ウォーキング・ウィズ・エネミー/ナチスになりすました男 Walking with the Enemy

●「ウォーキング・ウィズ・エネミー/ナチスになりすました男 Walking with the Enemy」
2018 アメリカ・カナダ・ルーマニア・ハンガリー Liberty Studios  113min.
監督・原案・(共同)製作:マーク・シュミット
出演:ジョナス・アームストロング、ハンナ・トイントン、ベン・キングスレー、サイモン・ダットン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆-α>
<感想>
NHKは8月15日に「ノモンハン事件」についての特集を組んだ。民放はTBSがニュース23で筑紫哲也の時代
から継続している綾瀬はるかによる「戦争を聞く」シリーズを放送している。他はどうだ。戦争を知らない
世代が殆どとなった日本で、メディアの役割は大きいのだが、悲しいかな、日本のテレビメディアに、戦争の
悲惨さや愚かさの継承を期待するのは虚しくなっている。
こうした折、WOWOWが毎年終戦記念日前後に洋邦取り混ぜながら、先の戦争にまつわる映画を連続上映する
意味は大きい。

本作もその一連のひとつであり、実話に基づいた話である興味も手伝って、鑑賞した。ハンガリーが舞台の
大戦ものを見るのは恐らく初めてで、一つ勉強をさせてもらった思いだ。こうした事実を知るということは、
映画が面白いかそうでないかはひとまず置いておいて、とても貴重な、特に遠く離れた日本人にとって貴重な
追体験となる。(物語がちょっと松原千畝に似ている点があることも共感できるのではないか)
話は少しそれるがドレスデンが英国空軍による必要以上な空爆で破壊された事実も、映画で知った。日本も
アメリカによる東京空襲や、終戦間近の無差別じゅうたん爆撃のことなどを映画にして世界に知らしめれば
いいのにと強く思う。

ハンガリーはナチスドイツの圧力のもと、第二次世界大戦時には枢軸国側にあった。またナチスのシンパ、
別働隊たる「矢十字党」という国内のファシストたちも存在した。ハンガリーの悲劇はアイヒマンが
ハンガリーに駐在し徹底的なユダヤ人狩りを指揮したため、アウシュビッツでの犠牲者はハンガリー系
ユダヤ人が一番多かったという事実。そうした歴史的事実の中で、多数の同胞ユダヤ人を地下や教会に匿い、
スイス領事館の協力を得て、ユダヤ人にスイスの保護下にある証明書を乱発し、さらに殺したナチス将校の
衣装を着てナチスになりすまし、連行されるユダヤ人を決死で救い出す男がいた。彼は映画ではエレクと
名付けられているが、ピンチャス・ローゼンバウムという実在の人物と彼の仲間たちであった。

その行動は大胆というより無謀。ナチの将校たちのパーティーに潜入、すると談笑するうちに上官の名前を
聞かれたりするわけだ。当然のことながら。ウソも次第に通じなくなってくる。その辺りの緊張感はなかなか
良かった。(すれすれの緊張感が演出されるとさらに映画としては確固たるものになったと思うのだが)
話としてはスイスとのからみ、枢軸国ながら戦火を免れていたハンガリーが連合国側特にソ連に通じようと
する動きがバレてドイツ軍の国内侵攻を許してしまう事態、首相親子を中心としてなんとか枢軸国から
抜けようとする動きなども興味深く観ることが出来た。
またハンガリー人ながらドイツに同調するファシスト「矢十字党」の動きも良くわかった。

ナチスドイツが劣勢になりソ連赤軍がハンガリーにもやってくると、ナチ親衛隊に化けたエレクたちは
ソ連軍に狙われるという事態になるわけだ。そんな中でも彼らは同胞を救うことを止めない。
そして悲劇的な最期が待ち受ける。エレクの最期がなんともやりきれないのだが、その辺りの演出、もう少し
丁寧に出来なかったかなあ。

事実がどう脚色されているか知る由もないが、全体の事実は非常に重く受け止めた。だが、作劇としてはどうも
薄っぺらいと云うか、ベン・キングズレー以外の芝居が平坦(悪くいうと下手)なので、インパクトが今ひとつ
なのだ。そこが残念だった。こまかい戦闘描写など丁寧に描いてはいたが、せっかくの素材がもったいないことを
したなあという感じ。それと主人公たちは英語で話していたがハンガリーの庶民が英語で話すわけはないので、
その辺りもアレレ??という感じだった。
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<ストーリー>
1944年。ドイツと同盟を結んでいるハンガリーは戦禍を免れていたものの、戦況は連合国側に傾き、国民を
守るためハンガリーの執政ホルティ(ベン・キングズレー)は連合国との講和を模索する。しかしその動きを
察知したドイツはブダペストに侵攻、アイヒマンの指揮の下、ユダヤ人一掃作戦を開始した。

ナチスの思惑を読んだ青年エレク(ジョナス・アームストロング)は収監されていた労働収容所から抜け出し、
ナチスに移動させられ散り散りになった家族や仲間の捜索を決意。愛するハンナも彼に協力。ナチス将校の制服を
入手したエレクはナチスになりすまし、ドイツ軍の活動を阻止するためある一手に出る。(Movie Walker)

<IMDb=★6.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:46% Audience Score:59%>



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by jazzyoba0083 | 2018-08-14 22:40 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)