が次々と作られたが、意匠が同様なものが多く、10年間程度で次第に飽きられていった。

改めて本作を鑑賞してみて、その後に本国の評価サイトや、日本の映画サイトなどでの高評価に驚いた。
私としては、そこまで高評価に値する作品なのか、と思ったからだ。本ブログでも何回も書いているが、私は
西部劇というジャンルを好んで観ないので、その系譜に理解が足りないのかも知れない。この映画の革新性と
いうものに理解が行かないのかも知れない。イーストウッドに関して言えば、その後「許されざる者」などの
更に革新性を帯びた西部劇でさらに成長していくのだが、そこは分かる。

では「荒野の用心棒」の面白さとはなにか。それ以前のゲイリー・クーパーやジョン・ウェインが出ていた
インディアンや騎兵隊を映画いたもの、マリリン・モンローが出ていたものと比べると(私が観た少ない西部劇
からの話で的を得ないかも知れないが)、ストーリーが明快で単純、善悪が分かりやすく、エンタメに徹していて、
とにかくヒーローがカッコいい。そこには「シェーン」のような人間性の描写は薄いが、別の「さすらい者」と
してのカッコよさがある、ガンファイトに容赦がなく、たくさんの人間がいとも簡単に死ぬ。が、あまり悲劇性
は感じない。時間の折りたたみ方や、銃弾はどこで用意したのか、とか弾切れじゃないのか?とかのツッコミ
どころはたくさんあるが、それを乗り越えたエンタメに徹している、というようなことか。

思想性を追い求めない全くのエンタメとして娯楽に振り切った潔さの面白み、が評価されたのかもしれない。
それは冒頭の赤と黒をアニメチックに使ったタイトルバックにも表れているし、コヨーテの遠吠えを模したと
言われているエンリオ・モリコーネのマカロニウエスタンのトレードマークのようになった音楽もまた、
エンタメ的要素の色彩を濃くしているように感じたのだった。

イーストウッドが世の中にでるキッカケを掴んだ映画として鑑賞したが、二度目はないかなあ。
若きイーストウッドは確かにカッコいいけど。
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<ストーリー>
「ローマの旗の下に」のボブ・ロバートソン(セルジオ・レオーネの変名)がシナリオを執筆、自から監督した
西部劇。ただし、黒沢作品「用心棒」の盗作であることを川喜多氏が発見、東宝は著作権の侵害で告訴して
勝つなどの、いわくつきのもの。

無法者の横行する一八七二年のニュー・メキシコ。ある日ジョー(C・イーストウッド)という、腕利きの男が
現われ、この町を二分するロホ兄弟の方に身を寄せることになった。もう一方の旗頭モラレスの手下四人を
鮮やかに片づけたからだ。彼は酒場の亭主からこのニつの勢力が町の皆から煙たがられていることを知り、
その厄病神どもを始末しようと考えた。

一計を案じて両派を反目させることに成功、ロホ兄弟はモラレス家に殴り込みの準備をした。兄弟の弟ラモン
(J・ウェルズ)がマリソル(M・コッホ)という子持ち女を自分のものにしようと監禁しているのを知った
ジョーは、見張りの手下を始末し、母子を逃がした。
これをモラレスの仕業と見せかけたつもりだったが、ラモンに見破られ、マリソルの行方を自白させようと激しい
リンチを加えられたが、口は割らなかった。夜、半死半生のジョーは、スキを見てロホ家をぬけ出し、棺桶屋の
オヤジの手引で安全な隠れ家に身を寄せた。その隠れ家に、棺桶屋のオヤジがロホ一家の手下をだまして手に
入れた拳銃をもってきてくれた。傷つけられた身体で、ジョーは拳銃の早射ちの業をみがいた。傷ついた左手が
利かぬ以上、右手で勝負するほかない。

彼の失踪にあわてたラモンたちは酒屋の亭主を捕えて居所を教えろと迫ったが果さず、ついにモラレス家に
殴り込みをかけ、不意を襲われたモラレスは簡単にやられてしまった。ラモンは酒屋の亭主を通りの真中で
リンチを加えた。ジョーをおびきよせるためである。静まりかえった町に姿を現したジョーは、待ちかまえた
ラモンから続けざまに銃弾を浴びた。が、平然としているジョーに、ラモンはうろたえる。
彼は胸に鉄板を入れていたのだ。ラモンはジョーの銃に倒れ、ジョーを背後から狙ったロホも、酒屋の亭主が
仕止めた。ジョーは再び静かに町を去って行った。(Movie Walker)

<IMDb=★8.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98%  Audience Score:91%>





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by jazzyoba0083 | 2018-07-26 23:10 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)